JP4304391B2 - 酸化錫膜とその製造方法および酸化錫膜の製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸化錫膜とその製造方法に関し、詳しくは、太陽電池基板用透明導電膜等として好適に用いられる酸化錫膜とその製造方法に関する。また、本発明は、前記製造方法に用いられる酸化錫膜の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸化錫膜の形成方法として、四塩化錫と水との反応を利用して酸化錫膜を常圧CVD法により形成する方法が知られている。この方法では、酸化性雰囲気中で、加熱した基体表面に四塩化錫の蒸気を接触させて、基体表面での熱分解・酸化反応により基体表面に酸化錫膜を形成させる。
【0003】
酸化錫膜の主な用途の一つに、太陽電池基板用透明導電膜がある。
太陽電池基板用透明導電膜として用いられる酸化錫膜は、太陽電池のエネルギー変換効率(以下、単に「変換効率」ともいう。)を高くするため、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高く均一なものが望まれている。
ここで、ヘイズ率とは拡散透過光量を全透過光量で除した値である。ヘイズ率が高いと、光が膜を通過する際の散乱が大きくなるため、太陽電池の光電変換層内の光路長が長くなる。したがって、ヘイズ率を高くすることができれば、光電変換層での光吸収率が高くなり、太陽電池の変換効率が優れたものになる。
ヘイズ率を高くする手法としては、酸化錫透明導電膜の表面を微細な凹凸を有する形状にして、散乱を大きくすることが知られている。現在では、CVD法によれば表面を微細な凹凸を有する形状とすることができることから、酸化錫透明導電膜の形成にはCVD法が用いられている。この場合、酸化錫膜全面におけるヘイズ率が不均一であると、酸化錫膜全面での変換効率が低下する等の弊害が生じる。ヘイズ率が不均一となるのは、表面の凹凸が不均一である場合である。すなわち、表面の凹凸が不均一である状態、具体的には、凸部が大きい部分(凸部と凹部の高低差が大きい部分)が存在する状態であると、変換効率が低下する等の弊害が生じる。したがって、そのような弊害を防止するためには、表面に凹凸を均一に有するものとする必要がある。
【0004】
酸化錫膜をCVD法により形成する方法としては、有機錫化合物の反応を利用する方法と四塩化錫と水との反応を利用する方法が知られている。有機錫化合物の反応を利用する方法は、得られる酸化錫膜の透過率が低いという欠点がある。一方、四塩化錫と水との反応を利用する方法は、透過率を高くすることはできるが、表面の凹凸が不均一になる、すなわち、ヘイズ率が不均一になるという欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高い酸化錫膜であって、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、鋭意研究の結果、塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる方法により、シート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜を得ることは、ガラス基板上への酸化錫膜の形成初期(すなわち、酸化錫膜のガラス基板表面に近い部分の形成時)において、四塩化錫に対する水の割合を大きくすることにより達成できることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス表面に近い部分の酸化錫膜の形成時の四塩化錫に対する水の割合がガラス表面から遠い部分の形成時より大きい雰囲気であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0008】
具体的には、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0009】
本発明は、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出し、その際にガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記複数個の吐出口が2個であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
更に、本発明は、上記吐出口がインジェクターであることを特徴とする酸化錫膜の製造方法を提供する。
【0011】
更に、本発明は、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造装置であって、
水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出する吐出口をガラス基板の移動方向に複数個備え、ガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とする酸化錫膜の製造装置を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の酸化錫膜の製造方法は、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気であることを特徴とするものである。
【0013】
