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JP4319431B2 - タンデム圧延機の板厚制御方法および制御装置 - Google Patents

タンデム圧延機の板厚制御方法および制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の圧延機がタンデムに配置された連続圧延機の板厚制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図3は冷間圧延機に適用される従来のタンデム圧延機の板厚制御装置の概略図である。圧延機1〜5がタンデムに配置されて圧延材6は矢印の方向に順次圧延されて所望の板厚を得ることができる。圧延機を連続に配置したタンデム圧延機は、短時間のうちに大量の製品を生産することが求められる。このため、設定計算において、全スタンドの負荷配分を製品の種類に合わせて最適化し、各スタンド出側板厚を設定している。各スタンドの板厚制御装置は、板厚検出手段11〜15による板厚実績が設定板厚と等しくなるように速度制御手段41〜45または圧下位置制御手段31〜35に制御指令を出力する。
【0003】
しかし、タンデム圧延機の入側コイルの板厚や硬度は、先端から後端まで一定であることはなく、作業ロールの粗度も変化する。また、最下流スタンドにおいては、粗度の高い作業ロールを用いる場合、スリップの防止のために、または板形状、製品品質を均一に保持するために、最下流スタンドの圧延荷重を一定に保持して圧延することがある。
最下流スタンドに粗度の高いロールを用いた場合、摩擦係数が大きいため、最下流スタンドの圧下率を一定に保持することは極めて困難である。このため、図3に示すように最下流スタンドの圧延荷重を一定に保持し、1つ上流のスタンドの板厚目標値を変更することで所望の板厚を得る方法が一般的である。最下流から1つ上流の板厚目標値が変更されるため、設定計算で最適に計算した前段の出側板厚設定がそのままでは、特定のスタンドに負荷が集中したり、スリップが発生したりする場合がある。このような圧延異常の現象が発生すると、操作員が各スタンドの圧延荷重や圧延機の駆動電流を見ながら手動で速度や圧下位置を操作して、その回避に努めていた。なお、このようなタンデム圧延機は、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−342409号公報(段落0017、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、板厚精度を向上する目的で全スタンドに板厚制御を導入するシステムが普及している。ところが、このシステムでは、操作員による速度の修正が板厚制御と干渉して打ち消されてしまう。板厚設定を手動修正する方法を併用しても、全スタンドの板厚修正を同時に行うことは困難なため、上記したような異常現象が回避できないという問題があった。
【0006】
また、圧延トルク実績から板厚設定値を変更する手法においては、負荷のバランスを保持して安定するまでに時間を要し、コイル先端の板厚偏差を減少させることが困難であった。
【0007】
本発明の目的は、上記した従来技術の問題を解決し、各スタンドの出側目標板厚を迅速に変更し、タンデム圧延設備の生産効率を高める板厚制御方法と制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、最下流スタンドより検出した出側板厚実績または圧下率実績から1つ上流のスタンドの出側板厚目標値を求め、この1つ上流のスタンドの出側板厚目標値と初段スタンドの入側板厚実績と設定計算による圧下率の配分比率に基づいて、初段スタンドから最下流スタンドの1つ上流のスタンドまでの出側板厚目標値の変更量を決定することを特徴とする。
【0009】
すなわち、初段スタンドから最下流の1つ上流のスタンドまでの圧下率の配分が、前記設定計算による圧下率の配分と同じ比率になるように、各スタンドの出側板厚目標値を変更する。
【0010】
見方を変えれば、最下流スタンドの出側板厚実績または圧下率実績から、最下流スタンドの1つ上流のスタンドの出側板厚目標値を求め、前記1つ上流のスタンドの出側板厚目標値と、初段スタンドの入側板厚実績と、さらに上流の各スタンドの出側板厚目標値から計算した圧下率の配分比率が設定計算による圧下率の配分比率と同じになるように、各スタンドの出側板厚目標値の変更量を決定することを特徴とする。
【0011】
