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JP4235504B2 - 眼科測定装置 - Google Patents

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JP4235504B2
JP4235504B2 JP2003204413A JP2003204413A JP4235504B2 JP 4235504 B2 JP4235504 B2 JP 4235504B2 JP 2003204413 A JP2003204413 A JP 2003204413A JP 2003204413 A JP2003204413 A JP 2003204413A JP 4235504 B2 JP4235504 B2 JP 4235504B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼内に光を投射し、この投射した光による被検眼内の測定対象部分の散乱光を受光することにより、例えば前房内の浮遊する細胞数や蛋白質濃度等の生体特性を測定する眼科測定装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、眼科測定装置として、フレアメータやフレアセルメータが知られている。これらの眼科測定装置は、被検眼の前房内に浮遊している細胞数や蛋白質濃度(フレア濃度)を測定することができるものである。
【0003】
このような眼科測定装置は、被検眼の眼球光軸に対して斜め方向から被検眼内に光を投射させ、投射した光とは眼球光軸の反対側で斜め方向から散乱光を受光する方式を採用している(特許文献1〜4参照)。
【0004】
上記方式では、散乱光を好適に測定するため、投射光学系の投射光光軸に対して略直角となる方向から測定対象の散乱光(測定対象光)を受光するように受光光学系の受光光軸を配置して、投射光光軸と受光光軸とが被検眼内の測定対象部分を頂点に略直角としている。
【0005】
そして、投射光光軸と受光光軸とが略直角となることから、被検眼に向かい合う眼科測定装置から投射光光軸及び受光光軸の両方を形成し易い配置にできるようにすることが考えられていた。従来の眼科測定装置では、投射光光軸及び受光光軸の間を、眼球光軸に平行な被検眼内の測定対象部分を通過する軸で等分する角度、即ち投射光光軸と、眼球光軸に平行な被検眼内の測定対象部分を通過する軸との間の投射角を略45°とする設定がなされていた(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平3−264044号公報
【特許文献2】
特開平6−217939号公報
【特許文献3】
特開平7−178052号公報
【特許文献4】
特開平9−84763号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、近年では、白内障患者の被検眼に人工水晶体(intraocular lens:IOL)を挿入手術することがある。
【0008】
IOLは屈折率が高いので、従来の眼科測定装置の投射光がIOL表面に到達し、IOL表面でIOL反射光(人工水晶体反射光)として反射する。従来の眼科測定装置は、図5に示すように、投射光光軸L1の軸L0’に対する投射角を略45°としているので、IOLを使用している被検者について測定を行う場合には、投射光が測定対象部分Sを通過してIOL表面で反射したIOL反射光のIOL反射光光軸L3が受光光軸L2と近接して並んでしまう。
【0009】
そうすると、受光光軸L2に沿った被検眼内の測定対象部分Sの散乱光を受光するはずの受光光学系の受光素子がIOL反射光も受光する。IOL反射光が強い光強度を有することから、受光光学系の受光素子は、IOL反射光を受光してしまうと、図6に示すように、飽和光強度を受光することになり測定不能、ひいては装置の破損が生じてしまう。
【0010】
