以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1実施の形態における液封入式防振装置100の断面図である。
この液封入式防振装置100は、自動車のエンジンを支持固定しつつ、そのエンジン振動を車体フレームへ伝達させないようにするための防振装置であり、図1に示すように、エンジン側に取り付けられる第1取付け金具1と、エンジン下方の車体フレーム側に取付けられる筒状の第2取付け金具2と、これらを連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体3とを主に備えている。
第1取付け金具1は、アルミニウム合金などから略円柱状に形成され、図1に示すように、その略中央部には、取付けボルト4が上方へ向けて突設されている。また、取付けボルト4の側方には、位置決め凸部1aが凸設されている。また、第1取付け金具1の下方部分は、外径方向にフランジ状に張り出して形成されており、この張り出し部分は、防振基体3内に埋設されている。
第2取付け金具2は、防振基体3が加硫成形される筒状金具6と、その筒状金具6の下方に取着される底金具7とを備えて構成されている。図1に示すように、筒状金具6は上広がりの開口を有する筒状に、底金具7はカップ状に、それぞれ形成されている。
なお、筒状金具6は鉄鋼材料から、底金具7はアルミニウム合金から、それぞれ構成されている。また、底金具7の底部には、取付けボルト5が突設されると共に、位置決め凸部7aが凸設されている。
防振基体3は、図1に示すように、ゴム状弾性体から断面略円錐台形状に形成され、第1取付け金具1の下面側と筒状金具6の上端開口部との間に加硫接着されている。また、防振基体3の下端部には、筒状金具6の内周面を覆うゴム膜3aが連なっており、このゴム膜3aには、後述するオリフィス金具16、及び、仕切板部材17の外周部が密着されている。
防振基体3の上端部(図1上側)は、図1に示すように、第1取付け金具1の張り出し部分を覆う覆設部3bを備えており、この覆設部3bがスタビライザー金具8に当接することで、大変位時のストッパ作用が得られるように構成されている。なお、スタビライザー金具8は、筒状金具6の端部にかしめ固定されている。また、スタビライザー金具8の上面側には、ゴム状弾性体から構成されるカバー部材13が装着されている。
ダイヤフラム9は、ゴム状弾性体から部分球状を有するゴム膜状に形成されるものであり、図1に示すように、第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7との間)に取着されている。その結果、このダイヤフラム9の上面側と防振基体3の下面側との間には、液体封入室11が形成されている。
この液体封入室11には、エチレングリコールなどの不凍性の液体(図示せず)が封入される。図1に示すように、液体封入室11は、後述する仕切り体12によって、防振基体3側(図1上側)の第1液室11Aと、ダイヤフラム9側(図1下側)の第2液室11Bとの2室に仕切られている。
なお、ダイヤフラム9は、上面視ドーナツ状の取付け板10に加硫接着されており、図1に示すように、その取付け板10が筒状金具6と底金具7との間でかしめ固定されることにより、第2取付け金具2に取着されている。
仕切り体12は、図1に示すように、ゴム状弾性体から略円板状のゴム膜状に構成される弾性仕切り膜15と、この弾性仕切り膜15を収容して内周面側の格子状の壁部で受け止めるオリフィス金具16と、このオリフィス金具16の軸方向一端側(図1上側)の開口部を覆う円板状の仕切板部材17とを備えて構成されている。
なお、仕切板部材17は、オリフィス金具16と同様に、格子状の壁部を備え、弾性仕切り膜15を受け止める。弾性仕切り膜15は、仕切板部材17の壁部とオリフィス金具16の壁部との対向面間に収容され、その変位が両側から規制されている。この変位規制により、比較的大振幅の振動入力時には、膜剛性を高めて、減衰特性の向上(高減衰特性化)を図ることができる。
また、弾性仕切り膜15は、後述するように、その弾性仕切り膜15を厚み方向に貫通して形成されるスリット部15e1〜15e3を備えており、比較的小振幅の振動入力時には、そのスリット部15e1〜15e3を介して、液体封入室11内の液体を第1液室11Aから第2液室11B(又は、その逆)へ流動させ、第1液室11Aの液圧を第2液室11B(又はその逆)へ逃がすことにより、動的特性の向上(低動ばね化)を図ることができる。
