JP4695671B2 - 伸縮性経編地 - Google Patents
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Description
このような部分的な伸長制御領域は、当て布によって形成されるのが一般的であったが、この方法では、当て布の縫い合わせ部分に段差が生じてしまったり、生地と当て布という異素材の縫い合わせによる違和感が生じてしまったりするという問題があった。
例えば、生地の編み組織として、緊締力を強くしたい部分をサテン調組織とし、他の部分をメッシュ調組織として、当て布を用いることなく所望形状の緊締部を得る技術が知られている(特許文献2参照)。
しかし、上記特許文献2に記載の技術では、緊締力に大きな差をつけることが難しく、また生地の編み組織の自由度が極めて低いことが問題であった。
そこで、さらなる改良技術として、緊締力を強めるための糸が、強い緊締部と弱い緊締部に渡って連続的に地組織に編み込まれており、緊締力を強めるための前記糸の編み組織として、ルーピング組織と挿入組織の割合を適宜決定して、緊締力に差を設けた技術が知られている(特許文献3参照)
また、上記従来技術では、部分的に緊締力を高くすることはできるが、タテ、ヨコ方向への伸長を充分に制御することはできなかった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、当て布を用いたり、別生地を縫い合わせたりする必要がなく、また、生地の編み組織以外に特別な糸を別途準備する必要もなく、かつ、生地の編み組織の自由度を大きく低下させることなく、この生地の編み組織によってタテおよびヨコ方向への伸びが充分に制御された伸長制御領域を部分的に備える伸縮性経編地を提供することにある。
〔伸縮性経編地〕
本発明にかかる伸縮性経編地は、例えば、実施例で詳述する図1、図2に示す如き組織A〜C、O,Pを組み合わせたものが採用できる。
前記組織A,Bはそれぞれ第1の非弾性糸10、第2の非弾性糸20によって形成されるものであり、組織を変化させることにより、部分的に伸長制御領域Yが形成されている。伸長制御領域Y以外の領域は伸縮領域Xとなっている。ただし、伸縮領域Xと伸長制御領域Yの間に両領域をスムーズに連結するためのコースを設けても良い(図1,2に示す例では1コース分を両領域の連結に用いている)。特に限定するわけではないが、例えば、伸縮領域Xを6〜2800コース、伸長制御領域Yを6〜2200コースとすることができる。
その他種々の目的に応じて、別の組織を採用してもよい。
以下、上記組織A〜C,O,Pについて、具体例とともに詳細に説明する。
<組織A>
組織Aは第1の非弾性糸によって形成される。
組織Aは、伸長制御領域においては、前記第1の非弾性糸が、1コース毎および/または2コース毎に4〜7針の振り幅で左右交互に振られる。前記振り幅は、5〜7針であることがより好ましく、6または7針であることがさらに好ましい。
伸縮領域における組織Aは、一般的な伸縮性経編地と同様の組織を採用することができるが、上述した理由により、後述する組織Bの伸縮領域と同じ組織であるか、および/または、第1の非弾性糸が、後述する第2の非弾性糸とともに、1コース毎および2コース毎の最大振り幅が3針以下となっていることが好ましい。
ここで、「1コース毎および2コース毎の最大振り幅が3針以下」とは、1コース毎の振り幅、2コース毎の振り幅のいずれについてみても、最も大きく振れているところで、3針以下の振り幅であるということを意味し、これを満たす限り、例えば、3コース以上のコース毎についてみたときに、4針以上の振り幅となってもいても良い。また、同一ウェール上に形成される場合をも含む。
前記組織Aとして、例えば、図3(a)〜(e)に示す組織が採用できる。図1(a)〜(c)はハーフセットの例、図3(d)、(e)はフルセットの例である。