このため、図7に示すように、IOLを使用している被検者にも良好に測定が行えるように、投射光光軸L1の軸L0’に対する投射角を30°として、IOL反射光を、投射光の被検眼進入時に角膜で反射される角膜反射光(光軸L4)と共に除去することが考えられた。この場合には、IOL反射光光軸L3と角膜反射光光軸L4が両方とも眼球光軸L0とのなす角度が小さく設定され、受光光軸L2から離すことができた。
【0011】
しかしこれでも、IOL反射光の被検眼外出時の角膜での散乱光(IOL反射散乱光(光軸L5))が受光光学系の受光素子に入り込む。IOL反射散乱光の光強度は、測定対象部分の散乱が多い場合の光強度に近似する。よって、図8に示すように、測定結果は、測定対象部分Sの散乱が少なくてもゴースト像Gを生じさせて見掛けのフレア量を、実際のフレア量よりも大きくして測定誤差を生じていた。
【0012】
本発明は上記従来技術に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、外乱光による影響を抑制した測定精度の高い眼科測定装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にあっては、人工水晶体反射光(IOL反射光)の被検眼外出時の角膜での散乱光(IOL反射散乱光)が受光光学系の受光素子に入り込むという問題が、受光光学系の受光光軸付近に人工水晶体反射光の被検眼外出時の角膜上での散乱領域Rが存在して、角膜上を通過する間の散乱光(IOL反射散乱光(光軸L5))のゴースト像が受光光軸上の測定領域にかぶってしまっているために生じることに着眼した(図7参照)。
【0014】
そして、人工水晶体反射光の被検眼外出時の角膜での散乱領域Rを、受光光学系の受光光軸L2から離すことはできないかと考え、これが投射光学系の投射光光軸L1の投射角を45°よりも広げることで達成できることを想起した。
【0015】
しかし、投射光光軸L1の投射角を大きく広げると、今度は、全ての被検者の被検眼でも発生する投射光の被検眼進入時の角膜での反射光(角膜反射光(光軸L4))が受光光学系の受光素子に入り込むことになり、角膜反射光によって人工水晶体反射光やそれの角膜での散乱光(IOL反射散乱光)と同種の測定不良の問題を引き起こすため、投射角をあまりに大きく広げることもできない。
【0016】
そこで、人工水晶体反射光の延出方向を定めると共に人工水晶体反射光の被検眼外出時の角膜での散乱位置を定める人工水晶体反射光の光軸と、投射光の被検眼進入時の角膜での反射光の光軸と、の間にいずれの光軸とも交わらず且ついずれの光軸とも近接しない受光光軸を設定するような範囲に限って投射角を広げることとして発明を具現化した。
【0017】
具体的な本発明の眼科測定装置は、被検眼内に光を投射して散乱光を受光することにより被検眼内の生体特性を測定する眼科測定装置において、光源から被検眼内へ被検眼の眼球光軸に対して斜めに投射光を投射する投射光学系と、該投射光学系の投射光が被検眼内の測定部で散乱した散乱光を受光する受光光学系と、を備え、前記投射光学系の投射光光軸と前記受光光学系の受光光軸とが前記測定部を頂点に略直角をなし、前記受光光軸は、前記投射光が被検眼進入時に角膜で反射した角膜反射光の光軸と、前記投射光が被検眼内に挿入された人工水晶体を想定した場合の人工水晶体で反射した人工水晶体反射光の光軸と、の間にいずれの光軸とも交差することなく設定され、前記受光光軸と前記角膜反射光の光軸及び前記人工水晶体反射光の光軸とのそれぞれの間は、前記受光光学系に前記角膜反射光及び前記人工水晶体反射光を受光させない距離としたことを特徴とする。
【0018】
前記受光光学系は、前記散乱光を受光する受光素子と、該受光素子までの前記受光光軸に沿った受光光路中に設けられて前記測定部と光学的に共役な位置に所定の大きさの開口を有する遮光部材と、を有し、前記遮光部材は、前記開口を透過する前記散乱光のみを前記受光素子に導くことが好適である。
【0019】