さらに、最下流スタンド出側板厚(製品板厚)変動を最小にするため、前記各スタンドの出側板厚目標値は板厚制御の制御周期以上の変更周期で、かつ板厚制御が追従できる板厚変更レートで変更する。すなわち、圧延の安定性を保ちながら、コイル内でダイナミックに板厚目標値を変更することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は複数のスタンドがタンデムに配置された連続圧延機で、前記スタンド毎に圧下制御装置と速度制御装置、及び出側板厚の検出値を目標値に追随させる板厚制御部を有するタンデム圧延機の板厚制御装置において、初段スタンドの入側板厚実績、最下流スタンドの1つ上流のスタンドの出側板厚目標値、及び設定計算による各スタンドの圧下率設定値に基いて、初段スタンドから前記1つ上流のスタンドの圧下率配分が前記圧下率設定値の配分と等しくなるように各スタンドの出側板厚目標値を変更する目標板厚変更手段を備えたことを特徴とするタンデム圧延の制御装置である。
【0013】
好ましくは、最下流スタンドの板厚検出手段により検出した出側板厚実績を基に最下流スタンドの1つ上流の出側板厚目標値を変更する板厚指令演算部と、初段スタンドの入側の板厚実績を検出する入側板厚検出手段と、初段スタンドの入側板厚と最下流スタンドの1つ上流のスタンドの出側板厚目標値に基づいて最下流スタンド以外の出側板厚の目標値を変更する目標板厚変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
さらに好ましくは、前記目標板厚変更手段は、前記入側板厚と最下流スタンド以外の出側板厚目標値から各スタンドの圧下率実績を演算し、最下流スタンドを除く各スタンドの圧下率の配分比率がセットアップ制御部からの設定圧下率の配分比率と等しくなるように、最下流スタンド及び最下流から1つ上流のスタンドを除く各スタンドの出側板厚目標値を変更することを特徴とする。
【0015】
本発明によればタンデム圧延機を、入側板厚実績と最下流スタンドの1つ上流のスタンドの出側板厚目標値(または最下流スタンドの入側板厚目標値)のみを用いて、特定スタンドへ負荷が集中することなく、板の形状にも影響なく最適な圧延スケジュールにバランスさせることができる。入側板厚や硬度の変化による圧延スケジュール計算の誤差を迅速に修正することができ、タンデム圧延機を常に最適な操業状態に維持することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例をタンデム圧延機への適用例を用いて説明する。図1は、5スタンドタンデム圧延機の板厚制御装置を示す。タンデム圧延機は複数のスタンド1〜5により構成される。被圧延材6は入側コイルとして準備され、タンデム圧延機の入側から各スタンドを通過することにより圧延される。
【0017】
タンデム圧延機の各スタンドには、作業ロール速度を指令値に一致させるように制御する速度制御装置41〜45、作業ロールのギャップが指令値になるように圧下位置を制御する圧下制御装置31〜35を設けている。また、入側および各スタンド出側には板厚を検出する板厚検出手段10〜15を設置している。スタンド間に板厚計が無い場合にはトラッキングによる板厚予測値を板厚検出手段として使用しても良い。
【0018】
圧延制御装置としては、板厚検出手段11〜14の板厚実績と出側板厚目標値の偏差が0となるように速度制御装置41〜43を介してロール速度、または圧下制御装置32〜34を介してロールギャップを制御する板厚制御部61〜64を設けている。また、張力実績の張力設定値に対する偏差が0または一定範囲内に入るように、上記と同様にロール速度またはロールギャップを制御する張力制御部52〜54を設けている。
【0019】
最下流スタンドについては、圧延荷重検出手段75により測定した圧延荷重実績が、設定荷重との偏差が0または一定の範囲内に入るように、圧下位置制御装置35を介してロールギャップを制御する荷重制御部85を設けている。また、最下流スタンド入側の張力と設定張力との偏差が0または一定の範囲内に入るように、No.4スタンドのロール速度を操作する張力制御部55を設けている。さらに、最下流スタンド出側板厚実績または該スタンド圧下率実績からNo.4スタンドの出側板厚目標値を演算し、No.4スタンド目標板厚変更指令をNo.4スタンド板厚制御部64へ出力する板厚指令演算部65を設けている。
【0020】
板厚制御部61〜64に対する出側板厚設定値の設定はセットアップ制御部200により行われる。セットアップ制御部200は、圧延する材料のコイル情報と製品仕様により、圧延モデルに基づいてスケジュール計算を行う。そして、製品を安定にかつ効率良く生産するための各スタンド出側板厚設定値、入側・出側張力設定値を決定し、板厚制御部61〜64、張力制御部52〜55へそれぞれ出力する。
【0021】
