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JP4504585B2 - ポリオレフィン系フィラメント糸とポリアセタールフィラメント糸とからなる糸条 - Google Patents

ポリオレフィン系フィラメント糸とポリアセタールフィラメント糸とからなる糸条 Download PDF

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滋 中西
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有限会社よつあみ
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸を組み合わせてなる、特に釣糸に適した糸条に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、釣りの漁法が高度化するにつれて、釣糸に対してもより一層の高性能化が求められるようになり、より高強度で低伸度の釣糸の出現が望まれている。これに対し、高強力、低伸度で耐磨耗性、耐屈曲性および耐候性に優れている釣糸として、ポリオレフィン系樹脂、特に超高分子量ポリエチレン樹脂からなる釣糸が開発された。
しかし、かかる釣糸は比重が比較的小さいため、風や潮の影響を受けやすく、また潮流の早い場所や水深の深い場所では魚のいる棚に釣り糸を迅速かつ的確に投入できないため、かかる釣糸の高比重化が望まれていた。かかる要望に対し、ポリオレフィン系樹脂からなる糸条と全芳香ポリエステル樹脂からなる糸条〔例えば、ベクトラン(商品名 株式会社クラレ製)〕を組み合わせた釣糸が知られている。しかし、かかる釣糸は耐光性に劣り、長期間の使用が困難なものであった。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる釣糸は、いわゆるコシがなく、例えば釣り竿のガイドに絡まりやすいなどの問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸の高比重化と、剛性の付与を一挙に達成できる糸条を提供することを目的とする。
本発明は、また、高強度かつ低伸度で、耐磨耗性・耐光性に優れた糸条を提供することを目的とする。
本発明は、さらに、釣糸として実用的な比重とコシを有する釣糸を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ポリアセタール樹脂が比重1.45程度と、繊維として用いられる樹脂の中ではポリ塩化ビニリデンについで高比重であるため、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸を組み合わせることによってポリオレフィン系樹脂からなる糸条の高比重化が達成できるという知見を得た。また、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸は剛性を有することから、上記組み合わせによりポリオレフィン系樹脂からなる糸条に剛性を与えることができるということも知見した。さらに、上記のように組み合わせた糸条は、上述した従来の糸条と異なり耐光性に優れ、また耐磨耗性にも優れているため、長期間の使用にも充分に耐え得るという思いがけない知見を得た。
本発明者らは、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを組み合わせてなり、このポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸が、単に引き揃えた引き揃え糸であるか、或いは撚りをかけた撚り糸または製紐した製紐糸であることを特徴とする糸条、
(2)ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを組み合わせてなり、このポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂で融着一体化させてなることを特徴とする糸条、
(3)ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸およびポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の少なくとも一方が、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂を塗布または含浸させたフィラメント糸であることを特徴とする前記(2)に記載の糸条、
(4)ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂からなる芯糸と、この芯糸の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とが断面形状において交互に配列するように製紐されてなる外糸部とからなることを特徴とする前記(2)に記載の糸条、
(5)低温熱接着性樹脂がポリオレフィン共重合体、ポリエステル共重合体またはポリアミド共重合体であることを特徴とする前記(2)〜(4)のいずれかに記載の糸条、
(6)低温熱接着性樹脂の融点が50〜160℃の範囲である前記(2)〜(5)のいずれかに記載の糸条、
(7)ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸が、超高分子量ポリエチレンフィラメント糸であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の糸条、
