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JP4022385B2 - 放射線検出装置 - Google Patents

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JP4022385B2
JP4022385B2 JP2001330923A JP2001330923A JP4022385B2 JP 4022385 B2 JP4022385 B2 JP 4022385B2 JP 2001330923 A JP2001330923 A JP 2001330923A JP 2001330923 A JP2001330923 A JP 2001330923A JP 4022385 B2 JP4022385 B2 JP 4022385B2
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Mitsui E&S Co Ltd
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Mitsui Engineering and Shipbuilding Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線検出装置に関するものであり、特に内部検査を行うため検査対象物に照射したX線の後方散乱を検出する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
X線はその物質透過能力の高さから、医療分野ではレントゲン装置などに、また産業分野では非破壊検査装置などに、広く利用されている。一般的なX線の利用方法は、検査対象物にX線を照射し、透過したX線を検査対象物の反対側で検出するものである。なお、透過したX線をフィルムやCCDに写すことにより、検査対象物の内部の映像化を可能としている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したX線の利用方法では、X線の照射装置と検出装置との間に、検査対象物を配置する必要がある。そのため、検査対象物の厚さが厚い場合には、X線が減衰して検査対象物を透過できないという問題がある。また、検査対象物が巨大構造物などの場合には、照射装置と検出装置との位置合わせが困難であるという問題がある。さらに、検査対象物が密閉構造物などの場合には、そもそも照射装置または検出装置の一方を、検査対象物の反対側に配置することができないという問題がある。そして、いずれの場合もX線を検出することができないことから、検査対象物の検査が不可能となる。
【0004】
そこで、X線の後方散乱を検出する方法が検討されている。図10に後方散乱X線の検出方法の説明図を示す。X線照射装置205により照射されたX線208の光子は、検査対象物202の原子に衝突し、その一部は後方に向かって散乱する。そして、検査対象物202の内部が一様でない場合には、一様でない後方散乱X線209を生じる。そこで、検査対象物202に対して、X線照射装置205と同じ側にX線検出装置210を配置し、この後方散乱X線209を検出することにより、検査対象物202の内部を検査しようとするものである。
【0005】
ところで、検査対象物202の内部を検査するには、位置情報とともにX線209の強度を知る必要がある。そこで、ピンホール222を設けた板220をX線検出装置210の前方に配置し、これを矢印204のように順次移動させつつ、X線209の強度を測定する。しかし、X線208は物質透過能力が高いため、後方散乱するX線209はごく微弱なものにすぎない。従って、ピンホール222の開口面積が小さい場合には、ノイズの影響が大きくなり、後方散乱するX線209を検出することが困難であるという問題がある。また、検出可能な場合でも、測定に長時間を要するという問題がある。一方、検査結果を映像化する場合に、ピンホール222の開口面積が画素の大きさとなるので、開口面積の大きいピンホール板220を使用すると、解像度が悪化して検査精度が低下するという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題点に着目し、位置情報とともに微弱な放射線の検出が可能であり、また検査精度の向上が可能な、放射線検出装置の提供を目的とする。また、測定時間の短縮が可能な、放射線検出装置の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る放射線検出装置は、放射線が入射する放射線検出部と、この放射線検出部の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターンに対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第1マスクと、この第1マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第1スリットを、前記放射線検出部の前方に形成した第1スリット板と、前記第1マスクおよび前記第1スリット板の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターン(以下、直交変調パターンと称す)に対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第2マスクと、この第2マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第2スリットを、前記第1スリットの前方に形成した第2スリット板と、を有する構成とした。
