次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。又、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
(塩基配列判定システム)
本発明の実施の形態に係る塩基配列判定システムは、図7に示すように、チップカートリッジ11と、このチップカートリッジ11と電気的に接続される測定系12、チップカートリッジ11に設けられた流路とインタフェース部を介して物理的に接続される送液系13及びチップカートリッジ11の温度制御を行う温度制御機構14等を備える。図7の測定系12は、図1に示すように、対極502の入力に対して参照極561,562の電圧をフィードバック(負帰還)させることにより、セル内の電極や溶液などの各種条件の変動によらずに溶液中に所望の電圧を印加する3電極方式のポテンシオ・スタットであり、検出チップ21の端子C,R,Wに接続されている。図1の検出チップ21は、図7のチップカートリッジ11に備えられている。
検出チップ21は、図2に示すように、SNP1検出用電極である作用極551,SNP2検出用電極である作用極552,コントロール電極である作用極553と、これらの作用極551,552,553に対する参照極561,562及び対極502が検出チップ上に配列された電極ユニットを用いている。即ち、測定系12は、作用極551,552,553に対する参照極561,562の電圧を、ある所定の特性に設定されるように対極502の電圧を変化させ、挿入剤の電気化学的反応による電流(以下において「電気化学的電流」と言う。)を電気化学的に測定する。
本発明の実施の形態に係る塩基配列判定方法は、先ず、塩基配列判定の目的とされる標的塩基配列(サンプルDNA)581,582,583(図9〜11参照。)と相補的な塩基配列を有するプローブDNA571,572について、それぞれ作用極551,552に固定化させる。即ち、図3(a)に示すように、作用極551は、図9に示した塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(サンプルDNA)581とは相補的な塩基配列GACTC・・・・・を有するプローブDNA571が固定化される電極である。図3(a)では、SNP位置の塩基を、下から3番目のCとしたSNP="G"検出用電極である。
又、図3(b)に示すように、作用極552は、図10に示した塩基配列CTTAG・・・・・を有する標的塩基配列(サンプルDNA)582とは相補的な塩基配列GAATC・・・・・を有するプローブDNA572が固定化される電極である。図3(b)も、SNP位置の塩基を、下から3番目のAとしたSNP="T"検出用電極である。
一方、図3(c)に示すように、作用極553は、標的塩基配列(サンプルDNA)581,582とは相補的関係のない塩基配列CAGTG・・・・・を有するプローブDNA(ネガティブコントロールDNA)573が固定化されるコントロール電極である。これらの作用極551,552,553は、セル内の反応電流を検出する電極として機能する。なお、作用極551,552,553に固定化されるプローブDNA571,572,573の種類は 例示に過ぎないが、作用極551,552,553に固定化されるプローブDNAの種類は、それぞれ原則1つである。
対極502は、作用極551,552,553との間に所定の電圧を印加してセル内に電流を供給する電極である。参照極561,562は、参照極561,562と作用極551,552,553との間の電圧を所定の電圧特性に制御すべく、その電極電圧を対極502にフィードバックさせる電極であり、これにより対極502による電圧が制御され、セル内の各種検出条件に左右されない精度の高い電気化学的電流の検出が行える。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定システムの測定系12は、電極間を流れる電流を検出するための電圧パターンを発生させる電圧パターン発生回路510を備え、この電圧パターン発生回路510は、配線512bを介して参照極561,562の参照電圧制御用の反転増幅器512(OPc)の反転入力端子に接続されている。電圧パターン発生回路510は、図7に示す制御機構15から入力されるデジタル信号をアナログ信号に変換して電圧パターンを発生させる回路であり、DA変換器を備える。配線512bには抵抗Rsが接続されている。反転増幅器512の非反転入力端子は接地され、出力端子には配線502aが接続されている。反転増幅器512の反転入力端子側の配線512bと出力端子側の配線502aは配線512aで接続されている。この配線512aには、フィードバック抵抗Rff及びスイッチSWfからなる保護回路500が設けられている。線502aは検出チップ21の端子Cに接続されている。端子Cは、検出チップ21上の対極502に接続されている。対極502が複数設けられている場合には、各々に対して並列に端子Cが接続される。これにより、1つの電圧パターンにより複数の対極502に同時に電圧を印加することができる。線502aには、端子Cへの電圧印加のオンオフ制御を行うスイッチSW0が設けられている。
反転増幅器512に設けられた保護回路500により、対極502に過剰な電圧がかからないような構成となっている。したがって、測定時に過剰な電圧が印加され、溶液が電気分解されてしまうことにより、所望の挿入剤の電気化学的電流の検出に影響を及ぼすことがなく、安定した測定が可能となる。
検出チップ21の端子Rは、配線503aにより電圧フォロア増幅器(OPr)513の非反転入力端子に接続されている。電圧フォロア増幅器513の反転入力端子は、その出力端子に接続された配線513bと配線513aにより短絡している。配線513bには抵抗Rfが設けられており、配線512bの抵抗と、配線512aと配線512bの交点との間に接続されている。これにより、電圧パターン発生回路510により生成される電圧パターンに、参照極561,562の電圧をフィードバックさせた電圧を反転増幅器512に入力させ、そのような電圧を反転増幅した出力に基づき対極502の電圧を制御する。
検出チップ21の端子Wは、配線501aによりトランス・インピーダンス増幅器(OPw)511の反転入力端子に接続されている。トランス・インピーダンス増幅器511の非反転入力端子は接地され、その出力端子に接続された配線511bと配線501aとは配線511aにより接続されている。配線511aには抵抗Rwが設けられている。このトランス・インピーダンス増幅器511の出力側の端子Oの電圧をVw、電流をIwとすると:
Vw=Iw・Rw ・・・・・(1)
となる。この端子Oから得られる電気化学信号は、図7に示す制御機構15に出力される。作用極551,552,553は複数あるため、端子W及び端子Oは、作用極551,552,553のそれぞれに対応して複数設けられる。複数の端子Oからの出力は後述する信号切替部により切り替えられ、AD変換されることにより各作用極551,552,553からの電気化学信号をデジタル値としてほぼ同時に取得することができる。なお、端子W及び端子Oの間のトランス・インピーダンス増幅器511などの回路は、複数の作用極551,552,553で共有しても良い。この場合、配線501aに複数の端子Wからの配線を切り替えるための信号切替部を備えれば良い。
図7の塩基配列判定システムを構成するチップカートリッジ11は、図4及び5に示すように、カセット上蓋711、カセット下蓋712、パッキン713(シール部材)及び基板714からなるカセットを構成している。カセット上蓋711及びカセット下蓋712の内表面同士を対向させ、かつこれらカセット上蓋711及びカセット下蓋712の間にパッキン713及び基板714を狭んだ状態で固定している。カセット上蓋711の外表面から内表面にかけて、断面が略円形のノズル差込孔722及び723が貫通して形成されている。このノズル差込孔722及び723の内径は、送入及び送出ポート752,753、及び図6のバルブユニット705のノズル707,708、の外径よりも若干大きく設定されており、例えば3.2mm程度である。図4に示すように、カセット上蓋711の外表面から内表面にかけて断面が略長方形の電気コネクタ用ポート724及び725が貫通して形成されている。この電気コネクタ用ポート724及び725の各々には、後述する電気コネクタが挿着され使用される。更に、外表面には内表面にかけてシール検出孔726が貫通して形成されている。このシール検出孔726は、シールの有無の検出に用いられる。即ち、カセット(検出チップ)21の外表面のシール検出孔726の表面から電気コネクタ用ポート724及び725の表面にかけてシールが貼付された状態で、カセット(検出チップ)21へ薬液(試料)を注入し、カセット(検出チップ)21に薬液(試料)を注入した後にシールが剥がすが、そのシールの有無の検出する。カセット(検出チップ)21に、シールが貼付された状態で、薬液(試料)を注入することにより、たとえ薬液(試料)溶液が誤って電気コネクタポート724若しくは725上に滴下しても、シールで被覆されているため、実際のポート724若しくは725内には液が侵入することがなく、電気的に短絡してしまう等の不具合を発生させる心配を生じないようにしている。
図5に示すように、カセット上蓋711の内表面側には、所定の深さでかつ基板714の断面形状とほぼ同じ断面形状を有する基板位置決め溝が設けられており、この基板位置決め溝の周囲は内表面で囲まれている。基板位置決め溝はノズル差込孔722及び723、電気コネクタ用ポート724及び725にオーバーラップして形成されている。基板位置決め溝にあわせて基板714をはめ込むことにより、基板714をカセット上蓋711に位置決め配置することができる。基板位置決め溝の深さは基板714の厚さとほぼ同じになるように形成されている。
図5に示すように、カセット上蓋711の内表面側で基板位置決め溝にオーバーラップして、基板位置決め溝よりも更に深いパッキン位置決め溝が設けられており、このパッキン位置決め溝の周囲は基板位置決め溝で囲まれている。パッキン位置決め溝はノズル差込孔722及び723にオーバーラップして形成されている。パッキン位置決め溝にあわせてパッキン713をはめ込むことにより、パッキン713をカセット上蓋711に位置決め配置することができる。パッキン位置決め溝の基板位置決め溝に対する深さは後述するパッキン713の厚さとほぼ同じになるように形成されている。したがって、パッキン位置決め溝の内表面に対する深さは、パッキン713の厚さに基板714の厚さを加算した厚さとほぼ同じになるように形成されている。
カセット上蓋711の内表面の周縁部には4つのねじ孔727a、727b、727c及び727dが設けられている。これらねじ孔727a〜727dにより、カセット上蓋711とカセット下蓋712をねじ止めできる。カセット上蓋711の内表面の周縁部には2つのカセット位置決め孔728a及び728bが設けられている。このカセット位置決め孔728a及び728bを、スライドステージの上に設けられた2つの位置決め用ピンにあわせてカセット(検出チップ)21を配置することにより、スライドステージに対してカセット(検出チップ)21を位置決め配置することができる。
又、外表面にはシール検出孔746が貫通して形成されている。又、カセット下蓋712のシール検出孔746は、カセット上蓋711とカセット下蓋712が止着された状態で、カセット上蓋711のシール検出孔726と通じる位置に形成されている。これにより、カセット上蓋711とカセット下蓋712が止着された際に、カセット上蓋711からカセット下蓋712にかけて貫通したシール検出孔726が設けられ、このシール検出孔726に対して検出光を照射することにより、シールの有無を判別できる。
カセット下蓋712の外表面の周縁部には4つのねじ孔747a、747b、747c及び747dが設けられている。これらねじ孔747a〜747dとカセット上蓋711に設けられた対応するねじ孔727a〜727dの各々をねじ止めすることにより、カセット下蓋712をカセット上蓋711に止着することができる。カセット下蓋712の外表面の周縁部には、2つのカセット位置決め孔748a及び748bが設けられている。このカセット位置決め孔748a及び748bには、カセット上蓋711のカセット位置決め孔728a及び728bがそれぞれ貫通する。スライドステージに対するカセット(検出チップ)21の位置決めは、スライドステージの上に設けられた2つの位置決め用ピンと、カセット下蓋712のカセット位置決め孔748a及び748bを貫通しているカセット上蓋711の2つの位置決め孔728a及び728bによって規定される構成になっている。カセット下蓋712には、更にカセット種類判別用孔749が設けられ、このカセット種類判別用孔749の有無により、カセット(検出チップ)21の種類を判別できる。なお、種類判別は、カセット種類判別用ピン(図示省略)の押し下げの有無により自動で行うことができる。カセット種類判別用ピン(図示省略)のピンの押し下げ状態は、制御機構15で検知される。
なお、カセット種類判別用孔749が設けられていないカセット(検出チップ)21を用いても、判別されるカセット(検出チップ)21の種類が異なるのみで同様の測定が可能である。若しくは、カセット(検出チップ)21の種類が異なることを表示部(図示省略)に制御機構15が表示させて警告して、測定工程に進まないように設計しておくこともできる。或いは、カセット種類判別用ピン(図示省略)は固定された固定ピンを用いて、カセット種類判別用孔749が設けられていないカセット(検出チップ)21は装着できないようにすることにより、誤ったカセット(検出チップ)21をセットしないようにすることもできる。
パッキン713は、ほぼ長方形で所定の厚さを有し、その4隅が切欠いて形成された板状部分と、この板状部分の主面上であって長辺の両端近傍に位置し、かつ短辺の中央近傍に設けられた円筒形状の送入ポート752及び送出ポート753からなる。送入ポート752及び送出ポート753の先端には開口部が設けられている。この開口部から板状部分にかけて、送入ポート752及び送出ポート753の軸心には、板状部分の主面に対して垂直な方向に流路が設けられている。板状部分の裏面には、図5に示すように、送入ポート752の形成位置から送出ポート753の形成位置にかけて折れ曲がり形状の溝が形成されている。溝は、流路を構成している。溝は、複数回交互に進行するように形成され、溝の折り返し地点を所定の曲率のカーブとすることにより、折り返し地点のコーナーなどが設けられた場合に発生する薬液やエアの滞留を抑制できる。
