JP4310591B2 - 溶接性に優れた高強度鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶接性に優れた高強度鋼板の製造方法に関する。より詳しくは、高度の安全性が要求される揚水型発電所の水圧鉄管や氷海域の海洋構造物などの用途に好適な、780MPa以上の引張強さを有する溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の高張力鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、溶接鋼構造物が大型化する傾向が顕著となっている。したがって、こうした大型溶接鋼構造物に使用される厚鋼板に対して要求される強度もますます高くなっている。
【0003】
高強度鋼板には、十分な焼入れ性を確保するために通常多くの合金元素が添加されているので、溶接すると熱影響部の硬度が上昇してしまう。熱影響部、特に溶接ボンド部の硬度が上昇すると、溶接後に低温割れの発生が誘発される。この低温割れを防止するためには、溶接施工前に予熱を行い、溶接部の冷却速度を低下させて硬度の上昇を防止する方法が有効である。
【0004】
しかし、高温での予熱は溶接施工コストが嵩むばかりか工期が長期化するし、特に、予熱温度が150℃を超える場合には、現場の作業環境が著しく劣悪となるので作業者への負担も急激に増加する。
【0005】
このため、溶接施工前に行う予熱が100℃以下の低い温度であっても熱影響部の硬度があまり上昇せず、低温割れを発生しない高強度鋼板、なかでも780MPaを超える引張強さ(以下、TSという)を有する高強度鋼板が求められている。
【0006】
TSが780MPaを超える高強度鋼板については、種々の製造方法が提案されている。例えば、特開昭59−136418号公報には、特定の化学組成を有する鋼を所謂「圧延後直接焼入れ」した後に焼戻しして高強度鋼を製造する方法が開示されている。しかし、この公報で提案された技術の場合、添加元素による溶接熱影響部の硬化量を示すPcm値が規定されていないばかりか、熱間圧延後の急冷停止温度も200℃以下であるため、特に、板厚が30mmを超えるような厚鋼板の場合には、予熱温度が100℃以下の低い温度であると必ずしも溶接時の割れが防止できるというものではなかった。
【0007】
特公平6−2904号公報、特開平2−205629号公報や特開平9−263828号公報にも「圧延後直接焼入れ」する高強度鋼の製造法が開示されている。しかしながら、これらの公報で提案された技術の場合も、添加元素による溶接熱影響部の硬化量を示すPcm値が規定されていないばかりか、「圧延後直接焼入れ」での水冷(急冷)停止温度については何ら言及されていない。つまり、溶接時の割れを防止するための予熱温度を低減する配慮がなされていないので、予熱温度が100℃以下の低い温度であると必ずしも溶接時の割れが防止できるというものではなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みなされたもので、その目的は、揚水型発電所の水圧鉄管や氷海域の海洋構造物などの用途に好適な、TSが780MPa以上、JIS4号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験における破面遷移温度(VTS)が−60℃以下で、しかも溶接施工時の予熱温度が100℃以下の低い温度であっても割れを発生しない板厚30mmを超えて50mm以下の高強度鋼板を廉価に製造する方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)、(2)に示す溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法にある。
【0010】
(1)質量%で、C:0.03〜0.15%、Mn:0.4〜1.5%、V:0.01〜0.07%、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0025%、Si:0〜0.5%、Cu:0〜0.6%、Ni:0〜1.20%、Cr:0〜0.6%、Mo:0〜0.6%、Al:0〜0.07%を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、不純物中のNは0.006%以下で、更に下記E1式で表されるPcmの値が0.25%以下を満足する化学組成の鋼片を、1000〜1180℃の温度域に加熱し、900℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延した後直ちに急冷し、表面温度が400〜150℃に達した時点でその急冷を停止し、以後室温まで放冷することを特徴とする溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法。
【0011】
Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B・・・E1
ここで、E1式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を表す。
【0012】
(2)上記(1)に記載の化学組成を有する鋼片を、1000〜1180℃の温度域に加熱し、900℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延した後直ちに急冷し、表面温度が400〜150℃に達した時点でその急冷を停止し、以後室温まで放冷した後、更に650℃以下の温度で焼戻しすることを特徴とする溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法。
【0013】
本発明でいう「圧下率」とは、圧延による厚さの減少割合をいう。又、熱間圧延後「直ちに」鋼板を急冷するとは、圧延後の鋼板を再加熱することなく水や油などの冷媒によって「圧延後直接焼入れ」することをいう。「放冷」とは、大気中での自然冷却を指す。
【0014】
以下、上記の(1)、(2)に記載のものをそれぞれ(1)の発明、(2)の発明という。
【0015】
溶接時の低温割れは、鋼に含有される合金元素量と溶接時に鋼中に侵入する水素量によって決定される。
【0016】
合金元素の含有量が多い場合には鋼の焼入れ性が向上して、優れた母材強度が得られる反面、溶接熱影響部の硬度が上昇して割れが発生しやすくなる。一方、溶接時に溶接金属や雰囲気から鋼中に侵入する水素が溶接ボンド部に代表されるような応力集中部に集まってポロシティーを形成し、これによって割れが発生するといわれている。
【0017】
溶接施工現場における溶接雰囲気を変化させることは困難であるので、鋼中への侵入水素量を軽減するためには、溶接材料を十分に乾燥させて水分を蒸発させることが重要であるが、溶接割れを防止するためには高い温度での予熱が必要となる。
【0018】
本発明者らは、特に、溶接施工時の予熱温度が100℃以下の低い温度であっても割れを発生しない高強度鋼板を廉価に製造する方法に関して種々検討を重ねた。その結果、溶接施工前の鋼板内に含有される水素量を低減することも溶接時の予熱温度の低減に重要な因子となることを知見した。
【0019】
熱間圧延前の加熱された状態では、鋼の組織は面心立方の結晶構造を有するオーステナイトで構成されている。上記面心立方晶の場合には、マトリックスへの水素の固溶量が極めて大きく多量の水素がとけ込んだ状態になっている。しかし、鋼板が、例えば水冷などの手段で急速に冷却され、その組織がマルテンサイトやベイナイトといった体心立方晶や体心正方晶になった場合には水素の固溶量が急激に減少するため、ガス状の水素がポロシティーを形成し、溶接などの場合には低温割れを引き起こす。この割れを減少させるには鋼板内の水素量を低減する必要があるが、そのためには上記の急冷を室温まで行わずに、水素が十分に拡散して鋼板外に放出できる温度で冷却を停止すればよいことが判明した。なお、前記冷却の停止温度は高い方が水素の放出がより効果的に行われるが、高すぎるとマトリックスの焼入れが不十分となり所望の強度が得られない。したがって、適切な焼入れができ、且つ、水素が放出される温度で冷却を停止するような「圧延後直接焼入れ」とすれば、溶接施工時の予熱温度が100℃以下の低い温度であっても割れを発生しない高強度鋼板を廉価に製造することができる。
【0020】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
【0022】
(A)鋼板の化学組成
C:0.03〜0.15%
Cは、鋼板の強度を確保する目的で添加する。その含有量が0.03%未満では焼入れ性が不足して所望の780MPaのTSを確保するのが困難であり、また靱性も劣化する。TSが780MPa以上、JIS4号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験におけるVTSが−60℃以下という、強度と靱性を確保する上で、Cは0.03%以上含有させることが必要である。一方、その含有量が0.15%を超えると、母材の靱性が低下するだけでなく、溶接熱影響部の硬度が上昇して溶接割れ感受性が高くなる。したがって、Cの含有量を0.03〜0.15%とした。なお、C含有量の上限は0.12%とすることが望ましく、0.10%とすれば一層好ましい。又、C含有量の下限は0.06%とすることが望ましい。
【0023】
Mn:0.4〜1.5%
Mnは、鋼板の焼入れ性を向上させ、強度を高めるために添加する元素で、その含有量が0.4%未満では所望の強度を確保することが困難となる。一方、1.5%を超えて含有させると、溶接低温割れの発生頻度が高くなる。したがって、Mnの含有量を0.4〜1.5%とした。なお、Mnの含有量は0.7〜1.2%とすることが好ましい。
【0024】