【0008】
この場合、1つの穴列は複数の穴を有するので、ピンホール板に比べて開口面積が大きくなる。すると、ノイズの影響が小さくなり、高いSN比の確保が可能となる。従って、微弱な放射線を検出することができる。またこれにより、単位時間当たりに検出するX線光子の数が多くなり、測定時間を短縮することができる。一方、測定値数列に対して直交変調パターンの復調を行えば、検査対象領域における位置情報とともに放射線の強度を知ることができる。そして、高次の直交変調パターンに対応した穴列を形成すれば、検査対象領域が細分化され、検査結果の映像化において解像度を向上させることが可能となる。従って、検査精度を向上させることができる。以上により、位置情報とともに微弱な放射線を検出することが可能となり、また検査精度を向上させることが可能となる。
【0009】
また、放射線が入射する複数の放射線検出部と、この放射線検出部の前方に配置され、放射線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列を有する第1マスクと、この第1マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスクに形成した前記複数の穴列のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第1スリット群を、前記複数の放射線検出部の前方に形成した第1スリット板と、前記第1マスクおよび前記第1スリット板の前方に配置され、放射線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列を有する第2マスクと、この第2マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスクに形成した前記複数の穴列のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第2スリット群を、前記第1スリット群の前方に形成した第2スリット板と、を有する構成とした。
【0010】
これにより、検査対象領域における複数の直線部分について、位置情報とともに放射線の強度を知ることができる。従って、放射線検出装置または検査対象物をトラバースさせる必要がなく、測定時間を短縮することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係るX線検出装置の好ましい実施の形態を、添付図面にしたがって詳細に説明する。なお以下に記載するのは本発明の実施形態の一態様にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】
最初に、第1実施形態について説明する。図1に第1実施形態に係るX線検出装置の斜視図を示す。第1実施形態に係るX線検出装置10は、X線が入射するX線検出部15と、このX線検出部15の前方に配置され、X線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列22を有する第1マスク20と、この第1マスク20と相対移動可能に設けられ、前記X線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスク20に形成した前記複数の穴列22のうち、1つの穴列を開口する第1スリット32を、前記X線検出部15の前方に形成した第1スリット板30と、前記第1マスク20および前記第1スリット板30の前方に配置され、X線を透過させる直交変調パターンの変調モードに対応した、複数の穴列42を有する第2マスク40と、この第2マスク40と相対移動可能に設けられ、前記X線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスク40に形成した前記複数の穴列42のうち、1つの穴列を開口する第2スリット52を、前記第1スリット32の前方に形成した第2スリット板50と、を有するものである。
【0013】
第1実施形態に係るX線検出装置10の内部には、X線検出部15を設ける。図2にX線検出部の説明図を示す。X線検出部は、シンチレータ16と光電子増倍管18とで構成する。シンチレータ16の内部には、NaI等の結晶とTl等の不純物との混合物を封入する。一方、光電子増倍管18の入り口部分には光電面17を形成するとともに、光電子増倍管18の内部には陽極18bおよび複数のダイノード18aを配置する。X線が入射すると、シンチレータ16はそのエネルギーを光に変換し、さらに光電子増倍管18はその光を光電子に変換し、増幅した上で出力する。これによってX線が検出可能となる。なお、シンチレータ16の長さは、次述する第1マスクにおける穴列22の長さより長く形成するとともに、シンチレータ16は穴列22の下方に配置する。
【0014】
一方、図1に示すように、X線検出部15のシンチレータ上に近接して、第1マスク20を配置する。第1マスク20は、CuまたはNi等の金属材料により、例えば厚さ0.1mm程度の円盤状に形成する。なお、複数枚の金属円盤を積層して第1マスク20としてもよい。
【0015】
第1マスク20には、直交変調パターンに対応した穴列22を、半径方向に沿って形成する。図5に穴列の形成方法の説明図を示す。本実施形態では、直交変調パターンとして、アダマール系列符号化変調パターンを使用する。アダマール行列は、1または−1のみを行列要素とする直交行列であり、以下の漸化式で定義される。
【数1】
Figure 0004022385
