JP4543611B2 - プリコート層の形成方法及び成膜方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ等を載置する載置台の表面にプリコート層を形成するプリコート層の形成方法及び成膜方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積回路を製造するためには、半導体ウエハ等のシリコン基板に対して、成膜とパターンエッチング等を繰り返し行なって、多数の所望の素子を形成するようになっている。
ところで、各素子間を接続する配線を形成する際、各素子に対する電気的コンタクトを図る配線層の下層には、基板のSiと電気的コンタクト抵抗を得るためのコンタクトメタル及び配線材料との相互拡散を抑制する目的で、或いは下地層との剥離を防止する目的でコンタクトバリヤメタルが用いられるが、このコンタクトバリヤメタルとしては、電気抵抗が低いことは勿論のこと、耐腐食性に優れた材料を用いなければならない。このような要請に対応できるバリヤメタルの材料として、特に、Ti膜とTiN膜の2層構造が多用される傾向にある。
【0003】
Ti膜のコンタクトメタルを形成するには、一般的にはTiCl4 ガスとH2 ガスとを用いてプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)により所望の厚さのTi膜を形成することが行われている。
上記したような成膜処理を行う場合、処理装置内における半導体ウエハを載置する載置台の表面には、このウエハの熱的面内均一性を保持し、且つ載置台等に含まれる金属元素に起因する金属汚染等を防止する目的で、TiN膜よりなるプリコート層が予め形成することが行われている。このプリコート層は、成膜終了後や成膜装置内の不要な膜をクリーニングする毎に除去されてしまうので、クリーニングした場合に、実際にウエハに成膜するに先立って前処理として載置台の表面にプリコート層を堆積させるようになっている。載置台上にこのようなプリコート層を形成する従来技術としては、例えば特開2001−144033号公報や特開平10−321558号公報に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−144033号公報(段落番号0013−0020、図1及び図2)。
【特許文献2】
特開平10−321558号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、半導体ウエハの表面に薄膜を堆積する場合において重要な点の1つは、製品ウエハの歩留を向上させるために如何にパーティクルの発生を抑制するか、という点である。しかるに、前述したように、載置台の表面にプリコート層を形成するに際して、CVDによる極めて薄いTiN膜の堆積処理と、その後に、安定化のためにこのTiN膜をプラズマ窒化するという窒化処理とを、この一連の処理を複数回、例えば10〜18回程度繰り返してプリコート層を形成する方法では、使用ガスの切り替えが頻繁に行われることになるため、シャワーヘッド内又は処理容器内に処理ガスが完全に置換除去されず、処理ガスが残ってしまう。その都度に、僅かに残留するガスと新たに導入される処理ガスとが瞬間的に混じり合って不安定な膜が形成され、この不安定な膜のはがれが発生しパーティクルが必要以上に生じてしまう、といった問題があった。
【0006】
この場合、CVDにより堆積するTiN膜形成工程と、また、このTiN膜をプラズマ窒化する工程の一連の処理を繰り返し行うため、全体のTiN膜の所望の厚さに形成するのに長時間を要し大幅なスループットの低下を招来していた。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、比較的短時間で、しかもパーティクルの発生を抑制することが可能なプリコート層の形成方法及び成膜方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、ウエハに成膜処理する前に、処理容器内のプリコート層の形成方法について鋭意研究した結果、プラズマ窒化と繰り返しのプリコート形成を用いることなく一回の熱CVD成膜工程によりTiN膜よりなる所望の厚さのプリコート層を形成することにより、基板上にTi膜を形成する際、パーティクルの発生を大幅に抑制することができる、という知見を得ることにより本発明に至ったものである。
【0008】
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内で載置台上に載置された被処理体の表面に金属含有膜を形成するようにした処理装置内の前記載置台の表面に熱CVDによりプリコート層を形成する方法において、前記処理容器内に金属含有ガスと還元ガスとからなる処理ガスを供給するにあたり、前記還元ガスの供給を開始することに先立って前記金属含有ガスの供給を開始し、前記還元ガスの供給を停止した後に前記金属含有ガスの供給を停止するようにしたことを特徴とするプリコート層の形成方法である。
