JP4378033B2 - ワイヤロープ探傷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワイヤロープを使用した各種設備の安全性確保のために、各種設備からワイヤロープを取り外すことなく使用状態のまま、ワイヤロープの素線切れや断線などの損傷の有無を検出するワイヤロープ探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
複数本のストランドをより合わせて構成されたワイヤロープは、静索として使用される他に、リフトやクレーン、エレベータなどでの動索として多用されている。このワイヤロープには、曲げおよび引張応力や摩擦などによって、ストランドを構成した素線に断線や局部的磨耗などの損傷が発生する。そのため、保安上、定期的に損傷の有無を検査する必要があるが、使用中のワイヤロープの損傷を検査する場合、従来、電磁気探傷法による検査と、技術者等の作業員による目視検査とが併用して行われている。
【0003】
図11は、従来の漏洩磁束法による損傷検出器の概略的な構成を示したものである。損傷検出器は、被検査体のワイヤロープ1を磁化する一対の永久磁石2,2が、ワイヤロープ1の周りを囲むように長手方向に間隔を置いて設けられ、その一対の永久磁石2,2間に設けられた検出器41でワイヤロープ1からの漏洩磁束を検出し、その検出信号を制御器42で処理してワイヤロープ1損傷の有無を検知するように構成されている。
【0004】
なお、センサとしての検出器41は、ワイヤロープ1の長手方向に沿い、かつ横断面の円周を半割り状態に分割するように形成された一対の差動式のプローブコイル41a、41bによって構成されている。
【0005】
永久磁石2,2により、ワイヤロープ1の長手方向に磁束が通ると、断線箇所や局部的な磨耗部分から漏洩磁束が発生するが、この漏洩磁束が、検出器41のプローブコイル41a、41bと交差することにより電圧変化が生じ、その電圧変化分を制御器42で検波、増幅等の処理を施して探傷信号を得るものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来の損傷検出器は、ワイヤロープ1の長手方向および円周方向に半円状に配置した一対の作動式のプローブコイル41a、41bにより漏洩磁束を検出するため、検出器41で一度に検出される検出範囲内は特に円周方向に大きな広がりを有している。従って、もしも同一円周方向に複数箇所の断線や磨耗部分が存在した場合でも、従来の損傷検出器は、1箇所の断線あるいは磨耗部分としてカウントしてしまうので、正しい損傷個数を把握できないという問題があった。
【0007】
その結果、漏洩磁束法により損傷部位が機械的に検出されたとしても、作業員による損傷箇所数等の確認が目視検査により改めて行われ、損傷個数がワイヤロープの交換基準に達しているかどうかを判断しなければならなかった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題を解決するためになされたもので、漏洩磁束法を用いて、複数箇所の断線や局部的磨耗などの損傷をより正確に検出し、それらの損傷がワイヤロープの交換基準に達しているかどうかを自動的に判定し得るワイヤロープ探傷装置を提供することを目的とする。
【0009】
また本発明は、ワイヤロープのストランド毎の損傷を検出し、それに基づき交換判定を行うことができるワイヤロープ探傷装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、ワイヤロープの損傷検出に加え、ワイヤロープの移動速度を容易に演算して求めることのできるワイヤロープ探傷装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の従来の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数本のストランドのより合わせからなるワイヤロープを長手方向に磁化する磁化手段と、前記ワイヤロープの円周方向に前記複数本のストランドそれぞれに対応するよう配置された複数個の磁気検出手段と、この磁気検出手段によって検出された磁気力が予め定められた基準値を超えたとき損傷信号を導出する損傷信号検出手段と、前記磁気検出手段に接続され、相対的に移動する前記ワイヤロープのストランドピッチ信号を得るストランドピッチ信号出力手段と、前記ストランドピッチ信号が予め定められた数だけカウントされる間に前記損傷信号検出手段から導出された前記複数個の磁気検出手段それぞれの損傷信号数を合計し、その合計数が予め定めた基準数を越えたか否かを判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
