JP4500649B2 - 電磁部材の製造方法 - Google Patents
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Description
<導線>
ここで用いる導線は、断面が円形、楕円形、角型、平角型など種々のものが利用できる。通常、導線は金属線上に絶縁被覆を施した構成である。金属線の材質としては、銅、アルミニウム、銀入り銅、ニッケルめっき銅などが好適である。絶縁被覆には、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、エステルイミド、アミドイミド、エポキシ樹脂などが利用される。さらに、導線は絶縁被覆に加えて融着層を有するものが好適である。融着層を具える導線をらせん状に巻回して加熱することで、各ターン間を一体化することができ、コイルの保形性を高めることができる。融着層の材質には、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などが好適である。融着層を溶融するための加熱は、コイルを形成後、樹脂モールドする前に行えば良い。その他、各ターン間のばらけを防止するには、コイルを容易に剥離できるテープで複数のターンを仮止めすること等が挙げられる。
上記のような導線を用いて、らせん状のコイルを形成する。ここで言うらせん状には、軸方向から見た場合の形状が円形のものに限らず、楕円形や矩形のものも含まれる。また、導線の巻き方も整列巻き・乱巻きのいずれでも良い。例えば、平角型の導線を用いた場合、図10(A)、(B)に示すように、エッジワイズ巻きコイル23A、フラットワイズ巻きコイル23Bのいずれも利用できる。エッジワイズ巻きコイル23Aの場合、導線の端末はコイルの上下端に引き出される。フラットワイズ巻きコイル23Bの場合、平角導線を折り返して二重にしておき、折り返し端を内周側として導線を巻回することで導線の両端末をコイルの外周に引き出すことができる。さらに、図10(C)に示すように、丸線による乱巻きコイル23Cも利用できる。乱巻きコイル23Cは導線の巻回が容易で、端末をコイルの任意の位置から引き出すことができる。
<モールド樹脂>
らせん状に形成したコイルは、その形態を保持するため、樹脂モールドされる。モールドに用いる樹脂としては、次の特性を有する樹脂が好適である。特に、少なくとも下記の(A)、(C)、(E)は高圧縮成形性部材の特性としても好ましい。
(B)溶融時の粘度が低く、コイルのターン間にも容易に回り込む。
(C)摩擦係数が小さく、プレス体を金型から容易に抜き出すことができる。
(D)プレス体成形時にコイルの絶縁被覆が磁性粉末との接触により損傷することを防止できる。
(E)プレス体成形後に容易に除去できる。
樹脂モールド体の形状は、コイル全体をモールド樹脂で埋め込むことができる筒状体が好適である。その場合、円筒体はもちろん、軸方向における外径が異なる中空円錐台状でもよい。つまり、コイルの内周孔はモールド樹脂で充填するのではなく、この内周孔を残してモールドを行い、中空の筒状体に成形する。筒状体の断面形状は円形が好適であるが、矩形など非円形でも良い。
この樹脂モールドは、コイル内周孔にはめ込まれる中子を有する金型にコイルを装填して樹脂を注入する成形方法が好ましい。この成形方法によれば、単に金型内に溶融樹脂を流し込んで冷却させるだけでよく、特別の製造設備を要することがない。
<磁性粉末>
磁性粉末は、磁性体の粉末であればすべて本発明に適用可能である。中でも、軟磁性体が好ましい。一般に、軟磁性体は、外部磁界によって磁化された後、外部磁場を取り去ると磁化を失って元の状態に戻る強磁性体のことである。通常、透磁率μの大きな材料、言い換えれば保磁力Hcの小さな材料が軟磁性体といえる。より具体的には、純鉄、鋼(Fe-N系、Fe-C系、Fe-P系)、Fe-Si系合金(ケイ素鉄)、Fe-Ni系合金(パーマロイ)、Fe-Mo-Ni系合金(スーパーマロイ)、Fe-Co系合金(パーメンジュール)、Fe-Al系合金(センダスト)、MnZnフェライトなどが挙げられる。特に、軟磁性体の粉末に絶縁薄膜をコーティングした磁性粉末が好ましい。このようなコーティングを持つ粉末を用いることで、得られた電磁部材の高周波域における鉄損を抑制し、磁束密度等の磁気特性を改善することができる。この絶縁薄膜は、酸化物を含む材料が好適である。より具体的には、リン酸鉄、リン酸マンガン、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム、リン酸アルミニウム、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられる。