このように、繰り返しプリコート層の形成とプラズマ窒化の安定化を用いることなく一回の熱CVD成膜工程によりTiN膜よりなる所望の厚さの安定なプリコート層を形成することにより、パーティクルの発生を大幅に抑制することができる。
【0009】
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記処理装置は、前記金属含有ガスと前記還元ガスとを別々に導入して前記各ガスを別々に前記処理容器内へ放出するために区画された複数の空間と、該空間に連通する放射孔を備えたシャワーヘッド部を有しており、前記シャワーヘッド部内における前記還元ガスを含むガスの圧力は、前記金属含有ガスを含むガスの圧力よりも高く設定されている。
このように、シャワーヘッド部内において還元ガスを含むガスの圧力を、金属含有ガスを含むガスの圧力よりも高く設定するようにしたので、金属含有ガスを含むガスが還元ガスを含むガス側に拡散することを抑制され、パーティクルの発生を更に抑制することができる。
【0010】
また例えば請求項3に規定するように、前記金属含有ガスはTiCl4 ガスであり、前記還元ガスはNH3 ガスであり、前記プリコート層はTiN膜よりなる。
また、例えば請求項4に規定するように、前記還元ガス中にはH2 ガスが混入される。このようにH2 ガスを添加することにより、水素の還元力によりTiCl4 が還元され安定な膜が形成されるので、パーティクルの発生を一層抑制することが可能となる。更に、膜質も良好となる。
本発明の関連技術は、真空引き可能になされた処理容器内で載置台上に載置された被処理体の表面に金属含有膜を形成するようにした処理装置内の前記載置台の表面に熱CVDによりプリコート層を形成する方法において、前記処理容器内に金属含有ガスと還元ガスとからなる処理ガスを供給するにあたり、前記金属含有ガスはTiCl4 ガスであり、前記還元ガスはNH3 ガスであり、前記還元ガス中にH2 ガスを添加するようにしたことを特徴とするプリコート層の形成方法である。
この場合、例えば前記処理装置は、前記金属含有ガスと前記還元ガスとを別々に導入して前記各ガスを別々に前記処理容器内へ放出するために区画された複数の空間と、該空間に連通する放射孔を備えたシャワーヘッド部を有しており、前記シャワーヘッド部内における前記還元ガスを含むガスの圧力は、前記金属含有ガスを含むガスの圧力よりも高く設定されている。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のプリコート層の形成方法及び成膜方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明方法を実施するための処理装置を示す構成図、図2はシャワーヘッド部の一部を示す部分拡大断面図である。本実施例では、金属含有窒化膜を形成するために、金属含有ガスとしてTiCl4 ガスを用い、還元ガスとしてNH3 ガスを用いてTiN膜を堆積させる場合を例にとって説明する。
【0012】
図示するように、処理装置2は、例えばAl、又はAl合金材料等により円筒体状に成形された処理容器4を有している。この処理容器4の底部6は中心側が凹部状に形成され、この凹部の側壁には、容器内の雰囲気を排出するための排気口8が設けられており、この排気口8には真空引きポンプ10を介設した排気系12が接続されて、処理容器4内を底部周辺部から均一に真空引きできるようになっている。
【0013】
この処理容器4内には、底部6より起立した支柱14に支持される円板状の載置台16が設けられ、この円板状の載置台16上に被処理体として例えば半導体ウエハWを載置し得るようになっている。具体的には、この載置台16は、例えばAlNなどのセラミックよりなり、この内部には加熱手段として抵抗加熱ヒータ18が埋め込まれている。そして、この抵抗加熱ヒータ18は、支柱14内を通る配線20を介して電源22に接続される。尚、この抵抗加熱ヒータ18は図示されないが平面内を複数の加熱ゾーンに分割し、この加熱ゾーン毎に別個独立して制御できる構造となっている。また、この載置台16には、ピン孔21が形成され、これに昇降可能になされたリフトピン23が設けられてウエハWの移載時にこれを昇降できるようになっている。このリフトピン23の昇降は容器底部6にベローズ25を介して設けたアクチュエータ27により行われる。
【0014】