(8)ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の含有重量割合が、1〜20:1であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の糸条、
(9)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の糸条からなる釣糸、
に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明における「フィラメント糸」としては、例えば、マルチフィラメント、モノフィラメントまたはモノマルチフィラメントのいずれの形態を有していてもよい。ここで、モノマルチフィラメントとは、通常はモノフィラメント糸複数本を合糸したフィラメント糸をいう。
本発明に用いるフィラメント糸は、単糸繊度が約1〜10d程度であって、総繊度が約40〜3000d程度のものが好ましい。
【0007】
本発明において用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等自体公知の樹脂であってよいが、なかでも、高強度などの優れた機械的性質を示す超高分子量ポリエチレン樹脂が好ましい。ここで、超高分子量ポリエチレン樹脂とは、通常、分子量が約50万程度以上、好ましくは約100万程度以上を有し、ホモポリマーの他、炭素原子数3〜10程度の低級α−オレフィン類、例えばプロピレン、ブテン、ペンテン、へキセン等との共重合体も含むものである。エチレンと低級α−オレフィン類との共重合体の場合、後者の割合は炭素数1000個当たり平均約0.1〜20個程度、好ましくは平均約0.5〜10個程度であるような共重合体が好ましい。
【0008】
上記ポリオレフィン系樹脂からフィラメント糸を製造する方法は自体公知の方法に従ってよい。例えば、超高分子量ポリエチレンフィラメント糸の製造方法は、特開昭55−5228号公報または特開昭55−107506号公報などに開示されており、より具体的には、例えば、先ずエチレンを遷移金属元素化合物とアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属等の金属水素化合物または有機金属化合物等との触媒の存在下に、有機溶媒中でスラリー重合させることにより超高分子量ポリエチレンを得、得られた超高分子量エチレン重合体に例えば希釈剤を配合し、または常温のワックス類を混合して溶融押出し成形し、次いで延伸(例えば約5〜80倍程度の倍率で)することによりフィラメント糸が得られる。
【0009】
本発明におけるポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸としては、引張強度が約20g/d程度以上、破断伸度が約8%程度以下の物性を有した低伸度、高強力フィラメント糸が好ましい。また、本発明においては、ダイニーマ(登録商標、東洋紡株式会社製)などの市販のフィラメント糸を用いてよい。ここで、引張強度は、例えば、JIS L 1013「化学フィラメント糸試験方法」に従った方法にて、自体公知の測定機、例えば、万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)で容易に測定できる。また、破断伸度も、上記試験機にて容易に測定できる。
【0010】
本発明において用いるポリアセタール系樹脂としては、例えばポリオキシメチレン等アセタール結合を主鎖に有する自体公知の樹脂を用いてよい。その製造方法は自体公知の方法に従ってよく、また、例えば、ユピタール(商品名 三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)またはテナックス(商品名 旭化成株式会社)などの市販の樹脂を用いてもよい。
【0011】
上記ポリアセタール系樹脂からフィラメント糸を製造する方法は自体公知の方法に従ってよい。例えば、好ましい態様としては以下の製造方法が挙げられる。すなわち、ポリアセタール樹脂を所望の直径を有する押出機に供給し、紡糸口金から紡出せしめて水浴中で冷却する。この時にギヤーポンプの回転数を変えることによって、所望の太さに調整することができる。引続いて紡出糸を、延伸処理(例えば、約195℃程度で約5.2倍程度)した後、約200℃程度で熱処理することによりモノフィラメント糸が得られる。
【0012】
本発明において用いるポリアセタール系樹脂からなるフィラメント糸としては、引張強度が約4g/d程度以上、破断伸度が約10%程度以下の物性を有するものが好ましい。なお、引張強度および破断伸度は、上述のようにして容易に測定することができる。
【0013】
本発明に係る糸条は、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを組み合わせてなることを特長とする。該特長を有していれば本発明に係る糸条の構造は特に限定されないが、かかる2種のフィラメント糸が単に引き揃えられているだけの構造であってもよいし、撚りをかけた撚り糸や製紐した製紐糸の構造をとるものであってもよい。
【0014】
本発明に係る上記撚り糸は、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とをそれぞれ1本以上、合計2本以上引き揃えて、リング撚糸機、ダブルツイスターまたはイタリー式撚糸機など自体公知の撚糸機を用いて撚りをかけて製造することができる。