このように、本実施の形態における液封入式防振装置100によれば、比較的小さな振幅の振動入力時には、主及び第2液室11A,11B間の液圧差を緩和して、流体流動効果を抑制しつつ、比較的大きな振幅時には、弾性仕切り膜15の変位量を両側から規制することで膜剛性を高くして、流体流動効果を確保することができる。
オリフィス金具16の外周面側には、第2取付け金具2(筒状金具6)の内周面を覆うゴム膜3aとの間に、図1に示すように、オリフィス25が形成されている。このオリフィス25は、第1液室11Aと第2液室11Bとを連通させるオリフィス流路である。
仕切り体12は、図1に示すように、防振基体3に設けた仕切り体受け部3cと挟持部材18とによって、第2取付け金具2の軸芯方向(図1上下方向)に挟持固定されている。挟持部材18は、第2筒部44(図6参照)がオリフィス金具16の軸方向他端側(図1下側)内周部に内嵌圧入され、また、その外周部側平板部41(図6参照)が第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7)にかしめ固定されている。
ここで、仕切り体受け部3cは、防振基体3の下面側の全周にわたる段部として形成され、図1に示すように、その段部で仕切り体12の上端面を係止する。液封入式防振装置100の組み立て状態においては、仕切り体受け部3cが圧縮変形されており、この仕切り体受け部3cの弾性復元力が仕切り体12に保持力として作用している。これにより、仕切り体12を強固かつ安定的に挟持固定することができる。
なお、図1に示すように、挟持部材18の第2筒部44がオリフィス金具16の下端側内周部に内嵌圧入されると共に、挟持部材18の外周部側平板部41が第2取付け金具2(筒状金具6と底金具7)にかしめ固定されているので、挟持部材18及び仕切り体12を強固に保持することができる。その結果、大振幅や高周波数の振幅が入力された場合などでも、各部材のびびりを抑制することができるので、各部材の位置ずれや共振などに起因する動特性への影響を回避することができる。
次いで、図2及び図3を参照して、仕切り体12を構成するオリフィス金具16について説明する。図2(a)は、オリフィス金具16の上面図であり、図2(b)は、図2(a)のIIb−IIb線におけるオリフィス金具16の断面図である。また、図3は、オリフィス金具16の側面図である。
オリフィス金具16は、図2及び図3に示すように、例えば、アルミニウム合金などから軸芯Oを有すると共に内周側が空洞の略円筒状に形成されている。このオリフィス金具16の軸方向一端側(例えば、図2(b)または図3の上側)の外周には、図2及び図3に示すように、嵌合壁21が半径方向(軸芯Oに略直交する方向をいう。例えば、図2(b)左右方向)に張り出して(即ち、オリフィス金具16の外周面から外方へ突出して)形成されている。嵌合壁21には、仕切板部材17の外嵌筒部31が外嵌圧入される(図1参照)。
なお、嵌合壁21の周方向の一部には、図2及び図3に示すように、切り欠き部21aが形成されており、この切り欠き部21aと後述する仕切板部材17の開口部32(図4参照)とを介して、オリフィス25の一端が第1液室11A(図1参照)に連通される。なお、オリフィス流路は、後述するように、そのオリフィス形成壁の一部が挟持部材18(中間部側平板部43)により形成される(図1参照)。
嵌合壁21の一端には、図2及び図3に示すように、オリフィス金具16の軸心O方向(例えば、図3上下方向)へ延びる縦壁23が連設されている。縦壁23は、オリフィス流路(オリフィス25)を周方向に区画する部位であり、オリフィス金具16の半径方向へ張り出して形成されると共に、図3に示すように、オリフィス金具16の下端面部(図3下側)まで延設されている。
オリフィス金具16の壁部は、図2に示すように、その板厚方向に穿設される複数の開口部(中心側の格子孔24aと、壁部の周方向に2列に並ぶ格子孔24b,24c)を備えており、これら各格子孔24a〜24cの周縁に沿って、放射状リブ16a1,16a2と環状リブ16b1〜16b3とが複数形成されている。
なお、本実施例では、図2に示すように、格子孔24aの形状は、オリフィス金具16の軸心Oに同心の略円状に、格子孔24b,24cの形状は、周方向に沿う環状の孔を放射状に分断した形状に、それぞれ形成されている。
