JP4568481B2 - 汚染気体の洗浄システム及びこの洗浄システムを用いた汚染気体の洗浄方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気体中の気体汚染物質の除去に係り、とくに、空気中に含まれ、人畜に不快感を与え、あるいはさらに、呼吸器からの吸入や、眼、鼻等の粘膜、皮膚との接触等により体内へ浸透し、致死的および/または急性、亜急性または慢性の健康障害を与え、さらには環境に蓄積すると深刻な環境汚染を引き起こすことがある、分子状あるいはエアロゾル状気体を含む、気体の汚染物質を一括除去し空気を清浄化する、汚染気体の洗浄システム及びこの洗浄システムを用いた汚染気体の洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、汚染気体の清浄化方法は、主として汚染物質の種類や濃度ごとに決められた清浄化方法が採用されてきた。
例えば、有害気体、悪臭気体などの分子状の汚染物質は、粒径が0.0003〜0.0005μm程度の範囲内にあり、除去方法としては、直接燃焼する方法、活性炭などの多孔性物質により吸着する方法、オゾン、酸化チタンと光や微生物や酵素により分解する方法、および水性薬剤による酸化、中和、複分解、付加などの化学反応等により他の物質に変える方法、などがあり、目的に応じ選択して使用されてきた。
【0003】
例えば、塗装工場、グラビヤ印刷工場、プラスチック成型工場などでは、塗装ミスト、溶剤、未重合の不飽和エチレン化合物、種々の添加物などの有害物質、悪臭物質が空気中に高濃度に排出されるため、従来から、燃焼する方法や活性炭により吸着する方法を用いて、空気の清浄化を行っている。しかし、分子状有機物はこれらの方法で完全に除去できるが、塗装ミストなどのエアロゾル状の物質の場合には、燃焼板や燃焼触媒に燃えかすが沈着したり、活性炭の目詰まりが生じるという欠点があり、管理・保守が容易でないという問題があった。
【0004】
また、最近では、生ごみ、家畜の糞や尿、製材くず、庭木や間伐材などの廃材等、いわゆるバイオマスを微生物発酵させて発生するガス(メタンガス)、いわゆるバイオガスを燃料ガスとして利用する計画が進められている。これらバイオガスは、高濃度の硫化水素や、強い悪臭を伴うアルキルメルカブタン、硫化メチルや、有害性が疑われる細菌やその胞子を随伴する場合が多いが、これら汚染物質の除去には依然として活性炭で吸着する方法が利用されているに過ぎず、完全には汚染物質の除去ができていないというのが現状である。
【0005】
また、エアロゾル状の汚染物質は、粒径が0.005 〜50μm程度の範囲にあり、ウィルス、細菌、真菌およびその胞子;火災の煙や油、煙草等の煙;砂塵、フライアッシュ、コロイド状シリカ、粉炭、金属粉;花粉等が挙げられ、現状では、空気中から除去するのはなかなか難しい。これらエアロゾル状の汚染物質を空気中から除去する方法として、重力、遠心力、慣性力などを利用した集塵法、電気集塵法、濾過集塵法などが、従来から目的に応じて選択されて用いられてきた。なかでも、バグフィルター、エアフィルター、セラミックフィルター等を用いる濾過集塵法が、主として採用されてきた。しかし、これらの方法で除去できる汚染物質の最小粒子径は0.01μm程度で、粒子径がこれ以下の胞子、ウィルスやコロイド状シリカなどの、微小のエアロゾル状の汚染物質を完全には除去できていない。
【0006】
また、気体と薬液とを気液接触させて気体中の汚染物質を除去する方法として、洗浄塔法があり、種々の装置や種々の洗浄用薬液が提案され使用されている。例えば、薬液中に汚染物質を含む気体を吹き込む気体分散型や、種々の形状のプラスチック充填材を入れて、薬液と、汚染物質を含む気体とを接触させる液膜式薬液分散型や、サイクロンスクラバーのような噴霧状とした薬液に汚染物質を含む気体を接触させる液滴式薬液分散型などがあり、目的に応じた薬液を使用すれば、分子状の汚染物質を除去できるとされている。しかし、これらの方法による分子状の汚染物質の除去率(清浄化率)はたかだか70%程度であり、更なる除去率(清浄化率)の向上が要望されていた。
【0007】
このような要望に対し、本出願人は、特許文献1に、水性薬液槽と水性薬液を含浸させた紙粒を含む層とを備え、汚染気体を水性薬液槽に通し、ついで水性薬液を含浸させた紙粒を含む層に通し、気体中の汚染物質を除去する汚染気体の洗浄方法を提案した。特許文献1に記載された技術では、熱硬化性樹脂および/または繊維素架橋剤を塗布または含浸させ硬化および/または架橋させた紙粒を使用し、水性薬剤として、(a)酸化剤、(b)酸性物質またはアルカリ性物質、(c)緩衝性を与える物質、(d)ベタイン化合物、(e)グリオキザールおよびそのポリオール付加物、(f)炭素数10以下の水溶性ポリオール、(g)二酸化硫黄および/または亜硫酸のアルカリ金属塩、(h)殺菌剤のうちから選ばれる1種以上を用いるのがよいとしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−149739号公報
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
特許文献1に記載された技術では、使用する紙粒に耐水性と、薬液による湿潤時の形状維持性を付与するために、熱硬化性樹脂および/または繊維素架橋剤を塗布または含浸させている。特許文献1に記載された技術では、このような耐水性を有する紙粒を充填材として用いたスクラバーで、化学反応性を有する水性薬液を使用することにより、広範囲の分子状およびエアロゾル状汚染物質を除去でき、汚染気体の清浄化が可能であるとしている。
【0010】
しかし、熱硬化性樹脂および/または繊維素架橋剤を塗布または含浸させた紙粒を使用する特許文献1に記載された技術では、紙粒が長期間連続使用した場合に膨潤し自重で潰れるため、処理する気体が通過する間隙が少なくなり圧力損失が増加すること、熱硬化性樹脂とくにメラミン樹脂を用いると紙粒が疎水性となり水性薬液を吸収しにくくなる場合があることなどの問題があり、使用する紙粒の水性薬液吸収性(親水性)や長期間使用後の形状維持性の更なる改良が要望されていた。
【0011】
また、特許文献1に記載された技術では、使用する紙粒は水中ではほとんど中性として挙動するが、紙粒が弱い酸性を帯びているため、塩基性の汚染物質は比較的捕捉しやすいが、疎水性で揮発性の弱酸性の汚染物質の捕捉には問題を残していた。また、汚染物質が、疎水性の気体分子や、焼肉臭などのような含有成分が非常に多種類の分子とエアロゾルとが混合したもの、あるいはコロイド状シリカや煙などの微粉塵やウィルスなどの場合には、特許文献1に記載された技術でも、完全に除去することは困難であるという問題が残されていた。
【0012】
また、バイオガスには、高濃度の硫化水素や、強い悪臭を伴うアルキルメルカブタン、硫化メチルや、有害性が疑われる細菌やその胞子を随伴する場合が多いため、特許文献1に記載された技術によっても、バイオガス中の汚染物質を完全に除去することは困難であった。
また、高層建造物内、地下鉄の車内や駅構内などの半閉鎖空間で、致死性の有害な気体やエアロゾルが発生、あるいは火災が発生し多量の煙が発生した場合には、多量の空気を送風したり排煙したり、あるいは水を噴射するなどの方法を行うのが一般的である。しかし、このような方法では、処理された気体(ガス)からの有害な気体、煙等を除去することはできず、これら汚染物質による二次災害の発生が懸念されている。
【0013】
このように、火災の煙の急速な除去や、致死性の有害な気体やエアロゾルなど、あるいは細菌、真菌等などの胞子、ウイルスなどの汚染物質の完全な除去は現状ではまだ確立された技術となっていない。
本発明は、このような従来技術の問題を解決し、上記したような悪臭を伴ったり有害であったりする、分子状やエアロゾル状等の汚染物質、あるいはそれらの混合した汚染物質、あるいはさらに疎水性の汚染物質等を含む汚染気体から、汚染物質を効果的にかつ簡便に除去し気体を清浄化できる、汚染気体の洗浄システム、洗浄方法を提案することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題を解決するための手段はつぎのとおりである。
【0015】
(1)気体洗浄用充填材を含む層を有し、かつ前記気体洗浄用充填材を含む層に洗浄薬液を供給するための洗浄薬液供給手段を有する洗浄装置を備え、前記気体洗浄用充填材を含む層及び洗浄薬液を供給するための洗浄薬液供給手段の上流側に、前記洗浄装置内または前記洗浄装置とは別に、前記洗浄薬液と同じか又は異なる洗浄薬液による噴霧手段を配設し、さらに前記噴霧手段の上流側に汚染気体の吸気口を配設し、前記吸気口から導入した汚染気体を前記噴霧手段により洗浄薬液を噴霧されたのち前記気体洗浄用充填材を含む層に通過させて汚染気体を洗浄する汚染気体の洗浄システムであって、前記噴霧手段が前記洗浄薬液を平均粒径で30μm以下のミストとして噴霧可能な噴霧手段とし、前記気体洗浄用充填材が、繊維素繊維を主成分とする紙粒に、次のA〜C処理
記
A処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化したキトーサンのうちの1種または2種と、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していない、メチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上の繊維素繊維架橋剤のうちの1種以上と、酸触媒と、あるいはさらにメチルアルコールと、を必須成分とする水溶液を含浸し、乾燥および熱処理を施し、耐水性と硬さを付与する処理。
【0016】
B処理:酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを0〜100 ℃で反応させ、耐水性を付与する処理。
C処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100 ℃以下で反応させ、耐水性と硬さを付与する処理。
のうちから選ばれた1種の処理、またはリン酸もしくはリン酸と尿素を含む水溶液を含浸し、130〜170℃の温度で乾燥・熱処理する前処理を施したのち、下記A〜C処理のうちから選ばれた1種の処理を施された紙粒からなり、前記気体洗浄用充填材を含む層が、前記各処理を施されて得られた気体洗浄用充填材の1種以上を、積層する、袋入れするおよび上下2面が通風性のカートリッジに充填するのうちの1種または2種以上の手段で構成されたものであり、前記気体洗浄用充填材を含む層に、沸点が150℃以上の水溶性の両親媒性有機化合物を含む洗浄薬液が含浸または供給されてなり、さらに洗浄薬液の液面が前記気体洗浄用充填材を含む層より低い位置となるように前記気体洗浄用充填材を含む層を通過した洗浄薬液が溜まる洗浄薬液槽を配設し、かつ前記洗浄薬液槽において浮上した汚染物質を分離するための洗浄薬液貯槽、水槽又は汚染物質処理槽を配設したことを特徴とする汚染気体の洗浄システム。
【0017】
(2)汚染気体を、洗浄薬液による噴霧手段及び気体洗浄用充填材を含む層を備える洗浄装置からなる洗浄システム、又は前記洗浄装置及び前記洗浄装置とは別に噴霧手段を有する洗浄システム内に導入し、前記噴霧手段により洗浄薬液を噴霧されたのち気体洗浄用充填材を含む層に前記汚染気体を通過させて洗浄する汚染気体の洗浄方法であって、前記気体洗浄用充填材が、繊維素繊維を主成分とする紙粒に、次A〜C処理
A処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していない、メチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上の繊維素繊維架橋剤のうちの1種以上と、酸性促進剤と、あるいはさらにメチルアルコールと、を必須成分とする水溶液を含浸し、乾燥および熱処理を施し、耐水性と硬さを付与する処理。
B処理:酸性促進剤を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下で反応させ、耐水性を付与する処理。
C処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、酸性促進剤を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下で反応させ、耐水性と硬さを付与する処理。
