JP4658315B2 - 光学活性カルボン酸及びその対掌体エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬等の原料又は中間体として有用な光学活性カルボン酸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般式(II)
【化3】
で表される光学活性カルボン酸の製造方法としては、特開平07-32769号公報、特開平08-000285号公報、特開平08-259500号公報、特開平10-033191号公報および特開平11-080113号公報に記載のとおり、数属の微生物由来の菌体あるいは酵素を用いて合成する方法が報告されている。しかし、これらの方法で使用されている生体触媒は、いずれもその種類が限定されており、一般的な方法とは言い難い。
【0003】
一方、J. Chem. Soc., Chem.Commun.,1080,(1987)でEryka Guibe-Jampelらは豚膵臓リパーゼをもちい、α−メチルコハク酸−1−モノエステルを得る方法が報告している。しかしながら、この方法で得られるモノエステルの光学純度、位置選択性は高いものの、高価な動物由来の酵素を使用するため、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0004】
また、特開平2−195890号公報には微生物由来の酵素を用いてα−メチルコハク酸ジエステルを加水分解し、α−メチルコハク酸−4−モノエステルを得る方法が記載されている。この方法では4−モノエステルが95〜98%と位置選択性は高いものの、立体選択的な加水分解は殆ど達成されておらず、ラセミ体ジエステルを原料とした場合、生成物の光学純度は16%e.e.程度にすぎないという問題がある。
さらに、 Chem. Pharm. Bull. 41(6),1149 (1993)でT.Morimotoらは、イタコン酸又はイタコン酸ジメチルを不斉還元し、光学活性α−メチルコハク酸又は光学活性α−メチルコハク酸ジメチルを得る方法も報告しているが、高価な不斉触媒を使用しなければならないため、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0005】
さらに、光学活性β−ヒドロキシカルボン酸の製造法としては、化学的又は微生物的方法としてβ−ケト酸エステルの不斉還元法、光学分割法、1,3−ジオールの酸化法、脂肪酸のβ−水酸化法、直接発酵法等が報告されている。
この中で、微生物の代謝経路を利用した各種光学活性β−ヒドロキシカルボン酸の生産が、工業的規模で実施されている(特公昭59−21599号公報、特公昭59−21600号公報、特公昭60−16235号公報、特公昭61−12676号公報等)。これらの微生物の代謝経路を利用した方法は、各種脂肪酸、アルコールを原料として使用し、脂肪酸の主代謝経路であるβ−酸化酵素系や、類縁の分岐状アミノ酸代謝経路と共通すると思われる酵素系を利用するものである。
【0006】
また、J. Am. Chem. Soc.,111, 6354(1989)には、2−アシルアミノ酸の光学分割には有効であるアシラーゼが3−アシルアミノイソ酪酸の光学分割には適用することができないことが報告されている。光学活性3−アミノイソ酪酸の製造方法として、特開昭59-67252号公報記載の光学活性3−ヒドロキシイソ酪酸を出発原料とする方法が公知であるが、工業的に有利な方法とは言い難い。
【0007】
以上のように一般式(I)および(II)で示される光学活性体の製造はその方法あるいは種類が限定されており、アシネトバクター(Acinetobacter)属由来の微生物の菌体あるいは酵素により製造するという報告はない。従って、有効で且つ一般的な合成方法の開発が望まれていた。
【0008】
【発明が解決しようとする手段】
本発明の課題は、光学活性医農薬合成中間体として有用な光学活性カルボン酸およびその対掌体エステルの一般的且つ工業的に有利な製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、ラセミ体カルボン酸エステルを光学選択的に加水分解する活性を有する微生物を新たに見い出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、一般式(I)
【化4】
[式中、R1は置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基、アミノ基、アミノアシル基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、アルコキシル基、水素原子、-COOR'3、(R'3は置換又は非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基を示す)を示し、R2は置換又は非置換の炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R3は置換又は非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、n=1〜3の整数を示す]で表されるラセミ体カルボン酸エステルに、アシネトバクター(Acinetobacter)属に属し、且つ該エステル結合を不斉加水分解する能力を有する微生物菌体、菌体培養液、菌体処理物あるいはこれら微生物により生産される酵素を作用させることを特徴とする下記一般式(II);