この構成では、受光光学系に角膜反射光、人工水晶体反射光及び人工水晶体反射光の被検眼外出時の角膜での散乱光のいずれも受光させないので、人工水晶体(IOL)を使用している被検者にとって、外乱光による影響を抑制し、外乱光によるゴースト像が無いために測定誤差が生じず、高度な測定精度で測定を良好に行うことができる。また、人工水晶体を使用していない被検者にとっても、人工水晶体は屈折率が高いが通常の水晶体は屈折率が低く、水晶体での反射が起き難いだけであるので、外乱光による影響を抑制し、良好に測定できる。
【0020】
よって、本発明では、測定対象の被検者を限定することなく、全ての被検者に対して一律に高精度に画一的な測定を行うことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。
【0022】
「全体構成」
図1は本実施の形態に係るレーザフレアメータ(以下、LFMと称す)の概略構成図である。本実施の形態では、LFMを眼科測定装置の一例として説明を進める。なお、本実施の形態のLFMは、通常の被検眼前房内の浮遊する細胞(セル)数や蛋白質濃度(フレア濃度)等の生体特性を測定するだけでなく、その他に被検眼水晶体の混濁度の生体特性も測定できるものである。
【0023】
図1において、被検者の眼球である被検眼1が示されており、被検眼1に対向してLFMの測定部3が配置されている。被検眼1は、混濁水晶体の中身を吸い出して人工水晶体(intraocular lens:IOL)2が挿入手術されている。
【0024】
LFMの測定部3は、概略、投射光光軸L1に沿った投射光学系4と、受光光軸L2に沿った受光光学系5と、被検眼1の凝視する眼球光軸L0に沿ったXY方向アライメント部6と、入射光光軸L6及び反射光光軸L7に沿ったZ方向アライメント部7と、を備えている。
【0025】
また、LFMの測定部3は、各種表示を1箇所で行うための1つの表示部8と、各種データ解析等を行う解析部9と、表示部8に表示するデータを切り換える切換器10と、を備えている。
【0026】
本実施の形態では、LFMの測定部3に搭載された全ての構成が測定部3のアライメントによって移動する。
【0027】
ここで、眼球光軸L0は、被検眼1の角膜頂点から正面へ真直ぐに延びている。眼球光軸L0は、投射光光軸L1及び受光光軸L2の交点である測定対象部分Sに重ならずにずれている。なお、眼球光軸L0は、通常は1本となるが、説明のために図1では各光源からの光路毎に示してある。
【0028】
また、Z方向アライメント用の入射光光軸L6及び反射光光軸L7は、図2に示すように、眼球光軸L0と交わる被検眼1の角膜頂点で反射し、眼球光軸L0に対して対称な30°の入射角と反射角を有する。
【0029】
一方、投射光光軸L1と受光光軸L2は、被検眼1内の所定位置、すなわち被検眼1の前房内にて、交わって両光軸L1,L2の交点を形成しており、この交点位置が測定対象部分Sを指す。これにより、投射光学系4からの投射光が被検眼の前房内の測定対象部分Sで散乱した受光光軸L2上の散乱光を、受光光学系5で受光することができる。
【0030】
この投射光光軸L1と受光光軸L2の交点での角度は、図2に示すように、測定対象の散乱光を好適に測定できるように、直角をなすように設定される。言い換えると、投射光学系4の投射光光軸L1に対して略直角となる方向から測定対象の散乱光を受光するように受光光学系5の受光光軸L2を配置して、投射光光軸L1と受光光軸L2とが被検眼1内の測定対象部分Sを頂点に直角となっている。
【0031】
投射光光軸L1は、眼球光軸L0に平行な測定対象部分Sを通過する軸L0’との間の投射角を50°にとって被検眼内に延びている。投射光光軸L1と受光光軸L2とが直角をなしているので、受光光軸L2は、眼球光軸L0に平行な測定対象部分Sを通過する軸L0’との間の受光角を40°にとって被検眼1内から延びている。
【0032】
「投射光光軸L1及び受光光軸L2の光学位置関係」
上記したように、投射光光軸L1は、眼球光軸L0に平行な測定対象部分Sを通過する軸L0’との間の投射角を50°にとって配置されている。この50°の投射角としたのは、IOL2を使用している被検者にも良好に測定が行え、外乱光による影響を抑制して測定精度を高めるためである。
