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JP4519375B2 - 燃料電池 - Google Patents

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JP4519375B2
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憲朗 光田
秀雄 前田
育弘 吉田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、燃料電池に関するもので、特に固体高分子形燃料電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は電解質を介して一対の電極を有したものであり、この電極の一方に燃料を、他方に酸化剤を供給して燃料と酸化剤とを電気化学的に反応させることによって化学エネルギを直接電気エネルギに変換するものである。即ち、燃料電池の燃料である水素ガスを一方の電極である燃料極に供給し、酸化剤である酸素を他方の電極である酸化剤極に供給して各電極で下記のような化学反応式(1)及び(2)で示される反応を起こさせることにより起電力を発生させるのである。
燃料極: H2→2H++2e- …(1)
酸化剤極:2H++2e-+(1/2)O2→H2O …(2)
【0003】
近年では、高出力の得られる燃料電池として、電解質に固体高分子電解質膜を用いた固体高分子型燃料電池が注目されている。例えば、図8は、従来の燃料電池の構成を模式的に示す要部断面図であるが、図8において、燃料電池101は、電解質膜102と、この電解質膜102の一面に接触し、燃料である水素が供給される燃料極103と、電解質膜102の他面に接触し、酸化剤である酸素を含む空気が供給される酸化剤極104とを備えている。燃料極103は、燃料極触媒層105と、この燃料極触媒層105に接触して水素を拡散させる燃料側カーボンペーパ106とを有している。また、酸化剤極104も酸化剤極触媒層107と、この酸化剤極触媒層107に接触して空気を拡散させる空気側カーボンペーパ108とを有している。さらに、燃料電池101は、燃料側カーボンペーパ106に接触して燃料極103に水素を供給する燃料流路109を有したカーボン製の燃料側セパレータ110と、空気側カーボンペーパ108に接触して酸化剤極104に空気を供給する空気流路111を有したカーボン製の空気側セパレータ112とを備えている。
【0004】
電解質膜102は、例えば固体高分子電解質膜であるパーフルオロスルホン酸ポリマーであり、この電解質膜102の両面にそれぞれ例えば白金ルテニウム合金触媒が混入した燃料極触媒層105と白金触媒が混入した酸化剤極触媒層107とが塗布されている。また、水素の漏れを防止するための燃料ガスケット113が燃料極103周囲の電解質膜102と燃料側セパレータ110との間に配置され、空気の漏れを防止するための空気ガスケット114が酸化剤極104周囲の電解質膜102と空気側セパレータ112との間に配置されている。
【0005】
このような構成の燃料電池101は、以下のようにして作製される。まず、カーボンブラックの粉末の表面に白金ルテニウム合金(白金:ルテニウムの原子比=1:1)を付着させたものをパーフルオロスルホン酸系の固体高分子電解質のアルコール溶液に入れ混合して燃料極触媒層用インクを作製し、カーボンブラックの粉末の表面に白金を付着させたものを同じくパーフルオロスルホン酸系の固体高分子電解質のアルコール溶液に入れ混合して酸化剤極触媒層用インクを作製する。燃料極触媒層用インク及び酸化剤極触媒層用インクを2枚のポリテトラフルオロエチレンシート(以下、PTFEシートという)にそれぞれスクリーン印刷にて塗布する。燃料極触媒層用インクを塗布したPTFEシート及び酸化剤極触媒層用インクを塗布したPTFEシートを加熱してそれぞれのインクを乾燥させた後、パーフルオロスルホン酸系電解質膜(例えば、デュポン社製、商品名:ナフィオン膜)である電解質膜102の両面にそれぞれ乾燥した燃料極触媒層用インク及び乾燥した酸化剤極触媒層用インクが接触するように、2枚のPTFEシートを電解質膜102の両側から挟み込む。この状態で固体高分子電解質膜のガラス転位点付近でホットプレスし、燃料極触媒層用インク及び酸化剤極触媒層用インクが電解質膜102に熱融着する。その後、2枚のPTFEシートを除去して、図9に示すように、電解質膜102の両面にそれぞれ燃料極触媒層用インクが燃料極触媒層105として残り、酸化剤極触媒層用インクが酸化剤極触媒層107として残る。
【0006】
その後、燃料極触媒層105に燃料側カーボンペーパ106を重ね、燃料極触媒層105の周囲に燃料ガスケット113を配置して、燃料側セパレータ110を燃料側カーボンペーパ106及び燃料ガスケット113に重ねる。同様に、酸化剤極触媒層107に空気側カーボンペーパ108を重ね、酸化剤極触媒層107の周囲に空気ガスケット114を配置して、空気側セパレータ112を空気側カーボンペーパ108及び空気ガスケット114に重ねる。このようにして燃料電池101を作製する。
【0007】