図4に示すように、基板714の主面には、電極ユニット761、パッド762及び763が形成されている。電極ユニット761は、図2に示すように、対極502、作用極551,552,553及び参照極561,562の組合せからなる3電極系のユニットである。電極ユニット761の作用極551,552,553にはプローブDNA571,572,573が固定化される。電極ユニット761とパッド762、電極ユニット761とパッド763は、図示しない配線により接続されている。図4では、基板714に対して、プローブDNAが固定されている電極ユニット761と、パッド762及び763が同一面上に形成させている場合を例示しているが、パッド762及び763が、基板714の電極ユニット761が形成された面に対して反対側の面に形成されている場合には、バルブユニット705はカセット(検出チップ)21に対して上側に、そしてプローブユニット710は下側に設置されることになる。その場合には、必然的に、バルブユニット705とプローブユニット710は一体的に形成される訳ではなくなる。
電極ユニット761の配列は、パッキン配置位置でかつ折れ曲がり形状の流路形成位置にあわせて形成されている。これにより、パッキン713と基板714がカセット上蓋711及びカセット下蓋712に位置決めされた状態で狭着固定された際には、折れ曲がり形状の溝と基板714表面により折れ曲がり形状の流路が形成され、かつその流路表面には電極ユニット761が露出した構成となる。即ち、電極ユニット761上は、折れ曲がり形状の溝により間隙が設けられ、この間隙により折れ曲がり形状の流路が形成される。又、この状態では、パッキン713と基板714とはシールが保持される。
先ず、カセット上蓋711の内表面のパッキン位置決め溝にあわせて、かつノズル差込孔722及び723に送入ポート752及び送出ポート753が挿通するように、パッキン713をパッキン位置決め溝に嵌挿する。次に、基板714を、その主面、即ち電極ユニット761、パッド762及び763が形成された面がカセット上蓋711側に向くように、基板位置決め溝に位置決め配置する。次に、カセット下蓋712を、その内表面742がカセット上蓋711側に向くように、又ねじ孔747a〜747d及びねじ孔727a〜727dの位置が対応するようにカセット上蓋711上に載置する。そして、ねじ孔747a〜747d及びねじ孔727a〜727dにねじ770a〜770dを螺挿する。これにより、カセット上蓋711及びカセット下蓋712が螺着され、かつカセット上蓋711及びカセット下蓋712間にはパッキン713及び基板714が狭着固定され、カセット(検出チップ)21が完成する。この完成した状態では、ノズル差込孔722からノズル差込孔723にかけて、折れ曲がり形状の流路が形成される。
図4及び5では、ねじ止めによりカセット上蓋711及びカセット下蓋712を固定する例を示したが、これに限定されない。例えば凹凸の部材を用いた係着手法を用いても良い。
図6は、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定システムを構成する送液系13に備えられバルブユニット705の全体構成を示す図である。なお、図6では、プローブユニットの構成は省略して記載してあるが、バルブユニット705にはプローブユニットが一体的に形成され、バルブユニット・プローブユニット駆動機構によりこれらバルブユニット及びプローブユニットが同時に駆動される。例えばガラスエポキシ基板などからなるプローブユニットに、2つの電気コネクタが所定の間隔をおいて配置される。電気コネクタの先端には、複数の凸状電極が基板714上のパッドと同じ配列によりマトリクス状に配置されており、これら各凸状電極が図4に示した基板714上のパッド762,763と接触することにより、基板714とプローブユニットとの電気的接続が確保される。又、電気コネクタ内には配線が設けられており、各凸状電極と制御機構15がこの配線により電気的に接続される。
バルブユニット・プローブユニット駆動機構は制御機構15からの指示により駆動する。バルブユニット・プローブユニット駆動機構は、昇降方向の駆動方向を有する。これにより、スライドステージ側のカセット(検出チップ)21の上部に対してノズル707、708及び電気コネクタ703が降下することにより、図6に示すように、ノズル707及び708がノズル差込孔722及び723に位置決めされ、かつ電気コネクタ703が電気コネクタ用ポート724及び725に位置決めされる。これにより、送液系とカセット(検出チップ)21内の流路が連通する。又、電気コネクタがカセット(検出チップ)21のパッドに位置決めされ、パッドと電気コネクタが電気的に接続される。
バルブユニット705は、バルブボディ781が連結固定して用いられる。バルブボディ781には2方電磁弁403、3方電磁弁413、423及び433が設けられており、又バルブボディ782には3方電磁弁441及び445が設けられている。バルブボディ781は、例えばPEEK樹脂により作製される。なお、バルブボディ781が別個に作製され、その両者をつなぎ合わせる場合には、その継ぎ目部分には例えばPTFEをパッキンとして使用する。したがって、バルブボディ781の両者では、薬液に接する部分の材質はPEEK及びPTFEからなる。又、バルブボディ781にはほぼ一定の断面形状の空洞が設けられている。この空洞は、後述する各電磁弁の間やパッキン713等との間を接続する配管として機能する。又、バルブボディ782に設けられた空洞には、ノズル707及びノズル708が連通している。これらノズル707及びノズル708はPEEK樹脂からなる。
3方電磁弁413は、エアとミリQ水を切り換えて下流側の3方電磁弁423に供給する。3方電磁弁423は、バッファと3方電磁弁413からのエア又はミリQ水を切り換えて下流側の3方電磁弁433に供給する。3方電磁弁433は挿入剤と3方電磁弁423からのエア、ミリQ水又はバッファを切り換えて下流側のバルブボディ782に供給する。3方電磁弁441は、バルブボディ781からのエア又は薬液のノズル707への供給又はバイパス配管を介した3方電磁弁445への供給を切り換える。3方電磁弁445は、3方電磁弁441からのエア又は薬液の供給又はカセット(検出チップ)21からのノズル708を介した薬液又はエアの送出を切り換える。
図6に示すバルブユニット705において、カセット(検出チップ)21内にバッファを送液するためには、3方電磁弁423、441、445、及び送液ポンプ454をONにすれば良い。これにより、バッファが吸い上げられ、薬液はノズル707側に切り替わり、ノズル707からカセット(検出チップ)21へ、更にカセット(検出チップ)21からノズル708に吸い出され、3方電磁弁445を経由して廃液することができる。カセット(検出チップ)21内にミリQ水を送液するためには、3方電磁弁423にかえて3方電磁弁413をONにすれば良い。カセット(検出チップ)21内に挿入剤を送液するためには、3方電磁弁423にかえて3方電磁弁433をONにすれば良い。カセット(検出チップ)21内にエアを供給するためには、3方電磁弁403をONにし、3方電磁弁413,423及び433のいずれもOFFにすれば良い。バルブユニット705のバルブボディ781内に設けられた空洞部分の配管の内部容量は、バルブ内容量を含めても100μL程度である。本実施の形態とは異なり各3方弁をチューブで接続して同じフローを構成する場合には、500μL程度の内部容量が必要であるが、これと比較すると大幅に試薬量を節減することができる。更に、バルブユニット705とカセット(検出チップ)21間の内部容量も、本実施の形態とは異なる例では100μL以上あるが、本実施の形態では10μLと大幅に低減できる。この様な構造により、試薬切換え後に、更に不本意にカセット(検出チップ)21内を流れる溶液若しくは空気の量を大幅に減らすことができる。その結果、反応及び測定のばらつきを低減し、結果の再現性も大幅に向上する。
また、図示していない、薬液揺動装置を備えており、チップカセット内の薬液揺動を行うことが出来る。薬液の揺動は、(1)サンプルDNAとプローブDNAとのハイブリダイゼーション工程、(2)洗浄工程、(3)挿入剤供給工程などで行うのが有効である。(1)のハイブリダイゼーション工程でサンプルDNAを揺動させることにより、ハイブリダイゼーション効率を向上させ、ハイブリダイゼーション時間を短縮させることができる。又、(2)洗浄工程でバッファ液を揺動させることにより、非特異吸着DNAを引き剥がす効率を向上させることにより、洗浄時間を短縮させることができる。又、(3)挿入剤供給工程で挿入剤を揺動させることにより、挿入剤の濃度の均一性を向上させ、又挿入剤の吸着均一性も向上させることにより、信号のばらつき、S/N比を改善することができる。これら(1)〜(3)のすべての工程に薬液揺動工程を適用しても、一部の工程に適用しても、薬液揺動の効果が得られる。
冒頭で、一部言及したが、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定システムは、図7に示すように、測定ユニット10と、測定ユニット10に接続された制御機構15と、制御機構15に接続されたコンピュータ16とを備える。測定ユニット10は、チップカートリッジ11と、このチップカートリッジ11と電気的に接続される測定系12、チップカートリッジ11に設けられた流路とインタフェース部を介して物理的に接続される送液系13及びチップカートリッジ11の温度制御を行う温度制御機構14等を備える。
図7に示したコンピュータ16は、図8に示すように、操作者からのデータや命令などの入力を受け付ける入力装置304と、対象とする核酸が存在するかどうかを判定し、或いは、SNPの型が、2種の内のどちらであるか、又、それがホモ型であるか、ヘテロ型であるかを判定する中央処理装置(CPU)300と、判定結果を出力する出力装置305及び表示装置306と、塩基配列の判定に必要な所定のデータなどを格納したデータ記憶部(図示省略)と、塩基配列判定プログラムなどを格納したプログラム記憶部(図示省略)とを備える。
CPU300は、ノイズ除去モジュール301,電流波形判定モジュール302,ピーク電流検出モジュール310,異常データ除外モジュール320,有無判定モジュール330及び型判定モジュール340を備える。
ノイズ除去モジュール301は、図2に示したSNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553を介して測定される電流から、「単純移動平均法」を用いて平準化(スムージング)により、ノイズを除去する。スムージングは、例えば、図15に示すような、単純移動平均法を用いれば良い。「単純移動平均法」は文字通り、いくつかの実績値を単純平均するものであり、図15(a)に示すような時系列データを、その規則性に着目して平均するものである。図15では、移動平均値の区間をm=5として、それぞれのデータの後5点のデータを5で割った数値:
y[n]=(x[n]+x[n+1]+x[n+2]+x[n+3]+x[n+4])/5 ・・・・・(2)
が、図15(b)に示す移動平均値となる。移動平均により、図15(a)に示すような変動が図15(b)に示すように平準化(スムージング)され、全体的な傾向を分析するが容易になる。
電流波形判定モジュール302は、図16のフローチャートに示した手順に従って、図2に示したSNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553を介してそれぞれ測定された電流波形(電流−電圧特性)のベースラインの傾きをそれぞれ求め、それぞれのベースラインの傾きにより、それぞれの検出信号(電流波形)の正常・異常を判定し、異常な検出信号を演算対象外とする。
ピーク電流検出モジュール310は、電圧値算出部311,ベースライン近似部312,ピーク電流値演算部313を備え、図18及び図19のフローチャートに示した手順に従い、SNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553を介して測定される電流(検出信号)から、バックグラウンド電流を差し引いて、挿入剤591に起因する真の電気化学的電流(真の検出信号)のピーク値(ピーク電流値)を求める。
電圧値算出部311は、図18のステップS221〜S223に示す手順に従い、チップカートリッジ11で測定された電気化学的電流の電流(i)−電圧(v)特性の波形を電圧値(v)に対して微分演算し、予め定めた下限値V1〜上限値V2の範囲において、微分値(di/dv)が「ゼロクロス」する点の電圧値Vpk1と電流値Ipk1を、各電極ユニット761のそれぞれの電流−電圧特性に対して算出する(図20参照。)。「ゼロクロス」する点とは、電気化学的電流の微分値(di/dv)が正値から負値に変化する点、又は負値から正値に変化する点であり、電流ピークを与える電圧値Vpk1及び電流値Ipk1に対応する。図20には、電圧値の増大に伴い、微分値(di/dv)が負値から正値に変化する点の電圧値Vpk1と電流値Ipk1が示されている。「ゼロクロス値」が奇数個ある場合には、電圧値Vpk1として、中央の値を、偶数個ある場合には、電圧値Vpk1として中心値に最も近い値を採用する。
ベースライン近似部312は、図18のステップS224〜図19のS228に示す手順に従い、電気化学的電流の電流−電圧特性のベースライン(バックグラウンド)を、各電極ユニット761のそれぞれの電流−電圧特性に対して近似する(図21及び図22参照。)。ピーク電流値演算部313は、図19に示すステップS229〜S230の手順に従い、電気化学的電流の電流−電圧特性曲線における真のピーク電流値Ipk2を、電圧値算出部311が算出したゼロクロス電流値Ipk1からベースライン近似部312が算出したバックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgを差し引いて求める。
異常データ除外モジュール320は、図26のフローチャートに示す一連の手順を用いて、ピーク電流検出モジュール310が算出した真の電気化学的電流(真の検出信号)のピーク値(ピーク電流値)のデータ群中から、異常データを除外する。即ち、異常データ除外モジュール320は、図4に示す基板714上に複数配列される電極ユニット761にそれぞれ含まれる複数のSNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553からそれぞれ得られる一群の電流値Ipk2のデータから、グループ単位で、所定の基準を満たさないデータを異常値として排除する。
有無判定モジュール330は、図28に示すフローチャートに示す一連の手順に従い、対象とする核酸が存在するかどうかを判定する。
