JP4321690B2 - 軸流送風機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば空気調和機の室外ファンや換気装置等に好適な軸流送風機に係り、特に、翼負圧面上の流れの剥離を抑制して送風性能の向上と送風音の低減とを共に図った軸流送風機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図13は従来の軸流送風機1の翼負圧面側から見たときの正面図、図14は、その軸流送風機1の翼1枚分を図示して他の翼を省略した一部切欠正面図である。この軸流送風機1は、図示しない回転軸が中心部Oに固定される円筒状のボス部2の外周側面に、複数の翼3,3…を周方向に所定のピッチを置いて一体または一体的に形成している。各翼3は、図中矢印で示す送風機回転方向(周方向)に対して空気流の上流側端部をなす凹弧状の前縁部3aと、空気流の下流側端部をなす後縁部3bと、凸弧状の外周端部3cと、図15でも示す流体吸込側の負圧面3dと、その裏面側の正圧面3eとを有する。
【0003】
そして、各翼3の負圧面3d側の前縁部3aの厚さを後縁部よりも厚い流線形の厚肉部3fに形成すると共に、この流線形厚肉部3fの前縁部3a上に、正面形状がほぼ矩形の複数の流線形リブ4を前縁部3aの輪郭線(外形線)に沿って送風機半径方向に所定間隔を置いて列状に配設している。
【0004】
図15は図12で示すようにボス部2の中心部に固定される図示しない回転軸の軸心Oから半径方向に任意の距離r離れた部分における周方向の翼断面を示している。
【0005】
この図15に示すように各翼3の負圧面3d側の前縁部3aには、流線形厚肉部3fが形成され、しかもその流線形厚肉部3f上には複数の流線形リブ4を配設しているので、この翼負圧面3d側前縁部3aから流入した空気流れUが流線形リブ4を通風した後に縦渦列Uzになる。このために、負圧面3dから空気流れが剥離するのを抑制することができるので、後縁部3bの後方(下流)に発生する後流渦fuの幅を縮小して送風音を低減させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の軸流送風機1では、流線形リブ4が1列しか配列されていないので、送風音低減効果が必ずしも十分ではないという課題がある。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、翼負圧面で発生する流れの剥離をさらに低減して送風音をさらに低減することができる安価で成形性の良好な軸流送風機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、回転軸が固定されるボス部の外周に、複数の翼を配設した軸流送風機において、上記各翼の負圧面側前縁部に、その前縁から翼後縁に向けて滑かに連なる流線形リブを、上記前縁部の輪郭線に沿ってボス部と外周端部間に所定の間隔を置いて列状に複数配設し、この流線形リブ列を送風機周方向に所定の間隔を置いて複数列設け、翼前縁側の外側流線形リブ列よりも送風機周方向内側に設けた内側流線形リブ列の各流線形リブの流入空気の通風方向を案内する通風側面を、回転軸中心Oと、翼外周と翼後縁との交点Qと、を結ぶ線分OQに対して各々の所定角度でそれぞれ傾斜させ、これらの各傾斜角を翼外周からボス部側の流線形リブに行くに従って大きくすることを特徴とする軸流送風機である。
【0009】
請求項2に係る発明は、内側流線形リブ列の各流線形リブは、その流入空気の通風方向を案内する通風側面の角度を、上記外側流線形リブ列の通風側面の角度に対して12°〜18°の範囲で傾斜させていることを特徴とする請求項1記載の軸流送風機である。
【0010】
請求項3に係る発明は、内側流線形リブ列の各流線形リブの送風機周方向に沿う長さL2を、外側流線形リブ列の各流線形リブの送風機周方向に沿う長さL1に対し、ほぼ0.8L1の長さに形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の軸流送風機である。
【0011】
請求項4に係る発明は、内側流線形リブ列は、その流線形リブを、外側流線形リブ列の流線形リブ同士の間隙に対応する位置に配設していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸流送風機である。
【0012】
請求項5に係る発明は、内側流線形リブ列の各流線形リブは、その送風機周方向に沿う断面の外面が円弧面をなし、その円弧外面の翼前縁側一部の円弧曲面の半径rcの方が、その反対側他部の円弧曲面の半径rdよりも大きくなるように一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸流送風機である。
