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JP4671621B2 - モノテルペンを含む細菌毒性物質分泌阻害剤、及び該阻害剤を用いる保存処理方法 - Google Patents

モノテルペンを含む細菌毒性物質分泌阻害剤、及び該阻害剤を用いる保存処理方法 Download PDF

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Description

本発明は、細菌毒性物質分泌阻害剤、及び保存処理方法に関するものである。さらに詳細に述べると、本発明は、特定のモノテルペンを含む細菌毒性物質分泌阻害剤、該阻害剤を含む食用卵、食肉、及び植物などの保存処理剤、及び該阻害剤を用いる保存処理方法に関するものである。
従来の殺菌剤、及び防腐剤は強力な殺菌力又は静菌力を有するが、食品製造施設、医療施設、食品自体、及び医療関連製品などに用いるには毒性が問題となることが多かった。このため、例えば、抗菌作用を有し、自然界に広く分布して毒性が低いとされるテルペン類を用いて微生物を殺菌する方法が開発されている(特許文献1)。
本発明者のサルモネラ菌を用いた研究から、細菌が分泌する毒素などの病原性因子は、通常分泌されるタンパク質とは異なり、N末端にシグナル配列がないため、細胞膜を通して分泌されるのではなく、鞭毛の基部構造とよく似た構造を有するニードル構造体から分泌されることが見出された(非特許文献1及び2)。該ニードル構造体は細胞内膜と外膜を貫通する針状の形態であり、サルモネラ菌だけでなく、赤痢菌や病原性大腸菌EPEC又はEHECにもこの毒針のような構造体があるものと考えられる。
したがって、このような細菌の毒針構造体を選択的に発現阻害、又は機能阻害する物質を見出すことができれば、毒性を伴う従来の殺菌剤、及び防腐剤を用いずに、食品製造施設、医療施設、食品自体、及び医療関連製品などを細菌毒性物質の汚染から守ることができ、また、該細菌が家畜、又は人体に入った後も、病原性因子である細菌毒性物質に媒介された細菌の組織内侵入を阻止することができる。
特に、細菌の毒針構造体を選択的に阻害する物質として、動植物に広く分布し、その安全性が知られているテルペン類などが好ましいと考えられる。
特表平8−511517号公報 Shinichi Aizawa, Science, p.p 602-605, Vol.280, April 24, 1998 相沢慎一「サルモネラ菌の毒針と尻尾」,蛋白質 核酸 酵素 1999年第44巻,第1号,p.1−7
本発明は、細菌毒性物質分泌阻害剤、及び保存処理方法を提供することを目的とする。さらに詳細に述べると、本発明は、特定のモノテルペンを含む細菌毒性物質分泌阻害剤、該阻害剤を含む食用卵、食肉、及び植物などの保存処理剤、及び該阻害剤を用いる保存処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、比較的容易に入手でき、かつ食品レベルの安全性を有する柑橘系植物由来のモノテルペン類が、細菌の成長阻害、及びニードル構造体からの病原性タンパク質の分泌に対しどのような効果を有するか検討した。その結果、所定のモノテルペンが、細菌毒性物質である病原性のタンパク質の分泌を選択的に阻害するという知見を得て、本発明を完成した。
したがって、本発明は、ゲラニアル、ネラル、シトロネラル、リナロオール、シトロネロール、ゲラニオール、β−ミルセン、cis-オシメン、リモネン、テルプネオール、メンソール、α−ツジェン、サビネン、カムホル、イソボルネオール、フェンコン、α−ピネン、β−ピネン、ベルベノン、3−カレン及び4−カラノールからなる群から選ばれた、少なくとも1種のモノテルペン、その誘導体、及び/又はそれらの塩を含む、細菌毒性物質分泌阻害剤を提供する。
また、本発明は前記細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、食用卵保存処理剤を提供する。
さらに、本発明は前記細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、食肉保存処理剤を提供する。
さらに、本発明は前記細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、植物保存処理剤を提供する。
さらに、本発明は、前記細菌毒性物質分泌阻害剤を、例えば、食用卵、肉類、又は植物などの対象物と接触させることを特徴とする、細菌毒性物質による汚染、又は劣化を防止する方法を提供する。
本明細書中の用語「細菌毒性物質」とは、細菌が分泌する物質であって、動植物、又は動植物製品を劣化させ、或いは食中毒又は疾患の原因となるものをいう。