具体的には、図3(a)に示す組織は、伸縮領域Xでは、実線で示す組織A1が23/21/23/32/34/32//の繰り返し単位、破線で示す組織A2が32/34/32/23/21/23//の繰り返し単位であり、伸長制御領域Yでは、組織A1が10/23/45/32//の繰り返し単位、組織A2が45/32/10/23//の繰り返し単位である。この組織は、伸縮領域Xでは、組織A1、組織A2のいずれも、1コース毎および2コース毎の最大振り幅が2針となっている。また、伸長制御領域Yでは、組織A1、組織A2のいずれも、2コース毎に左右交互に振られており、その振り幅は5針となっている。
図3(c)に示す組織は、伸縮領域Xでは、実線で示す組織A1が23/21/34/32/34/21//の繰り返し単位、破線で示す組織A2が32/34/21/23/21/34//の繰り返し単位であり、伸長制御領域Yでは、組織A1が10/23/45/32//の繰り返し単位、組織A2が45/32/10/23//の繰り返し単位である。この組織は、伸縮領域Xでは、組織A1、組織A2のいずれも、1コース毎および2コース毎の最大振り幅が3針となっている。また、伸長制御領域Yでは、組織A1、組織A2のいずれも、2コース毎に左右交互に振られており、その振り幅は5針となっている。
図3(e)に示す組織は、伸縮領域Xでは21/34//の繰り返し単位であり、伸長制御領域Yでは56/43/10/23//の繰り返し単位である。この組織は、伸縮領域Xが図(d)に示す組織と共通し、また、伸長制御領域Yでは、2コース毎に左右交互に振られており、その振り幅は6針となっている。
前記非弾性糸は、例えば、綿などの天然繊維、ナイロンなどの合成繊維、半合成繊維、再生繊維などを用いることができ、これらの繊維からなるフィラメント糸、紡績糸、交撚糸などの形態で用いることができる。
非弾性糸の太さは、17〜85dtexが好ましく、22〜44dtexがより好ましい。非弾性糸は、編地の表面に弾性糸が露出しないように覆い隠せる程度の太さを有することが好ましい。その上で、出来るだけ細くて強度(生地になったときの基準で200kPa程度の強度)を有していれば、薄地の経編地を製造し易くなる。非弾性糸が太過ぎると、生地の伸縮性が悪くなり、表面質感や肌触りも悪くなり、ホツレも生じ易くなる場合がある。
<組織B>
組織Bは、第2の非弾性糸によって形成される。
組織Bは、伸長制御領域では、前記第2の非弾性糸が伸長制御領域の全コースにわたって2針の範囲を超えることなく編目を形成するかおよび/または挿入される。好ましくは伸長制御領域の全コースにわたって同一ウェール上に編目形成および/または挿入される。
前記組織Bとして、具体的には、例えば、図4(a)〜(f)に示す組織が採用できる。
図4(a)に示す組織は、伸縮領域Xでは、12/10/12/21/23/21//の繰り返し単位であり、伸長制御領域Yでは、21/12//の繰り返し単位である。この組織は、伸縮領域Xでは、1コース毎および2コース毎の最大振り幅が2針となっている。また、伸長制御領域Yでは、伸長制御領域Yの全コースにわたって同一ウェール上に編目を形成している。なお、前記伸縮領域Xの組織が図3(a)に示す伸縮領域Xにおける組織A2と同一であるので、図3(a)に示す組織との組み合わせが好適である。
<組織C>
組織Cは、伸縮性経編地に対し、タテおよびヨコ方向への良好な伸縮性を付与する。
前記組織Cとして、具体的には、例えば、00/11//、10/12//などの繰り返し単位を有する組織が採用できる。
組織Cは弾性糸による組織であり、弾性糸の材料は、通常の伸縮性経編地で使用されている弾性糸と同様のものが採用できる。例えば、ポリウレタン弾性糸が使用できる。スパンデックスとして知られる高弾性ポリウレタン糸が使用できる。弾性糸に非弾性糸を被覆した被覆弾性糸も使用できる。
弾性糸の太さは44〜1240dtexが好ましい。
<組織O>
組織Oは、抜き糸またはヘムの端を構成する。
前記組織Oとして、具体的には、例えば、01/10//、10/10//などの繰り返し単位を有する組織が採用できる。
