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JP4369581B2 - 基地局装置および干渉抑圧送信方法 - Google Patents

基地局装置および干渉抑圧送信方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体通信システムにおける通信装置に関し、特に干渉キャンセラを備えた通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、干渉キャンセラを備えた通信装置が用いられる通信システムとしては、以下に示すものがある。図16は、従来の干渉キャンセラを備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。
【0003】
図16においては、移動局装置(A)1601および移動局装置(B)1602が基地局装置1607と無線通信を行う様子が示されている。なお、移動局装置(A)1601および移動局装置(B)1602は、基地局装置1607との通信において、それぞれ無線回線1603,1604および無線回線1605,1606を用いる。これらの無線回線は、すべて同一周波数が用いられている。以下、上り回線と下り回線のそれぞれについて説明する。
【0004】
まず、上り回線について説明する。移動局装置(A)1601および移動局装置(B)1602が送信した信号は、基地局装置1607のアンテナ1608およびアンテナ1609により受信される。
【0005】
基地局装置1607において、アンテナ1608およびアンテナ1609により受信された信号は、それぞれ無線部1610および無線部1611により復調される。回線推定部1612では、復調された信号を用いて、無線回線1603〜無線回線1606の状態が推定される。
【0006】
干渉キャンセラ1613では、回線推定部1612による推定結果に基づいて、無線部1610からの復調信号および無線部1611からの復調信号を用いて、互いの干渉が除去された移動局装置(A)の受信信号1614および移動局装置(B)の受信信号1615が得られる。
【0007】
これにより、移動局装置(A)および移動局装置(B)の送信信号がともに同一周波数上に伝送されたにもかかわらず、基地局1607では、干渉が除去された受信信号1614および受信信号1615が得られる。よって、上り回線については、同一周波数上に複数のユーザの信号を重畳できるので、周波数利用効率を向上させることができる。
【0008】
次いで、下り回線について説明する。基地局装置1607において、移動局装置(A)に対する送信信号1616および移動局装置(B)に対する送信信号1617は、それぞれ無線部1618および無線部1619により変調される。無線部1618および無線部1619により変調された信号は、それぞれアンテナ1608およびアンテナ1609を介して送信される。
【0009】
移動局装置(A)および移動局装置(B)においては、基地局装置から送信された送信信号1616および送信信号1617が混合された信号が受信される。そこで、移動局装置(A)および移動局装置(B)においても、基地局装置1607と同様の干渉キャンセラを備えることにより、複数ユーザの信号が混合された信号の中から所望の信号を分離することができる。これにより、下り回線についても、同一周波数上に複数ユーザの信号を重畳できるので、周波数利用効率を向上させることができる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の干渉キャンセラを備えた通信装置においては、以下のような問題がある。すなわち、干渉キャンセラは、多大な演算量を必要とし、また、同一周波数を使用しているすべてのユーザの情報(例えばユニークワードなど)を知る必要がある。このため、上記従来の干渉キャンセラを備えた通信装置を移動局装置に搭載することは、消費電力、コスト、大きさや制御信号の煩雑さ等の点により困難であるという問題がある。
【0011】
さらに、従来の干渉キャンセラを備えた通信装置においては、干渉の影響を抑圧するのみであるため、使用する回線に遅延波が存在する場合には、この遅延波の影響により受信信号の品質が悪化するという問題がある。
【0012】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、通信相手が簡単な構成で干渉または遅延波の影響を除去した信号を得ることが可能な基地局装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の態様に係る干渉抑圧送信装置は、各通信相手から送信された信号を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、前記各通信相手が用いた回線の状態を推定する回線推定手段と、前記回線の推定結果を用いて前記各通信相手に送信する信号を変換する信号変換手段と、を具備する構成を採る。
【0014】
この構成によれば、各通信相手が受信したときに良好な状態となるように、上記各通信相手に用いられた回線状態に応じて、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、受信信号における干渉や遅延波等の影響を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。
【0015】
本発明の第2の態様に係る干渉抑圧送信装置は、上記構成において、前記受信手段が、前記各通信相手が受信時に用いた回線の推定結果に関する情報が含まれた信号を受信し、かつ、前記回線推定手段は、前記情報に基づいて、前記各通信相手が受信時に用いた回線の状態を推定する構成を採る。
【0016】
この構成によれば、送受信に用いられる回線がそれぞれ異なる方式の通信、すなわち、例えばFDD方式の通信において、各通信相手が受信したときに良好な状態となるように、上記各通信相手より通知された、上記各通信相手が受信時に用いた回線状態に関する情報に応じて、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、受信信号における干渉や遅延波等の影響を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。
【0017】
本発明の第3の態様に係る干渉抑圧送信装置は、上記構成において、前記信号変換手段が、前記各通信相手が受信する信号が他の通信相手に対する信号との干渉が除去された状態となるように、前記信号を変換する構成を採る。
【0018】
この構成によれば、各通信相手が受信したときに各通信相手の間における干渉が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、干渉キャンセラ等の受信信号における干渉を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。これにより、各通信相手は、干渉の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことができる。
【0019】
本発明の第4の態様に係る干渉抑圧送信装置は、上記構成において、前記信号変換手段が、前記各通信相手が受信する信号が遅延波の影響が除去された状態となるように、前記信号を変換する構成を採る。
