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JP4226343B2 - 安全装置 - Google Patents

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JP4226343B2
JP4226343B2 JP2003005974A JP2003005974A JP4226343B2 JP 4226343 B2 JP4226343 B2 JP 4226343B2 JP 2003005974 A JP2003005974 A JP 2003005974A JP 2003005974 A JP2003005974 A JP 2003005974A JP 4226343 B2 JP4226343 B2 JP 4226343B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種物質を危険シグナルとして、その存在を検出することにより危険回避装置を作動させ、危険を回避可能な安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、廃液処理プロセス等においては、河川への放流前の貯水池に例えば鯉等の魚を放流しておき、その生存状態を調べ、廃液の安全性を検査する、あるいは一定時間毎に廃液サンプルを分析処理することにより、有毒物質の存在を検出する、等により廃液の安全性を確保していた。しかし、これらの場合、連続処理ができない、煩雑である、安全性が十分でない等の問題があった。また、光スイッチを利用した安全装置がいくつか提案されているが(例えば、特許文献1から2参照)、これらは僅かな波長変化を検出して作動する安全装置ではない。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−63944号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平10−198426号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、病院、研究所、工場、プラント等において好適であり、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種物質を危険シグナルとして、その存在を検出することにより危険回避装置を作動させ、危険を回避可能な安全装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。即ち、
<1> 光を照射する光照射手段と、危険シグナルと相互作用可能であり、前記光照射手段から照射された光を干渉して干渉光として放射し、前記危険シグナルと相互作用した後で前記干渉光の波長を変化可能な光干渉手段と、前記干渉光の進路に設けられ、前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出手段と、該波長変化検出手段が前記干渉光の波長変化を検出した際に危険回避装置を作動させる危険回避装置作動手段とを有し、前記光干渉手段が、膜状物を少なくとも有してなり、前記膜状物が基材上に設けられ、前記基材が、干渉フィルタであることを特徴とする安全装置である。該<1>に記載の安全装置においては、前記光照射手段が光を照射する。前記光干渉手段が、前記光照射手段から照射された光を干渉して干渉光として放射する。前記光干渉手段は、前記危険シグナルと相互作用可能であり、該危険シグナルと相互作用した後で前記干渉光の波長を変化させる。前記波長変化検出手段が、前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する。前記危険回避装置作動手段が危険回避装置を作動させる。その結果、危険が回避され、安全が確保される。また、前記光干渉手段における前記膜状物において、前記光照射手段より照射された光が干渉光として放射される。また、前記膜状物が前記基材上に設けられるので、該膜状物の構造上の安定性、表面の平滑性等に優れる。また、前記基材が干渉フィルタであるので、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができ、回路動作のスイッチング性能に極めて優れる。そして、更にその表面に設ける前記膜状物の厚みを薄くすることができ、前記光干渉手段の製造が容易であり、透過型タイプの安全装置として設計することもできる。
<2> 波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能である前記<1>に記載の安全装置である。該<2>に記載の安全装置においては、前記波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能である。このため、該波長変化検出手段を、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、前記干渉光を透過不可能とし、かつ、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した特定波長の前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、特定波長の前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した前記干渉光を透過不可能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該危険シグナルの存在が容易にかつ簡便にしかも高感度に検出されるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0007】
<3> 波長変化検出手段が、干渉フィルタと、該干渉フィルタを透過した透過光を検知可能な光検知センサーである前記<2>に記載の安全装置である。該<3>に記載の安全装置においては、前記干渉フィルタを、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、前記干渉光を透過不可能とし、かつ、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した特定波長の前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、特定波長の前記干渉光を透過可能とし、かつ、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、前記干渉光を透過不可能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該干渉フィルタを透過した前記干渉光を前記光検知センサーが検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出し、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該危険シグナルの存在が容易にかつ簡便にしかも高感度に検出される。その結果、極僅かな波長変化が生じた場合であっても、それを前記干渉光の透過光として前記光検知センサーが検出可能であるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0008】
<4> 波長変化検出手段が、干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能である前記<1>に記載の安全装置である。該<4>に記載の安全装置においては、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記波長変化検出手段が、前記干渉光の波長変化の前後におけるスペクトル差、即ち差スペクトルを測定するので、それぞれブロードなスペクトル曲線ではなく、極めてシャープなスペクトル曲線が得られ、増幅が可能となる。そして、該干渉光の波長変化をスペクトル強度に変換することができ、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化があった場合であっても、それを増幅し、スペクトル強度として検出することができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0009】
<5> 波長変化検出手段が、差スペクトルをスペクトル強度に変換し、該スペクトル強度を増幅可能である前記<4>に記載の安全装置である。該<5>に記載の安全装置においては、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記波長変化検出手段が、それぞれブロードなスペクトル曲線を単に測定するだけではなく、極めてシャープなスペクトル曲線を得ることができ、更に、該干渉光の波長変化をスペクトル強度に変換することができるので、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化があった場合であっても、それを増幅し、スペクトル強度として簡便にかつ迅速に検出することができ、しかも高感度であるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0010】
<6> 波長変化検出手段が、分光光度計である前記<4>から<5>のいずれかに記載の安全装置である。
<7> 安全装置が、排ガス装置、排煙装置、断熱装置、冷却装置、加熱装置、光遮断装置、光照射装置及び廃液遮断装置から選択される前記<1>から<7>のいずれかに記載の安全装置である。
<8> 光干渉手段が、干渉光を反射光及び透過光の少なくともいずれかとして放射する前記<1>から<7>のいずれかに記載の安全装置である。該<8>に記載の安全装置においては、光干渉手段が、反射光及び透過光の少なくともいずれかとして放射する前記干渉光の進路に設けられ、該安全装置は反射型タイプ又は透過型タイプの装置として設計される。
【0011】
<9> 膜状物が棒状材で形成された前記<>から<>のいずれかに記載の安全装置である。
10> 膜状物が塗布法で形成された前記<>から<>のいずれかに記載の安全装置である。
11> 基材が、半導体、セラミックス、金属、ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成された前記<>から<10>のいずれかに記載の安全装置である。
【0012】
12> 基材が、膜状物の屈折率と略同等の屈折率を有する同屈折率膜を表面に有してなる前記<>から<11>のいずれかに記載の安全装置である。該<12>に記載の安全装置においては、前記基材が棒状材の屈折率と略同等の屈折率を有する同屈折率膜を表面に有しているので、更にその表面に設ける前記膜状物の厚みを薄くすることができる。この場合、前記光干渉手段の製造が低コストで容易である。
13> 基材が、膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を表面に有してなる前記<>から<11>のいずれかに記載の安全装置である。該<13>に記載の安全装置においては、前記基材が、膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を表面に有しているので、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出できるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0013】
14> 異屈折率膜が、基材の屈折率と異なる屈折率を有する前記<13>に記載の安全装置である。該<14>に記載の安全装置においては、前記異屈折率膜が、更に、基材の屈折率と異なる屈折率を有するので、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
15> 異屈折率膜を2以上有し、該2以上の異屈折率膜の屈折率が互いに異なる前記<13>から<14>のいずれかに記載の安全装置である。該<15>に記載の安全装置においては、前記異屈折率膜を2以上有し、該2以上の異屈折率膜の屈折率が互いに異なるので、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0014】