ただし、数式1においてkは次数を示し、H(k)はN×N個(N=2k)の要素を持つ行列となる。なおアダマール行列では、第1行の行列要素はすべて1であるが、他の行の行列要素には、1と−1とがN/2個ずつ含まれる。
【0016】
ところで、あるデータ数列X(k)をアダマール変換した場合の測定値数列Y(k)は、以下の式で表される。
【数2】
Figure 0004022385
ただし、X(k)およびY(k)は、N個の要素を持つ列ベクトルである。ここで、H(k)は直交行列であるから、H(k)の逆行列は、規格化因子を除けばH(k)自信に等しい。すなわち次式が成り立つ。
【数3】
Figure 0004022385
従って、測定値数列をアダマール逆変換してデータ数列X(k)を求めるには、以下の式に従えばよい。
【数4】
Figure 0004022385
【0017】
なお、図3(1)にk=3の場合のアダマール行列を示し、以下には例として、このアダマール行列に従った穴列の形成方法を説明する。まずアダマール行列を各行に切り分け、行列要素の1をオープンとし−1をクローズとして、図3(1)右側に示すような複数の変調パターン22aを作成する。そして、変調パターン22aに従って、図3(2)に示す穴列22を、第1マスク20の半径方向に沿って形成する。同様にして、複数の変調パターン2に従って形成した複数の穴列を、第1マスク20の周方向に所定間隔をおいて配置する。なお、各穴はメタルエッチングにより形成する。
【0018】
なお、穴列22の長さを長くすれば、検査対象物の内部検査可能領域を長くすることができる。また、高次のアダマール行列を使用して、穴列22の数および穴列22に含まれる穴の数を共に増加させれば、検査結果を映像化した場合の解像度が向上し、検査精度を向上させることができる。
【0019】
また、図1に示すように、第1マスク20の表面上には、第1スリット板30を配置する。第1スリット板30は、第1マスク20と同様に金属材料により形成する。なお図1では、2枚の金属板を積層して第1スリット板30としている。
【0020】
第1スリット板30には、上記第1マスクにおける複数の穴列22のうち、いずれか1つの穴列を開口する第1スリット32を形成する。第1スリット32の長さは、穴列22の長さより長く形成する。また、第1スリット32は前記X線検出部の上方に配置する。なお、第1スリット32はメタルエッチングにより形成する。
【0021】
また、上記第1マスク20に形成した複数の穴列22を、第1スリット32により順次開口すべく、第1マスク20を回転駆動する回転駆動手段を設ける。回転駆動手段として、例えばステッピングモータ24(図5参照)を設ける。
【0022】
一方、第1スリット板30から所定間隔をおいて、第1マスク20と同軸上に、第2マスク40を配置する。この第2マスク40は、第1マスクと同形状に形成する。すなわち、第2マスク40にも直交変調パターンに従った穴列42を形成する。
【0023】
また、第2マスク40の表面上には、第2スリット板50を配置する。第2スリット板50には、第2マスク40における複数の穴列42のうち、いずれか1つの穴列を開口する第2スリット52を形成する。なお第2スリット52は、第1スリット板30における第1スリット32と同位相となる位置に形成する。
【0024】
さらに、上記第2マスク40に形成した複数の穴列42を、第2スリット52により順次開口すべく、第2マスク40を回転駆動する回転駆動手段を設ける。回転駆動手段として、例えばステッピングモータ44(図5参照)を設ける。
【0025】
そして、上述したX線検出装置10を構成する各部材は、円筒状のカバー部材60の内部に配置する。なお、前記第1スリット板30および前記第2スリット板50は、このカバー部材60に固定する。そして前記第1マスク20は、前記第1スリット板30に対して相対移動可能とする。また前記第2マスク40は、前記第2スリット板50に対して相対移動可能とする。なお、カバー部材60はX線を遮蔽可能な材料で形成する。一方、各マスクまたは各スリット板も、X線を遮蔽可能な材料で形成するか、またはX線を遮蔽可能な薬品を表面に塗布する。これにより、穴列以外からのX線の入射がなくなり、検査精度を向上させることができる。
【0026】
本実施形態に係るX線検出装置を使用した、検査対象物の内部検査装置の構成は、以下のとおりである。図4に内部検査装置の構成図を示し、図5に内部検査装置のブロック図を示す。この検査装置1は、検査対象物2にX線8を照射して、X線のコンプトン散乱を検出するものである。コンプトン散乱とは、X線の光子が検査対象物の原子における軌道電子と衝突し、エネルギーを失うとともに、入射方向に対して角度φの方向に進路を変更する現象である。なお、角度φは0〜180°となりうるので、光子は後方にも散乱する。
【0027】
コンプトン散乱は、比較的低エネルギーのX線でも発生しうるので、本実施形態では低エネルギーのX線照射装置5を使用することができる。なお、X線照射装置5はX線制御回路6に接続する。一方、検査対象物2に対してX線照射装置5と同じ側に、上述したX線検出装置10を配置して、X線の後方散乱9を検出する。なお、X線検出装置10を構成するステッピングモータ24,44は、モータ制御部12に接続する。モータ制御部12は、コンピュータ13からの命令に基づいて、ステッピングモータ24,44の動作を制御する。また、X線検出装置10を構成するX線検出部15は、IVコンバータ11aおよびアンプ11bを介してコンピュータ13に接続し、X線測定データの処理を可能とする。
【0028】
上述した検査装置におけるX線検出装置の使用方法について、図4および図5を用いて説明する。また、図6に内部検査方法のフローチャートを示す。