V:0.01〜0.07%
Vは、焼戻し軟化抵抗を増大させて、高温での焼戻しを可能とすることにより、強度及び靱性の向上に寄与する。しかし、その含有量が0.01%未満ではその効果が見られず、一方、0.1%を超えて含有させると靱性が劣化する。したがって、Vの含有量を0.01〜0.07%とした。なお、Vの含有量の上限は0.05%とすることが望ましい。
【0025】
Nb:0.005〜0.06%
Nbは、オーステナイトの低温域で微細なNb炭窒化物を形成することによりオーステナイト粒を微細化する。更に、析出したNb炭窒化物は圧延によって加工を受けた未再結晶オーステナイト粒の回復、再結晶を抑制する効果を有しており、母材靱性の確保に有効である。しかし、その含有量が0.005%未満では添加効果に乏しい。一方、0.06%を超えて含有させると、溶接時の割れ性が劣化してしまう。したがって、Nbの含有量を0.005〜0.06%とした。なお、Nb含有量の上限は0.03%とすることが望ましい。
【0026】
Ti:0.005〜0.03%
Tiは、オーステナイト粒の微細化、固溶Nの固定による有効B量確保のために不可欠な元素である。又、連続鋳造鋳片の横ひび割れを防止する上でもその添加が不可欠である。しかし、その含有量が0.005%未満では添加効果が得られない。一方、0.03%を超えて含有させると、母材靱性や溶接熱影響部の靱性が著しく損なわれる。したがって、Tiの含有量を0.005〜0.03%とした。
【0027】
B:0.0005〜0.0025%
Bは、鋼に微量固溶することで焼入れ性を向上させるので、板厚中心部まで十分な強度を確保することが可能になる。しかし、その含有量が0.0005%未満では前記の効果が十分には得られず、0.0025%を超えると母材靱性及び溶接熱影響部靱性の大幅な劣化を招く。したがって、Bの含有量を0.0005〜0.0025%とした。
【0028】
Si:0〜0.5%
Siは添加しなくても良い。添加すれば、鋼を脱酸する作用がある。この効果を確実に得るには、Siは0.03%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.5%を超えると、母材及び溶接熱影響部の硬度を著しく上昇させる島状マルテンサイトの局所的な生成を誘発して靱性の劣化を招く。したがって、Siの含有量を0〜0.5%とした。なお、Si含有量の上限は0.3%とすることが望ましい。
【0029】
Cu:0〜0.6%
Cuは添加しなくても良い。添加すれば、焼入れ性を向上させて強度を高める作用がある。この効果を確実に得るには、Cuの含有量は0.15%以上とすることが望ましい。しかし、その含有量が0.6%を超えると強度上昇作用よりも靱性や溶接性を劣化させる作用の方が著しくなってしまう。したがって、Cuの含有量を0〜0.6%とした。なお、Cu含有量の上限は0.3%とすることが望ましい。
【0030】
Ni:0〜1.20%
Niは添加しなくても良い。添加すれば、溶接性や靱性、なかでも脆性亀裂伝播停止特性を高める作用がある。この効果を確実に得るには、Niは0.4%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Niは高価な元素であり、添加することによって鋼板価格の上昇を招くため、経済性の観点からはその含有量を低く抑えることが好ましい。したがって、本発明ではNiの含有量を0〜1.20%とした。経済性の観点からは、Ni含有量の上限は1.1%とすることが好ましい。
【0031】
Cr:0〜0.6%
Crは添加しなくても良い。添加すれば、主として焼入れ性の向上を通じて鋼板の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Crは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.6%を超えると母材靱性や溶接性の劣化を招く。したがって、Crの含有量を0〜0.6%とした。
【0032】
Mo:0〜0.6%
Moは添加しなくても良い。添加すれば、焼入れ性及び焼戻し軟化抵抗を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、Moは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.6%を超えると強度が高くなりすぎて母材靱性が低下するし、溶接性の著しい劣化も招く。したがって、Moの含有量を0〜0.6%とした。
【0033】
Al:0〜0.07%
Alは添加しなくても良い。添加すれば、脱酸及び組織微細化の作用を有する。この効果を確実に得るには、Alは0.005%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.07%を超えると溶接熱影響部の靱性が劣化することに加えて、熱処理を行って組織を微細化させても靱性、なかでも脆性亀裂伝播停止特性の低下を招く。したがって、Alの含有量を0〜0.07%とした。Alの含有量は0.03〜0.05%とすることが望ましい。なお、本発明でいう「Al」量とは所謂「sol.Al(酸可溶Al)」量を指す。