16> 異屈折率膜が、誘電体膜である前記<13>から<15>のいずれかに記載の安全装置である。
【0015】
17> 膜状物の表面に更に膜が少なくとも1つ設けられた前記<>から<16>のいずれかに記載の安全装置である。
18> 膜が、膜状物と接する基材表面における屈折率と略同等の屈折率を有する前記<17>に記載の安全装置である。
19> 膜状物の厚みが50nm〜1μmである前記<>から<18>のいずれかに記載の安全装置である。
20> 膜状物が、棒状材の単分子膜及び該単分子膜の積層膜のいずれかである前記<>から<19>のいずれかに記載の安全装置である。
【0016】
21> 棒状材が棒状有機分子である前記<>から<20>のいずれかに記載の安全装置である。該<21>に記載の安全装置においては、前記棒状材が棒状有機分子であるので、前記膜状物の形成が容易であり、また、該膜状物の裏面の表面性状が平滑でない場合でもその反対面である表面における平滑性の維持が容易である。
22> 棒状有機分子がらせん状分子である前記<21>に記載の安全装置である。
23> らせん状分子がα−ヘリックス・ポリペプチドである前記<22>に記載の安全装置である。該<23>に記載の安全装置においては、前記らせん状分子がα−ヘリックス・ポリペプチドであるので、前記膜状物の裏面の表面性状が平滑でない場合でもその反対面である表面における平滑性の維持が容易であり、表面が平滑でない場合に生ずる波長変化の検出誤差を小さくすることができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0017】
24> 棒状材が、危険シグナルと相互作用可能なシグナル相互作用部を有してなる前記<>から<23>のいずれかに記載の安全装置である。該<24>に記載の安全装置においては、前記棒状材における該シグナル相互作用部が前記危険シグナルと相互作用することにより、前記光干渉手段による干渉光に波長変化が生じ、この波長変化を前記波長変化検出手段が検出することにより、試料中等の前記危険シグナルが検出される。
25> シグナル相互作用部が、物理吸着及び化学吸着の少なくともいずれかにより危険シグナルと相互作用可能である前記<24>に記載の安全装置である。
26> シグナル相互作用部が、危険シグナルを捕捉可能な危険シグナル捕捉体である前記<22>から<23>のいずれかに記載の安全装置である。該<26>に記載の安全装置においては、前記危険シグナル捕捉体が直接、前記基材等に結合等されて配置されるのではなく、該危険シグナル捕捉体が前記棒状体に結合等された上で該棒状体が前記基材等に結合等されて配置されるので、例えば、該危険シグナル捕捉体が有機物である場合には、無機物である前記基材等に直接、結合等させて安定に配置させるのは困難であるが、同じ有機物である前記棒状体との結合等を介して前記基材上等に配置されるので、該危険シグナル捕捉体は安定である。また、該危険シグナル捕捉体の配置も容易である。更に、該危険シグナル捕捉体は、それが配置される前記基材等の表面が平滑でなくても、平滑性良く配置される。その結果、前記光照射手段より照射される光の受光面が平滑であり、該受光面が平滑でないことに起因する、前記干渉光の波長変化の測定誤差を小さくすることができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0018】
27> 危険シグナル捕捉体が、酵素、補酵素、酵素基質、酵素阻害剤、包接化合物、金属、抗体、抗原、タンパク、微生物、ウイルス、細胞破砕物、代謝産物、核酸、ホルモン、ホルモンレセプター、レクチン、糖、生理活性物質及び生理活性物質受容体から選択される少なくとも1種である前記<26>に記載の安全装置である。該<27>に記載の安全装置において、前記危険シグナル捕捉体が前記酵素である場合には、前記危険シグナルは例えば該酵素の補酵素、酵素基質又は酵素阻害剤であり、前記危険シグナル捕捉体が前記補酵素、酵素基質又は酵素阻害剤である場合には、前記危険シグナルは例えば該補酵素を補酵素、酵素基質又は酵素阻害剤とする酵素であり、前記危険シグナル捕捉体が前記包接化合物である場合には、前記危険シグナルは例えば該包接化合物のゲスト化合物であり、前記危険シグナル捕捉体が前記金属である場合には、前記危険シグナルは例えば前記包接化合物であり、前記危険シグナル捕捉体が前記抗体である場合には、前記危険シグナルは例えば該抗体の抗原、ウイルス、細胞破砕物、代謝産物としてのタンパクであり、前記危険シグナル捕捉体が前記タンパクである場合には、前記危険シグナルは例えば該タンパクを抗原とする抗体であり、前記危険シグナル捕捉体が前記核酸である場合には、前記危険シグナルは例えば該核酸と相補的な核酸であり、前記危険シグナル捕捉体が前記ホルモンレセプターである場合には、前記危険シグナルは例えば該ホルモンレセプターに受容されるホルモンであり、前記危険シグナル捕捉体が前記レクチンである場合には、前記危険シグナルは例えば該レクチンに受容させる糖であり、前記危険シグナル捕捉体が前記生理活性物質受容体である場合には、前記危険シグナルは例えば該生理活性物質受容体に受容される生理活性物質である。
【0019】
28> 包接化合物が、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物及び無機系ホスト化合物から選択され、
該単分子系ホスト化合物が、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、及び環状オリゴペプチドから選択され、
該多分子系ホスト化合物が、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチドから選択され、
該高分子系ホスト化合物が、セルロース、デンプン、キチン、キトサン及びポリビニルアルコールから選択され、
該無機系ホスト化合物が、層間化合物、ゼオライト及びHofmann型錯体から選択される前記<27>に記載の安全装置である。
29> 危険シグナルがアビジンであり、危険シグナル捕捉体がビオチンである前記<28>に記載の安全装置である。
【0020】
30> 光照射手段が、線状の光束を照射可能である前記<1>から<29>のいずれかに記載の安全装置である。該<30>に記載の安全装置においては、該光照射手段より照射される光の前記光干渉手段への入射角の制御が容易であり、また、前記光干渉手段における、前記光照射手段より照射される光の受光面の面積を小さく設計することができ、また、該光干渉手段による干渉光の波長変化を検出する前記波長変化検出手段における受光面の面積を小さく設計することができ、測定ノイズを抑制することができ、測定誤差を小さくすることができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の安全装置は、光照射手段と、光干渉手段と、波長変化検出手段と、危険回避装置作動手段とを有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段を有してなる。
【0022】
<光照射手段>
前記光照射手段は、光を照射する機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、ハロゲンランプ(例えばキセノンランプ)等の光源などが挙げられる。
これらの中でも、線状の光束を照射可能であるものが好ましい。この場合、該光照射手段より照射される光の前記光干渉手段への入射角の制御が容易であり、また、該光照射手段より照射される光の前記光干渉手段における受光面の面積を小さく設計することができ、更に該光干渉手段による干渉光の波長変化を検出する前記波長変化検出手段における受光面の面積を小さく設計することができ、測定ノイズを抑制することができ、安全装置の誤作動を効果的に防止可能な点で有利である。
なお、本発明においては、前記波長変化検出手段として、分光光度計を使用する場合には、該光照射手段として、該分光光度計に内蔵された光源を使用することができる。
【0023】
<光干渉手段>
前記光干渉手段は、光照射手段から照射された光を干渉すると共に危険シグナルと相互作用可能であり、前記光照射手段から照射された光を干渉して干渉光として放射し、前記危険シグナルと相互作用した後で前記干渉光の波長を変化させる機能を有する。前記放射は、反射光としてであってもよいし、透過光としてであってもよい。
【0024】
前記光干渉手段としては、前記機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、棒状材が配列されてなる膜状物を少なくとも有してなるもの、などが挙げられる。
これらの中でも、棒状材が配列されてなる膜状物を基材上有してなるもの、が好ましい。この場合、前記膜状物が前記基材上に設けられるので、該膜状物の構造上の安定性、表面平滑性に優れ、検出誤差を小さくし、安全装置の誤作動を防止することができる。
【0025】
−基材−
前記基材としては、前記膜状物を表面に配置可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、検出誤差を小さくする観点からは、表面平滑性に優れるものが好ましく、例えば、半導体、セラミックス、金属、ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成されたものなどが好適に挙げられ、また、干渉フィルタ、色素フィルタなども好適に挙げられる。なお、前記半導体としては、公知のものの中から適宜選択することができるが、例えば、シリコンなどが好適に挙げられる。
【0026】
前記基材の中でも、前記膜状物を構成する前記棒状材の屈折率と略同等の屈折率を有する同屈折率膜を表面に有してなるものが好ましい。この場合、該基材上に更に設ける前記膜状物の厚みを薄くすることができ、その結果、前記光干渉手段を低コストで容易に製造することができ、また、前記干渉光の波長を可視光域に容易に調整することができる。なお、前記酸化膜の厚みや材質によっては、該基材による干渉光が干渉色を示すことがあり、この場合、「プレカラード基材」として使用することもできる。
【0027】
なお、前記同屈折率膜の厚みとしては、前記棒状材の屈折率等により異なり一概に規定することはできないが、50nm〜1μm程度である。
前記同屈折率膜は、公知の方法、例えば、CVD法、PVD法等の真空製膜法、加熱酸化法、等に従って形成することができ、一例としては、前記基材がシリコン基材等である場合には、該シリコン基材を900〜1000℃加熱することにより酸化膜等として形成することができる。
【0028】
また、前記基材の中でも、膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を表面に有してなるものも好ましい。この場合、前記基材が、膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を表面に有しているので、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができるので、危険回避性能、安全性に優れる点で有利である。
前記異屈折率膜は、基材の屈折率と異なる屈折率を有していてもよく、また、その数も2以上であってもよく、2以上の場合にはそれぞれの該異屈折率膜の屈折率が互いに異なっていてもよい。
前記異屈折率膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、誘電体膜などが挙げられる。
【0029】
前記干渉フィルタとしては、公知のものの中から適宜選択することができ、市販品なども好適に挙げられる。この場合、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができる点で有利であり、また、該基材上に更に設ける前記膜状物の厚みを薄くすることができ、その結果、前記光干渉手段を容易に製造することができ、更に、前記安全装置を透過型タイプの装置として設計することもできる。
【0030】
なお、前記干渉フィルタとしては、取り出す波長幅が狭い(50nm以下程度)単色フィルターであってもよいし、比較的広い帯域フィルターであってもよく、また、誘電体多層膜型、MDM型(例えば、金属/誘電体/金属)、DMD型(例えば、誘電体多層膜/金属/誘電体多層膜)などのいずれであってもよい。また、これらの場合において、前記誘電体は、無機物で形成されていてもよいし、有機物で形成されていてもよい。