このように、ワイヤロープの円周方向に複数個の磁気検出手段を配置し、ストランドピッチ信号がカウントされる間の損傷信号数が基準数を越えたか否かを判定するので、断線数や摩耗箇所数をより正確に検出できるとともに、ワイヤロープ交換の要否判定を自動的に行うことができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、複数本のストランドのより合わせからなるワイヤロープを長手方向に磁化する磁化手段と、前記ワイヤロープの円周方向に前記複数本のストランドそれぞれに対応するよう配置された複数個の磁気検出手段と、この磁気検出手段によって検出された磁気力が予め定められた基準値を超えたとき損傷信号を導出する損傷信号検出手段と、前記磁気検出手段に接続され、相対的に移動する前記ワイヤロープのストランドピッチ信号を得るストランドピッチ信号出力手段と、前記ストランドピッチ信号が予め定められた数だけカウントされる間に前記損傷信号検出手段から導出された損傷信号から前記ストランド毎の前記損傷信号の合計数を求め、前記合計数が予め定めた基準数を越えたか否かを前記ストランド毎に判定する判定手段とを具備することを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のワイヤロープ探傷装置において、
磁気検出手段は、ワイヤロープの1ストランドの円周方向の幅および長手方向のピッチよりも短い形状に形成されたことを特徴とする。
【0014】
従って、各ストランドごとに損傷の有無はもちろん、各ストランドごとの損傷箇所数を検出することができ、ワイヤロープの交換の要否判定をより的確に行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイヤロープ探傷装置において、ストランドピッチ信号を、所定時間の間カウントすることによりワイヤロープの移動速度を演算するロ一プ速度演算手段を具備することを特徴とする。
【0016】
従って、ワイヤロープ交換の要否判定に加えて、特別の機器を追加設置することなく、単位時間当たりのストランドピッチ信号数のカウントにより、ワイヤロープの移動速度を検出することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の一実施の形態について、図1ないし図10を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は、本発明に係るワイヤロープ探傷装置の一実施の形態の全体構成を示した斜視図である。図1に示すように本発明のワイヤロープ探傷装置は、支持器2cによって所定の間隔を置くように連結された一対の磁石2a、2bから成る磁化器2が、移動するワイヤロープ1の周りを囲むように設けられており、また、一対の磁石2a、2bの間に設けられた漏洩磁束検出器3が、ワイヤロープ1の周りを囲むように配置されている。ワイヤロープ1の移動により、ワイヤロープ1と磁化器2および漏洩磁束検出器3との相対位置は連続的に変化する。
【0019】
漏洩磁束検出器3からの出力信号を処理する処理装置4は、マイクロコンピュータによって構成され、処理装置4には処理結果を表示する表示器5が接続されている。
【0020】
なお、本発明の一実施の形態を説明するに当たって、被検査体としてのワイヤロープ1の径は12mmφ、ワイヤロープ1を構成するストランドの数は8本とする。
【0021】
さて、図1に示した漏洩磁束検出器3を、ワイヤロープ1の長さ方向に垂直な面の横断面は図2のようになる。すなわち、漏洩磁束検出器3の内部には、ワイヤロープ1の周りを間隙を有して取り囲むように非磁性材料から成る輪体3aが設けられていて、この輪体3aに磁気検出手段である複数個(この実施の形態では16個)の磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)が図示のように等間隔に配置されている。
【0022】
一方、ワイヤロープ1は、それぞれが多数の素線のより合わせからなる8本のストランド1a(1a−1〜1a−8)が、中央の心綱1b(図示、黒く塗りつぶされている)の外側により合わされて構成され、16個の磁気センサ3bがワイヤロープ1の外側を円周状に取り囲むように配置されている。なお、配置される磁気センサ3bの数は、このようにワイヤロープ1を形成するストランド1a(1a−1〜1a−8)の本数の整数倍であることが望ましい。
