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JP4552355B2 - 車両用駆動制御装置 - Google Patents

車両用駆動制御装置 Download PDF

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JP4552355B2
JP4552355B2 JP2001148731A JP2001148731A JP4552355B2 JP 4552355 B2 JP4552355 B2 JP 4552355B2 JP 2001148731 A JP2001148731 A JP 2001148731A JP 2001148731 A JP2001148731 A JP 2001148731A JP 4552355 B2 JP4552355 B2 JP 4552355B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両用駆動制御装置に係り、特に、走行中に動力断続機構を接続して駆動源を切り換える際の変速制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関等の原動機と変速機との間に動力断続機構が設けられているとともに、その原動機とは別に変速機を介して駆動力を発生させることができる電動モータを備えている車両用ハイブリッド駆動装置が知られている。そして、このようなハイブリッド駆動装置の一種に、運転者の出力要求量が小さい時には動力断続機構を遮断するモータ走行モードで電動モータのみを駆動源として走行する一方、運転者の出力要求量が大きい時には動力断続機構を接続した原動機走行モードで原動機を駆動源として走行するようになっているものがある。特開平9−322305号公報に記載の装置はその一例で、運転者の出力要求量が急に大きくなってモータ走行モードから原動機走行モードへ切り換える際には、原動機が始動するまで電動モータの出力を一時的に増大させることにより、優れた応答性が得られるようになっている。
【0003】
【発明が解決しよとする課題】
しかしながら、運転者の出力要求量が大きくなった場合、一般に変速機はダウンシフトされるため、変速機の入力回転速度が高くなり、原動機が同期回転速度に達するまでの時間すなわちモード切換時間が長くなって、原動機による駆動力が得られるようになるまでに時間が掛かるという問題があった。また、変速機の入力回転速度が高くなると電動モータの回転速度も高くなるため、その分だけモータトルクが低下し、電動モータの出力増加や変速機のダウンシフトに拘らず、必ずしも駆動力の増大作用が十分に得られないとともに、回転速度の上昇で電動モータの騒音(うなり音)が大きくなるという別の問題も含んでいた。
【0004】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、走行中に動力断続機構を接続して駆動源を切り換える際のモード切換時間を短縮して原動機による駆動力が速やかに得られるようにするとともに、モード切換中においても出力要求量に応じて大きな駆動力が得られるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、第1発明は、(a) 原動機として用いられる内燃機関と変速機との間に動力断続機構が設けられているとともに、その内燃機関とは別にその変速機を介して駆動力を発生させることができる電動モータを備えており、前記動力断続機構を遮断した状態で前記電動モータを用いて走行するモータ走行モードと、前記動力断続機構を接続して前記内燃機関を用いて走行する原動機走行モードとを有する車両において、(b) 車両走行中に運転者の出力要求量の増大に伴って前記モータ走行モードから前記動力断続機構を接続して前記原動機走行モードへ切り換えるとともに前記変速機をダウンシフトする際の駆動制御装置であって、(c) 前記モード切換時には、前記内燃機関の回転速度が前記変速機の入力回転速度に対応する同期回転速度と略一致するまでその変速機のダウンシフトを制限するダウンシフト制限手段と、(d) 前記モード切換時に、運転者の出力要求量に応じて前記電動モータの出力を増大させるモータ出力増大手段と、を有することを特徴とする。
なお、上記同期回転速度は、動力断続機構の変速機側および内燃機関側の係合部材の回転速度が互いに一致する場合の内燃機関の回転速度である。
【0007】
【発明の効果】