【0031】
なお、本発明においては、前記干渉フィルタとして、前記膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を前記基材の表面に有してなるものを使用することもできる。
【0032】
−膜状物−
前記膜状物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、前記棒状材で形成されたもの、などが好適に挙げられる。
前記膜状物の厚みとしては、波長変化の前後における前記干渉光の波長、前記基材の屈折率等に応じて適宜選択することができ、例えば、50nm〜1μmであるのが好ましい。
【0033】
本発明においては、前記膜状物の表面に膜が少なくとも1つ設けられていてもよい。該膜としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記膜状物と接する基材表面における屈折率と略同等の屈折率を有する膜が好ましい。この場合、スペクトル曲線のシャープな干渉光を放射することができ、該干渉光の極僅かな波長変化(波長シフト)であっても簡便かつ確実に、しかも迅速かつ高感度に検出することができるので、危険回避性能、安全性に優れる点で有利である。
前記誘電体膜は、前記膜状物の表面に例えば、公知の方法等により形成することができる。具体的には、前記誘電体の材料として、金、銀、白金、白金パラジウムなどを選択し、これらの材料を前記膜状物の表面にイオンコーター等により薄層形成することができる。なお、前記誘電体の材料としては、上記のものに限られず、酸化ケイ素等の酸化物などであってもよい。
【0034】
−−棒状材−−
前記棒状材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、棒状無機分子、棒状有機分子などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記危険シグナルと相互作用し易く、分子の加工が容易であり、前記膜状物の形成が容易であり、該膜状物の裏面の表面性状が平滑でない場合でもその反対面である表面における平滑性の維持が容易である、等の点で、棒状有機分子が好ましい。
【0035】
前記棒状有機分子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、生体高分子、多糖類などが挙げられる。
前記生体高分子としては、例えば、繊維状タンパク、α−ヘリックス・ポリペプチド、核酸(DNA、RNA)などが好適に挙げられる。該繊維状タンパクとしては、例えば、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等のα−ヘリックス構造を有するもの、などが挙げられる。
前記多糖類としては、例えば、アミロースなどが好適に挙げられる。
【0036】
前記棒状有機分子の中でも、安定に棒状を維持することができる点で、分子がらせん構造を有するらせん状分子が好ましい。この場合、前記膜状物の裏面の表面性状(例えば、前記基材の表面性状)が平滑でない場合でもその反対面である表(おもて)面(前記光照射手段による光の入射面)における平滑性の維持が容易であり、表面が平滑でない場合に生ずる波長変化の測定誤差を小さくさせることができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0037】
前記らせん状分子としては、上述したものの内、α−ヘリックス・ポリペプチド、DNA、アミロースなどが好適に挙げられる。
【0038】
−−−α−ヘリックス・ポリペプチド−−−
前記α−ヘリックス・ポリペプチドは、ポリペプチドの二次構造の一つであり、アミノ酸3.6残基ごとに1回転(1らせんを形成)し、4番目ごとのアミノ酸のイミド基(−NH−)とカルボニル基(−CO−)との間に螺旋軸とほぼ平行な水素結合を作り、7アミノ酸を一単位として繰り返すことによりエネルギー的に安定な構造を有している。
前記α−ヘリックス・ポリペプチドのらせん方向としては、特に制限はなく、右巻きであってもよいし、左巻きであってもよい。なお、天然には安定性の点から前記らせん方向が右巻きのものしか存在しない。
【0039】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドを形成するアミノ酸としては、α−ヘリックス構造を形成可能であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、該α−ヘリックス構造を形成し易いものが好ましく、このようなアミノ酸としては、例えば、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ヒスチジン(His)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アラニン(Ala)、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、システイン(Cys)、メチオニン(Met)、チロシン(Tyr)、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)などが好適に挙げられる。これらは、1種単独で使用されてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0040】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドは、前記アミノ酸を適宜選択することにより、親水性、疎水性、両親媒性のいずれにも設計可能であるが、前記親水性とする場合には、前記アミノ酸としては、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、アスパラギン(Asn)、グルタミン(Gln)などが好適に挙げられ、前記疎水性とする場合には、前記アミノ酸としては、フェニルアラニン(Phe)、トリプトファン(Trp)、イソロイシン(Ile)、チロシン(Tyr)、メチオニン(Met)、ロイシン(Leu)、バリン(Val)などが挙げられる。
前記α−ヘリックス・ポリペプチドを構成するアミノ酸としては、特に制限はなく、例えば、L−アミノ酸、D−アミノ酸、これらの側鎖部分が修飾された誘導体などのいずれであってもよい。
【0041】
また、前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおいては、該α−ヘリックスを形成する前記アミノ酸における、ペプチド結合を構成しないカルボキシル基を、エステル化することにより疎水性にすることができ、一方、該エステル化されたカルボキシル基を加水分解することにより親水性にすることができる。
【0042】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドにおけるアミノ酸の結合個数(重合度)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができるが、10〜5000であるのが好ましい。
前記結合個数(重合度)が、10未満であると、ポリアミノ酸が安定なα−ヘリックスを形成できなくなることがあり、5000を超えると、垂直配向させることが困難となることがある。
【0043】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの具体例としては、ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−エチル−L−グルタメート)、ポリ(γ−ベンジル−L−グルタメート)、ポリ(L−グルタミン酸−γ−ベンジル)、ポリ(n−ヘキシル−L−グルタメート)等のポリグルタミン酸誘導体、ポリ(β−ベンジル−L−アスパルテート)等のポリアスパラギン酸誘導体、ポリ(L−ロイシン)、ポリ(L−アラニン)、ポリ(L−メチオニン)、ポリ(L−フェニルアラニン)、ポリ(L−リジン)−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)、などが好適に挙げられる。
【0044】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドとしては、公知文献等に記載の方法に準じて適宜合成乃至調製したものであってもよいし、市販品を使用してもよい。
【0045】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの一合成例として、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60の合成例を示すと、次の通りである。即ち、ブロックコポリペプチド〔ポリ(L−リジン)25−ポリ(γ−メチル−L−グルタメート)60〕PLLZ25−PMLG60は、下記式で示したように、n−ヘキシルアミンを開始剤として用い、Nε−カルボベンゾキシ L−リジン Nα−カルボキシ酸無水物(LLZ−NCA)の重合を行い、続けてγ−メチル L−グルタメート N−カルボキシ酸無水物(MLG−NCA)の重合を行うことにより合成することができる。
【0046】
【化1】
Figure 0004226343
【0047】
前記α−ヘリックス・ポリペプチドの合成は、上記方法に限られず、遺伝子工学的方法により行うこともでき、例えば、前記目的とするポリペプチドをコードするDNAを組み込んだ発現ベクターにより宿主細胞を形質転換し、この形質転換体を培養すること等により行うことができる。
前記発現ベクターとしては、例えば、プラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター、などが挙げられる。
前記宿主細胞としては、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母菌等の真核微生物、動物細胞などが挙げられる。
【0048】
また、前記α−ヘリックス・ポリペプチドは、α−ケラチン、ミオシン、エピダーミン、フィブリノゲン、トロポマイシン、絹フィブロイン等の天然の繊維状蛋白からそのα−ヘリックス構造部分を切り出すことにより調製してもよい。
【0049】
−−−DNA−−−
前記DNAは、1本鎖DNAであってもよいが、安定に棒状を維持することができる等の点で2本鎖DNAであるのが好ましい。
前記2本鎖DNAは、一つの中心軸の回りに、右巻きらせん状の2本のポリヌクレオチド鎖が互いに逆方向に延びた状態で位置して形成された2重らせん構造を有する。
前記ポリヌクレオチド鎖は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)及びシトシン(C)の4種類の核酸塩基で形成されており、前記ポリヌクレオチド鎖において前記核酸塩基は、中心軸に対して垂直な平面内で互いに内側に突出した形で存在して、いわゆるワトソン−クリック型塩基対を形成し、アデニンに対してはチミンが、グアニンに対してはシトシンが、それぞれ特異的に水素結合している。その結果、前記2本鎖DNAにおいては、2本のポリペプチド鎖が互いに相補的に結合している。
【0050】
前記DNAは、公知のPCR(Polymerase Chain Reaction)法、LCR(Ligase chain Reaction)法、3SR(Self−sustained Sequence Replication)法、SDA(Strand Displacement Amplification)法等により調製することができるが、これらの中でもPCR法が好適である。
【0051】
また、前記DNAは、天然の遺伝子から制限酵素により酵素的に直接切り出して調製してもよいし、遺伝子クローニング法により調製してもよいし、化学合成法により調製してもよい。
【0052】
前記遺伝子クローニング法の場合、例えば、正常核酸を増幅したものをプラスミドベクター、ファージベクター、プラスミドとファージとのキメラベクター等から選択されるベクターに組み込み、大腸菌、枯草菌等の原核微生物、酵母等の真核微生物、動物細胞などから選択される増殖可能な任意の宿主に導入することにより前記DNAを大量に調製することができる。