【0020】
この構成によれば、各通信相手が受信したときに遅延波の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、遅延波の影響を除去するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。これにより、各通信相手は、遅延波の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことができる。
【0021】
本発明の第5の態様に係る干渉抑圧送信装置は、上記構成において、前記信号変換手段が、前記回線の推定結果を用いたトレーニングを行うトレーニング手段を具備し、前記トレーニング結果を用いて前記信号を変換する構成を採る。
【0022】
この構成によれば、回線の推定結果を用いたトレーニングの結果に応じて、各通信相手に対する送信信号を変換するので、Robust性を向上させることができる。
【0023】
本発明の第6の態様に係る干渉抑圧送信方法は、各通信相手から送信された信号を受信する受信工程と、前記受信手段により受信された信号に基づいて、前記各通信相手が用いた回線の状態を推定する回線推定工程と、前記回線の推定結果を用いて前記各通信相手に送信する信号を変換する信号変換工程と、を具備する。
【0024】
この方法によれば、各通信相手が受信したときに良好な状態となるように、上記各通信相手に用いられた回線状態に応じて、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、受信信号における干渉や遅延波等の影響を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。
【0025】
本発明の第7の態様に係る干渉抑圧送信方法は、前記受信工程は、前記各通信相手が受信時に用いた回線の推定結果に関する情報が含まれた信号を受信し、かつ、前記回線推定工程は、前記情報に基づいて、前記各通信相手が受信時に用いた回線の状態を推定する。
【0026】
この方法によれば、送受信に用いられる回線がそれぞれ異なる方式の通信、すなわち、例えばFDD方式の通信において、各通信相手が受信したときに良好な状態となるように、上記各通信相手より通知された、上記各通信相手が受信時に用いた回線状態に関する情報に応じて、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、受信信号における干渉や遅延波等の影響を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の骨子は、各通信相手が受信したときに各通信相手の間における干渉または遅延波等の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するようにしたことである。
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。図1においては、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置107が移動局装置(A)101および移動局装置(B)102とTDD(Time Division Duplex)方式の無線通信を行う様子が示されている。
【0030】
なお、移動局装置(A)101および移動局装置(B)102は、基地局装置107との通信において、それぞれ無線回線103,104および無線回線105,106を用いる。これらの無線回線は、すべて同一周波数が用いられている。また、本実施の形態においては、移動局装置2対2ブランチアンテナを備えた基地局装置を例にとり説明を行うが、通信を行う移動局装置の数と等しければ、備えるアンテナの数および移動局装置(通信相手)の数に限定はない。以下、上り回線と下り回線のそれぞれについて説明する。
【0031】
まず、上り回線について説明する。移動局装置(A)101および移動局装置(B)102が送信した信号は、基地局装置107のアンテナ108およびアンテナ109により受信される。
【0032】
基地局装置107において、アンテナ108およびアンテナ109により受信された信号は、それぞれ無線部110および無線部111により復調される。回線推定部112では、復調された信号を用いて、無線回線103〜無線回線106の状態が推定される。なお、回線推定部112による回線103〜回線106の回線推定値は、後述するSIR最適演算部118に送られる。このSIR最適演算部118については後述する。
【0033】
干渉キャンセラ113では、回線推定部112による回線推定値に基づいて、無線部110からの復調信号および無線部111からの復調信号を用いて、互いの干渉が除去された移動局装置(A)の受信信号114および移動局装置(B)の受信信号115が得られる。
【0034】
これにより、移動局装置(A)および移動局装置(B)の送信信号がともに同一周波数上に伝送されたにもかかわらず、基地局107では、干渉が除去された受信信号114および受信信号115が得られる。よって、上り回線については、同一周波数上に複数のユーザの信号を重畳できるので、周波数利用効率を向上させることができる。
【0035】
次いで、下り回線について説明する。基地局107において、移動局装置(A)に対する送信信号116および移動局装置(B)に対する送信信号117は、信号変換部119に送られる。
【0036】
信号変換部119では、SIR最適演算部118からの係数を用いた行列式により、送信信号116および送信信号117に対する線形変換が行われる。すなわち、信号変換部119では、次に示す行列式により上記各送信信号に対する線形変換が行われ、無線部120に出力される信号Eおよび無線部121に出力される信号Fが得られる。
【数1】
Figure 0004369581
ただし、x1、x2、y1、y2はSIR最適演算部118により定められた係数であり、AおよびBはそれぞれ送信信号116および送信信号117である。
【0037】
ここで、SIR最適演算部118による係数演算方法について説明する。まず、移動局装置(A)101における受信信号CのSIR(信号対干渉波比)、および、移動局装置(B)102における受信信号DのSIRが最大となるためには、次に示す式が最小になればよい。
{A(x1f1+x2f3−1)+B(y1f1+y2f3)}2+{B(y1f2+y2f4−1)+A(x1f2+x2f4)}2−(2)
ただし、f1〜f4はそれぞれ回線103〜回線106の回線推定値である。
【0038】
上式(2)が最小となる場合におけるx1、x2、y1およびy2は、上式(2)をそれぞれx1、x2、y1、y2で偏微分した各式において、(A,B)=(1,1)および(A,B)=(1,−1)のときに0になるという条件で解くことにより定められる。
【0039】
これにより、x1=f4/(f1f4−f2f3)、x2=f2/(f2f3−f1f4)、y1=f3/(f2f3−f1f4)、y2=f1/(f1f4−f2f3)となる。
【0040】
なお、上式(2)をそれぞれx1、x2、y1、y2で偏微分した各式において、x1f1+x2f3=1、y1f2+y2f4=1という拘束の下に、y1f1+y2f3=0、x1f2+x2f4=0という条件で解いても、同一の係数が得られる。
【0041】