【化5】
(式中、R1、R2およびnは前記と同義であり、*は不斉炭素を示す)
で示される光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法である。また、 本発明はアシネトバクター(Acinetobacter)属由来の不斉加水分解酵素遺伝子を導入した遺伝子組換え体微生物を用いることを特徴とする一般式(II)で示される光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法、である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において反応基質として使用可能な化合物は一般式(I)に示される化合物が挙げられる。
【0011】
一般式(I) において、 R1は置換又は非置換のアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基、アミノ基、アミノアシル基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、アルコキシル基、水素原子、-COOR'3、(R'3は置換又は非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基を示す)を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアルキル基;エテン基、プロペン基、イソプロペン基、ブテン基、イソブテン基、n−ヘキセン基等の炭素原子数2〜6のアルケニル基;ベンジル基などのアラルキル基;アセチル基、プロピオニル基等のアシル基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシル基等が例示される。
【0012】
また、一般式(I) 中、 R1が-COOR'3 で示される場合において、R'3は置換又は非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。
さらに、一般式(I) において、 R2は置換又は非置換のアルキル基を示し、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。また、R3は置換又は非置換のアルキル基を示し、具体的には、 R2のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。これらのR2およびR3で示される置換基は、その炭素原子に結合する水素原子がハロゲン等の置換基で置換されていてもよい。
【0013】
本発明で用いる微生物は、アシネトバクター(Acinetobacter)属に属し、且つ一般式(I)で表されるラセミ体カルボン酸エステルのエステル結合を不斉加水分解する能力を有するものであればいかなるものでも使用可能であり、特に制限はないが、代表的なものとして例えば、Acinetobacter calcoaceticus F46 ( AKU 724)株等が例示される。本株は公知であり、京都大学農学部(AKU)などの微生物保存機関から入手できる。
【0014】
また、これらの微生物から単離した酵素遺伝子を通常の方法で公知の各種宿主ベクター系に導入した遺伝子操作微生物の利用も可能である。これら遺伝子操作微生物に特に制限はなく、Acinetobacter属由来で且つ一般式(I)で表されるラセミ体カルボン酸エステルのエステル結合を不斉加水分解できる酵素遺伝子が発現されたものであれば、いかなる各種宿主ベクター系でも構わない。
【0015】
本発明においてこれらの微生物を培養するための培地としては、通常これらの微生物が生育し得るものであれば何れのものでも使用できる。炭素源としては、例えば、グルコース、シュークロースやマルトース等の糖類、酢酸、クエン酸やフマル酸等の有機酸あるいはその塩、エタノールやグリセロール等のアルコール類等を使用できる。窒素源としては、例えば、ペプトン、肉エキス、酵母エキスやアミノ酸等の一般天然窒素源の他、各種無機、有機酸アンモニウム塩等が使用できる。その他、無機塩、微量金属塩、ビタミン等が必要に応じて適宜添加される。また、高い酵素活性を得るために、一般式(I)で示されるカルボン酸エステル、エステル結合あるいはアミド結合を持つ化合物等を酵素産生の誘導物質として培地に添加することも有効である。
その培養は常法に従って行えばよく、例えば、pH4〜10、温度15〜40℃の範囲にて好気的に6〜96時間培養する。
【0016】
不斉加水分解反応を行うに際しては、該微生物を培地中で培養して得られる培養物をそのままか、又は該培養物から遠心分離などの集菌操作によって得られる培養上清、菌体、若しくは菌体処理物の存在下で一般式(I)に示されるラセミ体カルボン酸エステルを不斉加水分解することにより光学活性カルボン酸及びその対掌体エステル加水分解物及びその未反応対掌体を製造することもできる。菌体処理物としては、アセトン、トルエン等で処理した菌体、菌体の破砕物、菌体を破砕した無細胞抽出物などが挙げられる。また、これらを通常の方法で固定化したものも含まれる。
【0017】
さらに、微生物菌体、菌体培養液および菌体処理物のみならず、これら微生物により生産される酵素を用いることができる。