次に、動作について説明する。図10は、従来の燃料電池における発電時の電解質膜102内の状態を模式的に示す説明図である。図8及び図10において、電解質膜102に塗布された燃料極触媒層105には、燃料流路109から燃料側カーボンペーパ106を介して水素ガスが供給される。また、燃料極触媒層105に対向する電解質膜102表面に塗布された酸化剤極触媒層107には、空気流路111から空気側カーボンペーパ108を介して空気が供給される。外部負荷115が、燃料極103に燃料側セパレータ110を介して接続され酸化剤極104に空気側セパレータ112を介して接続されると、燃料極触媒層105では金属触媒の白金−ルテニウム合金により水素ガスは上記式(1)の反応を行い、電解質膜102内に水素イオン(H+)が供給される。この反応により水素イオンとともに発生した電子(e)は外部負荷115を通って酸化剤極112に到達する。電解質膜102は十分に水を含んでおり、燃料極103側で発生した水素イオンは水和して水を引き連れつつ酸化剤極104に向かい、電子及び酸素と上記式(2)の反応をすることにより水が生成する。この反応動作が繰り返されることにより電子が移動し、外部負荷115に電流が流れる。
【0008】
例えば、燃料電池101を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、即ち高い加湿状態の場合、燃料電池101は、電流密度0.5A/cm2において、0.58V/単セルという結果が得られている。また、同様に70℃に保温したバブラで水素及び空気を供給するが、この水素に一酸化炭素100ppmを含ませて供給した場合、電流密度0.5A/cm2において、0.50V/単セルという結果が得られている。これは、後述するように燃料の水素に一酸化炭素が含まれている場合を想定している。さらに、80℃に保温した燃料電池101に60℃に保温したバブラで加湿した水素及び空気を供給した場合、即ち低い加湿状態の場合、電流密度0.5A/cm2において、0.45V/単セルという結果が得られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、上述のように水素イオンは燃料極103から酸化剤極104に移動する際に電解質膜102内の水を引き連れて移動し、また、酸化剤極104における式(2)の反応によっても水が生じるので、酸化剤極104は水が溜まりやすく、逆に燃料極103は水の移動により乾燥しやすくなる。
【0010】
燃料極103と酸化剤極104との間にこのような水の移動によって含水率の勾配ができると、酸化剤極104から燃料極103に向かって水が移動しようとする力が生じるが、電解質膜102の一面のほぼ全体に燃料極触媒層105が塗布され、燃料極触媒層105に対向する面のほぼ全体に酸化剤極触媒層107が塗布されているので、電解質膜102内では、水素イオンが水和して燃料極103から酸化剤極104に全体的に移動し、含水率の勾配による酸化剤極104から燃料極103への移動が妨げられる。また、酸化剤極104に滞留している水は、酸化剤極触媒層107あるいは空気側カーボンペーパ108を通過して燃料電池101外に一部排出されるが、この酸化剤極104は緻密であるためこの水の排出が不十分であり、やはり酸化剤極104に水が溜まりやすく、燃料極103は乾燥しやすくなる。
【0011】
燃料極103の乾燥を防止するために高い加湿状態とすると、酸化剤極104に水が滞留することを助長し、酸化剤極触媒層107あるいは空気側カーボンペーパ108内の細孔に水が入り込んでしまうため、酸化剤極触媒層107に空気が十分に供給されず、酸化剤極104での反応がスムーズに行われないという問題点があった。
【0012】
また、酸化剤極104の水の滞留を防止するために低い加湿状態とすると、燃料極103が乾燥することを助長し、発生した水素イオンが水和して酸化剤極104に移動することができず、イオン伝導抵抗が増大し、水素イオンを酸化剤極104に十分供給することができないという問題点もあった。
【0013】
また、電解質膜102の膜厚を薄くして、燃料極103と酸化剤極104との含水率の勾配を大きくすることによって、酸化剤極104から燃料極103への水の移動を活発にさせる方法もあるが、電解質膜102の膜厚が薄くなると、電解質膜102が破れやすくなる等の危険性が増大するという問題点もあった。
【0014】
また、一般に燃料としての水素は都市ガスあるいはメタノール等から生成されるため、副産物として一酸化炭素等が燃料の水素に含まれる。この水素中の一酸化炭素は金属触媒の白金に吸着するため、このような燃料を用いると、白金の触媒としての機能が低減する。これを防止するために燃料極触媒層105にルテニウムを添加して白金−ルテニウム合金として金属触媒に用いている。しかし、ルテニウムが添加されればそれだけ白金の量が相対的に減ることから、一酸化炭素を含まない水素を燃料とする場合では、金属触媒にルテニウムを多く含む触媒を用いるのは適当でない。このように燃料の組成によって最適な金属触媒の組成が異なるため、ある組成の金属触媒を燃料極触媒層105に用いて、その金属触媒が触媒としての機能を発揮できる燃料を供給した場合を除き、燃料極触媒層105は十分な性能を得ることができないという問題点もあった。
【0015】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、幅広い範囲の加湿状態で、酸化剤極における水の滞留、及び燃料極の乾燥を防止し、燃料の組成の変化にも対応できるとともに、電解質膜が破れにくく信頼性の高い燃料電池を得ることを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一面に設けられ、燃料が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する燃料極と、前記電解質膜の他面に設けられ、酸化剤が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する酸化剤極とを備えた燃料電池であって、前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、複数の相互に分割された分割触媒部から構成されており、互いに隣り合う前記分割触媒部の間に隙間が存在しており、隣り合う前記分割触媒部は、それぞれ2種類以上の親水性の異なる前記分割触媒部から構成されている。