本発明の細菌毒性物質分泌阻害剤は、主として柑橘類由来の極低毒性のモノテルペンを主成分とし、低濃度で細菌の毒性物質の分泌を選択的に阻害する。したがって、細菌による毒性物質の分泌を安全、選択的、かつ効率的に阻害することができる。そのため、本発明の阻害剤を、食品に添加して細菌毒素の蓄積を防ぐ、野菜や果物に塗布して細菌毒素による劣化を防ぐ、家畜舎に噴霧して卵、牛乳などへの細菌毒素の蓄積を防ぐ、医療施設で用い細菌による病原性タンパク質の産生、蓄積を防止する、及び動物に投与して病原性タンパク質を介する細菌感染を防止するなどの効果を得ることができる。
次に本発明をその実施の形態に基づき説明する。
本発明の細菌毒性物質分泌阻害剤に用いるモノテルペンは、炭素原子数5個のイソプレン単位2個からなり、天然に広く分布する化合物であって、特に細菌の毒性物質分泌を阻害するものである。特に本発明では、後に説明する柑橘系植物由来のモノテルペン、該モノテルペンの誘導体、並びに該モノテルペン及び誘導体の塩が好ましい。本発明では、これらの化合物を単体で、又は組み合わせて用いることができる。
本発明で用いるモノテルペンの具体的な例を挙げると、ゲラニアル(Geranial)、ネラル(Neral)、シトロネラル(Citronellal)、リナロオール(linalool)、シトロネロール(Citronellol)、ゲラニオール(geraniol)、β−ミルセン(β−myrcene)、cis-オシメン(Ocimene)、リモネン(limonene)、テルプネオール(Terpneol)、メンソール(Menthol)、α−ツジェン(Thujene)、サビネン(Sabinene)、カムホル(Camphor)、イソボルネオール(Isoborneol)、フェンコン(Fenchone)、α−ピネン(α-pinene)、β−ピネン(β-pinene)、ベルベノン(Verbenone)、3−カレン(Carene)及び4−カラノール(Caranol)などがある。これらのモノテルペンの化学式を示すと下記のとおりである。
なお、前記モノテルペンは市販されており、容易に入手することができる。各モノテルペンのカタログ番号、ロット番号、製造者などを例示すると次のとおりである。
ゲラニアル:NTT1235, 2311191, Sigma社 アメリカ合衆国
シトロネラル:035-06153, ELL2148, Wako社 日本
リナロオール:126-00993, LDK4999, Wako社 日本
シトロネロール:037-05993, ACE3190, Wako社 日本
ゲラニオール:076-01383, ELE4644, Wako社 日本
β−ミルセン:155747, 9165C, ICN社
テルプネオール:204-08821, LDM5841, Wako社 日本
メンソール:134-03751, Wako社 日本
α−ピネン:164-11503, LDQ5236, Wako社 日本
β−ピネン:167-19712, CKM5347, Wako社 日本
なお、本実施例で用いたモノテルペンは、ガスクロマトグラフィーによると純度99.9%以上であり、その構造はNMR質量スペクトル測定により確認した。
また、本発明の前記モノテルペン誘導体は、細菌毒性物質の分泌を阻害する効果を有するものであれば特に制限なく使用できる。好ましい該誘導体の例を挙げると下記のものがある。
前記化学式中、好ましくは、R1〜R11は、それぞれ独立に炭素原子数2〜6個のアルキル基、又は炭素原子数5〜8個のシクロアルキル基を表す。
また、本発明では、前記モノテルペン、及びそれらの誘導体を塩、特に医薬として許容し得る塩の形態で用いることができる。該塩は、有機酸又は無機酸の付加塩類である。該無機酸付加塩の例を挙げると、フッ化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素塩、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸第一水素塩、リン酸第二水素塩、酢酸塩などがある。なお、塩基化合物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウムなどを用いて塩形成をすることもできる。