プレス体の成形は、金型内に上記樹脂モールド体と磁性粉末とを配置して、加圧することで行なう。高圧縮成形性部材(突起)を樹脂モールド体と個別に作製した場合、樹脂モールド体と高圧縮成形性部材(突起)とを金型内に配置する。その際、例えば高圧縮成形性部材(突起)が樹脂モールド体の一端面に当接するように配置する。このプレス体の成形には、例えば、円筒状あるいは円錐台状の金型と、金型内孔にて上下動する上パンチと下パンチを用いることが好適である。金型の断面形状は円形に限らない。
プレス体成形後、モールド樹脂を除去することが望ましい。この除去により、コイルの導線端末を引き出すことができる。モールド樹脂の除去作業は、単にへらで掻き出したり、ドライヤーによる加熱で溶融して除去するといった簡易な手段が好適である。このモールド樹脂の除去の際、環状の突起も併せて除去する。
本発明方法により得られる電磁部材は、圧粉磁心と、圧粉磁心に巻き付けられた状態に配されるコイルとを有する。圧分磁心は、例えば上述の製造方法により粉末を加圧して形成される磁心である。代表的な圧粉磁心の形態としては、棒状やパイプ状の胴部と、胴部の両端部に設けられたつば部とを有するものが挙げられる。
<モータコイルの構成>
ここでは、図1に示すインナーロータ型モータのモータコイルを得る製造方法を例として本発明方法を説明する。モータ1は、中心側にロータ10となる磁石を具え、その外周にステータ20を具える。モータコイルとなるステータ20は、コア21と導線を巻回したコイル23から構成される。コア21は、リング状のヨーク210と、ヨーク210と一体で内周側に突出する複数のティース220を有する。各ティース220は導線が巻き付けられる胴部221と、胴部221の先端からフランジ状に突出するつば部222とから構成され、隣接するつば部222同士の間は非接触となるようにギャップ230が形成される。胴部221に巻き付けられる導線は、金属線上に絶縁被覆が形成されている。
まず、コイルを用意する。ここでは断面が矩形の平板銅線上にポリウレタンの絶縁被覆を設けた導線をらせん状に巻回して円錐台状に成形したエッジワイズ巻きコイルを用いる。この導線は円錐台の小径側ほど厚みが大きくて幅が小さく、太径側ほど厚みが薄くて幅が大きな平板銅線で形成されている。この構成により、ステータの内周側ほど幅(周方向長さ)が小さく、外周側ほど幅が大きい形状に対応したコイルを形成でき、占積率を高めることができる。その上、ステータの内周側と外周側とで導線の断面積を実質的に同一とすることで、導線の全長にわたって同じ電流が流せるように構成することができる。
次に、コイルを樹脂モールドする(図2参照)。ここでは、上部が開口した有底容器状で、中心部に棒状の中子31を有し、円錐台状の樹脂注入孔を有する金型30を用いる。ここでは、金型底面の外周側に円溝32を有する金型30を用いた。この円溝32は、後述する環状の突起51(高圧縮成形性部材)を形成するためのもので、環状の突起51を有する樹脂モールド体50を用いることで、隣接するティースつば部間にギャップを形成する。用意したコイル23を中子31の外周にはめ込む。中子31の外径はコイル23の内径よりも若干小さい程度であり、コイル23の外径は樹脂注入孔の外径よりも若干小さい程度に構成されている。
次に、プレス体を成形する。プレス体の成形には、図4に示すように、上部に径の大きい円孔、下部に径の小さい円孔が開口し、中間部が円錐台状に形成された充填部を有する金型60と、この充填部を上下から加圧する上下パンチ61、62とを用いる。ここでは、上側にくぼんだ湾曲状の圧接面を有する上パンチ61と下パンチ62とを用いた。
得られたプレス体80からモールド樹脂40を除去する。ここでは、へらでモールド樹脂40を掻き出すことにより除去を行った。その際、環状の突起51も併せて除去する。この樹脂40の除去により、樹脂中に埋設されていたコイル23が露出され、モータコイルのセグメントが得られる。