また、この載置台16の上面の近傍には、例えばメッシュ状の下部電極24が埋め込まれており、この下部電極24は配線26及び処理容器4を介して接地されている。そして、この載置台16の表面に、本発明の特徴とするプリコート層28が形成されている。このプリコート層28は、熱的安定性を向上させるためにはその上面、側面及び下面の全ての面に形成するのがよいが、裏面側への成膜が困難な成膜プロセスの場合には、上面と側面のみに形成してもよいし、更に上面のみに形成するようにしてもよい。
ここでこのプリコート層28は、この装置で半導体ウエハWに対して成膜する膜種と同種の膜種、すなわちここでは1回の熱CVD成膜工程で堆積させたTiN膜よりなり、その厚さは例えば0.4μm以上の厚さに設定されている。
【0015】
一方、処理容器4の天井部には、必要な処理ガスを導入するガス導入手段としてシャワーヘッド部30が、絶縁部材32を介して容器側壁に対して気密に取り付けられている。このシャワーヘッド部30は、上記載置台16の上面の略全面を覆うように対向させて設けられており、載置台16との間に処理空間Sを形成している。このシャワーヘッド部30は、処理空間Sに各種のガスをシャワー状に導入するものであり、シャワーヘッド部30の下面の噴射面34にはガスを噴射するための多数の噴射孔36A、36Bが形成される。尚、このシャワーヘッド部30の構成は、内部で混合するプリミックス構造や、ガス種によってはシャワーヘッド部30内では別々にガスを通して処理空間Sにて初めて混合させるポストミックス構造のものを使用できる。そして、ここでは以下に説明するようにポストミックス構造が採用されている。尚、シャワーヘッド部30にはヒータが設けられており、このシャワーヘッド部30を、例えば200〜600℃、好ましくは400〜600℃の温度に加熱するようになっている。
【0016】
そして、このシャワーヘッド部30内は2つの空間30A、30Bに分離区画されている。また上記空間30A、30Bはそれぞれ上記各噴射孔36A、36Bに連通される。このシャワーヘッド部30の上部には、ヘッド内の各空間30A、30Bにそれぞれのガスを導入するガス導入ポート38A、38Bが設けられており、このガス導入ポート38A、38Bにはガスを流す供給通路40A、40Bがそれぞれ接続されている。この供給通路40A、40Bには、それぞれ複数の分岐管42A、42Bが接続される。
【0017】
一方の分岐管42Bには、処理ガスとしてNH3 ガスを貯留するNH3 ガス源44、H2 ガスを貯留するH2 ガス源46、不活性ガスとして例えばN2 ガスを貯留するN2 ガス源48がそれぞれ接続され、他方の各分岐管42Aには、不活性ガスとして例えばArガスを貯留するArガス源50、成膜用の例えばTiCl4 ガスを貯留するTiCl4 ガス源52、クリーニングガスとしてのClF3 ガスを貯留するClF3 ガス源51がそれぞれ接続されている。そして、各ガスの流量は、それぞれの分岐管42A、42Bに介設した流量制御器、例えばマスフローコントローラ54により制御される。また各分岐管42A、42Bに介設したバルブ55の開閉で各ガスの導入が行われる。図示例では、成膜時の各ガスを1つの供給通路40A、40B内を混合状態で供給する場合を示しているが、これに限定されず、一部のガス或いは全てのガスを個別に異なる通路内に供給し、シャワーヘッド部30内、或いは処理空間Sにて混合させる、いわゆるポストミックスのガス搬送形態を用いるようにしてもよい。
【0018】
実際のシャワーヘッド部30は、例えばアルミニウム板等を削り出すことによって形成した複数のブロック体、例えば図2に示すようにブロック体Aとブロック体B等を接合されて、図示しないボルト等で取り付けられているが、面接触のために両ブロック体A、Bの接合部の僅かな隙間54を介して一方から他方へガスが僅かに拡散する場合があるが、後述するように本発明ではこの場合にもパーティクルをの発生を抑制できるようになっている。
【0019】
また、このシャワーヘッド部30にはプラズマ発生手段として例えば450kHzのプラズマ用高周波電源56が配線58を介して接続されており、上部電極としても機能するようになっている。そして、この配線58の途中には、インピーダンス整合を行うマッチング回路60及び高周波を遮断するスイッチ62が順次介設されている。この場合、高周波を遮断してプラズマを立てることなく処理を行えば熱CVD装置として機能するようになっている。尚、処理容器4の側壁にはウエハを搬出入する際に開閉されるゲートバルブ64が設けられる。また、載置台16の下方には、ウエハを持ち上げるリフトピンが設けられ、載置台16の外周には、ガイドリング又はフォーカスリングが設けられるが、ここでは図示省略している。更には、ここでは各ガスの供給系は主要な部分を例示的に示しただけであり、例えばArガスの供給系は複数系統設けられて、これを独立して処理容器内へ供給でき、また、TiCl4 ガスを含む各種のガスは、処理容器4を経由することなくこれらのガスを直接的に排気系12へ捨てることができるエバックライン(図示せず)等が設けられる。