【0023】
磁気センサ3bは、その検出面に垂直に入射するワイヤロープ1の漏洩磁束の磁気力に応じたアナログ信号を出力するが、図3に示すように、各磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)にはそれぞれアナログ・デジタル変換器3c(3c−1〜3c−16)が接続されていて、アナログ・デジタル変換器3cによってデジタル信号に変換された各出力信号が処理装置4に並列供給される。もちろん、磁気センサ3bとアナログ・デジタル変換器3cとの間に必要に応じて適宜、増幅器を設けることができる。また、各アナログ出力をマルチプレクサーを介して1つのアナログ・デジタル変換器に入力して信号処理することもできる。また、各磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)出力を掃引し、シリアル信号化してデジタル信号に変換後、処理装置4に供給するようにしても良い。
【0024】
次に、処理装置4について説明する。処理装置4はマイクロコンピュータで構成され、周期的に漏洩磁束検出器3からのデジタル信号を取り込んで、その信号を処理してストランドピッチ信号及び損傷信号を検出し、これらの信号を基に所定の基準値等と比較して、ワイヤロープ交換の要否判定を行い、その判定結果を出力するものである。
【0025】
すなわち、処理装置4は、図4にその概略構成を示すように、漏洩磁束検出器3の磁気センサ3bで検出された信号の入力周期を設定するタイマ4aと、中央演算処理装置(CPU)4bと、この中央演算処理装置4bが実行するプログラムを記憶している読出専用メモリ(ROM)4cと、漏洩磁束検出器3からの入力信号や中央演算処理装置(CPU)4bでの演算結果等を記憶する書換可能メモリ(RAM)4dと、磁気センサ3bなどからのデジタル信号を受け入れるデジタル入力回路(DI)4eと、中央演算処理装置4bでの演算結果や判定結果を表示器5に出力するデジタル出力回路(DO)4fと、書換可能メモリ4dに記憶されたデータを外部に取り出す場合に使用する記憶媒体4gなどから構成されており、これらの各構成ユニット間は、バスライン4hによって共通接続されている。なおこの他に、キーボードなどの入力装置も設けられているが、図示を省略した。
【0026】
次に、上記のように構成された本発明のワイヤロープ探傷装置における、第1の実施の形態の動作を、図1ないし図7を参照して説明する。
【0027】
なお、図5は、本実施の形態における装置の動作ステップを示したフローチャートであり、図6は、ワイヤロープ1の移動により、一つの磁気センサ3bから得られるアナログ検出信号と、その検出信号を導入して処理装置4で処理して得られる信号のタイミングチャートを示している。
【0028】
すなわち、図6(a)は、漏洩磁束検出器3の中の1個の磁気センサ3b(例えば3b−1)で検出された磁束密度すなわち磁気力の検出信号を示し、その検出信号には、素線の断線や局部的磨耗などの損傷からの漏洩磁束信号成分(21a,21b,21c)を含むことを示している。
【0029】
図6(b)は、その磁気センサ(3b−1)からの検出信号を導入し、処理装置4で処理演算されて得られたワイヤロープ1のストランドピッチを表すストランドピッチ信号を示している。また、図6(c)は、同じく処理装置4が、図6(a)の検出信号に含む、素線の断線や局部的磨耗などの損傷からの漏洩磁束信号成分(21a,21b,21c)を演算処理して取り出した、損傷信号(23a,23b,23c)を示したものである。
【0030】
このような信号は、他の全ての磁気センサ3b(3b−2〜3b−16)についても同様に得られる。
【0031】
また図7は、全ての磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)からの検出出力に基づき、処理装置4の処理によって得られた信号を、図6よりも時間軸を拡大して示したタイミングチャートで、(a)は、ストランドピッチ信号22であり、(b)は、得られた損傷信号23である。また、(c)は、順次得られるストランドピッチ信号のうちのある一つのストランドピッチ信号22aに対し、ワイヤロープ1の交換判定を行うための判定範囲を設定した設定信号25aであり、(d)は、次のストランドピッチ信号22bに対し同じく判定範囲を設定した設定信号25bである。そして、(e)は、処理装置4において、判定範囲内の損傷箇所数が予め設定された基準数を越えてカウント(計数)されたか否か、判定を行って出力された交換判定信号26を表している。