また、4個の格子孔24b及び8個の格子孔24cは、それぞれ周方向へ略等間隔(略90度および略45度ごと)に配設され、内側の列の格子孔24bは、外側の列の45度ごとの格子孔24cと周方向における位置が一致するように配設されている。
その結果、放射状リブ16a1は、図2に示すように、オリフィス金具16の軸芯Oに対して4本が放射状に配置されると共に、周方向へ略90度の等間隔に配置されている。同様に、放射状リブ16a2は、オリフィス金具16の軸芯Oに対して8本が放射状に配置されると共に、周方向に略45度の等間隔に配置されている。
また、環状リブ16b1〜16b3は、オリフィス金具16の軸芯Oに対して同心の環状にそれぞれ形成されると共に、環状リブ16b1と環状リブ16b2とは放射状リブ16a1により、環状リブ16b2と環状リブ16b3とは放射状リブ16a2により、それぞれ連結されている。
次いで、図4を参照して、仕切り体12を構成する仕切板部材17について説明する。図4(a)は仕切板部材17の上面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb−IVb線における仕切板部材17の断面図である。
仕切板部材17は、図4に示すように、鉄鋼材料などから軸心Pを有する略円板状に形成されている。仕切板部材17の壁部は、その板厚方向に穿設される複数の開口部(中心側の格子孔34aと、壁部の周方向に2列に並ぶ格子孔34b,34c)を備えており、これら各格子孔34a〜34cの周縁に沿って、放射状リブ17a1,17a2と環状リブ17b1〜17b3とが複数形成されている。
なお、これら格子孔34a〜34cは、上述したオリフィス金具16の格子孔24a〜24cと同一のパターン(位置、大きさ、範囲など)で構成されるものである。従って、放射状リブ17a1,17b1及び環状リブ17b1〜17b3もまたオリフィス金具16の放射状リブ16a1,16b1及び環状リブ16b1〜16b3と同様に構成されるので、その説明は省略する。
仕切板部材17の外周部には、図4に示すように、外嵌筒部31が全周にわたって略同一の高さで立設されている。仕切板部材17は、この外嵌筒部31を上述したオリフィス金具16の軸方向一端側の外周に、即ち、オリフィス金具16の嵌合壁21に外嵌することで、オリフィス金具16に組み付けられる(図1参照)。
仕切板部材17には、環状リブ17b3の外側に、開口部32が板厚方向に穿設されている。この開口部32は、上述したように、オリフィス金具16の切り欠き部21a(図2及び図3参照)を介して、オリフィス流路(オリフィス25)と第1液室11Aとを連通させる開口である。
開口部32は、図4(a)に示すように、周方向に沿って湾曲した略楕円状に形成されている。開口部32は、その周方向長さがオリフィス金具16の切り欠き部21aよりも長くなるように設定されている。よって、仕切板部材17をオリフィス金具16に組み付ける場合には、その組み付け位置が周方向へ多少ずれても、オリフィス25の流路断面積が減少することを防止することができる。
次いで、図5を参照して、仕切り体12を構成する弾性仕切り膜15について説明する。図5(a)は、弾性仕切り膜15の上面図であり、図5(b)は、図5(a)のVb−Vb線における弾性仕切膜15の断面図である。なお、図5(a)では、図面を簡素化して、理解を容易とするために、リブ群(放射状リップ15a及び環状リップ15b〜15d)の配置が一点鎖線を用いて模式的に図示されている。また、スリット部15e1〜15e3の図示が省略されている。
弾性仕切り膜15は、上述したように、仕切り体12内(オリフィス金具16の壁部と仕切板部材17の壁部との対向面間)に収容され、第1及び第2液室11A,11B間の液圧差を緩和する作用を奏するものであり、ゴム状弾性体から軸芯Oを有する略円板状に構成されている。
弾性仕切り膜15の上下両面(一面側15x1及び他面側15x2)には、凸条状のリブ群が凸設されている。なお、本実施の形態では、上面側のリブ群のパターンは、下面側のリブ群のパターンと同一に形成されている。即ち、上下両面のリブ群は、弾性仕切り膜15の厚み方向(図5(b)上下方向)中間に位置する仮想平面(図示せず)に対して、面対称となるように構成されている。
リブ群は、図5に示すように、弾性仕切り膜15の軸芯Oに対して放射状に配置される放射状リップ15aと、弾性仕切り膜15の軸芯Oに対して同心の環状に配置される環状リップ15b〜15dとを備えている。放射状リップ15aは、32本が周方向に略11.25度の等間隔に分散配置されている。