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気において、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気とする方法は、特に限定されないが、ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出し、その際にガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出する方法が挙げられる。前記方法の具体例としては、ガラス基板の移動方向の最上流の吐出口から吐出するガスが、1)四塩化錫および水を含有するガスである方法と、2)水を含有し四塩化錫を含有しないガスである方法とが例示される。
これらの方法について、ガラス基板の移動方向に並ぶ吐出口の数が2個である場合を例に挙げて説明する。
【0014】
▲1▼の方法においては、一方向に移動しているガラス基板の表面に、まず上流側の第一の吐出口から水濃度が高い四塩化錫および水を含有するガスが吹き付けられ、次に下流側の第二の吐出口から水濃度が低いガスが吹き付けられ、酸化錫膜が生成する。
酸化錫膜形成の初期においては、第一の吐出口から吐出された水濃度が高いガスの雰囲気で酸化錫膜が形成される。すなわち、ガラス基板の移動方向の上流側で初期に形成される、酸化錫膜のガラス表面に近い部分は、四塩化錫に対する水の割合が大きい状態で形成される。
次に、第二の吐出口から水濃度が低いガスが吹き付けられると、水濃度が高いガスの雰囲気に水濃度が低いガスが混入してくるため、酸化錫膜が形成される際の四塩化錫に対する水の割合が、時間の経過とともに低下してくる。すなわち、ガラス基板の移動方向の下流側で形成される、酸化錫膜のガラス表面に遠い部分は、ガラス表面に近い部分に比べて、水の割合が小さい状態で形成される。
【0015】
▲2▼の方法においては、一方向に移動しているガラス基板の表面に、まず第一の吐出口から水を含有し四塩化錫を含有しないガスが吹き付けられ、次に第二の吐出口から四塩化錫および水を含有するガスが吹き付けられ、酸化錫膜が生成する。
酸化錫膜形成の初期においては、ガラス表面付近に多量に存在する水に、四塩化錫および水を含有するガスに由来する四塩化錫が混入してくるため、酸化錫膜を形成する雰囲気における四塩化錫に対する水の割合は大きい。すなわち、ガラス基板の移動方向の上流側で初期に形成される、酸化錫膜のガラス表面に近い部分は、水が多量に存在する雰囲気で形成される。
その後、四塩化錫の混入が進むため、時間の経過とともに、酸化錫膜を形成する雰囲気における水の割合は小さくなってくる。すなわち、ガラス基板の移動方向の下流側で形成される酸化錫膜のガラス表面に遠い部分は、ガラス表面に近い部分に比べて、水が少ない雰囲気で形成される。
上記▲2▼の方法においては、インジェクターから連なる吐出口を通じて水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出してもよいが、四塩化錫および水を含有するガスの流れを一定方向に向けるために用いられる、いわゆるエアカーテンの空気に水を含有させて吐出することもできる。
【0016】
後述するように、本発明においては、酸化錫膜形成初期における雰囲気とガラス表面との親和性が重要である。
したがって、本発明においては、酸化錫膜形成の初期段階における雰囲気の水の濃度が高く、初期段階に続く段階における雰囲気の水の濃度が初期段階より低ければよく、その後の段階における雰囲気の水の濃度は、特に限定されない。
具体的には、ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口において、ガラス基板の移動方向の最上流の吐出口が、その下流側の吐出口のうち最も上流側にある吐出口(上流側から2番目の吐出口)より水濃度が高いガスを吐出する方法であって、酸化錫膜形成の初期段階における雰囲気の水の濃度がその後の段階における雰囲気の水の濃度より低い方法であればよく、吐出口が3個以上ある場合には、更にその下流にある吐出口(上流側から3番目以降の吐出口)の水濃度は特に限定されない。
【0017】
上述した本発明の酸化錫膜の製造方法により得られる本発明の酸化錫膜は、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高い。これは、四塩化錫の含有量に対して水の含有量の少ないガスを用いて酸化錫膜をガラス表面に形成する場合よりも、酸化錫膜形成初期においては水の量を多くして親和性を高めておき、その後水の量を少なくして酸化錫膜を形成していく方が、ガラス表面上での酸化錫の結晶成長が安定的に行われやすいからであると考えられる。
また、本発明の酸化錫膜は、全表面にわたり微細な凹凸を均一に有する形状となり、その凸部の高さ(凸部と凹部の高低差)は、100〜200nm程度である。このような形状になるのは、酸化錫の結晶成長が安定的に行われるため、結晶粒径が均一になるからである。酸化錫膜が前記形状になり、ヘイズ率が高く全表面にわたり均一となるので、変換効率が高くなる。
したがって、本発明の酸化錫膜は、太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には高い変換効率を実現することができ、極めて好適である。
【0018】
本発明に用いられる四塩化錫および水(水蒸気)を含有するガスは、例えば、四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとを混合して得られる。