【0033】
具体的には、近年、白内障患者の被検眼1にIOL2を挿入手術して視力を回復させることがある。IOL2は屈折率が高いので、図3に示すように、被検眼1内の測定対象部分Sを通過してIOL2表面で反射したIOL反射光(人工水晶体反射光)を発生させてしまう。このIOL反射光を受光してしまうと、受光光学系5の光電検出器15は、飽和光量を受光することになり測定不能となってしまう(図6参照)。
【0034】
また、IOL反射光の被検眼外出時の角膜での散乱光(IOL反射散乱光)が受光光学系5の光電検出器15に入り込むと、IOL反射散乱光は、測定対象部分Sの散乱が多い場合の光強度に近似するため、測定対象部分Sの散乱が少なくてもゴースト像Gを生じさせて見掛けのフレア量を大きくしてしまい、測定誤差を生じてしまう(図8参照)。
【0035】
さらに、全ての被検者の被検眼1でも発生する投射光の被検眼進入時の角膜での反射光(角膜反射光)が受光光学系5の光電検出器15に入り込むと、IOL反射光やそれの角膜での散乱光(IOL反射散乱光)と同種の測定不良の問題を引き起こしてしまう。
【0036】
そこで、図3に示すように、IOL反射光の延出方向を定めると共にIOL反射光の被検眼外出時の角膜での散乱位置を定めるIOL反射光光軸L3と、投射光の被検眼進入時の角膜での角膜反射光光軸L4と、の間にいずれの光軸L3,L4とも交わらず且つ近接しない受光光軸L2を設定するような範囲に限った投射光光軸L1の投射角として、本実施の形態では50°を設定した。なお、発明としては、上記の条件を満たすことができれば投射角は50°だけに限られない。好適なのは50°〜53°の範囲である。
【0037】
このように投射光光軸L1の投射角が設定されることによって、受光光軸L2は、投射光が被検眼1内のIOL2で反射したIOL反射光の光軸L3と、投射光が被検眼進入時に角膜で反射した角膜反射光の光軸L4と、の間にいずれの光軸L3,L4とも交差することなく設定され、かつ、受光光軸L2とIOL反射光光軸L3の間及び受光光軸L2と角膜反射光光軸L4の間は、受光光学系5に角膜反射光及びIOL反射光を受光させない距離に隔てられる。IOL反射光光軸L3と角膜反射光光軸L4は、受光光軸L2から被検眼1に離れるほどに離間していく。
【0038】
このため、受光光学系5に角膜反射光、IOL反射光及びIOL反射光の被検眼外出時の角膜での散乱光のいずれもが受光しないので、IOL2を使用している被検者にとって、外乱光による影響を抑制し、外乱光によるゴースト像が無いために測定誤差が生じず、高度な測定精度で測定を良好に行うことができる。また、IOL2を使用していない被検者にとっても、IOL2は屈折率が高いが通常の水晶体は屈折率が低く、水晶体での投射光の反射が起き難いだけであるので、外乱光による影響を抑制し、良好に測定できる。
【0039】
よって、本実施の形態のLFMでは、測定対象の被検者をIOL使用の被検者やIOL不使用の被検者のいずれかに限定することなく、全ての被検者に対して外乱光による影響を抑制して一律に高精度に画一的な測定を行うことができる。
【0040】
「各構成要素の具体的な説明」
(投射光学系)
LFMの測定部3の投射光学系4について説明する。投射光学系4は、可視レーザダイオード等のレーザ光源11から発せられた投射光としてのレーザ光が集光レンズ12を介して投射光光軸L1に沿って被検者の被検眼1の前房内に投射される。
【0041】
集光レンズ12は、不図示の駆動手段によって投射光光軸L1と紙面との垂直方向に駆動され、レーザ光を微細に1次元的に走査する。
【0042】
このように、レーザ光の走査を単純な集光レンズ12の移動だけで行うので、簡易な構成で走査を実現でき、低コスト化が図れる。また、レーザフレアセルメータとして前房内の浮遊する細胞(セル)数を測定するためにレーザ光を複数方向に走査する場合にも、移動可能な他の集光レンズを追加するだけで良く、装置の改良も簡易である。
【0043】
(受光光学系)