本実施例では、特に、目標板厚変更手段となる設定板厚変更量演算部100を追加している。ここでは、入側板厚検出手段10により検出した入側板厚実績、No.4スタンド出側板厚目標値、セットアップ制御部200による各スタンドの出側板厚設定値および圧下率設定値が入力される。これらに基づき、No.1スタンドからNo.4スタンドの圧下率の配分がセットアップ制御部200からの設定圧下率の配分と同じ比率となるように、No.1、No.2、No.3スタンドの出側板厚目標値を変更する。なお、圧下率とは圧延された板が何%薄くなっているかを示した数値である。
【0022】
すなわち、No.5スタンドの出側板厚実績または圧下率実績から、No.4スタンドの出側板厚目標値を求める。No.1スタンドの入側板厚実績と、No.4及びNo.1〜No.3スタンドの出側板厚目標値と、から計算した圧下率の配分比率が設定計算による圧下率の配分比率になるように、各スタンドの出側板厚目標値の変更量を決定する。
【0023】
具体的には、入側板厚実績と、No.4スタンド出側板厚目標値は決まってしまう(変更できない)ので、No.1〜No.3スタンドの出側板厚目標値を変更する。本例のNo.1〜No.4スタンドの実際の圧下率は、入側板厚実績とNo.1〜No.4スタンドの出側板厚目標値によって決まる。そこで、No.1〜No.4スタンドの圧下率の配分比率がセットアップ制御部200による設定計算の圧下率の配分比率と同じになるように、No.1〜No.3スタンドの出側板厚目標値の変更量を決定する。設定計算による圧下率をα1,α2,α3,α4、圧延中の実際の圧下率をγ1,γ2,γ3,γ4とするとき、α1:α2:α3:α4=γ1:γ2:γ3:γ4となるように、No.1〜No.3スタンドの出側板厚目標値を変更する。
【0024】
図2に設定板厚変更量演算部の構成を示す。板厚検出手段10により検出した入側板厚実績H1、板厚制御部61〜64に入力されているNo.1スタンドからNo.4スタンドの出側板厚目標値h1、h2、h3、h4を基に、圧下率実績演算部101が数1を用いて圧下率実績γ1〜γ4を演算する。
【0025】
【数1】
Figure 0004319431
【0026】
各スタンド圧下率実績をγ1〜γ4、セットアップ制御部200による各スタンド圧下率設定α1〜α4とすると、数2が成り立つ。
【0027】
【数2】
Figure 0004319431
【0028】
ここでΔh1、Δh2、Δh3はそれぞれNo.1、No.2、No.3スタンドの出側板厚目標変更量である。
【0029】
数1および数2を整理すると、数3の方程式が得られる。
【0030】
【数3】
Figure 0004319431
【0031】
数3をΔhについて解くことにより、それぞれの出側板厚目標変更量Δh1、Δh2、Δh3を求めることができる。
【0032】
目標板厚変更量演算部102は、ガウス・ジョルダン法を用いて数2を解き、No.1、No.2、No.3スタンドの出側板厚目標変更量Δh1、Δh2、Δh3を演算し出力する。本実施例では計算の容易なガウス・ジョルダン法を用いているが、その他の解法を用いても良い。評価関数演算部104は、目標板厚変更処理の実行可否を判定するための評価関数Jを、数4を用いて演算する。
【0033】
【数4】
Figure 0004319431
【0034】
数4は評価関数の一例であり、数5のように圧下率の配分実績と設定圧下率の配分比率の偏差φが一つの変数Jで評価できるものであれば良い。
【0035】
【数5】
Figure 0004319431
【0036】
ここでnは正の数を表している。
【0037】
上記のように求めた評価関数Jに基づき、板厚変更実行可否判定部105が、出側板厚目標値の変更処理を行うか否かの判定を行う。図2に示す通り、評価関数Jの判定にはヒステリシスを設けている。板厚変更実行可否判定部105は、評価関数Jがしきい値J1を超えた場合に板厚変更処理を実行し、評価関数JがJ0以下になるまで目標板厚変更処理を実施する。評価関数JがJ0以下となったとき目標板厚変更処理を停止する。
【0038】
レート処理部103は、出側板厚目標変更量Δh1、Δh2、Δh3にレート処理を施し、目標板厚変更指令Δh1ref、Δh2ref、Δh3refを出力する。目標板厚変更レートは、板厚制御部61〜64が十分追随でき、かつ安定に圧延可能であり、最下流スタンド出側板厚(製品板厚)の外乱とならない値に予め設定しておく。
【0039】
No.1、No.2、No.3スタンドの板厚制御部61〜63は上記の目標板厚変更指令に基づき、出側板厚実績と出側板厚目標値の偏差が0となるようにロール速度または圧下位置を制御する。最終的に、圧下率配分の実績が設定圧下率の比率と等しくなり、各スタンドに負荷が分散される。
【0040】
