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JP4576801B2 - 電波吸収性天井板、その製造方法及びそれを用いた室内無線通信障害の防止方法 - Google Patents

電波吸収性天井板、その製造方法及びそれを用いた室内無線通信障害の防止方法 Download PDF

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JP4576801B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軽量で充分な曲げ強度と不燃性、吸音性、断熱性を備え、電波吸収性を有し、また意匠性を目的とした不燃吸音電波吸収性の天井板、更に該天井板に金属箔貼り加工をして電波遮蔽性を付加向上した不燃電波吸収性の金属箔貼り天井板、裏面にカーボンファイバー配合の有機系塗料を塗布した天井板に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話やPHSに代表される無線通信機器の普及は目覚ましく、オフィス・店舗・工場・倉庫などでも無線LANと言われる無線データ通信網で使用される無線通信機器が急速に普及してきている。こうした無線通信機器をオフィス等の特定の室内空間内で用いる場合には、室外からのノイズ電波の侵入を防いだり、室内の情報が室外に漏洩することを防止することを目的として、金属箔やメッシュ、導電性繊維などからなる電波遮蔽体を施工する技術が知られている。
【0003】
しかしながらこのような電波遮蔽体の施工を行った場合には、室内の電波反射性が高くなり、無線通信機器から発信される電波が、内壁や天井・床・スチール製の家具建具から反射され、受信端末に位相の異なる反射波が到達したり、天井・壁・床面などから多重的に反射波が到達して受信器側で正常な信号として認識できなくなり、通信時間が異常に長くなったり通信不能となる問題が発生している。また意図的に前記電波遮蔽体の施工を行わなくても、近年のオフィスは天井及び床面に金属製のデッキプレートが使用されたり、床面に金属製の二重床パネルが用いられる場合が多く、上下面は電波反射環境となるケースが多い。壁面についてもスチール製の間仕切り壁が用いられるケースが多く、壁面が電波反射体となる場合が増えている。
【0004】
こうした室内環境では、前記電波遮蔽体を意図的に施工した場合と同様、無線通信機器を使用した場合に位相の異なる反射波による伝送異常や、時間的に遅れて到達した反射波の影響による通信障害が発生しうる。この現象の対策としては、室内の内装材に電波の反射を抑える部材を施工することが有効であり、従来からフェライトタイルやフェライトまたは導電性物質を配合したセメント素材または石膏ボード等が用いられている。またフェルト状の電波吸収体を天井や床の裏面や下地ボードに一体化する施工方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の施工方法は煩雑であるのに加え、フェライトタイルやフェライトまたは導電性物質を配合したセメント素材や石膏ボードは比重が大きいため施工に手間が掛かる上に、高価なものとなっている。また電波の反射を防止するに際し、内装建材のうちで床や壁の部位に対して電波吸収体で施工することを想定した場合、まず床面については床上にスチール製の机を設置するケースが多く、結果として床面は電波反射体となり床面に施工した電波吸収体の電波吸収効果を損なうケースが多い。また壁面に電波吸収体を施工した場合には、施工後壁の前面にスチール製の書棚やロッカーなどを設置するケースが多く、結果として壁面の大部分が電波反射体となり電波吸収体の効果を損なうケースが多い。
【0006】
これに対して、天井面に電波吸収体を施工した場合においては、施工後に天井面の室内側に電波反射体を施工するようなケースはなく、スチール製の机や書棚などが設置され室内の使用状況が変化しても天井面の電波吸収性能が損なわれることが少ない。また無線LANの発信受信装置は机上または机上のパソコンに設置されて使用されることが多く、発信された電波が天井面によって反射されるケースが多いため、反射電波を低減する為には、天井面に電波吸収体を設置することが好適である。
【0007】
しかしながら、前記従来の施工方法においては、フェライトタイルやフェライト含有石膏ボード等は比重の高い素材であるため施工が困難であるばかりでなく、高コスト、ボードの色が黒くなること、及び耐震性等の面でも問題がある。
【0008】
本発明は前記状況を鑑みてなされたものであり、無線LANの通信問題を解決するに最適な部位である内装用天井板として、軽量で充分な曲げ強度と不燃性、吸音性、断熱性を有し、且つ好適な電波吸収性能条件を備え、また意匠性も配慮された天井板を得ること、及び該天井板に金属箔貼り加工をして電波遮蔽性を付加向上させた内装用天井板を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記所望の内装用天井板は、不燃性・吸音性・断熱性を付与するロックウールと、強度・耐水性を付与するための通称ジェルと呼ばれる叩解パルプ及び有機質結合剤、抄造成型時の結合材の補集性と強度向上を付与するための凝集剤、パネルの寸法安定性と外観・表面平滑性・強度を向上させるための天然鉱物繊維、撥水性を付与するための有機系撥水剤、及び電波吸収性を付与するためのカーボンファイバーとを配合した混合物を水に分散させスラリーとし、湿式抄造により製造することにより得られることが見いだされた。
【0010】
即ち本発明は、ロックウール67〜92wt%、叩解パルプ0.5〜8wt%、有機質樹脂からなる結合剤2〜13wt%、有機質高分子樹脂と無機質塩からなる凝集剤0.15〜1wt%、天然鉱物繊維0.5〜10wt%および繊維長1〜30mmのカーボンファイバー0.02〜1wt%が配合された混合物の水分散スラリーを湿式抄造して得られる、厚み1〜30mmの天井板を、課題解決の手段とする。
【0011】