次に、受光光学系5について説明する。受光光学系5は、レーザ光源11からのレーザ光による被検眼1内の測定対象部分Sにおける散乱光を受光光軸L2に沿ってレンズ13、遮光部材としての受光マスク14を介して受光素子である光電子増倍管等の光電検出器15で検出する。
【0044】
レンズ13は、受光光軸L2に対してレンズ13の光軸を傾けた球面レンズである。レンズ13は、大きな収差を発生させている角膜を透過した散乱光の像を結像させた際に発生する大きな非点収差を除去するために用いられる。これにより、容易に収差を除去することができ、測定精度を向上することができる。
【0045】
受光マスク14は、受光光軸L2方向の視野を限定し、測定範囲を規定するために用いられる。受光マスク14は、光電検出器15までの受光光軸L2に沿った受光光路中に設けられて測定対象部分Sと光学的に共役な位置に所定の大きさの開口を有する。そして、受光マスク14は、開口を透過する散乱光のみを光電検出器15に導く。この受光マスク14の開口で限られた光路範囲にIOL反射光光軸L3と角膜反射光光軸L4とが図3の光軸配置関係により重ならず、IOL反射光、IOL反射散乱光、角膜反射光が受光マスク14で遮光される。
【0046】
光電検出器15は、受光マスク14で限定された散乱光のみを受光し、受光した光強度を電気信号に変換して出力信号として出力する。
【0047】
なお、被検眼1内の散乱光は、例えば被検眼1の前房内に存在する蛋白質からの散乱光であったり、前房内の浮遊する細胞(セル)からの散乱光であったり、被検眼1の水晶体からの散乱光であったりする。
【0048】
また、受光光学系5では、レンズ13と受光マスク14の間に、非測定時に散乱光を遮断するためのシャッター16が配置されている。シャッター16は、閉じられることによって、非測定時に光電検出器15に散乱光や外部の外乱光が受光されることを防止する。
【0049】
そして、受光光学系5において散乱光を受光した光電検出器15からの出力信号は、解析部9に供給される。解析部9では、散乱光の出力信号から蛋白質濃度等の生体特性が計算され、その計算に基づき表示部8に測定結果が表示される。
【0050】
例えば、生体特性の計算としては、光子計数法を用いてデジタル化した出力信号を解析部9で解析したりする。この光子計数法の場合、受光強度はフォトカウント値を用いる。レーザ光の走査によって得られる各フォトカウント値は、解析部9内のメモリに時系列的に格納される。
【0051】
加えて、受光光学系5には、光路を分岐するハーフミラー17と、ハーフミラー17で分岐された光路上の第2撮像手段としてのCCDカメラ18と、CCDカメラ18の前方に設けられたレンズ19と、が配置されている。
【0052】
ハーフミラー17は受光光軸L2上から散乱光を分岐させ、ハーフミラー17で分岐した散乱光をレンズ19で集光し、その集光した像をCCDカメラ18で受光する。
【0053】
これにより、CCDカメラ18で受光光学系5からの被検眼1の測定部分外観を撮影できる。そして、CCDカメラ18の出力を表示部8に表示させることで、検者は、被検眼1の測定部分外観の様子を表示部8に拡大表示して観察することができる。
【0054】
(XY方向アライメント部)
次に、XY方向アライメント部6について説明する。XY方向アライメント部6は、眼球光軸L0に沿って配置される光学構成である。XY方向アライメント部6では、赤外LEDである照明光源20からの照明光が、レンズ21、ハーフミラー22、レンズ23を介して、眼球光軸L0に沿って被検眼1の前眼部、特に角膜頂点に照射される。
【0055】
また、被検者が1点を凝視するための緑LEDである内部固視灯24からの照明光が、ハーフミラー25、ハーフミラー22、レンズ23を介して、眼球光軸L0に沿って被検眼1に照射される。
【0056】
そして、照明光源20からの照明光が被検眼1の角膜表面に到達すると、角膜反射の輝点の虚像である被検眼1の前眼部像が反射される。反射される被検眼1の前眼部像は、眼球光軸L0上で、レンズ23、ハーフミラー22、ハーフミラー25を介して直進した後、レンズ26によって受光部を構成する第1撮像手段としてのCCDカメラ27の受光面上に結像される。