【0018】
また、前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる量の前記金属触媒を含んでいる。
【0019】
また、前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる組成の前記金属触媒を含んでいる。
【0020】
また、前記触媒層は、前記分割触媒部の間の前記隙間に前記分割触媒部の親水性と異なる親水性の充填材料が充填されている。
【0021】
また、前記燃料極の前記分割触媒部は、少なくとも前記酸化剤極の前記分割触媒部の間の前記隙間の一部に対向している。
【0022】
また、前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、一部が前記電解質膜に埋め込まれている。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は側面図である。図1において、燃料電池1は、電解質膜102と、この電解質膜102の一面に接触している燃料極3(図8の燃料極103に対応している)と、電解質膜102の他面に接触している酸化剤極4(図8の酸化剤極104に対応している)とを備えている。燃料極3は、電解質膜102に塗布された燃料極触媒層5と、この燃料極触媒層5に重ねられた燃料側カーボンペーパ106とを有している。酸化剤極4は、電解質膜102に塗布された酸化剤極触媒層7と、この酸化剤極触媒層7に重ねられた空気側カーボンペーパ108とを有している。
【0024】
燃料極触媒層5は、複数の分割触媒部51を有している。この分割触媒部51は、それぞれ六角形となっており、互いに隣り合う分割触媒部51の間に隙間が存在するようになっている。ここでは各分割触媒部51の面積を約0.5cm2、隙間の幅を約0.5mmとしているが、この値及び形状に限定されることはない。各分割触媒部51間の隙間の面積は、電池性能の低下しない範囲で任意に設定できる。また、形状は四角形あるいは円形等であってもよい。各分割触媒部51は、従来と同様に白金−ルテニウム合金が金属触媒としてカーボンブラックに混入されている。
【0025】
酸化剤極触媒層7は、燃料極触媒層5と同様に複数の分割触媒部71を有している。この分割触媒部71もそれぞれ六角形となっているが、この形状に限定されることはない。また、互いに隣り合う分割触媒部71の間には隙間が存在しており、各分割触媒部71の面積は約0.5cm2で、隙間は約0.5mmであるが、燃料極触媒層5の各分割触媒部51と同様に、この値に限定する必要はない。さらに、各分割触媒部71は各分割触媒部51と電解質膜102を介して互いに対向して設けられている。この分割触媒部71も従来と同様に白金が金属触媒としてカーボンブラックに混入されている。他の構成は従来例と同様となっている。
【0026】
このような燃料電池1は、電解質膜102に燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7を以下のようにして塗布する。従来例と同様にして燃料極触媒層用インク及び酸化剤極触媒層用インクを作製し、それぞれのインクを六角形の分割触媒部51あるいは71が複数印刷できるようにマスキングを施したスクリーンを用いて2枚のPTFEシートに印刷する。その後の方法は従来例と同様である。
【0027】
従って、このような構成の燃料電池1は、燃料極触媒層5が分割触媒部51を有し、酸化剤極触媒層7が分割触媒部71を有しているので、図2に示すように、燃料極触媒層5では燃料の水素が分割触媒部51間の隙間を通じて、反応が最も活発な分割触媒部51及び電解質膜102の界面に直接到達し、分割触媒部51と電解質膜102との間で水素イオンと電子とになりやすい。また、酸化剤極触媒層7では上記式(2)の反応により生成した水、及び燃料極触媒層5からの水素イオンが移動することにより水和して引き連れて移動してきた水が分割触媒部71間の隙間を通じて排出されやすく、水の妨害により空気が、反応の最も活発な分割触媒部71及び電解質膜102の界面に供給されにくくなることを防止する。さらに、各分割触媒部51は各分割触媒部71に電解質膜102を介して対向しているので、各分割触媒部51から水素イオンが各分割触媒部71に向かって移動するが、各分割触媒部51間の隙間と各分割触媒部71間の隙間との間では対向する部分に金属触媒が存在しないため水素イオンを燃料極触媒層5から酸化剤極触媒層7に向かって移動させる力は働かない。従って、この部分の電解質膜102では含水率の勾配によって生じる力が支配的となり、酸化剤触媒層7に滞留している水が燃料極触媒層5に移動する。この移動により燃料極触媒層5においても乾燥せずに水が保持され、水素イオンのイオン伝導抵抗の増大が抑えられる。
【0028】
また、電解質膜102は温度あるいは湿度等により伸縮するが、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7は、それぞれ複数の分割触媒部51及び71を有しているので、これらの分割触媒部51間の隙間及び分割触媒部71間の隙間が伸縮することにより、燃料極触媒層5及び酸化剤触媒層7と電解質膜102との間に発生する応力を吸収し、電解質膜102に作用する応力による電解質膜102の破れ、あるいは分割触媒部51及び71に作用する応力によって生じる内部構造変化による分割触媒部51及び71の寿命の短縮等を防止する効果もある。