【0032】
さて、ワイヤロープ探傷装置を動作させるに当たり、ワイヤロープ1の径とストランド本数および処理装置4における信号処理の周期や交換判定の基準数などを、あらかじめ処理装置4に設定しておく。本実施の形態では、被検査体としてのワイヤロープ1は、8本のストランドで形成され、径が12mmφであるとしたので、ワイヤロープ1の径は12、ストランド本数は8と設定し、例えば信号処理の周期を1ms、処理装置4におけるワイヤロープ1の損傷有無の判定基準値を0.25mT、同じく処理装置4におけるワイヤロープ1交換判定のための損傷信号の基準値、すなわち基準損傷箇所数(基準数)を17にそれぞれ設定するものとする。
【0033】
このような設定のもとに、本発明のワイヤロープ探傷装置を稼動させるとき、処理装置4は、まずタイマ4aからのスタート指示によって、図5に示すフローチャートを1周期とする損傷検知動作を実行する。すなわち、処理周期を1msに設定したので、処理装置4のタイマ4aから1msごとにスタート信号が出力され、この信号を受ける度に、ステップ1として処理装置4は各磁気センサ3bからの出力を取り込む。
【0034】
なお、各磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)からの信号とも同じ取扱いとなるので、ここでは1個の磁気センサ3b(例えば3b−1)からの信号に注目して動作を説明する。
【0035】
ここで図6(a)に示すように、磁気センサ(3b−1)のアナログ出力は、ワイヤロープ1に素線の断線や局部的磨耗などの損傷がなければ、ワイヤロープ1の長手方向のストランドピッチによる凹凸による微少振幅の磁束変化が得られ、ワイヤロープ1に損傷があると、その部位においてワイヤロープ1の断面積が減少するため、漏洩磁束が増大して、磁気センサ3bからは上述のように、符号21a、21b、21cを付したような大きな出力を生ずる。この出力は処理装置4で予め設定された基準値(0.25mT)と比較され、符号21a、21b、21cの出力は基準値(0.25mT)を超えているので、図6(c)に示した損傷信号23(23a、23b、23c)として抽出され、順次書換可能メモリ4dに記憶される。
【0036】
次に図5のステップ2へ進み、磁気センサ(3b−1)の出力である磁束密度が正のときを1、負のときを0とする演算を行い、これを図6(b)に示すストランドピッチ信号22として、これも書換可能メモリ4dに記憶される。なお、このストランドピッチ信号22自体は、どの磁気センサ3bの出力でも同じなので、任意の出力を共通使用することができる。また、損傷信号23(23a、23b、23c)は、損傷箇所を検出する各磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)ごとに個別に得られるから、各磁気センサ3b毎に損傷信号23の抽出処理自体はリアルタイムで並行して行われる。
【0037】
図7(a)、(b)は、全ての磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)によるストランドピッチ信号22と損傷信号23を、時系列上に配列して示したものである。
【0038】
そこで、図5のステップ2に続き、次のステップ3では、ストランドピッチ信号22の立上がりエッジを検出し、ストランドピッチ信号22のレベルが0から1へ変化し、立上がりエッジを検出した(YES)ときは、ステップ4へ進み、8ストランドピッチ前までの損傷信号23の合計数を求める。すなわち、この実施の形態では、ワイヤロープ1は8本のストランド1aのより合わせで構成されているので、全ストランド1a(1a−1〜1a−8)について、各ストランドの1ピッチの長さ、つまり8個のストランドピッチ信号22が得られる間に含まれている損傷箇所の総数を、各ストランドピッチ信号のタイミングで順次カウントする。
【0039】
そのため、図7(a)に示すように、ストランドピッチ信号22aの立上がりを検出したときに、そこの立上がりエッジから8個前のストランドピッチ信号22a´の立上がりエッジまでを判定範囲として、図7(c)に示す設定信号25aの範囲内に含まれる損傷信号23の合計数を演算する。
【0040】