また、有機酸付加塩の例を挙げると、脂肪酸のモノカルボン酸、ジカルボン酸、ヒドロキシアルカン酸、ヒドロキシアルカン二酸、アミノ酸など、又は芳香族の酸、脂肪酸、芳香族のスルホン酸などの無毒な有機酸から誘導される塩、例えば、スルホン酸、メタンスルホン酸、スルファミン酸、酒石酸、フマル酸、臭化水素酸、グリコール酸、クエン酸、マレイン酸、リン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、アスコルビ酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、プロピオン酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、ステアリン酸、ケイ皮酸、アスパラギン酸、サリチル酸、及びグルコン酸などがある。このような酸付加塩は、通常、分散性、吸収性などが良く、製剤上及び使用上有利な特性を有する。該酸付加塩類は、本発明の技術分野で周知であり、適当な酸、又は塩基化合物との接触により容易に調製することができる。
本発明の阻害剤における前記モノテルペン類の濃度は、細菌毒性物質の分泌を阻害する範囲であれば特に制限されない。例えば、使用時の該阻害剤における該モノテルペン類濃度は、通常0.02μl/ml〜1.0μl/ml、好ましくは0.2μl/ml〜1.0μl/ml、特に好ましくは0.5μl/ml〜1.0μl/mlである。
本発明の阻害剤は、使用するモノテルペン類の効果的に引き出す適切な形態とするのが好ましい。例えば、乳剤、水和剤、粒剤、粉剤、フロアブル剤、エアゾール剤、液剤などの剤型である。
また、その形態に応じて、各種任意成分、例えば、慣用の基剤、溶解剤、溶解補助剤、溶剤、湿潤剤、乳化剤、賦形剤、粘着剤、粘稠剤、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、界面活性剤、防腐剤、pH調整剤などを適宜使用することができる。
本発明の阻害剤の適用対象は、細胞毒性物質を分泌する微生物、特に細菌である。該細菌の例を挙げると、スタヒロコッカス(Staphylococcus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、エンテロコッカス(Enterococcus)、ミコバクテリア(Mycobacterium)、リステリア(Listeria)、シュードモナス(Pseudomonas)、セラチア(Serratia)、エシェリキア(Escherichia)、クレブシエラ(Klebsiella)、ヘモフィルス(Haemophilus)、エンテロバクター(Enterobacter)、プロテウス(Proteus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ナイセリア(Neisseria)、ステノトロフォモナス(Stenotrophomonas)、シトロバクター(Citrobacter)、サルモネラ(Salmonella)、モルガネラ(Morganella)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)、パスツレラ(Pasteurella)、ステノトロフォノマ(Stenotrohonomas)、エロモナス(Aeromonas)、ボルデテラ(Bordatella)、プロビデンシア(Providencia)、バクテロイデス(Bacteroides)、シゲラ(Shigella)、レジオネラ(Legionella)、ビブリオ(Vibrio)、エルシニア(Yersinia)、ヘリコバクター(Helicobacter)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、ガードネレラ(Gardnerella)、及びカンピロバクター(Campylobacter)などがある。
本発明の阻害剤を適用することにより、これら細菌の毒性物質の分泌を阻害し、又はこれらの細菌が分泌タンパク質を介して生物体に侵入するのを阻止することができる。したがって、本発明の阻害剤は細菌の毒性物質による汚染を防止する、様々な用途に使用することができる。すなわち、本発明の阻害剤は、医療施設、医療器具又は機械、食品製造用機械又は器具、食品製造施設、及び食品保管施設などの対象に噴霧、又は塗布し、又は洗浄剤として使用することもができる。また、本発明の阻害剤はサルモネラ菌の毒素産生を効果的に抑えるので、サルモネラ菌による汚染が生じやすい養鶏施設に用いると効果的である。
また、本発明で用いている柑橘類由来のモノテルペン類は極めて毒性が低いので、食用卵保存処理剤、食肉保存処理剤、及び植物保存処理剤として用いることができる。すなわち、本発明の阻害剤を、処理剤として用いることにより、細菌毒性物質による、食用卵、及び食肉の汚染を防止できるだけでなく、果物及び野菜の劣化を防止することができる。