のうちから選ばれた1種の処理、または、リン酸またはリン酸と尿素を含む水溶液を含浸し、130 〜170 ℃の温度で乾燥・熱処理する前処理を施されたのち、前記A〜C処理のうちから選ばれた1種の処理、を施された紙粒からなり、前記気体洗浄用充填材を含む層が、前記各処理を施されて得られた気体洗浄用充填材の1種以上を、積層する、袋入れするおよび上下2面が通風性のカートリッジに充填するのうちの1種または2種以上の手段で構成されたものであり、かつ沸点が150
℃以上の水溶性の両親媒性有機化合物を含む洗浄薬液を含浸または供給されてなり、さらに前記洗浄薬液を、前記気体洗浄用充填材を含む層に通過させ、洗浄薬液槽に溜めてのち、前記洗浄薬液槽内に浮上した汚染物質を汚染物質処理槽に貯蔵し、前記汚染物質をさらに分離することを特徴とする汚染気体の洗浄方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の汚染気体の洗浄システムは、少なくとも一つの、気体洗浄用充填材を含む層2を有する洗浄装置1を備える。そして、気体洗浄用充填材2cは、好ましくは脱リグニンされた繊維素繊維を主成分とする紙粒に、耐水性、湿潤時の形状維持性、硬さ、あるいはさらにイオン交換性を付与する処理を施された紙粒からなるものとし、該気体洗浄用充填材を含む層2に、水溶性の両親媒性有機化合物(以下、「両親媒性溶剤」ともいう)を含む洗浄薬液を、供給手段4により含浸または供給させ、該気体洗浄用充填材を含む層2の上流側に設けた汚染気体の吸気口1aから吸入ブロアー1b、配管1cを介し汚染気体を吸気し、気体洗浄用充填材を含む層2に汚染気体5を通過させて汚染気体を洗浄する。
【0019】
また、本発明の洗浄システムでは、上記した気体洗浄用充填材を含む層2を有する洗浄装置1内、または該洗浄装置1とは別に、洗浄薬液の噴霧手段3を設ける。噴霧手段3を洗浄装置1内に設ける場合には、噴霧手段3を気体洗浄用充填材を含む層2の上流側に配設し、汚染気体5に洗浄薬液槽61から加圧用コンプレッサー61a
により供給される洗浄薬液を噴霧し平均粒径で30μm以下のミスト3aとし、汚染気体中の汚染物質を捕捉・抱合したのち、噴霧後の汚染気体を気体洗浄用充填材を含む層2を通過させる。図1に噴霧手段3を、洗浄装置1内で気体洗浄用充填材を含む層2の上流側(ここでは上部)に配設した例を示す。
【0020】
噴霧手段3を、洗浄装置1内で気体洗浄用充填材を含む層2の上部に設置した場合には、噴霧した洗浄薬液のミスト3aを気体洗浄用充填材を含む層2で液滴2a化でき、汚染気体中の汚染物質の分離、排出を容易にできるという利点がある。また、高温の汚染気体であれば、噴霧した洗浄薬液のミストを気体洗浄用充填材を含む層2で冷却・液滴化できるという利点もある。気体洗浄用充填材を含む層2で液滴化する場合には、該気体洗浄用充填材を含む層2に液流ポンプ4aを介し供給手段4により洗浄薬液を供給し、付着した汚染物質を洗浄薬液とともに洗い流して、洗浄装置1の下部(下流)に、気体洗浄用充填材を含む層2とは分離して、液面を気体洗浄用充填材を含む層2より低い位置として設けた洗浄薬液槽6に落下させ、洗浄薬液貯槽7または水槽(図示せず)、あるいはさらに洗浄薬液貯槽7から配管7b1
およびバルブ7c1 を介し、連設された処理装置(図示せず)に入れ、分離回収することもできる。なお、付着した汚染物質を洗い流す洗浄薬液は、噴霧した洗浄薬液と同じでもよく、また汚染物質の処理に適応した薬剤をさらに添加しても良く、他の処方であってもよい。なお、図1とは異なり、洗浄薬液槽6を設けずに、下部に洗浄薬液貯槽7または水槽をも設けてもよい。
また、噴霧手段3を、洗浄装置1内の気体洗浄用充填材を含む層2より下部、あるいは洗浄装置1とは別に設けた場合には、汚染気体中の汚染物質を捕捉・抱合した噴霧ミストを装置の底部または床に沈降させたのち、残部のミストを含む汚染気体を気体洗浄用充填材を含む層2に通し、残部のミストを除去し気体を系
(装置)外に排出することが好ましい。なお、さらに洗浄装置1内の気体洗浄用充填材を含む層2とは別に設けられた、洗浄薬液を含浸または供給された気体洗浄用充填材を含む層2を通過させて系
(装置)外には排出してもよい。
【0021】
洗浄薬剤の噴霧手段3は、洗浄薬液を噴射口から15cmの位置でレーザ光散乱式粒度分布測定法で測定し平均粒径で30μm以下にできる噴霧機であればよく、3流型あるいは2流型噴霧機いずれでもよくその方式はとくに限定されない。
噴霧した洗浄薬液粒子の平均粒径が30μmを超える場合には、粒子が大き過ぎて速やかに落下するため汚染気体中の汚染物質と衝突する確率が低く、汚染物質を完全に捕捉することはできない。洗浄薬液粒子の沈降速度を遅くし効率的に汚染物質を捕捉・除去するためには、噴霧した洗浄薬液粒子の平均粒径が30μm以下とする必要がある。なお、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。例えば、気流の速度が0(静止状態)のとき、平均粒径が10μmの場合には、50μmの場合に比べて沈降速度は約22倍遅くなる。
【0022】
また、本発明の洗浄システムでは、上記した洗浄装置1の下流(または下部)に、気体洗浄用充填材を含む層2と分離して、液面を気体洗浄用充填材を含む層2より低い位置として設けた洗浄薬液槽6、あるいはさらに洗浄薬液槽6と配管6a2 ・バルブ6b2 を介し連設された洗浄薬液貯槽7または水槽(図示せず)、あるいはさらに洗浄薬液貯槽7から配管7b1 およびバルブ7c1 を介し、連設された汚染物質の処理槽(図示せず)を配設するものである。 洗浄薬液槽6の下流に、洗浄薬液貯槽7または水槽を配設することにより、液滴化した汚染物質を含む洗浄薬液を洗浄薬液貯槽7または水槽の液面で、汚染物質の特性(例えば、比重等)を利用して分離が容易になるという利点もある。 また、汚染物質の処理槽を、洗浄装置とは別に配設することにより、有毒な汚染物質の無毒化を行うことができ、二次災害の発生を防止できるという利点がある。
【0023】
なお、本発明の洗浄システムで、使用する洗浄装置の材質は、とくに限定されるものではないが、汚染物質の種類に応じて、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ステンレス鋼等の耐食性材料とすることが好ましい。
【0024】
まず、本発明の洗浄システムで用いる気体洗浄用充填材を含む層について、説明する。
(1)気体洗浄用充填材を含む層
本発明では、洗浄装置1内に気体洗浄用充填材を含む層2を有する。気体洗浄用充填材2cは、好ましくは脱リグニンされ、あるいは液体アンモニアで前処理された繊維素繊維を主成分として塊状に成形された紙粒を使用する。紙粒は、繊維の乾燥粉末を高速回転する容器に、薄い糊を含む水滴を滴下し、乾燥させて繊維を絡ませて製造することが好ましい。本発明では、繊維素繊維の材質は、とくに限定されないが、特許文献1に記載されたような、パルプ、綿、レーヨン等のセルローズ質、タンパク繊維、ポリビニールアルコール等の親水繊維等が、いずれも好適に適用できる。なお、紙繊細の造粒性、吸着・保水機能を害さない程度に他の物質を混入させてもよい。また、紙粒の形状は、とくに限定されないが、球形、楕円形、円筒形等およびそれらの変形とすることが好ましい。紙粒の大きさは、3〜12mm程度とすることが好ましい。
【0025】
紙粒の繊維素繊維は、耐水性加工を施しても、内部だけでなく、表層も親水性の高分子化合物であるため、紙粒の表層および内部の微細構造まで水をよく吸収する。一方、動物油、植物油、鉱物油等とは親和性がなく、しかも水よりも低比重であり、一度吸水した紙粒はこれら油を吸収しない。このため、次に示す耐水性処理を施した紙粒表面では、付着した油は速やかに滴下し、気体洗浄用充填材として好適である。
【0026】
本発明で使用する気体洗浄用充填材は、上記した紙粒に、耐水性、硬さを付与するための、次に示すA処理〜C処理のうちから選ばれた1処理を施された紙粒からなる。
(イ)A処理
A処理は、紙粒に、ポリビニールアルコールおよび硝酸、塩酸等の一価の酸で可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していないメチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上の繊維素繊維架橋剤のうちの1種以上と、酸触媒と、あるいはさらにメチルアルコールと、を必須成分とする水溶液を含浸し、乾燥および熱処理を施し、耐水性と硬さとを付与する処理である。
【0027】
A処理で使用する水溶液に含有する、ポリビニールアルコールおよび一価の酸で可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種は、特許文献1に記載された熱硬化性樹脂(メラミン樹脂)のように吸水性を犠牲にすることなく、紙粒に湿潤下で長期間使用しても押し潰されない硬さを付与することができる。ポリビニールアルコールおよび一価の酸で可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種は、紙粒全量に対する乾燥後の質量%で0.5
〜1.5 %紙粒に付着するように、水溶液中に含有させ含浸させることが好ましい。0.5 %未満では、上記した効果が認められない。一方、1.5 %を超えると、水溶液の粘度が高くなり処理能率が低下する。なお、使用するポリビニールアルコールおよびキトーサンは高分子量の品番とすることが好ましい。また、ポリビニールアルコールは、完全けん化型を用いれば、強酸性、強塩基性の洗浄薬液を用いても加水分解による減量が起こらないという利点がある。
【0028】
繊維素繊維架橋剤としては、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していないメチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上のもののうちの1種以上を含有する。このような繊維素繊維架橋剤として、N,N’−ジメチロール
ジヒドロキシエチレン尿素(以下、DMMHEUともいう)が例示できる。繊維素繊維架橋剤は、紙粒全量に対する乾燥後の質量%で1〜2%付着するように、水溶液中に含有させ紙粒に含浸させることが好ましい。分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していないメチロール基数またはメトキシメチル基数がそれぞれ2以上の繊維素繊維架橋剤としては、他に、エチレン尿素、プロピレン尿素、ウロン、メチルトリアジン、ジメチルカルバメートなどのジメチロール化物などがあり、アセチレンジウレインのテトラメチロール化物なども使用できる。
【0029】
酸触媒としては、塩化アンモニウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸などが好適である。酸触媒は、架橋剤とともに水溶液に含まれ紙粒に含浸されたのち完全に乾燥され熱処理を施されると、繊維素繊維のOH基と脱水エーテル結合を促進し紙粒の耐水性、形状維持性の向上に寄与する。なお、酸触媒は、繊維素繊維架橋剤
(無水物換算で)全量100 重量部に対し約5〜10重量部とすることが好ましい。
【0030】
また、水溶液の一部の水分をメチルアルコールで置換してもよい。メチルアルコールを好ましくは水分質量の10〜50%添加することにより、乾燥・熱処理後の紙粒表面層が硬くなり、耐水性、硬さが向上し、湿潤時の押し潰しに対する抵抗性が大きくなる。これは、乾燥中に、蒸発潜熱が小さく蒸発し易いメチルアルコールとともに、メチルアルコールにも溶解する繊維素繊維架橋剤(DMMHEU)が紙粒の内部から表面層に移行し、一方、分子量の大きいポリビニールアルコールやキトーサンは、紙繊維の微細構造内に入らず表面に留まったままであるため、紙粒表面で、高密度の架橋が形成されるためと考えられる。またメチルアルコールを添加すると、乾燥速度が速くなり乾燥時間が著しく短縮できるため、生産性が大幅に向上できるという利点もある。
【0031】
A処理では、上記した薬剤を必須成分とする水溶液を、紙粒に含浸させ、乾燥および熱処理を施す。熱処理は、120 ℃以上、好ましくは135 ℃以上、160
℃以下とすることが好ましい。乾燥後熱処理を施すと、ポリビニールアルコールと繊維素繊維とは、繊維素架橋剤により容易にそれぞれ脱水してエーテルの縮合架橋を形成し水不溶性となり、紙粒の耐水性が向上する。また、キトーサンのアミノ基と繊維素繊維架橋剤(DMMHEU)とは、乾燥後熱処理時120