また意匠性を目的とした発明として、ロックウール67〜92wt%と、叩解パルプ0.5〜8wt%と、有機質樹脂からなる結合剤2〜13wt%と、有機質高分子樹脂と無機質塩とからなる凝集剤0.15〜1wt%と、天然鉱物繊維0.5〜10wt%とを含有する1次混合物の水分散スラリーを湿式抄造して得られる層と、該1次混合物に対して繊維長1〜30mmのカーボンファイバーを0.02〜1wt%更に含有する二次混合物の水分散スラリー湿式抄造して得られる層との積層構成からなる、厚み1〜30mmの不燃吸音電波吸収性の天井板も課題解決の手段とする。
【0012】
前記不燃吸音電波吸収性の天井板に配合されるカーボンファイバーは、前処理として水中に0.5〜2wt%の割合で投入し、回転スピードが100〜400回転/分のミキサーで0.5〜3分間攪拌することも好適な手段とする。
【0013】
前記不燃吸音電波吸収性の天井板の、主成分として配合されるロックウールを置換する形で、無機充填剤等の添加剤を50wt%以下添加することも好適な手段とする。
【0014】
前記不燃吸音電波吸収性の天井板の電波遮蔽性向上並びに、反射電波の共振現象による電波吸収性を向上させるため、裏面に金属箔を貼り付けた不燃吸音電波吸収性の金属箔貼り天井板も好適な手段とする。
【0015】
一方、前記不燃吸音電波吸収性の天井板の裏面に金属箔や金属板等を配置しない条件下で電波吸収性能を効果的に発揮させる、即ち金属箔や金属板等で反射した電波の共振現象により生ずる電波吸収分を付加しない場合には、繊維長1〜30mmのカーボンファイバーの配合割合を0.08〜0.4wt%とすることにより好適な電波吸収性能を得ることができる。
【0016】
また、上記カーボンファイバー配合量が0.04〜0.08wt%と更に少なくても、天井板の裏面に、該配合量よりも多く、好ましくは1.0〜15.0wt%の配合量で、カーボンファイバーを配合した有機系塗料を100〜3000g/m2の量で塗布することにより、天井板の裏面に金属泊や金属板等を配置しない条件下でも、上記と同様の好適な電波吸収性能を得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板について説明する。
本発明を構成するロックウールは、SiO235〜55wt%、Al2310〜20wt%、MgO5〜40wt%、CaO5〜40wt%、FeO0〜10wt%、Na2O、K2O、TiO2、MnO等の微量成分0〜10wt%を含有する原料の鉱物混合物をキュポラ炉または電気炉で溶解し、ブローイング法や高速回転体によるスピニング法で繊維化して得られる。繊維はウール状で、繊維長が数ミリから数十ミリの範囲にある。
【0018】
前記ロックウールの配合割合は、不燃性と吸音性、及び強度との関係で、67〜92wt%の範囲が適正で、67wt%未満では相対的に有機結合剤比率が多くなることから、不燃性・吸音性が損なわれ、92wt%を超えると相対的に有機結合剤の比率が少なくなり内装用天井板としての曲げ強度が不充分となる。
【0019】
前記叩解パルプの配合割合は、不燃性と抄造時の濾水性と内装用天井板としての強度の関係で、0.5〜8wt%の範囲が適正で、0.5wt%未満では天井板の強度が不足し、8wt%を超えると不燃性及び製造時の濾水性が劣化し、防火性及び生産性を損なうこととなる。
【0020】
前記有機質結合剤として用いられる物質は、デンプン、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、パラフィン等の粉末やフェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性の粉末樹脂やアクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、変性ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等のエマルジョンのような、有機質結合剤を挙げることができる。これら有機質結合剤の配合量は、不燃性と強度との関係で2〜13wt%が適正で、13wt%を超えると不燃性が損なわれ、2wt%未満では曲げ強度が不充分となる。ただし、ロックウールを置換する形で水酸化アルミニウムを添加することにより、有機質結合剤を13〜20wt%添加することができる。
【0021】
本発明は、湿式抄造法で製造するため、有機質結合剤を効果的に保持させるポリアクリルアミドや硫酸バンド等の凝集剤を少量添加する必要がある。高分子凝集剤の配合量は強度効果、及び不燃性との関係から0.15〜1wt%の範囲が好ましい。
【0022】
また本発明は、強度・寸法安定性・耐湿撓み性の向上を目的として、アタパルジャイト、セピオライト等の天然鉱物繊維を添加する必要がある。湿式抄造時の生産性に関与する濾水性と強度との関係で0.5〜10wt%の範囲が適正で、10wt%を超えると濾水時間が長くなり生産性が損なわれ、0.5wt%未満では寸法安定性、耐湿撓み性が不充分となる。
【0023】
また本発明は、撥水性を付与するためにワックスエマルジョン、シリコン樹脂エマルジョン等の撥水剤を少量添加する必要がある。撥水剤の配合割合は、撥水性と強度、不燃性との関係から0.1〜0.5wt%の範囲が好ましい。
【0024】
本発明の構成で、電波吸収性能を付与する成分として、繊維状の導電性物質を配合する。繊維状導電性物質としては、PAN系、ピッチ系のカーボンファイバーで繊維長として1〜30mmの範囲が好ましい。係る代表例としては、大阪ガス(株)製のザイラス、東レ(株)製のトレカ、東邦レーヨン(株)製ベスファイト等を挙げることができる。カーボンファイバーの繊維長は長くなるほど、少ない配合量で良好な電波吸収性能を示す反面、抄造成型時に水に分散させ攪拌した際にカーボンファイバーが絡まり合い分散性が悪くなり、電波吸収性能の低下を引き起こすので、繊維長としては30mm以下が好ましい。また1mm未満の場合は分散性には問題ないが、電波吸収の原理である誘電損失効果が得られにくく電波吸収性能の低下を招く。
【0025】
前記カーボンファイバーの配合割合は、0.02wt%以上で良好な電波吸収性能を発揮することが判った。ここで、1wt%を超えると電波反射率の特性の方が向上しすぎて電波吸収性能の低下を引き起こし得るため、0.02〜1wt%の範囲とすることが好ましい。配合のカーボンファイバーが誘電体として働き、ギガヘルツ以上の周波数帯域で誘電損失による電波エネルギーの損失をもたらし、所望の電波吸収性能を示すものと推定される。
【0026】
