JP4550277B2 - 有機シロキサンベース自己重合化合物を使用した椎間板移植片 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
どの人も３０歳台になると椎間板が退化する。椎間板ヘルニアは外科手術を要するが、腰椎領域への侵入は、時に失敗率が高いことがある。
【０００２】
【従来の技術】
椎間板ヘルニア再発と再手術症候群つまり、ヌクレオトミイ後、問題のない時間に続くポストヌクレオトミイ症候群の量は比較的多い。長期的退化の主原因として、当時手術した部位の退化増進及び屈曲関節の退化増進が考えられる。これは、椎間板ヘルニア手術後苦情の最も重要な原因の一つは、脊椎運動部分の易動度増加であることを意味する。可能な解決策は、境界部分への荷重が大きくなり連結部分が不安定になる危険性を伴うが、脊椎運動部分を硬直させることである。別の可能性は、例えば、ポリエチレンネットで包んだ水和性物質を乾燥状態で移植するなど、椎間板代替人工物を移植することである。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
脊柱モデルを用いた試験は、椎間板手術後のかかる長期的退化の主原因は、脊椎運動部分の移動度増加であることを示した。したがって、本発明の目的は、生理学的運動量を出来る限り再生する椎間板移植片を提供することにある。本発明はしたがって、椎間板移植片生成のため室温で恒久的弾性シリコンに自己重合する有機シロキサンベースの液状又はぺースト状組成物に関する。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
椎間板は、外領域、所謂シャーペイ繊維を持つ環状繊維質、及びゲル状擬似軟骨の内領域、髄核から成る。本発明にしたがうと、環状繊維質は交換しないままで、有機シロキサンベースの自己重合組成物のみが髄核生成移植片のため用いられる。本発明で使用される組成物は液状又はペースト状なので、ゲル状内領域を環状繊維質から取り除いた後、出来た空間にこの組成物を注入して自己重合させる。このとき他方では、環状繊維質が脊椎部分の間隔維持の役割をすると同時に、本発明の液状又はペースト状組成物の鋳型の役目もする。腹膜後腔を通じる椎間板への最小内視鏡挿入は、腹側から即ち、基準通り、背側方向で十分である。髄核除去及び本発明の水和性有機シロキサンベース組成物注入の後、環状繊維質を閉じることが出来る。組成物は追加加熱することなく恒久的弾性シリコンに重合して環状繊維質内空洞を完全に満たし、平均した運動パターンを生じるよう、荷重転移最大表面積を作る。こうして本発明は、ヌクレオトミイ実施後椎間部の部位的安定性が回復出来ることを意味する。
【０００５】
【発明の実施の形態】
本発明で使用する有機シロキサンベース組成物は、使用に際し無菌でなければならない。このような殺菌は通常、液状又はペースト状組成物の使用者が行うことは出来ないので、組成物は製造者が殺菌し、内部が無菌の包装で販売されなければならない。
【０００６】
本発明で使用する組成物は、最大耐負荷能力に加え、出来るだけ高い生物適合性を有しなければならない。ポリジメチルシロキサンベース組成物は自己重合して、両性質を有するシリコンを生成することが示された。椎間板は莫大な圧縮荷重を受けるので、この結果は驚くべきもので予測出来ないものであった。ポリジメチルシロキサンから生成された恒久弾性シリコンは、周辺組織に、細胞増殖及び正常細胞分裂の点で退化作用を起こさない。退化現象は観測されなかった。線型ポリジメチルシロキサンベース組成物は特に優れている。
【０００７】