次にステップ5へ進み、演算された設定信号25aの範囲内の損傷信号23の合計数を、予め設定した交換判定の基準数(17)と比較する。図7(b)に示すように、設定信号25aの範囲に含まれている損傷信号23の数は16なので、これは基準数(17)に達していないから判定結果はNOとなり、このときはステップ7へジャンプする。なお、次のストランドピッチ信号22bの立上がりを検出したときに、その立上がりエッジから8個前のストランドピッチ信号22b´の立上がりエッジまでを判定範囲とする設定信号25bは、図7(d)に示されており、この設定信号25bの範囲内に含まれる損傷信号23の合計数を演算すると17である。よってこのときは、ステップ5での判定結果はYESとなり、ステップ6へ移行し、交換判定信号26bが出力され、判定信号26bによりワイヤロープ1の交換が必要である旨、表示器5に表示され、ステップ7に移行する。
【0041】
ステップ7では、ステップ4で計数した損傷信号23の合計数を出力するので、表示器5には、交換が必要である旨の表示と合わせ、ワイヤロープ1の交換基準に達しているか否かに拘わらず、損傷信号23の合計数そのものをも表示することができる。
【0042】
ステップ7における損傷数出力の後、ステップ8に移行し、ステップ3において、ストランドピッチ信号22の立上がりが検出されない場合(NO)と併せ、各磁気センサ3b(3b1〜3b−16)別の損傷判定が行われる。
【0043】
このように、本発明のワイヤロープ探傷装置における第1の実施の形態によれば、ワイヤロープ1の円周方向外側に複数個の磁気センサ3b(3b−1〜3b−16)を配置したので、心綱1bの外側により合わされた複数本のストランド1aに対して、よりきめ細かに損傷の有無を検出でき、その損傷個数を予め定めた基準値と比較判定して表示するので、自動診断が可能となり、作業員による目視検査に要する時間を大幅に削減することができる。
【0044】
また、この実施の形態では、磁気センサ3bをワイヤロープの1ストランドの円周方向の幅および長手方向のピッチよりも短い形状に形成し、磁気センサ3bを各ストランド1a(1a−1〜1a−8)に対応させたので、より的確な自動診断が可能であり、ワイヤロープ1交換判定の信頼性を向上させることができる。
【0045】
次に、本発明のワイヤロープ探傷装置における第2の実施の形態の動作を、図1ないし図4、及び図8並びに図9を参照して説明する。なお、図8は、第2の実施の形態における動作ステップを示したフローチャートであり、図9は図7と同様のタイミングチャートである。なお、図9において、(a)は、ストランドピッチ信号22であり、(b)は、全てのストランド1aの損傷信号23であり、(b´)は、その中のある1つのストランドについての損傷信号24である。また、(c)は、ストランドピッチ信号22aに対する判定範囲を設定する設定信号25aであり、(d)は、ストランドピッチ信号22bに対する判定範囲を設定する設定信号25bである。そして、(e)は、交換判定信号26を表している。
【0046】
この第2の実施の形態の特徴は、第1の実施の形態において、全てのストランドについての1ピッチの損傷個数の合計がその基準値(個数)と比較判定され交換判定を行ったのに加えて、より合わせの各ストランド毎にその損傷個数の合計を算出して交換判定を行えるようにしたことである。よって、この第2の実施の形態では、予め処理装置4に設定しておく値として、各ストランドに対する交換判定の損傷信号の基準数が追加され、ここでは例えば5と設定する。すなわち、ある1つのストランドの1ピッチの間に、損傷箇所が5箇所あれば、そのワイヤロープは交換が必要と判断する。
【0047】
このような設定のもとに、本発明のワイヤロープ探傷装置を稼動させるとき、処理装置4は、タイマ4aからのスタート指示によって、図8に示すフローチャートを1周期とする損傷検知動作を実行する。なお、処理周期を1msに設定したので、処理装置4のタイマ4aから1msごとにスタート信号が出力され、この信号を受ける度に、ステップ11として処理装置4は各磁気センサ3b(3b1〜3b16)からの出力を取り込むが、ステップ11からステップ13までは、図5によって説明したステップ1からステップ3までと同様なのでその説明は省略する。
【0048】
ステップ13において、ストランドピッチ信号22の立上がりと立下がりの両方のエッジが検出される(YES)とステップ14へ進み、ステップ14では、その検出エッジが立上がりか立下がりのいずれかを判定し、立下がりの場合はステップ20へジャンプし、立上がりのエッジが検出された場合はステップ15に移行し、8ストランドピッチ前までの全ストランド1aの損傷信号23の合計数と、各ストランド(1a−1〜1a−8)毎の損傷信号24の合計数を求める。
【0049】