さらに、次元が多い場合においても、回線の状態を行列に配置して、その行列の逆行列を解くことにより、各係数が得られる。以上が、SIR最適演算部118による係数演算方法である。
【0042】
信号変換部119により出力された信号Eおよび信号Fは、それぞれ無線部120および無線部121により変調される。無線部120および無線部121により変調された各信号は、それぞれアンテナ108およびアンテナ109を介して送信される。
【0043】
移動局装置(A)および移動局装置(B)においては、互いの干渉が除去された状態の信号が受信される。これにより、下り回線についても、同一周波数上に移動局装置(A)および移動局装置(B)の2つのユーザの信号を重畳することができるので、回線容量すなわち周波数利用効率を向上させることができる。
【0044】
なお、本実施の形態においては、2つの移動局装置の信号を多重した場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、いかなる数の移動局装置の信号を多重した場合にも適用可能なものである。この場合には、移動局装置に対応する数のアンテナを設ける必要があり、また、逆行列が存在する必要がある。
【0045】
このように、本実施の形態によれば、各通信相手が受信したときに各通信相手の間における干渉が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、干渉キャンセラ等の受信信号における干渉を抑圧するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。これにより、各通信相手は、干渉の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことができる。したがって、通信相手が簡単な構成で干渉の影響を除去した信号を得ることができる干渉抑圧送信装置を提供することができる。
【0046】
(実施の形態2)
実施の形態2は、実施の形態1において、系全体をより安定的に運営するようにした形態である。上述した実施の形態1においては、SIR最適演算部118は、回線推定部112により推定された回線状態を用いて逆行列を計算する。ところが、逆行列が存在しない条件があり、さらに、この条件に近い場合に計算された逆行列を用いたときには、解のオーダーが大きくなるため、送信系として不安定となる。
【0047】
そこで、本実施の形態においては、上記のような場合には、不安定の要因となる回線を用いる移動局装置に対しては送信を中止し、安定な回線の状態のみを用いて再度逆行列を求めるようにする。すなわち、不安定の要因となる移動局装置には、たとえ無理に不安定の係数を用いた送信を行っても、系全体の十分な品質での伝送は望めないので、不安定の要因となる移動局装置に対しては全く意味のない信号を送信し、その他の移動局装置に対しては安定的な送信を行うようにする。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図2を参照して説明する。
【0048】
図2は、本発明の実施の形態2に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図2における実施の形態1(図1)と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0049】
SIR最適演算部201は、まず、上述した実施の形態と同様な方法で係数を演算する。安定性判別部202は、SIR最適演算部201による演算結果から系の安定性を判別する。不安定要素排除部203は、安定性判別部202により系が不安定であると判別された場合には、不安定の要因となる回線の状態を用いず安定な回線の状態のみを用いて逆行列を求めるよう指示する。
【0050】
さらに、SIR最適演算部201は、不安定要素排除部203からの指示により、安定な回線の状態のみを用いて再度逆行列を求める。
【0051】
このように、本実施の形態によれば、送信系が不安定となる場合、すなわち、例えば逆行列が存在しない場合やそれに近い場合には、不安定の要因となる回線を用いる移動局装置に対しては送信を中止し、安定な回線の状態のみにより求められた逆行列を用いて、上記移動局装置以外の移動局装置に対する送信信号を線形変換するので、系全体のより安定的な運営が可能となる。
【0052】
(実施の形態3)
実施の形態3は、実施の形態1または実施の形態2において、信号変換部119において用いる係数をトレーニングにより求めるようにした形態である。以下本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図3を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態2を参照して以下の説明を行う。
【0053】
図3は、本発明の実施の形態3に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図3における実施の形態2(図3)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0054】
本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置は、実施の形態2(図2)におけるSIR最適演算部201に代えてトレーニング部301を備える。トレーニング部301は、信号変換部119において使用される係数(例えば、上述したx1、x2、y1、y2など)をトレーニングにより求める。
【0055】
すなわち、トレーニング部301は、移動局装置毎に異なるランダムな送信系列を用意し、この送信系列に対して信号変換部119と同様の線形変換を行う。また、トレーニング部301は、回線推定部112による回線推定値を用いて、移動局装置(A)および移動局装置(B)のそれぞれにより受信されるであろう信号を推定する。さらに、トレーニング部301は、このように推定された各移動局装置の信号と信号変換前のランダムな送信系列とを比較して、両者の誤差が最小となるように上記係数を更新する。
【0056】
以上のような処理を繰り返すことにより、トレーニング部301は、準最適な係数を求めることができる。トレーニング部301における収束に用いるアルゴリズムとしては、公知のLMSやRLSなどを使用することができる。
【0057】
このように、本実施の形態によれば、信号変換部119において用いる係数を、逆行列演算ではなくトレーニングにより求めることにより、逆行列演算を用いた場合に比べてより良いRobust性が期待できる。
【0058】
(実施の形態4)
実施の形態4は、実施の形態1〜実施の形態3において、さらにRobust性を向上させるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図4を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態3を参照して以下の説明を行う。
【0059】
図4は、本発明の実施の形態4に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図4における実施の形態3(図3)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0060】