前記化学合成法としては、例えば、トリエステル法、亜リン酸法などのような、液相法又は不溶性の担体を使った固相合成法などが挙げられる。前記化学合成法の場合、公知の自動合成機等を用い、1本鎖のDNAを大量に調製した後、アニーリングを行うことにより、2本鎖DNAを調製することができる。
【0053】
−−−アミロース−−−
前記アミロースは、高等植物の貯蔵のためのホモ多糖類であるデンプンを構成するD−グルコースがα−1,4結合で直鎖状につながったらせん構造を有する多糖類である。
前記アミロースの分子量としては、数平均分子量で、数千〜15万程度が好ましい。
前記アミロースは、市販のものであってもよいし、公知の方法に従って適宜調製したものであってもよい。
なお、前記アミロースは、その一部にアミロペクチンが含まれていてもよい。
【0054】
前記棒状有機分子の長さとしては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。
前記棒状有機分子の直径としては、特に制限はないが、前記α−ヘリックス・ポリペプチドの場合には0.8〜2.0nm程度である。
【0055】
前記棒状有機分子は、その全部が親油性(疎水性)又は親水性であってもよく、また、その一部が親油性(疎水性)又は親水性であり、他の部分が該一部と逆の親性を示す両親媒性であってもよい。
【0056】
なお、前記光干渉手段による前記干渉光の波長は、可視光域にあってもよいし、なくてもよいが、前者の場合には目視にて該干渉光を検出することができる点で好ましく、波長変化後における前記干渉光の波長が可視光域にあるのがより好ましい。この場合、該干渉光を干渉色として視認可能であるが、この干渉色が視認される原理は、いわゆる構造性発色とよばれる原理に基づく。
【0057】
−−構造性発色−
前記構造性発色は、モルフォ蝶翅の鱗粉の発色基本原理である多層薄膜干渉理論に基づき、構造発色体(膜、層)に電場、磁場、温度、光(例えば自然光、赤外線光、紫外線光)などの外部刺激を与えたときに、該構造発色体(膜、層)の厚みとその屈折率に応じて特定波長の光が反射する結果、該構造発色体の表面で生ずる発色である。前記構造性発色では、染料や顔料は不要である。
【0058】
ここで、前記構造性発色の原理について下記に示す。
図1及び図2に示すように、前記膜状物(又は、棒状材10で形成された膜状物及び基材50における酸化物層)に前記光照射手段より光が照射された際に該膜状物(又は、棒状材10で形成された膜状物及び基材50における酸化物層)による干渉光の波長(λ)は、下記(1)に示す条件で強められ、下記(2)に示す条件で弱められる。
【0059】
【数1】
Figure 0004226343
【0060】
【数2】
Figure 0004226343
【0061】
前記式(1)及び前記式(2)において、λは、干渉光の波長(nm)を意味し、αは、前記膜状物(又は、棒状有機分子10で形成された膜状物及び基材50における酸化物層)への光の入射角(度)を意味し、tは、前記膜状物(又は、該膜状物及び前記基材における酸化物層)の厚み(nm)を意味し、lは、前記膜状物(又は、該膜状物及び前記基材における酸化物層)の数を意味し、nは、前記膜状物(又は、棒状有機分子10で形成された膜状物及び基材50における酸化物層)の屈折率を意味し、mは、1以上の整数を意味する。
【0062】
前記膜状物(又は棒状有機分子10で形成された膜状物及び基材50における酸化物層)の厚みとしては、810nm以下であるのが好ましく、10nm〜810nmであるのがより好ましい。
前記厚みを適宜変更することにより、前記構造性発色の色(波長)を変化させることができる。
【0063】
前記膜状物は、前記棒状材の単分子膜であってもよいし、該単分子膜の積層膜であってもよい。
前記単分子膜又はそれによる前記積層膜は、例えば、公知の塗布法によって、あるいは、ラングミュア−ブロジェット法(LB法)に従って形成することができる。
前者の場合、即ち公知の塗布法の中でも、操作が簡便である点でスピンコート法が好ましく、更に、前記膜状物が棒状材で形成する場合には、該棒状材の液晶性に基づく自己組織化により、あるいは該棒状材の末端の官能基と前記基材との相互作用に基づく自己組織化により、前記膜状物を効率よく形成することができる点で有利である。
後者の場合、公知のLB膜形成装置(例えば、日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリーズ社製のNL−LB400NK−MWCなどが好適に挙げられる)を使用することができる。
【0064】
前記単分子膜の形成は、例えば、親油性(疎水性)若しくは両親媒性の前記棒状有機分子を水面上(水相上)に浮かした状態で、又は、親水性若しくは両親媒性の前記棒状有機分子を油面上(油相上)に浮かした状態で、即ち図3に示すように、棒状有機分子10を配向させた状態で押出部材60を用いて基材50上に形成することができる。この操作を繰り返すことにより、基材50上に該単分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成することができる。
【0065】
このとき、基材50の表面は、適宜、棒状有機分子10が付着乃至結合し易くする目的で予め表面処理、例えば親水性化処理、親油性化処理などを行っておくのが好ましく、例えば、棒状有機分子10(例えばα−ヘリックス・ポリペプチド)が親水性である場合には、オクタデシル・トリメチルシロキサンなどを用いた親水化処理等の表面処理を予め行っておくのが好ましい。基材50の表面が前記親水性化処理されている場合には棒状有機分子10を基材50上に立設配置させることができ、前記基材の表面が前記疎水性化処理されている場合には棒状有機分子10を基材50上に並列配置させることができる。なお、前記親水性化処理及び親油性化処理は、例えば、カップリング剤等を用いて好適に行うことができる。
【0066】
なお、両親媒性の棒状有機分子10の単分子膜を形成する際に、棒状有機分子10を油相又は水相上に浮かべた状態としては、図4に示す通り、前記水相又は油相上で、棒状有機分子10の親油性部(疎水性部)10a同士が互いに隣接して配向し、親水性部10b同士が互いに隣接して配向している。
【0067】
以上は前記棒状有機分子が単分子膜の平面方向に配向(横に寝た状態)した単分子膜又はそれによる積層膜の例であるが、該棒状有機分子が単分子膜の厚み方向に配向(立設した状態)した単分子膜は、例えば、以下のようにして形成することができる。即ち、図5に示すように、まず、両親媒性の棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)を水面上(水相上)に浮かした状態(横に寝た状態)で、該水(水相)のpHを12程度のアルカリ性にする。すると、棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親水性部10bが、そのα−ヘリックス構造が解けてランダムな構造をとる。このとき、棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親油性部(疎水性部)10aはα−ヘリックス構造を維持したままである。次に、該水(水相)のpHを5程度の酸性にする。すると、棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)における親水性部10bが、再びα−ヘリックス構造をとるようになる。このとき、棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)に対し、該棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)に当接させた押圧部材をその側面からエアーの圧力で押すと、該棒状有機分子10は該水(水相)に対し立設した状態のままその親水性部10bが水相中でその水面と略直交する方向に向かってα−ヘリックス構造をとるようになる。そして、図3を用いて上述したように、棒状有機分子10(α−ヘリックス・ポリペプチド)を配向させた状態で押出部材60を用いて基材50上に押し出すことにより基材50上に単分子膜を形成することができる。この操作を繰り返すことにより、基材50上に該単分子膜を任意の数だけ積層した前記積層膜を形成することができる。
【0068】
−−シグナル相互作用部−−
本発明においては、前記棒状材が、前記危険シグナルと相互作用可能なシグナル相互作用部を有しているのが好ましい。この場合、前記棒状材における該シグナル相互作用部が前記危険シグナルと相互作用することにより、前記光干渉手段による干渉光に波長変化が生じ、この波長変化を前記波長変化検出手段が検出することにより、試料中に存在する前記危険シグナルを検出することができる。
前記シグナル相互作用部としては、前記危険シグナルと相互作用可能である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、物理吸着及び化学吸着の少なくともいずれかにより前記危険シグナルと相互作用可能であるのが好ましい。
【0069】
前記シグナル相互作用部としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記危険シグナルを捕捉可能な危険シグナル捕捉体、などが好ましい。この場合、前記危険シグナル捕捉体が直接、前記基材に結合等されて配置されるのではなく、該危険シグナル捕捉体が前記棒状体に結合等された上で該棒状体が前記基材に結合等されて配置されるので、例えば、該危険シグナル捕捉体が有機物である場合には、無機物である前記基材等に直接、結合等させて配置させるよりも、同じ有機物である前記棒状体との結合等を介して前記基材上等に配置させる方が容易であり、該危険シグナル捕捉体も安定である。また、該危険シグナル捕捉体は、前記基材の表面が平滑でなくても、平滑性良く配置されので、前記光照射手段より照射される光の受光面を平滑化することができ、該受光面が平滑でないことに起因する、前記干渉光の波長変化の検出誤差を小さくすることができる。
【0070】
前記危険シグナル捕捉体としては、前記標的を捕捉することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0071】
前記捕捉の態様としては、特に制限はないが、物理吸着、化学吸着などが挙げられる。これらは、例えば、水素結合、分子間力(ファン・デル・ワールス力)、配位結合、イオン結合、共有結合などにより形成され得る。
【0072】
前記危険シグナル捕捉体の具体例としては、酵素、補酵素、酵素基質、酵素阻害剤、包接化合物(以下「ホスト化合物」又は「ホスト」と称することがある)、金属、抗体、抗原、タンパク、微生物、ウイルス、細胞破砕物、代謝産物、核酸、ホルモン、ホルモンレセプター、レクチン、糖、生理活性物質、生理活性物質受容体などが好適に挙げられる。
【0073】
前記危険シグナルとしては、前記危険シグナル捕捉体がそれぞれ、前記酵素である場合には例えば該酵素の補酵素であり、記補酵素である場合には例えば該補酵素を補酵素とする酵素であり、前記包接化合物である場合には例えば該包接化合物のゲスト化合物(包接される成分)であり、前記抗体である場合には例えば該抗体の抗原としてのタンパクであり、前記タンパクである場合には例えば該タンパクを抗原とする抗体であり、前記核酸である場合には例えば該核酸と相補的な核酸、チューブリン、キチン等であり、前記ホルモンレセプターである場合には例えば該ホルモンレセプターに受容されるホルモンであり、前記レクチンである場合には例えば該レクチンに受容させる糖であり、前記生理活性物質受容体である場合には例えば該生理活性物質受容体に受容される生理活性物質である。
【0074】
なお、前記危険シグナルを含む試料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、細菌、ウイルス等の病原体、生体から分離された血液、唾液、組織病片等、糞尿等の排泄物、などが挙げられる。更に、出生前診断を行う場合は、羊水中に存在する胎児の細胞や、試験管内での分裂卵細胞の一部を試料とすることもできる。また、これらの試料は、直接、又は必要に応じて遠心分離操作等により沈渣として濃縮した後、例えば、酵素処理、熱処理、界面活性剤処理、超音波処理、これらの組合せ等による細胞破壊処理を予め施したものを使用してもよい。