なお、この実施の形態において、各ストランド1aに対応した損傷箇所の検出を行うために、磁気センサ3bからの検出信号を順次切替え変更する必要があり、その切替え変更のタイミング信号としてストランドピッチ信号22を利用している。すなわち、図2に示したように、本発明では、漏洩磁束検出器3にはストランド本数の2倍の磁気センサ3bが等間隔に配置されているので、ストランドピッチ信号22のある立上がりエッジを検出した時点で、0番ストランド1a−1が磁気センサ3b−1に対応しているとすれば、次のストランドピッチ信号22の立下がりが起きたとき、0番ストランド1a−1は磁気センサ3b−2に対応することになる。さらに次にストランドピッチ信号22の立上がりが起きたときには、0番ストランド1a−1は磁気センサ3b−3に対応する。このように、ストランドピッチ信号22の立上がり、立下がりを利用して順次対応する磁気センサ3bをずらしていくことにより、制御装置4はタイマ4aの開始指令を受ける度に、各ストランド1a毎の損傷信号24の合計の演算を行い、ストランド別データとして引き渡し、図4に示した書換可能メモリ4dに記憶する。
【0050】
さて、図8のステップ15において、全ストランド1aについてのワイヤロープ1の長手方向の1ピッチに含まれている損傷信号23の総数を得る手段は、第1の実施の形態として説明したものと同様であるが、各ストランド(1a−1〜1a−8)毎の同じく長手方向の1ピッチに含まれている損傷信号23の総数は、次のようにして求める。
【0051】
すなわち、ある一つのストランド1aに対応する損傷信号24は、例えば図9(b´)に現われたとする。そこで、図9(a)に示すように、現在のストランドピッチ信号22aの立上がりから、ストランド本数(8本)分前のストランドピッチ信号22a´の立上がりエッジまでの判定範囲において、図9(c)に示す設定信号25aの範囲内に含まれるストランド別の損傷信号24をステップ15においてカウントする。
【0052】
次に、ステップ16に移行し、ストランド別の損傷信号24の数を、予め設定した交換判定の基準数(損傷信号24の数が5)と比較する。図9(b´)に示すように、この実施の形態では、設定信号25aの範囲に含まれている損傷信号24の数は5なので、ステップ16での判定結果はYESとなり、交換判定信号26aが出力され、ステップ17へ進んで、交換判定信号26aによりワイヤロープ1の交換が必要である旨、表示器5に表示される。ただし、例えば設定信号25aの範囲に含まれている損傷信号24の数が4以下だったときは、第1の実施の形態として説明した全ストランド1aについての1ピッチに含まれている損傷信号23の総数も基準数以下のため、ステップ16での判定結果はNOとなり、このときは、ステップ18へジャンプする。
【0053】
なお、次のストランドピッチ信号22bの立上がりを検出したときに、そこの立上がりエッジから8個前のストランドピツチ信号22b´の立上がりエッジまでを判定範囲とする設定信号25bは、図9(d)に示されており、この設定信号25bの範囲内に含まれるストランド別の損傷信号24の数は4なので、基準数以下である。しかし、設定信号25bの範囲内に含まれる全ストランド1aの損傷信号23の総数が基準数を超えているために、こちらの判定結果はYESとなり、交換判定信号26bが出力され、ステップ17へ移行して、交換判定信号26bによりワイヤロープ1の交換が必要である旨、表示器5に表示される。
【0054】
従ってこの実施の形態では、表示器5に、全ストランドについての損傷信号23の総数とともに、ストランド別の損傷信号24の数を表示することもできる。
【0055】
なお、ステップ18では、ステップ15で計数した損傷信号23、24の合計数を出力し、ストランドピッチ信号22のエッジ(立上がりまたは立下がり)を検出したときに、ステップ20にてストランド1aに対応する磁気センサ3bを更新・記録し、ステップ21にてステップ13でストランドピッチ信号のエッジが検出されない(NO)ときと同様に、磁気センサ(3b−1〜3b−16)別に損傷判定が行われ、さらに、ステップ22として、磁気センサ(3b−1〜3b−16)毎に割り当てられたストランド別データとして損傷信号24を引き渡し・記憶する。
【0056】
このように、本発明の第2の実施の形態では、第1の実施の形態として説明した全ストランドの損傷数の合計による交換判定に加えて、ストランド毎の損傷数によっても交換判定を行うものであり、自動診断の信頼性をより向上させることができる。
【0057】
次に、本発明のワイヤロープ探傷装置における第3の実施の形態の動作を、図10に示したフローチャートを参照して説明する。
【0058】
