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JP4005185B2 - 建築外装塗料用エマルション組成物および該エマルション組成物を用いた建築外装塗料組成物 - Google Patents

建築外装塗料用エマルション組成物および該エマルション組成物を用いた建築外装塗料組成物 Download PDF

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JP4005185B2 JP25247097A JP25247097A JP4005185B2 JP 4005185 B2 JP4005185 B2 JP 4005185B2 JP 25247097 A JP25247097 A JP 25247097A JP 25247097 A JP25247097 A JP 25247097A JP 4005185 B2 JP4005185 B2 JP 4005185B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の外装用の塗料等の塗料分野で有用なエマルション組成物およびこのエマルション組成物を用いた塗料組成物に関し、詳細には、各種建築用素材に対して良好な付着性を発揮し、さらに、耐汚染性、透湿性および耐水性等の特性に優れ、しかも良好な弾性を有する塗膜を形成し得るエマルション組成物および塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建築物の外装用塗料としての塗膜には、例えば、温度変化や乾燥収縮によるクラックの発生を抑制し、さらに下地に発生する微小なクラックに対して追随可能で、かつ防水性や美観を維持するための「弾性」と、壁体内の余分な水分を外部に放出して結露を防ぐと共に、塗膜ふくれの発生を防ぐための「透湿性」、汚染物質の塗膜への付着や固定化を防ぐ「耐汚染性」等の特性が要求される。最近では、これらの要求特性に加え、工程簡略化を目的として、シーラー等の下塗り処理を行わなくても直接塗装でき、良好に下地に密着することのできる「付着性」を備えることが嘱望されている。
【0003】
このような種々の要求特性に対応するため、例えば、シード重合法や多段重合法等の乳化重合法を用いて、エマルションポリマー粒子中のコア部(内核)とシェル部(外殻)の性質を変えることにより、このエマルションから得られる塗膜特性をコントロールする検討が行われている(例えば、特開平4−45169号等)。
【0004】
しかしながら、上記したような付着性、耐汚染性、透湿性、弾性のすべてを満足させるようなエマルションポリマーは、なかなか得ることが難しい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明では、コアシェル型エマルションを用いて、下地に対する優れた付着性を有し、さらに、耐汚染性、透湿性、弾性等の要求特性をも満足する塗膜を形成することのできる建築外装塗料用エマルション組成物、および塗料組成物を見出すことを課題として掲げた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、多段乳化重合によって得られるコアシェル型エマルションを含有する建築外装塗料用エマルション組成物において、多段乳化重合反応の最終段目に加えられる単量体成分の重合によって構成されるポリマー部分をシェル部とし、前記最終段目より前に加えられる単量体成分の重合によって構成されるポリマー部分をコア部とするときに、前記シェル部を構成する単量体成分中のカルボキシル基含有単量体の量が前記コア部を構成する単量体成分中のカルボキシル基含有単量体の量よりも多く、かつ、シェル部を構成する単量体成分が、カルボキシル基含有単量体を3〜20重量%含むものであるところに要旨を有する。シェル部に、コア部よりも多く、カルボキシル基を特定量含ませることによって、シーラー等の下塗り処理を施さなくても下地に対して充分な付着力を有する塗料を得ることができる。また、同時に、耐汚染性と透湿性も良好となる。
【0007】
コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中に、シアノ基含有単量体が含まれていることも、付着力向上のために好ましい。特に、シェル部を構成する単量体成分中に、このシアノ基含有単量体が、3〜20重量%含まれている実施態様は、付着力が一層向上する。
【0008】
コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中にエポキシ基含有単量体が含まれている構成も付着力向上のために好ましい。また、シェル部にカルボキシル基を多く含ませた結果、低下しがちな耐水性を向上させる作用も有する。従って、シェル部を構成する単量体成分中に、エポキシ基含有単量体が0.1〜5重量%含まれている構成が最も好ましい。
【0009】
また、コアシェル型エマルションのシェル部のTg(ガラス転移温度)を0〜80℃に、コア部のTgを−40〜+40℃に、かつシェル部のTgがコア部のTgより高くなるように、コアシェル型エマルションを構成する単量体成分を選択すると、塗膜の造膜性を低下させることなく、良好な弾性と耐汚染性を両立して発揮し得る塗膜を形成することができる。