【0029】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、即ち高い加湿状態の場合、燃料電池1は、電流密度0.5A/cm2において、0.62V/単セルという結果が得られている。また、同様に70℃に保温したバブラで水素及び空気を供給するが、この水素に一酸化炭素100ppmを含ませて供給した場合、電流密度0.5A/cm2において、0.55V/単セルという結果が得られている。さらに、80℃に保温した燃料電池1に60℃に保温したバブラで加湿した水素及び空気を供給した場合、即ち低い加湿状態の場合、電流密度0.5A/cm2において、0.52V/単セルという結果が得られている。
【0030】
なお、燃料極触媒層5のみが分割触媒部51を有している構成である場合は、分割触媒部51間の隙間から水素がこの隙間を通じて、反応が最も活発な分割触媒部51及び電解質膜102の界面に直接供給されて分割触媒部51と電解質膜102との間で水素イオンになりやすく、また水素イオンになりやすい分割触媒部51が接触する電解質膜102内では水素イオンが水和して燃料極触媒層5から酸化剤極触媒層7に移動する力が支配的となるが、各分割触媒部51間の隙間となっている電解質膜102内では水素は水素イオンになりにくいため、含水率の勾配による力が支配的となり水は酸化剤極触媒層7から燃料極触媒層5に移動する。従って、このような構成としても構わない。
【0031】
また、酸化剤極触媒層7のみが分割触媒部71を有している構成である場合は、分割触媒部71間の隙間から滞留する水が排出されやすく、また水素イオンと反応して水になりやすい分割触媒部71が接触する電解質102内では水素イオンが水和して燃料極触媒層5から酸化剤極触媒層7に移動する力が支配的となるが、分割触媒部71間の隙間となっている電解質膜102内では水素イオンが空気中の酸素と反応しにくいため、水素イオンがこの隙間に向かって移動せず含水率の勾配による力が支配的となり酸化剤極触媒層7から燃料極触媒層5に移動する。従って、このような構成としても構わない。
【0032】
また、燃料極触媒層5の各分割触媒部51の間、及び酸化剤極触媒層7の各分割触媒部71の間には、隙間が存在すれば同様の効果を奏するので、例えば互いに隣り合う分割触媒部51の一部が繋がっている等、隙間が連続でなく分割が不完全な構成としても構わない。
【0033】
実施の形態2.
図3は、この発明の実施の形態2に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図3(a)は燃料極側から見た正面図、図3(b)は酸化剤極側から見た正面図、図3(c)は側面図である。図3において、燃料電池1は、電解質膜102と、この電解質膜102の一面に接触している燃料極3と、電解質膜102の他面に接触している酸化剤極4とを備えている。燃料極3は、電解質膜102に塗布された燃料極触媒層5と、この燃料極触媒層5に重ねられた燃料側カーボンペーパ106とを有している。酸化剤極4は、電解質膜102に塗布された酸化剤極触媒層7と、この酸化剤極触媒層7に重ねられた空気側カーボンペーパ108とを有している。
【0034】
燃料極触媒層5は、親水性の分割触媒部52aと、この親水性の分割触媒部52aより親水性の小さい撥水性の分割触媒部52bとを有している。これら分割触媒部52a及び52bは、実施の形態1の分割触媒部51と形状及び大きさが同一となっている。親水性の分割触媒部52aは、例えば実施の形態1の2倍の重量の固体高分子電解質を用い、また撥水性の分割触媒部52bは、例えばPTFE(テフロン(登録商標))分散液をカーボンブラックに含浸し、乾燥後、350℃で焼成した粉末を用いて、実施の形態1と同様の方法により電解質膜102に塗布されている。また、親水性の分割触媒部52aの数は撥水性の分割触媒部52bの数の3倍で、全体として親水性の分割触媒部52aの総面積が撥水性の分割触媒部52bの総面積の3倍となっている。この親水性の各分割触媒部52a及び撥水性の各分割触媒部52bは電解質膜102の表面に均等に塗布されている。
【0035】
酸化剤極触媒層7は、親水性の分割触媒部72aと、この親水性の分割触媒部72aより親水性の小さい撥水性の分割触媒部72bとを有している。これら分割触媒部72a及び72bは、実施の形態1の分割触媒部71と形状及び大きさが同一となっている。親水性の分割触媒部72a及び撥水性の分割触媒部72bは、それぞれ燃料極触媒層5の親水性の分割触媒部52a及び撥水性の分割触媒部52bと同様の方法により作製され電解質膜102に塗布されている。また、親水性の分割触媒部72aの数は撥水性の分割触媒部72bの数の3分の1で、全体として親水性の分割触媒部72aの総面積が撥水性の分割触媒部72bの総面積の3分の1となっている。この親水性の各分割触媒部72a及び撥水性の各分割触媒部72bは電解質膜102の表面に均等に塗布されている。
【0036】
このような構成の燃料電池1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7のそれぞれの親水性の分割触媒部52a及び72aが水を含んで保持しやすいため、低い加湿状態でこれら親水性の分割触媒部52a及び72aの周囲が乾燥してきた場合に、水を供給して電解質膜102の乾燥を防止する。また、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7のそれぞれの撥水性の分割触媒部52b及び72bは、その分割触媒部52b及び72b自体の細孔が水没しにくいため、高い加湿状態でこれら撥水性の分割触媒部52b及び72bに水が滞留してきた場合に、分割触媒部52b及び72bの細孔を確保してそれぞれ水素及び空気を電解質膜102に円滑に供給することができる。
【0037】