本実施例では、腸内細菌科サルモネラ属のSalmonella typhimurium (SJW 1103菌株)、及び腸内細菌科大腸菌属のEPEC(#6) (Enteropathogenic Escherichia coli)に対し、特定の柑橘類由来モノテルペンの細菌毒性物質分泌阻害作用を調べた。ここで、これらの菌を用いる理由を説明する。
Salmonella菌類はヒトや動物に経口感染し、下痢などの食中毒を引き起こす菌としてよく知られている。また、EPECは乳幼児下痢症の主要原因菌で特に発展途上国にその症例が多く見られる。
一般的に病原性タンパク質を分泌する病原性細菌は、ニードル構造体というタンパク質の分泌装置を持っている。このニードル構造体とは病原性細菌が宿主細胞に感染する際に必要な病原性タンパク質を分泌するための器官で、多くの病原性細菌はこのニードル構造体を介して病原性タンパク質を分泌する。
Salmonella菌類は、宿主細胞の腸管上皮細胞に付着し、その後、腸管上皮細胞内に侵入する。この時、Salmonellaはニードル構造体から侵入に必要な毒物質を分泌する。このニードル複合体から分泌される病原性タンパク質にはSip(Salmonella Invasion Proteins)と呼ばれるタンパク質があり、これは Salmonellaが宿主細胞に感染する際に使われるエフェクタータンパク質である。SipAはSipCと共同で働き、宿主細胞の細胞骨格を構成するF-actinに結合してactinの再構築を誘発する。SipBはSalmonellaが宿主細胞内に侵入する際に必要なタンパク質で、宿主細胞膜のラフリングを引き起こす。また、SipBは、Salmonellaが免疫細胞であるマクロファージに捕食された場合に、そこから回避するためにマクロファージのアポトーシスを誘発すると考えられている。SipDの機能は同定されていないが、SipBやSipCなどの宿主細胞の中に入って作用するタンパク質が機能するために必要であると考えられている。
EPECの宿主細胞へ感染は、胃腸粘膜細胞に付着後コロニーを形成し、エフェクタータンパク質を宿主細胞内に送り込む。この時Tirという膜結合タンパク質も送り込まれる。宿主細胞の細胞膜に結合したTirはIntiminのレセプターとして働く。IntiminはEPECのコロニー形成因子であり、バクテリアの細胞表面に固定されている構造である。これらの結合が、病原菌の細胞への密着と集合を引き起こさせ、その結果小腸の絨毛の特定の箇所の微絨毛がまとまって消滅し、その部分の真下の細胞内にアクチンが再重合する。その後、台座と呼ばれる宿主細胞膜の隆起が起こり、EPEC独特の下痢症を引き起こす。
したがって、本発明で用いるモノテルペンにより、ニードル構造体による病原性タンパク質の分泌阻害が確認されれば、本発明の阻害剤の有効性が明らかになる。
(実施例1)
本実施例では、柑橘系植物由来のモノテルペンである、シトラル、シトロネラル、リナロオール、シトロネロール、ゲラニオール、(-)リモネン、(+)リモネン、ミルセン、α−ピネン、β−ピネン、及びα−テルピネオールを含む細菌毒性物質分泌阻害剤を調製し、その効果を確認した。なお、前記シトラルはゲラニアル(trans-シトラル)とネラル(cis-シトラル)の混合物である。また、本実施例では、Salmonella typhimurium(腸内細菌科、サルモネラ属、)SJW1103株を用いた。該Salmonella菌株は塩を含む培養液中で培養した場合、その培地中に数種類のタンパク質を分泌することがわかっている。したがって、本実施例では、前記阻害剤の菌株に対する成長抑制効果、及びタンパク質の分泌抑制効果を調べた。
培養
まず、該Salmonella菌株を、LB培地(Tryptone (Bacto社) 1%、Yeast Extract (Bacto社)0.5%、Sodium Chloride (Wako社)1%含有)5ml中で、37℃で、一晩(約14時間)振盪培養した。この時LB培地5mlを試験管に分注し、そこにあらかじめ一晩液体培養しておいた菌懸濁液50μlを種菌として使用した。添加したモノテルペンの量は、該培地5mlに対し、それぞれ0.1μl、0.5μl、1μl、2μl、及び5μlとした。このとき添加するモノテルペンの量が微量で定量が難しいので、該モノテルペンをDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かして定量しやすくした。すなわちDMSOと所定量のモノテルペンとが併せて50μlになるように希釈して培地に添加した。また、コントロール培地には5mlに対してDMSOを5μl添加した。
菌株の成長阻害の検定