ここでTg(K)は、下記式で与えられる。
【0010】
【数1】
Figure 0004005185
【0011】
シェル部を構成する単量体成分の重量は、コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中、10〜90重量%にすることが好ましい。
なお、本発明には、上記建築外装塗料用エマルション組成物を含有する建築外装塗料組成物も含まれる。塗料組成物としては、コアシェル型エマルション全体のTgが−30〜+30℃である建築外装塗料用エマルション組成物を含み、かつ顔料および充填材を、両者の合計で、塗料固形分中40体積%を超えない範囲で含む構成のものが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、建築外装塗料として、コアシェル型エマルションを用いるに当たり、エマルション粒子の表層であるシェル部にカルボキシル基を特定量存在させることによって、付着力と耐汚染性と透湿性を向上させたところに最大のポイントを有する。また、シアノ基含有単量体の併用が付着力を高め得ることを見出すと共に、エポキシ基含有単量体の併用によって付着力を向上させ、しかもシェル部のカルボキシル基に起因する耐水性の低下を防ぐことにも成功した。以下、詳細に説明する。
【0013】
本発明では、多段乳化重合によって得られるコアシェル型エマルションを含有する建築外装塗料用エマルション組成物を対象とする。そして、多段乳化重合反応の最終段目に加えられる単量体成分の重合によって構成されるポリマー部分をシェル部とする。多段乳化重合は、前段(コア用)と後段(シェル用)との2段に分けられるものであっても、2段以上に分けられるものであってもよい。2段以上の多段乳化重合を行う際、最終段目に重合系に加えられる単量体成分が重合して形成されるポリマー部分がエマルション粒子の表層に位置することから、本発明では、このポリマー部分をシェル部という。なお、3段以上の多段重合の場合、コア部、中間層部(複数)、シェル部と区別することもできるが、本発明では、最終段目より以前に重合系に加えられる単量体成分を便宜上全てコア部用単量体成分といい、この単量体成分によって構成されるポリマー部分を便宜上コア部という。
【0014】
本発明では、シェル部を構成する単量体成分が、カルボキシル基含有単量体を3〜20重量%含むものでなければならない。カルボキシル基含有単量体の量が3重量%より少ないと、シーラー等の下塗り処理をしなければ充分な付着力が得られない。また塗膜が汚染されやすく、透湿性にも劣るものとなる。しかし20重量%を超えると、塗膜の耐水性が低下し、エポキシ基含有単量体を併用しても、耐水性の改善が不充分となるため好ましくない。なお、カルボキシル基はコアにあってもよいが、本発明ではシェル部にカルボキシル基を存在させるという技術思想であり、全体のカルボキシル基の量が多過ぎると耐水性が低下することから、コア部のカルボキシル基含有単量体の量は、シェル部より少なくしなければならない。
【0015】
カルボキシル基含有単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、シトラコン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸モノエステル、イタコン酸モノエステル、シトラコン酸モノエステル等の重合性不飽和基含有カルボン酸類が挙げられ、単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0016】
本発明では、付着性を良好にするために、コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中にシアノ基含有単量体が含まれている構成を併用することもできる。シアノ基含有単量体の使用により、付着性が良好になる。また、塗膜の弾性、耐水性、耐汚染性も向上する。シアノ基含有単量体は、コア、シェルいずれに存在していてもよいが、シェル部に特定量存在させることにより、耐候性を低下させることなく、上記の効果を確実に発揮させることができるため、シェル部を構成する単量体成分中に、このシアノ基含有単量体が、3〜20重量%含まれるようにすることが推奨される。3〜10重量%だとさらに好ましい。3重量%より少ないと、付着力等の特性に劣り、逆に20重量%を超えると耐候性が低下する。なお、シェル部以外の部分にもシアノ基含有単量体を用いる場合には、全単量体成分中のシアノ基含有単量体量を上記範囲内にするとよい。シアノ基含有単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が使用可能である。
【0017】
本発明では、コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中にエポキシ基含有単量体が含まれるようにしてもよい。エポキシ基含有単量体はカルボキシル基と反応するので、カルボキシル基に起因する耐水性不良を防止することができる。さらに、付着力の向上にも効果的である。カルボキシル基はコア部に存在する場合もあるので、エポキシ基含有単量体は、コア、シェルいずれにあってもよい。