このような車両用駆動制御装置においては、車両走行中にモータ走行モードから原動機走行モードへ切り換える際に、内燃機関の回転速度が同期回転速度と略一致するまでその変速機のダウンシフトが制限されるため、ダウンシフトによって変速機の入力回転速度が高くなることがなく、その入力回転速度に対して内燃機関の回転速度を速やかに同期させることができ、動力断続機構を接続して内燃機関による駆動力が得られるようになるまでのモード切換時間が短縮される。
【0008】
た、内燃機関の回転速度が入力回転速度と略一致するまでは、変速機のダウンシフトが制限され、それに伴って電動モータの回転速度の上昇も制限されるため、モード切換時に運転者の出力要求量の増大に応じて電動モータの出力を増大させれば、その出力増大に応じて駆動力が増大させられ、出力要求量の増大に対応して優れた駆動力性能が得られるとともに、回転速度の上昇に伴う電動モータの騒音(うなり音)の増大が防止される。
【0009】
【発明の実施の形態】
速機を介して駆動力を発生させることができる電動モータは、変速機と動力断続機構との間に直列に設けても良いが、動力伝達機構を介して内燃機関と並列に設けることもできるなど、種々の態様が可能である。
【0010】
上記電動モータとしては、発電機としても機能するモータジェネレータが好適に用いられる。また、原動機としては、ガソリンエンジンなど燃料の燃焼で動力を発生する内燃機関が用いられる。
【0011】
動力断続機構は、単にクラッチの係合、開放制御で動力伝達を接続、遮断するものでも良く、その場合は同期回転速度は変速機の入力回転速度と一致するが、遊星歯車装置などの複数の回転要素を有する歯車機構の連結状態をクラッチやブレーキにより切り換えて動力伝達を接続、遮断するものなど、種々の態様が可能である。クラッチやブレーキとしては、油圧などによって摩擦係合させられる摩擦係合装置が望ましい。
【0012】
変速機は、ベルト式、トロイダル型など変速比を連続的に変化させることができる無段変速機でも、遊星歯車式や2軸噛合式などの有段変速機でも良く、制御装置によって電気的に変速比を変化させることができるものであれば良い。
【0013】
ダウンシフト制限手段は、例えばダウンシフトを略禁止して変速比を略一定(有段変速機の場合は一定の変速段)に維持するように構成されるが、原動機走行モードでの走行時などモード切換時以外の通常のダウンシフトに比較して変速比の変化速度を小さくするだけでも良いなど、種々の態様を採用できる。また、内燃機関の回転速度が同期回転速度と略一致するまで実際のダウンシフトすなわち変速比の変化が制限されるようになっておれば良く、油圧アクチュエータによって変速制御される変速機のように応答遅れを有する場合には、その応答遅れ分だけ早くダウンシフト制御の制限を解除しても良い。なお、アップシフトについては必ずしも制限する必要はなく、モード切換時にアップシフトすることも可能である。
【0014】
本発明は、(a) モード切換時に前記内燃機関の回転速度が前記同期回転速度を上回るように該内燃機関の出力を制御する同期手段と、(b) 該内燃機関の回転速度が同期回転速度を上回った状態で前記動力断続機構を接続する接続手段と、を有して構成することが望ましく、その場合は動力断続機構の接続時に駆動力がダウンして運転者に違和感を生じさせることがない。モータ出力増大手段は、例えば電動モータの許容最大出力を超えない範囲で運転者の出力要求量に応じて出力制御するように構成される。
【0015】
動機走行モードでは、内燃機関のみを駆動源として走行するようにしても良いが、内燃機関および電動モータの両方を駆動源として用いることもできる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施例である車両用のハイブリッド駆動制御装置10を説明する概略構成図で、図2は変速機12を含む骨子図であり、このハイブリッド駆動制御装置10は、燃料の燃焼で動力を発生するエンジン14、電動モータおよび発電機として用いられるモータジェネレータ16、およびダブルピニオン型の遊星歯車装置18を備えて構成されており、車両に横置きに搭載されて使用される。遊星歯車装置18のサンギヤ18sにはエンジン14が連結され、キャリア18cにはモータジェネレータ16が連結され、リングギヤ18rは第1ブレーキB1を介してケース20に連結されるようになっている。また、キャリア18cは第1クラッチC1を介して変速機12の入力軸22に連結され、リングギヤ18rは第2クラッチC2を介して入力軸22に連結されるようになっている。上記エンジン14は内燃機関で原動機に相当する。