一方、環状リップ15b〜15dは、小径リップ15b1〜15d1と、それら小径リップ15b1〜15d1にそれぞれ並設される大径リップ15b2〜15d2とを一対とする2重リップとして構成されると共に、各2重リップ(環状リップ15b〜15d)は、上述した環状リブ16b1〜16b3,17b1〜17b3(図2及び図4参照)に対応する位置にそれぞれ配置されている。
なお、小径リップ15b1〜15d1は、対となる大径リップ15b1〜15d1よりも軸芯O側に位置するリップであり、それら各大径リップ15b1〜15d1よりも若干小さな直径の環状とされている。
また、2重リップ(対となる小径リップ15b1〜15d1と大径リップ15b2〜15d2と)の隣接間には、図5(b)に示すように、スリット部15e1〜15e3が弾性仕切り膜15を厚み方向(図5(b)上下方向)に貫通して形成されている。スリット部15e1〜15e3は、環状リップ15b〜15dに沿う環状のスリットを放射状に分断した形状として配置されている。
なお、本実施の形態では、環状リップ15bには周方向略90度の長さを有する3本のスリット部15e1が周方向略120度の等間隔に、環状リップ15cには周方向略45度の長さを有する6本のスリット部15e2が周方向略60度の等間隔に、環状リップ15dには周方向略22.5度の長さを有する12本のスリット部15e3が周方向略30度間隔に、それぞれ各環状リップ15b〜15dに沿って配置されている。
また、本実施の形態では、仕切り体12の組み立て状態において、放射状リップ15aの頂部がオリフィス金具16及び仕切板金具17(放射状リブ16a1〜17a2及び環状リブ16b1〜17b3)に当接可能な高さ寸法に設定されている。
これにより、環状リップ15b〜15dの頂部tとオリフィス金具16及び仕切板金具17(環状リブ16b1〜17b3)との間に隙間を形成し、液体を流通させるための通路を確保することができる(図8参照)。同時に、振動の入力に伴って弾性仕切り膜15がオリフィス金具16等へ衝突する際には、放射状リップ15aにクッションの役割を果たさせて、弾性仕切り膜15(環状リップ15b〜15d)をオリフィス金具16等へ緩やかに衝突させることができるので、異音の発生の低減を図ることができる。
また、本実施の形態では、小径リップ15b1〜15d1と大径リップ15b2〜15d2とが同じ断面形状(高さ寸法及び幅寸法)を有するように構成されている。なお、放射状リップ15aの断面形状は、小径リップ15b1〜15d1及び大径リップ15b2〜15d2よりも小さな幅寸法に設定されている。これにより、放射状リップ15aのクッション効果による異音発生の防止と、比較的大振幅の振動入力時のスリット部15e1〜15e3の封止作用とを確実に得ることができる。
次いで、図6を参照して、挟持部材18について説明する。図6(a)は、挟持部材18の上面図であり、図6(b)は、図6(a)のVIb−VIb線における挟持部材18の断面図である。
挟持部材18は、防振基体3との間で仕切り体12を挟持して保持するための部材であり(図1参照)、図6に示すように、鉄鋼材料などから軸心Oを有する略円板状に形成されている。
この挟持部材18は、図6に示すように、外周部側平板部41と、ゴム膜3aの下端部に密着してシールする第1筒部42と、オリフィス金具16の下端部に押圧作用する中間部側平板部43と、オリフィス金具16の軸方向他端側の内周部に内嵌される第2筒部44とを備えて構成されている。また、挟持部材18の中心部には、ダイヤフラム9との干渉を回避するための開口部が形成されている。
中間部側平板部43は、オリフィス形成壁を兼用するように構成されている(図1参照)。即ち、上述したオリフィス金具16は、その下端部の外径寸法が中間部側平板部43の外径寸法よりも小径とされており(図1参照)、その結果、中間部平板部43は、オリフィス金具16の下端部から半径方向へ張り出す張出部として、オリフィス25(オリフィス流路)のオリフィス形成壁を兼用する。
中間部側平板部43、即ち、オリフィス形成壁には、図6(a)に示すように、周方向に沿って延びる略楕円状の開口部46が板厚方向(図6(a)紙面垂直方向)に穿設されている。オリフィス25(オリフィス流路)は、この開口部46を介して、第2液室11Bに連通される(図1参照)。
