JP4580071B2 - 石油系炭化水素用脱硫剤及び燃料電池用水素の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、石油系炭化水素用脱硫剤及び燃料電池用水素の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、石油系炭化水素中の硫黄分を0.2重量ppm以下まで効率よく除去することができ、かつ寿命の長い石油系炭化水素用脱硫剤、及びこの脱硫剤を用いて脱硫処理された石油系炭化水素を水蒸気改質処理し、燃料電池用水素を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境問題から新エネルギー技術が脚光を浴びており、この新エネルギー技術の一つとして燃料電池が注目されている。この燃料電池は、水素と酸素を電気化学的に反応させることにより、化学エネルギーを電気エネルギーに変換するものであって、エネルギーの利用効率が高いという特徴を有しており、民生用、産業用あるいは自動車用などとして、実用化研究が積極的になされている。
この燃料電池には、使用する電解質の種類に応じて、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型、固体高分子型などのタイプが知られている。一方、水素源としては、メタノール、メタンを主体とする液化天然ガス、この天然ガスを主成分とする都市ガス、天然ガスを原料とする合成液体燃料、さらには石油系のLPG、ナフサ、灯油などの炭化水素の使用が研究されている。
【0003】
燃料電池を民生用や自動車用などに利用する場合、上記石油系炭化水素は、保管及び取扱いが容易である上、ガソリン−スタンドや販売店など、供給システムが整備されていることから、水素源として有利である。
しかしながら、石油系炭化水素は、メタノールや天然ガス系のものに比べて、硫黄分の含有量が多いという問題がある。この石油系炭化水素を用いて水素を製造する場合、一般に、該炭化水素を、改質触媒の存在下に水蒸気改質又は部分酸化改質処理する方法が用いられる。このような改質処理においては、上記改質触媒は、炭化水素中の硫黄分により被毒されるため、触媒寿命の点から、該炭化水素に脱硫処理を施し、硫黄分含有量を、通常0.2重量ppm以下にすることが肝要である。
【0004】
石油系炭化水素の脱硫方法としては、これまで多くの研究がなされており、例えばCo−Mo/アルミナやNi−Mo/アルミナなどの水素化脱硫触媒とZnOなどの硫化水素吸着剤を用い、常圧〜5MPaの圧力下、200〜400℃の温度で水素化脱硫する方法が知られている。この方法は、厳しい条件下で水素化脱硫を行い、硫黄分を硫化水素にして除去する方法であり、しかも硫黄分を0.2重量ppm以下にすることは困難であるため、燃料電池用原料の製造には適用しにくい。
一方、灯油中の硫黄分を、水素化精製処理を行うことなく、温和な条件で吸着除去し、硫黄分を0.2重量ppm以下にし得る脱硫剤として、ニッケル系吸着剤が知られている(特公平6−65602号公報、同平7−115842号公報、同平7−115843号公報、特開平1−188405号公報、同平2−275701号公報、同平2−204301号公報、同平5−70780号公報、同平6−80972号公報、同平6−91173号公報、同6−228570号公報)。
これらのニッケル系吸着剤は、燃料電池用の石油系炭化水素に対して、脱硫剤として適用するのに有利であるが、いずれも脱硫剤としての寿命の面で実用的なレベルに対していない上、石油系炭化水素脱硫用に適した吸着剤の設計条件については、明らかでないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、石油系炭化水素中の硫黄分を0.2重量ppm以下まで効率よく除去することができ、かつ寿命の長い工業的に有利な石油系炭化水素用脱硫剤、及びこの脱硫剤を用いて脱硫処理された石油系炭化水素を水蒸気改質処理し、燃料電池用水素を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、水素吸着量が特定の値以上である脱硫剤が、石油系炭化水素用脱硫剤としてその目的に適合しうること、そして、この脱硫剤を用いて脱硫処理した石油系炭化水素を水素化改質処理することにより、燃料電池用水素が効率よく得られることを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、担体上に金属成分が担持されてなり、かつ水素吸着量が0.4ミリモル/g以上であることを特徴とする石油系炭化水素用脱硫剤を提供するものである。