本発明において使用できる酵素は、一般式(I)に示されるラセミ体カルボン酸エステルを不斉加水分解して光学活性カルボン酸及びその対掌体エステルを製造する能力を有するアシネトバクター(Acinetobacter)属微生物から分離されたものであれば種類及び製造源は問わない。その中でも一般にリパーゼ類、エステラーゼ類、プロテアーゼ類およびアミダーゼ類と称される酵素が特に有効であり、粗酵素又は精製酵素を使用することができる。
【0018】
上記不斉加水分解酵素を反応に供するに際しては、該酵素が活性を示す限りその使用形態は特に限定されず、酵素を適当な担体に固定化して使用することもできる。酵素を固定化して用いることにより、反応終了後の光学活性カルボン酸及びその対掌体エステル加水分解物及びその未反応対掌体並びに酵素の分離・回収が容易になるとともに、酵素の再利用も可能となる。
本発明においては、これら酵素、酵素固定化物、微生物、菌体培養液、または菌体処理物を通常1種類用いるが、同様な能力を有する2種以上のそれを混合して用いることも可能である。
【0019】
本発明において、一般式(I)で示されるカルボン酸エステルの光学選択的加水分解は、以下の方法で行うことができる。
反応溶媒に基質である一般式(I)で示されるカルボン酸エステルを溶解もしくは懸濁する。また、基質を反応溶媒に添加する前に又は添加した後に触媒となる上記不斉加水分解する能力を有する酵素、酵素固定化物、微生物、菌体培養液、または菌体処理物を添加する。そして、反応温度、必要により反応液のpHを制御しながら、一般式(I)で示されるカルボン酸エステルの半量程度が加水分解されるまで反応を行う。場合によっては反応の初期段階で反応を中断したり、又は過剰に反応させることもある。
反応液の基質濃度は、0.1〜80質量%の間で特に制限はないが、生産性等を考慮すると1〜50質量%の濃度で実施するのが好ましい。
反応液の酵素濃度は、通常、0.01〜10質量%であり、好ましくは 0.05〜5重量%である。
反応液のpHは用いる酵素の至適pHに依存するが、一般的にはpH4〜11の範囲である。化学的加水分解反応による光学純度の低下及び収率の低下を抑えることができるという点でpH5〜9で行うのが好ましい。また、エステル結合部分が不斉加水分解される場合は反応が進行するに従いpHが低下してくるが、この場合は適当な中和剤、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液等を添加して最適pHに調整することが望ましい。
反応温度は5〜70℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。
【0020】
反応溶媒は、通常イオン交換水、緩衝液等の水性媒体を使用するが、有機溶媒を含んだ系でも反応を行うことができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t-ブチルアルコール、t-アミルアルコール等のアルコール系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、その他アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド等を適宜使用できる。また、これらの有機溶媒を水への溶解度以上に加えて2層系で反応を行うことも可能である。有機溶媒を反応系に共存させることで、選択率、変換率、収率などが向上する場合もある。反応時間は、通常、1時間〜1週間、好ましくは1〜72時間であり、そのような時間で反応が終了する反応条件を選択することが好ましい。
【0021】
尚、以上のような基質濃度、酵素濃度、pH、温度、溶媒、反応時間及びその他の反応条件はその条件における反応収率、光学収率等を考慮して目的とする光学活性化合物が最も多く採取できる条件を適宜選択することが望ましい。
【0022】
かくして、上記の反応により、一般式(I)で示されるカルボン酸エステルが不斉加水分解されて、光学活性カルボン酸及びその対掌体エステル加水分解物が生成する。
生成した光学活性カルボン酸及びその対掌体エステル加水分解物および未反応対掌体の反応混合液からの単離は抽出、蒸留、カラム分離など通常の公知の単離法で行うことができる。
生成した光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの分離は、例えば、pHを中性付近に調整後、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル等のエステル類;ヘキサン、オクタン、ベンゼン、トルエン等の炭化水素類;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等一般的な溶媒により未反応対掌体を抽出分離することができる。
一方、生成した光学活性カルボン酸は抽出後の水層のpHを下げた後、前述の有機溶媒を適宜選択し、抽出すれば回収できる。
【0023】
さらに、未反応対掌体エステルは、光学活性を維持したまま公知の方法で加水分解することにができ、また、反対に光学活性カルボン酸は光学活性を維持したまま通常の方法でエステル化することができる。従って、目的に応じて任意の立体配置を持ったエステルあるいはカルボン酸を取得することができる。