次いで、図7を参照して、仕切り体12及び挟持部材18の組み立てについて説明する。図7(a)は、仕切り体12及び挟持部材18の上面図であり、図7(b)は、図7(a)のVIIb−VIIb線における仕切り体12及び挟持部材18の断面図である。
仕切り体12の組み立ては、まず、弾性仕切り膜15をオリフィス金具16の壁部上に載置し、次いで、そのオリフィス金具16の嵌合壁21に仕切板部材17の外嵌筒部31を外嵌することにより行われる。これにより、図7に示すように、弾性仕切り膜15がオリフィス金具16及び仕切板金具17の壁部の対向面間に収納され、弾性仕切り膜15の変位が弾性仕切り膜15の一面側15x1及び他面側15x2(図5(b)参照)の両面(図7(b)上下)から規制される。
次に、図8を参照して、弾性仕切り膜15の詳細構成について説明する。図8は、図7のVIII部における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。
環状リップ15bは、上述したように、小径リップ15b1と大径リップ15b2との2重リップとして構成されており、それら小径及び大径リップ15b1,15b2の隣接間隔は、図8(a)に示すように、両リップ15b1,15b2の幅寸法(図8左右方向幅)よりも若干大きい程度とされている。
また、上述したように、両リップ15b1,15b2の隣接間には、スリット部15e1が弾性仕切り膜15を厚み方向(図8上下方向)に貫通して形成されている。なお、本実施の形態では、図8(a)に示すように、スリット部15e1が両リップ15b1,15b2の隣接方向(図8左右方向)中央に位置している。
ここで、本実施の形態における液封入式防振装置100によれば、上述したように、小径及び大径リップ15b1,15b2の頂部tと環状リブ16b1,17b1との間に隙間(液体の通路)が確保されているので、比較的小振幅(微振幅)の振動が入力されると、第1液室11A(又は、第2液室11B、図1参照)の液圧(液体)を、スリット部15e1を介して、第2液室11B(又は、第1液室11A)へ逃がすことができる。
これにより、従来品のように、弾性仕切り膜15全体としての剛性が高くなりすぎて、両液室11A,11B間の液圧変動を弾性仕切り膜15の往復動変形だけで吸収することが困難となった場合でも、低動ばね特性を確保して、比較的小振幅の振動を十分に減衰させることができる。
一方、比較的大きな振幅の振動が入力された場合(例えば、第1液室11A側(図8(b)上側)の液圧が高くなった場合)には、図8(b)に示すように、振動の入力に伴って弾性仕切り膜15が壁部(環状リブ16b1)へ向けて変位することで、両リップ15b1,15b2が押し潰され変形することで、スリット部15e1を封止することができる。
これにより、第1液室11Aの液圧(液体)が、スリット部15e1を介して、第2液室11B(図8(b)下側)へ逃げることを回避することができる。その結果、液体がオリフィス25(図1参照)を介して流動することによる流体流動効果を十分に発揮させ、高減衰特性を得ることができるので、比較的大きな振幅の振動も十分に減衰させることができる。
次いで、図9を参照して、第2実施の形態について説明する。図9は、第2実施の形態における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。なお、図9は、図7のVIII部に対応する。また、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第1実施の形態では、小径リップ15b1及び大径リップ15b2の断面形状が対称に形成される場合を説明したが、第2実施の形態では、小径リップ315b1及び大径リップ315b2の断面形状が非対称に形成されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
小径リップ315b1は、図9(a)に示すように、スリット部15e1に近い側の側壁s1(図9(a)右側)が弾性仕切り膜15の表面から略90度の角度で立設されているのに対し、スリット部15e1から遠い側の側壁s2(図9左側)が弾性仕切り膜15の表面から略45度の傾斜角(即ち、より緩い傾斜角)で傾斜されており、これにより、小径リップ315b1の断面形状が非対称形状とされている。