【0020】
次に、以上のように構成された処理装置を用いて行なわれるプリコート層28の形成方法について図3も参照して説明する。図3はプリコート層の各ステップを説明するためのタイムチャート、図4はプリコート用熱CVD成膜工程における主要なガスの処理容器内への供給のタイミング(態様1〜4)の主要部を示すタイミングチャートである。まず、図3(A)を参照して説明する。
まず、処理容器4内の載置台16上には、半導体ウエハWを何ら載置していない状態とし、処理容器4内を密閉する。この処理容器4内は、例えばメンテナンスされた状態(パーツの交換等で)又は、前工程において、クリーニング処理されて不要な膜が全て除去されており、従って、載置台16の表面には何らプリコート層がついておらず、載置台16の素材が剥き出し状態となっている。
【0021】
そして、次に本発明のプリコート層の形成方法を実施する。すなわち、本発明では1回のプリコート用熱CVD成膜工程で所望の厚さのTiN膜を形成してプリコート層28を得るようになっている。
具体的には、ここではプリコート層の形成方法について4つの態様について説明する。
【0022】
<態様1:1回のプリコート用熱CVDで形成(図4(A)参照)>
まず、1回のプリコート用熱CVDでプリコート層を形成する場合を説明する。
ステップ1:まず処理装置のヒートアップを開始する。
ステップ2:処理容器4内の真空引きを開始する。
ステップ3:処理容器4内を真空引きしつつArガスとN2 ガスの供給を開始して処理容器4内のパージを行う。この時のArガスの流量は10〜5000sccmの範囲、N2 ガスの流量は10〜5000sccmの範囲である。そして、上記ステップ2とステップ3とを例えば72回繰り返す。
ステップ4:抵抗加熱ヒータ18により、載置台16を所定のプロセス温度、例えば500〜700℃まで昇温する。
ステップ5:各流量制御器内に残留しているガスをエバックライン(図示せず)を介して処理容器4内を経ることなく排気系12へ直接的に流して捨てる。
ステップ6:処理容器4内の真空引きを継続した状態で上記ArガスとN2 ガスの供給を停止して処理容器4内を真空引きする。
以上のステップ1〜6により、処理容器4内の成膜環境を最適に整える操作を完了する。
【0023】
ステップ7:次に処理容器4内へ、NH3 ガスと、N2 ガスと、Arガスとをそれぞれ供給してこの中を所定の圧力、例えば40〜666.5Pa程度に維持し、各ガスの供給量を安定化させる。この時のNH3 ガスの供給量は10〜5000sccmの範囲、N2 ガスの供給量は10〜5000sccmの範囲、Arガスの供給量は10〜5000sccmの範囲である。
ステップ8:次に上記NH3 ガスとN2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給しつつ、更にTiCl4 ガスの供給を開始する。この場合、TiCl4 ガスは処理容器4内へは導入しないでエバックラインを介して排気系12へ直接的に流して廃棄し、これによりTiCl4 ガスの流量(流量制御器の動作)を安定化させる。この処理は例えば10秒程度行う。
【0024】
ステップ9:次に上記NH3 ガス、N2 ガス及びArガスを処理容器4内へ供給しつつ、バルブを切り替えてTiCl4 ガスを処理容器4内へ供給して、1回のプリコート形成処理を行ってプリコート層を形成する。この時の処理時間は、例えばプリコート層の膜厚が0.5μm程度形成できる時間、例えば2000秒程度に設定する。
ステップ10:次に、TiCl4 ガスとNH3 ガスとの供給を停止し、ArガスとN2 ガスは流し続けて真空引きを継続して行い、処理容器4内の残留ガスを所定の時間、例えば10秒間程度排除する。
ステップ11:次にTiCl4 ガスとNH3 ガスとの供給を停止することにより全てのガスの供給を停止し、真空引きを継続して行うことにより、処理容器4内の残留ガスを排除する。このようにしてプリコート工程を終了し、安定なプリコート膜が形成される。
【0025】
<態様2:TiCl4 ガスの先出し(図4(B)参照)>
次にTiCl4 ガスを先出してプリコート層を形成する場合を説明する。
ステップ1〜ステップ6までの処理容器4内の成膜環境を最適に整える操作は、態様1の場合と同じである。
ステップ7:次にN2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給し、この処理容器4内を所定の圧力、例えば40〜666.5Pa程度に安定化させる。これと同時に、TiCl4 ガスを流し、このガスを処理容器4内へ供給しないでエバックラインを介して排気系12へ直接的に廃棄してこのガス流量を安定化させる。