本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板は、ロックウール、有機質結合剤、結合助剤及びカーボンファイバーを含有する混合物を水に分散させ、円網または長網タイプ、ロートフォーマー等の製紙用抄造装置でウエットマットに抄造し、乾燥硬化させ、任意の形状に切削、切断することにより得られる。本発明の主要構成成分と製造方法については前記の通りであるが、防火性の向上、コストダウンを目的に有機質結合剤に難燃剤や無機質を少量配合することは可能である。
【0027】
本発明の天井板の厚みは1〜30mm、好ましくは9〜19mmである。また、天井板の嵩密度は0.3〜0.5g/cm3が好ましい。
【0028】
本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板に於いて、カーボンファイバーを含まない層とカーボンファイバーを含む層の少なくとも二層から構成される積層構成の天井板がある。該天井板は、ロックウール67〜92wt%と、叩解パルプ0.5〜8wt%と、有機質樹脂からなる結合剤2〜13wt%と、有機質高分子樹脂と無機質塩とからなる凝集剤0.15〜1wt%と、天然鉱物繊維0.5〜10wt%とを混合した、1次混合物をまず層状に形成した後、該混合物上に、繊維長1〜30mmのカーボンファイバーを0.02〜1wt%配合した2次混合物の水分散スラリーを重ねて層状に形成するか、もしくは先に該カーボンファイバーを0.02〜1wt%の割合で配合して得た2次混合物の水分散スラリーを層状に形成した上に、1次混合物の水分散スラリーを重ねて層状に形成するかの、いずれか一方の湿式抄造にて得ることができる。
【0029】
カーボンファイバーを含む場合、その配合量にもよるが、ファイバーの黒色が線状に分散した状態で表面に出てくるため好ましくない場合があり、特に表面を純白に仕上げる製品においては障害となる。このため、カーボンファイバーを含まない層を表面側即ち、天井施工の場合室内に向く側とし、カーボンファイバーを含む層は裏面側として積層製造することが好ましい。製造方法としては、前記の通りカーボンファイバーを含む層を先に抄造するか、もしくはカーボンファイバーを含まない層を先に抄造するかはいずれでも良く、カーボンファイバーを含む層とカーボンファイバーを含まない層とを連続して抄造し、積層製造することが好ましい。カーボンファイバーを含む層は意匠性のため裏面側として製造することが好ましい。各層の厚さは特に限定しないが、通常カーボンファイバーを含まない層を薄く構成し、カーボンファイバーを含む層を厚めに構成した方が、カーボンファイバーの分散性の面で好ましい。
【0030】
前記カーボンファイバーは、繊維どうしが集束された状態から分離させるため他の配合成分と同時に水中に配合し攪拌しただけでは、カーボンファイバーの分散が不十分となり良好な電波吸収特性が得られない。係る問題点に対し発明者らは鋭意検討を加えた結果、水中に1〜30mmのカーボンファイバーを0.5〜2wt%の割合で投入し、回転スピードが100〜400回転/分のミキサーで0.5〜3分間攪拌することで良好な分散状態となることを見いだした。これを他の配合成分と混合して用いることにより、好適な電波吸収性能を発揮する不燃吸音電波吸収性の天井板を得ることができる。
【0031】
本発明の成分構成で、不燃性・密度調整を目的として水酸化アルミニウム、パーライト、シラスバルーンなどの無機充填剤を配合することができる。水酸化アルミニウムの配合割合としては、ロックウールを置換する形で50wt%以下が好ましい。50wt%を超えると濾水時間が長くなり成形時の生産性が悪くなる上に強度低下を招く。パーライト、シラスバルーンについてもロックウールを置換する形で使用され、密度と強度の関係から30wt%以下が好ましい。
【0032】
不燃吸音電波吸収性の天井板の裏面に金属箔を貼り合わせた場合には、不燃吸音性と電波吸収性の天井板としての性能に加えて、電波を遮蔽する性能を付与することができる。又電波吸収性能については、金属箔反射電波の共振現象により生ずる電波吸収性が付加向上するため、電波遮蔽性能と相まって効果的であり、裏面金属箔貼り一体成形の天井板とすることにより経済性と施工性の点からも得策である。尚、本願明細書で言う裏面とは、施工後の天井板の室内側を表面とし、天井裏側を裏面とする。前記天井板にアルミ箔、スチール箔等の金属箔を貼り合わせ加工する場合、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、合成ゴム等の接着剤を介して接着加工を行う。金属箔は前記天井板の裏面側に接着する。金属箔の厚みは、表面保護、パネルの施工性を考慮して5〜200μmとし、より好ましくは、50〜100μmの軟質金属箔を選択する。
【0033】
一方、前記共振現象に関して、更に効果的電波吸収条件を検討した結果を、以下に詳述する。
電波吸収体の裏面にアルミ箔などの電波反射体を設け、電波吸収体の誘電的透磁的効果により入射波と反射波の位相が反転し、電磁波エネルギーの損失を生じるいわゆる共振効果により電波吸収性能を得る方法の場合、電波反射層は必須構成要素である。しかしながら、これら電波反射体を裏面に設けた電波吸収体は、アルミ箔等の金属箔などを張り合わせた構造であるため、コストアップとなっている。またアルミ等の金属体は腐食する場合があるため、電波吸収体を他の構造体に接着する際に、樹脂接着剤との接着不良を発生するということもある。
【0034】
また、石膏ボードを捨て張りし、ロックウール板を化粧張りする際に、天井板に電波吸収性能をもたせる場合には、1つの方法として、石膏ボード内部にフェライトや導電性繊維を配合し、裏面にアルミ箔を張った電波吸収石膏ボードを用い、下面に不燃吸収性天井板をタッカーと接着剤を用いて施工する方法がある。
第2の方法としては、石膏ボードの組成は一般の石膏ボード組成とし、石膏ボードの下面にアルミ箔を張り合わせ、フェライトや導電性繊維を配合した不燃吸音電波吸収性化粧天井板をタッカーと接着剤を用いて施工する方法がある。第3の方法としては、一般の電波吸収性を持たない石膏ボードを捨て張りし、フェライトや導電性繊維を配合した不燃吸音電波吸収性の化粧天井板の裏面にアルミ箔などの金属箔を張りつけたものを、石膏ボードに接着剤とタッカーを用いて張り合わせる方法が考えられる。
