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JP4329865B1 - 無機粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製紙スラッジを製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料として大量に再利用でき、製紙用填料および塗工用顔料として利用した際にスケールトラブル等がなく、良好な分散性を有する無機粒子の製造方法を提供することにある。
【解決手段】製紙スラッジを原料とした無機粒子の製造方法であって、該製紙スラッジを熱処理する熱処理工程と熱処理した焼成物を水と混合する焼成物懸濁液化工程と、該焼成物懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを接触させる炭酸化工程を備え、該焼成物懸濁液が、液温度として70℃以下であり、かつ炭酸化工程の二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスと接触するまでの時間を9時間以下とすることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製紙スラッジの再利用に関し、塗工用顔料や製紙用填料として適性を有する無機粒子の製造方法に関する。
近年、環境保全の観点から生産に伴う活動からの産業廃棄物削減を余儀なくされている。製紙業界においても、製紙スラッジの処理が問題となってきている。製紙スラッジとは、製紙材料であるパルプなどの繊維分、澱粉や合成接着剤を主とする有機物や白色顔料を主とする無機物で利用されずに廃水中に混ざって処理される固形原料、さらにはパルプ化工程で洗い出されたリグニン、微細繊維、あるいは古紙由来の製紙用填料、それに付着した印刷インキ、および生物廃水処理工程から生じる余剰汚泥からなる。その生物廃水処理工程で生じる余剰汚泥以外の主な製紙スラッジの発生源は、(1)抄紙時に抄紙用ワイヤーを通過して流出したもの、(2)古紙処理工程での混入異物除去、脱墨処理や洗浄過程で発生したもの、および(3)パルプ化工程での洗浄過程で発生したものであり、これらの固形物を含む廃水は、沈殿あるいは浮上などを利用した固形分分離装置によりその固形分が分離、回収され、その後、必要に応じて活性スラッジ処理等の生物処理が施された後、放流される。このような処理によって分離、回収された固形分や廃水の最終生物処理によって発生する余剰汚泥が製紙スラッジとなる。
さらに、近年、古紙利用率の高まりとともに、古紙の脱墨工程由来の製紙スラッジが多くなってきている。その中で、新聞古紙や上質古紙は古紙中に含まれる無機物(無機顔料)が少ないので製紙スラッジ発生量が比較的少なく、その再生紙への利用率が高いのに対し、雑誌古紙は古紙に含まれる無機物が多く、その結果製紙スラッジ発生量が多くなる。このことは、新聞古紙や上質古紙に比べて雑誌古紙の利用率が低いことの一因となっている。今後、古紙利用を一層促進するためには、雑誌古紙の利用率向上が必要となるが、反面その利用率が高まると、製紙スラッジの発生量が増えるという新たな問題が発生する。
製紙工場から発生した製紙スラッジは、従来は、産業廃棄物として、そのまま埋め立て処分されることが多かったのに対し、最近は流動床炉やストーカ炉等の焼却炉でスラッジ中の有機物を燃焼させてエネルギーとして回収すると同時に、製紙スラッジの減容化が図られている。しかし、製紙スラッジ中には無機物も含まれるため、燃焼後には多量の残渣(焼却灰)が残るという問題がある。現在、焼却灰の一部はセメントに混合されたり、製鉄の酸化防止剤、土壌改良剤等にも使用されたりしているが、大半は産業廃棄物として埋め立て処分されている。今後、古紙の再利用が進むにつれて、極めて製紙スラッジが大量になり、廃棄物処理が次第に困難になる。また、年々高騰している処理費用が紙パルプ工業の収益を圧迫することが予想される。このため、古紙を再生している製紙業界においては、製紙スラッジの問題は極めて深刻で、その対策の一環としてその有効活用が強く求められている。このため、製紙スラッジ焼却灰(無機物)を製紙用材料である製紙用填料や塗工用顔料として、再利用することが出来れば、産業廃棄物の削減のみならず、古紙利用率の向上にも結びつけることができ、環境対策上の問題も解消することができる。しかしながら、これらの焼却灰は白色度が低く、硬度が高いため製紙用材料としてそのまま使用できないといった問題がある。
上記のような問題を解決するために、製紙スラッジの焼成、燃焼条件が多数検討されている。例えば、製紙スラッジの燃焼処理前に炭化処理を行なう方法として、製紙スラッジを350〜700℃程度で炭化した後、650〜800℃で燃焼処理する方法(特許文献1)、製紙スラッジを低酸素条件下(好ましくは無酸素条件下)600℃未満の温度で炭化処理した後、600〜800℃で燃焼処理する方法(特許文献2)、製紙スラッジを400〜700℃で有機分を炭化し、炭化物を粉砕した後、650〜700℃で有機分を燃焼させる方法(特許文献3)、製紙スラッジを貧酸素雰囲気下、400〜700℃で炭化した後、650℃以上で2段階の燃焼処理を行う方法(特許文献4)などが提案されている。
一方、製紙スラッジを炭化処理せずに特定条件での燃焼処理を行なう方法として、製紙スラッジの中の脱墨スラッジ分を1次燃焼工程がサイクロン炉を用いて700℃以下、燃焼時間10秒以内で燃焼処理し、次いで2次燃焼工程が700℃以下で燃焼処理する方法(特許文献5)、製紙スラッジを800℃で焼却した焼却灰を、500〜1100℃で再度燃焼する方法(特許文献6)などが提案されている。
また、以上の方法はすべて製紙スラッジを乾式酸化(所謂、燃焼)するものであるが、乾式酸化と湿式酸化を組み合せてスラッジ焼却灰とする方法として、製紙スラッジを200〜800℃で湿式酸化処理した後に800〜1100℃乾式酸化処理したり、逆に乾式酸化処理後に湿式酸化処理したりする方法(特許文献7)も提案されている。
しかしながら、これらの方法は、白色度向上のため、550℃以上で熱処理させているため、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムの分解を避けることができず、焼成物を水と混合し、スラリー化した際に遊離カルシウムイオンが存在することになる。これらの焼成物をそのまま製紙用填料として利用すると、遊離カルシウムイオンの影響により、内添サイズ剤の効果を妨げたり、抄紙工程内での硫酸バンドとの反応により硫酸カルシウムを生じ、スケールトラブルを引き起こしたり、填料歩留まりの低下を招いたりして、操業性や生産性に影響を及ぼす可能性がある。また、塗工用顔料として利用すると、遊離カルシウムイオンの影響により、塗被液の粘度上昇や分散不良などの問題を生じて、高濃度の塗被液を調製することができず、乾燥不良を招き、操業性や生産性に影響を及ぼす可能性がある。
遊離カルシウムイオンの影響を抑制する方法として、焼成物と水を懸濁した懸濁液に二酸化炭素を吹き込むこと(炭酸化)により、炭酸カルシウムに戻すといった方法(特許文献8、9、10、11、12)が提案されている。しかしながら、焼成物懸濁液に二酸化炭素を吹き込み、pHを低下させるだけでは塗工用顔料として利用する場合、高濃度で分散できないといったことが知見された。
特開2005−161239号公報 特許第3563707号 特開2001−262002号公報 特開2004−262701号公報 特許第3831719号 特開平11−310732号公報 特開2001- 026727号公報 特開平10−29818号公報 特表平10−505055号公報 特開2002−356629号公報 特開2004−176208号公報 特開2007−209887号公報
本発明は、製紙スラッジを製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料として大量に再利用でき、製紙用填料および塗工用顔料として利用した際にスケールトラブル等がなく、良好な分散性を有する無機粒子の製造方法を提供することにある。
本発明は、製紙スラッジを原料とした無機粒子の製造方法であって、該製紙スラッジを熱処理する熱処理工程と熱処理した焼成物を水と混合して焼成物懸濁液を得る焼成物懸濁液化工程と、該焼成物懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを接触させる炭酸化工程を備え、該焼成物懸濁液液温度70℃以下であり、炭酸化工程の二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスと接触するまでの時間9時間以下であり、かつ該焼成物懸濁液の導電率を測定しつつ炭酸化工程を行い、導電率が一旦1.0ms/cm未満まで下がった後、1.0〜2.0ms/cmの範囲となった時に反応を終了させることを特徴とする無機粒子の製造方法である。
記炭酸化工程において、上部が円筒で下部が円錐の反応槽を有し、該円錐に多数の穴を空けた円筒型半回分式反応槽を用いて、該穴から二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込むことにより該ガスの微細な気泡を生じさせ、該気泡を焼成物懸濁液に接触させることが好ましい。
前記炭酸化工程において、焼成物懸濁液を周速2.0m/s以上で攪拌しながら2時間以上炭酸化反応を行うことが好ましい。
前記熱処理が、過剰空気雰囲気下、スラッジ温度650℃以下でスラッジ中の易燃焼性有機成分を燃焼除去する一次燃焼工程と、スラッジ温度700〜850℃でスラッジ中の難燃焼性有機成分を燃焼除去する二次燃焼工程との、少なくとも2段階の燃焼工程を経ることによって処理されるのが好ましい