この時、N2 ガスの流量は10〜5000sccmの範囲、Arガスの流量は10〜5000sccmの範囲、TiCl4 ガスの流量は2〜500sccmの範囲である。
ステップ8:次に、N2 ガスとArガスとを処理容器4内へ継続して供給しつつ、バルブを切り替えてTiCl4 ガスも処理容器4内へ供給してプリフロー(先出し)を行う。この先出しは所定の時間T1だけ、例えば10秒間だけ行う。
このTiCl4 ガスの先出しにより、処理容器4内をTiCl4 雰囲気にしてこのガスの分圧を上げてパーティクルの発生を抑制する。
【0026】
ステップ9:次に、N2 ガスとArガスとTiCl4 ガスを処理容器4内へ供給しつつ、NH3 ガスを処理容器4内へ供給し、1回のプリコート形成処理を行ってプリコート層を形成する。この処理時間は、例えばプリコート層の膜厚が0.5μm程度形成できる時間、例えば2000秒程度に設定する。この時のNH3 ガスの流量は、例えば10〜1000sccmの範囲である。
ステップ10:次に、NH3 ガスの供給を停止し、TiCl4 ガスとArガスとN2 ガスの処理容器4内への供給を継続し、TiCl4 ガスのアフタフローを行って処理容器4内をTiCl4 ガス雰囲気にする。この処理時間は例えば20秒間程度である。
ステップ11:次にArガスとN2 ガスの供給は継続して、TiCl4 ガスの供給を停止し、処理容器4内の残留ガスを排気する。この処理時間は例えば20秒間程度である。
ステップ12:次に、ArガスとN2 ガスの供給を停止することにより全てのガスの供給を停止し、真空引きを継続して行うことにより、処理容器4内の残留ガスを排除する。このようにしてプリコート工程を終了し、安定なプリコート膜が形成される。
【0027】
<態様3:H2 ガスの添加(図4(C)参照)>
次にH2 ガスを添加してプリコート層を形成する場合を説明する。
ステップ1〜ステップ6までの処理容器4内の成膜環境を最適に整える操作は、態様1の場合と同じである。
ステップ7:次に、NH3 ガスとH2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給し、この処理容器4内を所定の圧力、例えば40〜666.5Pa程度に安定化させる。
ステップ8:次に、NH3 ガスとH2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給しつつ、TiCl4 ガスを流し、このガスを処理容器4内へ供給しないでエバックラインを介して排気系12へ廃棄してこのガス流量を安定化させる。この時のH2 ガスの流量は10〜5000sccmの範囲であり、他のガスの各流量は態様2のステップ7と同じである。
【0028】
ステップ9:次にNH3 ガスとH2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給しつつ、バルブを切り替えてTiCl4 ガスも処理容器4内に供給して、1回のプリコート形成処理を行ってプリコート層を形成する。この処理時間は、例えばプリコート層の膜厚が0.5μm程度形成できる時間、例えば2000秒程度に設定する。
ステップ10:次に、TiCl4 ガスとNH3 ガスの供給を停止し、H2 ガスとArガスとの処理容器4内への供給を継続し、処理容器4内の残留ガスを排気する。この処理時間は例えば20秒間程度である。
ステップ11:次に、H2 ガスとArガスとの供給を停止することにより全てのガスの供給を停止し、真空引きを継続して行うことにより、処理容器4内の残留ガスを排除する。このようにしてプリコート工程を終了し、安定なプリコート膜が形成される。
【0029】
<態様4:TiCl4 ガスの先出しとH2 ガスの添加(図4(D)参照)>
次にTiCl4 ガスを先出しし、且つH2 ガスを添加してプリコート層を形成する場合を説明する。
ステップ1〜ステップ6までの処理容器4内の成膜環境を最適に整える操作は、態様1の場合と同じである。
ステップ7:次にH2 ガスとArガスとを処理容器4内へ供給し、この処理容器4内を所定の圧力、例えば40〜666.5Pa程度に安定化させる。これと同時に、TiCl4 ガスを流し、このガスを処理容器4内へ供給しないでエバックラインを介して排気系12へ直接的に廃棄してこのガス流量を安定化させる。
この時、H2 ガスの流量は10〜5000sccmの範囲、Arガスの流量は10〜5000sccmの範囲、TiCl4 ガスの流量は2〜500sccmの範囲である。
ステップ8:次に、H2 ガスとArガスとを処理容器4内へ継続して供給しつつ、バルブを切り替えてTiCl4 ガスも処理容器4内へ供給してプリフロー(先出し)を行う。この先出しは所定の時間T1だけ、例えば10秒間だけ行う。