【0034】
本発明においては、不純物元素としてのNの含有量を下記のとおりに制限する。
【0035】
N:0.006%以下
Nは母材及び溶接熱影響部の靱性を低下させてしまう。特にその含有量が0.006%を超えると、母材及び溶接熱影響部の靱性低下が著しい。したがって、Nの含有量を0.006%以下とした。
【0036】
Pcm:0.25%以下
Pcmは溶接部の割れ感受性を表す指数であり、本発明が対象とするTSが780MPa以上の鋼の場合には、前記E1式で表されるPcmの値が0.25%以下であれば、溶接施工時の予熱温度が100℃以下の低い温度であっても割れを発生しない。したがって、Pcmの値を0.25%以下とした。なお、Pcmの値は0.24%以下とすることが望ましく、0.23%以下にすれば一層望ましい。
【0037】
(B)鋼板の製造条件
(B−1)鋼片の加熱温度
鋼片の加熱温度は1000〜1180℃とする。これは、鋼片全体の組織を均一にオーステナイト化するために必要な温度であり、1000℃未満では加熱時に均一なオーステナイト粒を得ることができない。しかし、1180℃を超えて加熱するとオーステナイト粒が著しく大きくなって母材靱性が劣化するため、加熱温度は1180℃以下とする必要がある。
【0038】
(B−2)熱間圧延
「圧延後直接焼入れ」して組織を微細化するためには未再結晶温度域で適正量の圧下(加工)を加える必要がある。これは、オーステナイトの再結晶温度域で圧下してもオーステナイト粒内に格子欠陥が蓄積されないので、圧延後に急冷しても組織の微細化が生じないからである。又、未再結晶温度域で圧下してもその累積圧下量が少ないと、オーステナイト粒内に蓄積される格子欠陥が少なくなるので、圧延後に急冷しても組織の微細化が生じないからである。
【0039】
本発明が対象とする前記(A)項に記載の化学組成を有する鋼の場合、Nbを含有しているのでその未再結晶温度域は900℃以下であり、この温度域で累積圧下率が50%以上となる圧下を行った場合に初めて「圧延後直接焼入れ」した組織が微細化できる。したがって、上記(B−1)項に記載の温度域の温度に加熱した鋼片を熱間圧延して鋼板にするに際して、900℃以下の温度域での累積圧下率を50%以上とした。50%以上の累積圧下を加える未再結晶温度域の下限の温度は、圧延後の急冷で強度を確保する観点から750℃とするのがよい。なお、900℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上でありさえすればよいので、900℃を超える再結晶温度域での圧下率については特に規定しなくても良い。
【0040】
(B−3)「圧延後直接焼入れ」のための急冷
熱間圧延後は直ちに急冷を行うが、その急冷の停止温度を適正に制御することが極めて重要である。被処理材の表面温度が150℃未満の場合には、鋼中に含まれる水素が十分には放出されないので、溶接時の低温割れ性が劣化する。鋼中の水素放出の観点からは、急冷を停止する被処理材の表面温度は高い方が良いが、400℃を超える場合には強度確保に必要なマルテンサイト変態が不十分となり強度が低下すると同時に靱性も劣化してしまう。したがって、被処理材の表面温度が400〜150℃の温度域の温度に達した時点で急冷を停止し、以後室温まで放冷することとした。
【0041】
なお、既に述べたように、熱間圧延後「直ちに」鋼板を急冷するとは、圧延後の鋼板を再加熱することなく水や油などの冷媒によって「圧延後直接焼入れ」することをいう。又、「放冷」とは、大気中での自然冷却を指す。
【0042】
既に述べた(A)項、(B−1)項及び(B−2)項における規定と本(B−3)項の規定を満足させることによって、(1)の発明に係る溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法が得られる。
【0043】
(1)の発明の方法で製造された高強度鋼板には、必要に応じて強度と靱性のバランスを調整するための焼戻しが施される。
【0044】
(B−4)焼戻し
「圧延後直接焼入れ」した鋼板に焼戻しを施すことで、優れた強度と靱性のバランスを確保することができる。しかし、この焼戻し温度が650℃を超えると強度が著しく低下し、TSで780MPa以上という所望の強度を確保することが困難となる。したがって、(2)の発明においては、焼戻し温度を650℃以下とした。
【0045】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【0046】
【実施例】