℃前後で脱水縮合してメチレン縮合による架橋を形成し、親水性で水不溶性の皮膜を紙粒の繊維表面に形成する。これにより、紙粒が硬質化し、長時間の湿潤下での使用(押し潰し)に耐えることができるようになる。また、キトーサンの架橋されないで残存するアミノ基には、従来、強塩基性の洗浄薬液を用いても捕捉できなかった疎水性で弱酸性の汚染物質を一旦捕捉するイオン交換性も付与される。
(ロ)B処理
B処理は、紙粒に、酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、好ましくは20〜100 %水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下で反応させ、耐水性を付与する処理である。
【0032】
B処理で水溶液中に添加する酸触媒としては、塩化アンモニウム、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、亜硫酸ガス、塩化亜鉛、塩化ヒドロキシ亜鉛、塩化ヒドロキシアルミニウム、スルファミン酸、塩酸等が好適である。
B処理では、紙粒に、上記した酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸させ、水分が紙粒質量の20〜100 %となるように調整して乾燥したのち、好ましくはパラフォルムアルデヒドを加熱して発生させた気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下の温度で接触・反応させ架橋を形成させてから、水洗し、残留する未反応の有害なホルムアルデヒドを除去したのち乾燥する。これにより、紙粒は、 十分な耐水性を具備する紙粒となるが、吸湿時の硬さが若干不足する。なお、B処理では、上記した酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸させる前に、紙粒に、液体アンモニアで処理し繊維の吸着性を増加させてもよい。また、気体状のホルムアルデヒドによる処理は密閉空間で行うことが好ましい。
(ハ)C処理
C処理は、紙粒に、ポリビニールアルコールおよび一価の酸で可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、好ましくは20〜100
%の水分を残して乾燥したのち、好ましくはパラフォルムアルデヒドを加熱して発生させた気体状のホルムアルデヒドを100 ℃以下で反応させ、耐水性と硬さを付与する処理である。
【0033】
C処理で使用する水溶液中のポリビニールアルコールおよびキトーサンのうちの1種または2種の含有量は、A処理で用いた液と同じとし、酸触媒の含有量はB処理で用いた液と同じとすることが好ましい。なお、C処理では、A処理におけるように水溶液へのメチルアルコールの配合の必要はない。
C処理では、紙粒に上記した水溶液を含浸させたのち、B処理と同様に、乾燥、気体状ホルムアルデヒドの処理を行い仕上げる。このようなC処理により、十分な耐水性と硬さを具備する紙粒とすることができる。
【0034】
なお、B処理、C処理は、特開昭51−72698号公報、特開昭51−49998号公報、特開平5−59664号公報、特公平6−102865
号公報、特開平8−127962 号公報等に記載された、綿等の繊維素繊維用の寸法安定化処理を転用してもよい。
また、本発明に使用する紙粒には、上記したA処理〜C処理のうちから選ばれた1処理を施すまえに、前処理として、イオン交換性を付与するための処理を施すことが好ましい。
【0035】
イオン交換性を付与するための処理は、紙粒に、リン酸またはリン酸と尿素を含む水溶液を含浸させたのち、130 〜170 ℃の温度で乾燥・熱処理してリン酸繊維素またはモノアンモニウムリン酸繊維素を形成する処理である。なお、質量で、水の30〜40%をメタノールで置換してもよい。
この処理は、英国特許第604,197 号公報、米国特許第2,482,755 公報に記載された技術を応用したものである。英国特許第604,197
号公報、米国特許第2,482,755 公報に記載された技術は、綿織物にリン酸を吸収させて乾燥後、130 ℃〜170 ℃に加熱して綿織物に耐水性と防火性を付与する方法である。この方法により繊維素は、リン酸エステル化される。綿に代えて、紙粒では、紙粒の乾燥質量に対し
6〜9%程度のリン酸を希釈した水溶液を使用すると綿織物と同様にエステル化できることを本発明者らは確認している。また、本発明者らは、リン酸にさらに尿素をリン酸の等モル〜2倍モル添加した水溶液を含浸させたのち、130
℃〜170 ℃で30分程度の加熱で、酸性の繊維素の一置換リン酸アンモニウムがほぼ100 %収率で得られることも確認している。なお、前処理用の処理液中のリン酸濃度は、質量で6〜12%とすることが好ましい。また、リン酸に加えてさらに尿素を含有する場合には、尿素は、リン酸の等モル〜2倍モル添加した水溶液とすることが好ましい。
【0036】
このリン酸エステル基は耐水性が完全であるが、強いイオン交換があるので、薬液や水で洗浄すると、硬水や薬液のカルシウムやナトリウムなどのイオンと結合し、防火性を失効するが、酸で洗浄すると防火性を回復する典型的なカチオン交換性を有している。このような特性が紙粒に付与されることは、疎水性で、弱塩基性の汚染物質を捕捉する場合に非常に有効となる。このような前処理の後に、上記したA〜C処理のうちのいずれかの処理を行うと、紙粒に、優れた耐水性、湿潤時の高い硬さ及びイオン交換性が同時に付与できる。
【0037】
気体洗浄用充填材を含む層は、洗浄装置内に、上記した各種処理を施されて得られた紙粒である気体洗浄用充填材の1種以上を、▲1▼積層する、▲2▼袋入れする、▲3▼上下2面が通風性のカートリッジに充填する、のうちの1種または2種以上の手段で、構成することが好ましい。なお、気体洗浄用充填材を含む層2は、金網等の通気性のある支持枠2bで支持されて洗浄装置内に配設されることが好ましい。このようにして構成された気体洗浄用充填材を含む層2には、供給手段4により洗浄薬液が常時含浸または供給され、洗浄薬液により湿潤化した層となる。これにより、気体洗浄用充填材を含む層は、
▲1▼気体汚染物質と洗浄薬液との化学反応を高効率で進行させる媒体としての機能、
▲2▼洗浄薬液が捕捉した汚染物質の装置外への排出を防止するデミスト機能、
▲3▼水不溶性有機溶媒や油煙を汚染物質として含む高温の気流を、冷却・液滴化させて、汚染物質を回収する冷却器および脱ミスト材としての機能、
を有することになる。
【0038】
本発明の洗浄システムにおける気体洗浄用充填材を含む層の高さは、とくに限定する必要なく、洗浄する汚染気体に含まれる汚染物質の種類、量等に応じ適宜設定することができる。
気体の洗浄装置は、気体と洗浄薬液との接触方式によって、薬液を噴霧して気体と接触させるような液体分散型と、洗浄薬液内に気体を噴出するような気体分散型とに分類されるが、本発明の洗浄システムにおける洗浄装置は、気体洗浄用充填材を含む層に洗浄薬液を含浸させて汚染気体と接触させるため、気体分散型であり、また、洗浄装置内で洗浄薬液が気体洗浄用充填材(紙粒)の全表面にムラなく分布しているため、液体分散型でもある。このため、本発明の洗浄システムにおける洗浄装置では、従来のプラスチック充填材より反応の機会が多く、従来に比べてはもちろん、特許文献1に記載された技術と同様、あるいはそれ以上に、気液接触率が従来に比べ格段に高く、長期間にわたりこの効果が持続するものとなっている。
【0039】
気体の洗浄装置の清浄化率は、その装置固有の気液接触率と、洗浄薬液と気体汚染物質との反応率の相乗積で決まる。特許文献1以外の従来の洗浄装置では、気液接触率は80%以下、通常60%以下のものが大部分であり、しかも、洗浄薬液の選定が十分検討されていない場合が多く、清浄化率は50%以下のことが多い。本発明の洗浄システムでは、上記した理由により、洗浄薬液の選定が適切であれば、清浄化率:100
%を得ることが可能である。
【0040】
なお、洗浄装置1が稼働時には常時、気体洗浄用充填材を含む層2に、洗浄薬液を含浸または供給し、湿潤化させるために、洗浄装置1には、洗浄薬液の供給手段4を有する。洗浄薬液の供給手段4としては、噴霧または散布する方法、あるいは特許文献1に記載された、例えば洗浄薬液を蓄えた槽(洗浄薬液貯槽7)に繊維またはその収束物を浸漬して、繊維またはその収束物の毛細管現象を利用して洗浄薬液を移送し、気体洗浄用充填材を含む層に含浸させる方法が家庭用などの小型装置には好ましい。図1には、供給手段4として散布する方法の例を示した。なお、散布による供給手段4では、散布ミストの粒径はとくに規定する必要ない。粒径が100
〜150μmといった、大きなミストであっても問題はない。なお、供給手段4はこれに限定されず、例えば回転式散水機(スプリンクラー)であってもよいことはいうまでもない。なお、供給手段4には、洗浄薬液が洗浄薬液貯槽7から液流ポンプ4aを介し供給される。洗浄薬液は一度使用した薬液を用いることもできる。また、本発明では、気体洗浄用充填材を含む層2は、洗浄薬液に浸漬することはなく、洗浄薬液を貯留する洗浄薬液槽6とは分離し、かつ洗浄薬液槽6の液面より高い位置に設ける必要がある。
【0041】
次に、本発明で使用する洗浄薬液について説明する。
(2)洗浄薬液
(2−1)気体洗浄用充填材を含む層に含浸、供給する洗浄薬液
本発明で気体洗浄用充填材を含む層に含浸、供給する洗浄薬液は、1気圧での沸点が150℃以上の水溶性の両親媒性有機化合物(以下、「両親媒性溶剤」ともいう)を含む水性溶液とする。水性溶液は完全に透明でなく白濁していてもよい。なお、この水性溶液中には、従来公知の、中和、複分解、付加、酸化・還元などの化学反応を利用して汚染物質を物理的/化学的に変質させて除去しやすくする薬剤を含有することもできる。
【0042】
水溶性の「両親媒性溶剤」は、水にも疎水性有機物にも自由に溶解する性質があるため、洗浄薬液と、油煙や水不溶性有機溶剤など疎水性気体汚染物質との接触率を向上させることができるとともに、とくに噴霧して用いる場合には洗浄薬液の乾燥を遅らせ気液接触率を増すことができる。本発明者らは、このような二つの作用により、汚染気体の清浄化率が向上するものと推察している。
【0043】
「両親媒性溶剤」の沸点(1気圧下)が150℃未満では、常温下、とくに高温下で噴霧したときミストから蒸発し乾燥が早すぎるため、気液接触率が低下して、清浄化率が低下し、また「両親媒性溶剤」の個有臭も発生する。このため、本発明では、洗浄薬液に含ませる「両親媒性溶剤」は、沸点が150
℃以上の水溶性の「両親媒性溶剤」とした。
【0044】
このような「両親媒性溶剤」を含むことにより、化学反応性や物理化学的抱合力が潜在的にありながら、洗浄薬液と接触できないため反応が起こらなかった、疎水性の強い弱酸、弱塩基、炭素数の多いアルデヒド類やメルカプタン類などの汚染物が捕捉され反応し易くなり、汚染気体の清浄化率が向上する。
洗浄薬液中の「両親媒性溶剤」の含有量は、洗浄薬液全量に対する質量%で0.1ppm 程度以上とする。0.1ppm 程度未満では、上記したような効果が期待できない。また、30%を超えて含有すると、環境への負荷が増大するという問題があり、30%程度以下、好ましくは10%程度以下とすることが好ましい。なお、好ましくは、100ppm程度以下である。また、洗浄薬液を循環させて使用する場合には、5〜10%程度が適量な場合が多い。
【0045】
上記した条件を満足する「両親媒性溶剤」としては、エチレングリコール ジメチルエーテル(沸点:162.0 ℃)、トリエチレングリコール ジメチールエーテル(沸点:216.0
℃)、テトラエチレングリコール ジメチールエーテル(沸点:275.3 ℃)等が例示できるが、他の化合物でもよい。
なお、噴霧して用いる洗浄薬液の場合には、「両親媒性溶剤」に代えて、界面活性剤を使用しても、そのほとんどが噴霧時発泡するため、気液接触率が低下するため、本発明の洗浄薬液用には使用できない。しかし、有機溶剤の分離除去用としては、発泡性の低い界面活性剤と、塩析剤として食塩とを加えると好ましい結果が得られる場合もある。
【0046】
なお、含浸させる洗浄薬液には、「両親媒性溶剤」に加えてさらに、荷電がアニオン性、カチオン性および両性のいずれかであり、分岐がない直鎖分子で、極限粘度法で測定した分子量が1.0
×107 以上のポリアクリルアミドを、洗浄薬液全量に対する質量%で1〜10ppm を含有してもよい。
また、「両親媒性溶剤」および/またはポリアクリルアミドを含む洗浄薬液には、さらに殺菌・静菌用として、殺菌・静菌剤を含有することが好ましい。