なお、大径リップ315b2の各側壁s1,s2も小径リップ315b1の各側壁s1,s2と同様に構成されているので、その説明は省略する。また、第1実施の形態の場合と同様に、両リップ315b1,315b2の頂部tと壁部(環状リブ16b1,17b1)との間には隙間(液体の通路)が形成されている。
このように、小径リップ315b1及び大径リップ315b2の断面形状を非対称形状とすることで、図9(b)に示すように、比較的大振幅の振動の入力に伴って、弾性仕切り膜15が変位する場合には、非対称形状とされた両リップ315b1,315b2を倒し込ませ、環状リブ16b1との接触面積を大きくすることができる。
これにより、大振幅の振動が入力され、例えば、スリット部15e1を押し拡げるほどの液圧が発生した場合であっても、液体が両リップ315b1,315b2の頂部tを乗り越えて流動することを抑制することができるので、高減衰特性を確実に得ることができ、大振幅の振動を十分に減衰させることができる。
また、このように、非対称形状とされた両リップ315b1,315b2が倒れ込む構成とすることで、かかる両リップ315b1,315b2にクッションの役割をより効果的に果たさせることができるので、弾性仕切り膜(両リップ315b1,315b2)を壁部(環状リブ16b1〜17b2)により緩やかに衝突させることができ、その結果、異音の発生のより一層の低減を図ることができる。
次いで、図10を参照して、第3実施の形態について説明する。図10は、第3実施の形態における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。なお、図10は、図7のVIII部に対応する。また、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第3実施の形態は、上述した第2実施の形態に対して、小径リップ515b1の断面形状は同様に構成する一方、大径リップ515b2の断面形状を変更(反転)させて構成したものである。
即ち、小径リップ515b1は、図10(a)に示すように、スリット部15e1に近い側の側壁s1よりもスリット部15e1から遠い側の側壁s2がより緩い傾斜角で傾斜されているのに対し、大径リップ515b2は、逆に、スリット部15e1に近い側の側壁s1よりもスリット部15e1から遠い側の側壁s2がより急な(大きな)傾斜角で傾斜されている。
このように構成した第3実施の形態においても、上述した第2実施の形態と同様の効果を得ることができる。
次いで、図11を参照して、第4実施の形態について説明する。図11は、第4実施の形態における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。なお、図11は、図7のVIII部に対応する。
第1実施の形態では、小径リップ15b1と大径リップ15b2とが同じ高さ寸法に設定される場合を説明したが、第4実施の形態では、小径リップ615b1が大径リップ615b2よりも大きな(高い)高さ寸法に設定されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第4実施の形態では、図11(a)に示すように、大径リップ615b2の頂部tが環状リブ16b1,17b1と離れて位置するように、大径リップ615b2の高さ寸法を設定しているので、大径リップ615b2の頂部tと環状リブ16b1,17b1との間に液体の通路を確保することができる。
これにより、比較的小振幅(微振幅)の振動入力時には、第1液室11A(又は、第2液室11B)の液圧を、スリット部15e1を介して、第2液室11B(又は、第1液室11A)へ確実に逃がすことができるので、従来品のように、弾性仕切り膜15全体としての剛性が高くなりすぎて、両液室11A,11B間の液圧変動を弾性仕切り膜15の往復動変形だけで吸収することが困難となった場合でも、低動ばね特性を確保して、比較的小振幅の振動を十分に減衰させることができる。
また、小径リップ615b1は、図11(a)に示すように、その頂部tが環状リブ16b1,17b1に当接可能な高さ寸法に設定されているので、比較的大きな振幅の振動の入力に伴って弾性仕切り膜15が環状リブ16b1,17b1に向けて変位する場合には、小径リップ615b1が抵抗となって大径リップ615b2の頂部tを環状リブ16b1,17b1に緩やかに衝突させることができるので、異音の発生を十分に低減させることができる。