本発明に係る上記製紐糸は、一般的には、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを用いて組物機(編物機)にかけ組み上げて得られる。一例としては、4本組物(編物)、8本組物、12本組物、16本組物などであり、例えばその4本組物は、上記2種のフィラメント糸を2本ずつ計4本準備し、右側または左側の糸を交互に真中に配置させて組み上げていくものであり、この組上方法(編組方法)としては、丸打ち、角打ち、平打ちなどがあり、これらを組み合わせて製紐して組紐や編紐に形成される。また、一般的には製紐糸の種類にはシングルブレードとダブルブレードの2タイプがあり、本発明においてはいずれを用いてもよい。
【0015】
本発明に係る糸条の好ましい一態様としては、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸との引き揃え糸、撚り糸または製紐糸を、約150〜160℃程度の熱に約6〜150秒程度暴露し、樹脂、特にポリオレフィン系樹脂を一部融解させ、上記2種のフィラメント糸を融着させた糸が挙げられる。
このように上記2種のフィラメント糸を融着させることにより、フィブリル化が起こりにくくなるという利点がある。特に、かかる態様の糸条は切断したときに末端が毛羽立つなどの問題が実質的に生じない。
【0016】
本発明に係る糸条の好ましい他の態様としては、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸と、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂とを一体的に構成してなる糸条が挙げられる。より好ましくは、上記2種のフィラメント糸を、上記低温熱接着性樹脂で融着一体化させてなる糸条が挙げられる。
このように、低温熱接着性樹脂を用いることにより、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを容易に接着することができ、かつその接着が良好な糸条を得ることができるため、上記フィブリル化等の問題をより有効に抑えることができるという利点がある。
【0017】
上述の低温熱接着性樹脂は、上記フィラメント糸を構成するポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低融点であることが必要である。具体的には、約50〜200℃程度の範囲、好ましくは約110〜135℃程度の範囲内の樹脂が挙げられる。低温熱接着性樹脂の融点は、例えば、JIS L 1013「化学フィラメント糸試験方法」に従った方法にて、パーキンエルマー社製「DSC7」を用いて容易に測定できる。
【0018】
かかる低温熱接着性樹脂としては、上記融点を有するものであれば公知のものを用いてよいが、具体的には、例えばポリオレフィン共重合体、ポリエステル共重合体またはポリアミド共重合体などを用いることができる。
中でも、ポリオレフィン系樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等を主体とするポリオレフィン共重合体からなる、約50℃程度の低温下約10秒程度の短時間の加熱により軟化しうる軟質の樹脂が好ましい。特に融点が約100℃前後で、溶融時に低粘度の樹脂が好適であり、短時間の加熱により容易に流動性を発揮し速やかに繊維表面のみならず中心まで拡散浸透していくことができるので、より優れた接着機能を果たすことができる。
また、低温熱接着性ポリエステル共重合体または低温熱接着性ポリアミド共重合体樹脂も好適に使用することができる。
【0019】
ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸と、上記低温熱接着性樹脂で融着一体化させる方法としては、自体公知の方法を用いてよい。
好ましい態様としては、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸およびポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の少なくとも一方に上述の低温熱接着性樹脂を塗布または含浸させ、該2種のフィラメント糸を組み合わせて、これに熱をかけることにより低温熱接着性樹脂を溶解させ融着させるという方法が挙げられる。
上記において、2種のフィラメント糸の少なくとも一方に上述の低温熱接着性樹脂を塗布または含浸させる方法としては、自体公知の方法を用いてよい。例えばアプリケーター、ナイフコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、フローコーター、ロッドコーターまたは刷毛など公知の手段を用いて低温熱接着性樹脂をフィラメント糸に塗布してもよいし、溶融状もしくは溶液状の低温熱接着性樹脂を収納した桶の中にフィラメント糸を浸漬し引き上げて余剰量をしぼり取るという方法を用いてもよい。
上記において、2種のフィラメント糸を組み合わせ方は、上述したように単に引き揃えただけであってもよいし、撚りをかけたり、製紐したりしてもよい。
【0020】
上記方法によって得られる糸条は、本発明に係る糸条の好ましい態様である。より好ましくは、糸条の断面形状においてポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とが交互に配列するように製紐されてなる糸条が挙げられる。
【0021】
また、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸と、上記低温熱接着性樹脂で融着一体化させる方法の他の好ましい態様としては、糸条となっている低温熱接着性樹脂を用い、例えば該低温熱接着性樹脂からなる糸条を芯糸として用いるなどして、上記2種のフィラメント糸条が該低温熱接着性樹脂からなる糸条にできるだけ多くの割合で接触するように配置して、さらに所望によりこれに撚りをかけたり、編んだりして、その後熱をかけるという方法が挙げられる。このようにして得られる糸条は、本発明に係る糸条の好ましい態様の一つである。