まず、X線照射装置5から検査対象物2に向けて、X線を照射する(S70)次に、第1マスク20を初期位置に設定する(S72)。すなわち、第1マスク20における最初の穴列を、第1スリット下に位置させて開口する。同様に、第2マスク40を初期位置に設定する(S73)。すなわち、第2マスク40における最初の穴列を、第2スリット下に位置させて開口する。
【0029】
ステップ70で照射されたX線8は、検査対象物2において後方散乱する。そして後方散乱したX線9は、第2スリット板50における第2スリットおよび第2マスク40における穴列を通って、X線検出装置10に入射する。さらに入射したX線は、第1スリット板30における第1スリット32および第1マスク20における穴列を通って、X線検出部15に到達する。ここで、X線検出部15により到達したX線を測定する(S74)。測定したX線は、コンピュータ13に送信して保存する。
【0030】
次に、第2マスク40に形成された全ての穴列を使用して、X線の測定を行ったか判断する(S76)。そして、未使用の穴列が残っている場合には、穴列を変更する(S78)。具体的には、第2ステッピングモータにより第2マスク40を回転駆動して、未使用の穴列を第2スリット52下に位置させる。そして、上記と同様にX線を測定する(S74)。なお通常は、図3(2)の矢印28の方向に第2マスクを回転させ、各穴列を順次第2スリット下に位置させて、X線を測定すればよい。
【0031】
一方、ステップ76において、第2マスク40に形成された全ての穴列を使用して、X線の測定が終了したと判断した場合には、第1マスク20に形成された全ての穴列を使用して、X線の測定を行ったか判断する(S82)。そして、未使用の穴列が残っている場合には、穴列を変更する(S84)。具体的には、第1ステッピングモータにより第1マスク20を回転駆動して、未使用の穴列を第1スリット32下に位置させる。そして、上記と同様にX線を測定する。なお通常は、図3(2)の矢印28の方向に第1マスクを回転させ、各穴列を順次第1スリット下に位置させて、X線を測定すればよい。X線の測定は、第2マスク40に形成した全ての穴列との組み合わせについて行う。なお、以上には第1マスクの各穴列ごとに第2マスクを1回転させて測定を行う場合について述べたが、逆に第2マスクの各穴列ごとに第1マスクを1回転させて測定を行うこともできる。
【0032】
そして、ステップ82において、第1マスク20に形成した全ての穴列を使用して、X線の測定が終了したと判断した場合には、コンピュータ13により、測定値に対してアダマール逆変換の演算を行う(S86)。
【0033】
さらに、X線の入射角度を算出する。図8にX線入射角度の算出方法の説明図を示す。図8に示すように、第2マスクのi番目の穴と第1マスクのj番目の穴を通ってX線が入射した場合の、X線の入射角度θは次式から求めることができる。
【数5】
Figure 0004022385
ただし、dは第1マスクと第2マスクとの距離、△xは穴間のピッチである。この全ての組み合わせについて、信号強度に応じた重み付けをして、映像領域に投影する。これによって得られるデータは、X線検出装置を通してみた検査対象物の断面データに相当する。そこから任意の距離を切り出すことにより、検査対象物の所望の深さにおける断面データを得ることができる。
【0034】
次に、検査対象領域全体の検査が終了したか判断し(S88)、未検査の領域が残っている場合には、X線検出装置をトラバースさせる(S90)。図7にX線検出装置のトラバースの説明図を示す。図7における直線2bは、スリット52を検査対象物2に投影した直線である。そして、上記で求めたデータ数列は、直線2b上における位置情報とともにX線の強度を示すデータとなる。ここで、検査対象領域が平面2aの場合には、X線検出装置10または検査対象物2を矢印4の方向にトラバースして、平面2a内の他の直線部分についてもデータ数列を求める。
【0035】
一方、ステップ88において、検査対象領域全体の検査が終了したと判断した場合には、各データ数列の映像化を行う(S92)。具体的には、コンピュータ13の映像表示手段において、検査対象領域に対応する領域を設定し、X線が強い部分を濃い色で表示するとともに、弱い部分を薄い色で表示する。これにより、検査対象物の内部構造が色の濃淡で表示される。
【0036】
上記のように、本実施形態に係るX線検出装置を使用すれば、微弱なX線を測定することができる。この点、検査対象物に対してX線照射装置と同じ側に検出装置を配置し、後方散乱するX線を測定して、内部検査を行う方法が検討されている。ところが、後方散乱するX線はごく微弱であるため、ピンホール板の開口面積が小さい場合には、ノイズの影響が大きくなり、X線の測定が困難であるという問題がある。また、検出可能な場合でも測定に長時間を要する。一方、検査結果を映像化する場合に、ピンホールの開口面積が画素の大きさとなるので、開口面積の大きいピンホール板を使用すると、解像度が悪化して検査精度が低下するという問題がある。
【0037】
しかし、第1実施形態に係るX線検出装置は、アダマール行列に対応する穴列を形成し、この穴列を通過するX線を測定する構成とした。この場合、1つの穴列は複数の穴を有するので、ピンホール板に比べて開口面積が大きくなる。すると、ノイズの影響が小さくなり、高いSN比の確保が可能となる。例えば、ピンホール板を使用する場合に対して、SN比はN2/4倍となる。従って、微弱なX線を検出することができる。またこれにより、単位時間当たりに検出するX線光子の数が多くなり、測定時間を短縮することができる。例えば、ピンホール板を使用する場合に対して、測定時間は4/N2となる。