得られたモータコイルの導線について絶縁被覆の外観検査を行った。その結果、全く損傷は見られず、プレス体成形時にコイルが直接磁性粉末と接触することをモールド樹脂が抑制し、絶縁被覆の損傷を回避できることが確認できた。
その他、樹脂モールド体の外径を、プレス体を形成する金型の内径よりも若干小さくしておき、樹脂モールド体の外周にも磁性粉末が充填されるようにしても良い。樹脂モールド体の外周に配される磁性粉末の厚さは0.05mmとした。樹脂モールド体の外周に磁性粉末を充填することで、金型からプレス体を抜き出す際にコアにクラックが生じることを抑制できる。
その他、図6(A)に示す樹脂モールド体50を用いて、図6(B)に示すプレス体の作製を行っても良い。この変形例では、内径が、概ねコイル23との接合側ほど小さく、その反対側ほど大きく広がった突起51(高圧縮成形性部材)を用いている。この突起51を用いた場合、最終成形体では突起51部分の樹脂が除去されるため、ロータに対向するコイル23部分とつば部の間に空間を形成できる。その結果、つば部を通る磁力線をロータ側に誘導でき、コイル側に磁力線が戻ることを抑制できるので、コイル銅線中の渦電流損を抑制でき、モータとして高効率化できる。
次に、アウターロータ型モータのモータコイルを本発明方法で作製する実施形態を説明する。上記第1実施形態では、円錐台状の樹脂モールド体50を形成する際、円錐台の小径側端面に環状の突起51を一体に形成したが、本例では、図7(A)に示すように、円錐台状の太径側端面に環状の突起51(高圧縮成形性部材)を一体に形成する。その際、樹脂モールド体50を作製する金型には、環状の突起に対応した円溝を有する蓋部を用いる。もちろん、図7(B)に示すように、環状の突起51を樹脂モールド体50と別個に作製しておき、樹脂モールド体と組み合わせてプレス体を形成しても良い。
220 ティース 221 胴部 222 つば部 230 ギャップ 23 コイル
23A エッジワイズ巻きコイル 23B フラットワイズ巻きコイル
23C 乱巻きコイル
30 金型 31 中子 32 溝
40 樹脂
50 樹脂モールド体 51 突起
60 金型 61 上パンチ 62 下パンチ
70 磁性粉末 80 プレス体
310 ホール素子 320 制御回路 330 スイッチング素子 340 直流電源
Claims (7)
- 導線を巻回したコイルを準備する工程と、
このコイルを樹脂モールドした樹脂モールド体を形成する工程と、
この樹脂モールド体を金型内に配置し、樹脂モールド体の周囲に磁性粉末を充填して加圧することで、磁性粉末からなるコアと樹脂モールド体とを一体化したプレス体を得る工程とを具え、
前記金型内に高圧縮成形性部材が配された状態で前記加圧を行うことを特徴とする電磁部材の製造方法。 - 前記高圧縮成形性部材が、樹脂モールド体の樹脂と同一材料で、樹脂モールド体の一部として成形されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁部材の製造方法。
- 前記高圧縮成形性部材が、樹脂モールド体とは別個に作製され、
プレス体を得る工程で、樹脂モールド体と高圧縮成形性部材とを金型内に配置し、磁性粉末からなるコアと樹脂モールド体と高圧縮成形性部材とを一体化してプレス体を得ることを特徴とする請求項1に記載の電磁部材の製造方法。 - 前記高圧縮性部材は、樹脂モールド体の端面側に突起として形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電磁部材の製造方法。
- 前記コアは、ヨーク部と、このヨーク部と交差する方向に突出してコイルの内周側に配されるティースと、ティースの先端を構成するつば部とを有し、
前記高圧縮成形性部材は、このつば部の側方に配されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電磁部材の製造方法。 - プレス体を得る工程において、樹脂モールド体の外周に磁性粉末を充填することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電磁部材の製造方法。
- さらに、プレス体における樹脂モールド体の樹脂を除去する工程を具えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電磁部材の製造方法。
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