従って、高い加湿状態及び低い加湿状態ともに、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7において反応性が良く、幅広い範囲の加湿状態で対応できる。通常、乾燥しやすい燃料極触媒層5に親水性の分割触媒部52aの数が多く、水が滞留しやすい酸化剤極触媒層7に撥水性の分割触媒部72bの数が多く配置されるが、加湿の状態あるいは分割触媒部同士の隙間の大きさ等により電解質膜102内の水の移動状態が異なるので、加湿等の条件に合わせて燃料極触媒層5における親水性の分割触媒部52aの総面積と撥水性の分割触媒部52bの総面積との比、及び酸化剤極触媒層7における親水性の分割触媒部72aの総面積と撥水性の分割触媒部72bの総面積との比は、自由に選択できる。
【0038】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、即ち高い加湿状態の場合、燃料電池1は、電流密度0.5A/cm2において、0.63V/単セルという結果が得られている。また、80℃に保温した燃料電池1に60℃に保温したバブラで加湿した水素及び空気を供給した場合、即ち低い加湿状態の場合、電流密度0.5A/cm2において、0.55V/単セルという結果が得られている。
【0039】
なお、親水性の各分割触媒部52a及び72aは、上記のように固体高分子電解質の量を例えば2倍にして親水性の度合いを調整してもよいが、例えばシリカゲル等の親水性を有する粉末をカーボンブラックに混ぜ合わせて親水性の度合いを調整してもよい。また、撥水性の各分割触媒部52b及び72bは、上記のようにPTFEの撥水性を利用してもよいが、例えば撥水性を有するシリコン系の粉末をカーボンブラックに混合しても構わない。
【0040】
また、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7は含まれる金属触媒の量が異なるとその親水性も異なる。従って、各分割触媒部52a、52b、72a及び72bに含まれる金属触媒量を変化させるだけで容易に各分割触媒部の親水性及び撥水性を変化させることができる。
【0041】
また、燃料極触媒層5にのみ親水性の分割触媒部52a及び撥水性の分割触媒部52bを適用していれば、燃料極触媒層5での水保持状態及び燃料供給能力が向上するので、酸化剤極触媒層7が従来の酸化剤触媒層あるいは実施の形態1の酸化剤触媒層等のどのような酸化剤極触媒層であっても構わない。同様に、酸化剤極触媒層7にのみ親水性の分割触媒部72a及び撥水性の分割触媒部72bを適用していれば、酸化剤極触媒層7での空気の供給あるいは滞留する水の排出が円滑に行われるので、燃料極触媒層5がどのような燃料極触媒層であっても構わない。
【0042】
実施の形態3.
図4は、この発明の実施の形態3に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図4(a)は燃料極側から見た正面図、図4(b)は側面図である。図4において、燃料極触媒層5は、金属触媒の組成が異なる、分割触媒部53a及び分割触媒部53bを有している。分割触媒部53aは、白金−ルテニウム合金(白金:ルテニウムの原子比=2:1)が金属触媒として用いられており、分割触媒部53bは、白金−ルテニウム合金(白金:ルテニウムの原子比=1:2)が金属触媒として用いられている。また、ここでは、分割触媒部53aの総面積は分割触媒部53bの総面積の3倍となっている。各分割触媒部53a及び53bの形状あるいは各分割触媒部間の隙間は実施の形態1と同様であり、他の構成も実施の形態1と同様である。
【0043】
燃料極触媒層5は、白金:ルテニウムの原子比が2:1の白金−ルテニウム合金の粉末を付着させたカーボンブラックを用いて分割触媒部53aを、白金:ルテニウムの原子比が1:2の白金−ルテニウム合金の付着させたカーボンブラックを用いて分割触媒部53bを、実施の形態1と同様の方法で電解質膜102に塗布することにより形成されている。
【0044】
ここで、ルテニウムは一酸化炭素に吸着しにくい性質を有するので、白金−ルテニウム合金中のルテニウム含有比率が大きいほど、一酸化炭素を含む燃料に対しても触媒としての機能を減退させず維持することができる。しかし、白金−ルテニウム合金中のルテニウム含有比率が高くなると、相対的に触媒としての機能に優れた白金の含有比率が低くなり、白金−ルテニウム合金全体としての触媒としての機能が低下する。従って、一酸化炭素含有量の多い燃料に対してはルテニウム含有比率の高い白金−ルテニウム合金を用いるのが適しており、一酸化炭素含有量の少ない燃料に対してはルテニウム含有比率の低い白金−ルテニウム合金を用いるのが適している。
【0045】
このことから、このような構成の燃料電池1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、天然ガス等から生成した一酸化炭素を含む水素ガスを燃料とする場合であっても、主としてルテニウムの含有比率の高い分割触媒部53bにより触媒としての機能を維持でき、純水素あるいは微量の一酸化炭素しか含まない水素ガスを燃料とする場合であっても、主としてルテニウムの含有比率の低い分割触媒部53aにより触媒としての機能を発揮でき、燃料の組成が変化しても触媒としての機能を維持することができる。
【0046】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素に一酸化炭素100ppmを含ませて供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、電流密度0.5A/cm2において、0.59V/単セルという結果が得られている。
【0047】