本発明の洗浄薬液に含有できる製剤として、ヨウ素とポリビニルピロリドンとの複合体、および/または、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2−ピリジノチオール−1−1−オキサイドのアルカリ塩、5−クロロ−2−メチル−4−チアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、ポリヘキサメチレン
ビグアニドのアルカリ塩のうちから選ばれた1種以上とすることが好ましい。
【0047】
とくに、ヨウ素とポリビニルピロリドンとの複合体 (通称ポピドンヨード)は、エチルアルコール溶液および/またはヨードカリ水溶液にヨードを溶解し、さらに毒性を緩和する作用があるポリビニルピロリドンを複合させたものであり、揮発性があり、抗菌スペクトラムが広いうえ、低濃度でも殺菌効果が優れている。また、この薬剤を低濃度で洗浄薬液中に添加させることにより、濃度の管理も容易にでき、絶えずヨードが溶解し、
気体洗浄用充填材を含む層を殺菌・静菌するとともに、装置内空間をくまなく殺菌・静菌でき、また排気中の微生物をも殺菌できる。
【0048】
なお、洗浄薬液にアニオン性ポリアクリルアミドを含有する場合には、ヨウ素とポリビニールピロリドンとの複合体の希薄水溶液が添加できるが、両性やカチオン性のポリアクリルアミドが含まれる場合には、ヨウ素がカチオン基を攻撃するため、ヨウ素とポリビニールピロリドンとの複合体は使用できない。
洗浄薬液に両性やカチオン性のポリアクリルアミドが含まれる場合には、水および/または「両親媒性溶剤」に可溶性で、洗浄薬液との相溶性がよく、イオン交換性がなく、抗菌スペクトラムが広い、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール等の製剤が適している。また、水および/または「両親媒性溶剤」に可溶性で、洗浄薬液との相溶性がよく、イオン交換性がなく、抗菌スペクトラムが広い製剤であれば、上記した以外の製剤も適用できる。殺菌・静菌剤として、上記した製剤を1種以上、例えば3〜4種を併用すると、抗菌スペクトラムが非常に拡大するため好ましい。
【0049】
なお、洗浄薬液中の、これら殺菌・静菌剤の添加量は、ポリアクリルアミドおよび/または「両親媒性溶剤」の含有量に応じ、1〜5ppm 程度で十分な効果が得られる。これは、洗浄薬液が乾燥すると、固形分中の殺菌・静菌剤の濃度が20〜100
%に濃縮されるからである。
(2−2)噴霧用洗浄薬剤
本発明で、噴霧用として使用する洗浄薬液は、荷電がアニオン性、カチオン性および両性のいずれかであり、分岐がない直鎖分子で、極限粘度法で測定した分子量が1.0
×107 以上のポリアクリルアミドを、洗浄薬剤全量に対する質量%で1〜10ppm 、および/または、1気圧での沸点が150 ℃以上の水溶性の「両親媒性溶剤」を含有する水溶液とすることが好ましい。なお、この水溶液中には、従来公知の、中和、複分解、付加、酸化・還元、乳化などの化学反応や物理作用を利用して汚染物質を除去する薬剤を含有することもできる。
【0050】
上記したポリアクリルアミドのうち両性のものは、水溶性で、水溶液の中に溶けるが、乾燥すると分子内と分子間で造塩結合して水不溶性化する。乾燥後、再度水を加えると著しく膨潤したゲルとなる。これにより、分子状やエアロゾル状の物質をその化学的性質に余り関係なく捕捉・抱合し、水を加えても一旦捕捉した空気汚染物質を放さない。
【0051】
このポリアクリルアミドの稀薄水溶液、例えば濃度5ppm の稀薄水溶液、を噴霧して、空間中に微細なミスト状とした場合、ミストの径が1/n
倍となると、合計のミスト表面積がn倍に増加し、気液接触率のn倍となる。またミストの粒径が小さいほど空間の滞留時間が長くなり、空間中に存在する分子状やエアロゾル状の汚染物質を捕捉・抱合して除去しやすくなる。花粉のような大きなエアロゾル状の汚染物質では、このポリアクリルアミドを含む微細なミストに巻き付き、床や装置の底に落下する。この事実は、暗室内でのビデオ撮影や、落下物の走査線電子顕微鏡観察で確認できた。
【0052】
とくに、両性型のポリアクリルアミドを洗浄薬液に含有させることにより、通常の化学反応を利用する薬剤では捕捉できない多くの悪臭成分がクーロン力、水素結合などによると推定される強い親和力により捕捉・抱合され、気化が妨げられるため、消臭効果が向上するものと考えられる。
本発明で使用するポリアクリルアミドは、特許第2,775,162 号公報、特許第21,323,366号公報、特許第2,1347,078号公報に記載されたポリアクリルアミドを改良して使用できる。
【0053】
本発明で使用するポリアクリルアミドは、洗浄薬液を均一に平均粒径で30μm以下の微細ミストとして噴霧することが可能になるように極限粘度法で分子量が測定可能な、分子が完全に線状、すなわち直鎖分子であることが好ましい。また、ポリアクリルアミドの分子量が、1.0
×107 未満では抱合効果が不足し、消臭効果、粉塵沈降能が低下する。なお、好ましい分子量は2.0 ×107 以上である。
【0054】
このような高分子量のポリアクリルアミドを10ppm を超えて含有すると、洗浄薬液の粘性が高くなり過ぎて、 通常の噴霧手段では微細なミストとすることができない。一方、1ppm
未満では、ポリアクリルアミドによる効果を期待できない。なお、好ましい含有量は3〜7ppm である。
このような高分子量のポリアクリルアミドのうち、荷電がアニオン性のものは、可使pH範囲が3〜12であるため、 ポリアクリルアミドの機能が有効に発揮されるために、汚染気体中に含まれる主な汚染物質についてガスクロ分析などで成分を調べて、その成分の水溶液のpHを調べ、この範囲に入るような品番のポリアクリルアミドを選ぶか、
洗浄薬液に酸や、アルカノールアミンのようなアルカリや、クエン酸塩、リン酸塩や重炭酸ソーダのような緩衝剤を加えて洗浄薬液のpHを調整しておくことが好ましい。
【0055】
また、アニオン性のものはアクリル酸など酸基の含有率によって洗浄薬液の可使pH範囲が変化するため、目的ごとに適した品番を選んで使用することが好ましい。また、荷電がカチオン性のものは、可使pH範囲がおおよそ3〜10であり、アニオン性のものと同様に洗浄薬液を調整して効率的に使用することができる。カチオン性のものの可使pH範囲は、ジメチルアミノメチル基やジメチルアミノエチル基の含有率によって決まるので、添加剤により調整することが好ましい。
【0056】
また、荷電が両性のものは、上記した高分子量のアニオン性ポリアクリルアミドを数%以下含有する水溶液をメチロール化したのち、ジメチルアミン、ジフェニルアミン、ジイソプロピルアミンなどを反応させて、ジアルキルアミノメチル基を導入して製造できる。ジメチルアミノメチル基とカルボキシル基をそれぞれ分子中に10〜20モル%程度、等モル含有する場合は、両置換基の増加に応じて、
分子内及び分子間吸引力が飛躍的に増大する。なお、この両性のものの可使pH範囲はおよそ3〜12の範囲であり、汚染気体中に含まれる主な汚染物質に応じて、洗浄薬液に酸や、アルカリ、緩衝剤等を加えてpHを調整することが有効である。
【0057】
また、噴霧する洗浄薬液には、単独で、あるいは上記したポリアクリルアミドに加えてさらに、(2−1)項で説明したと同じ、1気圧での沸点が150
℃以上の水溶性の「両親媒性溶剤」を洗浄薬液全量に対し、0.1 〜100ppm程度含有することが好ましい。水にも疎水性有機物にも自由に溶解する「両親媒性溶剤」を、洗浄薬液に含有させることにより、噴霧ミストの乾燥を遅らせ、洗浄薬液と疎水性気体汚染物質との接触率を向上させ、清浄化効果が向上するものと考えられる。
【0058】
「両親媒性溶剤」の含有量が、0.1ppm未満では、上記した効果が少なく、また、100ppmを超えて含有すると、両性型ポリアクリルアミドの凝固性が阻害されるため、抱合効果が劣化する。
なお、上記した洗浄薬液はいずれも微生物による分解を受け易い水溶液であるため、低毒性の防腐剤を所定量含有させることが望ましい。
【0059】
また、本発明の洗浄システムで使用する洗浄薬液は、ポリアクリルアミド、および/または「両親媒性溶剤」を少量含有する稀薄水溶液であり、BODやCODが無視できるほど低く、環境への負荷は非常に低い。このため、使用後、そのまま浄化槽や環境に放流できる場合が多い。
また、噴霧する洗浄薬液にも、気体洗浄用充填材を含む層に含浸または供給する洗浄薬液と同様に、殺菌・静菌のために、(2−1)項で記した製剤を添加することができる。
(3)本発明の洗浄システムの実施の主な形態
本発明の洗浄システムは、半閉鎖空間、例えば建造物内や地下鉄の車内や駅構内、あるいは室内などに充満した、火災の煙、油煙や、窒息性ガスあるいは、意図的に散布された致死性のガス、病原性微生物、ウィルスなど、の有害気体や有害エアロゾルなどの汚染物質を含む空気(気体)の清浄化にも適用できる。
【0060】
本発明の洗浄システムを用いて、これら汚染気体に、建造物内や地下鉄の車内や駅構内などの半閉鎖空間内で、洗浄薬液であるポリアクリルアミドおよび/または「両親媒性溶剤」を少量含有する稀薄水溶液を噴霧すると、汚染気体に含まれる汚染物質であるこれらエアロゾル等は急速に床に沈降して有害汚染物質の濃度が急速に減少する。とくに水溶液に「両親媒性溶剤」を含む場合は、含まない場合に比べて清浄化率は10〜20%程度向上する。この差は人命救助の成功率に置き換えると極めて重要となる。その後、これら汚染気体をさらに本発明の洗浄システムにおける洗浄装置内で紙粒からなる洗浄薬液を含浸させた気体洗浄用充填剤を含む層を通過させると、汚染気体の高度な清浄化が期待できる。
【0061】
例えば、汚染気体が、比重1以下の水不溶性有機化合物の気体を含む気体である場合には、図1に例示したように、上記した洗浄薬液の噴霧(平均粒径30μm以下のミスト)3aを、気体洗浄用充填材を含む層2の上部で行い、気体洗浄用充填材を含む層2で汚染物質を捕捉した噴霧ミスト3aを液滴2a化し、気体洗浄用充填材を含む層2より下流
(下部)に、気体洗浄用充填材を含む層と分離して、液面を気体洗浄用充填材を含む層より低い位置となるように設置された洗浄薬液槽6の液面に落下させることが好ましい。液面に落下した液滴2aは、洗浄薬液槽6の液面上で、汚染物質である水不溶性有機化合物7aが浮上する。この水不溶性有機化合物を液位に設置した排液口から回収し、配管6a1
により連設された洗浄薬液貯槽7または水槽、または洗浄装置1外に設けた汚染物質の処理槽(図示せず)、の液面上で比重差を利用して分離することができる。この水不溶性有機化合物7aを、配管7b1
、バルブ7c1 を介し回収することができる。一方、気体洗浄用充填材を含む層2を通過した気体は排気口9からそのまま系 (装置)外に排出するか、さらに洗浄薬液を含浸または供給された気体洗浄用充填材を含む層21を通過させたのち気体を排気口9aから系外に排出することが好ましい。
【0062】
汚染気体 (空気)が、極めて有害な気体やエアロゾルで汚染されている場合には、上記したポリアクリルアミドや目的に応じたアルカリ性や酸性の緩衝液、殺虫剤などを含む洗浄薬液を平均粒径で30μm
以下のミストとして噴霧したのち、さらに、「両親媒性溶剤」に加えて、有害気体やエアロゾルなどの汚染物質も分解剤や殺虫剤を含む洗浄薬液を含浸または供給させた気体洗浄用充填材を含む層にそれらミストを落下させるとともに、汚染気体
(空気)を該気体洗浄用充填材を含む層を通し、さらに別に設置した上記した洗浄薬液で湿潤化された気体洗浄用充填材を含む層を通過させて、安全なレベルまで清浄化したのち装置外で排出することにより、二次災害発生のリスクを著しく低減できる。
【0063】
また、汚染気体が、凝固点以上の温度に加熱された水不溶性汚染物質を含む気体である場合には、汚染気体を、本発明の洗浄薬液であるポリアクリルアミドおよび/または「両親媒性溶剤」を含有する水溶液を含浸または供給された気体洗浄用充填材を含む層2に通すことにより、気体洗浄用充填材を含む層2上で冷却、液滴化でき、下部に、気体洗浄用充填材を含む層2と分離して設置された洗浄薬液槽6の液面に落下させることが好ましい。配管6a1
により連設された洗浄薬液貯槽7または水槽で、あるいはさらに配管7b1 、バルブ7c1 を介し回収し、洗浄装置1外に設けた汚染物質の処理槽(図示せず)内で処理することが好ましい。
【0064】
図1に示す構成の本発明の洗浄システムは、例えば、金属鍛造工場で石油系鍛造油の排煙処理にも適用できる。