【0017】
上記クラッチC1、C2および第1ブレーキB1は、何れも油圧アクチュエータによって摩擦係合させられる湿式多板式の油圧式摩擦係合装置で、油圧制御回路24から供給される作動油によって摩擦係合させられるようになっている。図3は、油圧制御回路24の要部を示す図で、電動ポンプを含む電動式油圧発生装置26で発生させられた元圧PCが、マニュアルバルブ28を介してシフトレバー30(図1参照)のシフトポジションに応じて各クラッチC1、C2、ブレーキB1へ供給されるようになっている。シフトレバー30は、運転者によって操作されるシフト操作部材で、本実施例では「B」、「D」、「N」、「R」、「P」の5つのシフトポジションに選択操作されるようになっており、マニュアルバルブ28はケーブルやリンク等を介してシフトレバー30に連結され、そのシフトレバー30の操作に従って機械的に切り換えられるようになっている。
【0018】
「B」ポジションは、前進走行時に変速機12のダウンシフトなどにより比較的大きな動力源ブレーキが発生させられるシフトポジションで、「D」ポジションは前進走行するシフトポジションであり、これ等のシフトポジションでは出力ポート28aからクラッチC1およびC2へ元圧PCが供給される。第1クラッチC1へは、シャトル弁31を介して元圧PCが供給されるようになっている。
「N」ポジションは動力源からの動力伝達を遮断するシフトポジションで、「R」ポジションは後進走行するシフトポジションで、「P」ポジションは動力源からの動力伝達を遮断するとともに図示しないパーキングロック装置により機械的に駆動輪の回転を阻止するシフトポジションであり、これ等のシフトポジションでは出力ポート28bから第1ブレーキB1へ元圧PCが供給される。出力ポート28bから出力された元圧PCは戻しポート28cへも入力され、上記「R」ポジションでは、その戻しポート28cから出力ポート28dを経てシャトル弁31から第1クラッチC1へ元圧PCが供給されるようになっている。
【0019】
クラッチC1、C2、およびブレーキB1には、それぞれコントロール弁32、34、36が設けられ、それ等の油圧PC1、PC2、PB1が制御されるようになっている。クラッチC1の油圧PC1についてはON−OFF弁38によって調圧され、クラッチC2およびブレーキB1についてはリニアソレノイド弁40によって調圧されるようになっている。
【0020】
そして、上記クラッチC1、C2、およびブレーキB1の作動状態に応じて、図4に示す各走行モードが成立させられる。すなわち、「B」ポジションまたは「D」ポジションでは、「ETC走行モード」、「直結走行モード」、「モータ走行モード(前進)」の何れかが成立させられ、「ETC走行モード」では、第2クラッチC2を係合するとともに第1クラッチC1および第1ブレーキB1を開放した状態、言い換えればサンギヤ18s、キャリア18c、およびリングギヤ18rが相対回転可能な状態で、エンジン14およびモータジェネレータ16を共に作動させてサンギヤ18sおよびキャリア18cにトルクを加え、リングギヤ18rを回転させて車両を前進走行させる。「直結走行モード」では、クラッチC1、C2を係合するとともに第1ブレーキB1を開放した状態で、エンジン14を作動させて車両を前進走行させる。また、「モータ走行モード(前進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を作動させて車両を前進走行させる。「モータ走行モード(前進)」ではまた、アクセルOFF時などにモータジェネレータ16を回生制御することにより、車両の運動エネルギーで発電してバッテリ42(図1参照)を充電するとともに車両に制動力を発生させることができる。
【0021】
図5は、上記前進モードにおける遊星歯車装置18の作動状態を示す共線図で、「S」はサンギヤ18s、「R」はリングギヤ18r、「C」はキャリア18cを表しているとともに、それ等の間隔はギヤ比ρ(=サンギヤ18sの歯数/リングギヤ18rの歯数)によって定まる。具体的には、「S」と「C」の間隔を1とすると、「R」と「C」の間隔がρになり、本実施例ではρが0.6程度である。また、(a) のETC走行モードにおけるトルク比は、エンジントルクTe:CVT入力軸トルクTin:モータトルクTm=ρ:1:1−ρであり、モータトルクTmはエンジントルクTeより小さくて済むとともに、定常状態ではそれ等のモータトルクTmおよびエンジントルクTeを加算したトルクがCVT入力軸トルクTinになる。CVTは無段変速機の意味であり、本実施例では変速機12としてベルト式無段変速機が設けられている。