【0022】
上記2つの態様において、熱処理時の温度は、通常は低温熱接着性樹脂の融点以上2種のフィラメント糸の融点以下の温度、好ましくは約50〜200℃程度、より好ましくは約110〜135℃程度が好適である。
また、加熱時に延伸することが好ましい。延伸させることによって溶融状態の低温熱接着性樹脂が中心まで拡散浸透され、2種のフィラメント糸の融着がより良好になるためである。そのときの延伸倍率は、約1.01〜5.0程度、好ましくは約2.20〜3.0程度である。ここで、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸は同程度の伸度を有し、かつともにクリープ性に優れているので、上記のように延伸倍率を大きくしても、一方の糸条が切れたり、延伸後波型の形になったりするなどの問題が生じることがない。
【0023】
本発明に係る糸条のより好ましい一態様としては、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂からなる芯糸と、この芯糸の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを製紐されてなる外糸部とからなる糸条が挙げられる。
【0024】
上記芯糸として用いる低温熱接着性樹脂からなる糸条は、上述の低温熱接着性樹脂から糸条を作ったものでもよいし、中心糸に低温熱接着性樹脂をコーティングした糸条であってもよい。また、例えばサーモラックス(商品名 ルクシロン社製)など市販品を用いてよい。
中心糸に低温熱接着性樹脂をコーティングする糸条において、中心糸としては、特に限定されず、ナイロンなどの合成繊維を用いてよいし、金属線や高強力繊維などを用いてもよい。これらは自体公知のものを用いてもよいが、該金属線としては、例えば銅線、ステンレス線、鉛線、タングステン線、各種合金の軟線およびアモルファス線などが挙げられ、該高強力繊維としては、例えば、超高分子量ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、芳香族ポリアミド繊維、ヘテロ環高性能繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ガラス繊維、炭素繊維または金属繊維等が挙げられる。中心糸は、約10〜50μm程度の太さのものを用いるのが好ましい。また、中心糸に低温熱接着性樹脂をコーティングする方法としては、特に問わず自体公知の方法を用いてよいが、例えば、低温熱接着性樹脂の入ったバスに、中心糸を含浸させ、余剰分を縛りとって、乾燥させるという方法が挙げられる。このようなコーティングにより製造した低温熱接着性樹脂からなる糸条は、中心糸の約1.3〜3倍程度の太さを有するものが好ましい。
【0025】
上述の低温熱接着性樹脂からなる糸条を芯糸として、該芯糸の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを用いて、上述した自体公知の製紐方法により製紐する。そのとき、糸条の断面形状において、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とが交互に配列するように製紐されていることが好ましい。かかる糸条を上述した所定の温度による熱処理を行い、所望により熱処理時に上述した所定の延伸倍率の延伸を行って、本発明に係る糸条を得ることができる。
【0026】
本発明に係る上記好ましい態様の糸条の製造方法のうち、好ましい態様を以下に詳しく説明する。低温熱接着性樹脂からなる糸条の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸を用いて製紐した糸条を作製し、該糸条をローラーで連続移送し、加熱炉に装入し、約1.01〜5.0程度、好ましくは約2.20〜3.0程度の延伸倍率になるよう延伸しながら、通常は低温熱接着性樹脂の融点以上フィラメント糸の融点以下の温度に、好ましくは約50℃〜200℃程度、より好ましくは約110〜135℃程度の温度に曝すことによって低温熱接着性樹脂を溶融し、上記2種のフィラメント糸を接着させたのちローラーで送り出し、例えば放冷などの手段により冷却後、本発明に係る糸条を得る。
ここで、延伸操作は、一段あるいは二段以上の多段で行うことができる。中でも、二段以上の多段延伸が好ましい。二段以上の多段延伸は、自体公知の方法を用いて行うことができる。
【0027】
本発明に係る糸条のより好ましい他の態様としては、上述の低温熱接着性樹脂からなる糸条と、この糸条の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸を用いて製紐されてなる外糸部とからなり、外糸部を構成するポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸およびポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の少なくとも一方が、上述の低温熱接着性樹脂を塗布または含浸させたフィラメント糸であって、かつ糸条の断面形状においてポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とが交互に配列するように製紐されてなる外糸部とからなる糸条が挙げられる。