型判定モジュール340は、SNPの型が、SNP="G",SNP="T"の2種の内のどちらであるか、又、それがG/Gホモ型であるか、G/Tヘテロ型であるか、又はT/Tホモ型であるか等を、図29及び図30に示すフローチャートに示す一連の手順で判断する。
CPU300には、バス303を介して、波形判定用電圧範囲記憶部351,傾き許容範囲記憶部352,ピーク探索電圧値範囲記憶部353,ゼロクロス値記憶部354,変曲点記憶部355,交点電圧記憶部356,オフセット電圧記憶部357,ベースライン電流値記憶部358,平均値・標準偏差記憶部360,CV値記憶部361,SLL記憶部362,ESLL記憶部363,HUL記憶部364,MSL記憶部365,SLR記憶部366,絶対値対数記憶部367,HLL記憶部368及び分類結果記憶部369が接続されている。
波形判定用電圧範囲記憶部351は、電流波形判定モジュール302が、SNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553を介して測定される電流(検出信号)のベースラインの傾きを計算する範囲としての「範囲下限電圧VLo」と「範囲上限電圧VHi(VLo < VHi)」を記憶する。傾き許容範囲記憶部352は、電流波形判定モジュール302が、検出信号のベースラインの傾きの許容範囲を規定するパラメータとしての「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」を記憶する。
ピーク探索電圧値範囲記憶部353は、予め決定されたピーク探索電圧値範囲[V1,V2]を設定パラメータとして格納しておき、電圧値算出部311がピーク探索電圧値範囲[V1,V2]を読み出し可能にしている。電気化学的電流の電流−電圧特性が示す電流ピークは、測定条件を固定すればほぼ一定の電圧範囲に現れるので、ピーク探索電圧値範囲[V1,V2]を設定パラメータとして決めておくのである。ゼロクロス値記憶部354は、電圧値算出部311が算出した「ゼロクロス値(ゼロクロス電圧値Vpk1,ゼロクロス電流値Ipk1)」を、図4に示した基板714上の、すべての電極ユニット761毎に整理して格納する。
変曲点記憶部355は、ベースライン近似部312の演算に必要な変曲点電圧Vifpを記憶する。「変曲点電圧Vifp」は、図21に示すように、電流ピークを与えるゼロクロス電圧値Vpk1から電圧を負の方向に遡って(電圧を減少させて)微分値が最小となる電圧である。交点電圧記憶部356は、交点電圧Vcrsを記憶する。「交点電圧Vcrs」とは、図22に示すように、電気化学的電流の電流−電圧特性曲線とこの電流−電圧特性曲線の接線との交点が与える電圧である。オフセット電圧記憶部357は、図22のように、交点電圧Vcrsを起点として、設定パラメータとして規定されるオフセット値だけ電圧を負の方向に遡った(電圧を減少させた)オフセット電圧Vofsを記憶する。
ベースライン電流値記憶部358は、ピーク電流値演算部313の演算に必要なバックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgを記憶する。「バックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibg」とは、図22に示すように、ベースライン近似部312が算出したベースラインの近似一次式に、電圧値算出部311が算出したゼロクロス電圧値Vpk1を代入して得られる電流値である。
平均値・標準偏差記憶部360は、異常データ除外モジュール320、有無判定モジュール330、及び型判定モジュール340が、それぞれ算出した算出したSNP1検出用電極551の電流の平均値X1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流の平均値Xnc1,SNP2検出用電極552の電流の平均値X2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流の平均値Xnc2、SNP1検出用電極551からのピーク電流値の標準偏差σ1、対応するコントロール電極553からのピーク電流値の標準偏差σnc、σnc1又はσcmp1、SNP2検出用電極552からのピーク電流値の標準偏差σ2、対応するコントロール電極553からのピーク電流値の標準偏差σnc、σnc2又はσcmp2、更には、平均値の差(X1−Xnc),(X1−Xnc1),(X2−Xnc2)、標準偏差の和(σ1+σnc),(σ1+σnc1)(σ1+σcmp1),(σ2+σcmp2)、平均値の差と標準偏差の和の比(X1−Xnc)/(σ1+σnc)等を記憶する。これらの平均値X1,Xnc1,X2,Xnc2や標準偏差σ1,σnc,σnc1,σcmp1,σ2,σnc2,σcmp2等は、異常データ除外モジュール320、有無判定モジュール330、及び型判定モジュール340の演算の要請に応じて随時読み出される。
CV値記憶部361は、異常データ除外モジュール320が演算した種々のCV値CV(0),CV(1),CV(2)及び、異常データ除外モジュール320の演算に必要な基準CV値CV(%)やCV値補正係数dCV/CV等を記憶する。「CV(変動係数)値」とは、対象とする一群のデータの標準偏差を対応する平均値で除した値を100倍して百分率表示したものである。分散や変動は標本の単位を持っているので、2つの標本群に対するバラツキの程度を比較できないので、それぞれの平均値で割って無名数としたものである。SLL記憶部362は、有無判定モジュール330の演算に必要な信号増加量判定基準SLL(+/−)、型判定モジュール340の演算に必要な信号増加量判定基準SLL(M)を記憶している。信号増加量判定基準SLL(Signal Lower Limit)は、コントロール電極553に対する信号増加量の判定アルゴリズムの選択基準(判定基準)を与える設定パラメータである。図31に判定に関する基準となる種々の設定パラメータを示す概念イメージを示した。縦軸は、SNP1検出用電極551の電流の平均値X1とSNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流の平均値Xnc1の差(X1−Xnc1)であり、SNP1検出用電極551側の信号増加量を示す。横軸は、SNP2検出用電極552の電流の平均値X2とSNP2検出用電極552に対応するコントロール電極(NC2)553の電流の平均値Xnc2の差(X2−Xnc2)であり、SNP2検出用電極552側の信号増加量を示す。信号増加量判定基準SLLは、比較的原点に近い領域で互いに直交する2本の線として示されている。ESLL記憶部363は、有無判定モジュール330及び型判定モジュール340の演算に必要な実効変動係数ESLLを記憶している。実効変動係数ESLL(Effective Signal Lower Limit)は、信号増加量が標準偏差σに対して何倍あるかの判定の下限を与える設定パラメータである。
HUL記憶部364は、型判定モジュール340の演算に必要な対数信号比判定基準HULを記憶している。対数信号比判定基準HUL(Hetero Type Upper Limit)は、ヘテロ型の場合の信号比の判定の上限を与える設定パラメータであり、理想的にはabs((X1−Xnc1)/(X2−Xnc2))=1、即ちLog10(1)=0である。図31に示した判定基準となる種々の設定パラメータを示す概念イメージにおいては、原点を通る対角線が理想的なヘテロ型の場合であり、この対角線の両側の領域を確定する線として2本の対数信号比判定基準HULが示されている。MSL記憶部365は、有無判定モジュール330及び型判定モジュール340の演算に必要な設定パラメータMSLを記憶している。設定パラメータMSL(Minimum Signal Level)は、電流信号増加量がない場合(もしくは、データが欠如した場合)の判定に用いられる最低信号量であり、装置(ハードウェア)不具合かどうかを判定するための電流値の基準値である。設定パラメータMSLは、図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に破線で示したように、比較的小さな値、例えば0〜100nA程度の範囲の電流値に設定しておく。設定パラメータMSLは、予め定めておき、MSL記憶部365に格納しておく。SLR記憶部366は、型判定モジュール340の演算に必要な有意判定基準倍率SLRを記憶している。有意判定基準倍率SLR(Signal Lower Ratio)は、一方のタイプの電流信号増加量が小さい場合の有意判定の下限を与える設定パラメータである。図31に示した判定基準となる種々の設定パラメータを示す概念イメージにおいて、有意判定基準倍率SLRは概念的に原点の近傍の小さな矩形を定義する互いに直交する2本の線分として示されている。
絶対値対数記憶部367は、型判定モジュール340の演算に必要なSNP1検出用電極551側の平均値の差の、SNP2検出用電極552側の平均値の差に対する比の絶対値のLog10であるR値を記憶する。HLL記憶部368は、型判定モジュール340の演算に必要な対数信号比判定基準(+HLL,−HLL)を記憶している。対数信号比判定基準HLL(Homo Type Lower Limit)はホモ型の場合の信号比の判定の下限を与える設定パラメータである。図31に示した判定基準となる種々の設定パラメータを示す概念イメージにおいて、対数信号比判定基準HLLは理想的なホモ型に対応する横軸及び縦軸の近傍の領域を定義する原点から延びる2本の斜線として示されている。
分類結果記憶部369は、有無判定モジュール330及び型判定モジュール340が分類した種々の分類結果を記憶している。
図示を省略しているが、CPU300には、バス303を介してとインタフェースが接続され、このインタフェースを介してローカルバス(図示省略)を通じて図7に示す制御機構15との間でデータの送受信を行うことができる。
図8において、入力装置304はキーボード、マウス、ライトペン又はフレキシブルディスク装置などで構成される。入力装置304より塩基配列判定実行者は、入出力データを指定したり、設定パラメータや許容誤差の値及び誤差の程度を設定できる。更に、入力装置304より出力データの形態等を設定することも可能で、又、演算の実行や中止等の指示の入力も可能である。又、出力装置305及び表示装置306は、例えば、それぞれプリンタ装置及びディスプレイ装置等により構成されることが可能である。表示装置306は入出力データや判定結果や判定パラメータ等を表示する。データ記憶部(図示省略)は入出力データや判定パラメータ及びその履歴や演算途中のデータ等を記憶する。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る塩基配列システムによれば、核酸の存在の有無判定、SNPのホモ・ヘテロの型判定を、高い精度で、実態に即してできる。
(塩基配列判定方法)
図14に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定方法を説明する。なお、以下に述べる塩基配列判定方法は、一例であり、この変形例を含めて、これ以外の種々の塩基配列判定方法により、実現可能であることは勿論であるが、いずれにせよ、図3に示すようなプローブDNA571,572,573が固定化されたチップカートリッジ11にサンプルDNA581,582,583を含む薬液(試料)を注入してハイブリダイゼーション反応などを生じさせ、バッファによる洗浄、挿入剤の導入による電気化学反応を経て測定系12を用いて図13に示すような電気化学的電流の電流−電圧特性を求めることが基礎となる。電気化学的電流の電流−電圧特性から、各プローブDNA571,572,573のハイブリダイゼーション反応に定量的に対応するピーク電流値を算出する。そして算出されたピーク電流値を統計的にデータ処理し、これにより核酸の存在の有無を判定し、或いは核酸の一塩基多型の型判定をする。
図14に示すフローチャートの説明の前に、先ず、図9〜図11を用いて、プローブDNAとサンプルDNAとのハイブリダイゼーションについて説明する。ハイブリダイゼーション工程は、図4及び図5に示したチップカートリッジ11を用いれば良い。
図9では、サンプルDNA581が塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="G"のサンプルDNA)である場合を示す。図9(a)に示すように、塩基配列GACTC・・・・・を有するプローブDNA571が固定化された作用極(SNP1検出用電極)551は、塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="G"のサンプルDNA)581と配列が完全にマッチングしているので2本鎖を形成する。しかし、1塩基でも配列が異なると2本鎖を形成しないので、図9(b)に示すように、塩基配列GAATC・・・・・を有するプローブDNA572が固定化された作用極(SNP2検出用電極)552は、標的塩基配列(SNP="G"のサンプルDNA)581とは、2本鎖を形成できない。又、完全に配列が異なれば、当然に2本鎖を形成できないので、図9(c)に示すように、塩基配列CAGTG・・・・・を有するプローブDNA(ネガティブコントロールDNA)573が固定化された作用極(コントロール電極)553は、標的塩基配列(SNP="G"のサンプルDNA)581とは、2本鎖を形成できない。
図10では、サンプルDNA582が塩基配列CTTAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="T"のサンプルDNA)である場合を示す。同様に、チップカートリッジ11によるハイブリダイゼーション工程により、図10(b)に示すように、塩基配列GAATC・・・・・を有するプローブDNA572が固定化された作用極(SNP2検出用電極)552は、塩基配列CTTAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="T"のサンプルDNA)582と配列が完全にマッチングしているので2本鎖を形成する。しかし、1塩基でも配列が異なると2本鎖を形成しないので、図10(a)に示すように、塩基配列GACTC・・・・・を有するプローブDNA571が固定化された作用極(SNP1検出用電極)551は、標的塩基配列(SNP="T"のサンプルDNA)582とは、2本鎖を形成できない。又、完全に配列が異なれば、当然に2本鎖を形成できないので、図10(c)に示すように、塩基配列CAGTG・・・・・を有するプローブDNA(ネガティブコントロールDNA)573が固定化された作用極(コントロール電極)553は、標的塩基配列(SNP="T"のサンプルDNA)582とは、2本鎖を形成できない。