本発明により、その大半が産業廃棄物として処分されている製紙スラッジを熱処理して、最適化された熱処理焼成物の懸濁液化工程、炭酸化工程を経ることで、良好な分散性を有する製紙用材料である塗工用顔料や製紙用填料を製造することができ、大量に再利用が可能である。
本発明の製紙スラッジを原料とする無機粒子の製造方法は、該製紙スラッジを熱処理する熱処理工程、熱処理した焼成物を水と混合する焼成物を懸濁液化する焼成物懸濁液化工程、焼成物懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを接触させる炭酸化工程を経て白色の無機粒子として回収される。
スラッジは本発明に係る無機粒子の原料となる。原料の製紙スラッジは、パルプ化工程、紙製造工程、古紙再生工程などの製紙工場の各種工程から排出される廃水に対してスラッジ回収処理として、凝集・沈殿・濃縮・脱水等の工程を適宜組合せて行って、各廃水が含有する固形分を回収したもの(製紙スラッジ各種)を、単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。このうち古紙再生工程からのスラッジについては、古紙脱墨工程の加圧浮上(フローテーション、または浮選)および/または洗浄によって古紙パルプから分離排出される脱墨廃液に対して凝集および脱水処理を行い、脱墨排水中の固形分を脱墨スラッジとして回収することが推奨される。また、白色度の低い古紙原料からスラッジを回収する場合には、古紙再生工程における脱墨処理及び浮選処理を充分に行い、カーボンブラックなどを含むインク粒子をできるだけ除去しておくのがよく、必要に応じて複数回のスラッジの加圧浮上工程および/または洗浄工程を追加することもできる。また、古紙脱墨工程から回収する脱墨スラッジについては、上質古紙、新聞古紙、雑誌(塗工紙系)古紙などに分別して古紙種類毎の脱墨スラッジを調製し、必要に応じてこれらの古紙種類別脱墨古紙を単独、または混合して適宜原料スラッジとして用いることができる。
なお、製紙スラッジ中の無機成分(灰分)は、製紙用填料や塗工紙用顔料に由来するカオリン(クレー)および炭酸カルシウムが無機成分全体の約80〜95重量%を占める主成分であり、タルク、二酸化チタンなどが少量混在している。前記無機成分の主成分であるカオリン、および炭酸カルシウムの比率は処理する古紙の種類等によって多少のばらつきはあるが、概ねカオリン/炭酸カルシウムの重量比で20/80〜80/20の範囲である。また、上記無機成分(灰分)中のカルシウム(CaO換算)、アルミニウム(Al換算)およびケイ素(SiO換算)のそれぞれの含有比率(カルシウム/アルミニウム/ケイ素)は、13〜73/12〜40/15〜47である。
また、製紙スラッジ中の有機成分、および無機成分の比率は、処理する古紙の種類や脱墨工程程度によって多少は変動するが、概ね無機成分/有機成分の重量比で30/70〜80/20の範囲である。
該スラッジとは別に、製紙用材料として再利用が困難な低級な古紙やそれに付随するプラスチックを主としたRPF(Refused Paper &Plastic Fuel)を原料として使用することもできる。
本発明の製紙スラッジを熱処理する方法としては、特に限定はないが、硬質の無機粒子を生じさせることのないように以下のスラッジ温度で熱処理することが好ましい。
製紙スラッジ中には、カーボンブラック等のインク成分や繊維およびポリマー等の有機物と炭酸カルシウム、カオリン、タルクなどの無機粒子などが存在している。スラッジ焼成物の白色度を向上させるには黒インキ成分であるカーボンブラックを除去することが必要である。単体のカーボンブラックを完全に燃焼させるには少なくとも過剰空気(酸素)雰囲気下、600℃で60分、850℃で20分の燃焼処理時間が少なくとも必要であることから、なるべく熱処理温度を高くした方がよい。しかし、あまり温度を高くし過ぎると、スラッジ中の無機粒子が焼結変化して、スラッジ焼成物が硬くなってしまい、製紙用材料としては好ましくない性質を呈しやすい。
前記高温の熱処理による無機粒子の硬質化は、以下のスラッジが主として含有する無機物の炭酸カルシウムとカオリン(クレー)の熱的変質現象に起因する。すなわち、炭酸カルシウムは525℃を越えた付近から脱炭酸を始め、少なくとも一部が酸化カルシウムに分解され始め、900℃で完全に酸化カルシウムに分解する。タルクは900℃まで結晶構造は変化しない。二酸化チタンは1000℃でも安定であり、全く変化しない。カオリンは、400℃を超えた付近から結晶水が脱離し、500〜850℃までは非晶質のメタカオリンとして存在する。この非晶質のメタカオリンは、焼成カオリンと呼ばれるもので、嵩高く、不透明度が良好で、平滑性に優れる無機粒子である。900℃を超えると、γアルミナ、ムライトを生成する。また、850℃をやや超えた領域で、非晶質のメタカオリンと先出の炭酸カルシウムから分解された酸化カルシウムが存在すると、化学反応により、ゲーレナイトが生成される。ゲーレナイトやγアルミナ、ムライトなどのような硬質の焼結物が生成されることで製紙用材料としての適性が損なわれる。すなわち、このような硬質の焼結物が混入した焼成物から調製した製紙用填料や塗工用顔料に用いた場合、抄紙用ワイヤーや塗工用のブレードなどの製造設備を傷つけて製造操業性を悪化させ、製品品質にも悪影響を与えることになる。
よって、本発明の熱処理工程のスラッジ温度は、硬い焼成物が生成しない850℃を超えないことが好ましい。また、最高温度が600℃未満では白色度を向上させるには非常に長い処理時間が掛かって、エネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、好ましいスラッジ温度としては、600℃以上850℃以下が好ましく、600℃以上800℃以下がより好ましい。
また、熱処理工程中のスラッジ温度を、少なくとも2段階に設定することで、効率的に製紙スラッジに含まれる全ての有機成分を燃焼除去し、製紙材料に適した無機粒子を得ることができるので好ましい。すなわち、その一次燃焼工程を過剰空気雰囲気下でスラッジ温度650℃以下の燃焼条件に、二次燃焼工程を過剰空気雰囲気下でスラッジ温度700〜850℃の燃焼条件に、それぞれ設定するものである。なお、過剰空気雰囲気とは、有機成分の燃焼に対して充分な酸素量を与えて不完全燃焼を生じさせない空気雰囲気を意味する。
まず、一次燃焼工程では、過剰空気雰囲気下で比較的低温の燃焼条件になるから、製紙スラッジ中の易燃焼性有機成分が、分子中の官能基を起点として容易に熱分解・発火し、炭化することなく燃焼して消失する。次の二次燃焼工程では、過剰空気雰囲気下で高温の燃焼条件になるから、一次燃焼工程で燃焼しきらずに残っていた難燃焼性有機成分も確実に燃焼して消失する。このような2段階の燃焼処理では、易燃焼性有機成分を燃焼しにくい炭化物に変化させずに燃焼除去できて合理的であり、製紙スラッジ中の有機成分全体の燃焼除去も短時間で効率よく行える。そして、得られる焼成物は、煤や炭などの未燃焼の有機成分を含まないために白色度が高く、製紙用材料に好適に利用できるものとなる。
なお、一次燃焼工程のスラッジ温度が650℃を越えると、前述したように、易燃焼性有機成分が炭化して難燃焼性有機成分に変化し、燃焼効率が悪化することになる。また、この一次燃焼工程の燃焼温度があまりに低過ぎては易燃焼性有機成分でも熱分解・発火しにくくなって燃焼効率が悪化するため、スラッジ温度の下限を250℃とすることが望ましい。更に、一次燃焼工程の最も好適な焼成条件は、スラッジ温度350〜630℃となる範囲である。
一方、二次燃焼工程のスラッジ温度が700℃未満になると、難燃焼性有機成分の燃焼に時間がかかり、燃焼効率が悪化することになる。逆に該スラッジ温度が850℃を超える高温燃焼になった場合は、前述のようにゲーレナイトが生成するため、好ましくない。
また、燃焼処理は、上記の一次及び二次燃焼工程からなる2段階で行う以外に、これら一次燃焼工程から二次燃焼工程への移行区間としての燃焼工程を挟んだり、一次、二次燃焼工程の一方又は両方を更に燃焼温度(スラッジ温度)の異なる複数の燃焼工程に分けたりして、3段階以上とすることも可能である。
一次燃焼工程の燃焼処理時間は、少なくとも10分以上5時間以内とすることが好ましく、15分以上2時間以内とすることが特に好ましい。10分未満では、製紙スラッジ中の易燃焼性有機成分の燃焼除去が不充分になる恐れがあり、5時間を越えると熱エネルギーの無駄になる。ともかく全ての易燃焼性有機成分が燃焼除去されるのに充分な時間をかけることが重要である。また、二次燃焼工程の燃焼処理時間は、少なくとも10分以上5時間以内とすることが好ましく、20分以上で2時間以内とすることが特に好ましい。10分未満では、製紙スラッジ中の難燃焼性有機成分の燃焼除去が不充分になる恐れがあり、5時間を越えると熱エネルギーの無駄になる。そして、一次燃焼工程と二次燃焼工程の燃焼処理時間の比率は、一次燃焼工程/二次燃焼工程で1/10〜10/1の範囲とすることが好ましい。
本発明の熱処理装置は、特に限定はないが、図1に好適に使用される熱処理装置の一例の構成図を示した。図1は、間接的加熱型ロータリーキルンを使用した熱処理装置の構成図である。
熱処理装置の主要部となる焼成炉としては、特に限定はなく、トンネルキルン、ローラーハースキルン、プッシャーキルン、シャトルキルンのような箱型炉、縦型円筒炉、回転式横型円筒炉、スクリュー式横型円筒炉などを用いることができる。製紙スラッジを供給する方式としてはバッチ式、連続式があるが、多量に処理できる連続式の方が好ましい。スラッジへの伝熱が良好で、加熱炉内のスラッジがより均一に表面に出ることができる回転式横型円筒炉あるいは流動させることが可能なスクリュー式横型円筒炉を用いることが好ましい。設備の維持の面から極力単純なもので駆動エネルギーが少ない、回転式横型円筒炉であるロータリーキルンが好ましい。ロータリーキルンの焼成室の形としては円筒型、六角型などを使用することができる。ロータリーキルンとしては、高砂工業(株)の外熱式連続ロータリーキルン、(株)栗本鉄工所の連続外熱式ロータリーキルンIRK型、(株)ノリタケエンジニアリングの間接加熱連続式ロータリーキルンRKC−SG型、岩佐機械工業(株)の外熱型ロータリーキルンなどを用いることができる。