【0018】
しかし、シェル部にカルボキシル基を多く存在させたために低下しがちな耐水性を向上させるには、シェル部の中にエポキシ基が含まれている方が効果的なことから、シェル部を構成する単量体成分中に、エポキシ基含有単量体が0.1〜5重量%含まれている構成が好ましく、0.5〜3重量%がより好ましい。5重量%を超えると、弾性が低下することがある。なお、シェル部以外の部分にもエポキシ基含有単量体を用いる場合には、全単量体成分中のエポキシ基含有単量体量を上記範囲内にするとよい。エポキシ基含有単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0019】
本発明のコアシェル型エマルションは、必須成分であるカルボキシル基含有単量体、好ましく用いられるシアノ基含有単量体およびエポキシ基含有単量体、そしてこれらの単量体以外の「その他の単量体」を、コア部用あるいはシェル部用として用いて製造することができる。
【0020】
「その他の単量体」の具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸とC1 〜C18(脂肪族、脂環族、芳香族を含む)のアルコールのエステルである(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリプロピレングリコールとのモノエステル等のヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、ビニルピロリドン等の塩基性重合性単量体類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の架橋性(メタ)アクリルアミド類;
スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルメチルスチレン等のスチレン誘導体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化単量体類;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン類;エチレン、プロピレン、ブテン等のオレフィン類等を挙げることができ、これらの1種または2種以上を混合して使用することができる。
【0021】
上記「その他の単量体」を選択して本発明のコアシェル型エマルションを重合するときは、コアシェル型エマルションのシェル部のTg(ガラス転移温度)を0〜80℃に、より好ましくは20〜50℃に、また前記シェル部以外の部分(コア部)のTgを−40〜+40℃に、より好ましくは−20〜20℃にして、かつシェル部のTgがコア部のTgより高くなるようにするとよい。塗膜の造膜性を低下させることなく、良好な弾性と耐汚染性を両立して発揮し得る塗膜を形成することができる。エマルション全体のTgが高過ぎると、最低造膜温度が高くなって造膜性が低下するので、造膜性を確保するにはコア部のTgをシェル部のTgより低くすることが好ましいのである。ただし、コア部やシェル部のTgが上記範囲からはずれると、種々の塗膜特性をバランスよく良好にすることがむずかしくなる。
【0022】
上記観点から、シェル部を構成する単量体成分の重量を、コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中、10〜90重量%にすることが好ましい。特に好ましくは、20〜70重量%である。シェル部を構成する単量体成分の重量が全体の90重量%を超えると、上記Tg範囲に設定しても造膜性に劣り、造膜助剤を多量に使用しなければならないといった不都合が起るからである。逆に10重量%以下ではシェル部が少なすぎて、耐汚染性、透湿性、弾性、耐水性、造膜性、付着性の特性を向上させる効果が充分発揮しない恐れがある。
【0023】
本発明のエマルション組成物は、2段以上の多段乳化重合を行うことによって製造することができる。最終段目では、シェル部用単量体成分を重合するが、それ以前は、コア部用単量体成分を何段階に分けて重合してもよい。
【0024】
コア部およびシェル部用単量体成分を重合反応系に添加する方法としては特に限定されず、前段、後段の重合共に、一括添加、モノマー滴下、プレエマルション滴下法等の方法を用いることができる。
【0025】
本発明での乳化重合には、ラジカル重合開始剤として公知のものが特に限定されず使用できる。具体的には、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の過硫酸塩・過酸化物類;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等の水溶性アゾ系化合物を挙げることができる。使用量は、単量体成分の0.1〜1重量%程度が好ましい。また、重合速度を促進させるためや低温で重合する時には、重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を組み合わせてもよい。
【0026】