なお、この第3の実施の形態は、第1または第2の実施の形態における動作に加えて、ストランドピッチ信号22の立上がりのエッジ間隔を測定し、所定時間内にカウントされるストランドピッチ信号22数がワイヤロープ1の移動速度に比例することに着目して、ワイヤロープ1の移動速度、すなわちロープ速度を演算して求めるものである。
【0059】
よって、図10には、図8に示した第2の実施の形態としての動作ステップのフローチャートに、第3の実施の形態としての動作部分を、ステップ19およびステップ23として付加してある(図8にはこのステップはない)ので、この付加した部分について重点的に説明し、図8と同じ部分についての説明は省略する。また、この第3の実施の形態では、処理装置4にロープ速度用カウンタとしての機能を持たせたものであり、予め設定しておくデータとして、ストランドピッチの初期値を追加する必要がある。ここでは、ストランドピッチの初期値を例えば9mmと設定しておく。なお、ストランド1aの本数は8本、ワイヤロープの径は12mmφ、タイマ4aの開始指令間隔は1msである。
【0060】
さて、処理装置4はタイマ4aの開始指令を受ける度に、ステップ23としてロープ速度用カウンタをインクリメントする。そして、ステップ19としてロープ速度の演算を行う。この演算は、タイマ4aの開始指令間隔(1ms)の間に検出したストランドピッチ信号22の数を、ロープ速度用カウンタにタイマ4aの開始指令間隔を乗じ、その結果でストランドピッチ初期値を割るものである。このようにして得た結果をロープ移動速度として記憶し、表示器5へ出力して、ロープ速度用カウンタはリセットされる。
【0061】
このように、本実施の形態は、単位時間当たりにカウントされるストランドピッチ信号22数がロープ速度に比例することに着目してその速度を時々刻々演算表示でき、他にロープ速度を測定するための特別な機器を必要とすることがなく、設備を有効に活用できる。また、計測したワイヤロープ1の速度を、例えばワイヤロープを利用しているエレベータ装置のシーブなどの駆動部の回転速度と比較することにより、大きな差があればワイヤロープに経年変化による伸びが進行しているものと判断することもできる。なお、ロープ速度の演算方法として、ストランドピッチ信号22の間隔をタイマ4aの開始指令間隔でカウントするものとして説明したが、これに限定されるものではなく、ある定められた時間間隔でストランドピッチ信号22をカウントし、その結果にストランドピッチ初期値を乗じて定められた時間間隔で割るようにしても良いことは言うまでもない。
【0062】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されることなく、種々の形態で実施できることは言うまでもない。
【0063】
例えば、表示器5に表示する内容としては、ワイヤロープ交換判定結果としての、交換必要または交換必要なしのメッセージや、全ストランドについての損傷数や、個別ストランドについての損傷数、さらにロープ速度などであればよい。さらに、表示器5を、ワイヤロープを利用している装置の運転者の側へ設置することによって、ワイヤロープを利用している装置の運転者に、ワイヤロープの損傷の状況を認識させることができると共に、ワイヤロープ探傷装置を操作する作業員を兼任することができ、ワイヤロープの探傷診断を効率的に実施することができる。
【0064】
また、各実施の形態における、損傷判定、交換判定、ストランド別交換判定の基準値およびストランドピッチ初期値などは、いずれも一例を示したものであり、ワイヤロープの種別、ロープ径、ストランド本数により大きく変化するものであって、特に限定されるものでない。さらに、ワイヤロープを磁化する磁化器2として永久磁石を用るものとして説明したが、電磁石を用いても良い。そして、磁気センサ11として、平面形状のものを配置したが、これも特に限定されるものではなく、検出面がストランド1aの長手方向および円周方向のピッチ幅よりも小さな、例えば平面形状の固体磁気センサではホール素子、またワイヤ状のものであれ電磁誘導式のコイル型磁気センサ等を用いることができる。
【0065】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、極めて顕著な作用効果を奏するワイヤロープ探傷装置を提供することができる。
【0066】
すなわち、請求項1の発明によれば、ワイヤロープ交換の要否判定を自動的に行うことができるので、ワイヤロープの素線切れ、内部断線などの目視検査による確認時間を大幅に削減することができ、損傷の検出作業を極めて効率化することができる。