そこで本発明の熱処理工程に使用される熱処理装置に好適に使用可能なこれらの焼成炉を使用した熱処理装置を、横型または縦型の筒を使用しているので筒型熱処理装置と称する。
図1に示すように、製紙スラッジSが、筒型熱処理装置の一例である連続式間接的加熱型ロータリーキルンK1の筒軸方向の一端部に設置されたスラッジ供給口となる供給ホッパ2に投入され、スクリューフィーダー10を介してロータリーキルンK1内の焼成室9へと供給される。スラッジSはロータリーキルンK1の焼成室9内を通過しながら、その内部の有機成分が燃焼される。燃焼した後の製紙スラッジSはスラッジ供給口に対して筒軸方向の反対側の端部に設置されたスラッジ排出口8を通して炉外に取り出され次の工程に送られる。
供給ホッパ2の近傍に排気手段としての排気ファン4が設置されており、この排気ファンがロータリーキルンK1内の空気を強制排気することによってロータリーキルンK1内へ、スラッジ排出口8の近傍に設置された空気供給口3からロータリーキルンK1内に空気が破線矢印Aで示すように吸入される。このように空気供給口3から排気ファン4方向へ破線矢印Aで示す空気流が常に発生することになる。この空気流が後に説明する未燃焼物搬送用空気流Aとなる。この空気量の制御は排気ファン4の排気量を制御することで行われる。この空気量は炉内が過剰(富)酸素雰囲気下になるように過剰に吸入されるよう制御されることが好ましい。この詳細は後に説明する。
ロータリーキルンK1の炉内を加熱する熱は主として間接的加熱手段5から供給される。この熱によって焼成室9内を間接的に加熱している。ロータリーキルンK1の焼成室9内でスラッジ中の可燃成分が燃焼することによっても熱が発生するが、この熱に比べて間接的加熱手段5から供給される熱の方がはるかに大きい。この間接的加熱手段5を制御することにより、ロータリーキルンK1内の温度を均一に維持する。この間接的加熱手段5としては、電気的な加熱も可能であるが、灯油や重油の燃焼ガスによる加熱、ガスバーナーによる加熱が経済的に好ましい。既存の焼却設備から排出される燃焼排ガスを使用することもできるし、水蒸気などを使用することもできる。本図1に示した例では循環ブロアー7によって燃焼排ガスが間接的加熱手段5として供給されている。
スラッジ中の有機成分は基本的にはロータリーキルンK1の焼成室9内で燃焼させるが、一部の未燃焼物は空気流Aに載せて、ロータリーキルンK1内から取り出される。排気ファン4を通して強制排気される空気流は熱風であるので、熱風循環ファン6を用いて図示を省略したスラッジ乾燥機などに送風されて熱エネルギーとして再利用することが好ましい。
以上説明したように本発明の熱処理工程は、過剰空気(酸素)雰囲気下で均一な温度コントロールが可能な間接的加熱方法により行われる。間接的加熱方法とは、焼成室(炉内)9を加熱するひとつの方法であり、間接的加熱型の燃成炉には、燃焼ガスあるいは燃焼ガスにより生じた熱風とスラッジが直接接触しないように隔壁が設けてある。他の加熱方法としては、火炎、あるいは燃焼ガス、熱風を筒の一端から吹き込む直接的加熱方法がある。直接的加熱型の焼成炉は、焼成室(炉内)の一端から加熱する方法であるため、加熱側とその反対側では、温度が大きく異なり、焼成室( 炉内) 全体の温度を正確にコントロールすることができない。それに対して、間接型加熱方法は、直接的加熱方法のように燃焼ガスあるいは熱風を筒の一端から吹き込む方式ではなく、焼成室(炉内)全体を加熱する方式であるため、熱処理装置全体の均一な温度コントロールが容易となる。
本発明の熱処理工程において、熱処理装置内を過剰空気雰囲気下、つまり富酸素雰囲気下で熱処理する理由は、製紙スラッジが含有する有機物の燃焼を効率的に行うためである。ここでいう過剰(富)酸素雰囲気下とは、燃焼排ガス中の残留酸素濃度が5%以上の状態となるように、燃焼対象の有機物に対して燃焼に必要な充分な空気(酸素)を供給し、有機物が完全燃焼できる状態のことである。また、排気する空気量、吸入する空気温度によりスラッジ温度を調整することも可能である。
熱処理装置内に吸入される空気量は、有機分を燃焼させるのに必要な理論酸素量以上にすることが好ましい。しかし、有機分を燃焼させることで発生する燃焼ガスは理論酸素量に相当する空気量よりも多くなるため、過剰(富)酸素化にするには、少なくとも発生した燃焼ガスを排気する必要がある。従って、吸入する空気量は、排気ファンの排気量を調節することで制御される。この排気量は、理論空気量の1.1倍以上が好ましく、より好ましくは1.5倍以上、さらに好ましいのは2倍以上である。しかし、吸入空気量が多過ぎるとスラッジ温度を下げてしまい、エネルギーコスト的にもあまり好ましくないので理論空気量の5倍以下にすることが好ましい。また、吸入する空気中には二酸化炭素を通常よりも多く含んでいてもよい。なお、熱処理装置内の酸素量が理論酸素量よりも少なく不足した場合、貧酸素状態になり、製紙スラッジが炭化することで、スラッジ中に未燃カーボンが残存してしまう。この未燃カーボンを取り除くためには熱処理温度をより高くすることや、長時間の処理を必要とする。結局、所望のスラッジ焼成物を得ることは難しい。したがって炉内を貧酸素状態にすることは絶対に避けなければならない。
本発明では、図1に示したように空気供給口3をスラッジ排出口8の近傍に設置し、未燃焼物搬送用空気流Aを排出する排気ファン4をスラッジ供給口2の近傍に設置した場合は、熱処理装置内に製紙スラッジSの進行する方向Bと対向する方向に未燃焼物搬送用空気流Aを発生させることができる。
このように製紙スラッジSの進行方向Bと逆方向に未燃焼物搬送用空気流Aを生じさせる方式を本発明では向流方式と呼ぶ。この向流方式は、未燃焼物搬送用空気流がスラッジ焼成物のスラッジ排出口8側に送られるのと逆方向に流れていくので、スラッジ焼成物から未燃焼物を効率よく除去でき、スラッジ焼成物の白色度を向上させることができより好ましい。特に熱処理工程の最初の段階における燃焼の際に生じるような未燃焼物は、後々まで完全燃焼されにくいので、この向流の未燃焼物搬送用空気流によって効果的に取り除くことができる。
したがって、白色度をより高くするために、スラッジ温度をより高めに設定したりして、スラッジの未燃焼物を100%完全燃焼するより、100%の完全燃焼を断念して微量の未燃焼物をスラッジ焼成物から取り除くことによって高白色度でかつ高硬度合成物を含有しない無機粒子を得ようとすることに本発明の特徴がある。ここで、前記した未燃焼物とは、未燃有機物のことで大半は未燃カーボン粒子、換言すれば炭化物粒子である。つまりカーボンブラック状物質であり、カーボンブラックの性状は大きさが10〜500nmで、比重1.8〜1.9の微粉末状である。この微粉末状の未燃焼物を取り除くために、炉内の空気を排気ファン4により排出することにより、未燃焼物搬送用空気流Aを熱処理装置内に発生させ、搬送用空気流Aに載せて未燃焼物を取り出しているのである。このように排気ファンなどを用いて未燃焼物搬送用空気流を強制排気させることが非常に好ましい。このような強制排気に加えて空気および/または酸素を強制導入させると更に好ましい。
強制排気等による未燃焼物空気流の流速は、微粉末状の未燃焼物を取り除くことができる流速であれば特に限定はないが、流速が遅い場合は、空気流が供給ホッパ2側に流れず、未燃焼物を上手く取り除くことができずにスラッジ焼成物中に混入してしまい、白色度が低下してしまう懸念がある。上記のような性状のカーボンブラックを含む未燃焼物を搬送する未燃焼物搬送用空気流の流速は0.4m/分以上が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5m/分以上、特に好ましくは1.5m/分以上である。しかし、空気流の流速があまり速すぎるとスラッジ焼成物もいっしょに排気ファン4側に混入する恐れが大きくなり熱効率も低下する。尚、この空気流の流速は排気ファンの排気量、空気温度等を測定し、それらの値と熱処理装置内の温度等から理論的に求めた。
また本発明においては、本熱処理装置におけるスラッジ燃焼温度が高くなった場合に対して、一定以上の空気流入量を増大させることにより、空気流によって過剰なスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルンK1における焼成室9内の高温の燃焼排ガスをスラッジ供給側の排気ファン4によってロータリーキルンK1外部に排出することにより、焼成室9内のスラッジSの燃焼温度を下げることができる。そこで、本熱処理装置では一般の燃焼制御とは逆に温度が高い場合であっても一定量以上の空気流入量を増大させることによりスラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出する、すなわちロータリンキルンの本体筒部からスラッジ供給側の外部に熱を空気流と共に排出することにより温度を下げることができる。すなわち設定した熱処理温度以上に上昇することを避けるという制御をおこなうことができる。従って、先ほど述べた未燃焼物搬送用空気流Aは、スラッジ燃焼熱排出用空気流の役割もある。この点においても、向流方式は、空気流を排出する排気口がスラッジ供給口近傍にあるため、並流方式に比べてスラッジ燃焼熱が熱処理装置内を通過することなく、スラッジ燃焼熱を熱処理装置外に排出することができるため、スラッジ温度の制御を容易にすることができるのでより好ましい。