また、本発明は、上記石油系炭化水素用脱硫剤を用いて石油系炭化水素を脱硫したのち、水蒸気改質触媒と接触させることを特徴とする燃料電池用水素の製造方法をも提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の石油系炭化水素用脱硫剤は、担体上に金属成分を担持させたものであって、水素吸着量が0.4ミリモル/g以上である。この水素吸着量が0.4ミリモル/g未満のものでは、充分な脱硫性能が発揮されず、本発明の目的が達せられない。この水素吸着量の上限については特に制限はないが、あまり大きなものは製造が困難であるので、脱硫性能及び製造面などから、水素吸着量は0.4〜0.9ミリモル/gの範囲が好ましく、特に0.6〜0.8ミリモル/gの範囲が好ましい。
【0008】
なお、前記水素吸着量は、以下に示す方法により測定した値である。
脱硫剤100mgを石英製試験管に充填する。常圧下、ヘリウム気流中にて120℃に昇温し、1時間保持した後ヘリウムガスを水素ガスに置換し、更に昇温し、380℃で1時間保持して、脱硫剤を活性化する。次に、真空下(3×10-3Torr)、300℃で吸着している水素を除去し、20℃にて水素吸着測定を行う。導入した水素の圧力変化から水素吸着量を算出した。
【0009】
本発明においては、該担体として、多孔質担体が好ましく、特に多孔質の無機酸化物が好ましい。このようなものとしては、例えばシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、白土、粘土及び珪藻土などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で特にシリカ−アルミナが好適である。
これらの担体上に担持させる金属成分としては、特にニッケルが好適である。また、このニッケルに必要に応じ、銅、コバルト、鉄、マンガン、クロムなどの他の金属を少量混在させてもよい。
本発明においては、ニッケルの担持量は、脱硫剤全量に基づき、金属ニッケルとして40重量%以上が好ましい。この担持量が40重量%未満では充分な脱硫性能が発揮されないおそれがある。また、担持量があまり多すぎると担体の割合が少なくなって、脱硫剤の機械的強度や脱硫性能が低下する原因となる。脱硫性能及び機械的強度などを考慮すると、この金属ニッケルのより好ましい担持量は、50〜70重量%の範囲である。
【0010】
該担体に金属成分を担持させる方法については特に制限はなく、含浸法、共沈法、混練法などの公知の任意の方法を採用することができる。
本発明の好ましい脱硫剤である、アルミナ−シリカ担体上にニッケルを担持させてなる脱硫剤は、例えば以下に示すような共沈法によって製造することができる。
この共沈法においては、まずニッケル源及びアルミニウム源を含む酸性水溶液又は酸性水性分散液と、ケイ素源及び無機塩基を含む塩基性水溶液を調製する。前者の酸性水溶液又は酸性水分散液に用いられるニッケル源としては、例えば塩化ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及びこれらの水和物などが挙げられる。また、アルミニウム源としては硝酸アルミニウム、擬ベーマイト、ベーマイトアルミナ、バイヤライト、ジブサイトなどのアルミナ水和物や、γ−アルミナなどが挙げられる。
【0011】
一方、塩基性水溶液に用いられるケイ素源としては、アルカリ水溶液に可溶であって、焼成によりシリカになるものであればよく、特に制限されず、例えばオルトケイ酸、メタケイ酸及びそれらのナトリウム塩やカリウム塩、水ガラスなどが挙げられる。また、無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが挙げられる。
次に、このようにして調製した酸性の水溶液又は水分散液と塩基性水溶液を、それぞれ50〜90℃程度に加温して、両者を混合し、さらに50〜90℃程度の温度に保持して反応を完結させる。