なお、白金−ルテニウム合金のルテニウム含有比率は燃料の組成の変化により選択できるので、上記の比率に限定されないし、分割触媒部53aの総面積と分割触媒部53bの総面積との比率も上記の比率に限定されない。また、例えば分割触媒部53aには白金−ルテニウム合金、分割触媒部53bには白金−モリブデン合金というように、一酸化炭素に対して耐性のある種類の異なる金属触媒を、分割触媒部53a及び53bにそれぞれ用いても構わない。
【0048】
また、酸化剤極触媒層7の分割触媒部71に例えば金属触媒として白金−ニッケル合金等を混入すると、さらに上記式(2)の反応が活発になる。
ここで、酸化剤極触媒層7には、上述のように空気流路111を通じて空気が供給されている。この空気流路111の入口から侵入した空気は酸化剤極触媒層7及び電解質膜102の界面で上記式(2)の反応を行って空気中の酸素が消費され、酸素の含有量の少ない状態で空気流路111の出口から排出される。従って、空気流路111の入口付近では空気中の酸素量が多いので消費される酸素も多いが、空気流路111の出口付近には入口付近で酸素が消費されて酸素含有量の少なくなった空気が供給されてくるので空気中の酸素を多く消費することができない。即ち、酸化剤極触媒層7内の位置のよって消費される酸素量が異なり、全体として酸化剤極触媒層7及び電解質膜102の界面での均一な反応ができない傾向にある。これにより、反応が活発になる傾向にある空気流路111の入口付近では、反応熱により温度が高くなって酸化剤極触媒層7に含まれる金属触媒が劣化しやすくなる。その結果、酸化剤極触媒層7全体としての寿命も短くなる。このような弊害を防止するために、分割触媒部71に異なる組成の金属触媒を混入して、酸化剤極触媒層7全体において均一に上記式(2)の反応をさせるようにしてもよい。即ち、例えば白金−ニッケル合金を分割触媒部71に混入し、この白金とニッケルとの原子比を空気流路111の入口付近と出口付近とで異ならせることにより反応速度を異ならせ、空気流路111の入口付近での酸素消費量と出口付近での酸素消費量とを均一に調整することにより、上記弊害を防止できるのである。また、合金でなく純金属の種類を異ならせることにより酸素消費量を均一にしても構わない。さらに、当然のことながら、同一種類の金属触媒でも、その量を異ならせることにより同様の効果を得ることができる。
【0049】
実施の形態4.
図5は、この発明の実施の形態4に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図5(a)は燃料極側から見た正面図、図5(b)は酸化剤極側から見た正面図、図5(c)は側面図である。図5において、燃料極触媒層5の各分割触媒部51間の隙間には、分割触媒部51より親水性の高い充填材料55aが充填されている。酸化剤極触媒層7の各分割触媒部71間の隙間には、分割触媒部71より親水性の低い、即ち分割触媒部71より撥水性を有する充填材料75aが充填されている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0050】
燃料極触媒層5の充填材料55aは、親水性を高めるためにシリカの粉末を含んでいる。この充填材料55aは、シリカの粉末をパーフルオロスルホン酸系の固体高分子電解質のアルコール溶液に混入してインクを作製し、スクリーン印刷にてPTFEシートに塗布し、乾燥後、電解質膜102に熱転写することにより電解質膜102表面に形成されている。
【0051】
酸化剤極触媒層7の充填材料75aは、撥水性を高めるためにPTFEの粉末を含んでいる。この充填材料75aは、PTFEの粉末をパーフルオロスルホン酸系の固体高分子電解質のアルコール溶液に混入してインクを作製し、充填材料55aと同様の方法により電解質膜102表面に形成されている。
【0052】
このような構成の燃料電池1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、燃料極触媒層5の分割触媒部51間の隙間に親水性の充填材料55aが充填されて水を確保しているので、低い加湿状態で燃料極触媒総5及びこの燃料極触媒層5に電解質膜102が接触している部分が乾燥状態になった場合でも、この水を確保している充填材料55aが周囲の分割触媒部51及び電解質膜102に水を供給することができる。
【0053】
また、酸化剤極触媒層7の分割触媒部71間の隙間に撥水性の充填材料75aが充填されているので、酸化剤極触媒層7に水が滞留しても、この充填材料75aの部分が水を吐き出しこの部分を通じて空気を分割触媒部71及び電解質膜102の界面に円滑に導くことができる。
【0054】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、即ち高い加湿状態の場合、燃料電池1は、電流密度0.5A/cm2において、0.64V/単セルという結果が得られている。また、80℃に保温した燃料電池1に60℃に保温したバブラで加湿した水素及び空気を供給した場合、即ち低い加湿状態の場合、電流密度0.5A/cm2において、0.57V/単セルという結果が得られている。
【0055】
なお、燃料極触媒層5の充填材料55aは、加湿あるいは分割触媒部51間の隙間の大きさ等の条件により、燃料極触媒層5に水が滞留する場合には、燃料としての水素ガスを充填材料55aを通じて分割触媒部51及び電解質膜102の界面に導くことができるので、撥水性を有していても構わない。
【0056】
また、酸化剤極触媒層7の充填材料75aは、同様に酸化剤極触媒層7が乾燥する場合には、周囲の分割触媒部71及び電解質膜102に水を供給することができるので、親水性を有していても構わない。
【0057】
また、燃料極触媒層5及び酸化剤極触媒層7のいずれか一方のみに、充填材料55aあるいは75aが用いられていても、上記理由により構わない。
【0058】
実施の形態5.