【0022】
図4に戻って、「N」ポジションまたは「P」ポジションでは、「ニュートラル」または「充電・Eng始動モード」の何れかが成立させられ、「ニュートラル」ではクラッチC1、C2および第1ブレーキB1の何れも開放する。「充電・Eng始動モード」では、クラッチC1、C2を開放するとともに第1ブレーキB1を係合し、モータジェネレータ16を逆回転させてエンジン14を始動したり、エンジン14により遊星歯車装置18を介してモータジェネレータ16を回転駆動するとともにモータジェネレータ16を回生制御して発電し、バッテリ42(図1参照)を充電したりする。
【0023】
「R」ポジションでは、「モータ走行モード(後進)」または「フリクション走行モード」が成立させられ、「モータ走行モード(後進)」では、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2および第1ブレーキB1を開放した状態で、モータジェネレータ16を逆方向へ回転駆動してキャリア18c更には入力軸22を逆回転させることにより車両を後進走行させる。「フリクション走行モード」は、第1クラッチC1を係合するとともに第2クラッチC2を開放した状態でエンジン14を作動させ、サンギヤ18sを正方向へ回転させるとともに、そのサンギヤ18sの回転に伴ってリングギヤ18rが正方向へ回転させられている状態で、第1ブレーキB1をスリップ係合させてそのリングギヤ18rの回転を制限することにより、キャリア18cに逆方向の回転力を作用させて後進走行を行うものであり、同時にモータジェネレータ16を逆方向へ回転駆動(力行制御)するようにしても良い。
【0024】
前記変速機12はベルト式無段変速機(CVT)で、その出力軸44からカウンタ歯車46を経て差動装置48のリングギヤ50に動力が伝達され、その差動装置48により左右の駆動輪(前輪)52に動力が分配される。変速機12は、一対の可変プーリ12a、12bおよびそれ等に巻き掛けられた伝動ベルトを備えており、プライマリ側(入力側)の可変プーリ12aの油圧シリンダによってV溝幅が変更されることにより変速比γ(=入力回転速度Nin/出力回転速度Nout )が連続的に変化させられるとともに、セカンダリ側(出力側)の可変プーリ12bの油圧シリンダによってベルト挟圧力(張力)が調整されるようになっている。前記油圧制御回路24は、変速機12の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えており、共通の電動式油圧発生装置26から作動油が供給される。
【0025】
本実施例のハイブリッド駆動制御装置10は、図1に示すHVECU60によって走行モードが切り換えられるようになっている。HVECU60は、CPU、RAM、ROM等を備えていて、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行することにより、電子スロットルECU62、エンジンECU64、M/GECU66、T/MECU68、前記油圧制御回路24のON−OFF弁38、リニアソレノイド弁40、エンジン14のスタータ70などを制御する。電子スロットルECU62はエンジン14の電子スロットル弁72を開閉制御するもので、エンジンECU64はエンジン14の燃料噴射量や可変バルブタイミング機構、点火時期などによりエンジン出力を制御するもので、M/GECU66はインバータ74を介してモータジェネレータ16の力行トルクや回生制動トルク等を制御するもので、T/MECU68は変速機12の変速比γやベルト張力などを制御するものである。前記油圧制御回路24は、変速機12の変速比γやベルト張力を制御するための回路を備えている。スタータ70は電動モータで、モータ軸に設けられたピニオンをエンジン14のフライホイール等に設けられたリングギヤに噛み合わせてエンジン14をクランキングするものである。
【0026】
上記HVECU60には、アクセル操作量センサ76からアクセル操作部材としてのアクセルペダル78の操作量θacを表す信号が供給されるとともに、シフトポジションセンサ80からシフトレバー30の操作ポジション(シフトポジション)を表す信号が供給される。また、エンジン回転速度センサ82、モータ回転速度センサ84、入力回転速度センサ86、出力回転速度センサ88から、それぞれエンジン回転速度(回転数)Ne、モータ回転速度(回転数)Nm、入力回転速度(入力軸22の回転速度)Nin、出力回転速度(出力軸44の回転速度)Nout を表す信号がそれぞれ供給される。この他、バッテリ42の蓄電量SOCなど、運転状態を表す種々の信号が供給されるようになっている。出力回転速度Nout は車速Vに対応する。