前記菌株の成長阻害の検定は、透過光濁度法によりモノテルペンの存在下、及び非存在下で培養した菌株を含む前記倍地の光学密度ODを測定することにより検定した。該透過光濁度法は液体倍地に光をあてて、微生物細胞に当たらず透過してきた光を分光光度計で測定する方法で、本実施例では、波長650nmの光を用いて、菌の成長阻害の目安とした。
菌株のタンパク質分泌阻害の検定
前記菌株の細胞毒性物質、すなわち病原性タンパク質分泌阻害の検定は、前記培地内に分泌されたタンパク質を、TCA(トリクロロ酢酸)沈殿法により回収し、SDS-PAGE電気泳動法によって比較することで行った。
該TCA沈殿は、20 % (w/v) TCA(トリクロロ酢酸) / アセトン溶液を用いて行った。その手順は、1.5 ml容の吸着防止処理済みチューブに、回収した液体倍地と、等量の冷却20 % TCA溶液を加えて撹拌した後、氷上で約20分間冷却し、次いで該液体倍地に約500 mlのアセトンを加えて撹拌し、続いて、遠心分離(10000x g、15分, 4℃)した後、上清を除いて、乾燥させることにより行った。続いて、SDS-PAGE電気泳動を行うため、緩衝液10μlを加えて、得られた乾燥物を溶解して試料を調製した。
該SDS-PAGE電気泳動を行うために、市販のSDS-PAGE用ゲルをキャストした電気泳動プレートを用いた(アトー社)。該SDS-PAGE用ゲルを入れた泳動層の高さ約1/3をランニング緩衝液(トリス 60.6g、グリシン 288.3g、SDS 20g / 2000ml BS水)で満たし、該ゲルのウェルに、タンパク質マーカ5μlと、試料を5μl入れた。該ゲルを一定電流(CC)で約30mAでスタートし約50分電流を流し、青い色素のラインが下から5mmの所にきた時に電気泳動を止めた。該ゲルを脱イオン水で洗浄し、CBB溶液に浸した。
該染色後のシトラルとα-テルピニネオールを用いた結果を、図1の写真に示す。該タンパク質のバンドの濃さがタンパク質量に比例するので、それぞれモノテルペンが前記菌株の病原性タンパク質分泌に与える影響を検出することができる。
検出対象の分泌タンパク質
前記Salmonella菌株が培地中に分泌する主なタンパク質9種類あり、これらを2つに分類することができる。1つはべん毛構造の構築に関係したタンパク質、もう1つはニードル構造体により分泌されるタンパク質である。べん毛とは細菌が運動するために必要な器官基部のモーター構造により回転し、スクリューの役割をしている器官である。ニードルとは多くの病原性細菌が持っている注射針のような形をした病原性タンパク質を宿主細胞に注入する際に使用される器官である。
べん毛由来のタンパク質としてHAP1(60kDa), Flagellin(52kDa), HAP2(50kDa), hookタンパク質(42kDa), HAP3(35kDa)がある。ニードル構造体由来のタンパク質はSipA(89kDa), SipB(67kDa), SipC(42kDa), SipD(40kDa)にわけることができる。HAPタンパク質は、先端成長するべん毛の構築、又は安定性に必要なタンパク質である。Flagellinはべん毛繊維を形成するタンパク質である。hookはべん毛フィラメントとべん毛基部体のユニバーサルジョイントとして働いている。
また、ニードル構造体由来のSip(Salmonella Invasion Proteins)タンパク質は Salmonellaが宿主細胞に感染する際に使われるエフェクタータンパク質である。SipAはSipCと共同で働き、宿主細胞の細胞骨格を構成するF-actinに結合してactinの再構築を誘発する。SipBはSalmonellaが宿主細胞内に侵入する際に必要なタンパク質で、宿主細胞膜のラフリングを引き起こす。また、SipBは、Salmonellaが免疫細胞であるマクロファージに捕食された場合に、そこから回避するためにマクロファージのアポトーシスを誘発すると考えられている。SipDの機能は同定されていないが、SipBやSipCなどの宿主細胞の中に入って作用するタンパク質が機能するために必要であると考えられている。
分泌タンパク質の泳動結果の考察
分泌タンパク質のSDS-PAGE電気泳動の結果を示す写真を図1に示す。この結果から、モノテルペンであるシトラルでは、濃度0.1μl/5mlはコントロールに比べ、成長阻害、及びべん毛由来のタンパク質であるFlagellinとHAPタンパク質の分泌量はほとんど変化していないが、Sipタンパク質の分泌量は減少している。また、その濃度が0.3、及び0.5μl/5mlではコントロールに比べ、菌の成長は阻害されていないのにもかかわらず、FlagellinとHAPタンパク質の分泌が減少している。さらに、Sipタンパク質の分泌がほとんどみられなくなった。