四塩化錫を含有するガスは、例えば、バブラータンク中の液状の四塩化錫に不活性気体(四塩化錫と反応しない気体)、好ましくは窒素を吹き込み、四塩化錫を気化して得ることができる。四塩化錫を含有するガスが窒素等の不活性気体を含有する場合は、四塩化錫と水との反応がより起こりにくくなるので、好ましい一態様である。
水を含有するガスは、例えば、水蒸気のみからなるもの、水蒸気を含有する空気からなるものが挙げられる。
【0019】
四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとは、好ましくは100〜240℃の範囲内の温度で混合され、維持される。混合後のガスを上記温度範囲で維持すると、四塩化錫と水との反応が抑制され、反応が全く起こらないか、起こった場合でもわずかにしか起こらない。
130〜170℃の範囲内の温度であるのがより好ましい。
【0020】
四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとは、混合すると気体分子の拡散現象により均一なガスになるが、ガスミキサー等により撹拌を行ってもよい。
【0021】
▲1▼の方法の場合には、四塩化錫および水を含有するガスにおける四塩化錫と水の割合は、上流側の第一の吐出口から吐出されるガスにおいては、四塩化錫1molに対して、水が80〜200molであるのが好ましく、100〜150molであるのがより好ましい。下流側の第二の吐出口から吐出されるガスにおいては、四塩化錫1molに対して、水が30〜70molであるのが好ましく、40〜60molであるのがより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜生成初期において四塩化錫と水の割合が適当になり、酸化錫の結晶成長が安定的に行われる。
この場合、第一の吐出口からの吐出量と、第二の吐出口からの吐出量との割合を、(第一の吐出口からの吐出量):(第二の吐出口からの吐出量)=1:5〜1:20とするのが好ましく、1:10〜1:15とするのがより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜形成初期における四塩化錫および水の量が適当となり、また、製造コストを低廉化することができる。
【0022】
また、▲2▼の方法の場合には、下流側の第二の吐出口から吐出される四塩化錫および水を含有するガスにおける四塩化錫と水の割合は、四塩化錫1molに対して、水が30〜70molであるのが好ましく、40〜60molであるのがより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜生成初期において四塩化錫と水の割合が適当になり、酸化錫の結晶成長が安定的に行われる。
この場合、上流側の第一の吐出口から吐出される水を含有し四塩化錫を含有しないガスの吐出量は、第二の吐出口から吐出される四塩化錫1molに対して、第一の吐出口から吐出される水が50〜150molとなるようにするのが好ましく、60〜100molとなるようにするのがより好ましい。上記範囲で、酸化錫膜形成初期における四塩化錫および水の量が適当となり、また、製造コストを低廉化することができる。
【0023】
また、第一の吐出口と第二の吐出口との間に排気管を設けることもできる。このようにすると、酸化錫膜の形成時の四塩化錫に対する水の割合を容易に調節することができるようになる。
【0024】
各吐出口から吐出されるガスの流れる方向は、ガラス基板の移動方向と同方向であってもよく、逆方向であってもよい。
【0025】
四塩化錫および水を含有するガスは、本発明の目的を損なわない範囲で、他の物質を含有することができる。例えば、塩化水素;フッ化水素、トリフルオロ酢酸等のフッ素化合物;メタノール、エタノール等の低級アルコール;窒素等の不活性気体を含有することができる。
四塩化錫および水を含有するガスが塩化水素を含有する場合は、四塩化錫と水との反応がより起こりにくくなるので、好ましい一態様である。四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスの少なくとも一方が塩化水素を含有する場合には、両者の混合は、好ましくは450℃以下の温度で行われる。塩化水素の含有量は、四塩化錫1molに対して1mol以上であるのが好ましく、3〜5molであるのがより好ましい。
また、四塩化錫および水を含有するガスがフッ素化合物を含有する場合は、電導性が高くなるので、好ましい一態様である。この場合、さらに低級アルコールを含有すると、フッ素ドーピングが促進される。
【0026】
本発明に用いられるガラスは、特に限定されない。例えば、酸化物ガラスが挙げられる。
酸化物ガラスは、例えば、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスが挙げられる。
ケイ酸塩ガラスは、例えば、ソーダ石灰ガラス、ケイ酸ガラス、ケイ酸アルカリガラス、カリ石灰ガラス、鉛(アルカリ)ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸塩ガラスが挙げられる。
【0027】
また、ガラス基板にスパッタリング、真空蒸着等によって1層以上の薄膜を形成した後、該薄膜の上に本発明により酸化錫膜を形成し、多層膜とすることができる。そのような薄膜としては、例えば、金属、合金、これらの酸化物、窒化物、炭化物等の薄膜が挙げられる。具体的には、ソーダ石灰ガラスを基板として用いる場合において、該基板からのアルカリ成分の拡散防止のためのアンダーコート(以下「アルカリバリア層」という。)として、シリカ(SiO2 )膜等を形成したものを用いる例が挙げられる。
【0028】