図11では、サンプルDNA583が塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="G"のサンプルDNA)と塩基配列CTTAG・・・・・を有する標的塩基配列(SNP="T"のサンプルDNA)とのヘテロタイプである場合を示す。同様に、チップカートリッジ11によるハイブリダイゼーション工程により、図11(a)に示すように、塩基配列GACTC・・・・・を有するプローブDNA571が固定化された作用極(SNP1検出用電極)551は、塩基配列CTGAG・・・・・と塩基配列CTTAG・・・・・との両方を有するG/Tヘテロの標的塩基配列(SNP="G/T"ヘテロのサンプルDNA)583と配列が完全にマッチングしているので2本鎖を形成する。又、図11(b)に示すように、塩基配列GAATC・・・・・を有するプローブDNA572が固定化された作用極(SNP2検出用電極)552は、塩基配列CTTAG・・・・・を有するG/Tヘテロの標的塩基配列(SNP="G/T"ヘテロのサンプルDNA)583と配列が完全にマッチングしているので2本鎖を形成する。しかし、完全に配列が異なれば、当然に2本鎖を形成できないので、図11(c)に示すように、塩基配列CAGTG・・・・・を有するプローブDNA(ネガティブコントロールDNA)573が固定化された作用極(コントロール電極)553は、G/Tヘテロの標的塩基配列(SNP="G/T"ヘテロのサンプルDNA)583とは、2本鎖を形成できない。
図4及び図5に示した構成とは異なる場合、即ち基板(チップ)上に平面状のパッキンを搭載し、カセット(チップカートリッジ)内に流路を形成する構成をとる場合には、カセット(検出チップ)21内の流路が長くなり、不必要な試薬量が多くなる。又、カセット(検出チップ)21に薬液(試料)を注入する場合には、流路が基板上のみならずカセット(検出チップ)21内にも長く存在するため、基板以外の不要な部分に薬液(試料)が流れ込み、無駄となってしまう。又、パッキンに対するカセット(検出チップ)21の密着性が難しく、パッキンとカセット(検出チップ)21との間でリークが生じてしまい、送液の不具合が発生することが多い。本実施の形態のような構成により、不必要な試薬量が少なくなり、又パッキン、基板及びカセット(検出チップ)21の密着性が高くなり、送液の安定性が増す。
図12は、前述の図9と同様に、塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(サンプルDNA)581を用いて、ハイブリダイゼーションした各作用極551,552,553に、挿入剤591を導入した状態を示す。図12(a)に示すように、塩基配列GACTC・・・・・を有するプローブDNA571が固定化された作用極(SNP1検出用電極)551は、塩基配列CTGAG・・・・・を有する標的塩基配列(サンプルDNA)581と配列が完全にマッチングし、2本鎖を形成しているので、2本鎖DNAに挿入剤591が結合する。しかし、図12(b)に示すように、塩基配列GAATC・・・・・を有するプローブDNA572が固定化された作用極(SNP2検出用電極)552は、標的塩基配列(サンプルDNA)581とは、2本鎖を形成形成できないので、挿入剤591が結合できない。又、図12(c)に示すように、塩基配列CAGTG・・・・・を有するプローブDNA(ネガティブコントロールDNA)573が固定化された作用極(コントロール電極)553には、標的塩基配列(サンプルDNA)581とは、2本鎖を形成できないので、挿入剤591が結合できない。
図13は、各作用極551,552,553上に固定化されたプローブDNA571,572,573にハイブリダイゼーションした2本鎖DNAに結合した挿入剤591からの電気化学的電流、又は2本鎖DNAに挿入剤591が結合できなかった場合の電流と電圧との関係を示す図である。図13の曲線(a)は、図12(a)に対応する。即ち、曲線(a)は、プローブDNA571と標的塩基配列(サンプルDNA)581と配列が完全にマッチングし、2本鎖を形成し、この2本鎖DNAに挿入剤591が結合した場合の電気化学的電流の電流−電圧特性であり、大きな電流値のピークを示す。しかし、図13の曲線(b)は、図12(b)に対応し、プローブDNA572と標的塩基配列(サンプルDNA)581とが2本鎖を形成形成できず、挿入剤591が結合できない場合の電流−電圧特性であり、曲線(a)に比して小さな電流値のピークを示す。又、図13の曲線(c)は、図12(c)に対応し、ネガティブコントロールDNA573と標的塩基配列(サンプルDNA)581とが2本鎖を形成できず、挿入剤591が結合できない場合の電流−電圧特性であり、曲線(b)に比して、更に小さな電流値のピークを示す。図13(b)、(c)で見られる小さな電流値ピークは、図12(b)、(c)で示したように、電極552、553表面にわずかに吸着した挿入剤591起因の電流である。
前置きが長くなったが、図14に示すフローチャートを用いて、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定方法を説明する:
(イ)先ず、チップカートリッジ11にサンプルDNAを含む薬液(試料)を注入してハイブリダイゼーション反応などを生じさせ、挿入剤の導入による電気化学反応による電流−電圧特性を測定系12を用いて、各電極毎に測定する。図4に基板714上に多数の電極ユニット761を模式的に示したが、この多数の電極ユニット761に対応して、プローブDNA571,572,573がそれぞれ固定化されるSNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553は、等価な電極として多数存在し、それに対応して多数のデータが取得される。ステップS101において、ノイズ除去モジュール301が、プローブDNA571,572,573が固定化された各電極毎に、測定された一群のデータのそれぞれを、平準化(スムージング)により、ノイズを除去する。スムージングは、既に説明したように、図15に示すような、単純移動平均法を用いれば良い。
(ロ)次に、ステップS102において、電流波形判定モジュール302が、各電極毎に測定された電流波形(電流−電圧特性)のベースラインの傾きをそれぞれ求め、それぞれのベースラインの傾きにより、それぞれの検出信号(電流波形)の正常・異常を判定し、異常な検出信号を演算対象外とする。ステップS102における電流波形判定モジュール302の処理の詳細は、図16のフローチャートを用いて後述する。
(ハ)次に、ステップS103において、ピーク電流検出モジュール310が、各電極毎に測定された検出信号のピーク値(ピーク電流値)をそれぞれ検出する。ステップS103におけるピーク電流検出モジュール310の処理の詳細は、図18及び図19のフローチャートを用いて後述するが、ステップS103における処理で、図12に示したような挿入剤591からの電気化学的電流から、これ以外のバックグラウンド電流を差し引いて、真の検出信号のピーク値(ピーク電流値)が、等価な各電極毎に、それぞれ一群のデータとして求められる。
(ニ)ステップS103でのバックグラウンド電流成分の除去後、一群のデータのそれぞれに、ステップS104における信号処理がなされる。即ち、ステップS104において、異常データ除外モジュール320が、それぞれの一群のデータから異常データを除外する。ステップS104における異常データ除外モジュール320の処理の詳細は、図26のフローチャートを用いて後述する。
(ホ)次に、ステップS105において、有無判定モジュール330が、核酸の存在の有無を判定、又は型判定モジュール340が、核酸の一塩基多型(SNP)の型判定を行う。ステップS105における有無判定モジュール330及び型判定モジュール340のそれぞれ処理の詳細は、図27〜図30のフローチャートを用いて後述する。
図14に示すフローチャートに示す本発明の実施の形態に係る塩基配列判定方法によれば、チップカートリッジ11や測定系12に異常があった場合や、データにばらつきがあった場合等でも、それらの異常なデータを除外して、正確にある核酸が存在するかどうか、SNPの型が、どの型であるか、又、それがホモ型であるか、ヘテロ型であるか、を判断できる。以下具体的に、図14に示すフローチャートの各ステップを説明する。
[ステップS102:電流波形の正常・異常の判定]
図1の測定系12が測定したチップカートリッジ11における電気化学的電流の信号(電流波形)は、特徴的に、図17に示したような電流−電圧特性の波形をとる。電気信号を発生する物質(挿入剤)に特有の電圧において、図17に示したようなピーク形状を有する電流−電圧特性の波形を持っている。図17では、データ1とデータ2の2種類の電流−電圧特性を示しているが、データ1の電流−電圧特性が示すベースラインの傾きに比して、データ2の電流−電圧特性が示すベースラインの傾きの方が大きく、データ2の電流−電圧特性では、ピーク形状が不明確で肩(ショールダー)的な変化を示している。
理想的には、電気化学的電流の電流−電圧特性は、ピーク電流を発生する電圧以下ではほぼ「零」の電流値となる。ところが、基板714に何らかの不具合が生じた場合には、しばしば、データ2のように、ベースラインが傾いた電流−電圧特性となる。データ2のような場合には、ピーク電流値を正しく検出することができないため、図14のステップS102において、「異常」として排除する必要がある。
ステップS102における電流波形判定モジュール302の処理の詳細は、図16のフローチャートに示す通りであり:
(a)先ず、ステップS201において、各電極毎に測定された電流波形(電流−電圧特性)のベースラインの傾きを計算する範囲を抽出し、設定する。この範囲の抽出では、設定パラメータとして、範囲下限電圧VLoと範囲上限電圧VHi(VLo < VHi)を入力装置304を用いて設定し、波形判定用電圧範囲記憶部351に格納する。更に、ベースラインの傾きの許容範囲を規定するパラメータとして「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」を設定し、傾き許容範囲記憶部352に格納する。
(b)次に、ステップS202において、電流波形判定モジュール302は、波形判定用電圧範囲記憶部351に格納された範囲下限電圧VLo及び範囲上限電圧VHiとを読み出し、この設定範囲で、ベースラインの傾きの近似式を導出する。範囲下限電圧VLo及び範囲上限電圧VHiは、ベースラインの傾きを算出するための領域を規定するパラメータであり、範囲下限電圧VLoと範囲上限電圧VHiとの間の電圧値で、各電極毎に測定された電流−電圧特性の波形に対して最小二乗近似によって、直線(ベースライン)を近似する。
(c)次に、ステップS203において、電流波形判定モジュール302は、各電極毎に測定された電流波形(電流−電圧特性)のそれぞれについて、読み出し下限電圧VLo及び範囲上限電圧VHiを、それぞれ開始点及び終了点とし、これらの開始点及び終了点を、ステップS202において導出した近似式に代入し、各電極毎に測定された電流波形(電流−電圧特性)のベースラインの傾き(b)を算出する。
(d)次に、ステップS204において、電流波形判定モジュール302は、傾き許容範囲記憶部352から、「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」を読み出し、ステップS203において、各電極毎に算出したベースラインの傾き(b)が、「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」の間に存在するか、それぞれ判定する。
(e)ステップS204において、特定の電極で測定された電流波形(電流−電圧特性)のベースラインの傾き(b)が、「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」の間に存在すれば、「正常波形」と判断して、図14のステップS103に進む。ステップS204において、特定の電極で測定された電流波形(電流−電圧特性)が、「傾き下限値(Coef Lo)」と「傾き上限値(Coef Hi)」の範囲外であると判断された場合には、その電極で測定された電流波形(電流−電圧特性)は、「異常波形」であると判断して、ステップS205において、電流波形判定モジュール302は、その電極で測定された電流波形(電流−電圧特性)に対し「エラー判定」を下し、表示装置306および出力装置305に出力させる。
図14に示したステップS103の工程は、図4に示した基板714上の、すべての電極ユニット761について実施される。
[ステップS103:ピーク電流値の検出]
ステップS103におけるピーク電流検出モジュール310の処理の詳細を、図18及び図19のフローチャートを用いて説明する。ステップS103において、測定系12が測定したそれぞれの電極ユニット761による電流−電圧特性の波形から、それぞれの正味のピーク電流値を検出する工程は、ステップS221〜S223における電流ピークを与える電圧値を算出する工程(図20参照。);ステップS224〜S228におけるベースラインを近似する工程(図21及び図22参照。);及びステップS229〜S230におけるピーク電流値を算出する工程(図23参照。)を、各電極ユニット761のそれぞれの電流−電圧特性に対して実行する手順からなる:
(a)チップカートリッジ11で測定された電気化学的電流の電流−電圧特性が示す電流ピークは、ほぼ一定の電圧範囲に現れる。このため、ステップS221においては、図8に示した入力装置304を用い、予め、ピーク探索電圧値範囲[V1,V2]を設定パラメータとしてピーク探索電圧値範囲記憶部353に格納しておく。即ち、図20に示すように、電気化学的電流のピーク電流探索は、下限値V1〜上限値V2の範囲で行う。先ず、ステップS222において、ピーク電流検出モジュール310の電圧値算出部311は、電気化学的電流の電流(i)−電圧(v)特性の波形を電圧値(v)に対して微分演算する。そして、ステップS223において、電圧値算出部311は、下限値V1〜上限値V2の範囲において、電気化学的電流の微分値(di/dv)が「ゼロクロス」する点の電圧値Vpk1と電流値Ipk1を算出する(図20参照。)。「ゼロクロス」する点とは、電気化学的電流の微分値(di/dv)が正値から負値に変化する点、又は負値から正値に変化する点であり、電流ピークを与える電圧値Vpk1及び電流値Ipk1に対応する。図20には、電圧値の増大に伴い、微分値(di/dv)が負値から正値に変化する点の電圧値Vpk1と電流値Ipk1が示されている。「ゼロクロス値」が奇数個ある場合には、電圧値Vpk1として、中央の値を、偶数個ある場合には、電圧値Vpk1として中心値に最も近い値を採用する。ステップS223において算出された「ゼロクロス値(ゼロクロス電圧値Vpk1,ゼロクロス電流値Ipk1)」は、ゼロクロス値記憶部354に、図4に示した基板714上の、すべての電極ユニット761毎に整理して、格納する。