次に、生成した固形物を充分に洗浄したのち固液分離するか、あるいは生成した固形物を固液分離したのち充分に洗浄し、次いで、この固形物を公知の方法により80〜150℃程度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥処理物を、好ましくは200〜400℃の範囲の温度において焼成することにより、シリカーアルミナ担体上にニッケルが担持された脱硫剤が得られる。この際、前述の水素吸着量を有する担体が形成され、かつニッケル担持量が所望の値になるように、使用する原料の種類や量、反応条件、焼成条件などを選択する。
【0012】
本発明の脱硫剤は、石油系炭化水素、特に灯油の脱硫剤として用いられる。灯油の中でも硫黄分含有量が80重量ppm以下のJIS1号灯油に適用するのが好ましい。このJIS1号灯油は、原油を常圧蒸留して得た粗灯油を脱硫することにより得られる。該粗灯油は、通常硫黄分が多く、そのままではJIS1号灯油とはならず、硫黄分を低減させる必要がある。この硫黄分を低減させる方法としては、一般に工業的に実施されている水素化精製法で脱硫処理するのが好ましい。この場合、脱硫触媒として、通常ニッケル、コバルト、モリデブン、タングステンなどの遷移金属を適当な割合で混合したものを金属、酸化物、硫化物などの形態でアルミナを主成分とする担体に担持させたものが用いられる。反応条件は、例えば反応温度250〜400℃、圧力2〜10MPa・G、水素/油モル比2〜10、液時空間速度(LHSV)1〜5h-1などの条件が用いられる。
【0013】
本発明の硫黄剤を用いて、石油系炭化水素を脱硫処理する方法としては、例えば以下に示す方法を用いることができる。
まず、該本発明の脱硫剤が充填された脱硫塔に、予め水素を供給し、150〜400℃程度の温度において、該脱硫剤の還元処理を行う。次に、好ましくは灯油1号を、脱硫塔中を上向き又は下向きの流れで通過させ、温度130〜230℃程度、圧力常圧〜1MPa・G程度、LHSV10h-1以下程度の条件で脱硫処理する。この際、必要により、少量の水素を共存させてもよい。脱硫条件を上記範囲で適当に選択することにより、硫黄分0.2重量ppm以下の石油系炭化水素を得ることができる。
本発明の燃料電池用水素の製造方法は、このようにして脱硫処理した石油系炭化水素を、水蒸気改質触媒と接触させることにより、水素を製造する方法である。
【0014】
本発明の方法において用いられる水蒸気改質触媒としては特に制限はなく、従来炭化水素の水蒸気改質触媒として知られている公知のものの中から、任意のものを適宜選択して用いることができる。このような水蒸気改質触媒としては、例えば適当な担体にニッケルやジルコニウム、あるいはルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属を担持したものを挙げることができる。上記担持金属は一種担持させてもよく、二種以上を組み合わせて担持させてもよい。これらの触媒の中で、ルテニウムを担持させたもの(以下、ルテニウム系触媒と称す。)が好ましく、水蒸気改質反応中の炭素析出を抑制する効果が大きい。
このルテニウム系触媒の場合、ルテニウムの担持量は担体基準で0.05〜20重量%の範囲が好ましい。この担持量が0.05重量%未満では水蒸気改質活性が充分に発揮されないおそれがり、一方20重量%を超えるとその担持量の割には触媒活性の向上効果があまり認められず、むしろ経済的に不利となる。触媒活性及び経済性などを考慮すると、このルテニウムのより好ましい担持量は0.05〜15重量%であり、特に0.1〜2重量%の範囲が好ましい。
【0015】
このルテニウムを担持する場合、所望により、他の金属と組み合わせて担持することができる。該他の金属としては、例えばジルコニウム、コバルト、マグネシウムなどが挙げられる。ルテニウムとジルコニウムを組み合わせて担持する場合、ジルコニウムの担持量は、ZrO2 として担体基準で、通常0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜15重量%の範囲で選定される。また、ルテニウムとコバルトを組み合わせて担持する場合、コバルトの担持量は、ルテニウムに対するコバルトの原子比が、通常0.01〜30、好ましくは0.1〜30、より好ましくは0.1〜10になるように選定される。さらに、ルテニウムとマグネシウムを組み合わせて担持する場合、マグネシウムの担持量は、MgOとして担体基準で通常0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1〜15重量%の範囲で選定される。