図6は、この発明の実施の形態5に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は側断面図である。図6において、燃料極触媒層5の分割触媒部51及び酸化剤極触媒層7の分割触媒部71は、それぞれ一部分が電解質膜102に埋め込まれている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0059】
これら分割触媒部51及び71は、実施の形態1と同様にして電解質膜102に塗布されるが、電解質膜102に熱融着される際にプレス圧力を高め各分割触媒部51及び71の底面を電解質102に沈み込ませている。
【0060】
このような構成の燃料電池1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、各分割触媒部51及び71の一部分が電解質膜102に埋め込まれているので、分割触媒部51と分割触媒部71との間の距離が電解質膜102の膜厚より小さく、水素イオン及び水の移動が容易となり、また、分割触媒部51及び71と電解質膜102との接触面積が実施の形態1より大きく、上記式(1)及び式(2)の反応面積が増大し、効率的に電力を発生することができる。
【0061】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、燃料電池1は、電流密度0.5A/cm2において、0.63V/単セルという結果が得られている。
【0062】
実施の形態6.
図7は、この発明の実施の形態6に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図7(a)は燃料極側から見た正面図、図7(b)は側面図である。図7において、燃料極触媒層5の各分割触媒部51は、酸化剤極触媒層7の各分割触媒部71に電解質膜102を介して完全に対向せず、少しずらして電解質膜102に塗布されている。即ち、各分割触媒部51は電解質膜102を介して対向する部分に酸化剤極触媒層7の分割触媒部71間の隙間が存在しており、2つ以上の分割触媒部71に跨って対向している。図7では、分割触媒部51は3つの分割触媒部71に跨って設けられている。他の構成は実施の形態1と同様である。
【0063】
このような構成の燃料電池1は、実施の形態1と同様の効果を奏するとともに、分割触媒部51及び71の少なくとも一方と電解質膜102とが接合された部分は、燃料極触媒層5の分割触媒部51間の隙間と酸化剤極触媒層7の分割触媒部71間の隙間とが互いに完全に対向する部分、即ち、電解質膜102のみの部分より機械的強度が高いため、全体として電解質膜102は分割触媒部51及び71に支えられ機械的強度が向上する。
【0064】
ここで、従来例と同様の条件で、燃料電池1を80℃に保温し、燃料流路109に70℃に保温したバブラ(図示しない)によって加湿した水素を供給し、空気流路111に同じく70℃に保温したバブラによって加湿した空気を供給した場合、燃料電池1は、電流密度0.5A/cm2において、0.62V/単セルという結果が得られている。
【0065】
なお、分割触媒部51及び71の両方が電解質膜102に埋め込まれている構成だけでなく、分割触媒部51及び71のいずれか一方が電解質膜102に埋め込まれていても同様の効果を奏する。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかな通り、この発明に係る燃料電池は、電解質膜と、前記電解質膜の一面に設けられ、燃料が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する燃料極と、前記電解質膜の他面に設けられ、酸化剤が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する酸化剤極とを備えた燃料電池であって、前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、複数の相互に分割された分割触媒部から構成されており、互いに隣り合う前記分割触媒部の間に隙間が存在しており、隣り合う前記分割触媒部は、それぞれ2種類以上の親水性の異なる前記分割触媒部から構成されているので、前記隙間の部分では、前記燃料がイオンになりにくく前記燃料極から前記電解質膜内を前記酸化剤極に向かって移動するイオンが少なくなり、前記酸化剤極に滞留した水が含水率の勾配によって前記酸化剤極から前記燃料極に向かって移動することから、前記燃料極の乾燥及び前記酸化剤極の水の滞留を防止できる。また、幅広い加湿条件に対して前記分割触媒部の触媒としての機能を維持することができる。
【0068】
また、前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる量の前記金属触媒を含んでいるので、新たに親水性あるいは撥水性の物質を前記分割触媒部に添加することなく、親水性の異なる前記分割触媒部を形成することができる。
【0069】
また、前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる組成の前記金属触媒を含んでいるので、前記燃料極の分割触媒部においては、前記燃料の組成が変化しても前記燃料極の前記触媒層全体として触媒としての機能を維持することができ、前記酸化剤極の分割触媒部においては、前記酸化剤極の前記触媒層内の位置によって前記酸化剤の濃度が異なる場合でも、前記濃度が異なることによる反応の偏りを小さくして、前記酸化剤極全体で均一に反応でき、前記酸化剤極の前記触媒層に高温部分が発生して前記触媒層を劣化させることを抑制し、前記触媒層の寿命を延ばすことができる。