組織Oは、非弾性糸による組織であり、この非弾性糸としては、基本的には、前記組織Aで説明した第1の非弾性糸と共通する伸度、材料が採用できる。ただし、非弾性糸の太さは、抜き糸の場合は33〜200dtex、ヘム部の場合は15〜55dtexが好ましい。
組織Pは、分離前の伸縮性経編地において、抜き糸部とその両側の単位編地とを連結する機能を果たす。伸縮性経編地を抜き糸部で分離したあとは、両側の単位編地のヘムの端に一体化される。
具体的な組織としては、通常の分離構造を有する伸縮性経編地と同様の構造が採用できる。例えば、両単位編地と抜き糸部とを交互にあるいは数コース毎に移行するように挿入された組織が採用できる。前記組織Pとして、具体的には、例えば、11/33/11/22/00/22//、22/55/22/33/00/33//などの繰り返し単位を有する組織が採用できる。
弾性連結組織は、弾性糸で形成しておくことによって、伸縮性経編地の分離時に抜き糸部を連結していた部分が、両側の単位編地へとスムーズに引き寄せられることになる。
組織Pに使用される弾性糸としては、基本的には、前記組織Cで説明した弾性糸と共通する伸度、材料が採用できる。ただし、弾性糸の太さは、88〜560dtexが好ましい。
上記に例示した組織などによって形成されうる伸長制御領域として、例えば、リジット部やハイパワー部が好ましく例示できる。
同じ組織であっても、例えば、糸の給糸量や糸の太さを変更することで、伸長制御の程度を様々に変えることが可能であり、リジット部としたり、ハイパワー部としたりすることができる。
以下、リジット部とハイパワー部のそれぞれについて、詳しく説明する。
<リジット部>
本発明において、リジット部とは、伸長制御領域のうち、特に、荷重2.25kgf(22.1N)におけるタテとヨコそれぞれの伸度が30%未満のものをいう。このようなリジット部は、衣類において容易に伸縮することが好ましくない箇所、例えば、ブラジャーの脇やフロント部(カップの谷間)などに形成されるものである。
本発明において、ハイパワー部とは、伸長制御領域のうち、荷重2.25kgf(22.1N)におけるタテとヨコの少なくともいずれかの伸度が30%以上であるが、伸縮領域に対して、タテ50%以内、ヨコ80%以内の伸度を示すものである。このようなハイパワー部は、衣類において、伸長を制御してパワーを付与したい箇所、例えば、ブラジャーの脇やパンツのウエスト部あるいはフロント部などに形成されるものである。
〔伸縮性経編地の編成〕
本発明にかかる伸縮性経編地を編成するに際しては、通常の編成装置および編成方法が適用できる。
編成された伸縮性経編地は、セット加工や精練処理、染色処理等の、通常の伸縮性経編地に行われている処理工程を経て、伸縮性経編地製品となる。
編成装置としては、カールマイヤー社製のRSE6ELを用いた。
また、実施例1、2、比較例1において、伸縮性経編地のタテおよびヨコの伸度は、下記測定方法による。
<タテおよびヨコの伸度>
2.5cm×16.0cmの試験片を、タテ、ヨコ方向にそれぞれ採取して、これらの試験片を、上部つかみ2.5cm、下部つかみ3.5cm、つかみ間隔10.0cmとして、定速伸長型引張試験機に取り付け、30±2cm/minの速度で機械を操作し、荷重2.25kgf(22.1N)で引っ張ったときの1回目のタテとヨコそれぞれの伸度(%)を測定した。
<糸使いと組織>
図1に示す組織を、下記の糸使いで形成した。
G1(組織A1):ナイロン、33T−26ミラコスモ(東レ社製)
G2(組織A2):ナイロン、33T−26ミラコスモ(東レ社製)
G3(組織O)
抜き糸:ナイロン66、56//2T−17セミダル(東レ社製)
ヘムの端:ナイロン66、ウーリー33T−26セミダル(東レ社製)
G4(組織B) :ナイロン、33T−26セミダル(東レ社製)
G5(組織C) :ライクラ、235T−127C(オペロンテックス社製)