【0035】
しかしながら、第1方法においては、石膏ボードのコストがアルミ箔などの金属箔を張り合わせることにより高コストとなる。第2の方法においては、同じく石膏ボードが高コストとなる点に加え石膏ボードと化粧天井板との間にアルミ箔等の金属箔が介在するため、金属箔の腐食によって化粧天井板との接着力が低下し、化粧天井板が剥離し易い。第3の方法においては、石膏ボードのコスト上昇はないが、電波吸収化粧天井板が高コストとなることに加え、第2の方法と同様の理由により金属箔の腐食によって化粧天井板との接着力が低下し、化粧天井板が剥離し易い。また、石膏ボードの捨て張りを行わない直張り方法や天井金具に化粧天井板を載せる方式(レイイン工法)や金具を化粧天井板の小口に差込み支持する工法などいわゆるシステム天井については、金属箔張りの電波吸収石膏ボードを用いることができないことは言うまでもない。また化粧天井板の裏面に金属箔を張った不燃吸音電波吸収天井板は高コストとなりまだ汎用化されるに至っていない。
【0036】
前記の状況を踏まえた上で、電波吸収性能試験結果を種々検討したところ、電波吸収試験設定上、試験体天井板の裏面に金属板を設置しているため、電波反射からのいわゆる共振による吸収特性が付加されていることも好適吸収性能を示している原因となっていることを見出した。そこで、カーボンファイバーは、従来の電波吸収試験では、0.02wt%以上の配合量で良好な電波吸収性能を発揮するが、裏面に金属箔等による電波反射体がない場合には、0.02wt%から0.08wt%未満までの配合量の場合は、電波吸収性能は低下し、より望ましい好適吸収性能を示す迄には至らないことが判った。
【0037】
一方、0.4wt%から1.5wt%まではある程度の電波吸収性能を示すが、0.4wt%から配合量を増加させるにつれて電波反射特性が強くなり、結果として吸収性能が低下してしまうデメリットがある。また1.5wt%を超えるとパネルの電波反射率が強くなりすぎて電波吸収性能の低下が著しく起きる。従って、繊維長1〜30mmのカーボンファイバーの配合割合を0.08〜0.4wt%の範囲とすることにより、不燃吸音電波吸収性の天井板の裏面に金属箔を貼り合わせなくても、所望の好適な電波吸収を行うことができ、好ましいことが判った。
【0038】
更に、上記の通りカーボンファイバー配合量が低いと、裏面に金属箔等の電波反射体がないと所望の好適吸収性能が得られにくいが、かかる低配合量の場合であっても、その裏面にカーボンファイバーが更に多く配合した有機系塗料を100〜3000g/m2の量で塗布することにより、所望の好適な電波吸収性能が得られることが判った。配合割合の異なるカーボンファイバー層が隣接することで、両層間において共振効果が増大し、吸収特性が向上するものと推定される。
さらに、表側のカーボンファイバー配合量が少なくてすむため、美観上も有利である。
【0039】
表面側のカーボンファイバー配合量は、好ましくは0.08wt%以下、より好ましくは0.04〜0.08wt%であり、裏面側の有機塗料中のカーボンファイバー配合量は、好ましくは1.0wt%以上、より好ましくは1.0〜15.0wt%である。
【0040】
本発明の有機系塗料としては、酢酸ビニル系エマルジョン塗料が好ましく用いられ、例えば、ポリ酢酸ビニル系エマルジョン塗料(PCコート)、ポリビニルアルコール系エマルジョン塗料、ポリビニルアセタール系エマルジョン塗料等が挙げられる。
上記有機系塗料中に配合されるカーボンファイバーとしては、上記と同様のものを挙げることができ、その繊維長は特に限定的ではないが、0.1〜30mmが好ましく、均一分散や混合の容易性の点から、特に0.5〜2mmが好ましい。
【0041】
【実施例】
以下、本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板及び金属箔貼り天井板とを実施例1〜11並びに比較例1〜2を表1、表2と共に、実施例12〜19、比較例3および参考例1〜2を表3、表4と共に、また実施例20を表5と共に説明する。
【0042】
<実施例1>
SiO241wt%、CaO36wt%、MgO6wt%、Al2312wt%、その他Na2O、K2O等の微量成分5wt%の組成からなる繊維長100〜500μmの鉄鋼スラグ系ロックウール89.6wt%、パルプを水に分散しリファイナーで叩解した叩解パルプ1wt%、澱粉5.5wt%、水に分散して解繊したアタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、前処理として水中に1wt%の割合で投入し、200回転/分の回転速度で2分間ミキサーにて攪拌した、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.25wt%(固形分ベース)を加えて混合し、ミキサーで分散して約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削加工して板厚12mm、嵩密度0.4g/cm3の内装用天井板のパネルAを得た。パネルAの強度、防火性、熱抵抗、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等を表1に示す。
【0043】
<実施例2>
実施例1のカーボンファイバーの配合割合を0.025wt%、ロックウールの配合割合を89.825wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルBを得た。パネルBの性能等を表1に同じく示す。
【0044】
<実施例3>
実施例1のカーボンファイバーの配合割合を0.33wt%、ロックウールの配合割合を89.52wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で嵩密度が0.3g/cm3となるようにして内装用天井板のパネルCを得た。パネルCの性能等を表1に同じく示す。
【0045】
<実施例4>
実施例1のカーボンファイバーの配合割合を0.3wt%、ロックウールの配合割合を89.55wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルDを得た。表面を切削加工した板厚9mmのパネルDの性能等を表1に同じく示す。