ガラス基板の形状および大きさは、特に限定されず、例えば、厚みが0.2〜5mmの板状とすることができる。板状のガラス基板は、幅10〜500cmとすることができ、適当な長さに切断されていてもよく、また、切断されていない状態(リボン状)であってもよい。
アルカリバリア層の幾何学的膜厚(以下、単に「膜厚」という。)は、例えば、2〜100nmとすることができる。
ガラス基板の温度は、450〜620℃であるのが好ましい。上記範囲で、四塩化錫と水との反応が十分に起こり、成膜速度が大きいからである。ガラス基板の温度は、500〜600℃であるのがより好ましい。
【0029】
CVD法は、常圧(大気圧)で行うことが好ましい。
【0030】
本発明の酸化錫膜の膜厚(最大膜厚)は、特に限定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用透明導電膜(太陽電池用電極)として用いる場合には、400〜1000nmであるのが好ましく、600〜800nmであるのがより好ましい。
本発明の酸化錫膜の膜厚(最大膜厚)の変動幅は、−15〜+15%、特に−10〜+10%であるのが好ましい。
【0031】
本発明の酸化錫膜のシート抵抗は、特に限定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には、5〜15Ω/□であるのが好ましく、5〜10Ω/□であるのがより好ましい。
【0032】
本発明の酸化錫膜の可視光線透過率(以下、単に「透過率」という。)は、特に限定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には、80〜95%であるのが好ましく、85〜95%であるのがより好ましい。
【0033】
本発明の酸化錫膜のヘイズ率は、特に限定されず、用途に合わせて調節できるが、太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には、平均3〜30%であるのが好ましく、平均10〜15%であるのがより好ましい。
また、ヘイズ率の変動幅は、ヘイズ率の平均値に対して、−20〜+20%であるのが好ましく、−10〜+10%であるのがより好ましい。
【0034】
本発明の酸化錫膜は、その用途を特に限定されるものではないが、シート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有するので、太陽電池基板用透明導電膜として極めて好適に用いることができる。
また、例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、プラズマディスプレイ、タッチパネル等の透明電極;自動車用および建築用の熱線反射膜;フォトマスクその他各種用途の帯電防止膜;CRT表面の電磁遮蔽膜;冷凍ショーケース用等の各種の防曇用の透明発熱体;調光ガラスとしてのエレクトロクロミック素子用基板としても用いることができる。
【0035】
本発明の酸化錫膜を太陽電池基板用透明導電膜として用いる具体例を以下に示す。なお、本発明の酸化錫膜を用いる太陽電池基板は、以下のものに限定されない。
本発明によりガラス基板上に酸化錫膜を形成する。次に、プラズマCVD法により、基板全面にアモルファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を形成する。アモルファスシリコン薄膜は、酸化錫膜に近い方から、p層のa−SiC膜(アモルファスシリコン・カーバイド膜)(膜厚約10nm)、b層のa−SiC膜(膜厚約10nm)、i層のa−Si膜(アモルファスシリコン膜)(膜厚約350nm)、n層のa−Si膜(膜厚約20nm)よりなる。さらに、スパッタリング法により、基板全面に裏面電極として、酸化亜鉛透明導電膜(膜厚約50nm)および銀膜(膜厚約200nm)を形成する。
【0036】
現在、太陽電池の光電変換層であるアモルファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を透明導電性基板上に形成する方法としては、主にプラズマCVD法が用いられている。本発明の酸化錫膜を太陽電池基板用透明導電膜として用いる場合には、耐プラズマ性を付与するために、酸化亜鉛等の結晶性薄膜からなる透明導電膜を本発明の酸化錫膜の上にオーバーコートして用いるのも好ましい一態様である。
したがって、上記例において、アモルファスシリコン薄膜等のシリコン薄膜を形成する前に、酸化錫膜の上に20〜200nmの酸化亜鉛膜等を形成するのも好ましい一例である。
【0037】
本発明の酸化錫膜を用いて30cm×30cmの太陽電池基板を上記構成で作成した場合、太陽電池の変換効率は、8〜11%、より好適には10〜11%とすることができる。
【0038】
本発明の酸化錫膜の製造装置は、四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造装置であって、
水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出する吐出口をガラス基板の移動方向に複数個備え、ガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とするものである。
以下、図1〜4を参照しつつ、具体的に説明する。なお、本発明の製造装置はこれらに限定されない。
【0039】
図1は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す概念図である。
初めに、本発明の酸化錫膜の製造装置の構成について説明する。