【0015】
請求項5に係る発明は、内側流線形リブ列の各流線形リブは、その送風機周方向に沿う断面の外面が円弧面をなし、その円弧外面の翼前縁側一部の円弧曲面の半径rcの方が、その反対側他部の円弧曲面の半径rdよりも大きくなるように一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸流送風機である。
【0017】
これらの各発明によれば、軸流送風機の回転により各翼がボス部の軸心周りに回転すると、各翼の負圧面側の前縁部に、その外方から流入した空気流れが複数列の流線形リブをそれぞれ通過して縦渦列となるので、翼負圧面上で層流境界層から乱流境界層に遷移される。この乱流境界層は層流境界層よりも気流の流れの剥離が発生しにくいうえに、送風音の原因をなす後流渦の幅を狭くするので、送風音を低減することができる。しかも、上記流線形リブが通風方向に複数列あるので、上記図13等で示す流線形リブが1列しかない従来例よりも、送風音の原因をなす後流渦の幅をさらに狭くすることができる。このために、送風音をさらに低減することができる。さらに、各流線形リブは各翼に例えば樹脂モールド成型等により簡単に一体成形できるので、成形性が良好であり、製造コストを低減できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。なお、これらの図中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0021】
図1は本発明の一実施形態に係る軸流送風機11を翼負圧面側から見たときの全体構成を示す正面図、図2はその翼1枚分を図示して他の翼を図示省略して示す一部切欠正面図である。これらの図に示すように軸流送風機11は円筒状のボス部12の外周側面に、複数の翼13,13,13を例えば周方向等分位置にて一体ないし一体的に取り付けており、例えば樹脂モールド成形等により一体に成形される。
【0022】
ボス部12は有底円筒状の本体12aの内部中心部に、図示しない駆動モータの回転軸を挿入させて固定するための小円筒状のボス12bと、このボス12bから放射状に延びてボス本体12aの内周面に一体に連結するほぼ逆Y字状の連結リブ12cとを一体に連成している。
【0023】
一方、各翼13は、空気吸込側の負圧面13aと、その裏面の送風側である正圧面13bと、図1,図2中矢印で示す送風機回転方向に対し、各翼13の空気流の上流側端部をなす凹弧状の前縁部13cと、空気流の下流側端部をなす後縁部13dと、これら前縁部13cと後縁部13dの径方向外端同士を一体に連結してなる凸弧状の外周端部13eとを一体に形成している。
【0024】
そして、各翼13は、負圧面13a側の前縁部13c上に、正面形状がほぼ長方形で前縁部13cの前縁(前端)から後縁部13d方向に向けて滑かに連なる複数の流線形リブ14を上記前縁部の輪郭線に沿ってボス12bと外周端部13e間に所定の間隔を置いて列状に配置することにより外側流線形リブ列14aを形成している。さらに、この外側流線形リブ列14aよりも送風機周方向後縁部13d側(つまり翼内面側)へ所定間隔離れた箇所において、複数の流線形リブ14を上記前縁部の輪郭線に沿ってボス12bと外周端部13e間に所定の間隔を置いて列状に配設して内側流線形リブ列14bを形成し、これら内,外側流線形リブ列14b,14aを並列に設けている。
【0025】
そして、図2に示すように内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14は、その空気流れの通風方向を案内する通風側面14b1を、その外側近傍の外側流線形リブ列14aの各流線形リブ14の通風側面14a1に対して角度θで傾斜させており、その角度θとしては例えば12°〜18°の範囲に設定されている。
【0026】
また、図3に示すように内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14の通風側面14b1は、送風機回転中心、すなわちボス部12の中心Oと、翼後縁部13dの後縁と翼外周13eとの交点Qと、を結ぶ線分OQに対しても、各所定角度α1,α2,α3…αnで傾斜している。しかも、これら傾斜角度α1〜αnは、翼外周13eに最も近い流線形リブ14の通風側面14b1の角度α1からボス部12に最も近い流線形リブ14の通風側面14b1の角度αnに行くに従って漸次傾斜角度が大きくなり、αn=2α1に設定されている。