また、スラッジ燃焼温度が高い場合、空気流入量を絞ることで燃焼を抑制(炭化)し、温度制御することができるが、本発明においては、スラッジの白色度を高く焼成するという目的のため熱処理装置内を富酸素状態にさせ、スラッジの燃焼を十分行わせることが必要であるため、空気流入量を必要以上に絞ることは好ましくない。一方、スラッジ燃焼温度が低い場合も、空気量を多く流入させ温度を高くすることができる。すなわち本発明においては、燃焼温度は空気流入量で調節していくことが可能である。
未燃焼物搬送用空気流Aに載せて分別して取り出された未燃焼物は熱風循環ファン6に後続して設けられるバグフィルターなどで捕集して取り除くか、排ガスとともに適当な加熱燃焼装置で燃焼させることがよい。
熱処理装置から排出された熱風は熱循環ファン6により、熱処理装置または乾燥機などの熱源として再利用することで、エネルギーコストを低減できることができ好ましい。
スラッジが一定温度に加熱される時間(熱処理時間)は特に限定はされないが、空気流未燃焼物搬送用空気流Aにより吹き飛ばされないで焼成室9内に残留する有機物が完全に燃焼する時間を有保持する必要があることから、1時間以上が好ましい。しかし、必要以上に長い熱処理時間はエネルギーコストが高くなるだけでなく、熱処理装置も大きくなるため、実用上あまり好ましくない。従って、本発明の熱処理工程中の熱処理時間は1〜5時間とするのがより好ましい。
本発明に用いる筒型熱処理炉の炉本体としては、図1のような横円筒型に限らず、内部に仕切りや隔壁を設けることにより、内部を複数の区分室に区画した多分割構造や多胴多室構造とした回転胴も採用可能である。これら多分割構造や多胴多室構造とした回転胴の例を図2〜図4に示す。なお、これら図2〜図4はいずれも、横長の回転胴の長手方向に対して直交する方向の断面図(径方向断面図)であり、図の上下方向が実際の上下方向に一致している。
図2(a)に示す回転胴1は、略6角形外殻11aを有する6分割隔壁構造であり、その内部が断面六方放射状をなす隔壁11bによって断面正三角形の6個の区分室12…に分割されている。図2(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴1が矢印d方向に回転している場合の、各区分室12における該製紙スラッジSの積層・ 堆積状態を示している。
図3(a)に示す回転胴1は、6本の管部13をドーナツ板状の管部固定部材14によって略円環状に束ねた6胴型多胴構造であり、6本の管部13に囲まれた中央の空洞部15が管部固定部材14の中心孔14aを通して軸心方向に連通している。図3(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴1が矢印d方向に回転している場合の、各管部13における該製紙スラッジSの積層及び堆積状態を示している。
図4(a)に示す回転胴1は、12分割隔壁構造であり、二重管をなす内筒部16aと外筒部16bとの間の環状空間を12枚の隔壁16cで放射状に仕切ることにより、12個の区分室17を形成しており、内筒部16aの内側は空洞部15をなしている。図4(b)は、製紙スラッジSの造粒物を供給した同回転胴1が矢印d方向に回転している場合の、各区分室17における該製紙スラッジSの積層・ 堆積状態を示している。
これら図2〜図4に例示したように、横長の回転胴1を多分割構造や多胴多室構造とすれば、供給される製紙スラッジSが複数の区分室や胴部に少量ずつ分配されることになるから、全体が単一の炉内空間をなす単なる横円筒型の回転胴に比較して、当該回転胴1内の移送過程における被処理物(製紙スラッジS,焼成物)の堆積厚さが格段に小さくなると共に、回転胴1の回転に伴う被処理物の攪拌作用が強くなり、有機成分を燃焼させるための空気(酸素)と被処理物との接触効率が著しく向上し、もって有機成分の燃焼効率が飛躍的に高まり、高品質の焼成物ひいては無機粒子が得られる。
なお、このような多分割構造や多胴多室構造における移送経路の分割数は、上記の作用効果を充分に発揮させる上で、少なくとも6以上とすることが推奨される。また、回転胴の分割構造は、図2〜図4に例示した構造に限らず、例えば特願2006−252751号に紹介されている18分割型、24分割型、36分割型などの多分割隔壁構造や、特願2006−279813号に紹介されている多胴型構造の各管状部材に対して隔壁、ある
いは仕切りを設けて、総分割数として6〜126分割した多胴・多分割構造とした回転胴構造など、種々の構造が可能である。更に、これらのような回転胴、および管状部材の内部を隔壁で複数の区分室に区画する構造の他に、隔壁に類似した形状の回動型攪拌翼を回転胴内、および管状部材内に非固定状態に挿入することにより、回転胴内を複数の区分室に分割し、該回転胴内に供給される製紙スラッジSを複数の区分室に分配させるようにしてもよい。
また、キルン炉内にリフターや回転駆動できる攪拌部材を設けることで、スラッジと酸素がより多くかつ均一に接触するので、有機分の燃焼が効率的に行われ、スラッジ焼成物の白色度が向上し品質も均一になるのでより好ましい。
これらの熱処理時間、スラッジ温度、空気流量、流速等の条件を適宜制御することにより、スラッジ中の炭酸カルシウム成分の分解率を好ましくは50%を超えて、より好ましくは60%以上とし、更に好ましくは70%以上とすることが好ましい。これは、本発明では、熱分解した炭酸カルシウムは、後述する炭酸化工程で炭酸カルシウムに戻せるため、熱処理工程で炭酸カルシウムの分解を抑制する必要がないからである。一方、炭酸カルシウムの分解率が50%未満であると、スラッジ温度を600℃以上でスラッジ中の有機成分を燃焼させながら、その燃焼温度よりも低い温度525℃程度から生じる炭酸カルシウムの熱分解を抑制することになるので、非効率になってしまい、所望とする高白色度のスラッジ焼成物を効率で得るには不向きとなる。
熱処理した焼成物は、製紙スラッジ中の炭酸カルシウムが分解されているので、そのまま水性懸濁液として、塗工用顔料あるいは製紙用填料に利用した場合、水溶液中に遊離カルシウムイオンが溶出し、スラリー粘度の上昇、分散不良、他の薬品と反応して、スケールトラブルを引き起こすといった問題があるため、水溶液中の遊離カルシウムを抑制する必要がある。本発明においては、懸濁液中に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込むために、焼成物と水を混合する焼成物懸濁液化工程と炭酸化工程を設ける必要がある。
これらの遊離カルシウムを抑制するために二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを焼成物懸濁液に吹き込み、炭酸カルシウムに再生する炭酸化を行うに際して、焼成物を水と混合した焼成物懸濁液に後続の炭酸化工程における二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込むまでの時間を9時間以下とすることが重要である。好ましくは6時間以下である。因みに、9時間を越えると、遊離カルシウムが徐々にしか溶出しないために、二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込んで炭酸化反応を行うと、炭酸化反応時間が長くなってしまう。また、保持時間が短いと、遊離カルシウムの溶出が少ないために、炭酸化反応を行っても遊離カルシウムの影響を抑えることができなくなったりする可能性があるため、0.1時間以上が好ましい。より好ましい時間としては、0.1〜3時間、さらに好ましくは0.25〜2時間である。
また、炭酸化反応を行う際の焼成物懸濁液温度は、70℃以下にする必要があり、好ましくは15〜60℃、より好ましくは25〜50℃である。懸濁液温度が70℃を超えると遊離カルシウムが溶出し難くなり、後続の炭酸化反応を行っても、遊離カルシウムの影響を抑えることができず、スラリーの分散性が悪くなる。懸濁液温度はより低温の方が好ましいが、15℃未満では、熱処理した焼成灰を冷却したり、水を冷却するといった冷却装置が必要となったりして、コストが嵩み、生産性が劣るので好ましくない。なお、ここでいう懸濁液温度とは、焼成物と水を混合したときの温度で、後続の炭酸化工程までの温度のことであり、反応開始温度とは異なる。なお、生石灰を水で消化させると消和熱が発生するが、本発明の懸濁液化工程においては、工程の開始から終了まで温度上昇は殆どないので、懸濁液化温度を70℃以下にすることができる。
ここで、焼成物懸濁液の固形分濃度は5〜20質量%の範囲に調整することが後続の炭酸化処理を効率的に行い、また懸濁液の粘度を低く維持して流動攪拌性および送液性を良好に維持するために好ましい。焼成物懸濁液の固形分濃度が5%質量未満である場合は、生産性が劣るため好ましくない。また、20%質量より高い場合は、該焼成物懸濁液の粘度が高くなるため、攪拌動力の増加となるとともに、操業性に劣ることから好ましくない。なお、懸濁液の攪拌は、焼成物が沈降しない周速であればよく、周速2.0〜3.0m/s程度でよい。
また焼成物懸濁液に対しては、本発明のスラッジ焼成物の他に、必要に応じて別途、酸化カルシウム(CaO:生石灰)または水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕を添加してスラッジ焼成物と水酸化カルシウムの所定固形分濃度の混合懸濁液とすることもでき、この場合、酸化カルシウムおよび水酸化カルシウムは、消和後の形態である水酸化カルシウム〔Ca(OH):消石灰〕として、スラッジ焼成物100重量部に対して最大100重量部(スラッジ:水酸化カルシウム=50:50)まで添加することができる。100重量部を超えて水酸化カルシウムを添加することもできるが、消和懸濁液中のスラッジ焼成物の配合率が少なくなり、スラッジ利用が進まなくなるため好ましくない。