このTiCl4 ガスの先出しにより、処理容器4内をTiCl4 雰囲気にしてこのガスの分圧を上げてパーティクルの発生を抑制する。
【0030】
ステップ9:次に、H2 ガスとArガスとTiCl4 ガスを処理容器4内へ供給しつつ、NH3 ガスを処理容器4内へ供給し、1回のプリコート形成処理を行ってプリコート層を形成する。この処理時間は、例えばプリコート層の膜厚が0.5μm程度形成できる時間、例えば2000秒程度に設定する。この時のNH3 ガスの流量は、例えば10〜1000sccmの範囲である。
ステップ10:次に、NH3 ガスの供給を停止し、TiCl4 ガスとArガスとH2 ガスの処理容器4内への供給を継続し、TiCl4 ガスのアフタフローを行って処理容器4内をTiCl4 ガス雰囲気にする。これにより、急激な反応が抑制される。この処理時間は例えば20秒間程度である。
ステップ11:次にArガスとH2 ガスの供給は継続して、TiCl4 ガスの供給を停止し、処理容器4内の残留ガスを排気する。この処理時間は例えば20秒間程度である。
ステップ12:次に、ArガスとH2 ガスの供給を停止することにより全てのガスの供給を停止し、真空引きを継続して行うことにより、処理容器4内の残留ガスを排除する。このようにしてプリコート工程を終了し、安定なプリコート膜が形成される。
【0031】
これにより、プラズマを用いない熱CVDにより載置台16の表面にプリコート層28を形成するためのTiN膜が安定に堆積することになる。尚、この際、スイッチ62はOFF状態となって、高周波電圧はシャワーヘッド部30に印加されていないのは勿論である。
【0032】
このようにして、熱CVDによるTiN膜の成膜工程を所定の時間だけ行って所定の膜厚、例えば0.4μm以上(上記各態様1〜4の場合は0.5μm)のプリコート層28を得たならば、上述のようにしてプリコート用熱CVD成膜工程を終了する。この成膜工程の終了に際しては、先にNH3 ガスの流れを止めてこのガスの供給を停止した後、所定の時間T2だけ経過した後に、TiCl4 ガスの供給を停止するようにしてもよい(態様2及び4)。ここで所定の時間T1、T2はそれぞれ1秒程度及び30秒程度、好ましくは10〜20secである。
このようにして、プリコート工程が終了したならば、次に製品ウエハに対して、Ti膜の成膜処理を1枚毎に実行して行くことになる。この製品ウエハに対するTi膜の成膜は、周知のように例えばTiCl4 ガスを流しつつプラズマCVDを用いて所望の厚さのTi膜を形成する成膜ステップと、プラズマを用いて、或いは用いないで上記Ti膜をNH3 ガスとH2 ガスの存在下で窒化するステップによりTi膜が実現される。
【0033】
次に、上述したように形成したプリコート層28を形成して、この処理装置2内で50枚の製品ウエハを実際に処理した時のパーティクル発生状況を評価したので、その評価結果について説明する。また、比較のために従来のプリコート層についても併せて評価を行った。
図5は製品ウエハの処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
図5中において直線Xは従来方法によるプリコート層を示し、ここではプラズマCVDによるTi膜の成膜ステップと、このTi膜を窒化してTiN膜とする窒化ステップとよりなる1サイクルの処理を例えば18サイクル行うことにより、0.5μm程度の厚さのプリコート層とした。直線Aは先の態様1のガスの供給方法で形成したプリコート層を示し、直線Bは先の態様2のガスの供給方法で形成したプリコート層を示し、直線Cは先の態様3のガスの供給方法で形成したプリコート層を示し、直線Dは先の態様4のガス供給方法で形成したプリコート層を示す。尚、パーティクルは0.2μm以上のサイズのものを検出した。
【0034】
直線Xで示す従来方法によるプリコート層の場合には、ウエハ枚数が25枚程度まではパーティクル数は20程度であり、ウエハ枚数が50枚の時にはじめてパーティクル数が数個まで低下しており、あまり好ましくない結果となっている。
これに対して、直線A〜Dに示す本願発明の場合には、態様1の初回部分を除き、ウエハ枚数が50枚までの全期間においてパーティクル数は10以下となっており、良好な結果が得られることが判明した。特に、TiCl4 ガスの先出しを行った直線B及びDに示す場合には、ウエハ枚数が50枚までの全範囲に亘ってパーティクル数は略数個程度であり、特に良好な結果が得られることが判明した。
また従来のプリコート層の形成方法では、これを形成するために43分程度の時間を要したが、本発明方法のプリコート層の形成方法では、33分程度の時間に短縮化することができる。ただし、この時間は載置台上の膜厚のみを考えた場合、プロセス時に同じ状態をつくるにはこの数倍の時間が必要と考えられる。