【0027】
また、本実施例では図6に示すように、上記ハイブリッド駆動制御装置10の他に第2の駆動源としてリヤ側モータジェネレータ90を備えており、インバータ92を介して前記バッテリ42に電気的に接続され、力行制御および回生制御されるようになっている。モータジェネレータ90は差動装置94を介して左右の後輪96に機械的に連結され、力行制御されることにより後輪96を回転駆動するとともに、回生制御により後輪96に回生制動力を作用させる。このリヤ側モータジェネレータ90も前記HVECU60によって制御されるようになっており、例えば車両発進時や低μ路走行時など所定の条件下で前輪52に加えて後輪96を回転駆動するようになっている。
【0028】
ここで、前記T/MECU68は、HVECU60と同様にCPU、RAM、ROM等を備えていて、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を実行するもので、HVECU60から入力回転速度Ninや出力回転速度Nout 、アクセル操作量θacなどの各種の情報を読み込むとともに、変速機12の変速制御や挟圧力制御に関する信号処理を行い、指令信号をHVECU60に出力することにより、その指令信号に従って油圧制御回路24を制御したり、或いはT/MECU68により直接油圧制御回路24を制御したりすることにより、変速機12の変速制御や挟圧力制御を行う。すなわち、このT/MECU68を主体として変速機12の制御装置が構成されているのである。
【0029】
上記変速制御は、例えば図7に示すようにアクセル操作量θacおよび車速V(出力回転速度Nout に対応)をパラメータとして予め定められたマップから目標入力回転速度NINTを算出し、実際の入力回転速度Ninが目標入力回転速度NINTと一致するように、入力側可変プーリ12aの油圧シリンダの油圧をフィードバック制御する。図7のγmax は最大変速比で、γmin は最小変速比である。また、変速機12の挟圧力制御は、一対の可変プーリ12a、12bに巻き掛けられた伝動ベルトが滑りを生じないように出力側可変プーリ12bの油圧シリンダの油圧を制御するもので、例えば図8に示すように伝達トルクに対応するアクセル操作量θacおよび変速比γをパラメータとして予め定められたマップから必要油圧(ベルト挟圧力に相当)を算出し、その必要油圧に応じて出力側可変プーリ12bの油圧シリンダの油圧制御を行う。
【0030】
一方、図9は、シフトレバー30が「D」ポジションまたは「B」ポジションへ操作されている前進走行時に、エンジン停止状態の「モータ走行モード(前進)」からエンジン14を駆動源として走行する「直結走行モード」へ切り換える際の作動を説明するフローチャートで、HVECU60、エンジンECU64、およびM/GECU66による信号処理を主体として実行される。また、図10は、そのモード切換時における変速機12の変速制御を説明するフローチャートで、T/MECU68による信号処理を主体として実行され、図11は、そのモード切換時における各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートである。
【0031】
図9のステップR1では、「モータ走行モード(前進)」から「直結走行モード」へのモード切換判断が行われたか否かを判断する。このモード切換判断は、アクセル操作量θacや車速V、バッテリ42の蓄電量SOCなどに基づいて行われ、例えばアクセルペダル78が踏込み操作されていないアクセルOFFの惰性走行において「モータ走行モード(前進)」で所定車速以上で走行している状態でアクセルペダル78が踏込み操作され、アクセル操作量θacおよび車速Vから求められる運転者の出力要求量が所定値を超えた場合に「直結走行モード」へ切り換える旨の判断が為される。図11の時間t1 は、このモード切換判断が為された時間で、アクセルペダル78がアクセルOFFから全開まで踏込み操作されることにより、モード切換判断が為された場合である。「直結走行モード」は原動機走行モードに相当する。
【0032】