メチルシロキサンを各種置換シロキサンと共重合させることにより、自己重合反応時間及び生成シリコンの特性を変更することが出来る。例として、メチル基の代わりに、フェニール残基、エチル基又はビニール残基を含ませて、例えば、混合メチルフェニール−、エチルメチル−、又はメチルビニール−シロキサンを生成することが出来る。このような共重合化物は、無作為に配列された又はブロックとして配列されたそれらの共重合体置換体を有することが出来る。ポリメチルシロキサンの端末基は、トリメチルシロキシ基が好適であるが、少なくともその一部は、シラノール基、ビニール基、又は水素化合物基にすることが出来る。線型ポリジメチルシロキサンの粘度は、連鎖中断基により支配することが出来る。本発明の使用上肝要なのは、組成物が液状又はペースト状でなければならないことである。
【０００８】
室温で自己重合させるため、本発明の組成物は触媒を含む。既知のシロキサン触媒は、アミノプロピルシラン誘導体のようなアミン、及び鉛、錫及び亜鉛のカルボン酸塩、また有機の鉄、カドミウム、バリウム、アンチモニー又はジルコニウムの塩である。錫のオクトエート、ラウリン酸塩、オレイン酸塩と同時にジブチル錫塩は特に適している。選ばれた触媒は生物学的に適合しなければならない。これらには、白金、ロジウム、又はルテニウムのようなＶＩＩＩ属からの付加触媒貴金属複合体が含まれ、それらは例えば濃度１乃至２ｐｐｍという微量で自己重合を適切な重合時間内に促進する。詳説すると、白金−オレフィン複合体のような白金触媒は、オレフィンにビニール機能性シロキサンのようなＳｉ−Ｈ端末基の付加を促進する。恒久弾性シリコンに重合する好適組成物は、線型水素化機能性ポリジメチルシロキサン及び線型ビニール機能性ポリジメチルシロキサンと、適当な触媒、特に塩化白金酸又はその他の白金化合物のような白金触媒と、の混合物から製造される。早期重合を避けるため、当該組成物は二つに分けた包装で保管し、使用直前にのみ結合する。通常は、触媒をビニール機能性ポリジメチルシロキサンと一緒に一つの包装にして保管し、水素化機能性ビニール機能性ポリジメチルシロキサンを、任意選択で通常の硬化剤と、要すれば触媒のないビニール機能性ポリジメチルシロキサンと一緒に第二包装にして保管する。両ポリジメチルシロキサンの使用量割合は、好ましい恒久弾性シリコン特性に左右される。
【０００９】
大気中湿気もまた触媒として使用することが出来るが、本発明にしたがう使用のための組成物は無菌でなければならないので、これは重要でない。
【００１０】
本発明の組成物の平均分子量（平均数）は１０００乃至１５００００の範囲で、好適には５００００乃至１０００００の範囲である。
【００１１】
本発明の組成物はまた、フライアッシュのように細分したシリカのような充填剤を含むことも出来る。このときこれら充填剤の粒径は１μｍ、例えば０．０１乃至０．５μｍの範囲内でなければならない。考え得るその他の充填剤は、脱水シリカゲル、珪藻土類、微粉状二酸化チタン、酸化アルミニウム又は酸化ジルコニウムなどである。最後に、生物適合性であって重合シリコンの特性、特にその恒久弾性及び圧縮抵抗力に影響しない限り、通常の処理物質を本発明の組成物集団に仕込むことが出来る。

Claims (5)

1. 大気温度で恒久弾性シリコンに自己重合する液状又はペースト状有機シロキサンベース組成物を使用して生成した椎間板移植片であって、前記組成物が水素化機能性シロキサンとビニール機能性シロキサンとに基づく触媒含有組成物である有機シロキサンベース自己重合化合物を使用した椎間板移植片。
2. 髄核移植片である請求項１に記載の椎間板移植片。
3. 前記組成物がポリジメチルシロキサンに基づく組成物である請求項１又は２に記載の椎間板移植片。
4. 前記組成物が白金触媒を含む組成物である請求項１乃至３のいずれか一つに記載の椎間板移植片。
5. 前記組成物が無菌形式組成物である請求項１乃至４のいずれか一つに記載の椎間板移植片。