【0038】
一方、測定値数列に対してアダマール逆変換を行えば、検査対象領域における位置情報とともにX線の強度を知ることができる。そして、高次のアダマール行列に対応した穴列を形成すれば、検査対象領域が細分化され、検査結果の映像化において解像度を向上させることが可能となる。従って、検査精度を向上させることができる。以上により、位置情報とともに微弱な放射線を検出することが可能となり、また検査精度を向上させることが可能となる。
【0039】
これにより、検査対象物に対してX線照射装置と同じ側に検出装置を配置し、後方散乱するX線を測定して、内部検査を行うことができる。このような内部検査方法は、例えば航空機の翼(ハニカム構造内のはがれ、割れなど)、石油コンビナートの球形タンク、原子炉の炉壁、または船のボディなど、大型構造物の表面付近を精細に検査する用途に適している。
【0040】
また、直交変調パターンにアダマール系列符号化変調パターンを使用することにより、測定値数列をデータ数列に逆変換するための逆行列を求める必要がない。従って、簡単にデータ数列を求めることができる。
【0041】
次に、第2実施形態について説明する。図9に第2実施形態に係るX線検出装置の斜視図を示す。第2実施形態に係るX線検出装置110は、X線が入射する複数のX線検出部115と、このX線検出部115の前方に配置され、X線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列122を有する第1マスク120と、この第1マスク120と相対移動可能に設けられ、前記X線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスク120に形成した前記複数の穴列122のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第1スリット群132を、前記複数のX線検出部115の前方に形成した第1スリット板130と、前記第1マスク120および前記第1スリット板130の前方に配置され、X線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列142を有する第2マスク140と、この第2マスク140と相対移動可能に設けられ、前記X線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスク140に形成した前記複数の穴列142のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第2スリット群152を、前記第1スリット群132の前方に形成した第2スリット板150と、を有するものである。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
【0042】
X線検出装置110の内部には、複数のX線検出部115を設ける。図9では、8個のX線検出部115を周方向等間隔に配置した例を示している。なお、各X線検出部115の構造は第1実施形態と同様である。
【0043】
その複数のX線検出部115の上に近接して、第1実施形態と同様の第1マスク120を配置する。その第1マスク120の表面上には、第1マスク120における複数の穴列122のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第1スリット群132を形成した、第1スリット板130を配置する。なお、第1スリット群を構成する各スリットは、前記複数のX線検出部115の上方にそれぞれ形成する。なお、第1マスク120の回転駆動手段は第1実施形態と同様である。
【0044】
一方、第1スリット板130から所定間隔をおいて、第1実施形態と同様の第2マスク140を配置する。その第2マスク140の表面上には、第2マスク140における複数の穴列142のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第2スリット群152を形成した、第2スリット板150を配置する。なお、第2スリット群152を構成する各スリットは、第1スリット群132を構成する各スリットと同位相となる位置に、それぞれ形成する。なお、第2マスク140の回転駆動手段は第1実施形態と同様である。
【0045】
上記のX線検出装置を使用した、検査対象物の内部検査方法について、図6を用いて説明する。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その説明を省略する。
【0046】
第2実施形態では、図6におけるステップ70のX線照射から、ステップ86のアダマール逆変換までを行うことにより、第2スリット群を構成する各スリットを、検査対象領域に投影した直線部分について、それぞれデータ数列が求められる。そのため、ステップ90のトラバースを行うことなく、ステップ92の映像化を行うことができる。なお、第2スリット群を構成する各スリットの間隔が広く、十分な解像度が得られない場合には、X線検出装置を周方向にトラバースさせることにより、検査対象領域の他の直線部分についてのデータ数列を求めてもよい。
【0047】
上記のように、第2実施形態に係るX線検出装置は、複数のX線検出部と、各X線検出部の上方に形成したスリット群とを有する構成とした。これにより、検査対象領域の複数の直線部分について、データ数列を求めることができる。従って、X線検出装置または検査対象物をトラバースさせる必要がなく、測定時間を短縮することができる。
【0048】
【発明の効果】