(b)ステップS224において、ピーク電流検出モジュール310のベースライン近似部312は、電流ピークを与えるゼロクロス電圧値Vpk1から電圧を負の方向に遡って(電圧を減少させて)、図21に示すように、微分値が最小となる電圧を変曲点電圧Vifpとする。変曲点電圧Vifpは、変曲点記憶部355に格納する。そして、ベースライン近似部312は、ゼロクロス電圧値Vpk1と変曲点電圧Vifpをゼロクロス値記憶部354及び変曲点記憶部355からそれぞれ読み出し、ステップS225において、電流−電圧特性曲線への接線の起点を求めるための一次式:
y = ax+b ・・・・・(3)
を、ゼロクロス電圧値Vpk1と変曲点電圧Vifpの間で求める。例えば、ゼロクロス電圧値Vpk1と変曲点電圧Vifpの間における電流−電圧特性の波形データを、最小二乗法により式(3)のように直線近似する。図21に示す例では、一次式の係数a=-1.397×10-10、定数b=3.396×10-8と求められ、図22に示す例では、一次式の係数a=-2.899×10-11、定数b=4.504×10-9と求められる。更に、ベースライン近似部312はステップS226において、電流−電圧特性の波形と式(3)の近似直線との交点を与える交点電圧Vcrsを図22に示すように求め、この交点電圧Vcrsを交点電圧記憶部356に格納する。そして、ベースライン近似部312はステップS227において、交点電圧Vcrsを起点として、設定パラメータとして規定しているオフセット値だけ電圧を負の方向に遡った(電圧を減少させた)オフセット電圧Vofsを、図22のように求める。求められたオフセット電圧Vofsは、オフセット電圧記憶部357に格納する。更に、ベースライン近似部312は、オフセット電圧Vofsをオフセット電圧記憶部357から、交点電圧Vcrsを交点電圧記憶部356からそれぞれ読み出し、ステップS228において、オフセット電圧Vofsと交点電圧Vcrsの間の電流−電圧特性の波形データのバックグラウンドの接線(ベースライン)となる近似一次式を最小二乗法により、図23に示すように求める。この近似一次式は、式(3)と同様な形式で表現可能で、図23に示す直線近似では、一次式の係数a=-6.072×10-12、定数b=-5.902×10-9と求められる。
(c)この後、ピーク電流検出モジュール310のピーク電流値演算部313は、ゼロクロス電圧値Vpk1をゼロクロス値記憶部354から読み出す。そして、ステップS229において、ピーク電流値演算部313は、ステップS228で求めたベースラインの近似一次式に、ゼロクロス電圧値Vpk1を代入し、バックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgを求める。バックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgは、ベースライン電流値記憶部358に格納する。更に、ピーク電流値演算部313は、電流−電圧特性の波形のピークを示すゼロクロス電流値Ipk1を、ゼロクロス値記憶部354から読み出し、ステップS230において、ゼロクロス電流値Ipk1から、バックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgを、式(4)に示すように差し引く:
Ipk2 =abs(Ipk1−Ibg) ・・・・・(4)
式(4)を各電極ユニット761のそれぞれのSNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551,SNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552,コントロール電極553のそれぞれの電流−電圧特性に対して適用することにより、各電極ユニット761のそれぞれの電極551,552,553から、それぞれ真の電流値Ipk2が算出される。
[ステップS104:異常データの除外]
以上説明したように、図14のステップS103では、ピーク電流検出モジュール310が、測定系12が測定した各電極ユニット761によるそれぞれの電流−電圧特性のピークを示すゼロクロス電流値Ipk1から、バックグラウンド(ベースライン)の電流値Ibgを差し引いて、各電極ユニット761のそれぞれのSNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551,SNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552,コントロール電極553毎に、それぞれの正味の電流値Ipk2が、種々の判定モードで算出され、分類される。図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に示した集合的な棒グラフにより分類されるモードA〜Fは、そのような検出信号の代表例を示したものである。モードA〜Fを示すそれぞれの図において、左端の「コントロール」と示した電流値Ipk2は、複数のコントロール電極553によって測定された値であり、中央の「T」と示した電流値Ipk2は、複数のSNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552によって測定された値であり、右端の「G」と示した電流値Ipk2は、複数のSNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551によって測定された値である。
しかし、本発明の実施の形態に係る塩基配列判定方法において、直ちに、図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に示したモードA〜Fに分類できる訳ではない。例えば、複数の同等のSNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551の内1電極だけ、異常に大きい値、若しくは小さい値の場合、複数の同等のSNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552の内1電極だけ、異常に大きい値、若しくは小さい値を示す場合は、それら異常値を除外しないと、判定アルゴリズムに混乱を生じさせる。即ち、図4に示すように、基板714上に複数配列した同等の電極ユニット761から得られるピーク電流値Ipk2をそのまま、すべて用いて、図14のステップS105の処理、つまり、ある核酸が存在するかどうかの判定や、SNPの型が、2種の内のどちらであるか、又、それがホモ型であるか、ヘテロ型であるかを判定する場合に、問題が生じてしまう場合がある。
そこで、図14のステップS104では、ステップS105に進む前に、異常データ除外モジュール320が、図4に示す基板714上に複数配列される電極ユニット761によって定義されるすべての電極から得られる電流値Ipk2に対し、図26に示すフローチャートの手順をグループ単位で実施し、所定の基準で、異常値を排除する:
(a)ステップS301では、異常データ除外モジュール320は、グループで定義したすべて電極から得られる電流値Ipk2をデータとして採用する。グループ単位は、同等の電極毎に定義される。即ち、複数の電極ユニット761のそれぞれのSNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551,SNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552,コントロール電極553毎に、定義される。
(b)次に、最初のグループについて、異常データ除外モジュール320は、その最初のグループで定義されているすべて電極から得られる電流値Ipk2の標準偏差と平均値を計算する。そして、ステップS302において、最初のグループの標準偏差を最初のグループの平均値で除して、第1CV値CV(0)を求める。異常データ除外モジュール320はCV値記憶部361から設定パラメータとして規定した基準CV値CV(%)を読み出し、ステップS303において、第1CV値CV(0)と比較する。第1CV値CV(0)が基準CV値CV(%)よりも小さい場合には、そのグループの電流値Ipk2のすべてを正常値として、その後の判定アルゴリズム(図14のステップS105)に進み、他のグループについて同様に、ステップS302からステップS303の手順を、すべてのグループについて繰り返し、異常値を除外する。
(c)ステップS303において、もし、第1CV値CV(0)が基準CV値CV(%)を超えた場合には、第1CV値CV(0)をCV値記憶部361に格納した後、異常データ除外モジュール320はステップS304に進み、そのグループの一連のデータの最小値を除外して、再度そのグループで定義されている他のすべて電極から得られる電流値Ipk2の標準偏差と平均値を計算する。そして、ステップS304では、最小値を除外した標準偏差を最小値を除外した平均値で除して、第2CV値CV(1)を求め、ステップS305に進む。
(d)ステップS305では、異常データ除外モジュール320はCV値記憶部361から第1CV値CV(0)とCV値補正係数dCV/CVを読み出し、第1CV値CV(0)にCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値と第2CV値CV(1)との大小比較を行う:
(CV(0))*(dCV/CV)> CV(1) ・・・・・(4)
(e)ステップS305で、第1CV値CV(0)をCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値が、第2CV値CV(1)よりも小さくなったら、最小値の除外が適切でなかったので、ステップS321に進む。異常データ除外モジュール320はステップS321で、そのグループの一連のデータから除外した最小値をもとに戻し、今度は、そのグループの一連のデータの最大値を除外して、再度そのグループで定義されている他のすべて電極から得られる電流値Ipk2の標準偏差と平均値を計算する。そして、ステップS321では、最大値を除外した標準偏差を最大値を除外した平均値で除して、第3CV値CV(2)を求め、ステップS322に進む。
(f)ステップS322において、異常データ除外モジュール320はCV値記憶部361から第1CV値CV(0)とCV値補正係数dCV/CVを読み出し、第1CV値CV(0)をCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値と第3CV値CV(2)との大小比較を行う:
(CV(0))*(dCV/CV)> CV(2) ・・・・・(5)
(e)ステップS322で、第1CV値CV(0)をCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値が、第3CV値CV(2)よりも小さくなったら、除外した値が異常値であったと判断できるので、ステップS325に進み、ステップS321で除外した最大値を「演算対象外」とするエラーセットをし、以後の判定フロー(図14のステップS105)からは、この最大値を除外して判定することにする。
(f)ステップS322で、第1CV値CV(0)をCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値が、第3CV値CV(2)よりも小さくならなかった場合は、除外すべきデータが更に存在すると、判断できるので、ステップS323に進み、ステップS321で除外した最大値を除いたデータを新たなデータと定義し、ステップS324に進む。ステップS324では、ステップS321で除外した最大値を「演算対象外」とするエラーセットをし、ステップS302に戻り、以上の手順を繰り返す。
(g)同様に、ステップS305で、第1CV値CV(0)をCV値補正係数dCV/CVで補正した(乗した)値が、第2CV値CV(1)よりも小さくならなかった場合は、ステップS306に進み、ステップS304で除外した最小値を除いたデータを新たなデータと定義し、ステップS307に進む。ステップS324では、ステップS304で除外した最小値を「演算対象外」とするエラーセットをし、ステップS302に戻り、以上の手順を繰り返す。
以上のルーチンをすべてのグループについて繰り返すことにより、異常値を除外する。
異常データ除外モジュール320は、電極から得られる電流値Ipk2に対し演算対象外の際に「エラー判定」を下し、表示装置306および出力装置305に出力させる。これ以降のステップにおいては、すべて、真の電流値Ipk2に対する演算であるため、特に断らない限り、「真の電流値Ipk2」を単に「電流値」として記述することにする。
[2種類のアルゴリズムから選択]
図14のステップS105は、図27に示すように2種類のアルゴリズムを含む。このため、先ずステップS332において、ある核酸が存在するかどうかを判定するアルゴリズムのフローに進むのか、SNPの型が、2種の内のどちらであるか、又、それがG/Gホモ型であるか、G/Tヘテロ型であるか、又はT/Tホモ型であるかを判定するアルゴリズムのフローに進むのかを決定する。
[ステップS105その1:核酸の存在の有無判定]
図27のステップS332において、ある核酸が存在するかどうかを判定するアルゴリズムのフローに進むと決定された場合は、図28に示すフローチャートの手順で有無判定モジュール330が判断する。
図2において、SNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552,コントロール電極553、参照極561,562及び対極502が検出チップ上に配列された電極ユニットを示したが、ある核酸が存在するかどうかを判定するアルゴリズムの場合は、SNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552のいずれか一方で良い。即ち、図4に示す基板714上には、SNP1検出用電極551,SNP2検出用電極552のいずれか一方を検出用電極(作用極)として備える電極ユニット761が複数配列されている。ここでは、遺伝子型1を検出する検出用電極(作用極)が、図2に示したSNP1検出用電極551であると仮定して説明する。