上述した実施の形態3においては、トレーニング部301により係数を求める場合におけるRobust性を逆行列演算時よりも大きくすることができるものの、やはり系が不安定になる条件が存在する。
【0061】
そこで、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置は、トレーニング部301により求められた係数の大きさを監視し、系が不安定になりそうな係数を検出した場合には、その係数の大きさを制限する最大値制限部401を備える。最大値制限部401は、トレーニング部301により求められた係数が、所定の大きさ以内である場合には、その係数を信号変換部119に出力し、逆に、所定の大きさを上回る場合には、大きさを制限した係数を信号変換部119に出力する。これにより、最大値制限という拘束の下での準最適解が得られる。
【0062】
このように、本実施の形態においては、トレーニング部により求められた係数が系を不安定にするものである場合には、その大きさを制限した係数を用いることにより、実施の形態3に比べてさらにRobust性を向上させることができる。
【0063】
(実施の形態5)
実施の形態5は、実施の形態1〜実施の形態4において、信号変換部で用いる係数の誤り率特性を向上させるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図5を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態4を参照して以下の説明を行う。
【0064】
図5は、本発明の実施の形態5に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図5における実施の形態4(図4)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0065】
上述した実施の形態4においては、トレーニングを行う際に移動局装置側で混入する雑音を考慮していないため、移動局装置においては、最適なSIRが得られるものの、実際の誤り率を支配するSNRは必ずしも最適になるとは限らない。
【0066】
そこで、本実施の形態においては、雑音発生部501は、移動局装置(A)および移動局装置(B)において混入すると想定される雑音と同じレベルの雑音を発生させ、この雑音をトレーニング部301に出力する。トレーニング部301は、雑音発生部501からの雑音を混入しながらトレーニングすることにより、誤り率特性をさらに向上させた係数を求めることができる。
【0067】
このように、本実施の形態によれば、移動局装置側において受信される雑音を混入したトレーニングを行うことにより、誤り率特性を向上させた係数を求めることができる。
【0068】
(実施の形態6)
実施の形態6は、実施の形態1〜実施の形態5において、安定性および干渉キャンセル性能を向上させるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図6を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態5を参照して以下の説明を行う。
【0069】
図6は、本発明の実施の形態6に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図6における実施の形態5(図5)と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0070】
本実施の形態が、上述した実施の形態5と相違する点は、基地局装置600が備えるアンテナの本数が移動局装置の数より多いことである。なお、図6においては、一例として基地局装置600が3本のアンテナを備えた場合について示されている。すなわち、基地局装置600は、アンテナ108およびアンテナ109に加えてアンテナ603を備え、また、無線部120および無線部121に加えて無線部605を備える。
【0071】
移動局装置(A)101および移動局装置(B)102は、基地局装置600との通信において、それぞれ無線回線103,104,601および無線回線105,106,602を用いる。
【0072】
アンテナ603により受信された信号は、無線部604により復調された後、干渉キャンセラ113に出力される。なお、この無線部604は、上述した無線部110または無線部111と同様の構成を有するものである。
【0073】
また、信号変換部119により線形変換された送信信号は、無線部120,121,605により変調された後、アンテナ108,109,603を介して送信される。
【0074】
このように、本実施の形態によれば、基地局装置のアンテナ数を移動局装置数よりも多くすることにより、基地局装置は、自由度が増すので不安定になりにくくなる。これにより、キャンセル性能を向上させることができる。
【0075】
なお、本実施の形態においては、基地局装置に設けるアンテナ数を3つとした場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、アンテナ数をさらに増加させた場合にも適用可能なものである。この場合には、干渉キャンセルの性能をさらに向上させることができる。
【0076】
(実施の形態7)
実施の形態7は、実施の形態1〜実施の形態6において、備えられた複数のアンテナの中から用いるアンテナを変更するようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図7を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態6を参照して以下の説明を行う。
【0077】
図7は、本発明の実施の形態7に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図7における実施の形態6(図6)と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0078】
本実施の形態が、上述した実施の形態6と相違する点は、最適組合せ選択部701を備えることである。最適組合せ選択部701は、移動局装置の数より多い本数のアンテナ(アンテナ108,109,603)の中から、トレーニング(または逆行列演算)に用いるアンテナとして、移動局装置の数と同数(ここでは2つ)のアンテナを抽出するものであ。すなわち、最適組合せ選択部701は、3本のアンテナから2本のアンテナを、どのように組み合わせるのが最適であるかについて、以下のような判断基準に従って選択する。
【0079】
▲1▼トレーニングあるいは逆行列演算により求められた係数による送信信号を送信した場合におけるパワーが最小となる組み合わせ
▲2▼トレーニングあるいは逆行列演算により求められた係数の最小値が最小となる組み合わせ
▲3▼回線推定部112において得られた回線推定値から求められたパワーの大きい方から採用する組み合わせ
▲4▼行列式が最大となる組み合わせ
【0080】
さらに、最適組合せ部701は、上記選択の終了後、選択結果に応じてトレーニング部301および無線部702〜無線部704を制御する。これにより、トレーニング部301では、上記選択結果に応じて上述したトレーニングが行われる。なお、図7には示されていないが、トレーニングではなく逆行列演算が行われる場合には、上記選択結果に応じて上述した逆行列演算が行われる。