本発明においては、焼成物懸濁液化工程後に炭酸化工程を行うことにより、分解により生じたカルシウムを炭酸カルシウム(CaCO)に再生転化し、無機粒子スラリー粘度の上昇を抑制して、顔料の分散不良を生じることを抑制することができる。また、他の薬品と反応して引き起こされるスケールトラブルなどの問題もなくすことができる。再生された炭酸カルシウムはX線回折を用いて確認することができ、熱処理による炭酸カルシウムの分解率にもよるが、熱処理前の炭酸カルシウムに対して、80%以上再生されていることが好ましく、より好ましいのは90%以上である。
炭酸化工程は、焼成物懸濁液に、二酸化炭素ガス又は二酸化炭素含有ガスを吹き込む工程である。炭酸化に用いるガスは、工業的には二酸化炭素含有ガスが好ましく、例えば、スラッジ焼成排ガス、石灰石焼成排ガス、石灰焼成排ガス、ゴミ焼却排ガス、発電ボイラー排ガス、或いはパルプ製造工程で用いられる苛性化炭酸カルシウム焼成キルンなどから排出される排ガスなどを適当な手段で除塵後、用いることができる。特に、スラッジ焼成設備からの排ガスを利用することにより、大気中に放出する二酸化炭素量を抑制することができ、製造コストも安くなるといったことから好ましい。また、使用する二酸化炭素ガスの二酸化炭素濃度は特に限定されるものではないが、好ましくは5〜40容量%、より好ましくは7〜35容量%の二酸化炭素含有ガスを用いる。二酸化炭素ガス濃度が低い場合は、焼成物懸濁液の固形分濃度を低くすることで、炭酸化反応を速やかに行うがことができる。例えば、二酸化炭素ガス濃度8%の場合は、焼成物懸濁液固形分は8%程度にするのがよい。
二酸化炭素ガス又は二酸化炭素含有ガスを吹き込む割合は、二酸化炭素ガスとして焼成物1kg当たり、0.5〜15L/分の割合となるように焼成物懸濁液中に吹き込む。二酸化炭素導入量が0.5L/分未満では生産性が劣るし、15L/分を超えるような量を採用することはできるが、そのように使用量を増加させるために必要な動力負荷に見合った効果は期待できない。
炭酸化工程の反応温度は70℃以下、好ましくは15〜60℃、より好ましいのは25〜50℃である。炭酸化反応は水中の遊離カルシウムと炭酸ガスが反応することにより、炭酸カルシウムを生成する。しかし、反応温度が70℃を超えると二酸化炭素が水に溶け難くなり、反応に供される炭酸ガスが不足して、反応時間が長くなると共に、無機粒子の性状にも影響を及ぼして、スラリーを高濃度で分散できないといった問題を引き起こす可能性がある。また、反応温度低いと反応に供される炭酸ガスは多くなるが、反応温度15℃未満にするには排ガス等を冷却する必要があり、冷却装置等のエネルギーコストが嵩み、現実的ではない。炭酸化反応に供する炭酸ガス、排ガスの温度は予め70℃以下、50℃以下にするのが好ましい。
また、懸濁液温度と炭酸化温度は同じとするのが好ましい。これは、懸濁液化温度が、炭酸化温度よりも高い場合は懸濁液を冷却し、低い場合には加温する必要があり、不要なエネルギーコストがかかるためである。
なお、炭酸化反応終了点はpH、導電率のどちらにおいても判断することができるが、導電率で判断する。無機粒子の炭酸カルシウム再生は、軽質炭酸カルシウム製造のように、水酸化イオンを指標とするpHでは反応終了点を判断し難く、金属イオンを指標とする導電率の方が判断し易いためである。なお、導電率は1.0ms/cm未満まで一旦下がり、再び1.0ms/cm以上になり、反応終了時の導電率は1.0〜2.0ms/cmである。
本発明の炭酸化工程の反応槽としては、円筒型又は円筒で下部のみ円錐になっている円筒コーン型等の半回分式反応槽を用いて、二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを反応槽下部から吹き込むのが効率の点から好ましい。さらに、半回分式反応槽の下部の円錐に多数の穴を空けることで、炭酸ガスが微細な気泡となり、これらの微細な泡が焼成物懸濁液と接触するため、効率的かつ均一に反応させることができ、好ましい。
また、焼成物と二酸化炭素あるいは二酸化炭素含有ガスとの接触をよくするために、反応槽に攪拌機を備えて、攪拌しながら炭酸化を行うことにより、炭酸ガスが微細になることで、焼成物懸濁液との接触が良くなり、反応が均一かつ効率的に行われる。攪拌機の攪拌周速としては、2.0m/s以上であるのが好ましく、さらに好ましくは2.5m/s以上である。ここで攪拌機は、周速2.0m/s以上が可能であれば特に限定はなく、一軸または二軸型のタンク用攪拌機、コーレスミキサー、高速攪拌式ディスパーザーなどを用いることができる。さらに反応槽中に邪魔板を設置することで、懸濁液のせん断力を高めることもできる。
無機粒子に含まれる再生炭酸カルシウム成分の形状としては、特に限定はない。また、炭酸化工程中において所望の形状の結晶を得るために種晶を添加し、米粒状、紡錘状、膠質状、針状、立方状、板状などにすることができる。
なお、本発明の炭酸化処理後の無機粒子は、炭酸化処理によって生じた微細な炭酸カルシウムの1次粒子が凝集して2次粒子(凝集粒子)を形成し、製紙用填料に適した粒子径となる場合がある。このような場合には、この懸濁液をそのまま製紙用填料としてパルプなどの製紙用原材料に配合して用いることもできる。
本発明の無機粒子スラリー(炭酸化後のスラリー)を塗工用顔料として利用する場合は、炭酸化工程後の組成物無機粒子スラリーを脱水して脱水組成物とする脱水工程と、該脱水工程により得られる該脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とする分散工程と、所望の粒径に調製する粉砕工程を備えることが好ましい。
脱水工程は、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾などの操作により行うことができる。好適な脱水装置としては、フィルタープレスと称される圧搾濾過装置があり、炭酸化処理物の脱水ケーキを得ることができる。分散工程は、脱水工程により得られる脱水組成物に水分を加えてスラリー状の分散組成物とするものであればよい。分散工程時に水分以外に、分散剤を添加することで、製紙スラッジを原料とした無機粒子を良好に分散することができ、製紙用材料としての品質が向上すると共に、取り扱いやすくなるので好ましい。分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成高分子系の分散剤など、製紙用材料の製造の際に用いられる一般的な分散剤を使用できる。
本発明において、粉砕処理工程を、分散工程後に備えていてもよい。粉砕処理を行うことにより、再生された無機粒子の粒径を微細化することができ、平滑性が向上するので好ましい。粉砕工程において用いる粉砕機としては、サンドミル、ビーズミル、湿式ボールミル、振動ミル、攪拌槽型ミル、流通管型ミル、コボールミルなどの湿式粉砕機を使用することができる。また、二酸化炭素を吹き込みながら、粉砕を行っても良い。
本発明の無機粒子の大きさ(粒子径)は、レーザー回折粒度分布測定による平均粒子径として、最終的に0.1〜20μmとすることが好ましく、0.3〜5μmとすることが特に好ましい。
この平均粒子径は、塗工用顔料として、紙製品に仕上げた際の不透明性、白色度、平滑性、および印刷適性に優れる品質が得られるように、操業および品質上バランスされた粒子径を選んだものである。したがって、無機顔料の平均粒子径を前記粒子径の範囲とすることにより、操業において、従来の塗工用顔料と同様に取り扱うことができ、また無機粒子を塗工した塗被紙の品質についても、従来の塗工用顔料と概ね同等の品質を発現させることができる。
因みに、無機粒子の平均粒子径が0.1μm未満のような微細な粒子になると、不透明性、白色度および平滑性等の改善に対しては有効ではあるが、反面、塗工層強度を発現させるために、著しく多量の接着剤が必要となる難点があるので好ましくない。他方、無機粒子の平均粒子径が20μmを越えるような大きい粒子になると、塗工紙製品の平滑性や光沢が低下し、結果的に印刷適性も低下することになり好ましくない。
無機粒子を前記した所望の粒子径とするために脱水工程後に分散工程、および粉砕工程を設けることが好ましいが、分散処理後の再生顔料の平均粒子径が前記した粒子径の範囲になる場合は、粉砕工程を行わないで、分散処理後の無機粒子の分散液をそのまま塗工用顔料として当然ながら使用しても良い。
また、分散工程において、無機粒子の脱水組成物を炭酸カルシウムスラリーに混合して、混合スラリーとして湿式粉砕機を用いて粉砕することで、炭酸カルシウムよりも品質が良好で、なおかつ炭酸カルシウムスラリーよりも粉砕時間を短くすることができ、高濃度なスラリーを調整することが可能である。なお、無機粒子と炭酸カルシウムの比率は、塗被紙の白紙品質などに応じて、調整することが可能であり、特に制限はない。
なお、上述した熱処理に供する前に脱水→乾燥→造粒といった工程を追加してもよいので、以下さらに詳述する。
各種工程の廃水から原料スラッジを固形分として回収する方法としては、濾過、遠心分離、加圧脱水、圧搾等の方法が挙げられ、前記各種方法を組合せて所要の含水率の製紙スラッジを得る。好適な濾過装置としては、ロータリースクリーンと称される濾過装置があり、また脱水装置としては、スクリュープレスと称される加圧・圧搾脱水装置がある。これらの濾過装置、圧搾装置を単独、または適宜組合せて用いることができる。また、遠心脱水装置としては、デカンタ型遠心脱水装置がある。
スラッジ中の固形分濃度は、脱水機の能力の違いで異なるため、通常5〜60質量%であるが、固形分濃度60質量%を超えるものは現状の脱水機あるいは濃縮機の能力では達成が難しい。