次いで、図12を参照して、第5実施の形態について説明する。図12は、第5実施の形態における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。なお、図12は、図7のVIII部に対応する。
第1実施の形態では、小径リップ15b1と大径リップ15b2とが同じ高さ寸法に設定される場合を説明したが、第5実施の形態では、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも大きな高さ寸法に設定されると共に、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも小さな幅寸法に設定されている。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第5実施の形態では、両リップ715b1,715b2の頂部tが環状リブ16b1,17b1から離れて位置すると共に、小径リップ715b1の高さ寸法h1が大径リップ715b2の高さ寸法h2よりも大きな寸法に設定されているので(h1>h2)、図12(a)に示すように、小径リップ715b1の頂部tが環状リブ16b1,17b1から離間する離間寸法と大径リップ715b2の頂部tが環状リブ16b1,17b1から離間する離間寸法とを異なる状態にすることができる。
これにより、比較的大きな振幅の振動の入力に伴って弾性仕切り膜15が変位する場合には、小径リップ715b1の頂部tと大径リップ715b2の頂部tとを交互に(即ち、異なるタイミングで)環状リブ16b1,17b1へ衝突させ、衝撃力を分散させることができる。また、小径リップ715b1が抵抗となって大径リップ715b2の頂部tを環状リブ16b1,17b1に緩やかに衝突させることができる。その結果、異音の発生のより一層の低減を図ることができる。
また、この場合には、図12(b)に示すように、小径リップ715b1の幅寸法w1が大径リップ715b2の幅寸法w2よりも小さな寸法に設定されているので(w1<w2)、小径リップ715b1の剛性を大径リップ615b2の剛性よりも弱くすることができる。
これにより、弾性仕切り膜15全体としての剛性が高くなりすぎることを回避して、両液室11A,11b間の液圧変動を弾性仕切り膜15の往復動変形で吸収することができる。これにより、低動ばね特性を確保して、比較的小振幅の振動を十分に減衰させることができる。
また、このように、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも小さな幅寸法とされ(w1<w2)、その剛性が弱くされていれば、かかる小径リップ715b1によるクッション効果をより効果的に発揮させ、大径リップ715b2を環状リブ16b1,17b1により緩やかに衝突させることができるので、異音の発生の低減を確実に達成することができる。
同様に、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも小さな幅寸法とされ(w1<w2)、その剛性が弱くされていれば、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも大きな高さ寸法とされる場合でも、大径リップ715b2を壁部に当接させ易くすることができるので、スリット部15e1の封止を確実に行わせることができる。その結果、高減衰特性を発揮させて、比較的大きな振幅の振動も十分に減衰させることができる。
なお、仮に、小径リップ715b1の頂部tが、例えば、製造上の寸法ばらつき等に起因して、環状リブ16b1,17b1に当接するような場合でも、本実施の形態のように、小径リップ715b1が大径リップ715b2よりも小さな幅寸法に設定され、その剛性が弱くなるように構成されていれば、かかる小径リップ715b1の頂部tを越えて液体が流動することを容易とすることができる。
よって、比較的小振幅(微振幅)の振動入力時には、大径リップ715b2の頂部tと環状リブ16b1,17b1との間の隙間だけでなく、小径リップ715b1の頂部tと環状リブ16b1,17b1との間にも液体の通路を確保することができるので、比較的小振幅の振動が入力される場合には、第1液室11A(又は、第2液室11B)の液圧(液体)を、スリット部15e1を介して、第2液室11B(又は、第1液室11A)へ逃がすことができる。その結果、低動ばね特性を確保して、比較的小さな振幅の振動を十分に減衰させることができる。