【0081】
無線部702〜無線部704は、最適組合せ部701から送信を指示された場合には、信号変換部119からの信号を変調してそれぞれアンテナ108,109,603を介して送信する。
【0082】
このように、本実施の形態によれば、送信に用いるアンテナとして、備えられた複数のアンテナの中から、様々な条件に適合するように選択したアンテナを用いることにより、移動局装置の受信信号の品質を向上させることができる。
【0083】
なお、本実施の形態においては、基地局装置に設けるアンテナ数を3つとした場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、アンテナ数をさらに増加させた場合にも適用可能なものである。
【0084】
(実施の形態8)
実施の形態8は、実施の形態7において、回線に遅延波が存在する場合においても、各通信相手が、特別な装置を搭載することなく干渉のみならず遅延波の影響をも抑圧された信号を受信できるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、本発明を実施の形態4に適用した図8を参照して説明する。なお、本発明は、実施の形態4以外の上述した形態にも適用可能なものである。
【0085】
図8は、本発明の実施の形態8に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図8における実施の形態7(図7)と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0086】
本実施の形態が、上述した実施の形態7と相違する点は、信号変換部119に代えて遅延波対応信号変換部802が設けられていることである。さらに、回線推定部801は、復調された信号を用いて、各無線回線の状態を推定するだけでなく、各無線回線における遅延波を検出する。
【0087】
なお、本実施の形態においては、上述した最適組合せ選択部701により、使用するアンテナとしてアンテナ108およびアンテナ109が選択された状態、すなわち、移動局装置との通信に無線回線103〜無線回線106が用いられる状態を例にとり説明する。
【0088】
遅延波対応信号変換部802は、アンテナ108,109を介して送信された信号が、各移動局装置により受信されたときに各移動局装置間における干渉および遅延波による影響が除去された状態となるように、送信信号116および送信信号117を変換するものである。
【0089】
遅延波対応信号変換部802では、送信信号116および送信信号117に対する遅延波を考慮した線形変換が行われる。すなわち、遅延波対応信号変換部801では、上述した行列式(1)により上記各送信信号に対する遅延波を考慮した線形変換が行われ、無線部702および無線部704に出力される信号Eおよび信号Fが得られる。ただし、AおよびBはそれぞれ送信信号116および送信信号117である。
【0090】
以下、遅延波対応信号変換部802の構成について説明する。遅延波(例えば2波)が存在する場合においては、無線回線103〜無線回線106のそれぞれの回線推定値f1、f2、f3およびf4は、次のように表現される。
f1=f10+f11・Z- τ 1、f2=f20+f21・Z- τ 2、f3=f30+f31・Z- τ 3、f4=f40+f41・Z- τ 4となる。
ここで、τ1、τ2、τ3およびτ4は、それぞれf1、f2、f3およびf4における第1波と第2波との時間差である。ただし、f1、f2、f3およびf4の先行波の時間はすべて一致しているものとする。
【0091】
上記回線推定値を用いて、x1、x2、y1およびy2の最適値を計算すると、X=f10・f40−f20・f30とし、Y=1+f40・f11・Z- τ 1+f10・f41・Z- τ 4+f11・f41・Z-( τ 1+ τ 4)+f20・f31・Z- τ 3+f30・f21・Z- τ 2+f21・f31・Z-( τ 2+ τ 3)とすれば、
x1=(f40+f41・Z- τ 4)/{X+(1+Y)} −(3)
x2=(f20+f21・Z- τ 2)/{X+(1+Y)} −(4)
y1=(f30+f31・Z- τ 3)/{X+(1+Y)} −(5)
y2=(f10+f11・Z- τ 1)/{X+(1+Y)} −(6)
となる。
【0092】
したがって、遅延波対応信号変換部802は、図9に示すような回路により構成可能である。図9は、本発明の実施の形態8に係る干渉抑圧送信装置における遅延波対応信号変換部の構成を示すブロック図である。
【0093】
図9において、IIRフィルタ901およびIIRフィルタ902は、上式(3)〜(6)における{1/(1+Y)}を表現するものである。送信信号116は、IIRフィルタ901を通過する。IIRフィルタ901を通過した送信信号は、遅延部917と乗算部918、および乗算部919をそれぞれ通過して加算部923に送られる。また、IIRフィルタ901を通過した送信信号は、遅延部924と乗算部925および乗算部926をそれぞれ通過して、加算部930に送られる。
【0094】
一方、送信信号117は、IIRフィルタ902を通過する。IIRフィルタ902を通過した送信信号は、遅延部928と乗算部929、および乗算部927をそれぞれ通過して加算部930に送られる。また、IIRフィルタ902を通過した送信信号は、遅延部921と乗算部922および乗算部920をそれぞれ通過して、加算部923に送られる。
【0095】
これにより、加算部923および加算部930からは、それぞれ無線部702および無線部704に出力される信号Eおよび信号Fが出力される。この信号Eおよび信号Fを送信することにより、各移動局装置は、干渉と遅延波の影響の両方が除去された受信信号を得ることができる。
【0096】
このように、本実施の形態によれば、各通信相手が受信したときに各通信相手の間における干渉および遅延波の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するので、各通信相手は、干渉および遅延波の影響を除去するための特別な装置を搭載することなく、高品質の信号を受信することができる。これにより、各通信相手は、干渉および遅延波の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことができる。したがって、通信相手が簡単な構成で干渉および遅延波の影響を除去した信号を得ることができる干渉抑圧送信装置を提供することができる。
【0097】
(実施の形態9)
実施の形態9は、実施の形態1〜実施の形態9において、アンテナとしてアレーアンテナを用いるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図10を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態1を参照して以下の説明を行う。
【0098】
図10は、本発明の実施の形態9に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図10における実施の形態1(図1)と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0099】