本発明では、熱処理工程で用いられるに用いる製紙スラッジの固形分濃度は特に限定はないが、熱処理工程中のエネルギーコストを低減する観点から、また熱処理装置を小さくする観点から、製紙スラッジの固形分濃度はなるべく高くした方が好ましいので、70%以上にするのがよい。しかるに、前記の脱水工程のみでは、脱水装置機の能力によって異なるものの、固形分濃度は概ね5〜60質量%程度であるため、更に乾燥処理して固形分濃度を高めることが推奨される。
製紙スラッジの固形分濃度を高くするために、熱処理工程前に製紙スラッジを乾燥する乾燥工程を設けることが好ましい。乾燥工程で用いる乾燥機としては、特に限定はなく、直接加熱型ロータリーキルン、間接加熱型ロータリーキルン、気流乾燥機、流動層乾燥機、振動流動乾燥機、回転・通気回転乾燥機(サイクロン)などを用いることができる。また、これら乾燥機の熱源としては、後述する焼成処理工程の排熱を使用することにより、エネルギーコストを低減することが可能である。
乾燥処理の温度は、気流乾燥機や回転・通気回転乾燥機のような熱風を利用して乾燥させる装置においては、製紙スラッジの燃焼や炭化を防止するために熱風温度を600℃以下とすることが好ましく、250℃以下とすることが特に好ましい。この熱風温度が高過ぎては、製紙スラッジが発火し、その際の乾燥条件が適切でなければ、易燃焼性の有機成分が炭化して難燃焼性に変化する懸念がある。また、乾燥工程においては乾燥効率を向上させるために、製紙スラッジを細かく解すことが好ましく、撹拌機や機械式ロール等により強制的に製紙スラッジを解し、乾燥させることが好ましい。
また本発明の熱処理工程に用いる製紙スラッジは、熱処理装置内にスラッジが積層された時に酸素と接触できる大きさ、形状であれば特に限定はない。しかし、製紙スラッジを細かく、かつ大きさを均一にすると、スラッジが細密充填のように積層されて、積層内に酸素が入り込まないため、有機物、特にカーボンの燃焼が不十分になり白色度が向上しない可能性がある。また、製紙スラッジを大きくし過ぎると、カーボンを完全に燃焼することができず、製紙スラッジ塊状の中心部に未燃カーボンが残存する可能性がある。以上のことから、本発明で用いられる製紙スラッジは、長さまたは直径が2mm以上30mm以下の大きさのものを用いるのが好ましい。形状は、円柱状、球状、楕円、三角形、その他の多角形や、凹凸を有するものなどを用いることができる。
前記した所望の大きさ、形状に製紙スラッジを成形するために、造粒成形することも可能である。スラッジを造粒する方法は、ブリケットマシンやローラーコンパクター等の圧縮成形機を用いる方法、ディスクペレッターのような半乾式造粒機を用いる方法、転動造粒法や攪拌造粒法、押出成形法等がある。
本発明で得られた無機粒子を填料として使用した紙は、不透明度、嵩高性を付与することができ、従来の填料と同様に本発明の無機粒子を内添した紙であればよく、特に限定はない。また、紙の種類としては、包装用紙、紙容器、インクジェット用紙、PPC用紙などの記録用紙、新聞用紙、上質紙、中質紙、各種塗工用原紙、壁紙、繊維板、写真用原紙、含浸用原紙、難燃紙などが挙げられる。
また、本発明で得られた無機粒子は、顔料として用いた場合、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性に優れた性質をもっており、従来の顔料と同様に用いることができ、特に、原紙上に設けた塗被層中に含有させることで、平滑性、被覆性、不透明度、インキセット性の向上効果をより発現させることができるので好ましい。塗被紙の種類としては、印刷用紙、出版用紙、書籍用紙、白板紙、クラフト紙、インクジェット用紙、感熱紙などが挙げられる。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、勿論、本発明はそれらに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、例中の部および%はそれぞれ質量部、および質量%を示す。なお、各項目の測定方法および評価は次の通りである。
[レーザー回折散乱法による無機粒子の平均粒子径測定]
日機装社製のマイクロトラックHRAX−100を使用して、無機粒子の粒度分布を測定し、累積質量が50%に相当する点での粒子径を求めた。
[スラリーのpH測定方法]
ラコムテスターpH計(pHScanWPBN型:アズワン製)を使用し、各種分散液に直接pH電極を浸漬させて顔料分散液のpHを測定した。なお、pH測定に使用したpH計については、NIST基準校正液(pH6.86、およびpH9.18の2種類)を用いてpH校正を行なった後にpH測定を行なった。
[スラッジ焼成物および無機粒子の白色度の測定]
サンプル(乾燥物)を約10g、乳鉢で粗い粒子がなくなるまですりつぶしたのち、粉体試料成形機(理学電機工業株式会社製:Cat9302/30)を用いて、圧力100kNで30秒加圧して粉体試料成形した。成形したサンプルの白色度は分光白色度測色計(スガ試験機社製:SC−10WP型)を使用して、JIS P8148(2001年)に準拠し、測定した。
[燃焼処理後の炭酸カルシウム分解率]
表1に挙げた項目以外の評価として、各実施例について、熱処理後の炭酸カルシウム分解率を、以下(1)〜(6)の手順で熱処理処理前の製紙スラッジ中の炭酸カルシウムとスラッジ焼成物中の残存炭酸カルシウムの量等を求めて評価した。
(1)カルサイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がカルサイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:タマパール222H)に対して、内部標準物質として酸化亜鉛(キシダ化学社製:試薬特級)を、重量比1:5、1:1、5:1となるようにそれぞれ混合した。次いで、各混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(マックスサイエンス社製:MO3XHF)を用いて、40kV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定し、カルサイト炭酸カルシウムと酸化亜鉛のそれぞれのX線回折100%ピーク面積を基にして、カルサイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
(2)アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線の作成
結晶構造がアラゴナイトの炭酸カルシウム(奥多摩工業社製:タマパール123)を用いた以外は、前記カルサイト炭酸カルシウムの検量線作成と同様にして、アラゴナイト炭酸カルシウムの検量線を作成した。
(3)燃焼処理前の製紙スラッジ中の炭酸カルシウムの定量
秤量した絶乾の製紙スラッジに対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40kV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定して、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、製紙スラッジ1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
(4)製紙スラッジの灰分の測定
秤量した絶乾の製紙スラッジを、マッフル炉で350℃、30分で燃焼処理して、得られたスラッジ焼成物の重量を秤量し、下式によって製紙スラッジの灰分含有量(%)として測定した。
灰分含有量(%)=(スラッジ焼成物重量/絶乾の製紙スラッジ重量)×100
(5)スラッジ焼成物中の炭酸カルシウムの定量
秤量したスラッジ焼成物に対して、秤量した酸化亜鉛(試薬特級 前出)を添加混合した。次いで、該混合物について、乳鉢を用いて充分に磨り潰したのちに、X線回折装置(MO3XHF 前出)を用いて、40kV、20mA、回折角測定範囲5〜50度の条件で測定して、酸化亜鉛に対するカルサイト炭酸カルシウム及びアラゴナイト炭酸カルシウムのX線回折100%ピーク面積を求め、前記した各炭酸カルシウムの検量線を基にして、スラッジ焼成物1g中に含まれる炭酸カルシウム量(g)を算出した。
(6)燃焼処理後の炭酸カルシウムの分解率
スラッジ焼成物1g中の炭酸カルシウム量(g)をA、製紙スラッジ1g中の炭酸カルシウム量(g)をB、灰分含有量(%)をCとし、下式によって燃焼処理後の炭酸カルシウムの分解率を算出した。
炭酸カルシウム分解率(%)=100−〔A×(C/100)〕÷B×100
実施例1
[スラッジ]
洋紙、板紙の抄紙機および塗工機、さらに脱墨パルプ化設備を有する製紙工場の廃水を廃水処理クラリファイヤーで分離して得られた固形分および活性汚泥処理などの余剰汚泥からなる製紙スラッジを原料とし、脱水機を用いて固形分約50%まで脱水を行った。この製紙スラッジの無機分は65%で、その組成は炭酸カルシウム55%、カオリン40%、タルク5%であった。
[乾燥・造粒工程]
脱水した製紙スラッジを、回転乾燥機を用いて、固形分約75%になるように乾燥し、次いでディスクペレッターを用いて直径約12mm、長さ約15mmのペレットに造粒成形した。
[燃焼工程]
燃焼処理は、外熱式回転キルン炉(高砂工業製の外熱式ロータリーキルン、加熱部分:回転胴の径300mm,長さ2400mm)を用いて行った。原料の製紙スラッジ造粒物を10kg/hの速度で供給した。スラッジ温度が750℃、加熱部分に2.5時間(キルン傾斜:1%、回転数:1.0rpm)になるように滞留させ、燃焼排ガスを焼成物排出側から20Nm/hで排出し、これに伴う減圧作用で排気口から排出される排ガスと同量の外気を給気口から吸入して、回転胴内全体を常に過剰空気雰囲気に維持し、焼成物を得た。