また、乳化剤も特に限定されず、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸アンモニウム等のアルキルアリルポリエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩、スルホン酸基または硫酸エステル基を有するモノマーのような反応性乳化剤等のアニオン性界面活性剤;
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、反応性ノニオン界面活性剤等のノニオン性界面活性剤;
アルキルアミン塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン性界面活性剤;(変性)ポリビニルアルコール等の公知の乳化剤を添加して行えばよい。
【0027】
上記乳化剤は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができ、単量体成分に対して0.01〜10重量%程度使用するとよい。さらに、必要に応じて、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、メルカプト酢酸、メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトエタノール等の連鎖移動剤を用いることができる。重合温度としては、0〜100℃、好ましくは50〜80℃、重合時間は1〜15時間である。乳化重合の際、親水性溶媒や添加剤を加えてもよい。
【0028】
本発明の建築外装塗料用エマルション組成物は、建築外装塗料組成物の主成分として好適に使用できる。塗料組成物として用いるときには、必要に応じて慣用の塗料配合に使用される原材料、および各種添加剤を用いることができる。例えば、顔料、無機系または有機系充填材、増粘剤、滑剤、親水化剤、水溶性または水性樹脂、分散剤、界面活性剤、耐水化剤、架橋剤、成膜助剤、熱可融性物質、pH調整剤、粘性調整剤等が添加可能なものとして挙げられる。顔料としては、ルチル型またはアナターゼ型の二酸化チタン、リトポン、酸化鉄、酸化クロム等の無機質顔料や、公知の有機顔料等の塗料用顔料が用いられ、充填材としては、炭酸カルシウム、バライト、マイカ、珪砂等が用いられる。また増粘剤としては、酸化ポリエチレン系、アマイド系、架橋ポリアクリル系、シリカ系等のチキソトロピック付与効果のある公知の化合物を用いるとよい。
【0029】
塗料組成物に前記コアシェル型エマルションを用いるときは、コアシェル型エマルション全体のTgを−30〜+30℃にすると、温度変化や乾燥収縮によるクラックを抑制し、さらに下地に発生する微小クラックに対しても追随することのできる弾性を発揮し得る塗料組成物を提供することができるため好ましい。また、顔料と充填材を添加する場合、塗料固形分中の顔料と充填材との体積濃度(P.V.C.)で40体積%を超えない範囲にすることが良好な塗膜性能が得られる点で好ましい。また塗料粘度は、塗装方法に応じて適宜変更すればよいが、通常5〜40Pa・sに調製する。
【0030】
本発明の塗料を適用することのできる対象(被塗物)は、特に限定されないが、建築外装用塗料としての性能向上を目的としている点から、外壁構成材に適用することが推奨される。具体的には、モルタル、コンクリート、ALC(軽量気泡コンクリート)、PC(プレストレストコンクリート)板、スレート板、各種(金属系や石膏系等)サイディングボード等の無機系材料や、木材、各種プラスチック(FRPを含む)等の有機系材料が挙げられる。また本発明の塗料は付着性に優れているので、上記材料等に形成されている旧塗膜の上に、下塗りなしで直接塗装することも可能である。旧塗膜を構成する既存の仕上げ塗材としては、単層弾性塗材、合成樹脂エマルションペイント、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂系エナメル塗料、塩化ビニル樹脂系塗料、吹付タイル、樹脂リシン系塗料その他公知の各種有機系塗料、またセメントリシン系、セメントスタッコ系、ケイ酸質系等の無機系塗料がある。
【0031】
塗装方法は、ローラー法、エアスプレー法、エアレススプレー法等の公知の方法を採用できる。塗布量は、塗料の固形分濃度や比重、被塗物の種類や用途、模様の有無等に応じ、適宜変更するとよい。
【0032】
【実施例】
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。また、「部」、「%」は、それぞれ「重量部」、「重量%」を表す。
【0033】
実施例1
撹拌機、還流冷却器、滴下ロート、窒素導入管、温度センサーを備えた2Lのセパラブルフラスコに、イオン交換水651部を仕込んだ後、窒素ガスを吹込みながら、撹拌下、70℃に昇温した。次いで滴下ロートから、予め調製しておいた2−エチルヘキシルアクリレート219部、メチルメタクリレート125部、スチレン150部、アクリル酸6部(以上の単量体から得られるポリマーの計算Tg:1℃)、15%水溶液のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩(商品名「ハイテノールN−08」;第一工業製薬社製)33部、25%水溶液のポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル(商品名「ノニポール200」;三洋化成社製)40部と脱イオン水102部からなるプレエマルション(A)を第1段目の単量体成分として1時間30分にわたって滴下した。このとき、同時に、5%過硫酸アンモニウム水溶液30部を1時間30分にわたって滴下した。