さらに、前述の方法で再びエステル化された光学活性カルボン酸は、同酵素の基質として反応を複数回繰り返すことで、より光学純度の高い目的化合物を得ることが可能である。また、同様に光学選択性の異なる(逆の)酵素を任意に組み合わせて反応を繰り返すことで光学純度が高い目的化合物を得ることも可能である。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0025】
〔実施例1〕
LB培地(ペプトン10g、酵母エキス 5g、食塩 5g、 蒸留水1L )100mlでAcinetobacter calcoaceticus F46(AKU 724)株を30℃、48時間培養した。遠心分離で集菌、洗浄後、50mMリン酸バッファー(pH7.0)5mlに懸濁し、菌体濃縮液とした。
90mlの50mMリン酸バッファー(pH7.0)にラセミ体メチルコハク酸ジメチル 5gを懸濁し、上記菌体濃縮液を加え、室温で約20時間反応した。反応終了液を酢酸エチルで抽出、濃縮し、未反応のエステルを回収した。
未反応メチルコハク酸ジメチルの光学純度を測定したところ、S体50%eeであった。なお、光学純度分析はダイセル化学株式会社製キラルセルODカラム(移動層ヘキサン/イソプロパノール/トリフロロ酢酸=90/10/0.1)にて分析した。
【0026】
〔実施例2〕
実施例1同様にAcinetobacter calcoaceticus F46 (AKU 724)菌体濃縮液を調製し、原料をβ-ヒドロキシイソ酪酸メチルに代え、酵素反応を行った。反応終了液を酢酸エチルで抽出し、未反応のエステルを回収した。抽出液を濃縮後、未反応β-ヒドロキシイソ酪酸メチルの比旋光度を測定したところ、[α]25 D=+10.2(C=2、メタノール)であった。
【0027】
〔実施例3〕
実施例1同様にAcinetobacter calcoaceticus F46(AKU 724)菌体濃縮液を調製し、原料をα−メチルグルタル酸ジメチルに代え、酵素反応を行った。反応終了液を酢酸エチルで抽出し、未反応のエステルを回収した。抽出液を濃縮後、未反応α−メチルグルタル酸ジメチルの光学純度を測定したところ、S体60%eeであった。なお光学純度分析は特開平08-000285号記載の方法に従い分析した。
【0028】
〔実施例4〕
実施例1同様にAcinetobacter calcoaceticus F46 (AKU 724)菌体濃縮液を調製し、原料をβ−シアノイソ酪酸メチルに代え、酵素反応を行った。反応終了液を酢酸エチルで抽出し、未反応のエステルを回収した。抽出液を濃縮後、未反応β−シアノイソ酪酸メチルの光学純度を測定したところ、S体53%eeであった。なお光学純度分析はダイセル化学株式会社製キラルセルODカラム(移動層ヘキサン/イソプロパノール/トリフロロ酢酸=90/10/0.1)にて分析した。
【0029】
〔実施例5〕
実施例1同様にAcinetobacter calcoaceticus F46 (AKU 724)菌体濃縮液を調製し、原料を3−アセチルアミノイソ酪酸メチルに代え、酵素反応を行った。反応終了液を酢酸エチルで抽出し、未反応のエステルを回収した。抽出液を濃縮後、未反応3−アセチルアミノイソ酪酸メチルの比旋光度を測定したところ、d(+)体73%e.e.であった。なお光学純度分析は特開平10-033191号記載の方法に従い分析した。
【0030】
〔参考例1〕
ペプトン0.5%、酵母エキス0.5%、K2PO4 0.1%、フルオレン 0.01%を含む培地5LでAcinetobacter calcoaceticus F46(AKU 724)株を28℃、3日間培養した。遠心分離で集菌後、10mMリン酸バッファー(pH7.0)110mlに懸濁させ、超音波破砕した。破砕液を遠心分離で不溶物を除去し、無細胞抽出液とした。この無細胞抽出液から硫酸アンモニウム40〜80%飽和画分を遠心分離にて回収した。沈殿を35mlの同バッファーに溶解させ透析後、DEAE-Sephacelカラム(1.7×26cm)に供し、NaClの0→0.6Mのリニアーグラジェントで溶出させた。活性画分をまとめて、NaClを4Mになるよう加えて、Phenyl-SuperoseHR10/10カラムに供した。 NaClの4→0Mのリニアーグラジェントで溶出させた。活性画分をまとめて限外ろ過により濃縮し、さらにゲルろ過(Superdex200HR10/30カラム)による精製を実施し、精製酵素溶液とした。
なお、酵素活性は50mMリン酸バッファー(pH7.0)20mlにβ−アセチルチオイソ酪酸メチル50mM相当量を加え、酵素溶液を適当量を添加し、30℃で反応させた。
反応中、0.05N苛性ソーダで滴定し、初期10分間の加水分解速度より算出した。
【0031】
〔実施例7〜10〕
9.5mlの100mMリン酸バッファー(pH7.0)に表1に示すラセミ体原料0.5gを懸濁し、参考例により得られた精製酵素溶液0.2mlを加え、室温で約10時間反応した。反応終了液を酢酸エチルで抽出、濃縮し、未反応のエステルを回収した。各化合物は実施例1〜5と同様に処理し、光学純度を測定した。その結果を表1に示した。
【表1】
【0032】
〔参考例2〕
参考例1で取得した精製酵素を公知の方法でN末端およびC末端のアミノ酸配列を解析した。その結果より、図1に示すディジェネレートプライマー(配列番号1及び2)を設計し、 Acinetobacter calcoaceticus F46 (AKU 724)株より調製した染色体DNAを鋳型としたPCR(宝酒造;Ex Tap)にて目的遺伝子を増幅させた。