【0035】
次に、本発明方法によりプリコート層を形成した場合にパーティクルの発生を抑制できる点について説明する。まず、図6はNH3 の流量を一定にした時のTiCl4 ガスの流量とTiN膜の成膜レートとの一般的な関係を示すグラフである。このグラフによれば、NH3 ガス中に僅かにTiCl4 ガスを供給すると、成膜レートは急激に増加し、この急激な増加傾向は、TiCl4 ガスの流量がある程度になるまで続き、そして、成膜レートが点P1においてピークになると、その後は、TiCl4 ガスが増加するに従って成膜レートは急激に低下し、その後は成膜レートは安定して少しずつ低下することになる。一般的なTiN膜の成膜時のプロセス条件には、膜厚の制御性を考慮して成膜レートが安定する領域、例えば領域A1を使用することになる。
【0036】
しかしながら、成膜ガスのTiCl4 ガスとプラズマ窒化のNH3 ガスの供給の切り替えを多数回に亘って行うような場合、特に従来方法によるプリコート層の形成方法では、TiCl4 ガスの供給及びその停止(プラズマCVDによるTi膜の形成時)と、NH3 ガスの供給及びその停止(Ti膜の窒化時)とを交互に繰り返し行うことから、その都度、処理容器4内に僅かに直前の処理ガスが残留することから、特にTiCl4 ガスの供給の開始時には容器内に残留するNH3 ガス中に微量のTiCl4 ガスを供給するという領域A2の条件が発生してしまう。
この領域A2で発生した膜は、パーティクルとなって処理空間S中に浮遊する傾向にある。従って、図5中に示す直線A〜Dのように本発明方法のようにTiCl4 ガスとNH3 ガスとの供給の切り替えがない場合には、前述したように大幅にパーティクルの発生を抑制することが可能になる。
【0037】
特に図4に示すように、NH3 ガスの供給の開始よりも前にTiCl4 ガスの供給を開始し、NH3 ガスの供給の停止よりも後にTiCl4 ガスの供給の停止を行うことにより(図5中の直線B参照)、多量に流れているTiCl4 ガス中にNH3 ガスが流れ込むことになるので、図6中の領域A2におけるパーティクルが発生するプロセス条件が抑制され、安定なTiN膜が形成されるため、ウエハへのTi膜の成膜を開始しても、パーティクルの発生を一層阻止することが可能となる。
また、上記両ガスの供給を同時に開始したり、或いは同時に停止したりする場合にも、僅かなタイミングの誤差で領域A2のプロセス条件が発生する場合が生ずるので、図4に示すような形態で両ガスを供給するのが好ましい。
【0038】
また前述したようにシャワーヘッド部30内には図2に示したような僅かな隙間45等が存在して、いずれか一方の空間から他方の空間へ僅かに成膜ガスが漏れ出す場合もあり、この場合にも上記した図6中の領域A2のプロセス条件が発生しないように、好ましいのは、NH3 ガスを流す空間30Bの圧力を、TiCl4 ガスを流す空間30A内の圧力よりも、例えば13330Pa程度高く設定しておくのがよい。これにより、上記した領域A2におけるプロセス条件の発生は阻止され、万一、NH3 ガス側からTiCl4 ガス側の中への侵入(漏出)が発生しても、TiCl4 ガスからNH3 ガス中への侵入(漏出)の発生は抑制できるので、パーティクルの発生を抑制することが可能となる。
【0039】
また更に、圧力を高くするNH3 ガス側の中にH2 ガスを添加しておくことにより(態様3及び4)、万一、NH3 ガスがTiCl4 ガス側へ漏洩する場合に、NH3 ガスよりも遥かに分子が小さなH2 ガスが優先的に拡散することから、その分だけNH3 ガスの拡散漏洩が抑制されて、パーティクルの発生を更に抑制することが可能となる。
また上記製品ウエハについて、連続処理した結果、本発明方法の場合には態様1〜4に、膜厚及び比抵抗の面内及び面間の均一性は良好であり、良好なプロセスの再現性を得られることが判明した。
【0040】
尚、上記実施例では、プリコート用熱CVD成膜工程として、熱CVDによるTiN膜の形成のみを行ったが、これに限定されず、図3(B)に示すようにTiN膜の表面を安定化させるために、プラズマを用いた、或いはプラズマを用いない窒化処理を行うようにしてもよい。更には、図3(C)に示すように、熱CVDによりTiN膜を形成した後に、プラズマCVDによるTi膜の形成ステップと、このTi膜を窒化する窒化ステップとをそれぞれ1回行ってプリコート層の表面を安定化させるようにしてもよい。
尚、本実施例にて説明したガス流量や圧力や温度等のプロセス条件は、単に一例を示したに過ぎず、これに限定されないのは勿論である。また同様に、処理装置の構造も一例を示したに過ぎず、例えばプラズマ用高周波電源56の周波数は450kHzではなく他の周波数を用いてもよく、また、プラズマ発生手段としてマイクロ波を用いてもよい。