このような糸条は、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の接着が非常に良好である。
【0028】
本発明に係る糸条においては、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の含有重量割合が、約1〜20:1程度であることが好ましい。
また、本発明に係る糸条は、上記樹脂以外の樹脂からなるフィラメント糸を含んでいてもよい。そのようなフィラメント糸の重量含有率は、上記フィラメント糸の総和に対し、1/2以下、好ましくは1/3以下、より好ましいくは1/4以下である。具体的には、例えば糸条の比重を調整(さらに大きく)するために、フッ素繊維などをさらに含有させる場合が挙げられる。また、金属線など繊維から成るものでなくても用いることができる。
【0029】
本発明に係る糸条は着色してもよい。着色方法は、公知方法を用いてよく、例えば、本発明の糸条を着色剤溶液が入っている浴に室温、例えば約20〜25℃程度の範囲内の温度下に通過させるという方法が挙げられる。ただし、所望とされるならば、もっと高い温度も使用できるが、通常はポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点以下の温度である。その後、こうして被覆された糸を乾燥し、この被覆糸を約100〜130℃程度の範囲内の温度に保たれた炉に通し、通過させることによって着色された糸条を製造できる。
着色剤としては、無機顔料、有機顔料、または有機染料が知られているが、好適なものとしては、例えば、酸化チタン、カドミウム化合物、カーボンブラック、アゾ化合物、シアニン染料または多環顔料などが挙げられる。
【0030】
また、本発明に係る糸条を構成する樹脂には発明の目的を損なわない範囲内で各種公知の耐磨耗剤、艶消し剤、改質剤もしくは顔料など、またはこれらの2種以上を配合しておくこともできる。また、磁性材料、導電性物質、高誘電率を有する物質などを配合してもよい。
【0031】
本発明の糸条は、さらに適当な樹脂で被覆してもよい。樹脂被覆することにより、より表面の凹凸が小さくなり、より滑らかな糸ができるという利点がある。被覆に使用する樹脂としては、例えば、アクリル、ウレタン、ナイロン、ポリエステル、エポキシ、酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニルなどの合成樹脂などが挙げられ、エマルジョン型もしくは溶剤型のいずれでも良い。さらには天然ゴムやSBRなどの合成ゴム系統も用いることができる。
被覆方法は自体公知の方法を用いてよく、例えば、溶融押出し被覆などが挙げられる。
【0032】
本発明に係る糸条は、その比重が約1.000〜1.1195程度、好ましくは約1.050〜1.100程度であるのが好適である。また、その引張強度が約20〜40g/d程度、好ましくは約25〜30g/d程度であるのが好適である。ここで、比重は、JIS L1013:1999に準じて測定した繊度と、例えばPACOCK製ダイヤルゲージGなどの自体公知のダイヤルゲージで測定した糸の直径より、容易に算出することができる。また、引張強度は上述したように容易に測定できる。
【0033】
本発明に係る糸条は、耐磨耗性、耐久性、耐候性または耐水性が要求される用途であればいかなる用途に用いてもよいが、具体的には、例えば各種レジャーや漁業用釣糸、その他マグロ漁のはえなわなどの水産用資材、ロープ、ガット、凧糸、“雑草除去(weedeater)”糸、または手術用縫合糸等に好適に用いることができる。
【0034】
【実施例】
以下本願発明を具体的に説明するために実施例を記述するが、これによって本願発明が限定的に解釈されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕
ポリアセタール樹脂からなるモノフィラメント糸を次のようにして作成した。ポリアセタール樹脂(ユピタールF10−01(商品名) 三菱エンジニアプラスチック株式会社製)を30mmφ押出機に供給し、加熱溶融して紡糸口金から紡出せしめてノズル孔直下20cmの位置に設置した20℃の水浴中で冷却した。引続いて紡出糸を195℃で5.2倍に延伸した後200℃で熱処理することにより125dの太さのポリアセタール樹脂からなるモノフィラメントを得た。
【0036】
ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸としてダイニーマ 275d/192F(東洋紡績株式会社製)を用いた。また、芯糸としてサーモラックスPO105 300d(ルクシロン社製)を用いた。該芯糸の周りに、上記のようにして得られたポリアセタール樹脂からなるモノフィラメント糸4本と、ダイニーマ4本を製紐機で製紐して、直径0.45mmの製紐糸を製造した。これを送り込みローラー50m/分の速度で、140℃に加熱した加熱炉に送り込み、巻き取りローラー60m/分の速度で巻き取り、本発明に係る糸条(直径0.38mm)を製造した。
【0037】
〔試験例〕
得られた糸条25cmを室内に1昼夜放置した後、これを島津製作所製オートグラフ(AG−1型)にセットし、引張速度30cm/分で引張った時の切断時強力(kg)を測定した。その結果、強力は25kgであった。
得られた糸条の比重を、JIS L1013:1999に準じて測定した繊度とPACOCK製ダイヤルゲージGで測定した糸の直径より算出し求めた。その結果、比重は1.10g/cmであった。
【0038】