また、α-テルピネオールではコントロールに比べて、濃度0.1μl/5mlの時は成長阻害にほとんど差はないが、Sipタンパク質の分泌量は減少していた。この時、べん毛由来タンパク質の分泌には影響していなかった。また、濃度0.3μl/5mlの時ではべん毛由来のタンパク質分泌にはほとんど影響がなかったが、Sipタンパク質の分泌量はコントロールと比べて大きく減少した。さらに濃度0.5μl/5ml、及び0.7μl/5mlの場合ではSipタンパク質の分泌はほとんど見られなくなり、一方、僅かではあるが、べん毛由来のタンパク質の分泌阻害もみられた。
これらの結果からモノテルペンは前記Salmonella菌株の成長、及び毒性物質(病原性タンパク質)の分泌を阻害する作用があることが分かった。
シトラルの場合は濃度0.1μl/5ml(0.002%)以上で毒性物質の分泌を阻害し、濃度1μl/5ml(0.002%)以上になると菌の成長を阻害するようになった。また、α-テルピネオールの場合では、濃度0.1μl/5ml(0.002%)以上で毒性物質の分泌を阻害し、濃度5μl/5ml(0.1%)以上で菌体の成長を阻害することがわかった。本実施例で用いた各モノテルペンの効果を下記表1にまとめた。
(実施例2)
本実施例では、実施例1と同じ柑橘系植物由来のモノテルペンを細菌毒性物質分泌阻害剤として用いてその効果を確認した。また、本実施例では、乳幼児下痢症の主要原因菌であるEPECを用いた。該菌株も塩を含む培養液中で培養した場合、その培地中に数種類のタンパク質を分泌することがわかっている。その性質を利用して、本実施例でも、前記阻害剤の菌株に対する成長抑制効果、及びタンパク質の分泌抑制効果を調べた。
培養
まず、該EPEC菌株を、DMEM(Dulbecco's改良イーグル倍地:GIBCO社)5ml中で、37℃で、一晩(約14時間)振盪培養した。この時DMEM培地5mlを試験管に分注し、そこにあらかじめ一晩液体培養しておいた菌懸濁液50μlを種菌として使用した。添加したモノテルペンの量は、該培地5mlに対し、それぞれ0.1μl、0.5μl、1μl、2μl、及び5μlとした。このとき添加するモノテルペンの量が微量で定量が難しいので、該モノテルペンをDMSO(ジメチルスルホキシド)に溶かして定量しやすくした。すなわちDMSOと所定量のモノテルペンとが併せて50μlになるように希釈して培地に添加した。また、該培地5mlに対して、DMSOのみを50μl、該培地に添加したものをコントロールとした。
続いて、菌株の成長阻害の検定、及び菌株のタンパク質分泌阻害の検定を実施例1と同様に行った。その結果を下記表2に示す。
図1は、シトラルを含む本発明の阻害剤による、サルモネラ菌のタンパク質合成阻害を解析するために行った電気泳動の結果を示す写真である。 図2は、α−テルピネオールを含む本発明の阻害剤による、サルモネラ菌のタンパク質合成阻害を解析するために行った電気泳動の結果を示す写真である。

Claims (9)

  1. ゲラニアル、ネラル、シトロネラル、リナロオール、シトロネロール、ゲラニオール、β−ミルセン、cis-オシメン、リモネン、テルプネオール、メンソール、α−ツジェン、サビネン、カムホル、イソボルネオール、フェンコン、α−ピネン、β−ピネン、ベルベノン、3−カレン及び4−カラノールからなる群から選ばれた、少なくとも1種のモノテルペン、その誘導体、及び/又はそれらの塩を0.02μl/ml〜1.0μl/ml含む、細菌毒性物質分泌阻害剤。
  2. 該モノテルペンが、シトロネラル、リモネン、及びテルピネオールからなる群から選ばれた、少なくとも1種のモノテルペンである請求項1記載の該阻害剤。
  3. 該モノテルペンを、0.2μl/ml〜1.0μl/ml含む、請求項1又は2記載の該阻害剤。
  4. 該モノテルペンを、0.5μl/ml〜1.0μl/ml含む、請求項1又は2記載の該阻害剤。
  5. 請求項1記載の細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、食用卵保存処理剤。
  6. 請求項1記載の細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、食肉保存処理剤。
  7. 請求項1記載の細菌毒性物質分泌阻害剤を含む、植物保存処理剤。
  8. 請求項1記載の細菌毒性物質分泌阻害剤を、対象物と接触させることを特徴とする、細菌毒性物質による汚染、又は劣化を防止する方法。
  9. 該対象物が、食用卵、肉類、又は植物である、請求項記載の方法。
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