【0075】
前記包接化合物としては、分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、筒状(一次元)の空洞を有するもの、層状(二次元)の空洞を有するもの、かご状(三次元)の空洞を有するもの、などが好適に挙げられる。
【0076】
前記筒状(一次元)の空洞を有する包接化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ジニトロジフェニル、ジオキシトリフェニルメタン、トリフェニルメタン、メチルナフタリン、スピロクロマン、PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)、セルロース、アミロース、シクロデキストリン(但し、溶液中では前記空洞がかご状)などが挙げられる。
【0077】
前記尿素が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、n−パラフィン誘導体などが挙げられる。
前記チオ尿素が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、分岐状又は環状の炭化水素などが挙げられる。
前記デオキシコール酸が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、パラフィン類、脂肪酸、芳香族化合物などが挙げられる。
前記ジニトロジフェニルが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、ジフェニル誘導体などが挙げられる。
【0078】
前記ジオキシトリフェニルメタンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、パラフィン類、n−アルケン類、スクアレンなどが挙げられる。
前記トリフェニルメタンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記メチルナフタリンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、C16までのn−パラフィン類、分岐状パラフィン類などが挙げられる。
前記スピロクロマンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、パラフィン類などが挙げられる。
前記PHTP(ペルヒドロトリフェニレン)が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、各種高分子物質などが挙げられる。
前記セルロースが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、HO、パラフィン類、CCl、色素、ヨウ素などが挙げられる。
前記アミロースが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、脂肪酸、ヨウ素などが挙げられる。
【0079】
前記シクロデキストリンは、デンプンのアミラーゼによる分解で生成する環状のデキストリンであり、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンの3種が知られている。本発明においては、前記シクロデキストリンとして、これらの水酸基の一部を他の官能基、例えば、アルキル基、アリル基、アルコキシ基、アミド基、スルホン酸基などに変えたシクロデキストリン誘導体も含まれる。
【0080】
前記シクロデキストリンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、チモール、オイゲノール、レゾルシン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のフェノール誘導体、サリチル酸、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル等の安息香酸誘導体及びそのエステル、コレステロール等のステロイド、アスコルビン酸、レチノール、トコフェロール等のビタミン、リモネン等の炭化水素類、イソチオシアン酸アリル、ソルビン酸、ヨウ素分子、メチルオレンジ、コンゴーレッド、2−p−トルイジニルナフタレン−6−スルホン酸カリウム塩(TNS)などが挙げられる。
【0081】
前記層状(二次元)の包接化合物としては、例えば、粘土鉱物、グラファイト、スメクタイト、モンモリロナイト、ゼオライトなどが挙げられる。
【0082】
前記粘土鉱物が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、親水性物質、極性化合物などが挙げられる。
前記グラファイトが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、O、HSO 、ハロゲン、ハロゲン化物、アルカリ金属などが挙げられる。
前記モンモリロナイトが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、ブルシン、コデイン、o−フェニレンジアミン、ベンジジン、ピペリジン、アデニン、グイアニン及びこれらのリポシドなどが挙げられる。
前記ゼオライトが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、HOなどが挙げられる。
【0083】
前記かご状(三次元)の包接化合物としては、例えば、ヒドロキノン、気体水化物、トリ−o−チモチド、オキシフラバン、ジシアノアンミンニッケル、クリプタンド、カリックスアレン、クラウン化合物などが挙げられる。
【0084】
前記ヒドロキノンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、HCl、SO、アセチレン、希ガス元素などが挙げられる。
前記気体水化物が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、ハロゲン、希ガス元素、低級炭化水素などが挙げられる。
前記トリ−o−チモチドが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、シクロヘキサン、ベンゼン、クロロホルムなどが挙げられる。
前記オキシフラバンが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、有機塩基などが挙げられる。
前記ジシアノアンミンニッケルが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、ベンゼン、フェノールなどが挙げられる。
前記クリプタンドが捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、NH4+、各種金属イオンなどが挙げられる。
【0085】
前記カリックスアレンは、フェノールとホルムアルデヒドとから適当な条件で合成されるフェノール単位をメチレン基で結合した環状オリゴマーであり、4〜8核体が知られている。これらの内、p−t−ブチルカリックスアレン(n=4)が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、クロロホルム、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=5)が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、イソプロピルアルコール、アセトンなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=6)が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、クロロホルム、メタノールなどが挙げられる。p−t−ブチルカリックスアレン(n=7)が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、クロロホルムなどが挙げられる。
【0086】
前記クラウン化合物としては、電子供与性のドナー原子として酸素を持つクラウンエーテルのみではなく、そのアナログとして窒素、硫黄などのドナー原子を環構造構成原子として持つ大環状化合物を含み、また、クリプタンドを代表する2個以上の環よりなる複環式クラウン化合物も含まれ、例えば、シクロヘキシル−12−クラウン−4、ジベンゾ−14−クラウン−4、t−ブチルベンゾ−15−クラウン−5、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキシル−18−クラウン−6、18−クラウン−6、トリベンゾ−18−クラウン−6、テトラベンゾ−24−クラウン−8、ジベンゾ−26−クラウン−6などが挙げられる。
【0087】
前記クラウン化合物が捕捉可能な危険シグナルとしては、例えば、Li,Na、K等のアルカリ金属、Mg、Ca等のアルカリ土類金属などの各種金属イオン、NH4+、アルキルアンモニウムイオン、グアニジウムイオン、芳香族ジアゾニウムイオンなどが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。また、該クラウン化合物が捕捉可能な危険シグナルとしては、これら以外にも、酸性度が比較的大きいC−H(アセトニトリル、マロンニトリル、アジポニトリルなど)、N−H(アニリン、アミノ安息香酸、アミド、スルファミド誘導体など)、O−H(フェノール、酢酸誘導体など)ユニットを有する極性有機化合物などが挙げられ、該クラウン化合物はこれらと錯体を形成する。
【0088】
前記包接化合物の空洞の大きさ(径)としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選定することができるが、安定した分子認識能(ホスト−ゲスト結合能)を発揮し得る観点からは0.1nm〜2.0nmであるのが好ましい。
【0089】
なお、前記包接化合物は、例えば、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物、無機系ホスト化合物などに分類することもできる。
前記単分子系ホスト化合物としては、例えば、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、環状オリゴペプチド、などが挙げられる。
前記多分子系ホスト化合物としては、例えば、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチド、などが挙げられる。
前記高分子系ホスト化合物としては、例えば、セルロース、デンプン、キチン、キトサン、ポリビニルアルコール、などが挙げられる。
前記無機系ホスト化合物としては、例えば、層間化合物、ゼオライト及びHofmann型錯体、などが挙げられる。
【0090】
前記抗体としては、抗原と特異的に抗原抗体反応を生じるものであれば特に制限されず、多クローン性抗体であっても、単クローン性抗体であってもよく、更にはIgG、IgM、IgE、IgGのFab’、Fab、F(ab’)、アビジンなども含まれる。
【0091】
前記抗原としては、特に制限はなく、前記抗体の種類に応じて適宜選択することができ、例えば、血漿蛋白、腫瘍マーカー、アポ蛋白、ウイルス抗原、自己抗体、凝固・線溶因子、ホルモン、血中薬物、HLA抗原、ビオチンなどが挙げられる。
【0092】
前記血漿蛋白としては、例えば、免疫グロブリン(IgG,IgA,IgM,IgD,IgE)、補体成分(C3,C4,C5,C1q)、CRP、α−アンチトリプシン、α−マイクログロブリン、β−マイクログロブリン、ハプトグロビン、トランスフェリン、セルロプラスミン、フェリチンなどが挙げられる。
【0093】
前記腫瘍マーカーとしては、例えば、α−フェトプロテイン(AFP)、癌胎児性抗原(CEA)、CA19−9、CA125、CA15−3、SCC抗原、前立腺酸性ホスファターゼ(PAP)、PIVKA−II、γ−セミノプロテイン、TPA、エラスターゼI、神経特異エノラーゼ(NSE)、免疫抑制酸性蛋白(IAP)などが挙げられる。
【0094】
前記アポ蛋白としては、例えば、アポA−I、アポA−II、アポB、アポC−II、アポC−III、アポEなどが挙げられる。
【0095】