本発明の酸化錫膜の製造装置は、ガラス基板の移動方向の上流側の第一のインジェクター1および下流側の第二のインジェクター2を備える。図1においては、2つのインジェクターを備える酸化錫膜の製造装置を示したが、水濃度の異なるガスを吐出する2つの吐出口に連なる1つのインジェクターを備える製造装置であってもよいし、1つの吐出口に連なるインジェクターを備え、かつ、いわゆるエアカーテンを備え、そのエアカーテンから水を含有するガスを吐出する製造装置であってもよい。
第一のインジェクター1は、気化した四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとが供給され、両者を混合するインジェクター本体3と、混合したガスを吐出するインジェクター吐出部4とを備える。インジェクター本体3は、内部に熱媒体(油等)を通しインジェクター本体3を一定温度に保つためのジャケット5を備えており、インジェクター吐出部4は、内部に熱媒体(油等)を通しインジェクター吐出部4を一定温度に保つためのジャケット6を備えている。
【0040】
インジェクター本体3は、バブラータンクから四塩化錫を含有するガスが供給される導管7を備える。
バブラータンクにおいては、液状の四塩化錫にボンベから窒素等の不活性気体が吹き込まれ、四塩化錫が気化し、四塩化錫を含有するガスが発生する。バブラータンクは、20〜100℃に保持される。四塩化錫を含有するガスは、水を含有するガスと混合する前に130〜170℃に加熱され、インジェクター本体3に供給される。
【0041】
また、インジェクター本体3は、ボイラーから気化した水(水蒸気)が供給される導管8を備える。
水を供給するボイラーは、100℃以上に保持される。水を含有するガスは、四塩化錫を含有するガスと混合する前に130〜170℃に加熱され、インジェクター本体3に供給される。
【0042】
インジェクター本体3においては、バブラータンクから導管7を介して供給される四塩化錫を含有するガスと、ボイラーから導管8を介して供給される水を含有するガスが混合される。インジェクター本体3の内部温度は、ジャケット5に熱媒体(油等)を通すことにより130〜170℃に保持される。
このとき、図示しないバルブ等の流量調節器で、導管7および8からそれぞれ供給される四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとの混合比が所望の値に設定できる。
インジェクター吐出部4は、均一に混合されたガスを吐出する。インジェクター吐出部4の内部温度は、ジャケット6に熱媒体(油等)を通すことにより130〜170℃に保持される。
【0043】
第二のインジェクターは、第一のインジェクターと同様の構造とすることができる。
導管13および14からそれぞれ供給される四塩化錫を含有するガスと水を含有するガスとの混合比も所望の値に設定でき、インジェクター本体3中のガスの水濃度はインジェクター本体9中のガスの水濃度より高い。
【0044】
四塩化錫および水を含有するガスは、インジェクター吐出部4および10から、それぞれガス流路15および16を通って、ガラス基板17に吐出される。ガス流路15および16は、カーボンブロック18、19、20により形成されている。
ガラス基板上に吐出された四塩化錫および水を含有するガスは、ガラス基板の移動方向と同方向に流れ、酸化錫膜の形成に用いられない過剰の水は、排気管21から排出され、酸化錫膜を形成する雰囲気における四塩化錫と水の割合が調整される。
インジェクターからガラス基板上に吐出される四塩化錫および水を含有するガスにおける水濃度は、上流側の第一のインジェクター1の方が下流側の第二のインジェクター2より高い。したがって、四塩化錫と水の割合を、例えば、上流側の第一のインジェクター1では、mol比で、四塩化錫:水=1:100〜1:200とし、下流側の第二のインジェクター2では、mol比で、四塩化錫:水=1:30〜1:60とすることができる。
図1の酸化錫膜の製造装置においては、第一のインジェクターから水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出することもできる。この場合には、四塩化錫と水の割合を、例えば、下流側の第二のインジェクター2では、mol比で、四塩化錫:水=1:30〜1:60とすることができる。
【0045】
ガス流路15の下端にある吐出口と、ガラス基板表面との距離は、1〜3cmとするのが好ましい。吐出角度は、ガラス基板表面に対して45〜90度(ガラス基板の移動方向を0度とする。)とするのが好ましい。ガス流路16の下端にある吐出口と、ガラス基板表面との距離は、1〜3cmとするのが好ましい。吐出角度は、ガラス基板表面に対して45〜90度(ガラス基板の移動方向を0度とする。)とするのが好ましい。
【0046】
ガス流路15の下端にある吐出口と、ガス流路16の下端にある吐出口との距離は、ガラス基板の移動速度との関係により変化するので限定されるものではないが、10〜100cmとするのが好ましく、20〜80cmとするのがより好ましい。
【0047】
四塩化錫および水を含有するガスの吐出量は、第一のインジェクター1では、ガラス基板の幅1m当たり、0.025〜1.4m3 /minとするのが好ましく、第二のインジェクター2では、ガラス基板の幅1m当たり、0.5〜7m3 /minとするのが好ましい。
四塩化錫および水を含有するガスの吐出速度は、第一のインジェクター1では、0.1〜10m/sとするのが好ましく、第二のインジェクター2では、0.5〜20m/sとするのが好ましい。