排煙を、吸気口1aに導入し、噴霧手段3により、ポリアクリルアミドを含有する洗浄薬液を噴霧し平均粒径が30μm以下、好ましくは20μm以下、さらに好ましくは10μm以下のミスト3aとして、鍛造油の熱分解によって生じる高温の油煙を捕捉・冷却する。油煙を捕捉したミストは、気体洗浄用充填材を含む層2に効率よく落下、液滴化する。この気体洗浄用充填材を含む層には「両親媒性溶剤」に加えて、アルカリ性の酸化剤を含む水溶液である洗浄薬液が供給手段4により供給され、汚染気体に含まれるアルデヒド類の悪臭を消臭するとともに、油煙をタール化する。気体洗浄用充填材を含む層2で液滴化された汚染物質を含むミスト2aは、気体洗浄用充填材を含む層の下部で、気体洗浄用充填材を含む層より低い位置に液面を設けられた洗浄薬液槽6の液面上に落下し、浮上する。浮上した汚染物質は、洗浄薬液槽6の液位に設けられた排液口から採取され、配管・バルブを介し洗浄薬液貯槽7に移され比重差を利用し分離され、配管7b1
から回収される。
【0065】
図1に示す本発明の洗浄システムを利用すれば、従来の装置では除去できなかった油煙を、容易に除去できるとともに、アルデヒド類の悪臭の消臭率も高くできる。なお、気体洗浄用充填材を含む層に供給した洗浄薬液は効力がなくなるまで循環させて使用することができる。
また、図1に示す本発明の洗浄システムを利用すれば、弁当用揚げ物工場の排気、あるいは厨房の排気中に含まれる食用油のミストの除去および調理臭の除去が同様に可能となる。なお、洗浄薬液にポリアクリルアミドを1
〜2ppm含有させることにより、低濃度の複雑な混合臭の消臭に有効である。
【0066】
また、本発明の洗浄システムを利用すれば、発砲ポリスチレンの廃材を食油の廃油中で200 ℃以上に加熱溶融し回収する際に、ポリスチレンが解重合して発生するスチレンモノマーの消臭・除去が可能となる。
また、本発明の洗浄システムは、家畜の糞尿、木材の廃材、農産廃棄物、生ごみなど、いわゆるバイオマスを微生物分解して発生するメタンガス(バイオガス)中の硫化水素や、強い悪臭を伴うアルキルメルカブタン、硫化メチルや、有害性が疑われる細菌やその胞子などの汚染物質の除去に適用できる。
【0067】
バイオガスは、通常、容量%で、メタンが約60%、炭酸ガスが約40%、硫化水素が0.15〜0.4 %含まれて、燃料ガスとして利用することが考えられている。しかし、このバイオガスを燃焼すると、硫化水素が同容量の亜硫酸ガスとなり大気中に放出され、かつ燃焼機器を損傷する。また、このガスは、細菌やその胞子などを放出する。このため、バイオガスからの硫化水素や細菌類の除去は重要となる。
【0068】
本発明の洗浄システムでは、汚染気体が、バイオガスのような硫化水素を含む気体である場合には、図1に示すような洗浄装置を利用して、気体洗浄用充填材を含む層に含浸または供給し湿潤化させる洗浄薬液、および/または汚染気体に噴霧する洗浄薬液として、「両親媒性溶剤」と、さらに硫化水素を硫黄として遊離させる反応の反応率と反応速度を高めるために、常圧で沸点が250℃以上のトリアルカノールアミン、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩のうちから選ばれた1種以上を含み、あるいはさらに亜硫酸のアルカリ塩のうちから選ばれた1種、および/または重亜硫酸のアルカリ塩のうちから選ばれた1種を含むアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。なお、常圧で沸点が250℃以上のトリアルカノールアミンとしては、例えばトリエタノールアミン、トリ(イソ)プロパノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどの低揮発性で変異原性がないものが例示できる。
【0069】
アルカリ性物質を使用しない方法は、古くからバッケンローダー氏液として知られる、硫化水素を長時間かけて亜硫酸ガスと水中で反応して、ヒドロゾル状の硫黄を生成する反応である、次(1)式
SO2 +2H2S =2H2O+3S ……(1)
(例えば、千谷利三著:無機化学 下巻、p851,p896 〜897,p907,昭和27年5 月発行、産業図書(株))で示されている。
【0070】
硫化水素と亜硫酸ガスとは、アルカリ化合物の存在下で反応させると、前駆体である三チオン酸塩や四チオン酸塩の生成を経て硫黄を遊離する。アルカリ性水溶液を用いる本発明における方法は、硫化水素の水への溶解度が亜硫酸ガスのそれに比べて低い(15℃の水への硫化水素の溶解度は、亜硫酸ガスの溶解度の約6%)ため、アルカリ性化合物で硫化水素を中和して硫黄イオン濃度を増加させ、反応速度と収率を高めたものである。この方法は、低濃度の硫化水素を含む場合に有効である。
【0071】
トリアルカノールアミン、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩は、洗浄開始時には、炭酸ガスと反応して重炭酸塩を形成し液のpHが低下するが、同時に硫化水素と反応(中和)して硫化物塩を形成し、洗浄薬液に溶解する。また、亜硫酸のアルカリ塩、重亜硫酸のアルカリ塩は、下記(2)〜(4)式の反応により硫黄を遊離する。
【0072】
また、硫化水素の濃度が高い汚染気体の場合には、「両親媒性溶剤」を含む水溶液または上記した洗浄薬液に、硫化水素との反応当量か、それよりわずかに低い量の亜硫酸ガスを吹き込む方法が有効である。洗浄薬液に亜硫酸ガスを吹き込む場合には、たとえば、図1の洗浄薬液貯槽7に吹き込むことが好ましい。なお、前駆体の生成で硫黄の沈降が遅い場合には、洗浄薬液貯槽7以外に別に空気を吹き込む硫黄の酸化分離槽を設置してもよい。これにより、高濃度の硫化水素を含む、例えばバイオガスの長時間の洗浄が容易となる。
【0073】
例えば、洗浄薬液にアルカリ金属の炭酸塩を含む洗浄薬液に亜硫酸ガスを吹き込む場合には、亜硫酸ガスが次(2)式
Na2CO3+SO2 =Na2SO3+CO2
……(2)
のように副分解し、これに硫化水素が次(3)式
Na2SO3+2H2S +CO2 =Na2CO3+2H2O
+3S ……(3)
のように反応する。すなわち、(1)式のように反応して、洗浄薬液中の薬剤を消費せずに硫黄を遊離・沈殿できるものと考えられる。また、アルカリ金属の水酸物の場合には亜硫酸ガスが次(4)式のように反応する。
【0074】
2NaOH+SO2 =Na2SO3+H2O ……(4)
この生成物の亜硫酸ナトリウムは(3)式の反応により硫黄を遊離する。他の洗浄薬液中のアルカリ類も同様に触媒として作用し、薬剤を消費せずに、硫黄を遊離・沈殿できるものと考えられる。この方法では理論的には洗浄薬液中の薬剤は消費されない。
【0075】
また、洗浄薬液に亜硫酸ガスを吹き込むには、図1に示すように、亜硫酸ガス供給源(ボンベ等:図示せず)に連設された配管8bを介し亜硫酸ガス供給口8aから、硫化水素を含む汚染気体に、硫化水素との反応当量かそれ以下の亜硫酸ガスを混入すればよい。亜硫酸ガス供給源は、ボンベに代えて消費場所で硫黄を燃焼させてもよい。
【0076】
なお、洗浄薬液内に遊離・沈降するコロイド状の硫黄は回収して再利用できる。硫黄の回収は、例えば、図1に示す洗浄装置1の洗浄薬液貯槽7中に、硫黄の凝固剤として食塩水を加えることが好ましい。これにより、硫黄は槽底に沈殿する。沈殿物は回収し、上澄み液は循環して再使用できる。
この方法では理論的に洗浄薬液中の薬剤は消費されない。しかし、未反応の亜硫酸ガスや硫化水素を含むバイオガスが、装置の故障などによって装置から噴出する事態に備えて亜硫酸ガスと硫化水素を完全に除去するために、同様のアルカリ性洗浄薬液を蓄える、別の洗浄薬液貯槽を設けることが好ましい。
【0077】
また、サリン(C4H10FO2P )、タブーン(C5H11N2
O2P )、マスタードガス(C4H8Cl2S)などの致死性有毒ガスを含む汚染気体の解毒は、本発明の洗浄システムを用いれば容易にできる。アニオン系ポリアクリルアミド又は両性ポリアクリルアミドに「両親媒性溶剤」を加え、アルカリ性に調整した洗浄薬剤を10μm程度の微細ミストに噴霧して、サリン(C4H10FO2P
)、タブーン(C5H11N2 O2P )、マスタードガス(C4H8Cl2S)などの致死性有毒ガスを含む汚染気体に吹き付ければ、これら有毒ガスを容易に捕捉でき、さらに強アルカリ液を含浸または供給された気体洗浄用充填材を含む層に通すことにより解毒でき、有害ガスの室外への漏洩を防止できる可能性が大きいと考えられる。この場合、噴霧は装置外で行う方が望ましい場合もある。
【0078】
また、洗浄薬液として水性溶液を使用する洗浄システムでは、洗浄装置が微生物の増殖の培地になり易いため、洗浄処理後の排気中に細菌類、 真菌類、藻などを排出し易い。このため、本発明の洗浄システムを適用する、例えば、生ごみ処理施設、魚粉処理施設、化学工場、介護施設、病院などで、洗浄システムを連続的に長時間運転する場合は、装置および洗浄薬液の殺菌・静菌対策を講じており、微生物災害を防止する必要がある。
【0079】
例えば、汚染発生源からの気流に巻き込まれて洗浄装置に侵入しあるいはさらに増殖した細菌、 真菌及び胞子類は、気流に巻き込まれて浮遊するが、洗浄装置内ではエアロゾル状で、分子状汚染物質と異なり、ほとんど洗浄薬液や気体洗浄用充填材とは十分に接触しない。気体分子は15℃での移動速度が非常に大きく、例えば硫化水素は447.2m/s、トルエンは272.0m/sであり、これらは洗浄薬液に捕捉されるまで、他の気体や装置表面と衝突を繰り返し、
全方向に飛び回り、洗浄薬液や気体洗浄用充填材にも容易に衝突、吸収されるが、径1μmの球状細菌はエアロゾルであり、気流に流されると共に0.035cm/s程度落下するだけである。
【0080】
したがって、このようなエアロゾル状の汚染物質は、従来の化学的洗浄方法では除去しにくいが、洗浄薬液として、ポリアクリルアミドおよび/または「両親媒性溶剤」を含有する水溶液を用いる本発明の洗浄システムでは、このようなエアロゾル状の汚染物質も除去できる。そこで、殺菌・静菌のために、噴霧する洗浄薬液および/または気体洗浄用充填材を含む層に含浸・供給する洗浄薬液に殺菌・静菌剤を添加しておけば、気流中に浮遊する細菌、
真菌及び胞子類、および/または気体洗浄用充填材を含む層に付着した細菌、 真菌及び胞子類、を捕捉し洗浄薬液内に分散させて、これらを容易に殺菌・静菌することができる。洗浄薬液に添加する殺菌・静菌剤としては、(2−1)項で説明したように、ヨウ素とポリビニルピロリドンとの複合体等とすることが好ましい。
【0081】
また、本発明の洗浄システムでは、特許第2,775,162号公報、特許第21,323,366号公報、特許第2,1347,078号公報に記載された方法では完全には除去できない空気中の汚染物質、例えば、中低級の脂肪酸、アルコールやアルデヒドなど、水不溶性か難溶性、非荷電性、化学的に中性または低反応性の有機化合物の中に存在する、嗅覚閾値が著しく低い悪臭の強烈な物質、をも完全に除去できる。
【0082】
また、本発明の洗浄システムでは、環境省のヒトの嗅覚による嗅覚測定法で、 臭気濃度が100000を超えることがあるほど強い悪臭成分等の汚染物質を含有する気体
(空気)、例えば生ごみ等の微生物分解装置の排気を、ほぼ完全に消臭できる。生ごみ等の微生物分解装置から排出されるガスは、細菌類とその胞子や、有害ガスを多量に含み、しかも汚染物質の成分が極めて多い複雑な組成のため、とても化学反応では消臭できない。本発明の洗浄システムでは、若干の化学反応も寄与しているが、ほとんど本発明で使用する洗浄薬液の有する物理化学的な抱合作用により除去されるものと考えられる。
【0083】
【実施例】
(実施例1)
脱リグニンされた繊維素繊維より製造された紙パルプを原料として、この原料を高速回転する容器に入れ繊維を絡ませるとともに、糊を含む水を加えたのち乾燥し、不規則な楕円体状の紙粒とした。得られた紙粒を金網の篩にかけて、平均の長さ:7.0
±0.2mm 、幅:5.5 ±0.2mm 、厚さ:4.0 ±0.2mm の範囲の紙粒を集めた。これらの紙粒は、湿度:60%で見掛け比重が195g/Lであった。この紙粒を気体洗浄用充填材素材とした。
【0084】
この充填材素材(紙粒)5L(975g)に、A処理、B処理、またはC処理を施し、気体洗浄用充填材(No. A、No. B、No. C)(本発明例)とした。また、前処理としてD処理を施したのち、A処理を施して、気体洗浄用充填材(No.