【0016】
一方、担体としては、無機酸化物が好まし、具体的にはアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネシア及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中で、特にアルミナ及びジルコニアが好適である。
本発明で用いられる水蒸気改質触媒の好ましい態様の一つとして、ルテニウムをジルコニアに担持した触媒が挙げられる。このジルコニアは、担体のジルコニア(ZrO2 )でもよいし、マグネシアのような安定化成分を含む安定化ジルコニアでもよい。この安定化ジルコニアとしては、マグネシア、イットリア、セリアなどを含むものが好適である。
本発明で用いられる水蒸気改質触媒の好ましい態様のもう一つとしては、ルテニウムとジルコニウム、又はルテニウムとジルコニウムの他に、さらにコバルト及び/又はマグネシウムとをアルミナ担体に担持した触媒を挙げることができる。該アルミナとしては、特に耐熱性と機械的強度に優れるα−アルミナが好ましい。
水蒸気改質処理における反応条件としては、水蒸気と石油系炭化水素に由来する炭素との比S/C(モル比)は、通常1.5〜10、好ましくは1.5〜5、より好ましくは2〜4の範囲で選定される。S/Cモル比が1.5未満では水素の生成量が低下するおそれがあり、また10を超えると過剰の水蒸気を必要とし、熱ロスが大きく、水素製造の効率が低下するので好ましくない。
【0017】
また、水蒸気改質触媒層の入口温度を630℃以下、さらには600℃以下に保って水蒸気改質を行うのが好ましい。入口温度が630℃を超えると石油系炭化水素の熱分解が促進され、生成したラジカル経由で触媒あるいは反応管壁に炭素が析出して、運転が困難になる場合がある。なお、触媒層出口温度は特に制限はないが、650〜800℃の範囲が好ましい。触媒層出口温度が650℃未満では水素の生成量が充分ではないおそれがあり、800℃を超えると反応装置は耐熱材料を必要とする場合があり、経済的に好ましくない。
反応圧力は、通常常圧〜3MPa、好ましくは常圧〜1MPaの範囲であり、また、LHSVは、通常0.1〜100h-1、好ましくは0.2〜50h-1の範囲である。
上記水素の製造方法においては、上記水蒸気改質により得られるCOが水素生成に悪影響を及ぼすため、これを反応によりCO2 としてCOを除くことが好ましい。
このようにして、燃料電池用水素を効率よく製造することができる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、各例で得られた脱硫剤の脱硫性能は、下記の方法に従って評価した。
<脱硫性能>
脱硫剤15ミリリットルを、内径17mmのステンレス鋼製反応管に充填する。次いで、常圧下、水素気流中にて120℃に昇温し、1時間保持したのち、さらに昇温し、380℃で1時間保持することにより、脱硫剤を活性化する。
次に、反応管の温度を150℃に保持し、硫黄分濃度65重量ppmのJIS1号灯油を、常圧下、LHSV3h-1で反応管に供給開始する。50時間経過した時点における必要灯油中の硫黄分濃度を分析し、脱硫性能を評価する。
なお、使用するJIS1号灯油の蒸留性状は以下のとおりである。
初留温度 :152℃
10%留出温度:169℃
30%留出温度:184℃
50%留出温度:203℃
70%留出温度:224℃
90%留出温度:254℃
95%留出温度:266℃
終点 :276℃
【0019】
実施例1
水500ミリリットルに塩化ニッケル50.9gを溶解し、これに担体アルミナ(擬ベーマイト)0.6gを加えたのち、1モル/リットル濃度の硝酸水溶液20ミリリットルを加え、pH1に調整し、(A)液を調製した。
一方、水500ミリリットルに炭酸ナトリウム33.1gを溶解したのち、水ガラス11.7g(SiO2 濃度29重量%)を加え、(B)液を調製した。
次に、上記(A)液と(B)液を、それぞれ80℃に加熱したのち、両者を瞬時に混合し、混合液の温度を80℃に保持したまま1時間撹拌した。その後、蒸留水60リットルを用いて生成物を充分に洗浄したのち、ろ過し、次いで固形物を120℃送風乾燥機にて12時間乾燥し、さらに300℃で1時間焼成処理することにより、シリカ−アルミナ担体上にニッケルが63重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤の水素吸着量は0.75ミリモル/gであり、50時間脱硫後の灯油中の硫黄分は0.2重量ppmであった。