本実施の形態が、上述した実施の形態1と相違する点は、アンテナ108およびアンテナ109に代えて、それぞれアレーアンテナ1001およびアレーアンテナ1002を備えることである。
【0100】
アレーアンテナを備えた通信装置においては、指向性制御が可能であるため、到来方向の異なる移動局装置への送信が可能である。ところが、この通信装置が指向性が近い移動局装置に送信した場合には、上記移動局装置の受信信号において干渉を無くすことは困難である。
【0101】
一方、上述した実施の形態に係る干渉抑圧送信装置においては、移動局装置の数が増えた場合には、演算量が大きくなるだけでなく、回線推定の不完全性などの理由により性能も劣化する。よって、上述した実施の形態に係る干渉抑圧送信装置とアレーアンテナとを組み合わせることにより、両者の弱点を補うことができるので、性能が著しく向上する。
【0102】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1〜実施の形態8に係る干渉抑圧送信装置とアレーアンテナとを組み合わせることにより、性能を向上させることができる。
【0103】
(実施の形態10)
実施の形態10は、実施の形態1〜実施の形態9において、FDD(Frequency Division Duplex)方式の通信に対応させるようにした形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置について、図11を参照して説明する。なお、ここでは、実施の形態1を参照して以下の説明を行う。
【0104】
上述した実施の形態1〜実施の形態9においては、TDD方式の無線通信が用いられる。ところが、FDD方式の無線通信においては、上り回線と下り回線において用いられる周波数が互いに異なる。そこで、本実施の形態においては、各移動局装置が下り回線の回線推定値を上り回線を介して基地局装置に対して報告する。
【0105】
図11は、本発明の実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置および移動局装置の構成ならびにこの基地局装置と移動局装置とが無線通信を行うシステムを示す図である。なお、図11における実施の形態1(図1)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0106】
まず、移動局装置(A)101および移動局装置(B)102について説明する。上記各移動局装置は同様の構成を有するものである。アンテナ1110を介して受信された信号は、無線部(下り)1106により周波数変換等の所定の処理がなされて回線推定部1107および復調部1108に送られる。回線推定部1107では、上記所定処理後の受信信号から下り回線の状態が推定される。下り回線の回線推定値は、復調部1108および多重部1104に送られる。復調部1108では、上記回線推定値を用いて、上記所定処理後の受信信号に対する復調処理がなされる。復調処理後の信号は、データ復号部1109により復号されることにより、復調データが得られる。
【0107】
一方、多重部1104では、データ発生部1103より発生された送信データと回線推定部1107からの回線推定値とが多重されることにより、送信信号が得られる。この送信信号は、無線部(上り)1105により変調・周波数変換等の所定の処理がなされて、アンテナ1110を介して送信される。
【0108】
次いで、基地局装置1100について、実施の形態1と相違する点に着目して説明する。干渉キャンセラ1101において、回線推定部112による回線推定値に基づいて、無線部110からの復調信号および無線部111からの復調信号を用いて、互いの干渉が除去された移動局装置(A)の受信信号および移動局装置(B)の受信信号が得られることは上述した通りである。この干渉キャンセラ1101においては、上記各受信信号から各下り回線の回線推定値が抽出されて回線情報1102としてSIR最適演算部118に送られる。
【0109】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1〜実施の形態9に係る干渉抑圧送信装置をFDD方式の通信に適用させる場合においても、各移動局装置は、受信信号を用いて下り回線の状態を推定し、この推定結果を送信信号に多重して基地局装置に送信する一方、基地局装置は、受信信号に含まれる各移動局装置に対応する下り回線状態を用いて、各移動局装置に対する送信信号の線形変換を行うので、各通信相手は、干渉(および遅延波)の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことができる。
【0110】
(実施の形態11)
実施の形態11は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を移動通信システムに用いた形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置を用いた移動通信システムについて、図12を用いて説明する。
【0111】
図12は、本発明に係る干渉抑圧送信装置が用いられた移動通信システムを示す図である。図12においては、基地局装置1201が、移動局装置5台を収容し、周波数を3つ使用している例が示されているが、これらの数に限定はない。
【0112】
基地局装置1201は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載することにより、移動局装置(a)1202〜移動局装置(e)に干渉キャンセラ等を搭載することなく、上り信号および下り信号を同一周波数上において異なる信号同士の干渉を抑圧できるので、容量の向上を図ることができる。
【0113】
本実施の形態においては、移動局装置(a)1202は、周波数F1を用いて、移動局装置(b)1203および移動局装置(c)1204は、周波数F2を用いて、移動局装置(d)1205および移動局装置(e)1206は、周波数F3を用いて、無線通信を行っている。すなわち、干渉抑圧が実現できるため、移動局装置(b)1203と移動局装置(c)1204が同一の周波数F2を用いて、移動局装置(d)1205と移動局装置(e)1206が同一の周波数F3を用いて、無線通信を行うことができる。これにより、容量を向上させることができる。
【0114】
このように、本実施の形態においては、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信送信装置を基地局装置に搭載することにより、上り回線および下り回線において、異なる信号同士の干渉を抑圧できるので、移動通信システムにおける容量を向上させることができる。
【0115】
(実施の形態12)
実施の形態12は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を移動通信システムに用いた形態である。以下、本実施の形態に係る干渉抑圧送信装置を用いた移動通信システムについて、図13を用いて説明する。
【0116】
図13は、本発明に係る干渉抑圧送信装置が用いられた移動通信システムを示す図である。図13においては、基地局装置(a)1301が、2つの周波数(F1およびF2)を用いて移動局装置3台を収容し、基地局装置(b)1302が、1つの周波数(F1)を用いて移動局装置1台を収容している例が示されているが、これらの数に限定はない。