DA)(本発明例)とした。
(1)No. A(本発明例)
気体洗浄用充填材(No. A)は、充填材素材に次に示すA処理を施して、気体洗浄用充填材とした。
【0085】
A処理:
処理液1kgあたり、50%のジメチルロール ジヒドロキシエチレン尿素の水溶液を60g 、完全けん化、重合度1800のポリビニールアルコール(PVA
)の7%水溶液を300g、硝酸を等量加えて水溶性にした分子量2.0 ×104 のキトーサンの1%水溶液を10g 、塩化アンモニウムを3g
、メタノールを300g、水を327g、溶解・混合して、10Lの水溶液(処理液)とした。この処理液に、ナイロンのフィラメント繊維製メッシュ状袋に入れた充填材素材(紙粒)を2分間浸漬し処理液を含浸させたのち、引上げて、遠心分離機(約2000回転/
分) で、紙粒と処理液の質量比が約1:1なるように7分間脱液したのち、充填材素材(紙粒)を袋から取り出し、底にステンレス鋼の網を張った箱に重ならないように入れて、130
℃に保持した恒温・熱風循環式乾燥機内で45分間乾燥およびキュアリングを行ったのち、取り出した。
(2)No. B(本発明例)
気体洗浄用充填材(No. B)は、充填材素材に次に示すB処理を施して、気体洗浄用充填材とした。
【0086】
B処理:
処理液10kgあたり、メタンスルホン酸を50g 、水を9950g 、混合・溶解した水溶液(処理液)に、ナイロンのフィラメント繊維製メッシュ状袋に入れた充填材素材(紙粒)を2分間浸漬したのち、引上げて、遠心分離機(約2000回転/
分) で、紙粒と処理液の質量比が約1:1なるように7分間脱液し、含水率が8%になるまで乾燥してから、密閉室中に、底に金網を張った箱を水平に置き、その中に紙粒を拡げ積み重ならないように置いた。ついで、密閉室内に上記処理を施した紙粒を置き、密閉室の外で、100gのパラホルムアルデヒドと水を1Lの三角フラスコに入れ、ゆるやかに加熱して発生させたホルムアルデヒドの蒸気を密閉室に導き、ホルムアルデヒドの蒸気と紙粒とを反応させたのち、水蒸気で処理して未反応のホルムアルデヒドを除去した。
(3)No. C(本発明例)
気体洗浄用充填材(No. C)は、充填材素材に次に示すC処理を施して、気体洗浄用充填材とした。
【0087】
C処理:
処理液10kgあたり、メタンスルホン酸を50g 、完全けん化、重合度1800のポリビニールアルコールの7%水溶液を3000g 、硝酸を等量加えて水溶性にした分子量2.0
×104 のキトーサンの1%水溶液を100g、メタノールを2000g 、水を4850g 、混合・溶解した水溶液を処理液とし、この処理液に、B処理と同様に、浸漬、脱液、乾燥してから、気体状のホルムアルデヒドを反応させて仕上げた。
(4)No. DA(本発明例)
気体洗浄用充填材(No. DA)は、充填材素材(紙粒)に、前処理として次に示すD処理を施したのち、前記A処理を施して、気体洗浄用充填材とした。
【0088】
D処理:
処理液1kg当たり、85%リン酸を90g 、尿素を150g、メタノールを200g、水を560g、混合・溶解させた水溶液を前処理用処理液とし、この処理液に、ナイロンのフィラメント繊維製メッシュ状袋に入れた充填材素材(紙粒)を2分間浸漬し処理液を含浸させたのち、引上げて、遠心分離機(約2000回転/
分) で、紙粒と処理液の質量比が約1:1なるように7分間脱液したのち、充填材素材を袋から取り出し、130 ℃に保持した恒温・熱風循環式乾燥機内で45分間乾燥を行い、ついで、同じ乾燥機で、150
℃×30分の熱処理を施した。
(5)No. E(比較例)
また、上記した充填材素材(紙粒)5Lに、PVA とキトーサンが含まれない以外はA処理と同じとする本発明範囲から外れた処理を施し、気体洗浄用充填材(No.
E)(比較例)とした。
【0089】
得られた気体洗浄用充填材、No. A、No. C、No. DA及びNo. Eについて、それぞれを図1の洗浄装置内の気体洗浄用充填材を含む層2に装入し、30日間実際に使用した場合の圧力損失の増加を比較試験した。なお、気体洗浄用充填材を含む層2は気体洗浄用充填材を厚さ:30cm積層して形成した。この試験では、噴霧洗浄は行わず、汚染気体の代わりに空気を通過させ、洗浄薬液貯槽7内の洗浄薬液を供給・含浸した気体洗浄用充填材を含む層2を通過させ、排気口9から排気した。
【0090】
洗浄薬液は、運転中に液量が一定になるよう、液位計に連動した電磁弁で作動させた液流ポンプ4aで供給した。使用した洗浄薬液は、下記(イ)と(ロ)とした。
(イ)強酸性液:2モル/Lの塩化アンモニウム250 mlに2モル/mlの塩酸65mlを加えた液を水で稀釈した溶液で、pHが2.0 の緩和衝液
(ロ)強塩基性液:2モルmlの塩化カリウム溶液250 mlに2モル/Lの水酸化ナトリウム530 mlを加えた液を水で1Lに稀釈した溶液で、pHが12.9の緩和衝液圧力損失の測定は、運転開始1日後と30日後に、図1の1cの部分に取り付けた小型バルブと、排気口9に取り付けた小型バルブの間をシリコーンチューブを介して水圧計に連結して測定した。運転開始1日後を初期値とした。なお、圧力損失の単位は、水柱の高さ(mmAq)とした。
【0091】
得られた結果を表1に示す。
【0092】
【表1】
【0093】
この試験の結果、本発明例(No. A、No. C、No. DA)は、15%程度の圧力損失の増加であったが、比較例(No. E)は自重で押し潰され変形し、圧力損失が2倍以上に増加した。
つぎに、得られた各気体洗浄用充填材5g を、固有の悪臭を有するトリメチルアミンの0.01%水溶液100ml 中に投入し、水溶液の臭いを人間の臭覚で試験した。その結果、本発明例の気体洗浄用充填材(No.
DA)を投入した場合にのみ、トリメチルアミンの悪臭が消臭された。
(実施例2)
処理量30kg/日の処理能力を有する食品廃棄物分解装置から排出される気流(空気)を、図1に概要を示す洗浄装置を用いて洗浄した。
【0094】
この食品廃棄物分解装置は、横長で筒状の分解室を有し、上面に気密性で開閉可能なごみ投入口を有している。分解室内には、細菌を担持し長時間使用するおが屑が入れられている。ごみ投入口から食品廃棄物を投入したのち、送風機で新鮮な空気を分解室に送入しながら、水平なシャフトに垂直に取り付けた回転翼により内容物(食品廃棄物)を切り返す。さらに、分解室の湿度・温度を制御装置で一定範囲内に調整しながら、回転翼の回転と停止を15分ごとに繰り返す。この食品廃棄物分解装置の排気孔からは、強い悪臭を有し、炭酸ガス、有害ガス、微生物、胞子等を含んだ高湿度の50℃程度の気流が排出される。
【0095】
使用した洗浄装置1は、縦長の直方体(800 ×800 ×高さ1500mm)で、上部側面に処理気体を導入するための吸気口1aを有し、下部側面に洗浄済の気体を排出する排気口9を有する。洗浄薬液槽6と分離して、洗浄薬液槽6の液面の上部に気体洗浄用充填材を含む層2が設けられている。また、吸気口より下部で、気体洗浄用充填材を含む層2より上部に噴霧手段3が設けられている。噴霧手段3(スプレーガン)は、洗浄すべき汚染気体と並流して、噴射口から15cmの位置でレーザ光散乱式粒度分布測定法で測定し平均粒径が20μmの洗浄薬液のミストを噴霧可能としている。気体洗浄用充填材を含む層2は、気体洗浄用充填材を厚さ:30cm積層して、形成した。なお、使用した気体洗浄用充填材は、実施例1で用いた、充填材素材(紙粒)にA処理を施したNo.