前記ウイルス抗原としては、例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)関連抗原、C型肝炎ウイルス(HVC)関連抗原、HTLV−I、HIV、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルスなどが挙げられる。
前記HCV関連抗原としては、例えば、HCVc100−3リコビナント抗原、pHCV−31リコビナント抗原、pHCV−34リコビナント抗原などが挙げられ、それらの混合物が好ましく使用できる。前記HIV関連抗原としては、ウイルス表面抗原などが挙げられ、例えば、HIV−I env.gp41リコビナント抗原、HIV−I env.gp120リコビナント抗原、HIV−I gag.p24リコビナント抗原、HIV−II env.p36リコビナント抗原などが挙げられる。
また、ウイルス以外の感染症としては、MRSA、ASO、トキソプラズマ、マイコプラズマ、STDなどが挙げられる。
【0096】
前記自己抗体としては、例えば、抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体、抗核抗体、リュウマチ因子、抗ミトコンドリア抗体、ミエリン抗体などが挙げられる。
【0097】
前記凝固・線溶因子としては、例えば、フィブリノゲン、フィブリン分解産物(FDP)、プラスミノゲン、α−プラスミンインヒビター、アンチトロンビンIII、β−トロンボグロブリン、第VIII因子、プロテインC、プロテインSなどが挙げられる。
【0098】
前記ホルモンとしては、例えば、下垂体ホルモン(LH、FSH、GH、ACTH、TSH、プロラクチン)、甲状腺ホルモン(T、T、サイログロブリン)、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、副腎皮質ホルモン(アルドステロン、コルチゾール)、性腺ホルモン(hCG、エストロゲン、テストステロン、hPL)、膵・消化管ホルモン(インスリン、C−ペプチド、グルカゴン、ガストリン)、その他(レニン、アンジオテンシンI,II、エンケファリン、エリスロポエチン)などが挙げられる。
【0099】
前記血中薬物としては、例えば、カルバマゼピン、プリミドン、バルプロ酸等の抗てんかん薬、ジゴキシン、キニジン、ジギトキシン、テオフィリン等の循環器疾患薬、ゲンタマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン等の抗生物質などが挙げられる。
【0100】
前記タンパクとしては、多くの重金属、特に亜鉛、カドミウム、銅、水銀などに高い親和性を示す低分子量(約6000〜13000)のもの、などが好適に挙げられる。これらのタンパクは、動物の肝臓、腎臓、その他の組織中に存在し、最近では微生物体内にも存在することが見出されている。また、これらのタンパクは、システイン含有量が多く、芳香族の残基を殆ど含まないアミノ酸分布を呈しており、生体内においてカドミウム、水銀などの解毒化機能を有する物質であるとともに、亜鉛,銅など生体に必須の微量金属の貯蔵と、生体内における分布にも関与している重要な物質である。
【0101】
前記重金属としては、例えば、アルキル水銀化合物(R−Hg)、水銀又はその化合物(Hg)、カドミウム又はその化合物(Cd)、鉛又はその化合物(Pb)、六価クロム(Cr6+)、銅又はその化合物(Cu)、亜鉛又はその化合物(Zn)、シアン、六価クロム、砒素、セレン、マンガン、ニッケル、鉄、亜鉛、セレン、スズなどが挙げられる。
【0102】
前記危険シグナル捕捉体を前記棒状有機分子(棒状体)に結合させる方法としては、特に制限はなく、前記危険シグナル捕捉体、前記棒状有機分子の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば、エステル結合やアミド結合等の共有結合を利用する方法、タンパク質をアビジン標識し、ビオチン化した捕捉構造体と結合させる方法、タンパク質をストレプトアビジン標識し、ビオチン化した捕捉構造体と結合させる方法等の公知の方法が挙げられる。
本発明の安全装置においては、これらの方法により、各種所望の前記危険シグナル捕捉体を前記棒状有機分子に容易に結合させることができるので、該危険シグナル捕捉体を前記基材に直接結合させる場合と異なり、該危険シグナル捕捉体又は前記危険シグナルを広い範囲から自由に選択することができ、該検出装置は、検出目的、危険シグナルの種類等の如何に拘らず、広く適用可能であり、また、該危険シグナル捕捉体の表面の平滑性を維持することができるので、前記干渉光の波長変化ムラや検出誤差が小さく、高感度に検出を行うことができる。
【0103】
前記共有結合を利用する方法としては、例えば、ペプチド法、ジアゾ法、アルキル化法、臭化シアン活性化法、架橋試薬による結合法、ユギ(Ugi)反応を利用した固定化法、チオール・ジスルフィド交換反応を利用した固定化法、シッフ塩基形成法、キレート結合法、トシルクロリド法、生化学的特異結合法などが挙げられるが、共有結合などのより安定した結合には、チオール基とマレイミド基の反応、ピリジルジスルフィド基とチオール基の反応、アミノ基とアルデヒド基の反応などを利用して方法が好ましく、化学的結合剤・架橋剤などを使用する方法がより好ましい。
【0104】
このような化学的結合剤・架橋剤としては、例えば、カルボジイミド、イソシアネート、ジアゾ化合物、ベンゾキノン、アルデヒド、過ヨウ素酸、マレイミド化合物、ピリジルジスルフィド化合物などが挙げられる。これらの中でも、グルタルアルデヒド、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソチオシアネート、N,N’−ポリメチレンビスヨードアセトアミド、N,N’−エチレンビスマレイミド、エチレングリコールビススクシニミジルスクシネート、ビスジアゾベンジジン、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スクシンイミジル 3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)、N−スクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)、N−スルホスクシンイミジル 4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル (4−ヨードアセチル)アミノベンゾエート、N−スクシンイミジル 4−(1−マレイミドフェニル)ブチレート、イミノチオラン、S−アセチルメルカプトコハク酸無水物、メチル−3−(4’−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル−4−メルカプトブチリルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテートなどが挙げられる。
【0105】
本発明において、前記光干渉手段は、前記干渉光を透過光として放射してもよいし、前記干渉光を反射光として放射してもよい。前者の場合、前記安全装置を反射型タイプの装置にすることができ、後者の場合、前記安全装置を透過型タイプの装置にすることができる。
【0106】
<波長変化検出手段>
前記波長変化検出手段は、前記干渉光の進路に設けられ、前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する機能を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能であるもの、(2)干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能であるもの、などが好適に挙げられる。
【0107】
これらの中でも、前記(1)のものの場合には、前記波長変化検出手段を、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、前記干渉光を透過不可能とし、かつ前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した特定波長の前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前においては、特定波長の前記干渉光を透過可能とし、かつ前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後においては、波長変化した前記干渉光を透過不可能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記波長変化検出手段が前記干渉光の透過を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化を検出することができ、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該危険シグナルの存在を簡便にかつ迅速にしかも高感度に検出することができ、危険回避性能、安全性に優れる。
【0108】
また、前記(2)のものの場合には、該波長変化検出手段が、干渉光の波長の変化前後におけるスペクトル差、即ち差スペクトルを測定するので、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、該波長変化をスペクトル強度に変換することができ、任意にその増幅が可能である。その結果、極僅かな波長変化であっても増幅したスペクトル強度として検出することができ、高感度であり、簡便にかつ迅速にしかも高感度な検出を行うことができるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0109】
前記(1)のものの具体例としては、干渉フィルタと、該干渉フィルタを透過した透過光を検知可能な光検知センサーとの組合せ、などが好適に挙げられる。この場合、該干渉フィルタを、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前は前記干渉光を透過不可能でかつ前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後の特定波長の前記干渉光を透過可能とすることにより、あるいは、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用する前は、特定波長の前記干渉光を透過可能でかつ前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用した後は、波長変化した前記干渉光を透過不可能とすることにより、通常のスペクトル曲線を測定しただけではその僅かな変化を検出するのが極めて困難である場合、即ち極僅かな波長変化(波長シフト)しかない場合であっても、それを簡便かつ確実に検出可能であり、前記光検知センサーが前記干渉フィルタを透過した前記干渉光を検出したことをもって、前記干渉光の波長変化が検出され、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用したこと、即ち試料等中における該危険シグナルの存在が検出される。その結果、極僅かな波長変化が生じた場合であっても前記干渉光の透過光を前記光検知センサーが検出することができ、高感度であるので、危険回避性能、安全性に優れる。
【0110】
前記干渉フィルタとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、市販品を使用してもよい。
前記干渉フィルタは、特定の波長の入射光のみを干渉する、該特定の波長以外の波長の入射光は透過可能である。
前記光検知センサーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、CdSセル、フォトダイオード、光電管、焦電センサ、CCDセンサー、PSDセンサーなどが挙げられる。
前記(2)のものの具体例としては、公知の分光光度計などが好適に挙げられる。
【0111】