表1、表2に示す化学組成を有する鋼1〜4、鋼6及び鋼8〜10、鋼X2〜X17及び鋼X19を180kg真空溶解炉を用いて溶製した。表1における鋼1〜4、鋼6及び鋼8〜10は化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例、表1及び表2における鋼X2〜X17及び鋼X19は成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例である。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
次いで、これらの鋼を通常の方法で厚さ160mmの鋼片とした後、表3に記載の各種条件で熱間圧延、直接焼入れ、焼戻しして板厚33〜51mmの鋼板とした。
【0050】
【表3】
【0051】
このようにして得た各鋼板の板厚中心部から、JIS4号引張試験片とJIS4号シャルピー衝撃試験片をそれぞれ圧延方向と平行な方向に採取し、母材の機械的性質を調査した。
【0052】
更に、溶接時の低温割れ防止温度をy割れ試験によって実施し、割れが発生しない予熱温度を調査した。
【0053】
表4、表5に試験結果をまとめて示す。なお、母材の強度と靱性の目標はそれぞれTSで780MPa以上、VTSで−60℃以下とした。又、y型溶接割れ試験における割れ停止予熱温度は100℃以下を目標とした。
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
表4における試験番号1〜4、試験番号6及び試験番号8〜10は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼を、本発明で規定する条件で製造した場合の結果を示すものである。いずれの場合もTSで780MPa以上の強度とVTSで−60℃以下の靱性が得られており、しかもy型溶接割れ試験における割れ停止予熱温度は高々75℃で目標を満足している。
【0057】
表4における試験番号13〜18は、化学組成が本発明で規定する範囲内にある本発明例の鋼を、本発明で規定する条件から外れた方法で製造した場合の結果を示すものである。被処理鋼の化学組成が本発明で規定する範囲内にあっても、製造条件が本発明の規定から外れているため、強度、靱性、溶接性のいずれかが目標に達していない。
【0058】
表5における試験番号20〜35及び試験番号37は、成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼を、本発明で規定する条件で製造した場合の結果を示すものである。製造条件が本発明の規定するものであっても、成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れているため、強度、靱性、溶接性の少なくとも1つが目標に達していない。
【0059】
【発明の効果】
本発明の方法によって、TSが780MPa以上、JIS4号シャルピー衝撃試験片を用いた衝撃試験における破面遷移温度(VTS)が−60℃以下で、しかも溶接施工時の予熱温度が100℃以下の低い温度であっても割れを発生しない板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板を廉価に製造することが可能である。
Claims (2)
- 質量%で、C:0.03〜0.15%、Mn:0.4〜1.5%、V:0.01〜0.07%、Nb:0.005〜0.06%、Ti:0.005〜0.03%、B:0.0005〜0.0025%、Si:0〜0.5%、Cu:0〜0.6%、Ni:0〜1.20%、Cr:0〜0.6%、Mo:0〜0.6%、Al:0〜0.07%を含有し、残部はFe及び不可避不純物からなり、不純物中のNは0.006%以下で、更に下記E1式で表されるPcmの値が0.25%以下を満足する化学組成の鋼片を、1000〜1180℃の温度域に加熱し、900℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延した後直ちに急冷し、表面温度が400〜150℃に達した時点でその急冷を停止し、以後室温まで放冷することを特徴とする溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法。
Pcm=C+(Si/30)+(Mn/20)+(Cu/20)+(Ni/60)+(Cr/20)+(Mo/15)+(V/10)+5B・・・E1
ここで、E1式中の元素記号は、その元素の含有量(質量%)を表す。 - 請求項1に記載の化学組成を有する鋼片を、1000〜1180℃の温度域に加熱し、900℃以下の温度域での累積圧下率が50%以上となるように熱間圧延した後直ちに急冷し、表面温度が400〜150℃に達した時点でその急冷を停止し、以後室温まで放冷した後、更に650℃以下の温度で焼戻しすることを特徴とする溶接性に優れた板厚30mmを超えて50mm以下の水圧鉄管または海洋構造物用高強度鋼板の製造方法。
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