(a)ステップS341では、有無判定モジュール330は、判定対象となる複数の検出用電極(作用極)551からの電流値の平均値(X1)と対応するコントロール電極553からの電流値の平均値(Xnc)を算出し、平均値・標準偏差記憶部360に格納する。
(b)更に、ステップS342において、有無判定モジュール330は、判定対象となる複数の検出用電極(作用極)551からの電流値の標準偏差(σ1)、それに対応するコントロール電極553からの電流値の標準偏差(σnc)を算出し、平均値・標準偏差記憶部360に格納する。
(c)次に、ステップS343において、装置(ハードウェア)不具合によるデータ異常がないかどうかを判定する。即ち、有無判定モジュール330は、MSL記憶部365から設定パラメータMSLを読み出す。設定パラメータMSLは、図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に破線で示したように、比較的小さな値、例えば0〜100nA程度の範囲の電流値に設定しておく。設定パラメータMSLは、予め定めておき、MSL記憶部365に格納しておく。そして、ステップS343では、有無判定モジュール330が、判定対象となる複数の検出用電極551の電流の平均値X1,それに対応するコントロール電極553の電流の平均値Xncを、平均値・標準偏差記憶部360から順に読み出し、それぞれ、設定パラメータMSLよりも大きいか否かを確認する。ステップS343で、もし、判定対象となる複数の検出用電極551の電流の平均値X1,それに対応するコントロール電極553の電流の平均値Xncの内、1つでも設定パラメータMSL以下であれば、装置(ハードウェア)不具合による測定異常が考えられるため、型判定は行わず、図30に示すように、ステップS435で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「未定(ハードウェア・エラー)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。図25(f)には、モードFとして、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551の電流の平均値X1が、設定パラメータMSLより小さくなる場合に相当する電流値Ipk2の分布を示したが、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551を判定対象となる複数の検出用電極551と読み替えて見ればよい。
(d)ステップS343で、判定対象となる複数の検出用電極551の電流の平均値X1,それに対応するコントロール電極553の電流の平均値Xncのいずれもが、設定パラメータMSL以下でなければステップS344に進む。そして、有無判定モジュール330は、検出用電極(作用極)551からの電流値の標準偏差(σ1)と対応するコントロール電極553からの電流値の標準偏差(σnc)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、検出用電極(作用極)551からの電流値の標準偏差(σ1)とコントロール電極553からの電流値の標準偏差(σnc)の和(σ1+σnc)を求め、ステップS344において、標準偏差の和(σ1+σnc)が「零」でないか否かを確認する。標準偏差の和(σ1+σnc)が「零」の場合には、次のステップS345の演算を行うことが出来ないため、ステップS351において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に、対象とする核酸は「自動判定不能」である旨を表示する。ステップS341において、標準偏差の和(σ1+σnc)が「零」でなければ、平均値の差(X1−Xnc)と標準偏差の和(σ1+σnc)を平均値・標準偏差記憶部360に格納し、ステップS345に進む。
(e)ステップS345では、有無判定モジュール330は、検出用電極(作用極)551からの電流値の平均値(X1)と対応するコントロール電極553からの電流値の平均値(Xnc)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、検出用電極(作用極)551からの電流値の平均値(X1)とコントロール電極553からの電流値の平均値(Xnc)との差(X1−Xnc)を求める。更に、有無判定モジュール330は、ステップS345で、標準偏差の和(σ1+σnc)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、平均値の差(X1−Xnc)の標準偏差の和(σ1+σnc)対する比(X1−Xnc)/(σ1+σnc)を求める。そして、この平均値の差と標準偏差の和の比Y1:
Y1=(X1−Xnc)/(σ1+σnc) ・・・・・(6)
を平均値・標準偏差記憶部360に格納して、ステップS346に進む。
(f)ステップS346では、有無判定モジュール330は、平均値の差(X1−Xnc)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、信号増加量判定基準SLL(+/−)をSLL記憶部362から読み出す。そして、ステップS346において、平均値の差(X1−Xnc)と、信号増加量判定基準SLL(+/−)との大小関係を比較する。ステップS346で信号増加量判定基準SLL(+/−)以下と判断された場合には、検出用電極(作用極)551からは対象とする核酸の電気化学的電流の電流値が観測されなかったと判断し、ステップS350において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「−(無し)」の判定を表示する。一方、ステップS346において、信号増加量判定基準SLL(+/−)よりも大きい場合には、ステップS347に進む。
(g)ステップS347では、有無判定モジュール330は、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xnc)/(σ1+σnc)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、実効変動係数ESLLをESLL記憶部363から読み出す。そして、ステップS347において、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xnc)/(σ1+σnc)と、実効変動係数ESLLとの大小関係を比較する。ステップS347で実効変動係数ESLLより小さいと判断された場合には、対象とする核酸の存在は「不明瞭」と判断し、ステップS349において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「不明瞭」の判定を表示する。一方、ステップS347において、実効変動係数ESLL以上の場合には、対象とする核酸が「明らかに」存在すると判断し、ステップS348において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「+(OK)」の表示をする。ステップS346において、平均値の差(X1−Xnc)が信号増加量判定基準SLL(+/−)よりも大きい場合には、「+(OK)」の判定が推定されるが、直ちに「+(OK)」と表示せず、ステップS347において、電流データにバラツキがあるか否かを判断する訳である。
[ステップS105その2:SNPの型判定]
図27のステップS332において、SNPの型が、SNP="G",SNP="T"の2種の内のどちらであるか、又、それがG/Gホモ型であるか、G/Tヘテロ型であるか、又はT/Tホモ型であるかを判定するアルゴリズムのフローに進むと決定された場合は、図29及び図30に示すフローチャートの手順で型判定モジュール340が判断する。
図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に示したモードA〜Fは、図29及び図30に示すフローチャートの手順で型判定モジュール340が判断する検出信号の代表例(モード)を分類したものである。図24(a)に示したモードAは、標準的な検出モードであるが、図24(b)に示したモードBは、SNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552からの信号が小さすぎて、意図的な信号の増加量が見込めないサンプルを示す検出モードである。一方、図24(c)に示したモードCは、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551からの信号が小さすぎて、意図的な信号の増加量が見込めないサンプルを示す検出モードである。
又、図25(d)に示したモードDは、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551からの信号及びSNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552からの信号が共に小さすぎて判定できず、異常データとして排除される検出モードである。更に、図25(e)に示したモードEは、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551からの信号及びSNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552からの信号が、モードDよりも更に小さく、バイオレベルでの判定ができず、異常データとして排除される検出モードである。更に、図25(f)に示したモードFは、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551からの信号が異常に小さく、逆にSNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552からの信号が異常に大きく、ハードウェアレベルの問題が推定され、異常データとして排除される検出モードである。
型判定モジュール340は、図29及び図30に示すフローチャートの手順で、図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に示したモードA〜F等のように分類しながら、例えば、あるSNP位置の塩基が、G/Gホモ型であるか、G/Tヘテロ型であるか、又はT/Tホモ型であるかを判定する。
(a)先ず、型判定モジュール340は、ステップS361では、標的数が2個であるか否かを判定する。SNP="G",SNP="T"の2種を判定しようとしているのであるから、標的数が0個,1個、3個等では、そもそも初期設定が間違っているので、図30に示すように、ステップS436で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「設定エラー」の表示をさせる。
(b)ステップS361では、標的数が2個であると判定された場合、型判定モジュール340は、ステップS362に進む。ステップS362では、型判定モジュール340は、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551の電流値の平均値X1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1,SNP2検出用電極(SNP="T"検出用電極)552の電流値の平均値X2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の平均値Xnc2を算出する。
図2では、SNP1検出用電極551とSNP2検出用電極に対応する共通のコントロール電極553を示したが、SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)とSNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)とを別個に設けても構わない。算出したSNP1検出用電極551の電流値の平均値X1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1,SNP2検出用電極552の電流値の平均値X2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の平均値Xnc2は、平均値・標準偏差記憶部360に格納する。
(c)ステップS363では、型判定モジュール340は、SNP1検出用電極551の電流値の標準偏差σ1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の標準偏差σnc1,SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差σ2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の標準偏差σnc2を算出する。算出したSNP1検出用電極551の電流値の標準偏差σ1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の標準偏差σnc1,SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差σ2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の標準偏差σnc2は、平均値・標準偏差記憶部360に格納する。
(d)次に、型判定モジュール340は、MSL記憶部365から設定パラメータMSLを読み出す。設定パラメータMSLは、図24(a)〜(c)及び図25(d)〜(f)に破線で示したように、比較的小さな値、例えば0〜100nA程度の範囲の電流値に設定しておく。設定パラメータMSLは、予め定めておき、MSL記憶部365に格納しておく。そして、ステップS364では、型判定モジュール340が、SNP1検出用電極551の電流値の平均値X1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1,SNP2検出用電極552の電値流の平均値X2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の平均値Xnc2を、平均値・標準偏差記憶部360から順に読み出し、それぞれ、設定パラメータMSLよりも大きいか否かを確認する。ステップS364で、もし、SNP1検出用電極551の電流値の平均値X1,SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1,SNP2検出用電極552の電流値の平均値X2,SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流値の平均値Xnc2の内、1つでも設定パラメータMSL以下であれば、装置(ハードウェア)不具合による測定異常が考えられるため、型判定は行わず、図30に示すように、ステップS435で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「未定(ハードウェア・エラー)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。図25(f)には、モードFとして、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551の電流値の平均値X1が、設定パラメータMSLより小さくなる場合に相当する電流値Ipk2の分布を示した。