【0070】
また、前記触媒層は、前記分割触媒部の間の前記隙間に前記分割触媒部の親水性と異なる親水性の充填材料が充填されているので、前記触媒層が乾燥した場合に前記充填材料がこの周囲の前記分割触媒部及び前記電解質膜に水を供給し、前記触媒層に水が滞留した場合に前記充填材料が水を吐き出し前記燃料あるいは前記酸化剤を前記電解質膜に導く通路を確保する。
【0071】
また、前記燃料極の前記分割触媒部は、少なくとも前記酸化剤極の前記分割触媒部の間の前記隙間の一部に対向しているので、前記電解質膜のみの部分が少なくなり、前記電解質膜は前記分割触媒部により支えられて機械的強度が向上する。
【0072】
また、前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、一部が前記電解質膜に埋め込まれているので、前記燃料極の前記触媒層と前記酸化剤極の前記触媒層との距離が小さくなってイオン及び水の移動が容易になり、前記触媒層と前記電解質膜との接触面積が増大して反応面積が増大し、効率的に電力を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図1(a)は上面図、図1(b)は側面図である。
【図2】 この発明の実施の形態1に係る燃料電池における発電時の電解質膜内の状態を模式的に示す説明図である。
【図3】 この発明の実施の形態2に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図3(a)は燃料極側から見た正面図、図3(b)は酸化剤極側から見た正面図、図3(c)は側面図である。
【図4】 この発明の実施の形態3に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図4(a)は燃料極側から見た正面図、図4(b)は側面図である。
【図5】 この発明の実施の形態4に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図5(a)は燃料極側から見た正面図、図5(b)は酸化剤極側から見た正面図、図5(c)は側面図である。
【図6】 この発明の実施の形態5に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図6(a)は上面図、図6(b)は側断面図である。
【図7】 この発明の実施の形態6に係る燃料電池の要部の構成を示す概略図であり、図7(a)は燃料極側から見た正面図、図7(b)は側面図である。
【図8】 従来の燃料電池の構成を模式的に示す要部断面図である。
【図9】 従来の燃料電池の電解質膜の両面にそれぞれ燃料極触媒層及び酸化剤極触媒層を塗布した状態の模式図であり、図9(a)は上面図、図9(b)は側面図である。
【図10】 従来の燃料電池における発電時の電解質膜内の状態を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
1 燃料電池、102 電解質膜、3 燃料極、4 酸化剤極、5 触媒層(燃料極触媒層)、7 触媒層(酸化剤極触媒層)、51,52a,52b,53a,53b,71,72a,72b,73a,73b 分割触媒部、55a,75a 充填材料。

Claims (6)

  1. 電解質膜と、
    前記電解質膜の一面に設けられ、燃料が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する燃料極と、
    前記電解質膜の他面に設けられ、酸化剤が供給されるとともに金属触媒を含んだ触媒層を有する酸化剤極とを備えた燃料電池であって、
    前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、複数の相互に分割された分割触媒部から構成されており、互いに隣り合う前記分割触媒部の間に隙間が存在しており、
    隣り合う前記分割触媒部は、それぞれ2種類以上の親水性の異なる前記分割触媒部から構成されていることを特徴とする燃料電池。
  2. 前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる量の前記金属触媒を含んでいることを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
  3. 前記親水性の異なる前記分割触媒部は、それぞれ異なる組成の前記金属触媒を含んでいることを特徴とする請求項に記載の燃料電池。
  4. 前記触媒層は、前記分割触媒部の間の前記隙間に前記分割触媒部の親水性と異なる親水性の充填材料が充填されていることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の燃料電池。
  5. 前記燃料極の前記分割触媒部は、少なくとも前記酸化剤極の前記分割触媒部の間の前記隙間の一部に対向していることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の燃料電池。
  6. 前記燃料極の前記触媒層及び前記酸化剤極の前記触媒層の少なくとも一方は、一部が前記電解質膜に埋め込まれていることを特徴とする請求項1乃至請求項の何れかに記載の燃料電池。
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