Aとした。
【0096】
また、気体洗浄用充填材を含む層2には、洗浄薬液貯留槽7から液流ポンプ4aで吸引した洗浄薬液を供給手段4(ここでは回転式散水機を利用)で散布・供給され、気体洗浄用充填材を含む層2は洗浄薬液で湿潤した状態とされている。
噴霧する洗浄薬液および気体洗浄用充填材を含む層に含浸・供給される洗浄薬液は、直鎖分子で分子量が極限粘度法で1.8 ×107
である、アクリル酸15モル%とジメチルアミノメチル基15モル%が結合した両性ポリアクリルアミドを5ppm 、「両親媒性溶剤」であるトリエチレングリコールジメチルエーテルを2ppm
、緩衝剤として重炭酸ナトリウムを0.1ppm、殺菌・静菌剤として2−N−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびヘキサメチレン ビグアニドのナトリウム塩をそれぞれ5ppm
を含む水溶液(洗浄薬液a)とした。なお、比較として、洗浄薬液aから、「両親媒性溶剤」であるトリエチレングリコールジメチルエーテルを除いた洗浄薬液(洗浄薬液b)についても、実験した。
【0097】
上記した食品廃棄物分解装置のごみ投入口から、1 回に、生野菜の刻みくず15kg、賞味期限切れの米飯5kg、および生マグロのアラ10kgづつを、隔日に計3回(6日間)投入した。そして、食品廃棄物分解装置の排気孔から排出される気流(空気)をサンプルとして採取して臭気濃度を測定した。サンプルの採取は、ごみ投入から5時間後と、23時間後とし、ごみ投入ごと(計3回)に繰返し(計6回採取)行った。なお、切り返しを行うと臭気濃度や菌類の排出濃度が上昇するため、排出される気流の採取は、回転翼で分解室の内容物を切り返し中とした。ごみ投入から5時間後が臭気濃度が最高になり、23時間後に最低濃度となることを確認しており、ごみ投入から5時間後に採取した場合が最高濃度を、23時間後に採取した場合が最低濃度を表すことになる。最高濃度、最低濃度とも3回の値を平均し、平均値を臭気濃度として用いた。
【0098】
採取したサンプルは、図1に示す洗浄装置の吸気口1aにポンプで供給した。洗浄装置1内では、吸気された汚染気体と並流して、上記した洗浄薬液を噴霧手段3から、平均粒径が20μmのミストとなるように、噴霧するとともに、上記した洗浄薬液を供給・含浸した気体洗浄用充填材を含む層2を2m3
/分の割合で通過させて、汚染気体を洗浄し、排気口9から排出した。排出された気流をサンプルとして臭気濃度を測定した。
【0099】
臭気濃度の測定は、の測定対象気体(サンプル)に新鮮な空気を希釈し続けて、正常な嗅覚をもつ6人が臭気を嗅ぎ分けられなくなった時点の希釈倍率を求めることにより行った。6人のうちの最高値と最低値を除いた、4人の測定値(希釈倍率)の平均値を臭気濃度とした。
食品廃棄物分解装置から排出された気流の臭気濃度と、洗浄装置で洗浄されたのち気体の臭気濃度から、本発明の洗浄システムによる汚染気体の清浄化率を求めた。清浄化率(%)は、{(食品廃棄物分解装置から排出された気流の臭気濃度)−(洗浄装置で洗浄されたのちの気体の臭気濃度)}/(食品廃棄物分解装置から排出された気流の臭気濃度)×100
(%)で定義される値である。
【0100】
得られた結果を表2に示す。
【0101】
【表2】
【0102】
本発明範囲の、気体洗浄用充填材、洗浄薬液を用いた、洗浄システム(本発明例)では、清浄化率がほぼ100 %と、汚染物質をほぼ完全に除去できるが、本発明範囲から外れた洗浄薬液を用いた場合には、清浄化率は低く、汚染物質を完全には除去できていない。この結果から、「両親媒性溶剤」の有用性が確認できた。
(実施例3)
解体直前の鉄筋コンクリート造りの建造物の一室(空間容量:120 m3 )で空気中に含まれる硫化水素の解毒 (除去)実験を行った。なお、部屋は完全に気密性とするため、ドアの隙間、開口部分をパテで充填し、窓ガラスの隙間を粘着テープでシールした。
【0103】
このような部屋の中央で、まず、三角フラスコに入れた硫化鉄に希硫酸を加えて硫化水素(許容濃度:10ppm 、致死濃度:1000ppm )を発生させ、扇風機で空気を攪拌しながら室内のガス濃度を均一化した。ついで、防毒マスクを着用した測定者により、北川式ガス検知管で室内の硫化水素ガス濃度を測定したところ、60ppm
であった。1時間後に同様に室内の硫化水素ガス濃度を測定したところ、壁、床などと反応したり、室外に漏れたりしたため、54ppm であった(ガス濃度の低下率:10%/時)。このガス濃度:54ppm
を初期値とした。
【0104】
ついで、上記した洗浄薬液を、約90g /分の噴霧量で3分間、室内くまなく噴霧した。噴霧は、可動式3流体式噴霧装置を用いて行い、その際の洗浄薬液の噴霧ミストの平均粒径は噴射口から15cmの位置でレーザ光散乱式粒度分布測定法で測定して10μmであった。使用した洗浄薬液は、実施例2で使用した洗浄薬液aとした。
【0105】
噴霧後1〜2分後にマスクを外したところ、嗅覚的には大部分の硫化水素は除去できたと感じられたが、噴霧後2〜3分後に室内の硫化水素ガス濃度を測定したところ、12ppm
であった。{(初期ガス濃度)−(噴霧後のガス濃度)}/(初期ガス濃度)×100 (%)で定義される清浄化率は78%となる。
上記した洗浄薬液の噴霧により、室内に拡散した硫化水素のほぼ100 %が洗浄薬液の噴霧ミストに捕捉されたが、そのうち80%相当分しか床に沈降しなかった。残り20%相当分はミスト粒径が小さく、しかも水分の蒸発で粒径が縮小し硫化水素を保持したまま、床に沈降せず、空間に浮遊している状態で検知管に検出されたが、ゲル状態で鼻孔に入ったため、硫化水素臭が感じられなかったものと考えられる。
【0106】
ついで、上記したように、室内で洗浄薬液を噴霧された室内空気を、図1に示す洗浄装置1の吸気口1aに吸引し、該室内空気の洗浄を行った。
使用した洗浄装置は、内部に、気体洗浄用充填材を含む層2を有し、さらに気体洗浄用充填材を含む層2と分離して、気体洗浄用充填材を含む層2の下部で、液面を気体洗浄用充填材を含む層2より低い位置にした洗浄薬液槽6を有し、さらにこの洗浄薬液槽6に配管を介して、洗浄薬液を貯留する洗浄薬液貯槽7を連設した。また、この洗浄装置には、洗浄薬液貯槽7から液流ポンプ4aを介し洗浄薬液を供給される、回転式散水器からなる洗浄薬液の供給手段4が配設されている。この供給手段4により、気体洗浄用充填材を含む層2に洗浄薬液が供給され、含浸されて、気体洗浄用充填材を含む層2は湿潤性を保持している。また、この洗浄装置1では、汚染気体(室内空気)を湿潤な気体洗浄用充填材を含む層2に通して洗浄し、清浄化して排気口9から排出する。
【0107】
気体洗浄用充填材を含む層2は、紙粒に耐水性のみを付与するB処理を施された気体洗浄用充填材(No. B)(実施例1参照)を、ステンレス鋼金網上に水平に厚さ:30cmに積層した。また、使用した洗浄薬液は、薬液1kgあたり、「両親媒性溶剤」としてトリエチレングリコールジメチルエーテルを20g
、さらに水酸化ナトリウムを80g 、重炭酸ナトリウムを40g 、酸化剤としての過硫酸ナトリウムを10g 、有機溶剤で硫化水素と親和性の大きいトリエタノールアミンを40g
、および水を810g、混合し溶解した水溶液(洗浄薬液c)とした。使用した洗浄装置は、既存のドラム缶(200 L程度)を改造して作製した。構造が簡単なため、圧力損失は20mm
aq 程度で、6〜8m3 /分程度の汚染気体の洗浄が可能である。
【0108】
硫化水素を室内に拡散され、洗浄薬液を噴霧後の室内空気を、上記したような条件の図1に示す洗浄装置で洗浄したのち、排気口9から排出された空気について、北川式ガス検知管を用いて同様に硫化水素ガスの濃度を測定したが、全く検出されなかった。
(実施例4)
実施例3と同じ気密性の部屋で、硫黄を燃焼させて亜硫酸ガス(許容濃度:2ppm 、致死濃度:400ppm)を発生させ、室内のガス濃度を均一化したのち、実施例3と同様に防毒マスクを着用した測定者により、室内の二酸化硫黄濃度を測定したところ、40ppm
であった。
【0109】
ついで、実施例3と同様に、室内くまなく洗浄薬液を噴霧した。使用した洗浄薬液は、実施例3と同様(洗浄薬液a)とした。噴霧後の室内におけるガス濃度を、実施例3と同様に、北川式ガス検知管で測定したところ、4ppm
を得た。清浄化率は90%であった。
ついで、洗浄薬剤を噴霧されたのちの室内空気を、実施例3と同様に、図1に示す洗浄装置1に吸入し、洗浄した。使用した、気体洗浄用充填材および洗浄薬液は実施例3と同様とした。図1に示す洗浄装置1の排気口9から排出された空気の二酸化硫黄濃度を北川式ガス検知管で測定したが、検出されなかった。
(実施例5)
噴霧塗装工場の塗装ブースから排出される塗装ミストと有機溶剤とを含む気流の洗浄を実験した。
【0110】
まず、噴霧塗装工場の建物内部に、鉄製パイプで3×3×3mの骨格を作り、その外面に気密が保たれるようにポリエチレンフィルム(厚さ:0.15mm)で覆いをかけ、床には受け皿を置き、中央上部には下方向に噴霧可能に3流型噴霧機の噴霧ノズルを置いた除塵ブースを設置した。噴霧ノズルは、噴霧口から50cmの位置で平均粒径が10μmのミストを発生できるノズルとした。 なお、除塵ブースの排気口には、二次除塵のために洗浄薬液で湿潤され気体洗浄用充填材を含む層を設け、該層を経由して、塗料中の固形分のほとんどが除塵されまだ有機溶剤ミストを含む気体を吸引するAl製フレキシブルパイプ(直径:150mm
)が接合されている。この二次除塵のための気体洗浄用充填材を含む層は、紙粒に耐水性を付与するB処理を施された気体洗浄用充填材(気体洗浄用充填材No. B:実施例1参照)を用いて積層(厚さ:20cm)した。また、この気体洗浄用充填材を含む層には、小型液流ポンプに嵌合した塩化ビニルチューブの先端に開けられた細孔から、洗浄薬液(下記に示す洗浄薬液d)が間欠的に供給される。
【0111】
この除塵ブースの排気口に接続されたAl製フレキシブルパイプのもう一方は、図1に示す洗浄装置1の吸気口1aに接続されている。洗浄装置1は、ステンレス鋼製ドラム缶(内径580mm
×高さ850mm :内容積230 L)を改造したもので、ふたの中央には吸気口1aが設けられている。洗浄装置の上部には、下方向に噴霧可能に3流型噴霧機の噴霧手段(噴霧ノズル)3を設置するとともに、噴霧ノズルの下40cmの位置に気体洗浄用充填材を含む層2(
充填材の厚さ:20cm)を水平に積層した。なお、この気体洗浄用充填材を含む層2は、気体洗浄用充填材(気体洗浄用充填材No. B:実施例1参照)を用いた。この気体洗浄用充填材を含む層2には、回転式散水器により洗浄薬液(下記に示す洗浄薬液e)が散布され、含浸・供給され絶えず湿潤されるようになっている。また、噴霧手段3(噴霧ノズル)は、除塵ブースに設置された噴霧ノズルと同じ形式とした。
【0112】
洗浄装置内の噴霧手段3(噴霧ノズル)からは、気体洗浄用充填材を含む層2との空間(約0.1 m3 )に、吸気口からの気流と並流して洗浄薬液(下記に示す洗浄薬液d)が噴霧される。なお、噴霧された洗浄薬液のミストは噴射口から15cmの位置でレーザ光散乱式粒度分布測定法で測定し、平均粒径で10μm
であった。洗浄薬液(洗浄薬液d)が噴霧された気流は、気体洗浄用充填材を含む層で液滴化され、洗浄装置底部の洗浄薬液槽6に洗浄薬液とともに溜まる。図1に示す洗浄装置では、洗浄装置底部に溜まる液量を一定(液位:35cm)としており、それを超えると、洗浄装置側面に設けたパイプを通し装置外の洗浄薬液貯槽7に落差を利用して流入するようになっている。洗浄薬液貯槽7に蓄えられた洗浄薬液は、液流ポンプ4aにより供給手段4(回転式散水器)へ供給され再利用される。なお、減量した洗浄薬液は随時調整され補給される。また、洗浄薬液貯槽7の液面に浮上した塗装用の有機溶剤は比重差を利用して分液回収される。
【0113】
洗浄薬液dは、質量1kgあたり、直鎖分子でアニオン性の、分子量2.0 ×107 (極限粘度法)、アクリル酸が質量1kg中に15%共重合した、ポリアクリルアミドのトリエタノールアミン塩を5g
、「両親媒性溶剤」であるトリエチレングリコールジメチルエーテルを0.5g、ジエチレングリコールジメチルエーテルを0.5g、殺菌剤としてのヨウ素とポリビニルヒロリドンとの複合体をヨウ素換算で0.001gを含む水溶液とした。
【0114】
洗浄薬液eは、洗浄薬液dに、有機溶剤を不完全な乳化状態とするために、さらに質量1kgあたり、HLB値が15.0のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートを0.2g
を、混合した水溶液とした。
このような除塵ブースと洗浄装置1とを用いて、除塵ブース入口での送風量を3m3 /分に調節して、塗装ブースから排出される気体を洗浄した。
【0115】
その結果、まず除塵ブース内で洗浄薬剤を噴霧すると、突然晴れた空から雪が降るように、いままで目視できなかった塗装ミストが固体状で床に沈降するのが観察された。
除塵ブースで洗浄薬液を噴霧された気体はついで、洗浄装置1内で噴霧され、気体洗浄用充填材を含む層で液滴化されて、洗浄装置の排気口から排気された。排気された気体の臭気濃度を実施例1と同様な方法で測定した。その結果、臭気濃度は1100(希釈倍率)であった。同様な方法で測定した、塗装ブースから排気された気体の臭気濃度が21000
(希釈倍率)であることからも、本発明の洗浄システムは有効であることがわかる。
【0116】
なお、除塵ブースでの洗浄薬液の噴霧を、2流体噴霧機を利用して、噴霧ミストの平均粒径を50μmとした場合も実験した(比較例)が、一定噴霧量当たりの床への沈降量は本発明例の約15%であった。
(実施例6)
図1に示す洗浄装置を用いて、バイオガスに多量に含まれる硫化水素の除去について、実験した。
【0117】
なお、洗浄装置1内の、気体洗浄用充填材を含む層2は、気体洗浄用充填材として、紙粒に耐水性と硬さを付与するC処理を施した気体洗浄用充填材No.