G6(組織P) :ライクラ、235T−127C(オペロンテックス社製)
図1において、組織A1は筬G1、A2は筬G2、組織Bは筬G4、組織Cは筬G5、組織Oは筬G3、組織Pは筬G6、によりそれぞれ形成されたものである。組織A1は実線、組織A2は破線で表している。また、図1中、符号Xで表す領域は伸縮領域であり、符号Yで表す領域は伸長制御領域である。
各組織は、具体的には、下記表1に示すとおりである。
組織O,Pはヘムの形成に関わる組織であり、組織Oは抜き糸およびヘムの端を形成し、組織Pは抜き糸と抜き糸の両側の単位編地とを連結する。
<伸縮性経編地のタテおよびヨコ方向への伸度>
上記した方法により、伸縮領域におけるタテおよびヨコの伸度と、伸長制御領域におけるタテおよびヨコの伸度を測定した。
<糸使いと組織>
図2に示す組織を、下記の糸使いで形成した。
G1(組織A) :ナイロン66、44T−34ブライト(東レ社製)
G2(組織B) :ナイロン66、44T−34ブライト(東レ社製)
G3(組織O)
抜き糸:ナイロン66、56T//2−17セミダル(東レ社製)
ヘムの端:ナイロン66、22T−7ブライト異形(東レ社製)
G4(組織C) :ライクラ、156T−127C(オペロンテックス社製)
G5(組織P) :ライクラ、470T−127C(オペロンテックス社製)
図2において、組織Aは筬G1、組織Bは筬G2、組織Cは筬G4、組織Oは筬G3、組織Pは筬G5、によりそれぞれ形成されたものである。また、図2中、符号Xで表す領域は伸縮領域であり、符号Yで表す領域は伸長制御領域である。
各組織は、具体的には、下記表3に示すとおりである。
組織O,Pはヘムの形成に関わる組織であり、組織Oは抜き糸およびヘムの端を形成し、組織Pは抜き糸と抜き糸の両側の単位編地とを連結する。
<伸縮性経編地のタテおよびヨコ方向への伸度>
上記した方法により、伸縮領域におけるタテおよびヨコの伸度と、伸長制御領域におけるタテおよびヨコの伸度を測定した。
〔比較例1〕
<糸使いと組織>
図5に示す組織を、下記の糸使いで形成した。
G1 :ナイロン66、44T−13ブライト異形(東レ社製)
G2
地組織:ナイロン66、44T−13ブライト異形(東レ社製)
連結糸:ライクラ、235T−127C(オペロンテックス社製)
G3
抜き糸:ナイロン66、56T//2−17セミダル(東レ社製)
ヘムの端:ナイロン66、ウーリー33−26セミダル(東レ社製)
G4 :ライクラ、470−127C(但し、ヘム部は235−127C)(オペ ロンテックス社製)
G5 :ライクラ、470−127C(但し、ヘム部は235−127C)(オペ ロンテックス社製)
各組織は、具体的には、下記表4に示すとおりである。
<伸縮性経編地のタテおよびヨコ方向への伸度>
上記した方法により、伸縮性経編地のタテおよびヨコの伸度を測定した。
20 第2の非弾性糸
A(A1,A2)、B、C、O、P 組織
G1、G2、G3、G4、G5、G6 筬
X 伸縮領域
Y 伸長制御領域
Claims (4)
- 伸長制御領域(カーブした帯状の領域を除く。)を部分的に備える伸縮性編地であって、前記伸長制御領域は、第1の非弾性糸が1コース毎および/または2コース毎に4〜7針の振り幅で左右交互に振られ、第2の非弾性糸が伸長制御領域の全コースにわたって2針の範囲を超えることなく編目を形成するかおよび/または挿入されていることを特徴とする、伸縮性経編地。
- 前記伸長制御領域以外の伸縮領域では、第1の非弾性糸による組織と第2の非弾性糸による組織とが同一である、請求項1に記載の伸縮性経編地。
- 前記伸長制御領域以外の伸縮領域では、第1の非弾性糸および第2の非弾性糸は、1コース毎および2コース毎の最大振り幅が3針以下である、請求項1または2に記載の伸縮性経編地。
- ヘムを備える、請求項1から3までのいずれかに記載の伸縮性経編地。
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