次いで、図13及び図14を参照して、第6及び第7実施の形態について説明する。図13及び図14は、第6及び第7実施の形態における仕切り体12の部分拡大断面図であり、(a)は、比較的小振幅の振動入力時の状態を、(b)は、比較的大振幅の振動入力時の状態を、それぞれ示している。なお、図13及び図14は共に、図7のVIII部に対応する。
第1実施の形態では、小径リップ15b1と大径リップ15b2との隣接間中央にスリット部15e1が位置する場合を説明した。これに対し、第6実施の形態では、スリット部815e1が大径リップ815b2よりも小径リップ815b1に近接して位置する一方、第7実施の形態では、スリット部915e1が小径リップ915b1よりも大径リップ915b2に近接して位置している。なお、上記した各実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
第6実施の形態では、図13に示すように、小径リップ815b1の高さ寸法h1が大径リップ815b2の高さ寸法h2よりも大きな高さ寸法に設定されている(h1>h2)。そのため、スリット部815e1が大径リップ815b2よりも小径リップ815b1に近接して位置するように構成されている。
これにより、比較的大きな振幅の振動の入力に伴って弾性仕切り膜15が変位して、図13(b)に示すように、両リップ815b1,815b2が押し潰される際には、より潰れ代が大きくなる小径リップ815b1の変形を有効に利用して、スリット部815e1をより確実に封止することができる。
一方、第7実施の形態では、図14に示すように、小径リップ915b1の幅寸法w1よりも大径リップ915b2の幅寸法w2の方が大きな幅寸法に設定されている(w1<w2)。そのため、スリット部915e1が小径リップ915b1よりも大径リップ915b2に近接して位置するように構成されている。
これにより、比較的大きな振幅の振動の入力に伴って弾性仕切り膜15が変位して、図14(b)に示すように、両リップ915b1,915b2が押し潰される際には、より潰れ代が大きくなる大径リップ915b2の変形を有効に利用して、スリット部915e1をより確実に封止することができる。
なお、第6実施の形態では、両リップ815b1,815b2の幅寸法が互いに同一の寸法に設定され、第7実施の形態では、両リップ915b1,915b2の高さ寸法が互いに同一の寸法に設定されている。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定される物ではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記各実施の形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
また、上記各実施の形態では、弾性仕切り膜15の上下両面が対称に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、弾性仕切り膜15の上下両面を非対称に構成することは当然可能である。
即ち、弾性仕切り膜15の上面側には、下面側と同じ小径及び大径リップ15b1〜915b2が形成されたが、上下両面にそれぞれ異なる小径及び大径リップ15b1〜915b2を設けることは当然可能である。
また、上記各実施の形態で説明した小径リップ15b1〜915b1と大径リップ15b2〜915b2とを任意に組み合わせて2重リップを構成することは当然可能である。例えば、第1実施の形態で説明した小径リップ15b1と第2実施の形態で説明した大径リップ315b2とを組み合わせて2重リップとしても良い。
また、上記各実施の形態では、環状リップ15b〜15dを2重リップとして構成すると共に、その2重リップ間にスリット15e1〜15e3を設ける場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、これに代えて、又は、これに加えて、放射状リップ15aの少なくとも一部を2重リップとして構成し、その2重リップ間にスリットを設けるようにしても良い。
なお、この場合には、放射状リブ16a1〜17a2と当接可能な2重リップ(放射状リップ15a)間のみにスリットを設けることが好ましい。比較的大きな振幅の振動入力時に、液圧がスリットを介して逃げることを防止するためである。