本発明の安全装置においては、前記光照射手段が光を照射する。前記光干渉手段が、前記光照射手段から照射された光を干渉して干渉光として放射する。前記光干渉手段は、前記危険シグナルと相互作用可能であり、該危険シグナルと相互作用した後で前記干渉光の波長を変化させる。前記波長変化検出手段が、前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する。このため、該波長変化検出手段が検出した前記干渉光の波長変化により、前記危険シグナルが前記光干渉手段と相互作用したこと、即ち、試料等中における該危険シグナルの存在が検出される。
【0112】
−危険回避装置作動手段−
前記危険回避装置作動手段としては、前記波長変化検出手段が前記干渉光の波長変化を検出した際に危険回避装置を作動させる機能を有する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、排ガス装置、排煙装置、断熱装置、冷却装置、加熱装置、光遮断装置、光照射装置、廃液遮断装置など、あるいはこれらとコンピュータとの併用、などが好適に挙げられる。
【0113】
前記危険回避装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、排ガス装置、排煙装置、断熱装置、冷却装置、加熱装置、光遮断装置、光照射装置、廃液遮断装置などが挙げられる。
【0114】
本発明の安全装置は、各種分野において使用することができ、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種物質を危険シグナルとして、その存在を検出することにより危険回避装置を作動させ、危険を回避可能な安全装置として好適に使用することができる。
【0115】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0116】
(実施例1)
まず、前記棒状有機分子としてのα−ヘリックス・ポリペプチドの単分子膜を前記基材上に形成し、更に該単分子膜上に同じ単分子膜を積層して積層膜(前記膜状物)を形成し、その積層数と前記構造性発色との関係を調べた。
前記α−ヘリックス・ポリペプチドとして、グルタミン酸のカルボキシル基の水素原子をn−ヘキシル基で置換したものをモノマーユニットとするポリ(n−ヘキシル L−グルタメート(以下「PHeLG」と表記することがある)を使用した。該PHeLGは、ベンジルアミンを重合開始剤として用いたL−グルタミン酸・γ−メチルエステルの重合反応により得られ、その重合度は、H−NMR測定によると114であった。前記基材は、オクタデシル・トリメトキシシラン(東京化成工業社製)により表面処理したシリコン基材(信越化学工業社製)を使用した。前記単分子膜は、L−B膜形成装置(日本レーザー&エレクトロニクス・ラボラトリー社製、NL−LB400NK−MWC)を使用して形成した。なお。前記PHeLGにおいて、α−ヘリックスの螺旋のピッチは0.15(nm/アミノ酸残基)であり、α−ヘリックスの直径は1.5(nm)であった。
【0117】
この単分子膜を120積層した積層膜(前記膜状物)について、FT−IRスペクトルを測定したところ、4つのピークが得られた。1つは、側鎖のC=O基に基づく1738cm−1のピークである。もう1つは、α−ヘリックス構造中のアミド基Iに基づく1656cm−1の強いピークである。もう1つは、β−構造中のアミド基Iに基づく1626cm−1の小さく弱いピークである。最後の1つは、α−ヘリックス構造中のアミド基IIに基づく1551cm−1のピークである。このFT−IRスペクトルの測定結果から、前記PHeLG分子は単分子膜中でα−ヘリックス構造を維持していることが確認された。
【0118】
前記PHeLGによる単分子膜は、該PHeLGによる単分子膜20層を積層した時の厚みが32mmであったので、1層当たりの厚みを算出すると1.6nmであった。
【0119】
次に、この単分子膜による積層膜(前記膜状物)における積層数と前記構造性発色との関係を調べたところ、該単分子膜が60層、70層及び80層積層された各積層膜(前記膜状物)は、図6に示すような可視光反射スペクトルを示した。また、該単分子膜が40〜50層積層された積層膜(前記膜状物)は、茶色の構造性発色を示し、該単分子膜が60〜70層積層した積層膜(前記膜状物)は、暗青色(ダークブルー、濃青色)を示し、該単分子膜を80〜100層積層した積層膜(前記膜状物)は、明青色(ライトブルー、薄青色)を示し、該単分子膜を120層付近まで積層した積層膜(前記膜状物)は、黄色を示し、該単分子膜を160層まで積層した積層膜(前記膜状物)は、赤紫色を示すことが確認された。
【0120】
具体的には、前記単分子層を40層積層した積層膜(前記膜状物)と、80層積層した積層膜(前記膜状物)を120層積層した積層膜(前記膜状物)とに関する可視光反射スペクトルは、図7に示すように、80層積層した積層膜(前記膜状物)は、418nmに反射率(%)が最大ピークを示し青色を呈していた。一方、40層積層した積層膜(前記膜状物)は、456nmに反射率(%)が最小を示し、前記青色の補色である茶色(暗橙色)を呈していた。他方、120層積層した積層膜(前記膜状物)は、619nmに反射率(%)が最大ピークを示し409nmに反射率(%)が最小を示し、弱められた409nmの波長の光により強められた619nmの光に基づく黄色を呈していた。
【0121】
前記可視光反射スペクトルの波長(λ)は、前記単分子膜による積層膜(前記膜状物)への光の入射角(α)により影響され、該波長(λ)が強められる条件は下記(1)に示した通りであり、該波長(λ)が弱められる条件は下記(2)に示した通りである。
【0122】
【数3】
Figure 0004226343
【0123】
前記式(1)及び前記式(2)において、λは、干渉光の波長(nm)を意味し、αは、前記単分子膜又は前記積層膜への光の入射角(度)を意味し、tは、単分子膜の厚み(nm)を意味し、lは、単分子膜の数を意味し、nは、単分子膜の屈折率を意味し、mは、1以上の整数を意味する。
【0124】
そして、前記可視光反射スペクトルの波長(λ)と、前記単分子膜による積層膜(前記膜状物)への光の入射角(α)との関係を調べたところ、図8に示す通りであり、5つの入射角(α)に対する5つの反射スペクトルの波長(λ)の実測値と、上記式(1)及び(2)で算出した波長(λs)とは、ほぼ一致していた。
なお、図8において、「◆」は、40層積層した積層膜の最小スペクトルを意味し、「□」は、80層積層した積層膜の最大スペクトルを意味し、「○」は、120層積層した積層膜の最大スペクトルを意味し、「●」は、120層積層した積層膜の最小スペクトルを意味する。そして、ラインIは、上記式(1)により、l=120及びm=1の条件にて、ラインIIは、上記式(I)によりl=80及びm=1の条件にて、あるいは、上記式(2)によりl=40及びm=1の条件にて、あるいは、上記式(2)によりl=120及びm=2の条件にて、それぞれt=1.7(nm)及びn=1.6の条件にて算出されたものである(これら3種の算出結果のラインは互いにほぼオーバーラップしている)。
【0125】
以上のようにして、前記基材上に設けた特定の厚みを有する前記膜状物に光を照射した場合における、該膜状物による干渉光が可視光域の波長を有し、干渉色として視認可能であることを確認した。
【0126】
−光干渉手段の作製−
次に、前記膜状物を配置させる前記基材として、酸化膜を有する前記プレカラード基材を以下のようにして作製した。即ち、シリコン基材(信越化学工業社製)を訳1000℃で3時間加熱処理することにより、該シリコン基材の表面に酸化膜(SiO層)50aを形成した。このプレカラード基材は、その干渉色(ピークトップが約508nm(図18の細線))が緑色であり、緑色を呈していた。なお、該シリコン基板の表面積は、3×1014nm(15mm×20mm)である。
【0127】
一方、下記合成スキームに従い、前記棒状有機分子であるα−ヘリックス・ポリペプチドとして、末端にビオチンを有するポリベンジル−L−グルタメート(PBLG21−bio)を合成した。即ち、下記化3に示すビオチン誘導体を重合開始剤として用い、下記化2に示す合成スキームで合成されたベンジル−L−グルタメート誘導体(BLG−NCA)の重合を行うことにより、重合度が21のポリベンジル−L−グルタメート(PBLG21−bio)を合成した。
【0128】
【化2】
Figure 0004226343
【0129】
【化3】
Figure 0004226343
【0130】
なお、該ポリベンジル−L−グルタメート(PBLG21−bio)の屈折率をアッベの屈折率計(アタゴ社製)を用いて測定したところ、約1.5であった。
【0131】
そして、この合成したポリベンジル−L−グルタメート(PBLG21−bio)をLB法により基材50上に累積圧9.5mN/m(図9参照、図9において、縦軸の累積圧が9.5mN/mの条件にて累積させた)で10層累積させた。即ち該ポリベンジル−L−グルタメート(PBLG21−bio)を棒状有機分子10とした単分子膜(膜厚が約1.33nm)を10層積層してなる積層膜20(膜厚が約13.25nm)を形成した(図10参照、なお、図10においては前記積層膜の数は図示の都合上、10層とはなっていない)。こうして得られた前記光干渉手段は、その干渉光の色(干渉色、ピークトップが約545nm(図18の点線))がやや黄色であり、やや黄色を呈していた。なお、該干渉光が強められ、弱められる条件は、図11に示した通りである。図12において、前記プレカラード基材(前記膜状物が設けられていないもの)における前記干渉光(干渉色)の測定(図12(A))及び前記光干渉手段における前記干渉光(干渉色)の測定(図12(B))を示した。
【0132】
−光干渉手段と危険シグナルとの相互作用−
前記光干渉手段、即ち前記プレカラード基材上に前記積層膜が形成されたものを、前記危険シグナルとしてのアビジンの水溶液(1.1×10−7M)に3時間浸漬させて、該光干渉手段における前記危険シグナル捕捉体としてのビオチンと、前記危険シグナルであるアビジンとを相互作用(吸着反応)させた。なお、アビジンの断面積は、約30nm弱(3nm×3nm×3.14)程度である。図13は、本実施例における前記ビオチンと前記アビジンとの相互作用(吸着反応)の概念図であり、図14は、前記光干渉手段を前記アビジンの水溶液中に浸漬させた状体を示す概念図であり、図15は、該アビジンの水溶液中で前記光検出手段における前記ビオチンと前記アビジンとが相互作用(吸着反応)を生じた概念図である。その後、該光干渉手段を純水にて洗浄した。
【0133】
−波長変化検出−
前記光照射手段として、分光光度計(日本分光社製、V560)における光源を用いた。該光照射手段より前記光干渉手段への入射角が10度となるようにして、光(キセノンランプ光)を照射した。なお、入射角を10度としたのは、図16及び17の干渉光の入射角依存性の測定データから入射角を選択したものである。
そして、該光照射手段より照射された光の前記光干渉手段による反射光(干渉光)の進路に、分光光度計(日本分光社製、V560)における受光部を配置して、該反射光(干渉光)のスペクトル波長を測定したところ、そのピークトップは565nm(図18の太線)であり、前記光干渉手段と前記危険シグナルとの相互作用前に比べて約20nmのピークシフトが観察された。この20nmは、屈折率1.5で計算した場合、約7.16nmの膜厚変化に相当するものであり、これは、直径約6nmのアビジンが前記光干渉手段の表面に吸着したことに基づくものであることが確認された。以上のスペクトル測定のデータを図18に示した。
【0134】
<アビジン吸着量の計算>
基板上のアビジンの吸着数は、基板の表面積/アビジン1分子の断面積、により算出することができ、計算すると、3×1014/3×10=1×1013個であった。次に、該基板上のアビジンの吸着モル数は、該吸着数/アボガドロ数、により算出することができ、計算すると、1×1013/6×1023=17×10−12M=17pMであった。
したがって、ここでは、干渉光の波長シフトが20nmの時のアビジン吸着量は17pMであることが判った。
なお、ここで、上記基材の表面積を5mm角程度とした場合には、1.4pMのアビジン吸着量で前記干渉光の波長シフト(ピークトップのシフト)が20nm程度となる。これをアビジンの重量換算してみると、アビジンの分子量が約68000として計算すると、1.4×10−12M×68000=9.5×10−8g(95ng)となり、ピークシフト(波長シフト)1nm当たり4.8ngの吸着量に相当した(4.8ng/nm)。