(e)次に、型判定モジュール340は、SLL記憶部362から信号増加量判定基準SLL(M)を読み出す。SLL(M)は、コントロール電極553に対する信号増加量の判定アルゴリズムの選択基準を与える設定パラメータである。そして、型判定モジュール340は、ステップS365で、SNP1検出用電極551の電流値の平均値X1と対応するコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP1検出用電極551の電流値の平均値X1とコントロール電極(NC1)553の電流値の平均値Xnc1との差(X1−Xnc1)を求め、信号増加量判定基準SLL(M)との大小関係を比較し、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)を平均値・標準偏差記憶部360に格納する。更に、型判定モジュール340は、ステップS365で、SNP2検出用電極552の電流値の平均値X2と対応するコントロール電極(NC2)553の電流値の平均値Xnc2を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP2検出用電極552の電流値の平均値X2とコントロール電極(NC2)553の電流値の平均値Xnc2との差(X2−Xnc2)を求め、信号増加量判定基準SLL(M)との大小関係を比較し、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)を平均値・標準偏差記憶部360に格納する。ステップS365において、SNP1検出用電極551側の平均値の差(信号増加量)(X1−Xnc1)及びSNP2検出用電極552側の平均値の差(信号増加量)(X2−Xnc2)が、共にSLL(M)よりも小さい場合には、チップ若しくは試料(バイオサンプル)に異常があった可能性があり、図30に示すように、ステップS434で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「未定(サンプル・エラー)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。図25(e)には、モードEとして、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)及びSNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)が、共にSLL(M)よりも小さくなる場合に相当する電流値Ipk2の分布を示した。ステップS365において、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)及びSNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)の少なくとも一方が、SLL(M)よりも大きい場合には、ステップS366に進む。
(f)型判定モジュール340は、ステップS366で、SLL記憶部362から信号増加量判定基準SLL(M)を、平均値・標準偏差記憶部360からSNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)を読み出し、平均値の差(X2−Xnc2)と信号増加量判定基準SLL(M)との大小関係を比較する。SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)が信号増加量判定基準SLL(M)より小さな場合、これは、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)だけがSLL(M)より大きいということであり、SNP1塩基(G)のホモ型となる候補となるので、ステップS371に進む。ステップS366で、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)が信号増加量判定基準SLL(M)より大きな場合は、ステップS367に進む。
(g)型判定モジュール340は、ステップS367で、平均値・標準偏差記憶部360からSNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)を読み出し、平均値の差(X1−Xnc1)と信号増加量判定基準SLL(M)との大小関係を比較する。SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)が信号増加量判定基準SLL(M)より小さな場合、これは、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)だけがSLL(M)より大きいということであり、SNP2塩基(T)のホモ型となる候補となるので、ステップS373に進む。ステップS367で、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)が信号増加量判定基準SLL(M)より大きな場合は、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)とSNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)がともに、信号増加量判定基準SLL(M)より大きいということであり、ステップS368に進み、ホモ/ヘテロ判定に移ることになる。
(h)型判定モジュール340は、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、ステップS368で、NP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)の、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)に対する比(X1−Xnc1)/(X2−Xnc2)を求める。更に、ステップS368で、この比(X1−Xnc1)/(X2−Xnc2)の絶対値のLog10であるR値を算出する:
R=Log10(abs((X1−Xnc1)/(X2−Xnc2))) ・・・・・(7)
そして、算出したR値を、絶対値対数記憶部367に格納し、ステップS368に進む。
(i)型判定モジュール340は、ステップS369で、SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流の平均値Xnc1をXcmp1と定義し、平均値・標準偏差記憶部360に格納する。更に、SNP1検出用電極551に対応するコントロール電極(NC1)553の電流の標準偏差σnc1をσcmp1と、SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流の平均値Xnc2をXcmp2と、SNP2検出用電極552に対応するコントロール(NC2)電極553の電流の標準偏差σnc2をσcmp2と定義し、それぞれ平均値・標準偏差記憶部360に格納し、ステップS401に進む。型判定モジュール340は、HLL記憶部368から対数信号比判定基準(+HLL)を読み出し、ステップS401で、R値と対数信号比判定基準(+HLL)の大小関係を比較する。ステップS401で、R値が対数信号比判定基準(+HLL)以上である場合(図31で縦軸に近いHLLとラベルされた斜線と縦軸との間の内側と判断されれば)は、SNP1塩基(G)のホモ型が推定され、ステップS402に進む。ステップS401で、R値が対数信号比判定基準(+HLL)より小さい場合は、ステップS411に進む。ステップS411では、R値と対数信号比判定基準(−HLL)の大小関係を比較する。ステップS411で、R値が対数信号比判定基準(−HLL)以下と判断されれば(図31で横軸に近いHLLとラベルされた斜線と横軸との間の内側と判断されれば)、SNP2塩基(T)のホモ型が推定され、ステップS412に進む。ステップS411で、R値が対数信号比判定基準(−HLL)より大、即ち、R値が対数信号比判定基準(−HLL)と(+HLL)の間と判断されれば、SNP1/SNP2即ち、G/Tのヘテロ型の候補となるので、ステップS421に進む。ステップS421では、HUL記憶部364から対数信号比判定基準HULを読み出し、R値の絶対値と対数信号比判定基準HULの大小関係を比較する。ステップS421で、R値の絶対値が対数信号比判定基準HUL以下と判断されれば(図31で2本のHULとラベルされた斜線の領域の内側と判断されれば)、SNP1/SNP2のヘテロ型が推定され、ステップS422に進む。ステップS421で、R値の絶対値が対数信号比判定基準HULより大と判断されれば(図31で2本のHULとラベルされた斜線の領域の外側と判断されれば)、図30に示すように、ステップS430で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「自動的には未定(ホモ又はヘテロ)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。
(j)ここで、ステップS371の説明に移る。既に述べたように、ステップS366で、SNP2検出用電極552側の平均値の差(X2−Xnc2)が信号増加量判定基準SLL(M)より小さな場合、SNP1塩基(G)のホモ型となる候補となるので、ステップS371に進む。型判定モジュール340は、ステップS371で、SNP2検出用電極552の電流の平均値X2をXcmp1と、SNP2検出用電極552の電流の標準偏差σ2をσcmp1と定義し、それぞれ平均値・標準偏差記憶部360に格納し、ステップS372に進む。ステップS372では、型判定モジュール340は、SLR記憶部366から有意判定基準倍率SLRを読み出す。型判定モジュール340は、更に、平均値・標準偏差記憶部360からSNP1検出用電極551の電流値の平均値X1,ステップS371で定めたXcmp1を読み出し、平均値X1と平均値Xcmp1の比(=倍率)X1/Xcmp1を求め、有意判定基準倍率SLRと比較する。ステップS372で平均値の比X1/Xcmp1が有意判定基準倍率SLR以下の場合には、SNP1検出用電極551の電流増加量が充分でないとして、図30に示すように、ステップS433で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「未定(小信号)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。図25(d)には、モードDとして、SNP1検出用電極(SNP="G"検出用電極)551の電流増加量が充分でない場合に相当する電流値Ipk2の分布を示した。ステップS372で平均値の比X1/Xcmp1が有意判定基準倍率SLRよりも大きい場合には、SNP1塩基(G)のホモ型が推定され、ステップS402に進む。なお、X1と比をとる相手の値であるが、ステップS372では、Xcmp1(=X2)としているが、Xnc1を比をとる相手とすることも意味がある。即ち、SNP1塩基(G)ホモ型候補の場合、X1/Xnc1をSLRと大小比較をしても良い。
(k)次に、ステップS373を説明する。既に述べたように、ステップS367で、SNP1検出用電極551側の平均値の差(X1−Xnc1)が信号増加量判定基準SLL(M)より小さな場合、SNP2塩基(T)のホモ型となる候補となるので、ステップS373に進む。ステップS373では、SNP1検出用電極551の電流値の平均値X1をXcmp2と定義し、SNP1検出用電極551の電流値の標準偏差σ1をσcmp2と定義し、それぞれ平均値・標準偏差記憶部360に格納し、ステップS374に進む。ステップS374では、型判定モジュール340は、SLR記憶部366から有意判定基準倍率SLRを読み出す。更に、型判定モジュール340は、平均値・標準偏差記憶部360からSNP2検出用電極552の電流値の平均値X2,ステップS371で定めたXcmp2を読み出し、平均値X2と平均値Xcmp2の比(=倍率)X2/Xcmp2を求め、有意判定基準倍率SLRと比較する。ステップS374で平均値の比X2/Xcmp2が有意判定基準倍率SLR以下の場合には、SNP2検出用電極552の電流増加量が充分でないとして、図30に示すように、ステップS433で、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「未定(小信号)」を表示させ、「判定不能」であることを示す。ステップS374で平均値の比X2/Xcmp2が有意判定基準倍率SLRよりも大きい場合には、SNP2塩基(T)のホモ型が推定され、ステップS412に進む。なお、X2と比をとる相手の値であるが、ステップS372では、Xcmp2(=X1)としているが、Xnc2を比をとる相手とすることも意味がある。即ち、SNP2塩基(T)ホモ型候補の場合、X2/Xnc2をSLRと大小比較をしても良い。
(l)ここで、ステップS402の説明に移る。型判定モジュール340は、ステップS402において、SNP1検出用電極551の電流値の標準偏差(σ1)とステップS369で定めた対応する比較対象電流値の標準偏差(σcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP1検出用電極551の電流値の標準偏差(σ1)と比較対象電流値の標準偏差(σcmp1)の和(σ1+σcmp1)を求める。更に、ステップS402において、標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」でないか否かを確認する。標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」の場合には、次のステップS403の演算を行うことが出来ないため、ステップS406において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に、「自動判定不能」である旨を表示する。ステップS402において、標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」でなければ、ステップS403に進む。