【0046】
<実施例5>
実施例1のカーボンファイバーの配合割合を0.15wt%、ロックウールの配合割合を89.7wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルEを得た。表面を切削加工した板厚15mmのパネルEの性能等を表1に同じく示す。
【0047】
<実施例6>
実施例1のカーボンファイバーの配合割合を0.22wt%とし、ロックウールの配合割合を89.63wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で嵩密度が0.5g/cm3となるようにして内装用天井板のパネルFを製造した。パネルFの性能等を表1に同じく示す。
【0048】
<実施例7>
実施例1のカーボンファイバーの長さを1mm、配合割合を0.4wt%とし、ロックウールの配合割合を89.45wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルGを製造した。パネルGの性能等を表1に同じく示す。
【0049】
<実施例8>
実施例1のカーボンファイバーの長さを12mm、配合割合を0.18wt%とし、ロックウールの配合割合を89.67wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルHを製造した。パネルHの性能等を表2に同じく示す。
【0050】
<実施例9>
実施例1で得られたパネルの裏面に、厚み50μmの軟質アルミ箔をエチレン酢酸ビニル系の接着剤で貼り合わせ、アルミ箔貼りの内装用天井板のパネルIを製造した。アルミ箔貼りのパネルIの性能等を表2に同じく示す。
【0051】
<実施例10>
ロックウール85.95wt%、叩解パルプ3wt%、ポリビニルアルコール7wt%、アタパルジャイト3wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%からなる混合物に、前処理として水中に1wt%の割合で投入し、200回転/分の回転速度で2分間ミキサーにて攪拌した、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.25wt%(固形分ベース)を加えてミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する板厚12mmの内装用天井板のパネルJを得た。パネルJの強度、防火性、熱抵抗、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表2に示す。
【0052】
<実施例11>
ロックウール60.95wt%、叩解パルプ3wt%、ポリビニルアルコール7wt%、アタパルジャイト3wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、水酸化アルミニウム25wt%からなる混合物に、前処理として水中に1wt%の割合で投入し、200回転/分の回転速度で2分間ミキサーにて攪拌した、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.25wt%(固形分ベース)を加えてミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。
該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する板厚12mm、嵩密度0.45g/cm3の内装用天井板のパネルKを得た。パネルKの強度、防火性、熱抵抗、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表2に示す。
【0053】
[比較例1]
ロックウール90.25wt%、叩解パルプ1wt%、澱粉5.5wt%、アタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%からなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して板厚12mmの内装用天井板のパネルLを得た。パネルLの強度、防火性、熱抵抗、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表2に示す。
【0054】
[比較例2]
ロックウール88.35wt%、叩解パルプ1wt%、澱粉5.5wt%、アタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)1.5wt%からなる混合物をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。更にこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する板厚12mmの内装用天井板のパネルMを得た。パネルMの強度、防火性、熱抵抗、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表2に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0004576801
【0056】
【表2】
Figure 0004576801
【0057】
<表1及び表2の評価測定方法>
曲げ強度:JIS A 1408(5号試験体)法による。
熱抵抗 :JIS A 1420法による。
防火性能:JIS A 1321法による。
吸音率 :JIS A 1409(残響室)法による。
電波遮蔽性能:各試験毎の厚さ9〜15mm、縦横の長さが400mm×400mmの試験体のみを、電波送信アンテナと受信アンテナの間に設置し、タイムドメイン法により透過レベルを測定する。透過係数は、試験体を設置しない場合の透過レベルとの対比にて算出し電波遮蔽性能とした。
電波吸収性能:日本建築学会にて検討を進めている「電波吸収体性能評価計測方法」に従い、各試験毎の厚さ9〜15mm、縦横の長さが400mm×400mmの試験体の裏面に、縦横の長さが400mm×400mmの金属板を貼り合わせたものを用い、自由空間タイムドメイン法による反射係数を測定。反射係数は、金属板のみの反射レベルとの対比にて算出し電波吸収性能とした。