【0041】
またここではTiN膜を成膜する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、タングステン(W)等の金属膜、或いはタングステンシリサイド(WSix)やタンタルオキサイド(TaOx)等の金属含有窒化膜を成膜する場合にも、本発明を適用できるのは勿論である。
更には半導体ウエハのサイズも6インチ(150mm)、8インチ(200mm)、12インチ(300mm)のいずれも用いることができる。
また、加熱手段として、抵抗発熱ヒータに限らず、ランプ加熱を用いた装置にも本発明を適用できる。更に、被処理体としては、半導体ウエハに限定されず、ガラス基板、LCD基板等にも適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のプリコート層の形成方法及び成膜方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、プラズマを用いることなく一回の熱CVD成膜工程によりTiN膜よりなる所望の厚さのプリコート層を形成することにより、パーティクルの発生を大幅に抑制することができる。
また、上記両ガスの供給を同時に開始したり、或いは同時に停止したりする場合がなくなるので、パーティクルの発生するプロセス条件が抑制され、この結果、パーティクルの発生を一層阻止することができる。
特に請求項2に係る発明によれば、シャワーヘッド部内において還元ガスを含むガスの圧力を、金属含有ガスを含むガスの圧力よりも高く設定するようにしたので、金属含有ガスを含むガスが還元ガスを含むガス側に漏れ出ることを防止でき、パーティクルの発生を更に抑制することができる。
特に、請求項3に係る発明によれば、H2 ガスを添加することにより、パーティクルの発生を一層抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための処理装置を示す構成図である。
【図2】シャワーヘッド部の一部を示す部分拡大断面図である。
【図3】プリコート層の各ステップを説明するためのタイムチャートである。
【図4】プリコート用熱CVD成膜工程における主要なガスの処理容器内への供給のタイミング(態様1〜4)の主要部を示すタイミングチャートである。
【図5】製品ウエハの処理枚数とパーティクル数との関係を示すグラフである。
【図6】NH3 の流量を一定にした時のTiCl4 ガスの流量とTiN膜の成膜レートとの一般的な関係を示すグラフである。
【符号の説明】
2 処理装置
4 処理容器
16 載置台
18 抵抗加熱ヒータ(加熱手段)
28 プリコート層
30 シャワーヘッド部(ガス導入手段)
56 プラズマ用高周波電源(プラズマ発生手段)
W 半導体ウエハ(被処理体)
Claims (5)
- 真空引き可能になされた処理容器内で載置台上に載置された被処理体の表面に金属含有膜を形成するようにした処理装置内の前記載置台の表面に熱CVDによりプリコート層を形成する方法において、
前記処理容器内に金属含有ガスと還元ガスとからなる処理ガスを供給するにあたり、前記還元ガスの供給を開始することに先立って前記金属含有ガスの供給を開始し、前記還元ガスの供給を停止した後に前記金属含有ガスの供給を停止するようにしたことを特徴とするプリコート層の形成方法。 - 前記処理装置は、前記金属含有ガスと前記還元ガスとを別々に導入して前記各ガスを別々に前記処理容器内へ放出するために区画された複数の空間と、該空間に連通する放射孔を備えたシャワーヘッド部を有しており、前記シャワーヘッド部内における前記還元ガスを含むガスの圧力は、前記金属含有ガスを含むガスの圧力よりも高く設定されていることを特徴とする請求項1記載のプリコート層の形成方法。
- 前記金属含有ガスはTiCl4 ガスであり、前記還元ガスはNH3 ガスであり、前記プリコート層はTiN膜よりなることを特徴とする請求項1又は2記載のプリコート層の形成方法。
- 前記還元ガス中にはH2 ガスが混入されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のプリコート層の形成方法。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載されたプリコート層の形成方法により載置台上の表面にプリコート層を形成する工程と、
その後に前記載置台上に被処理体を載置して、該被処理体の表面に金属含有膜を形成する工程と、
を備えたことを特徴とする成膜方法。
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