【0057】
また、CCDカメラ27の受光面の前面には、外乱光の影響を低減するために、照明光源20の赤外LEDの波長だけを通過させる赤外フィルタ28が配置される。
【0058】
また、前眼部像を表示する画面に対して赤外LEDである光源29からの照明光もCCDカメラ27に受光される。光源29からの照明光は、環状に光るサークルを表示させる。サークルは、LFMの測定部3の位置を示すもので、前眼部像をサークル内に合わせることで、LFMの測定部3のアライメント整合が採れた位置決定点が決定される。
【0059】
光源29からの照明光は、サークル表示用マスク30、レンズ31、ハーフミラー25、レンズ26を介してCCDカメラ27に受光される。この光源29も赤外LEDであるため、光源29からのサークル表示は赤外フィルタ28で除外されずにCCDカメラ27に受光される。
【0060】
CCDカメラ27は、切換器10を介して表示部8に接続されている。CCDカメラ27で受光した被検眼1の前眼部像及びサークルは、表示部8の表示画面に表示される。
【0061】
(Z方向アライメント部)
次に、Z方向アライメント部7について説明する。Z方向アライメント部7では、照明光源20と波長の異なるLEDである光源32からの照明光が、レンズ33を介して入射光光軸L6に沿って被検眼1の角膜へ照射される。
【0062】
そして、角膜表面での輝点の虚像となる反射光が、レンズ34を介して反射光光軸L7上の2分割型フォトダイオード等の2分割センサ35で検出される。
【0063】
これらの入射光光軸L6及び反射光光軸L7は、角膜頂点を頂角として眼球光軸L0に対して線対称な傾きに設定されている。本実施の形態では、入射光光軸L6及び反射光光軸L7は、眼球光軸L0に対して、それぞれ30°をなす。
【0064】
2分割センサ35は、受光面に入射する角膜反射の光量比率から、被検眼1の角膜頂点とLFMの測定部3との間の距離(Z軸方向)を判定するためのものである。この2分割センサ35には、標準で2箇所のアライメント完了点が設定されている。なお、アライメント完了点はさらに複数箇所設けることもできる。
【0065】
本実施の形態では、2分割センサ35の出力により、測定対象を被検眼1の前房内位置と水晶体位置とに各々設定することができる。例えば、2分割センサ35の強度比が10対10のとき前房内の蛋白質量(フレア)の測定対象部分に設定し、強度比が5対15のとき水晶体の混濁度の測定対象部分に設定する。なお、本実施の形態では、前房内位置に位置する調整を行って測定する場合を説明している。
【0066】
ここで、XYZ方向についてのLFMの測定部3のアライメントの調節は、全て検者のジョイスティックによる手動操作で行ってもよい。また、全てのアライメントの調節を自動的に行わせるように制御してもよい。またXY方向について粗動は検者のジョイスティック等の操作で行い、微細な移動は自動的に行わせる制御としてもよい。
【0067】
(表示部)
表示部8は、(1)測定時の解析部9からの測定結果、(2)アライメント調節時のCCDカメラ18からの被検眼1の測定部分外観の様子、(3)CCDカメラ27からの被検眼1の前眼部像及びサークルが表示されるものである。つまり、(1)〜(3)の3つの表示が切り換えられて表示されるものである。その表示の切換は解析部9の制御によって切換器10により切り換えられる。
【0068】
表示部8は1つだけ設けられており、上記のように表示を切り換えるので、検者はこの表示部8の画面を常に観察するだけでよく、検者がアライメント調節時と測定時とで異なる部分に視点を動かす必要がなく、検者にとっての操作性を向上している。
【0069】
(解析部)
解析部9は、情報解析や操作制御を行う部分である。つまり、予め記憶したプログラムに従いハードウエア構成を用いて解析作業や操作作業等の処理を実行する。ハードウエア構成としては、例えば一般的なコンピュータ構成を採用することができる。
【0070】