C(実施例1参照)を用い、この気体洗浄用充填材を厚さ:25cmに積層した層を2段構成し、気液接触が2倍となるようにした。
また、気体洗浄用充填材を含む層2に含浸または供給する洗浄薬液は、次に示す洗浄薬液fとした。
【0118】
洗浄薬液fは、質量で、「両親媒性溶剤」であるトリエチレングリコールジメチルエーテルを2%、カセイソーダを10%、ヨウ素とポリビニルヒロリドンとの複合体をヨウ素換算で0.01%を、混合・溶解した水溶液とした。
吸入ブロワー1bで吸引した空気に、液化硫化水素入りボンベから減圧弁と流量計とにより一定量の硫化水素を混入し、洗浄装置1の吸気口1aに吹き込んだ。なお、噴霧手段3(噴霧ノズル)からの洗浄薬液の噴霧を行わなかった。
【0119】
送風量は3m3 /分に設定して、圧力損失を30mm aq として、実験した。送風開始から10分後に、吸気口1aでの硫化水素濃度を、北川式ガス検知管で測定したところ、4000ppm
であった。一方、洗浄装置の排気口9で同様に硫化水素濃度を測定したが、検知できなかった。実験開始から3時間まで1時間ごとに、同じ分析を行ったが、洗浄装置の排気口9での硫化水素は検出されなかった。
【0120】
しかし、3 時間45分経過した時点で、硫化水素臭が装置の周辺に強く漂い始めたので、危険防止のため硫化水素の送入を中止し、予備の洗浄薬液2kgを投入し、完全に硫化水素が排気口から検出されなくなるまで、送風のみで運転した。一定時間後に、硫化水素の除去ができなくなったのは、洗浄薬液の中和反応当量がゼロとなったためで、バイオガスのような高濃度の硫化水素を含む場合には、使用した洗浄薬液は不適であり、脱硫能力を大幅に向上した薬液とする必要があることが判明した。
(実施例7)
実施例6と同じ、気体洗浄用充填材を含む層を有する洗浄装置(図1)を使用して、硫化水素ガスの除去を試みた。
【0121】
吸入ブロワー1bで吸引した空気に、液化硫化水素入りボンベから減圧弁と流量計とにより一定量の硫化水素を混入し、さらに、亜硫酸ガスを、液化亜硫酸ガスボンベから硫化水素との反応等量の95%に相当する1800ppm
を、亜硫酸ガス供給口8aから吹き込んだ。なお、洗浄装置内の噴霧手段3からの洗浄薬液の噴霧は行わなかった。
【0122】
洗浄薬液としては、「両親媒性溶剤」であるトリエチレングリコールジメチルエーテルを2%、カセイソーダを10%、トリエタノールアミンを5%、塩析剤としての塩化ナトリウムを3%、ヨウ素とポリビニルヒロリドンとの複合体をヨウ素換算で0.01%を、混合・溶解した水溶液とした。洗浄薬液は、50kg用意した。送風開始から1、3、4、7、10、15時間後に、それぞれ北川式ガス検知管で硫化水素、亜硫酸ガスの濃度を洗浄装置の排気口9で測定した。その結果、いずれも、硫化水素、亜硫酸ガスは検出されなかった。なお、図1の洗浄装置の底部に溜まる洗浄薬液は、運転開始前から比べると、白濁した硫黄を含むスラリーに変化し、しかもかなりの硫黄が沈殿している状況が見られた。この硫黄分は、通常の凝集沈殿、洗浄、濾過法で容易に分離回収ができ、亜流酸ガスの原料として再利用可能である。なお、洗浄薬液も再利用できることを確認した。
【0123】
【発明の効果】
本発明によれば、従来、汚染気体から除去することが困難であった、悪臭を伴ったり有害であったりする、分子状やエアロゾル状等の汚染物質、あるいはそれらの混合した汚染物質、あるいはさらに疎水性の汚染物質等を、簡便で、かつ安全にしかも完全に一括して除去でき、また、使用する動力、用水、薬剤等も少なくてすみ、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、有害な汚染物質を環境へ漏洩させることなく、汚染気体の洗浄を行うことができ二次災害発生の危険性を低減するという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の汚染気体の洗浄装置の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 洗浄装置
1a 吸気口
1b 吸入ブロアー
1c 配管
2 気体洗浄用充填材を含む層
2a 液滴
2b 充填材支持枠
2c 気体洗浄用充填材
3 噴霧手段
3a ミスト(噴霧)
4 供給手段
4a 液流ポンプ
5 汚染気体
6 洗浄薬液槽
6a1 、6a2 、6a3 配管
6b1 、6b2 、6b3 バルブ
61 洗浄薬液槽
61a 加圧用コンプレッサー
7 洗浄薬液貯槽
7a 汚染物質
7b1 、7b2 配管
7c1 、7c2 バルブ
8 亜硫酸ガス供給口、8b 配管
9 、9a 排気口
Claims (2)
- 気体洗浄用充填材を含む層を有し、かつ前記気体洗浄用充填材を含む層に洗浄薬液を供給するための洗浄薬液供給手段を有する洗浄装置を備え、前記気体洗浄用充填材を含む層及び洗浄薬液を供給するための洗浄薬液供給手段の上流側に、前記洗浄装置内または前記洗浄装置とは別に、前記洗浄薬液と同じか又は異なる洗浄薬液による噴霧手段を配設し、さらに前記噴霧手段の上流側に汚染気体の吸気口を配設し、前記吸気口から導入した汚染気体を前記噴霧手段により洗浄薬液を噴霧されたのち前記気体洗浄用充填材を含む層に通過させて汚染気体を洗浄する汚染気体の洗浄システムであって、前記噴霧手段が前記洗浄薬液を平均粒径で30μm以下のミストとして噴霧可能な噴霧手段とし、前記気体洗浄用充填材が、繊維素繊維を主成分とする紙粒に、下記A〜C処理のうちから選ばれた1種の処理、またはリン酸もしくはリン酸と尿素を含む水溶液を含浸し、130〜170℃の温度で乾燥・熱処理する前処理を施したのち、下記A〜C処理のうちから選ばれた1種の処理を施された紙粒からなり、前記気体洗浄用充填材を含む層が、前記各処理を施されて得られた気体洗浄用充填材の1種以上を、積層する、袋入れするおよび上下2面が通風性のカートリッジに充填するのうちの1種または2種以上の手段で構成されたものであり、かつ沸点が150℃以上の水溶性の両親媒性有機化合物を含む洗浄薬液が含浸または供給されてなり、さらに洗浄薬液の液面が前記気体洗浄用充填材を含む層より低い位置となるように前記気体洗浄用充填材を含む層を通過した洗浄薬液が溜まる洗浄薬液槽を配設し、かつ前記洗浄薬液槽において浮上した汚染物質を分離するための洗浄薬液貯槽、水槽又は汚染物質処理槽を配設したことを特徴とする汚染気体の洗浄システム。
記
A処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化したキトーサンのうちの1種または2種と、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していない、メチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上の繊維素繊維架橋剤のうちの1種以上と、酸触媒と、あるいはさらにメチルアルコールと、を必須成分とする水溶液を含浸し、乾燥および熱処理を施し、耐水性と硬さを付与する処理。
B処理:酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100℃以下で反応させ、耐水性を付与する処理。
C処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化したキトーサンのうちの1種または2種と、酸触媒を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100℃以下で反応させ、耐水性と硬さを付与する処理。 - 汚染気体を、洗浄薬液による噴霧手段及び気体洗浄用充填材を含む層を備える洗浄装置からなる洗浄システム、又は前記洗浄装置及び前記洗浄装置とは別に噴霧手段を有する洗浄システム内に導入し、前記噴霧手段により洗浄薬液を噴霧されたのち気体洗浄用充填材を含む層に前記汚染気体を通過させて洗浄する汚染気体の洗浄方法であって、前記気体洗浄用充填材が、繊維素繊維を主成分とする紙粒に、次A〜C処理
A処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、分子中の窒素原子に活性水素原子が結合していない、メチロール基数またはメトキシメチル基数が2以上の繊維素繊維架橋剤のうちの1種以上と、酸性促進剤と、あるいはさらにメチルアルコールと、を必須成分とする水溶液を含浸し、乾燥および熱処理を施し、耐水性と硬さを付与する処理。
B処理:酸性促進剤を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下で反応させ、耐水性を付与する処理。
C処理:ポリビニールアルコールおよび可溶化されたキトーサンのうちの1種または2種と、酸性促進剤を必須成分とする水溶液を含浸し、水分を残して乾燥し、気体状のホルムアルデヒドを100
℃以下で反応させ、耐水性と硬さを付与する処理。
のうちから選ばれた1種の処理、または、リン酸またはリン酸と尿素を含む水溶液を含浸し、130 〜170 ℃の温度で乾燥・熱処理する前処理を施されたのち、前記A〜C処理のうちから選ばれた1種の処理、を施された紙粒からなり、前記気体洗浄用充填材を含む層が、前記各処理を施されて得られた気体洗浄用充填材の1種以上を、積層する、袋入れするおよび上下2面が通風性のカートリッジに充填するのうちの1種または2種以上の手段で構成されたものであり、かつ沸点が150
℃以上の水溶性の両親媒性有機化合物を含む洗浄薬液を含浸または供給されてなり、さらに前記洗浄薬液を、前記気体洗浄用充填材を含む層に通過させ、洗浄薬液槽に溜めてのち、前記洗浄薬液槽内に浮上した汚染物質を汚染物質処理槽に貯蔵し、前記汚染物質をさらに分離することを特徴とする汚染気体の洗浄方法。
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