【0135】
<差スペクトル測定による波長変化の検出及び危険回避装置の作動>
前記光干渉手段(前記標的検出用基材)による干渉光のスペクトル(図19の太線)と、前記危険シグナル(アビジン)が捕捉された際における干渉光のスペクトル(図19の細線)とを測定した。その結果を図19に示した。図19のスペクトルデータからも明らかな通り、2つのスペクトル曲線は互いに殆ど一致してしまっており、このスペクトル曲線のデータから前記干渉光の波長シフトを検出するのは困難である。しかし、前記分光光度計により、この2つのスペクトルデータの差スペクトルをとると、図20のようになり、図19では極めて検出が困難であった前記2つのスペクトルの波長差が、大きな波長差として現れる。このため、差スペクトルを検出することにより、測定誤差がなく、簡便にかつ迅速にしかも高感度に前記干渉光の波長差を検出することができる。この差スペクトルは、スペクトル強度として得られるので、これを前記分光光度計により任意に増幅可能である。つまり、極めて小さなスペクトル強度であってもそれを増幅することにより高感度に検出ことができる。
また、前記分光光度計が前記差スペクトルを検出した際に、前記危険回避装置作動手段としてのコンピュータ及び廃液口シャッターを駆動させて該廃液口シャッターを作動させた。
【0136】
次に、前記光干渉手段において、前記シリコン基板を干渉フィルタに代え、前記膜状物を前記棒状有機分子10を88層積層したものに代えた以外は、上述の通りとした。
ここで、該干渉フィルタ自体による前記干渉光のスペクトル(図21の太線)と、前記膜状物が設けられた前記干渉フィルタによる前記干渉光のスペクトル(図21の細線)とを測定した。その結果を図21に示した。図21のスペクトルデータからも明らかな通り、2つのスペクトル曲線は互いに近似しており、このスペクトル曲線のデータから前記干渉光の波長シフト(ピークシフト)を検出するのは困難である。しかし、前記分光光度計により、この2つのスペクトルデータの差スペクトルをとると、図22のようになり、図21では極めて検出が困難であった前記2つのスペクトルの波長差が、大きな波長差として現れる。このため、差スペクトルを検出することにより、測定誤差がなく、簡便にかつ迅速にしかも高感度に前記干渉光の波長差を検出することができる。この差スペクトルは、スペクトル強度として得られるので、これを前記分光光度計により任意に増幅可能である。つまり、極めて小さなスペクトル強度であってもそれを増幅することにより高感度に検出ことができる。したがって、前記シリコン基板を前記干渉基板に代えた場合であっても、前記シリコン基板を用いた場合と同様にして、前記差スペクトルを測定することにより、前記危険シグナルの高感度検出が可能であり、前記危険回避装置を作動可能であることが判る。
【0137】
【発明の効果】
本発明によると、病院、研究所、工場、プラント等において好適であり、病原物質、生体物質、有毒物質等の各種物質を危険シグナルとして、その存在を検出することにより危険回避装置を作動させ、危険を回避可能な安全装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、基材上に設けられた棒状有機分子(棒状材)による単分子膜(膜状物)による構造性発色(干渉色の発生)を説明するための概略図である。
【図2】図2は、構造性発色の原理を説明するための概略図である。
【図3】図3は、棒状有機分子による単分子膜(膜状物)の一形成例(LB法)を示す概略説明図である。
【図4】図4は、両親媒性の棒状有機分子が水(水相)上で配向している状態の一例を示す概略説明図である。
【図5】図5は、両親媒性の棒状有機分子を水(水相)上で立設させる方法の一例を示す概略説明図である。
【図6】図6は、棒状有機分子の単分子膜を積層した積層膜(60層、70層、80層)による構造性発色の波長と該積層膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図7】図7は、棒状有機分子の単分子膜を積層した積層膜(40層、80層、120層)による構造性発色の波長と該積層膜の厚みとの関係を示すグラフである。
【図8】図8は、棒状有機分子の単分子膜を積層した積層膜(40層、80層、120層)への光の入射角(度)と、反射波長λ(nm)との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、棒状有機分子10を基材50上にLB法により累積した場合の累積圧を示すグラフである。
【図10】図10は、光干渉手段の一実施形態を示す概略説明図である。
【図11】図11は、光干渉手段における光の干渉原理を説明するための概念図である。
【図12】図12(A)は、膜状物20が設けられていない場合の基材50の光の干渉及び干渉色を説明するための概念図であり、図12(B)は、基材50上に膜状物20が形成されてなる光干渉手段における光の干渉及び干渉色を説明するための概念図である。
【図13】図13は、棒状有機分子に設けられた危険シグナル捕捉体による危険シグナルの捕捉の一態様を説明するための概略説明図である。
【図14】図14は、光検出手段と危険シグナルを含有する試料とを接触させた状体の一例を示す概略説明図である。
【図15】図15は、光検出手段における危険シグナル捕捉体により、危険シグナルが捕捉された状体の一例を示す概略説明図である。
【図16】図16は、光干渉手段による干渉光の強度の入射角依存性を示すスペクトルのグラフである。
【図17】図17は、光干渉手段による干渉光の強度の入射角と増加膜厚との関係を示すグラフである。
【図18】図18は、基材自体による干渉光のスペクトルと、光干渉手段自体による干渉光のスペクトルと、該光干渉手段が危険シグナルを捕捉した際における干渉光のスペクトルとを示すグラフである。
【図19】図19は、光干渉手段による干渉光のスペクトルと、危険シグナル(アビジン)が捕捉された際における干渉光のスペクトルとを示すグラフである。
【図20】図20は、図19における2つのスペクトルデータの差スペクトルをとった場合の差スペクトルを示すグラフである。
【図21】図21は、干渉フィルタによる干渉光のスペクトルと、該干渉フィルタを基材として用い、その表面に、棒状有機分子による層を88層積層してなる膜状物を形成してなる光干渉手段による干渉光のスペクトルとを示すグラフである。
【図22】図22は、図21における2つのスペクトルの差をとった場合の差スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 危険シグナル(アビジン)
2 非危険シグナル
10 棒状有機分子
10a 親油性部(疎水性部)
10b 親水性部
10c 危険シグナル捕捉体(ビオチン)
20 膜状物
50 基材
50a 酸化膜(SiO層)
60 押出部材
100 光干渉手段

Claims (30)

  1. 光を照射する光照射手段と、危険シグナルと相互作用可能であり、前記光照射手段から照射された光を干渉して干渉光として放射し、前記危険シグナルと相互作用した後で前記干渉光の波長を変化可能な光干渉手段と、前記干渉光の進路に設けられ、前記光干渉手段により放射される前記干渉光の波長変化を検出する波長変化検出手段と、該波長変化検出手段が前記干渉光の波長変化を検出した際に危険回避装置を作動させる危険回避装置作動手段とを有し、前記光干渉手段が、膜状物を少なくとも有してなり、前記膜状物が基材上に設けられ、前期基材が、干渉フィルタであることを特徴とする安全装置。
  2. 波長変化検出手段が、特定波長の光のみを透過可能であり、該特定波長の光が透過したことを検知可能である請求項1に記載の安全装置。
  3. 波長変化検出手段が、干渉フィルタと、該干渉フィルタを透過した透過光を検知可能な光検知センサーである請求項2に記載の安全装置。
  4. 波長変化検出手段が、干渉光の波長変化前におけるスペクトルと、干渉光の波長変化後におけるスペクトルとを測定し、その差スペクトルを測定可能である請求項1に記載の安全装置。
  5. 波長変化検出手段が、差スペクトルをスペクトル強度に変換し、該スペクトル強度を増幅可能である請求項4に記載の安全装置。
  6. 波長変化検出手段が、分光光度計である請求項4から5のいずれかに記載の安全装置。
  7. 安全装置が、排ガス装置、排煙装置、断熱装置、冷却装置、加熱装置、光遮断装置、光照射装置及び廃液遮断装置から選択される請求項1から6のいずれかに記載の安全装置。
  8. 光干渉手段が、干渉光を反射光及び透過光の少なくともいずれかとして放射する請求項1から7のいずれかに記載の安全装置。
  9. 膜状物が棒状材で形成された請求項1から8のいずれかに記載の安全装置。
  10. 膜状物が塗布法で形成された請求項1から9のいずれかに記載の安全装置。
  11. 基材が、半導体、セラミックス、金属、ガラス及びプラスチックスから選択される少なくとも1種で形成された請求項1から10のいずれかに記載の安全装置。
  12. 基材が、膜状物の屈折率と略同等の屈折率を有する同屈折率膜を表面に有してなる請求項1から11のいずれかに記載の安全装置。
  13. 基材が、膜状物の屈折率と異なる屈折率を有する異屈折率膜を表面に有してなる請求項1から11のいずれかに記載の安全装置。
  14. 異屈折率膜が、基材の屈折率と異なる屈折率を有する請求項13に記載の安全装置。
  15. 異屈折率膜を2以上有し、該2以上の異屈折率膜の屈折率が互いに異なる請求項13から14のいずれかに記載の安全装置。
  16. 異屈折率膜が、誘電体膜である請求項13から15のいずれかに記載の安全装置。
  17. 膜状物の表面に更に膜が少なくとも1つ設けられた請求項1から16のいずれかに記載の安全装置。
  18. 膜が、膜状物と接する基材表面における屈折率と略同等の屈折率を有する請求項17に記載の安全装置。
  19. 膜状物の厚みが50nm〜1μmである請求項1から18のいずれかに記載の安全装置。
  20. 膜状物が、棒状材の単分子膜及び該単分子膜の積層膜のいずれかである請求項1から19のいずれかに記載の安全装置。
  21. 棒状材が棒状有機分子である請求項9から20のいずれかに記載の安全装置。
  22. 棒状有機分子がらせん状分子である請求項21に記載の安全装置。
  23. らせん状分子がα−ヘリックス・ポリペプチドである請求項22に記載の安全装置。
  24. 棒状材が、危険シグナルと相互作用可能なシグナル相互作用部を有してなる請求項9から23のいずれかに記載の安全装置。
  25. シグナル相互作用部が、物理吸着及び化学吸着の少なくともいずれかにより危険シグナルと相互作用可能である請求項24に記載の安全装置。
  26. シグナル相互作用部が、危険シグナルを捕捉可能な危険シグナル捕捉体である請求項22から23のいずれかに記載の安全装置。
  27. 危険シグナル捕捉体が、酵素、補酵素、酵素基質、酵素阻害剤、包接化合物、金属、抗体、抗原、タンパク、微生物、ウイルス、細胞破砕物、代謝産物、核酸、ホルモン、ホルモンレセプター、レクチン、糖、生理活性物質及び生理活性物質受容体から選択される少なくとも1種である請求項26に記載の安全装置。
  28. 包接化合物が、単分子系ホスト化合物、多分子系ホスト化合物、高分子系ホスト化合物及び無機系ホスト化合物から選択され、
    該単分子系ホスト化合物が、シクロデキストリン、クラウン化合物、シクロファン、アザシクロファン、カリックスアレン、シクロトリペラトリレン、スフェランド、キャビタンド、及び環状オリゴペプチドから選択され、
    該多分子系ホスト化合物が、尿素、チオ尿素、デオキシコール酸、ペルヒドロトリフェニレン、トリ−o−チモチドから選択され、
    該高分子系ホスト化合物が、セルロース、デンプン、キチン、キトサン及びポリビニルアルコールから選択され、
    該無機系ホスト化合物が、層間化合物、ゼオライト及びHofmann型錯体から選択される請求項27に記載の安全装置。
  29. 危険シグナルがアビジンであり、危険シグナル捕捉体がビオチンである請求項26に記載の安全装置。
  30. 光照射手段が、線状の光束を照射可能である請求項1から29のいずれかに記載の安全装置。
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