【0117】
基地局装置(a)1301および基地局装置(b)1302は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載することにより、移動局装置(a)1303〜移動局装置(d)1306に干渉キャンセラ等を搭載することなく、上り信号および下り信号を同一周波数上において異なる信号同士の干渉を抑圧できるので、容量の向上を図ることができる。
【0118】
また、基地局装置(a)1301と基地局装置(b)1302とは、通信回線1312により結合されているので、異なる基地局装置間の干渉をも抑圧することができる。
【0119】
本実施の形態においては、移動局装置(a)1303は、周波数F1を用いて基地局装置(a)1301と無線通信を行い、移動局装置(b)1304および移動局装置(c)1305は、周波数F2を用いて基地局装置(a)1301と無線通信を行い、移動局装置(d)1306は、周波数F3を用いて基地局装置(b)1302と無線通信を行っている。すなわち、干渉抑圧が実現できるため、移動局装置(b)1304と移動局装置(c)1305が同一の周波数F2を用いて、無線通信を行うことができる。これにより、容量を向上させることができる。
【0120】
これと同時に、基地局装置(a)1301が移動局装置(a)1303に割り当てた周波数F1を、基地局装置(b)1302も移動局装置(d)1306に割り当てることが可能である。
【0121】
通常、基地局装置(b)1302から移動局装置(d)1306に対して回線1311を介して送信される信号が、基地局装置(a)1301から移動局装置(a)1303に対して回線1307を介して送信される信号に対して干渉するために、移動局装置(a)1303への通信が妨害される。
【0122】
ところが、本実施の形態においては、基地局装置(b)1302は、通信回線1312を介して、回線1311の情報と移動局装置(d)1306への送信信号を基地局装置(a)1301に対して通知するので、基地局装置(a)1301は、回線307を介して移動局装置(a)1303に送信する信号において、上記干渉を抑圧する信号成分を混合できる。これにより、基地局装置(b)は、基地局装置(a)1301が移動局装置(a)1303に対して割り当てた周波数F1を、移動局装置(d)1306に対して割り当てることができる。
【0123】
このように、本実施の形態によれば、異なる基地局間において同一周波数を使用することが可能であるため、周波数利用効率を向上させることができるとともに、周波数割り当ての設計が非常に簡易にできる。
【0124】
(実施の形態13)
実施の形態13は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載した基地局装置を実現する形態である。以下、本実施の形態について、図14を用いて説明する。なお、ここでは、一例として、実施の形態1に係る干渉抑圧送信装置を搭載した基地局装置について説明する。
【0125】
図14は、本発明の実施の形態13に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成を示すブロック図である。なお、図14における実施の形態1(図1)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0126】
図14において、干渉キャンセラ113からの各受信信号は、それぞれFECデコーダ(A)1401およびFECデコーダ(B)1402により、誤り訂正復号処理がなされる。FECデコーダ(A)1401およびFECデコーダ(B)1402からの誤り訂正復号処理後の信号は、それぞれ音声デコーダ(A)1403および音声デコーダ(B)1404により復号化されることにより、音声信号とされる。各音声信号は、交換機1405を介してその他の基地局装置等に送られる。
【0127】
また、交換機1405を介して送られた各音声信号は、それぞれ音声コーダ(A)1406および音声コーダ(B)1407により、符号化される。音声コーダ(A)1406および音声コーダ(B)1407からの符号化された信号は、それぞれFECコーダ(A)1408およびFECコーダ(B)1409により、誤り訂正符号化されて信号変換部119に入力される。
【0128】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載することにより、各通信相手が干渉(および遅延波)の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出すことが可能となる信号を送信する基地局装置を提供することができる。
【0129】
(実施の形態14)
実施の形態14は、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載した基地局装置と無線通信を行う移動局装置を実現する形態である。以下、本実施の形態について、図15を用いて説明する。なお、ここでは、一例として、実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載した基地局装置と無線通信を行う移動局装置について説明する。
【0130】
図15は、本発明の実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置と無線通信を行う移動局装置の構成を示すブロック図である。なお、図15における実施の形態10(図11)と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0131】
図15において、復調部1108からの復調信号は、FECデコーダ1501により誤り訂正復号化処理がなされた後、音声デコーダにより復号化される。復号化された音声信号は、スピーカ1503により音声として再現される。
【0132】
一方、マイク1504からの音声信号は、音声コーダ1505により符号化された後、FECコーダ1506により誤り訂正符号化処理がなされる。誤り訂正符号化処理がなされた信号は、多重部1104に出力される。
【0133】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1〜実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を搭載した基地局装置と無線通信を行うことにより、干渉(および遅延波)の影響を除去した信号を簡単な構成で取り出す移動局装置を提供することができる。
【0134】
なお、上記実施の形態においては、各通信相手が受信したときに干渉または遅延波の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信する場合について説明したが、本発明は、これに限定されず、干渉や遅延波以外の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換する場合にも適用可能なものである。