上記モード切換判断が為されるとステップR2を実行し、許容最大出力を超えない範囲でアクセル操作量θacに応じてモータジェネレータ16の出力制御を行う。リヤ側のモータジェネレータ90についても、併せて力行制御するようにしても良い。ステップR2はモータ出力増大手段として機能しており、アクセル操作量θacに応じてモータジェネレータ16(および90)の出力が増大させられることにより、モード切換でエンジン14による駆動力が得られる前においても所定の駆動力性能が得られる。また、アクセル操作量θacおよび車速Vをパラメータとする運転者の要求駆動力によりモータトルクを増加してもよい。
【0033】
ステップR3では、スタータ70によりエンジン14をクランキングして始動するとともに、同期回転速度である入力回転速度Nin(モータ回転速度Nmと同じ)より所定回転速度(例えば200rpm程度)だけ高い回転速度を目標回転速度として、エンジン14の出力制御を行う。このモード切換では、「直結走行モード」を成立させるために係合制御される第2クラッチC2が動力断続機構として機能しており、その第2クラッチC2の係合要素の回転速度が一致する時のエンジン回転速度Neが同期回転速度で、この場合は入力回転速度Ninと一致し、ステップR3ではエンジン回転速度Neを同期回転速度まで速やかに上昇させるために、その同期回転速度(入力回転速度Nin)より少し高い回転速度を目標回転速度として電子スロットル弁72などをフィードバック制御するのである。
ステップR3は同期手段として機能している。
【0034】
ステップR4では、リニアソレノイド弁40を制御してコントロール弁34から第2クラッチC2に対して作動油のファーストフィル(急速充填)を行うとともに、所定の低圧待機の状態となるように第2クラッチC2の油圧PC2を制御することにより、リターンスプリングに抗して第2クラッチC2を係合直前の状態に保持する。図11における油圧PC2の欄のA部はファーストフィル部分で、B部は低圧待機部分である。
【0035】
ステップR5では、エンジン回転速度Neが入力回転速度Ninを超えたか否かを判断し、Ne≦Ninの間は第2クラッチC2の油圧PC2を前記低圧待機の状態に保持する。そして、Ne>NinになったらステップR6を実行し、リニアソレノイド弁40を制御してコントロール弁34から第2クラッチC2に対して作動油を供給することにより、油圧PC2がアキュムレータの油圧特性などに応じて漸増させられ、第2クラッチC2の係合トルクが徐々に増大させられる。このステップR6は接続手段として機能しており、このようにエンジン回転速度Neが入力回転速度Ninを超えてから第2クラッチC2の係合制御が行われると、第2クラッチC2の接続時に駆動力が低下して運転者に違和感を生じさせることがない。図11の時間t2 は、エンジン回転速度Neが入力回転速度Ninを上回ってステップR5の判断がYES(肯定)になった時間である。なお、入力回転速度Ninの代わりにモータ回転速度Nmを用いて判断しても良い。
【0036】
ステップR7では、上記第2クラッチC2の係合制御によりエンジン回転速度Neが入力回転速度Ninと略一致したか否かを判断し、両者が略一致したらステップR8でリニアソレノイド弁40によりコントロール弁34を全開することにより、油圧PC2をライン油圧PL まで上昇させて第2クラッチC2を完全係合させる。これにより「直結走行モード」になり、続くステップR9ではアクセル操作量θacに応じてエンジン14の出力制御を行うとともに、モータジェネレータ16(および90)の作動を停止し、エンジン14を駆動源として大きな駆動力で走行できるようになる。図11の時間t3 は、エンジン回転速度Neが入力回転速度Ninと略一致してステップR7の判断がYES(肯定)になった時間である。
【0037】
また、図10のステップQ1では、前記ステップR1と同様にして「モータ走行モード(前進)」から「直結走行モード」へのモード切換判断が為されたか否かを判断し、このモード切換判断が為された場合には、ステップQ2でダウンシフト緩和条件を満足するか否かを判断する。ダウンシフト緩和条件は、前記図7に示すマップに従って行われる通常のダウンシフトを制限する本制御を実行する実行条件で、具体的にはアクセル操作量θacが所定値以上で且つそのアクセル操作量θacの変化速度が所定値以上であることで、例えばアクセルOFFの状態からアクセルペダル78が略全開まで踏込み操作された場合など、通常の変速制御では変速比γを急増させる急ダウンシフトが行われる場合である。そして、上記ステップQ1、Q2を共に満足する場合にステップQ3以下を実行する。
【0038】