【0058】
《表1及び表2の実施例と比較例との対比》
1.曲げ強度については、いずれも内装天井板としての適性値を示している。
2.熱抵抗については、いずれも充分な断熱性をしめし、優位差はない。
3.防火性については、実施例1〜9及び実施例11、及び比較例1〜2は不燃、実施例10は準不燃で合格。
4.吸音率については、実施例1〜11、ならびに比較例1〜2において、いずれも適性な吸音率を示し、優位差はない。
5.電波遮蔽性能は、実施例1〜8および実施例10〜11、ならびに比較例2において2〜5.5dBの遮蔽性能を示しているが、一般的な電波遮蔽材としての充分な性能は有していない。実施例9において、31dB以上の遮蔽性能を示しており、一般的な電波遮蔽材としての充分な性能である30dB以上を満たしている。比較例1では、電波遮蔽性能は示していない。
6.電波吸収性能については、実施例1〜11において2.45GHzで6〜15dB、5.1GHzで6〜12dBを示しており、無線LANシステム用として用いられる2.4GHz帯及び5GHz帯でのオフィス内等での無線通信において、通信障害対策として、十分な吸収性能を有している。一方導電物質としてのカーボンファイバーを配合していない比較例1の場合、吸収性能が得られず前記条件を満たしていない。又、比較例2においては、カーボンファイバーが高配合のため、電波反射の影響を受け、充分な吸収性能を示していない。
【0059】
実施例1〜11及び比較例1〜2については、前記日本建築学会にて検討を進めている「電波吸収体性能評価計測方法」に従い、金属板に試験体を貼り合わせた状態で電波吸収を測定している。このため、共振による電波吸収性能と試験体そのものが持つ内部損失による電波吸収性能が混在した状態で電波吸収性能が測定され、裏面に電波反射体を有さない電波吸収体の測定における試験体そのものが持つ内部損失による電波吸収性能を測定しづらいということが解った。本発明者は、試験体が持つ内部吸収特性をより正確に測定し、共振現象による吸収性能との差異をより明確に表現するために、鋭意検討した結果、試験体と金属板との間に空間を持たせることにより、共振現象の発生を防止できることを見出し、400mm×400mmの金属板の前面に100mmの空間を設けて試験体を設置し、金属板と試験体が一体化しないようにして共振現象が発生しない状態とし、自由空間タイムドメイン法による反射係数を測定した。反射係数は、金属板のみの反射レベルとの対比にて算出し電波吸収性能とした。つづいて試験体の裏面にアルミ箔を張った構造とし、共振現象が発生する状態としたものについても、自由空間タイムドメンイン法による反射係数を測定した。この方法により、より実効性の高い電波吸収性を測定することができる。
【0060】
以下、本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板に関し、前記共振現象を生じさせない条件と裏面にアルミ箔を貼った共振現象を生じさせる条件との対比を含めて、以下実施例12〜19、比較例3および参考例1〜2により説明する。
【0061】
<実施例12>
SiO241wt%、CaO36wt%、MgO6wt%、Al2312wt%、その他Na2O、K2O等の微量成分5wt%の組成からなる繊維長100〜500μmの鉄鋼スラグ系ロックウール89.75wt%、パルプを水に分散しリファイナーで叩解した叩解パルプ1wt%、澱粉5.5wt%、水に分散して解繊したアタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、前処理として水中に1wt%の割合で投入し、200回転/分の回転速度で2分間ミキサーにて攪拌した、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.1wt%(固形分ベース)を加えて混合し、ミキサーで分散して約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削加工して板厚12mm、嵩密度0.4g/cm3の内装用天井板のパネルNを得た。パネルNの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等を表3に示す。表3に示すとおり、実施例12では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0062】
<実施例13>
実施例12のカーボンファイバーの配合割合を0.40wt%、ロックウールの配合割合を89.45wt%とし、その他は実施例12と同一設定条件で内装用天井板のパネルOを得た。パネルOの性能等を表3に同じく示す。表3に示すとおり、実施例13では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0063】
<実施例14>
実施例12のカーボンファイバーの配合割合を0.3wt%、ロックウールの配合割合を89.55wt%とし、その他は実施例12と同一設定条件で内装用天井板のパネルPを得た。表面を切削加工した板厚9mmのパネルPの性能等を表3に同じく示す。表3に示すとおり、実施例14では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0064】
<実施例15>
実施例12のカーボンファイバーの配合割合を0.15wt%、ロックウールの配合割合を89.7wt%とし、その他は実施例1と同一設定条件で内装用天井板のパネルQを得た。表面を切削加工した板厚15mmのパネルQの性能等を表3に同じく示す。表3に示すとおり、実施例15では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0065】
<実施例16>
実施例12のカーボンファイバーの濃度を0.3wt%とし、ロックウールの配合割合を89.55wt%とし、その他は実施例12と同一設定条件で嵩密度が0.5g/cm3となるように内装用天井板のパネルRを得た。パネルRの性能等を表3に同じく示す。表3に示すとおり、実施例16では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0066】
<実施例17>