第一のインジェクターから水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出する場合には、四塩化錫および水を含有するガスの吐出量は、第二のインジェクター2では、ガラス基板の幅1m当たり、0.5〜7m3 /minとするのが好ましい。また、この場合には、ガスの吐出速度は、第一のインジェクター1では、0.1〜10m/sとするのが好ましく、第二のインジェクター2では、0.5〜20m/sとするのが好ましい。
【0048】
ガラス基板の移動速度は、四塩化錫および水を含有するガスの吐出量にもよるが、例えば、第一のインジェクター1からのガラス基板の幅1m当たりの吐出量を0.1m3 /min、第二のインジェクター2からのガラス基板の幅1m当たりの吐出量を1.0m3 /minとする場合には、1.0〜2.0m/minとするのが好ましい。
【0049】
四塩化錫および水を含有するガスは、層流であってもよく、乱流であってもよい。
【0050】
図2は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す概念図である。
図2の酸化錫膜の製造装置は、ガラス基板の移動方向の上流側の第一のインジェクター26および下流側の第二のインジェクター27を備える点で、図1の装置と同様であるが、排気管28の位置が2つのインジェクターの間にある点で異なる。
第一のインジェクター26から吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と同方向に流れ、第二のインジェクター27から吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と逆方向に流れ、排気管28から排気される。
インジェクターから吐出されるガスにおける水濃度が、上流側の第一のインジェクター26の方が下流側の第二のインジェクター27より高いこと、第一のインジェクター26からは水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出することができることについては、図1の装置と同様である。その他の条件等は、図1の装置に準ずる。なお、第二のインジェクター27より下流側に、排気管28とは別の排気管を更に有していてもよい。
【0051】
図3は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す概念図である。
図3の酸化錫膜の製造装置は、図2の装置の第一のインジェクターの代わりにエアカーテン29を用いるものである。エアカーテン29からは、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、例えば、水蒸気を含有する空気を吐出する。前記ガスにおける水の濃度は、例えば、1〜50%とすることができる。
エアカーテン29から吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と同方向に流れ、インジェクター30から吐出されたガスは、排気管31と排気管32から排気される。
エアカーテン29から吐出された水を含有し四塩化錫を含有しないガスは、排気管31から排気されるが、排気管31の下端付近でインジェクター30から吐出された四塩化錫および水を含有するガスと混合し、排気管31より下流側の雰囲気よりも水濃度が高い雰囲気を生成する。これは、図2の装置において、第一のインジェクター26から水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出する場合と同様である。
その他の条件等は、図2の装置と同様である。
【0052】
図4は、本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す概念図である。
図4の酸化錫膜の製造装置は、ガラス基板の移動方向の上流側の第一のインジェクター33および下流側の第二のインジェクター34を備える点で、図1の装置と同様であるが、排気管35の位置が第一のインジェクター33の上流側にある点で異なる。
第一のインジェクター33および第二のインジェクター34から吐出されたガスは、ガラス基板の移動方向と逆方向に流れ、排気管35から排気される。
インジェクターから吐出されるガスにおける水濃度が、上流側の第一のインジェクター33の方が下流側の第二のインジェクター34より高いこと、第一のインジェクター33からは水を含有し四塩化錫を含有しないガスを吐出することができることについては、図1の装置と同様である。その他の条件等は、図1の装置に準ずる。なお、第二のインジェクター34より下流側に、排気管35とは別の排気管を更に有していてもよい。
【0053】
本発明の酸化錫膜の製造装置によれば、シート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜を得ることができ、本発明の酸化錫膜の製造装置は、本発明の酸化錫膜の製造方法の実施に最適なものの一例として挙げられる。
【0054】
特許第2833797号明細書には、ガラス面に沿うように四塩化錫からなる第一の反応ガスの流れを作り、その流れ内に20%フッ化水素酸からなる第二の反応ガスの乱流の流れを導入し、結合された乱流の結合流により酸化錫層を付着する方法が記載されている。そして、前記明細書には、第二の反応ガスを乱流として与えることにより、ガラスと既に接触している第一の流れと十分な混合度で混合させ、十分均一な酸化錫層を付着させることができる旨記載されている。