ステップQ3では、フラグstepを「0」にするとともに、現在(図11の時間t1 )の入力回転速度Ninを基準回転速度Nin0に設定し、ステップQ4では、エンジン回転速度Neが同期回転速度である入力回転速度Ninに予め定められた所定値α1 を加えた回転速度(Nin+α1 )を上回ったか否かを判断する。
所定値α1 は例えば30〜50rpm程度の値で、ステップQ4は実質的にエンジン回転速度Neが入力回転速度Ninを上回ったか否かを判断するステップである。そして、Ne≦Nin+α1 の場合は、ステップQ5で目標入力回転速度NINT* としてNin+α1 を設定し、その目標入力回転速度NINT* を前記目標入力回転速度NINTの代わりに用いて変速機12の変速制御を行うとともに、ステップQ6でフラグstepを「1」にしてステップQ4の判断を繰り返す。
所定値α1 は30〜50rpm程度の極小さな値であるため、Ne>Nin+α1 になってステップQ4の判断がYESになるまでは実質的にダウンシフトが禁止され、現在の変速比γが略維持されることになる。図11の回転速度の欄に示されている破線は目標入力回転速度NINT* で、エンジン回転速度Neが入力回転速度Ninを上回る時間t2 までは入力回転速度Ninより所定値α1 だけ高い略一定の値に維持される。上記ステップQ4およびQ5はダウンシフト制限手段として機能している。なお、入力回転速度Ninは、モータジェネレータ16の出力増大制御によって厳密には僅かに上昇し、それに伴って目標入力回転速度NINT* も僅かに上昇する。
【0039】
Ne>Nin+α1 になってステップQ4の判断がYESになるとステップQ7を実行し、フラグstepが「1」か否かを判断する。図11の時間t2 はステップQ4の判断がYESになった時間と略一致する。そして、step=0の場合、すなわち「モータ走行モード」でもエンジン14が作動状態であった場合には、直ちにステップQ10を実行するが、step=1の場合はステップQ8、Q9を実行する。ステップQ8では、前記基準回転速度Nin0に所定値α2 を加算した回転速度(Nin0+α2 )を目標入力回転速度NINT* に設定し、その目標入力回転速度NINT* を前記目標入力回転速度NINTの代わりに用いて変速機12の変速制御を行う。所定値α2 は、急なダウンシフトで駆動力が低下することを防止しながら適度にダウンシフトさせるためのもので、本制御の開始時(ステップQ2の判断がYESになった時)のアクセル操作量θacやその変化速度をパラメータとして、それ等の値が大きい時程大きな値が設定され、このダウンシフトに従って入力回転速度Ninが上昇する。また、ステップQ9では、上記目標入力回転速度NINT* から実際の入力回転速度Ninを引き算した回転速度差(NINT* −Nin)が予め定められた所定値α3 (例えば数十〜100rpm程度)より小さくなったか否かを判断し、ダウンシフトにより入力回転速度Ninが上昇してNINT* −Nin<α3 になったらステップQ10を実行する。
図11の時間t4 は、NINT* −Nin<α3 になってステップQ9の判断がYESになった時間である。
【0040】
ステップQ10では、基準回転速度Nin0に前記所定値α2 およびスウィープ量ΔNを加算した回転速度(Nin0+α2 +ΔN)を目標入力回転速度NINT* に設定し、その目標入力回転速度NINT* を前記目標入力回転速度NINTの代わりに用いて変速機12の変速制御を行う。スウィープ量ΔNは1サイクル毎に一定量ずつ加算され、目標入力回転速度NINT* は所定の変化率で直線的に増大させられる。この変化率についても、急なダウンシフトで駆動力が低下することを防止しながら適度にダウンシフトさせるように、例えばアクセル操作量θacや本来の目標入力回転速度NINTなどをパラメータとして設定され、このダウンシフトに従って入力回転速度Ninは略直線的に上昇する。また、ステップQ11では、アクセル操作量θacおよび車速Vをパラメータとして前記図7から求められる本来の目標入力回転速度NINTから上記目標入力回転速度NINT* を引き算した回転速度差(NINT−NINT* )が予め定められた所定値ε(例えば数十〜100rpm程度)より小さくなったか否かを判断し、NINT−NINT* <εになるまでステップQ10を繰り返す。そして、NINT−NINT* <εになったら本制御を終了し、図7から求められる目標入力回転速度NINTに基づく通常の変速制御へ戻る。図11の時間t5 は、NINT−NINT* <εになってステップQ11の判断がYESになった時間である。