実施例12のカーボンファイバー長さを12mm、濃度を0.18wt%とし、ロックウールの配合割合を89.67wt%とし、その他は実施例12と同一設定条件で内装用天井板のパネルSを得た。パネルSの性能等を表3に同じく示す。表3に示すとおり、実施例17では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合でも6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0067】
<実施例18>
ロックウール86.1wt%、ジェル3wt%、ポリビニルアルコール7wt%、アタパルジャイト3wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.1wt%(固形分ベース)をからなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する内装用天井板のパネルTを得た。パネルTの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表4にまとめた。表4に示すとおり、実施例18では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0068】
<実施例19>
ロックウール61.1wt%、ジェル3wt%、ポリビニルアルコール7wt%、アタパルジャイト3wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、水酸化アルミニウム25wt%、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)を0.1wt%(固形分ベース)をからなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する内装用天井板のパネルUを得た。パネルUの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表4にまとめた。表4に示すとおり、実施例19では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も6dB以上の良好な電波吸収性能を有している。
【0069】
[比較例3]
ロックウール89.85wt%、ジェル1wt%、澱粉5.5wt%、アタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%からなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する内装用天井板のパネルVを得た。パネルVの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表4にまとめた。表4に示すとおり、比較例3では裏面にアルミ箔を張りつけた場合も、裏面のアルミ箔を張りつけない場合も電波吸収性能を有していない。
【0070】
[参考例1]
ロックウール89.80wt%、ジェル1wt%、澱粉5.5wt%、アタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)0.05wt%からなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する内装用天井板のパネルWを得た。パネルWの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表4にまとめた。表4に示すとおり、参考例1では裏面にアルミ箔を張りつけた場合は所望の電波吸収性能をえられたが、裏面のアルミ箔を張りつけない場合は十分な電波吸収性能を得られない。
【0071】
[参考例2]
ロックウール89.25wt%、ジェル1wt%、澱粉5.5wt%、アタパルジャイト2.85wt%、15%濃度ポリアクリルアミド水溶液0.2wt%(固形分ベース)、硫酸アルミニウム0.6wt%、繊維長4mmのカーボンファイバー(大阪ガス(株)製;ザイラス)0.6wt%からなる混合をミキサーで分散し、約5wt%濃度の水性スラリーを調整する。該スラリーを長網抄造機で抄造し脱水乾燥して原板を製造する。さらにこの原板の表面を切削し内装天井板としての充分な強度を有する内装用天井板のパネルXを得た。パネルXの強度、防火性、熱伝導率、吸音率、電波遮蔽性能、電波吸収性能等の性能を表4にまとめた。表4に示すとおり、参考例2では裏面にアルミ箔を張りつけた場合、裏面のアルミ箔を張りつけない場合いずれも6dB以上の十分な電波吸収性能を得られていない。
【0072】
【表3】
Figure 0004576801
【0073】
【表4】
Figure 0004576801
【0074】
<表3及び表4の評価測定方法>
曲げ強度:JIS A 1408(5号試験体)法による。
熱抵抗 :JIS A 1420法による。
防火性能:JIS A 1321法による。
吸音率 :JIS A 1409(残響室)法による。
電波遮蔽性能:各試験毎の厚さ9〜15mm、縦横の長さが400mm×400mmの試験体のみを、電波送信アンテナと受信アンテナの間に設置し、タイムドメイン法により透過レベルを測定する。透過係数は、試験体を設置しない場合の透過レベルとの対比にて算出し電波遮蔽性能とした。
電波吸収性能:反射電波からの共振現象を防止し、試験体そのものが持つ内部損失による電波吸収性能のみを測定するため、縦横の長さが400mm×400mmの金属板の前面に100mmの空間を設けて各試験毎の厚さ9〜15mm、縦横の長さが400mm×400mmの試験体を設置し、電波反射による共振現象が発生しない状態で自由空間タイムドメイン法による反射係数を測定。反射係数は、金属板のみの反射レベルとの対比にて算出し電波吸収性能とした。つづいて試験体裏面にアルミ箔を貼った構成の試験体とし、電波反射による共振現象が発生する状態としたものについても、自由空間タイムドメイン法による反射係数を測定した。
【0075】
《表3及び表4の実施例と比較例との対比》
1.曲げ強度については、いずれも内装天井板としての適性値を示している。
2.熱抵抗については、いずれも充分な断熱性をしめし、優位差はない。
3.防火性については、実施例12〜17及び実施例19、及び比較例3、参考例1〜2は不燃、実施例18は準不燃で合格。