この燃焼処理で得られた焼成物の組成をX線回折によって調べた結果、硬質の高温焼結物(ゲーレナイト)は含まれておらず、燃焼処理前の製紙スラッジに含有されていた炭酸カルシウムは55%が分解されていた。また、炭酸カルシウム以外の成分では、カオリンは全て非晶質物質に変化していたが、タルクは全く変化していなかった。焼成物中に一部未燃焼物の混入が認められた。なお、焼成物の白色度は72%であった。
[懸濁化・炭酸化工程]
次いで、前記燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて65℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を65℃に保持しながら8時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を65℃に保持しつつ、懸濁液を周速2.5m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
[脱水・分散・粉砕工程]
次に、前記炭酸化処理で得られた炭酸化処理物の懸濁液をフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約50%のケーキ状の炭酸化処理物を、コーレスミキサーで水に分散させることにより、固形分濃度が約47%の無機粒子スラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量部に対して1.5質量部添加した。この分散スラリーのpHは9.5であった。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の無機粒子を平均粒子径1.5μmまで湿式粉砕し、塗工用顔料に適した微粒子状の無機粒子を得た。この無機粒子スラリーのpHは10.2であった。
実施例2
燃焼工程、懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして無機粒子を得た。
[燃焼工程]
燃焼処理は、外熱式回転キルン炉(高砂工業製の外熱式ロータリーキルン、加熱部分:回転胴の径300mm,長さ2400mm)を用いて行った。
原料の製紙スラッジ造粒物を10kg/hの速度で供給した。スラッジ温度が860℃、加熱部分に2.5時間(キルン傾斜:1%、回転数:1.0rpm)になるように滞留させ、燃焼排ガスをスラッジ供給側から20Nm/hで排出し、これに伴う減圧作用で排気口から排出される排ガスと同量の外気を給気口から吸入して、回転胴内全体を常に過剰空気雰囲気に維持し、焼成物を得た。
この燃焼処理で得られた焼成物の組成をX線回折によって調べた結果、燃焼処理前の製紙スラッジに含有されていた炭酸カルシウムは100%が分解されており、カオリンは全て非晶質物質に変化し、タルクは全く変化していなかったが、硬質の高温焼結物(ゲーレナイト)が若干認められた。焼成物中には未燃焼物の混入は認められなかった。焼成物の白色度は78%であった。
[懸濁化・炭酸化工程]
前記燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて65℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を65℃に保持しながら8時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgをコーレスミキサー付き円筒型炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を65℃に保持しつつ、懸濁液を周速10m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例3
燃焼工程、懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして無機粒子を得た。
[燃焼工程]
燃焼処理は、外熱式回転キルン炉(高砂工業製の外熱式ロータリーキルン、加熱部分:回転胴の径300mm,長さ2400mm、リフター付)を用いて行った。
原料の製紙スラッジ造粒物を25kg/hの速度で供給し、スラッジ温度を600℃、加熱部分に0.5時間(キルン傾斜:2%、回転数:2.6rpm)滞留させ、燃焼排ガスをスラッジ供給側から50Nm/hで排出して、これに伴う減圧作用で排気口から排出される排ガスと同量の外気を給気口から吸入し、回転胴内全体を常に過剰空気雰囲気に維持し、一次燃焼物を調製した。調製した一次燃焼物を、再度、回転キルン炉に供給し、一次処理燃焼物温度を800℃、加熱部分に1.5時間(キルン傾斜:1%、回転数:1.8rpm)滞留させ、燃焼排ガスを20Nm/hで排出して、焼成物を得た。
この燃焼処理で得られた焼成物の組成をX線回折によって調べた結果、硬質の高温焼結物(ゲーレナイト)は含まれておらず、燃焼処理前の製紙スラッジに含有されていた炭酸カルシウムは75%が分解されていた。また、炭酸カルシウム以外の成分では、カオリンは全て非晶質物質に変化していたが、タルクは全く変化していなかった。焼成物中に一部の未燃焼物の混入が認められた。なお、焼成物の白色度は82%であった。
[懸濁化・炭酸化工程]
前記燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて65℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を65℃に保持しながら5時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を65℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/s攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例4
燃焼工程、懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして無機粒子を得た。
[燃焼工程]
燃焼処理は、外熱式回転キルン炉(高砂工業製の外熱式ロータリーキルン、加熱部分:回転胴の径300mm,長さ2400mm、炉内6分割)を用いて行った。原料の製紙スラッジ造粒物を60kg/hの速度で供給し、スラッジ温度を600℃、加熱部分に0.5時間(キルン傾斜:2%、回転数:3.0rpm)滞留させ、燃焼排ガスをスラッジ供給側から120Nm/hで排出して、これに伴う減圧作用で排気口から排出される排ガスと同量の外気を給気口から吸入し、もって回転胴内全体を常に過剰空気雰囲気に維持し、一次燃焼物を調製した。調製した一次燃焼物を、再度、回転キルン炉に供給し、一次処理燃焼物温度を800℃、加熱部分に1時間(キルン傾斜:2%、回転数:2.0rpm)滞留させ、燃焼排ガスを30Nm/hで排出して、焼成物を得た。
この燃焼処理で得られた焼成物の組成をX線回折によって調べた結果、硬質の高温焼結物(ゲーレナイト)は含まれておらず、燃焼処理前の製紙スラッジに含有されていた炭酸カルシウムは85%が分解されていた。また、炭酸カルシウム以外の成分では、カオリンが全て非晶質物質に変化していたが、タルクは全く変化していなかった。焼成物の白色度は84%であった。
[懸濁化・炭酸化工程]
前記の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて45℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を45℃に保持しながら5時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を45℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例5
懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例4と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例4の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて45℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を45℃に保持しながら1時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を45℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例6
懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例4と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例4の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて45℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を45℃に保持しながら1時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を65℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例7
懸濁化・炭酸化工程を下記のように変更した以外は実施例4と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例4の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて45℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を45℃に保持しながら1時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を70℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