【0020】
実施例2
水500ミリリットル硝酸ニッケル62.3gを溶解し、これに担体(シリカ粉末)4gを加えたのち、1モル/リットル濃度の硝酸水溶液20ミリリットル加え、pH1に調整し、(A)液を調整した。
一方、水500ミリリットルに炭酸ナトリウム33.1gを溶解し、(B)液を調製した。
以下、実施例1と同様な操作を行い、シリカ担体上にニッケルが60重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤の水素吸着量は0.50ミリモル/gであり、50時間脱硫後の灯油中の硫黄分は0.2重量ppmであった。
【0021】
比較例1
特公平6−65602号公報に記載の実施例に従い、脱硫剤を製造した。
すなわち、水500ミリリットルに硝酸ニッケル62.3gを溶解し、これに担体(珪藻土)4gを加え、(A)液を調製した。
一方、水500ミリリットルに炭酸ナトリウム33.1gを溶解し、(B)液を調製した。
以下、実施例1と同様な操作を行い、珪藻土担体上にニッケルが67重量%担持された脱硫剤を得た。
この脱硫剤の水素吸着量は0.32ミリモル/gであり、50時間脱硫後の灯油中の硫黄分は15.2重量ppmであった。
【0022】
実施例3
実施例1で得た脱硫剤15ミリリットルを、内径17mmのステンレス鋼製反応管に充填した。次いで、常圧下、水素気流中にて120℃に昇温し、1時間保持したのち、さらに昇温し、380℃で1時間保持することにより、脱硫剤を活性化した。
次に、反応管の温度を150℃に保持し、前記硫黄分濃度65重量ppmのJIS1号灯油を、常圧下、LHSV3h-1で反応管を通過させ、さらに、下流にルテニウム系改質触媒(ルテニウム担持量0.5重量%)30ミリリットルが充填された改質器により、水蒸気改質処理した。
改質処理条件は、圧力:大気圧、水蒸気/炭素(S/C)モル比2.5、LHSV:1.5h-1、入り口温度:500℃、出口温度:750℃である。
その結果、150時間経過後の改質器出口での転化率は100%であった。
なお、転化率は、式
転化率(%)=100×B/A
〔ただし、Aは時間当たりの供給灯油中の全炭素量(モル流量)で、A=CO+CO2 +CH4 +2×C2 留分+3×C3 留分+4×C4 留分+5×C5 留分であり、Bは時間当たりの改質器出口ガス中の全炭素量(モル流量)でB=CO+CO2 +CH4 である。〕
によって算出した値である。なお、分析はガスクロマトグラフィー法による。
比較例2
実施例3において、脱硫剤として、比較例1で得たものを用いた以外は、実施例3と同様にして、灯油の脱硫処理及び水蒸気改質処理を行った。
その結果、24時間経過後、改質器出口の転化率は100%を下回り、30時間経過後に改質器出口で油滴が確認された。
【0023】
【発明の効果】
本発明の石油系炭化水素用脱硫剤は、石油系炭化水素中の硫黄分を0.2重量ppm以下まで効率よく吸着除去することができ、かつ寿命も長い。また、この脱硫剤を用いて脱硫処理された石油系炭化水素を水蒸気改質処理することにより、燃料電池用水素を効果的に製造することができる。
Claims (5)
- 多孔質担体上に、ニッケルを脱硫剤全量に基づき金属ニッケルとして40重量%以上担持させてなり、かつ水素吸着量が0.4ミリモル/g以上であることを特徴とする石油系炭化水素用脱硫剤。
- 担体がシリカ、アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア、酸化亜鉛、白土、粘土及び珪藻土の中から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の脱硫剤。
- 石油系炭化水素が灯油である請求項1又は2に記載の脱硫剤。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の脱硫剤を用いて石油系炭化水素を脱硫したのち、水蒸気改質触媒と接触させることを特徴とする燃料電池用水素の製造方法。
- 水蒸気改質触媒がルテニウム系触媒である請求項4記載の燃料電池用水素の製造方法。
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