得られた糸条の剛軟度(コシ)は次の試験方法により評価した。即ち、図1に示すように、試験片5(得られた糸条を5cm切り取ったもの)の一端を固定し、他端に上部より力を加えて、その試験片5の他端の動く間隔が3cmに達したときの応力を万能試験機 オートグラフAG−100kNI(商品名 島津製作所製)で測定した。比較のため、実施例1で用いたダイニーマ 275d/192F(東洋紡績株式会社製)8本を丸打ちにて製紐した製紐糸と、実施例1と全く同様にして得られた125dの太さのポリアセタール樹脂からなるモノフィラメント8本を丸打ちにて製紐した製紐糸とを用いた。その結果、本発明に係る糸条が示す応力は、ダイニーマからなる製紐糸とポリアセタール樹脂からなる製紐糸が示す応力の中間の値であった。
【0039】
【発明の効果】
本発明に係る糸条によって、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸の高比重化を達成できる。また、本発明の糸条により、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸に対しては剛性の付与、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸に対しては本来有する強い剛性の緩和が一挙に達成でき、適度な剛性を有する糸条が提供できる。本発明に係る糸条は特に釣糸として有用であり、釣糸として実用的な比重とコシを有する釣糸を提供することができる。
【0040】
また、本発明に係る糸条は、耐磨耗性・耐光性に優れ、それゆえに耐久性に優れているという利点を有す。さらに、本発明に係る糸条は高強度かつ低伸度であるという利点も有す。
また、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸は摩擦抵抗が少ないことから、本発明に係る糸条は滑りがよく、例えば釣糸として使用した際にガイドとの抵抗が小さいなどの利点がある。
さらに、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸を介在させることにより、糸条に負荷が掛かった際にポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸がポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸の保護材として作用し、ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸の強力低下を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における剛軟度評価方法を示す説明図である。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを組み合わせてなり、このポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸が、単に引き揃えた引き揃え糸であるか、或いは撚りをかけた撚り糸または製紐した製紐糸であることを特徴とする糸条。
  2. ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを組み合わせてなり、このポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とを、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂で融着一体化させてなることを特徴とする糸条。
  3. ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸およびポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の少なくとも一方が、ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂を塗布または含浸させたフィラメント糸であることを特徴とする請求項2に記載の糸条。
  4. ポリオレフィン系樹脂およびポリアセタール樹脂の融点よりも低い融点を有する低温熱接着性樹脂からなる芯糸と、この芯糸の周りをポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸とポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸とが断面形状において交互に配列するように製紐されてなる外糸部とからなることを特徴とする請求項2に記載の糸条。
  5. 低温熱接着性樹脂がポリオレフィン共重合体、ポリエステル共重合体またはポリアミド共重合体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の糸条。
  6. 低温熱接着性樹脂の融点が50〜160℃の範囲である請求項2〜5のいずれかに記載の糸条。
  7. ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸が、超高分子量ポリエチレンフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の糸条。
  8. ポリオレフィン系樹脂からなるフィラメント糸と、ポリアセタール樹脂からなるフィラメント糸の含有重量割合が、1〜20:1であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の糸条。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の糸条からなる釣糸。
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