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、各通信相手が受信したときに各通信相手の間における干渉または遅延波の影響が除去された状態となるように、各通信相手に対する送信信号を変換して送信するようにしたするので、通信相手が簡単な構成で干渉または遅延波の影響を除去した信号を得ることが可能な干渉抑圧送信装置を提供することことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図2】発明の実施の形態2に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図3】本発明の実施の形態3に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図4】本発明の実施の形態4に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図5】本発明の実施の形態5に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図6】本発明の実施の形態6に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図7】本発明の実施の形態7に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図8】本発明の実施の形態8に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図9】上記実施の形態8に係る干渉抑圧送信装置における遅延波対応信号変換部の構成を示すブロック図
【図10】本発明の実施の形態9に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【図11】本発明の実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置および移動局装置の構成ならびにこの基地局装置と移動局装置とが無線通信を行うシステムを示す図
【図12】本発明に係る干渉抑圧送信装置が用いられた移動通信システムを示す図
【図13】本発明に係る干渉抑圧送信装置が用いられた移動通信システムを示す図
【図14】本発明の実施の形態13に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置の構成を示すブロック図
【図15】本発明の実施の形態10に係る干渉抑圧送信装置を備えた基地局装置と無線通信を行う移動局装置の構成を示すブロック図
【図16】従来の干渉キャンセラを備えた基地局装置の構成およびこの基地局装置が移動局装置と無線通信を行うシステムを示す図
【符号の説明】
110,111,120,121,604,605 無線部
112 回線推定部
113,1101 干渉キャンセラ
118 SIR最適演算部
119 信号変換部
301 トレーニング部
802 遅延波対応信号変換部

Claims (10)

  1. 同時に複数の移動局装置と無線通信を行う基地局装置であって、
    前記複数の移動局装置の数以上の複数のアンテナと、
    前記複数の移動局装置から送信された複数の信号を前記複数のアンテナを介して受信する受信手段と、
    受信された複数の信号に基づいて、前記複数の移動局装置と前記複数のアンテナとの間のそれぞれの回線推定値を推定する推定手段と、
    推定された回線推定値を用いて、複数の送信信号を線形変換する変換手段と、
    線形変換された複数の送信信号を前記複数のアンテナを介して前記複数の移動局装置へ送信する送信手段と、を具備し、
    前記変換手段は、式|Sig out M × 1 =|x| N × M ・|Sig in N × 1 (但し、前記Nおよび前記Mは2以上の整数であり、前記|Sig out M × 1 は前記変換手段によって変換された後の複数の送信信号で構成されたマトリクスであり、前記|x| N × M は前記推定手段によって推定された回線推定値を用いて求められた係数で構成されたマトリクスであり、前記|Sig in N × 1 は前記変換手段によって変換される前の複数の送信信号で構成されたマトリクスである)に従って前記複数の送信信号を線形変換する、
    基地局装置。
  2. 前記式において、前記Nは前記複数の移動局装置の数であり、前記Mは前記複数のアンテナの数である、
    請求項1記載の基地局装置。
  3. 前記変換手段は、前記複数の送信信号を線形変換して、前記複数の送信信号が前記複数の移動局装置に受信される際に互いの干渉が除去された状態とする、
    請求項1記載の基地局装置。
  4. 前記変換手段は、前記複数の送信信号を線形変換して、前記複数の送信信号が前記複数の移動局装置に受信される際に遅延波の影響が除去された状態とする、
    請求項1記載の基地局装置。
  5. 前記推定手段によって推定された回線推定値を用いた逆行列演算により、前記変換手段で用いられる前記係数を求める係数演算手段、をさらに具備する、
    請求項1記載の基地局装置。
  6. 前記複数のアンテナの数が前記複数の移動局装置の数より多い場合において、前記複数のアンテナの中から、前記逆行列演算に用いるアンテナであって前記複数の移動局装置の数と同じ数のアンテナを選択する選択手段、をさらに具備する、
    請求項5記載の基地局装置。
  7. 前記推定手段によって推定された回線推定値を用いたトレーニング処理により、前記変換手段で用いられる前記係数を求めるトレーニング手段、をさらに具備する、
    請求項1記載の基地局装置。
  8. 前記複数の移動局装置において混入すると想定される雑音と同じレベルの雑音を発生させる発生手段、をさらに具備し、
    前記トレーニング手段は、前記発生手段が発生した雑音を混入したトレーニング処理を行う、
    請求項7記載の基地局装置。
  9. 前記複数のアンテナの数が前記複数の移動局装置の数より多い場合において、前記複数のアンテナの中から、前記トレーニング処理に用いるアンテナであって前記複数の移動局装置の数と同じ数のアンテナを選択する選択手段、をさらに具備する、
    請求項7記載の基地局装置。
  10. 同時に複数の移動局装置と無線通信を行う基地局装置における干渉抑圧送信方法であって、
    前記複数の移動局装置から送信された複数の信号を前記複数の移動局装置の数以上の複数のアンテナを介して受信する受信工程と、
    受信された複数の信号に基づいて、前記複数の移動局装置と前記複数のアンテナとの間のそれぞれの回線推定値を推定する推定工程と、
    推定された回線推定値を用いて、複数の送信信号を線形変換する変換工程と、
    線形変換された複数の送信信号を前記複数のアンテナを介して前記複数の移動局装置へ送信する送信工程と、を具備し、
    前記変換工程において、式|Sig out M × 1 =|x| N × M ・|Sig in N × 1 (但し、前記Nおよび前記Mは2以上の整数であり、前記|Sig out M × 1 は前記変換工程において変換された後の複数の送信信号で構成されたマトリクスであり、前記|x| N × M は前記推定工程において推定された回線推定値を用いて求められた係数で構成されたマトリクスであり、前記|Sig in N × 1 は前記変換工程において変換される前の複数の送信信号で構成されたマトリクスである)に従って前記複数の送信信号を線形変換する、
    干渉抑圧送信方法。
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