実施例8
炭酸化工程の炭酸化反応槽を攪拌機なし円筒型半回分式反応槽に変更した以外は実施例5と同様にして無機粒子を得た。
比較例1
懸濁化・炭酸化工程、脱水・分散・粉砕工程を下記のように変更した以外は実施例1と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例1の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて75℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を75℃に保持しながら8時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を65℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
[脱水・分散・粉砕工程]
次に、前記炭酸化処理で得られた炭酸化処理物の懸濁液をフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約40%のケーキ状の炭酸化処理物を、コーレスミキサーで水に分散させることにより、固形分濃度が39%の無機粒子スラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量部に対して1.5質量部添加した。この分散スラリーのpHは10.3であった。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の無機粒子スラリーを平均粒子径1.5μmまで湿式粉砕した。この無機顔料スラリーのpHは11.0であった。
比較例2
懸濁化・炭酸化工程、脱水・分散・粉砕工程を下記のように変更した以外は実施例4と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例4の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて65℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を65℃に保持しながら12.5時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を30℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
[脱水・分散・粉砕工程]
次に、前記炭酸化処理で得られた炭酸化処理物の懸濁液をフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約42%のケーキ状の炭酸化処理物を、コーレスミキサーで水に分散させることにより、固形分濃度が40%の無機粒子スラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量部に対して1.5質量部添加した。この分散スラリーのpHは10.2であった。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の無機粒子スラリーを平均粒子径1.5μmまで湿式粉砕した。この無機顔料スラリーのpHは11.0であった。
比較例3
懸濁化・炭酸化工程を変更した以外は実施例4と同様にして無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
実施例4の燃焼処理によって得られた焼成物を懸濁液化槽(消和槽)を用いて75℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を75℃に保持しながら12.5時間攪拌して、固形分濃度が約8%の焼成物懸濁液を調製した。そして、この焼成物懸濁液10kgを攪拌機付き円筒型半回分式炭酸化反応槽に仕込んで、この炭酸化反応槽の温度を75℃に保持しつつ、懸濁液を周速3.0m/sで攪拌しながら、10容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込み、導電率が上昇し始めて30分した後に反応を終了させた。
[脱水・分散・粉砕工程]
次に、前記炭酸化処理で得られた炭酸化処理物の懸濁液をフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約38%のケーキ状の炭酸化処理物をコーレスミキサーで水に分散させることにより、固形分濃度が35%の無機粒子スラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量%に対して1.5質量%添加した。この分散スラリーのpHは10.4であった。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の無機粒子を平均粒子径1.5μmまで湿式粉砕した。この再生顔料スラリーのpHは11.2であった。
参考例1
製紙スラッジを使用せず、生石灰を用いて、下記のように懸濁化・炭酸化工程および脱水・分散・粉砕工程を行い、無機粒子を得た。
[懸濁化・炭酸化工程]
生石灰(矢橋工業製)を懸濁液化槽(消和槽)を用いて75℃の温水と混合し、この懸濁液化槽の温度を75℃に保持しながら12.5時間攪拌して、固形分濃度が約12%の消和液を調製した。そして、この消和液10kgを円筒型炭酸化反応槽に仕込み、この炭酸化反応槽の温度を75℃に保持しつつ、懸濁液中に20容量%の二酸化炭素含有ガスを20リットル/分で吹き込みながらpH7.0になるまで攪拌を行って、炭酸化処理した。
[脱水・分散・粉砕工程]
次に、前記炭酸化処理で得られた炭酸カルシウムスラリーをフィルタープレスで脱水処理し、得られた固形分濃度が約70%のケーキ状の炭酸カルシウムをコーレスミキサーで水に分散させることにより、固形分濃度が69%の炭酸カルシウムスラリーを調製した。なお、この分散させる水には、分散剤としてポリアクリル酸系分散剤(商品名:アロンT−50、東亜合成株式会社製)を炭酸化処理物の固形分100質量部に対して1.0質量部添加した。そして、最後にサンドグラインダーを用いて上記の炭酸カルシウムを平均粒子径1.5μmまで湿式粉砕した。この炭酸カルシウムスラリーのpHは9.0であった。
Figure 0004329865
表1の結果に示すように、本発明例1〜8においては、比較例よりも格段に分散濃度が高く、塗工用顔料や製紙用填料などの製紙用材料として再利用した際にスケールトラブル等のない、分散性の良い無機粒子を効率的に製造することが出来た。
本発明に用いる熱処理装置の一例を示す模式縦断側面図。 同熱処理装置の6分割隔壁構造の回転胴の一例を示す縦断正面図。 同熱処理装置の6胴型多筒構造の回転胴の一例を示す縦断正面図。 同熱処理装置の12分割隔壁構造の回転胴の一例を示す縦断正面図。
符号の説明
K1・・・・・・間接的加熱型ロータリーキルン
1・・・・・・・回転胴
2・・・・・・・供給ホッパ(スラッジ供給口)
3・・・・・・・空気供給口
4・・・・・・・排気ファン
5・・・・・・・間接的加熱手段
6・・・・・・・熱風循環ファン
7・・・・・・・循環ブロアー
8・・・・・・・スラッジ排出口
9・・・・・・・焼成室
10・・・・・・スクリューフィーダー
11a・・・・・外殻
11b・・・・・隔壁
12 ・・・・・区分室
13 ・・・・・管部
14 ・・・・・管部固定部材
14a・・・・・中心孔
15 ・・・・・空洞部
16a・・・・・内筒部
16b・・・・・外筒部
16c・・・・・隔壁
17 ・・・・・区分室
d ・・・・・・回転胴の回転方向
S ・・・・・・製紙スラッジ
A ・・・・・・空気流
B ・・・・・・製紙スラッジ進行方向

Claims (4)

  1. 製紙スラッジを原料とした無機粒子の製造方法であって、該製紙スラッジを熱処理する熱処理工程と熱処理した焼成物を水と混合して焼成物懸濁液を得る焼成物懸濁液化工程と、該焼成物懸濁液に二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを接触させる炭酸化工程を備え、該焼成物懸濁液液温度70℃以下であり、炭酸化工程の二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスと接触するまでの時間9時間以下であり、かつ該焼成物懸濁液の導電率を測定しつつ炭酸化工程を行い、導電率が一旦1.0ms/cm未満まで下がった後、1.0〜2.0ms/cmの範囲となった時に反応を終了させることを特徴とする無機粒子の製造方法。
  2. 前記炭酸化工程において、上部が円筒で下部が円錐の反応槽を有し、該円錐に多数の穴を空けた円筒型半回分式反応槽を用いて、該穴から二酸化炭素又は二酸化炭素含有ガスを吹き込むことにより該ガスの微細な気泡を生じさせ、該気泡を焼成物懸濁液に接触させることを特徴とする請求項1に記載の無機粒子の製造方法。
  3. 前記炭酸化工程において、焼成物懸濁液を周速2.0m/s以上で攪拌しながら2時間以上炭酸化反応を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の無機粒子の製造方法。
  4. 前記熱処理が、過剰空気雰囲気下、スラッジ温度650℃以下でスラッジ中の易燃焼性有機成分を燃焼除去する一次燃焼工程と、スラッジ温度700〜850℃でスラッジ中の難燃焼性有機成分を燃焼除去する二次燃焼工程との、少なくとも2段階の燃焼工程を経ることによって行われるものである、請求項1からのいずれか1項に記載の無機粒子の製造方法。
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