【0027】
図4はこのように構成された軸流送風機11の翼負圧面13a側の空気流れUの状態を矢印線で示している。図5は図4で示すようにボス部2の中心から半径方向に所定距離r1離れた翼13の任意箇所において送風機周方向に切断したときの翼断面と、その翼断面を流れる空気流れUの状態を示している。これらの図中、矢印線は空気の流れ方向を示し、矢印線の回転は縦渦列Uzを表している。
【0028】
これら図4,図5に示すように、上記軸流送風機11では、その前縁部13cの前縁フィレットから翼負圧面13a上に流入した空気流れUが外側流線形リブ列14aと内側流線形リブ列14bとをそれぞれ通過して、縦渦列Uzとなり、翼負圧面13a上を層流境界層から乱流境界層に遷移させる。これにより、送風音の原因をなす後流渦fzの幅を狭くして送風音を低減させることができる。
【0029】
しかも、この軸流送風機11によれば、流線形リブ14のリブ列が内,外2列14b,14aあるので、この内,外流線形リブ列14b,14aを空気流れUが通過することにより翼負圧面13a上で2重に縦渦列Uzを発生させることができる。このために、流線形リブ14が1列しかない例えば図13で示す従来の軸流送風機1よりも縦渦列Uzの発生量を増大させることができるので、送風音の原因である後流渦fzの幅をさらに狭くすることができ、その分、送風量をさらに低減することができる。なお、上記流線形リブ14bは3列以上設けてもよい。
【0030】
そして、図6に示すように上記内側流線形リブ列14bは、その各流線形リブ14の送風機周方向に沿う長手方向の長さL2を、外側流線形リブ列14aの各流線形リブ14の送風機周方向に沿う長手方向の長さL1よりも短かく形成し、例えば0.8L1に形成している。また、内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14の径方向の間隔Wをほぼ等間隔に設定している。
【0031】
さらに、図7に示すように内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14を、外側流線形リブ列14aの送風機半径方向で隣り合う流線形リブ14同士の間隙に対応する位置に配設している。
【0032】
さらにまた、図8に示すように、外側流線形リブ列14aの各流線形リブ14の前縁(図8では右端)同士を結ぶ仮想の円弧曲線15aの中心をP、その半径をraとしたときに、その中心Pと同心でかつ半径raよりも大径の半径rbの仮想の円弧曲線15b上に、内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14の前縁が位置するように配置している。
【0033】
また、図9に示すように外側流線形リブ列14aにおける各流線形リブ14の送風機半径方向の幅Waと、内側流線形リブ列14bにおける各流線形リブ14の送風機半径方向の幅Wbとをほぼ同一幅に形成している。
【0034】
図10は内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14を送風機周方向に沿って切断したときの円弧状断面14cを示しており、この円弧状断面14cは、その翼前縁部13c側の一部である前半部14c1の曲率半径をrc、その他部である後半部14c2の曲率半径をrdとしたときにrc>rdが成立するように形成されている。
【0035】
ところで、図11に示すように各翼13の前縁部13cの送風機半径方向に沿う翼断面の厚さh0はボス部12側Zaから翼外周13e側Zbへ行くに従って漸次薄くなるように除変されている。
【0036】
一方、図12に示すように各流線形リブ14の高さは、ボス部12側Yaから翼外周13e側Ybへ行くに従って漸次高くなるように徐変されており、翼外周13eに最も近い流線形リブの高さh1と、ボス部12に最も近い流線形リブ14の高さh2とは、h1=2h2となるように形成されている。すなわち、各流線形リブ14の高さが増して行く方向と、翼負圧面側前縁部13cの厚さを増して行く方向とが正反対であるので、この前縁部13cの厚さh0を含めた断面厚さhtがいずれの箇所でもほぼ等しくなる。このため、軸流送風機11の樹脂成形時による一体成形の冷却時間の短縮および肉ひけ等を防止ないし低減することができる。
【0037】