【0041】
このように本実施例では、車両走行中にエンジン停止状態の「モータ走行モード(前進)」からエンジン14を駆動源として走行する「直結走行モード」へ切り換える際に、エンジン回転速度Neが同期回転速度より僅かに大きい回転速度(Nin+α1 )を超えるまで、ステップQ5で目標入力回転速度NINT* =Nin+α1 とされ、その目標入力回転速度NINT* を用いて変速機12の変速制御が行われるため、変速比γや入力回転速度Ninが略一定に維持され、エンジン回転速度Neが速やかに同期回転速度に到達するようになり、第2クラッチC2を係合させて「直結走行モード」によりエンジン14を駆動源として大きな駆動力で走行できるようになるまでのモード切換時間(図11における時間t1 〜t4 )が短縮される。
【0042】
また、本実施例では第2クラッチC2が係合させられるまでモータジェネレータ16がアクセル操作量θacに応じて出力制御されるが、エンジン回転速度Neが回転速度(Nin+α1 )を超えるまで変速比γや入力回転速度Ninが略一定に維持されることにより、入力回転速度Ninと一致するモータ回転速度Nmも略一定に維持されるようになり、モータ回転速度Nmの上昇に伴うトルク低下が防止され、モード切換過渡時においてもモータジェネレータ16の出力制御で運転者の出力要求量に応じて優れた駆動力性能が得られるとともに、モータ回転速度Nmの上昇に伴うモータジェネレータ16の騒音(うなり音)の増大が防止される。
【0043】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるハイブリッド駆動制御装置を説明する概略構成図である。
【図2】図1のハイブリッド駆動制御装置の動力伝達系を示す骨子図である。
【図3】図1の油圧制御回路の一部を示す回路図である。
【図4】図1のハイブリッド駆動制御装置において成立させられる幾つかの走行モードと、クラッチおよびブレーキの作動状態との関係を説明する図である。
【図5】図4のETC走行モード、直結走行モード、およびモータ走行モード(前進)における遊星歯車装置の各回転要素の回転速度の関係を示す共線図である。
【図6】後輪駆動用のリヤ側モータジェネレータを含む駆動装置全体を示す概略図である。
【図7】図1のT/MECUによって行われる変速機の変速制御で、目標入力回転速度NINTを算出するマップの一例を説明する図である。
【図8】図1のT/MECUによって行われる変速機の挟圧力制御で、必要油圧を算出するマップの一例を説明する図である。
【図9】図1のハイブリッド駆動制御装置において、「モータ走行モード(前進)」から「直結走行モード」へ切り換える際の作動を説明するフローチャートである。
【図10】図9のモード切換時における変速機の変速制御を説明するフローチャートである。
【図11】図9のモード切換時における各部の作動状態の変化を説明するタイムチャートの一例である。
【符号の説明】
10:ハイブリッド駆動制御装置(車両用駆動制御装置) 12:変速機 14:エンジン(内燃機関、原動機) 16:モータジェネレータ(電動モータ) 68:T/MECU C2:第2クラッチ(動力断続機構) Nin:入力回転速度(同期回転速度) Ne:エンジン回転速度(原動機の回転速度)
ステップR2:モータ出力増大手段
ステップQ4、Q5:ダウンシフト制限手段

Claims (1)

  1. 原動機として用いられる内燃機関と変速機との間に動力断続機構が設けられているとともに、該内燃機関とは別に該変速機を介して駆動力を発生させることができる電動モータを備えており、前記動力断続機構を遮断した状態で前記電動モータを用いて走行するモータ走行モードと、前記動力断続機構を接続して前記内燃機関を用いて走行する原動機走行モードとを有する車両において、
    車両走行中に運転者の出力要求量の増大に伴って前記モータ走行モードから前記動力断続機構を接続して前記原動機走行モードへ切り換えるとともに前記変速機をダウンシフトする際の駆動制御装置であって、
    前記モード切換時には、前記内燃機関の回転速度が前記変速機の入力回転速度に対応する同期回転速度と略一致するまで該変速機のダウンシフトを制限するダウンシフト制限手段と、
    前記モード切換時に、運転者の出力要求量に応じて前記電動モータの出力を増大させるモータ出力増大手段と、
    を有することを特徴とする車両用駆動制御装置。
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