【0067】
また、請求項2に記載の発明によれば、各ストランドの内、損傷の多いストランドを見付けて、ワイヤロープの交換の要否判定を行うのでより効率的にワイヤロープの交換作業を行うことができる。
【0068】
また、請求項3に記載の発明によれば、特別の機器を追加設置することなく、ワイヤロープの進行速度が検出できる。また、シーブなどのワイヤロープ駆動部の回転速度と比較することにより、大きな差があるときはワイヤロープに経年伸びが生じているとの判断を行うことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るワイヤロープ探傷装置の一実施の形態の全体像を示した斜視図である。
【図2】図1に示したワイヤロープ探傷装置の漏洩磁束検出器を、ワイヤロープに対して垂直な面で切断した断面図である。
【図3】漏洩磁束検出器に備えられている磁気センサの説明図である。
【図4】処理装置の一実施の形態の概略構成を示したブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における動作ステップを示したフローチャートである。
【図6】磁気センサから得られる検出信号に基づく各種信号を示したタイミングチャートである。
【図7】第1の実施の形態の動作を説明するために示した各種信号のタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態における動作ステップを示したフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態の動作を説明するために示した各種信号のタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態における動作ステップを示したフローチャートである。
【図11】従来のワイヤロープ探傷装置の全体像を示した斜視図である。
【符号の説明】
1 ワイヤロープ
1a ストランド
2 磁化器
3 漏洩磁束検出器
3b 磁気センサ(磁気検出手段)
4 処理装置
4a タイマ
5 表示器
22 ストランドピッチ信号
23、24 損傷信号
25a、25b 設定信号
26a、26b 交換判定信号
Claims (4)
- 複数本のストランドのより合わせからなるワイヤロープを長手方向に磁化する磁化手段と、
前記ワイヤロープの円周方向に前記複数本のストランドそれぞれに対応するよう配置された複数個の磁気検出手段と、
この磁気検出手段によって検出された磁気力が予め定められた基準値を超えたとき損傷信号を導出する損傷信号検出手段と、
前記磁気検出手段に接続され、相対的に移動する前記ワイヤロープのストランドピッチ信号を得るストランドピッチ信号出力手段と、
前記ストランドピッチ信号が予め定められた数だけカウントされる間に前記損傷信号検出手段から導出された前記複数個の磁気検出手段それぞれの損傷信号数を合計し、その合計数が予め定めた基準数を越えたか否かを判定する判定手段と、
を具備することを特徴とするワイヤロープ探傷装置。 - 複数本のストランドのより合わせからなるワイヤロープを長手方向に磁化する磁化手段と、
前記ワイヤロープの円周方向に前記複数本のストランドそれぞれに対応するよう配置された複数個の磁気検出手段と、
この磁気検出手段によって検出された磁気力が予め定められた基準値を超えたとき損傷信号を導出する損傷信号検出手段と、
前記磁気検出手段に接続され、相対的に移動する前記ワイヤロープのストランドピッチ信号を得るストランドピッチ信号出力手段と、
前記ストランドピッチ信号が予め定められた数だけカウントされる間に前記損傷信号検出手段から導出された損傷信号から前記ストランド毎の前記損傷信号の合計数を求め、前記合計数が予め定めた基準数を越えたか否かを前記ストランド毎に判定する判定手段と、
を具備することを特徴とするワイヤロープ探傷装置。 - 前記磁気検出手段は、前記ワイヤロープの1ストランドの円周方向の幅および長手方向のピッチよりも短い形状に形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のワイヤロープ探傷装置。
- 前記ストランドピッチ信号を、所定時間の間カウントすることにより前記ワイヤロープの移動速度を演算するロ一プ速度演算手段を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のワイヤロープ探傷装置。
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