上記目的を達成するため、本発明に係る放射線検出装置は、放射線が入射する放射線検出部と、この放射線検出部の前方に配置され、放射線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列を有する第1マスクと、この第1マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第1スリットを、前記放射線検出部の前方に形成した第1スリット板と、前記第1マスクおよび前記第1スリット板の前方に配置され、放射線を透過させる直交変調パターンに対応した、複数の穴列を有する第2マスクと、この第2マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第2スリットを、前記第1スリットの前方に形成した第2スリット板と、を有する構成としたので、位置情報とともに微弱な放射線を検出することが可能となり、また検査精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1実施形態に係るX線検出装置の斜視図である。
【図2】 X線検出部の説明図である。
【図3】 穴列の形成方法の説明図である。
【図4】 内部検査装置の構成図である。
【図5】 内部検査装置のブロック図である。
【図6】 内部検査方法のフローチャートである。
【図7】 X線検出装置のトラバースの説明図である。
【図8】 X線入射角度の算出方法の説明図である。
【図9】 第2実施形態に係るX線検出装置の斜視図である。
【図10】 後方散乱X線の検出方法の説明図である。
【符号の説明】
1………内部検査装置、2………検査対象物、2a………平面、2b………直線、3………欠陥、4………矢印、5………X線照射装置、6………X線制御回路、8………照射X線、9………後方散乱X線、10………X線検出装置、12………モータ制御部、13………コンピュータ、15………X線検出部、16………シンチレータ、17………光電面、18………光電子増倍管、18a………ダイノード、18b………陽極、20………第1マスク、22………穴列、22a………変調モード、24………ステッピングモータ、28………矢印、30………第1スリット板、32………第1スリット、40………第2マスク、42………穴列、44………ステッピングモータ、50………第2スリット板、52………第2スリット、60………カバー部材、115………X線検出部、120………第1マスク、122………穴列、130………第1スリット板、132………第1スリット群、140………第2マスク、142………穴列、150………第2スリット板、152………第2スリット群、202………検査対象物、204………矢印、205………X線照射装置、208………照射X線、209………後方散乱X線、210………X線検出装置、220………ピンホール板、222………ピンホール。

Claims (2)

  1. 放射線が入射する放射線検出部と、
    この放射線検出部の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターンに対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第1マスクと、
    この第1マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前 記第1マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第1スリットを、前記放射線検出部の前方に形成した第1スリット板と、
    前記第1マスクおよび前記第1スリット板の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターンに対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第2マスクと、
    この第2マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスクに形成した前記複数の穴列のうち、1つの穴列を開口する第2スリットを、前記第1スリットの前方に形成した第2スリット板と、
    を有することを特徴とする放射線検出装置。
  2. 放射線が入射する複数の放射線検出部と、
    この放射線検出部の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターンに対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第1マスクと、
    この第1マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第1マスクに形成した前記複数の穴列のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第1スリット群を、前記複数の放射線検出部の前方に形成した第1スリット板と、
    前記第1マスクおよび前記第1スリット板の前方に配置され、アダマール行列における1または−1に対応してオープンまたはクローズを定める空間変調パターンに対応した複数の穴列を有し、当該複数の穴列から放射線を透過させる第2マスクと、
    この第2マスクと相対移動可能に設けられ、前記放射線を遮蔽可能であるとともに、前記第2マスクに形成した前記複数の穴列のうち、全部または複数の穴列を同時に開口する第2スリット群を、前記第1スリット群の前方に形成した第2スリット板と、
    を有することを特徴とする放射線検出装置。
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