解析部9は、一方で出力信号の解析等を行い、他方で検者の入力に応じて切換器10を制御して表示部8に表示する表示対象の切り換えを行うと共に検者のジョイスティック等の入力動作に応じて駆動モータを駆動する。
【0071】
「測定」
次にLFMを用いた測定について説明する。測定は、測定開始前のアライメントの調節と、実際の測定の実行と、に分かれる。
【0072】
「アライメントの調節」
まず、被検眼1に対してアライメントの調節を行う場合について説明する。
【0073】
アライメントの調節は、XY方向アライメント部6によるXY方向アライメントの調節と、Z方向アライメント部7によるZ方向アライメントの調節と、が、XY方向アライメントの調節から先に行われる。
【0074】
(XY方向アライメントの調節)
先に行われるXY方向アライメントの調節について述べる。XY方向アライメントの調節は、XY方向アライメント部6を用いて行われる。
【0075】
XY方向アライメントの調節は、表示部8に表示されるCCDカメラ27で受光した被検眼1の前眼部像及びサークルを用い、被検眼の角膜反射の虚像を示す角膜前眼部像を眼球光軸L0に垂直なXY方向に移動させて、LFMの測定部3の位置を定めたサークル内に合わせることにより行われる。
【0076】
まず、照明光源20を点灯し、照明光源20の被検眼1の角膜表面から反射される反射光をCCDカメラ27で受光し、表示部8の表示画面に被検眼1の前眼部像を表示させる。また、同じくLFMの測定部3の位置を定めたサークルも受光し、表示部8の表示画面に表示させる。
【0077】
そして、例えば、検者が表示部8の前眼部像及びサークルを見ながら、ジョイスティックでLFMの測定部3を移動させて前眼部像をサークル内に合わせる。
【0078】
なお、本実施の形態では、XY方向におけるX方向はLFMの水平(左右)方向に設定され、Y方向はLFMの鉛直(上下)方向に設定されている。
【0079】
(Z方向のアライメントの調節)
XY方向のアライメントが完了となると、次にZ方向のアライメントの調節を行う。
【0080】
Z方向のアライメントの調節は、Z方向アライメント部7を用いて行われる。
【0081】
Z方向アライメントの調節は、調節完了となる2分割センサ35の出力値が予め設定されているので、被検眼1の測定対象についてZ方向、すなわち被検眼1に対しての遠近方向に向けてLFMの測定部3を前後に移動する。
【0082】
検者が表示部8を見ながらジョイスティックで表示部8に表示される前進指示や後退指示等に従った操作を行う。
【0083】
LFMの測定部3を被検眼1に対し遠近方向に移動させて2分割センサ35の出力値が予め設定された値となると、位置決定され、例えばブザー音や決定完了の表示を行うことで検者にアライメントが完了したことを知らせる。
【0084】
「測定の実行」
以上の操作によってアライメントが完了した後は実際に測定を開始する。
【0085】
(外乱のチェック)
まず、外乱光の影響を考えて装置周辺の明るさをチェックする。装置周辺の明るさのチェックは、投射光学系4からレーザ光を照射せずに受光光学系5のシャッター16を開き、光電検出器15で受光する外乱光の光量が測定可能な所定量を超えるかどうかで判断する。
【0086】
(本測定)
外乱光の光量が測定可能な所定量以内であれば、投射光学系4のレーザ光源11からレーザ光を照射開始して、測定を開始する。
【0087】
レーザ光の照射開始点は、集光レンズ12の走査による被検眼1の測定走査幅を超えた上方の位置に設定されており、集光レンズ12が微細に1次元的走査を行うことで、レーザ光は被検眼1の上方から下方に測定走査幅をまたいで走査が行われる。
【0088】
よって、受光光学系5では、照射されたレーザ光の被検眼1内の散乱光を、測定走査幅をまたいだレーザ光の照射開始位置(被検眼上方)から照射終了位置(被検眼下方)までの範囲で検出する。
【0089】
(散乱光の強度)
光電検出器15で検出される散乱光の強度は、図4に示す表図のようになる。ここで、この図4の表図では、最初にシャッター16が開いた時T1から示されており、レーザ光が照射開始された時T2、測定開始時T3、測定終了時T4、レーザ光が照射完了した時T5、シャッター16が閉じた時T6までの時系列に散乱光の強度が示されている。