4.吸音率については、実施例12〜19、比較例3および参考例1〜2において、いずれも適性な吸音率を示し、優位差はない。
5.電波遮蔽性能は、アルミ箔無しの条件で実施例12〜19、並びに参考例1〜2において2〜6.8dBの遮蔽性能を示しているが、一般的な電波遮蔽材としての充分な性能は有していない。比較例3では、電波遮蔽性能はほとんど示していない。
6.電波吸収性能についてば、実施例12〜19において、裏面にアルミ箔を一体化した場合、及び裏面にアルミ箔を一体化しない場合のいずれにおいても、2.45GHzで6〜9dB、5.1GHzで6〜9dBを示しており、無線LANシステム用として用いられる2.4GHz帯及び5GHz帯でのオフィス内等での無線通信において、通信障害対策として、十分な吸収性能である6dB以上をいずれも満たしている。従って、実施例12〜19のカーボンファイバー配合の条件では、裏面にアルミ箔を一体化しない場合においても良好な電波吸収性能が得られることを示している。一方導電物質としのカーボンファイバーを配合していない比較例3の場合、吸収性能が得られていない。又、参考例1においては、カーボンファイバーが低配合のため、裏面にアルミ箔を張り合わせた場合は共振現象による電波損失の付加により所望の電波吸収性能を示すが、裏面にアルミ箔を張り合わせない場合は充分な吸収性能を示さず、参考例2においては、カーボンファイバーが高配合のため、裏面にアルミ箔を張り合わせない場合でも電波反射の影響を受け、充分な吸収性能を示していない。
【0076】
実施例20
上記参考例1記載の天井板におけるカーボンファイバー配合量のみを種々変えた天井板に、それぞれ繊維長0.7mmのピッチ系カーボンファイバーを種々の配合量で含有する酢酸ビニル系エマルジョン塗料(ポリ酢酸ビニル系PCコート)を625g/m2の量でローラーコート塗布することにより、各天井板を得た。各天井板の表面および裏面(PCコート中)のカーボンファイバーの配合量およびその電波吸収性能を表5に示す。
なお、電波吸収性能の測定は、実施例12〜19と同様の方法で測定した。
【0077】
【表5】
Figure 0004576801
【0078】
表5の結果から、表面のカーボンファイバー配合量(特に「CF1」と称する)が0.10wt%以上であればPCコート中にカーボンファイバーを配合しなくても非常に優れた電波吸収性能が得られるが、CF1が0.08wt%以下の配合量の場合には、アルミ箔を貼らない構造では十分な電波吸収性能が得られない。これに対して、CF1が低配合量の場合であっても、それより多量のカーボンファイバーを配合するPCコート(PCコート中の配合量を特に「CF2」と称する)を裏面に塗布することにより、顕著に電波吸収性能が向上することがわかる。
【0079】
特に、両者の配合量を工夫することにより、無線通信用途(無線LAN)に好適な吸収性能である6dB以上の吸収性能が得られる。特に表面側天井板のカーボンファイバー配合量(CF1)が0.04wt%〜0.08wt%、PCコート中の配合量(CF2)が1.0wt%〜15.0wt%において、上記好適な吸収性能が得られる。
【0080】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板は、軽量で準不燃から不燃の防火性能を備え、吸音性、断熱性、電波吸収性を合わせ持ち、低コストでしかも充分な曲げ強度を有するため、建築物の構造及び建築部材としての多様な機能ニーズに好適に対応できる不燃吸音電波吸収性の天井板としての効果を有する。
【0081】
また、前記不燃吸音電波吸収性の天井板において、カーボンファイバーを含まない層と、カーボンファイバーを含む二層の積層構成を採用することにより、施工後の室内側表面に意匠的効果を付加させた内装用天井板を得ることができる。
【0082】
更に、不燃吸音電波吸収性の金属箔貼り天井板を採用した場合には、反射電波の共振現象による電波吸収を付加向上した電波吸収効果に加え、電波遮蔽性を付加向上する効果を有する。
【0083】
本発明の不燃吸音電波吸収性の天井板は、前記繊維長1〜30mmのカーボンファイバーの配合割合を0.08〜0.4wt%とすることにより、反射電波からの共振現象による電波吸収性を付加せずとも、優れた電波吸収性能を得ることができ、特に無線通信用途(無線LAN)の好適電波吸収性能、特に6dB以上の電波吸収性能を得ることができる効果を有する。
【0084】
さらに、前記繊維長1〜30mmのカーボンファイバーの配合割合を0.04〜0.08wt%とし、さらにその裏面に該カーボンファイバー配合量よりも多量にカーボンファイバーを配合する有機系塗料を塗布することによっても、優れた電波吸収性能を得ることができ、特に無線通信用途の好適吸収性能を得ることができる。

Claims (3)

  1. ロックウール67〜92wt%、叩解パルプ0.5〜8wt%、有機質樹脂からなる結合剤2〜13wt%、凝集剤0.15〜1wt%、天然鉱物繊維0.5〜10wt%、および、前処理として水に対して0.5〜2wt%の割合で水中に投入して攪拌した繊維長1〜30mmのカーボンファイバー0.02〜1wt%を配合した混合物の水分散スラリーを湿式抄造して得られる厚み1〜30mmの板の裏面に金属箔を貼り付けて得られる室内無線通信用の電波吸収性天井板。
  2. 前処理として繊維長1〜30mmのカーボンファイバーを水中に0.5〜2wt%の割合で投入し、回転スピードが100〜400回転/分のミキサーで0.5〜3分間攪拌し、
    ロックウール67〜92wt%、叩解パルプ0.5〜8wt%、有機質樹脂からなる結合剤2〜13wt%、凝集剤0.15〜1wt%、天然鉱物繊維0.5〜10wt%および前記前処理したカーボンファイバー0.02〜1wt%を配合した混合物の水分散スラリーを得、
    該水分散スラリーを湿式抄造し、
    該湿式抄造した水分散スラリーを脱水乾燥して原板を得、
    該原板を切削加工してパネルを得、並びに
    該パネルに金属箔を貼り付ける、室内無線通信用の電波吸収性天井板の製造方法。
  3. 請求項1記載の天井板を用いた、室内無線通信障害の防止方法。
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