配列番号1:gtigayatht tytayaarga ytgg
配列番号2:arrtcyttrt tnatigtytc igcytg
得られた部分断片をプローブとしてXbaIにて処理した染色体DNAにサザンハイブリダイゼーションを行った。アガロース電気泳動にてシグナルの得られたDNA断片を回収し、プラスミドベクターpBluescript SK+にライゲーションした。これをエセリキア・コリ(Escherichia coli)DH5αに形質転換し、コロニーハイブリダイゼーションによりポジティブクローンのスクリーニングを行った。得られたポジティブクローンよりプラスミドを回収し、デリューションミュータントを作成した後、シーケンス解析により、目的遺伝子の全長を含む5.7kbのDNA断片を取得した。このDNA断片をプラスミドpKK223-3のtacプロモーターの下流につなぎ、発現用プラスミドpDCH21を作成した。これを大腸菌JM109株に形質転換した。
【0033】
〔実施例11〜14〕
1mM IPTG(イソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド)を含むLB培地 100mlで参考例2で作成した組換え大腸菌を37℃、18時間培養した。遠心分離で集菌、洗浄後、50mMリン酸バッファー(pH7.0)5mlに懸濁し、菌体濃縮液とした。
90mlの50mMリン酸バッファー(pH7.0)に表2に示すラセミ体原料 5gを懸濁し、上記菌体濃縮液を加え、室温で約20時間反応した。この間、反応液のpHは、10%NaOH水溶液を用いて7.0に調整した。反応終了液を酢酸エチルで抽出、濃縮し、未反応のエステルを回収した。各化合物は実施例2〜5と同様に処理し、光学純度を測定した。その結果を表2に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
〔実施例15〕
実施例14と同様にラセミ体メチルコハク酸ジメチルを反応した。反応終了液を酢酸エチルで抽出、濃縮し、未反応のエステルを回収した。未反応メチルコハク酸ジメチルの光学純度を測定したところ、S体99%eeであった。次いで水層のpHを希硫酸で2.0に下げた後、水相中のカルボン酸分を酢酸エチルで抽出した。溶媒を蒸発除去し、光学活性α−メチルコハク酸−4−モノエステルを得た。これをメタノール/硫酸でエステル化し、光学分割カラム(キラルセルOD、ダイセル化学工業(株)社製)を用いて光学純度を測定したところ、(R)体で95%eeであった。また、1H−NMRより、得られたモノエステルは4−エステルのみで、1−エステルの混在は認められなかった。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、医薬、農薬等の原料又は合成中間体として有用な光学活性カルボン酸及びその対掌体エステル類を酵素反応により効率よく製造することが可能である。
【0037】
【配列表】
【0038】
【配列表フリーテキスト】
配列番号1:合成 DNA
配列番号2:合成 DNA
Claims (6)
- 一般式(I)
[式中、R1はアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アシル基、アミノ基、アミノアシル基、水酸基、ニトリル基、ニトロ基、アルコキシル基、水素原子、-COOR'3、(R'3は炭素原子数1〜6のアルキル基を示す)を示し、R2は置換又は非置換の炭素原子数1〜3のアルキル基を示し、R3は炭素原子数1〜6のアルキル基を示し、n=1〜3の整数を示す]で表されるラセミ体カルボン酸エステルに、アシネトバクター(Acinetobacter)属に属し、且つ該エステル結合を不斉加水分解能を有する微生物菌体、菌体培養液、菌体処理物又は該微生物により生産される酵素を作用させることを特徴とする下記一般式(II);
(式中、R1、R2およびnは前記と同義であり、*は不斉炭素を示す)
で示される光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。 - 不斉加水分解能を有する微生物が、アシネトバクター(Acinetobacter)属由来の不斉加水分解酵素遺伝子を導入した遺伝子組換え体微生物である請求項1記載の光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。
- 一般式(I)及び(II)に示すR1が-COOR'3である請求項1又は2記載の光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。
- 一般式(I)及び(II)に示すR1が水酸基である請求項1又は2記載の光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。
- 一般式(I)及び(II)に示すR1がアミノアシル基である請求項1又は2記載の光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。
- 一般式(I)及び(II)に示すR1がニトリル基である請求項1又は2記載の光学活性カルボン酸及びその未反応対掌体エステルの製造方法。
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