また、軸流送風機11は以上のように内側流線形リブ列14bの各流線形リブ14の長手方向の長さL2、設置間隔W、設置位置、前縁の位置、幅Wb、円弧外面の曲率等をそれぞれ設定したので、縦渦列を翼負圧面13a上に安定して発生させることができ、そのために送風音をさらに低減することができる。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は各翼の負圧面側前縁部に、その前縁端から滑らかに連なる流線形リブを複数列並設しているので、翼負圧面上にて空気流れの縦渦列を発生させ、流れの剥離を抑制することができ、ひいては翼後縁部後方にできる後流渦幅を小さくして送風音を低減することができる。また、各流線形リブが流線形状であるので、軸流送風機を例えば樹脂モールド成形により簡単に一体成形でき、成形性の向上と製造コスト低減とを共に図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る軸流送風機を翼負圧面側から見たときの全体構成の正面図。
【図2】図1で示す軸流送風機の内側流線形リブ列における各流線形リブの通風側面の傾斜角度を説明するための一部切欠正面図。
【図3】図1で示す軸流送風機の内側流線形リブ列における各流線形リブの傾斜角をそれぞれ変える場合の一部切欠正面図。
【図4】図1等で示す軸流送風機の翼負圧面上の空気流れの状態を示す一部切欠正面図。
【図5】図4で示す軸流送風機の翼を半径r1にて送風機周方向に沿って切断したときの翼断面図。
【図6】図1等で示す軸流送風機の内側流線形リブ列における各流線形リブの長手方向長さと各リブ同士の配置間隔を示す一部切欠正面図。
【図7】図1等で示す軸流送風機における内側流線形リブ列の各流線形リブを、外側流線形リブ列の各流線形リブ同士の間隙に対応する位置に配置する場合の一部切欠正面図。
【図8】図1等で示す軸流送風機における外側流線形リブ列の各流線形リブの前縁と、内側流線形リブ列の各流線形リブの前縁の位置関係をそれぞれ示す一部切欠正面図。
【図9】図1等で示す軸流送風機における内,外側流線形リブ列の各流線形リブの幅を説明するための一部切欠正面図。
【図10】図1等で示す各流線形リブの縦断面図。
【図11】図1等で示す軸流送風機の前縁部の送風機半径方向に沿う断面図。
【図12】図1等で示すボス部と内側流線形リブ列とを送風機半径方向に沿って切断したときの断面を示す模式図。
【図13】従来の軸流送風機の負圧面側から見たときの正面図。
【図14】図13で示す従来の軸流送風機の翼1枚分を示す一部切欠正面図。
【図15】図13で示す軸流送風機の回転中心から任意の半径で翼を周方向に切断したときの翼断面図。
【符号の説明】
11 軸流送風機
12 ボス部
13 翼
13a 翼の負圧面
13c 翼の前縁部
13d 翼の後縁部
13e 翼の外周端部
14 流線形リブ
14a 外側流線形リブ列
14b 内側流線形リブ列
15a,15b 外,内側円弧曲線
Claims (5)
- 回転軸が固定されるボス部の外周に、複数の翼を配設した軸流送風機において、
上記各翼の負圧面側前縁部に、その前縁から翼後縁に向けて滑かに連なる流線形リブを、上記前縁部の輪郭線に沿ってボス部と外周端部間に所定の間隔を置いて列状に複数配設し、この流線形リブ列を送風機周方向に所定の間隔を置いて複数列設け、
翼前縁側の外側流線形リブ列よりも送風機周方向内側に設けた内側流線形リブ列の各流線形リブの流入空気の通風方向を案内する通風側面を、回転軸中心Oと、翼外周と翼後縁との交点Qと、を結ぶ線分OQに対して各々の所定角度でそれぞれ傾斜させ、これらの各傾斜角を翼外周からボス部側の流線形リブに行くに従って大きくすることを特徴とする軸流送風機。 - 内側流線形リブ列の各流線形リブは、その流入空気の通風方向を案内する通風側面の角度を、上記外側流線形リブ列の通風側面の角度に対して12°〜18°の範囲で傾斜させていることを特徴とする請求項1記載の軸流送風機。
- 内側流線形リブ列の各流線形リブの送風機周方向に沿う長さL2を、外側流線形リブ列の各流線形リブの送風機周方向に沿う長さL1に対し、ほぼ0.8L1の長さに形成していることを特徴とする請求項1または2に記載の軸流送風機。
- 内側流線形リブ列は、その流線形リブを、外側流線形リブ列の流線形リブ同士の間隙に対応する位置に配設していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の軸流送風機。
- 内側流線形リブ列の各流線形リブは、その送風機周方向に沿う断面の外面が円弧面をなし、その円弧外面の翼前縁側一部の円弧曲面の半径rcの方が、その反対側他部の円弧曲面の半径rdよりも大きくなるように一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の軸流送風機。
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