しかし、前記方法は、上流側の第一の流れの方が下流側の第二の流れより水濃度が低いので、酸化錫の結晶成長が均一なものとならず、また、実際には、第一の流れと第二の流れの混合が十分ではなく、得られる酸化錫膜は十分に均一なものとはいえない。特に、太陽電池基板用透明導電膜として用いられる酸化錫膜に要求されるような、高いレベルでヘイズ率の均一性が満たされるものではない。したがって、本発明のようなシート抵抗が小さく、透過率が高く、ヘイズ率が高く、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜は得られない。
【0055】
【実施例】
以下に実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限られるものではない。
1.酸化錫膜の製造
(実施例1)
ソーダライムガラス基板(30cm×30cm×3mm)を用意し、十分に洗浄を行った後、アルカリバリアー層として約50nmの膜厚のシリカ膜をCVD法で形成し、その後図1に示す本発明の酸化錫膜の製造装置を用い、CVD法により四塩化錫を主原料とし、水との加水分解反応により酸化錫膜を形成した。具体的には、以下の手順で行った。
四塩化錫を55℃に保持したバブラータンクに入れ、ボンベから窒素を導入して気化させた。水は100℃以上に保持したボイラーから供給した。また、膜を低抵抗化するためのフッ化水素ガスをボンベを約80℃に加熱して気化させた。さらに、メタノールを30℃に保持したバブラータンクに入れ、ボンベから窒素を導入して気化させた。
四塩化錫および水をそれぞれ150℃に加熱した後、150℃に保温した導管7、8、13および14を経由して、第一のインジェクター1および第二のインジェクター2に輸送した。また、フッ化水素ガスおよびメタノールをそれぞれ150℃に加熱した後、それぞれ150℃に保温した導管(図示せず)を経由して、第一のインジェクター1および第二のインジェクター2に輸送した。
四塩化錫、水、フッ化水素ガスおよびメタノールをインジェクター本体3および9で混合した。混合比(mol比)は、第一のインジェクター1では、四塩化錫:水=1:100、第二のインジェクター2では、四塩化錫:水=1:50とした。インジェクター本体3および9の温度は熱媒体(油)により約150℃に保持した。
【0056】
約500℃のガラス基板17を、第一のインジェクター1からの水濃度が高いガスが吐出するガス流路15、ついで第二のインジェクター2からの水濃度が低いガスが吐出するガス流路16の下を通過させ、ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。吐出量比は、(第一のインジェクターからの吐出量):(第二のインジェクターからの吐出量)=1:10とした。
排気管21からは、過剰の水の排気を行った。
【0057】
(実施例2)
第一のインジェクター1から吐出するガスとして、四塩化錫および水を含有するガスの代わりに、水蒸気を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。
すなわち、約500℃のガラス基板17を、第一のインジェクター1からの水蒸気が吐出するガス流路15、ついで第二のインジェクター2からの四塩化錫および水を含有するガスが吐出するガス流路16の下を通過させ、ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。
なお、四塩化錫と水との混合比(mol比)は、第二のインジェクター2では、四塩化錫:水=1:50とした。また、吐出量比は、(第一のインジェクターからの吐出量):(第二のインジェクターからの吐出量)=1:5とした。
【0058】
(比較例1)
吐出口15からガスを吐出せず、かつ、排気管21から排気しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法により、ガラス基板表面に酸化錫膜を形成させた。
【0059】
2.酸化錫膜の物性
得られた酸化錫膜について、以下の物性を測定し、評価を行った。結果を第1表に示す。
なお、実施例1とは別に、図1の装置の代わりに図2または図4の装置を用いて、同様の条件でガラス基板表面に酸化錫膜を形成させる試みを行い、それぞれ実施例1と同様の酸化錫膜を得ることができた。また、実施例2とは別に、図1の装置の代わりに図3の装置を用いて、同様の条件でガラス基板表面に酸化錫膜を形成させる試みを行い、実施例2と同様の酸化錫膜を得ることができた。以下、実施例1および2で得られた酸化錫膜についての結果を示すが、図2〜4の装置を用いて得られた酸化錫膜についての結果も同様であった。
【0060】
(1)膜厚
触針式表面あらさ計を用いて、膜厚(最大膜厚)を測定した。
実施例1の膜は800nm、実施例2の膜は700nm、比較例1の膜は600nmであった。
【0061】
(2)シート抵抗
シート抵抗は、4端子法で測定した。実施例および比較例で得られた表面に膜を有するガラス基板を約3cm角に切り出し、対向する2辺に、長さ3cmの一対の電極を電極間距離が3cmとなるように、膜の上に平行に取り付けた。次に、テスターで電極間の抵抗(シート抵抗)を測定した。
実施例1の膜は7Ω/□、実施例2の膜は8Ω/□、比較例1の膜は10Ω/□であった。
【0062】
(3)透過率
波長400nm〜800nmでの分光透過率の平均値を積分球を用いた分光光度計によって測定し、ヘイズによる透過率の測定値の低下を補正し、透過率を算出した。
実施例1の膜は84%、実施例2の膜は85%、比較例1の膜は83%であった。