本実施例によれば、タンデム圧延機の入側板厚実績、最下流スタンド入側板厚目標(又は1つ上流のスタンドの出側板厚目標)を監視する。そして、板形状等の操業条件を考慮してスケジュール計算で決定した、最適な圧下率配分の比率に各スタンドの圧下率の配分比率を等しくすることが可能となる。これにより、特定スタンドへの負荷の集中を回避できる。また、最下流スタンドの圧延現象に影響を及ぼすことなく、最下流スタンド以外の各スタンドの圧下率配分を修正することが可能となる。この結果、被圧延材の入側コイルの板厚や、硬度等の変化によるタンデム圧延機内での圧下率配分の影響を迅速に抑制することができ、タンデム圧延設備を常に安定な操業状態に維持できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、タンデム圧延機の入側板厚実績、最下流スタンド入側板厚目標を監視して,特定スタンドへの負荷の集中を回避できる。また、最下流スタンド以外の各スタンドの圧下率の配分を修正することが可能となり、タンデム圧延設備を常に安定な操業状態に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるタンデム圧延機の板厚制御装置を示すブロック図。
【図2】図1に示した設定板厚変更量演算部の構成を示すブロック図。
【図3】従来のタンデム圧延機の板厚制御装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1〜5…圧延機、6…圧延材、10〜15…板厚検出手段、21〜25…電動機、31〜35…圧下位置制御装置、41〜44…速度制御装置、52〜55…張力制御装置、61〜64…板厚張力制御部、65…板厚指令演算部、100…設定板厚変更量演算部、101…圧下率実績演算部、102…目標板厚変更量演算部、103…レート処理部、104…評価関数演算部、105…板厚変更実行可否判定部、200…セットアップ制御部。

Claims (4)

  1. 複数のスタンドをタンデムに並べたタンデム圧延機の板厚制御方法において、
    最下流スタンドの出側板厚実績または最下流スタンドの圧下率実績より最下流スタンドの1つ上流のスタンド(以下、最下流−1スタンド)の出側板厚目標値を変更し、
    タンデム圧延機入側板厚実績をタンデム圧延機入側板厚目標値に、前記最下流−1スタンドの出側板厚目標値を最下流−1スタンド出側板厚目標値に設定し、
    予め当該被圧延材に設定されている初段スタンド〜最下流−1スタンドの圧下率配分と等しくなるように、初段スタンド〜最下流−2スタンド出側板厚目標値を前記タンデム圧延機入側板厚実績と前記変更された最下流−1スタンド出側板厚目標値に応じて変更することを特徴とするタンデム圧延機の板厚制御方法。
  2. 請求項1において、
    前記初段スタンドから最下流−1スタンドまでの出側板厚目標値は、板厚制御の制御周期以上の変更周期で、かつ板厚制御が追従できる板厚変更レートで変更することを特徴とするタンデム圧延機の板厚制御方法。
  3. 複数のスタンドがタンデムに配置された連続圧延機で、前記スタンド毎に圧下制御装置と速度制御装置、及び出側板厚の検出値を目標値に追随させる板厚制御部を有するタンデム圧延機の板厚制御装置において、
    下流スタンドの板厚検出手段により検出した出側板厚実績を基に最下流スタンドの1つ上流(以下、最下流−1スタンド)の出側板厚目標値を変更し、該変更された最下流−1スタンドの出側板厚目標値を最下流−1スタンド出側板厚目標値に設定する板厚指令演算部と、
    予めセットアップ制御部から当該被圧延材に設定されている初段スタンド〜最下流−1スタンドの圧下率配分比率と等しくなるように、初段スタンドの入側板厚と最下流−1スタンド出側板厚目標値に基づいて初段スタンドから最下流−2スタンドの出側板厚の目標値を変更する目標板厚変更手段とを備え
    前記板厚制御部は、前記セットアップ制御部から当該スタンドに設定されている板厚設定値に対し前記目標板厚変更手段で変更された出側板厚の目標値に基づいて板厚を制御することを特徴とするタンデム圧延機の板厚制御装置。
  4. 請求項3において、
    前記目標板厚変更手段は、前記タンデム圧延機入側板厚実績と最下流スタンド以外の出側板厚目標値から最下流スタンドを除く各スタンドの圧下率実績を演算し、最下流スタンドを除く各スタンドの圧下率の配分比率がセットアップ制御部からの設定圧下率の配分比率と等しくなるように、最下流スタンド及び最下流−1スタンドを除く各スタンドの出側板厚目標値を変更することを特徴とするタンデム圧延機の板厚制御装置。
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