【0090】
図4において、領域A,Eはレーザ光が照射されていない外乱光による光電検出器15で検出された光強度である。領域B,Dはレーザ光の照射もあるが未だ測定対象部分での走査を行っていない外乱光による光強度(バックグラウンド値)である。領域Cは実際に測定対象部分をレーザ光が走査している測定中(測定走査幅)の光強度である。
【0091】
領域C中において、高さHが被検眼の前房内の蛋白質濃度であるフレア量(フレア値)を示している。また、不図示であるが所々突き出して高くなる値が被検眼1の前房内に浮遊する細胞(セル)を示す。
【0092】
(測定結果表示)
測定が完了すると、光電検出器15の出力信号は解析部9で解析され、測定結果が表示部8に表示画面として表示される。この表示部8の表示は解析部9が切換器10を制御してCCDカメラ27の画像表示から解析部9内のデータ表示に表示を切り換えることで表示される。
【0093】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、外乱光による影響を抑制し、測定精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態に係るレーザフレアメータ(LFM)を示す概略構成図である。
【図2】実施の形態に係るレーザフレアメータ(LFM)の被検眼に対する光学位置関係を説明する詳細図である。
【図3】実施の形態に係るレーザフレアメータ(LFM)の投射光光軸及び受光光軸の光学位置関係を説明する詳細図である。
【図4】実施の形態に係る光電検出器で検出された光強度を経時的に示す表図である。
【図5】従来のレーザフレアメータ(LFM)の投射光光軸及び受光光軸の光学位置関係を説明する詳細図である。
【図6】図5の装置の受光する光強度を示す表図である。
【図7】従来の改良されたレーザフレアメータ(LFM)の投射光光軸及び受光光軸の光学位置関係を説明する詳細図である。
【図8】図7の装置が受光する光強度を示す表図である。
【符号の説明】
1 被検眼
2 IOL
3 測定部
4 投射光学系
5 受光光学系
6 XY方向アライメント部
7 Z方向アライメント部
8 表示部
9 解析部
10 切換器
L0 眼球光軸
L0’ 眼球光軸L0に平行な測定対象部分Sを通過する軸
L1 投射光光軸
L2 受光光軸
L3 反射光光軸
L4 角膜反射光光軸
L5 反射散乱光光軸
L6 入射光光軸
L7 反射光光軸

Claims (2)

  1. 被検眼内に光を投射して散乱光を受光することにより被検眼内の生体特性を測定する眼科測定装置において、
    光源から被検眼内へ被検眼の眼球光軸に対して斜めに投射光を投射する投射光学系と、
    該投射光学系の投射光が被検眼内の測定対象部分で散乱した散乱光を受光する受光光学系と、
    を備え、
    前記投射光学系の投射光光軸と前記受光光学系の受光光軸とが前記測定対象部分を頂点に略直角をなし、
    前記受光光軸は、前記投射光が被検眼進入時に角膜で反射した角膜反射光の光軸と、前記投射光が被検眼内に挿入された人工水晶体を想定した場合の人工水晶体で反射した人工水晶体反射光の光軸と、の間にいずれの光軸とも交差することなく設定され、
    前記受光光軸と前記角膜反射光の光軸及び前記人工水晶体反射光の光軸とのそれぞれの間は、前記受光光学系に前記角膜反射光及び前記人工水晶体反射光を受光させない距離としたことを特徴とする眼科測定装置。
  2. 前記受光光学系は、前記散乱光を受光する受光素子と、該受光素子までの前記受光光軸に沿った受光光路中に設けられて前記測定対象部分と光学的に共役な位置に所定の大きさの開口を有する遮光部材と、を有し、
    前記遮光部材は、前記開口を透過する前記散乱光のみを前記受光素子に導くことを特徴とする請求項1に記載の眼科測定装置。
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