【0063】
(4)ヘイズむらおよびヘイズ率
ヘイズむらを肉眼により観察した。また、基板全面に分布する10箇所において、波長400nm〜800nmの光に対するヘイズ率をヘイズメータで測定した。
実施例1の膜は基板全面においてヘイズむらは観察されず、ヘイズ率は平均15%であり、高い部分では18%、低い部分では12%であった。実施例2の膜は基板全面においてヘイズむらは観察されず、ヘイズ率は平均12%であり、高い部分では15%、低い部分では9%であった。比較例1の膜は基板全面において縞模様のヘイズむらが観察され、ヘイズ率は平均7%であり、高い部分では18%、低い部分では4%であった。
【0064】
(5)膜表面の凹凸形状
走査電子顕微鏡(SEM)により、膜表面の凹凸形状を観察した。
実施例1および2の膜は、表面に微細なピラミッド状の凹凸を均一に有していた。凸部の高さ(凸部と凹部の高低差)は、実施例1の膜が約150〜170nm、実施例2の膜が約120〜150nmであった。
比較例1の膜は、表面の凹凸が不均一であり、凸部の高さ(凸部と凹部の高低差)は、約80〜250nmと大きくばらついていた。
【0065】
(6)太陽電池基板用透明導電膜とした場合の太陽電池基板のエネルギー変換効率
実施例1、2および比較例1で得られた酸化錫膜の形成されたガラス基板(30cm×30cm)に、プラズマCVD法により、全面にアモルファスシリコン薄膜を形成した。アモルファスシリコン薄膜は、酸化錫膜に近い方から、p層のa−SiC膜(アモルファスシリコン・カーバイド膜)(膜厚約10nm)、b層のa−SiC膜(膜厚約10nm)、i層のa−Si膜(アモルファスシリコン膜)(膜厚約350nm)、n層のa−Si膜(膜厚約20nm)より構成した。さらに、スパッタリング法により、基板全面に裏面電極として酸化亜鉛膜(膜厚約50nm)および銀膜(膜厚約200nm)を形成した。得られた太陽電池基板について、AM(Air Mass)1.5のソーラーシミュレータを用いて、エネルギー変換効率を測定した。
実施例1の膜は10%、実施例2の膜は9.5%であった。
一方、比較例1の膜は7%であったが、比較例1により得られた膜の中には、全く性能を発揮しないものもあった。これは表面の凹凸が不均一であるので、凸部の高さ(凸部と凹部の高低差)が大きい部分で短絡しているためであると考えられる。
【0066】
【表1】
【0067】
【発明の効果】
本発明の酸化錫膜の製造方法によれば、本発明は、シート抵抗が小さく、透過率が高く、かつ、ヘイズ率が高くかつ均一な酸化錫膜であって、表面に微細な凹凸を均一に有する酸化錫膜が得られる。前記本発明の酸化錫膜は、太陽電池基板用透明導電膜に用いると、エネルギー変換効率が高い太陽電池が得られるので、極めて好適である。また、本発明の酸化錫膜の製造装置は、前記方法の実施に好ましく用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図である。
【図2】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図である。
【図3】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図である。
【図4】 本発明の酸化錫膜の製造装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 第一のインジェクター
2 第二のインジェクター
3、9 インジェクター本体
4、10 インジェクター吐出部
5、6、11、12 ジャケット
7、8、13、14 導管
15、16 ガス流路
17 ガラス基板
18、19、20、22、23、24 カーボンブロック
21、25 排気管
26 第一のインジェクター
27 第二のインジェクター
28 排気管
29 エアカーテン
30 インジェクター
31、32 排気管
33 第一のインジェクター
34 第二のインジェクター
35 排気管
Claims (5)
- 四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出して酸化錫膜を形成させる際の雰囲気が、ガラス基板の移動方向の上流側の方が下流側より水濃度が高い雰囲気であることを特徴とする酸化錫膜の製造方法。 - 四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造方法であって、
ガラス基板の移動方向に並ぶ複数個の吐出口から、水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出し、その際にガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とする酸化錫膜の製造方法。 - 前記複数個の吐出口が2個であることを特徴とする請求項2に記載の酸化錫膜の製造方法。
- 前記吐出口がインジェクターであることを特徴とする請求項3に記載の酸化錫膜の製造方法。
- 四塩化錫と水とを反応させて一方向に移動するガラス基板上に酸化錫膜を常圧CVD法により形成する酸化錫膜の製造装置であって、
水を含有し四塩化錫を含有しないガス、ならびに、四塩化錫および水を含有するガスをガラス基板上に吐出する吐出口をガラス基板の移動方向に複数個備え、ガラス基板の移動方向の上流側の吐出口の方が下流側の吐出口より水濃度が高いガスを吐出することを特徴とする酸化錫膜の製造装置。
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