(m)ステップS403では、型判定モジュール340は、平均値の差(X1−Xcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、平均値の差(X1−Xcmp1)の標準偏差の和(σ1+σcmp1)対する比(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)を求める。そして、この平均値の差と標準偏差の和の比Y1:
Y1=(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1) ・・・・・(8)
を平均値・標準偏差記憶部360に格納して、ステップS404に進む。
(n)ステップS404では、型判定モジュール340は、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、実効変動係数ESLLをESLL記憶部363から読み出す。そして、ステップS404において、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)と、実効変動係数ESLLとの大小関係を比較する。ステップS404で実効変動係数ESLLよりも小さいと判断された場合には、SNP1塩基(G)のホモ型の存在は「不明瞭」と判断し、ステップS407において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"G/Gホモ"不明瞭」の判定を表示する。一方、ステップS404において、実効変動係数ESLL以上の場合には、SNP1塩基(G)のホモ型が「明らかに」存在すると判断し、ステップS405において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"G/Gホモ"OK」の表示をする。
(o)次に、ステップS412の説明に移る。型判定モジュール340は、ステップS412において、SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差(σ2)とステップS369で定めた対応する比較対象電流値の標準偏差(σcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差(σ2)と比較対象電流値の標準偏差(σcmp2)の和(σ2+σcmp2)を求める。更に、ステップS412において、標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」でないか否かを確認する。標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」の場合には、次のステップS413の演算を行うことが出来ないため、ステップS416において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に、「自動判定不能」である旨を表示する。ステップS412において、標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」でなければ、ステップS413に進む。
(p)ステップS413では、型判定モジュール340は、平均値の差(X2−Xcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、平均値の差(X2−Xcmp2)の標準偏差の和(σ2+σcmp2)対する比(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)を求める。そして、この平均値の差と標準偏差の和の比Y2:
Y2=(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2) ・・・・・(9)
を平均値・標準偏差記憶部360に格納して、ステップS414に進む。
(q)ステップS414では、型判定モジュール340は、平均値の差と標準偏差の和の比Y2=(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、実効変動係数ESLLをESLL記憶部363から読み出す。そして、ステップS414において、平均値の差と標準偏差の和の比Y2=(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)と、実効変動係数ESLLとの大小関係を比較する。ステップS414で実効変動係数ESLLより小さいと判断された場合には、SNP2塩基(T)のホモ型の存在は「不明瞭」と判断し、ステップS417において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"T/Tホモ"不明瞭」の判定を表示する。一方、ステップS414において、実効変動係数ESLL以上の場合には、SNP2塩基(T)のホモ型が「明らかに」存在すると判断し、ステップS415において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"T/Tホモ"OK」の表示をする。
(r)ここで、ステップS422の説明に移る。型判定モジュール340は、ステップS422において、SNP1検出用電極551の電流値の標準偏差(σ1)とステップS369で定めた対応する比較対象電流値の標準偏差(σcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP1検出用電極551からのピーク電流値の標準偏差(σ1)と比較対象電流値の標準偏差(σcmp1)の和(σ1+σcmp1)を求める。更に、ステップS422において、標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」でないか否かを確認する。標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」の場合には、次のステップS423の演算を行うことが出来ないため、ステップS432において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に、「自動判定不能」である旨を表示する。ステップS422において、標準偏差の和(σ1+σcmp1)が「零」でなければ、ステップS423に進む。
(s)ステップS423では、型判定モジュール340は、平均値の差(X1−Xcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、平均値の差(X1−Xcmp1)の標準偏差の和(σ1+σcmp1)対する比(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)を求める(式(8)参照。)。そして、この平均値の差と標準偏差の和の比Y1を平均値・標準偏差記憶部360に格納して、ステップS424に進む。
(t)ステップS424では、型判定モジュール340は、SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差(σ2)とステップS369で定めた対応する比較対象電流値の標準偏差(σcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、SNP2検出用電極552の電流値の標準偏差(σ2)と比較対象電流値の標準偏差(σcmp2)の和(σ2+σcmp2)を求める。そして、ステップS424において、標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」でないか否かを確認する。標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」の場合には、次のステップS425の演算を行うことが出来ないため、ステップS428において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に、「自動判定不能」である旨を表示する。ステップS424において、標準偏差の和(σ2+σcmp2)が「零」でなければ、ステップS425に進む。
(u)ステップS425では、型判定モジュール340は、平均値の差(X2−Xcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、平均値の差(X2−Xcmp2)の標準偏差の和(σ2+σcmp2)対する比(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)を求める。そして、この平均値の差と標準偏差の和の比Y2(式(9)参照。)を平均値・標準偏差記憶部360に格納して、ステップS426に進む。
(v)ステップS426では、型判定モジュール340は、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、実効変動係数ESLLをESLL記憶部363から読み出す。そして、ステップS426において、平均値の差と標準偏差の和の比Y1=(X1−Xcmp1)/(σ1+σcmp1)と、実効変動係数ESLLとの大小関係を比較する。更に、ステップS426では、型判定モジュール340は、平均値の差と標準偏差の和の比Y2=(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)を平均値・標準偏差記憶部360から読み出し、ステップS426において、平均値の差と標準偏差の和の比Y2=(X2−Xcmp2)/(σ2+σcmp2)と、実効変動係数ESLLとの大小関係を比較する。ステップS426でY1及びY2のいずれか実効変動係数ESLLよりも小さいと判断された場合には、G/Tヘテロ型の存在は「不明瞭」と判断し、ステップS429において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"G/Tへテロ"不明瞭」の判定を表示する。一方、ステップS426において、Y1及びY2が同時に実効変動係数ESLL以上の場合には、G/Tヘテロ型が「明らかに」存在すると判断し、ステップS427において、分類結果記憶部369に判定結果を分類して格納し、表示装置306に「"G/Tヘテロ"OK」の表示をする。
以上の説明で理解できるように、本発明の実施の形態に係る塩基配列方法によれば、
チップカートリッジ11や測定系12に異常があった場合や、データにばらつきがあった場合等でも、それらの異常なデータを除外して、正確にある核酸が存在するかどうかを高い精度で判定できる。又、本発明の実施の形態に係る塩基配列方法によれば、初期設定にエラーがあれば「設定エラー」と判定し,チップ若しくは試料(バイオサンプル)に異常があれば「未定(サンプル・エラー)」と判定し、装置(ハードウェア)に不具合があれば「未定(ハードウェア・エラー)」と判定する等の処理をして、それらの異常なデータを除外できる。更に、信号のばらつきにより判定できない場合や信号強度が弱い場合やその他の原因で不明瞭な場合は「不明瞭」,「自動的には未定(ホモ又はヘテロ)」,「未定(小信号)」,「自動判定不能」,「"1/1ホモ"不明瞭等」,「"2/2ホモ"不明瞭」、「"1/2ヘテロ"不明瞭」等とその状況に応じた判定が可能である。このため、本発明の実施の形態に係る塩基配列方法によれば、種々の測定環境や状況(実状)に適格に応じながら、「"1/1ホモ"OK」,「"2/2ホモ"OK」,「"1/2ヘテロ"OK」等のように、SNPの型が、どの型であるか、又、それがホモ型であるか、ヘテロ型であるか、を高い精度で判断できる。ここで、”1”や”2”と便宜的に表現したものは、実際には”A”、”T”、”G”、”C”等の表示がなされる。
(塩基配列判定プログラム)
図14,図16,図18−19,図26−30に示した一連の判定操作は、図14,図16,図18−19,図26−30と等価なアルゴリズムのプログラムにより、図8に示した塩基配列判定システムを制御して実行できる。このプログラムは、本発明の塩基配列判定システムを構成するコンピュータシステムのプログラム記憶装置(図示省略)に記憶させれば良い。又、このプログラムは、コンピュータ読取り可能な記録媒体に保存し、この記録媒体を塩基配列判定システムのプログラム記憶装置に読み込ませることにより、本発明の一連の判定操作を実行することができる。ここで、「コンピュータ読取り可能な記録媒体」とは、例えばコンピュータの外部メモリ装置、半導体メモリ、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、磁気テープなどのプログラムを記録することができるような媒体などを意味する。具体的には、フレキシブルディスク、CD−ROM,MOディスク、カセットテープ、オープンリールテープ、メモリカード、ハードディスク、リムーバブルディスクなどが「コンピュータ読取り可能な記録媒体」に含まれる。
例えば、塩基配列判定システムの本体は、フレキシブルディスク装置(フレキシブルディスクドライブ)及び光ディスク装置(光ディスクドライブ)を内蔵若しくは外部接続するように構成できる。フレキシブルディスクドライブに対してはフレキシブルディスクを、又光ディスクドライブに対してはCD−ROMをその挿入口から挿入し、所定の読み出し操作を行うことにより、これらの記録媒体に格納されたプログラムを塩基配列判定システムを構成するプログラム記憶装置にインストールすることができる。又、所定のドライブ装置を接続することにより、例えばゲームパック等に利用されているメモリ装置としてのROMや、磁気テープ装置としてのカセットテープを用いることもできる。更に、インターネット等の情報処理ネットワークを介して、このプログラムをプログラム記憶装置に格納することが可能である。
(その他の実施の形態)
上記のように、本発明は上記の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
既に述べた上記の実施の形態の説明においては、G型、T型或いはG/T型のいずれに該当するかを判定する手法を示したが、A型,G型,C型,T型の内のいずれか2つの型、或いはそれらのヘテロの判定に適用できることは勿論である。又、上記の実施の形態の説明で理解できるように、必ずしもA型,G型,C型,T型のグループの4種類について測定データを取得する必要はなく、SNPの考えられ得る2つの塩基に関する2グループのみについて取得するのみでも良い。
この様に、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。