【0034】
滴下終了後、40分熟成を行い、続けて予め調製しておいた2−エチルヘキシルアクリレート116部、メチルメタクリレート206部、スチレン150部、アクリル酸28部(以上の単量体から得られるポリマーの計算Tg:40℃)、15%水溶液のハイテノールN−08を33部、25%水溶液のノニポール200を40部と脱イオン水102部からなるプレエマルション(B)を最終段目の単量体成分として1時間30分にわたって滴下した。このとき、同時に、5%過硫酸アンモニウム水溶液30部を1時間30分にわたって滴下した。滴下終了後、1時間熟成を行った。冷却して、25%アンモニア水を4.6部添加して中和を行い、コアシェル型エマルションを得た。このコアシェル型エマルションは、不揮発分49.2%、pH6.0、粘度550mPa・s(B型粘度計で、ローターNo.2、30回/分、25℃で測定;以下同じ)、最低造膜温度(MFT;最低造膜温度測定機で測定;以下同じ)28℃、平均粒子径140nm(光散乱式粒子径測定装置で測定;以下同じ)であった。
【0035】
実施例2〜17および比較例1〜11
表1〜5に示したように使用モノマーや重合条件を変えた以外は、実施例1と同様にしてエマルションを合成した。各例の特徴と特性値も併せて表1〜5に示した。
【0036】
なお、以下の表で使用した略号は、下記の意味を有する。また、括弧内は、各モノマーのホモポリマーのTgを表す。
2EHA:アクリル酸−2−エチルヘキシル(−70℃)
MMA :メタクリル酸メチル(105℃)
St :スチレン(100℃)
AA :アクリル酸(95℃)
MAA :メタクリル酸(130℃)
AN :アクリロニトリル(96℃)
GMA :メタクリル酸グリシジル(40℃)
aq. :水溶液
APS :過硫酸アンモニウム
PVC :塗料固形分中の顔料および無機充填材の体積%
【0037】
【表1】
Figure 0004005185
【0038】
【表2】
Figure 0004005185
【0039】
【表3】
Figure 0004005185
【0040】
【表4】
Figure 0004005185
【0041】
【表5】
Figure 0004005185
【0042】
また、下記配合において塗料組成物を調製し、下記塗膜特性の評価を行った。結果を表6に示した。
【0043】
[塗料組成物の調製]
まず、スチレンマレイン酸エステル系分散剤(アルコケミカル社製;SMA1440)15部、二酸化チタン100部、炭酸カルシウム100部および水70部を混合分散して、分散ペーストを調製した。エマルション50部、消泡剤1部、増粘剤2部と分散ペーストを混合撹拌して、塗料組成物を得た。なお、分散ペーストの配合量は、PVCが10体積%の場合は15部、PVCが20体積%の場合は30部、PVCが40体積%の場合は80部、PVCが50体積%の場合は115部である。また、実施例8a〜cは、実施例8で合成した同じエマルションを用い、PVCを表6のように変更したものであり、参考例は、同様に実施例8のエマルションを用いて、PVCを好ましい範囲外の50体積%にしたものである。
【0044】
[付着性]
スレート板基材に塩化ゴム系シーラーを塗布する(下地処理)。次いで、アクリル系中塗り材(日本ペイント社製「タイルラックEMA−S 100K」)をドクターブレードで2mm厚に塗布し、1日乾燥を行った後、アクリル系上塗塗料(日本ペイント社製「タイルラックEMA上塗」)をウールローラーで塗布し、サンシャインウエザオメーター中で2000時間保持して、塗膜を促進劣化させた。その後、試験用の各種塗料組成物をドクターブレードで1mm厚に塗布し、室温で2週間乾燥した後、塗膜に対し、幅5cm、長さ10cmにカッターナイフで切り込みを入れ、剥れ具合を下記基準で目視評価した。
○:下地と塗膜の界面では剥離せず、下地側で剥離するもの
△:下地と塗膜の界面で剥離するが、強い密着力があるもの
(実用的合格レベル)
×:下地と塗膜の界面で、抵抗なく剥離してしまうもの
【0045】
[耐汚染性]
スレート板上に、上記塗料組成物をドクターブレードで1mm厚に塗布し、室温で3日間乾燥して試験片を作成した。降雨時に試験片の塗膜表面を雨が筋状に流れ落ちていくように屋根を設けた曝露架台に試験片をセットし、6か月後の塗膜表面の汚れ具合を下記基準で目視評価した。
○:汚れや雨筋が目立たない。
×:汚れや雨筋が目立つ。
【0046】
[透湿性]
ASTM−E96−99に準じて評価した。
○:24時間で100g/m2 以上
×:24時間で100g/m2 未満
【0047】
[弾性]
JIS−A−6909の伸び試験に準じて、塗料組成物を離型紙上に塗布して14日間乾燥して、1mm厚のダンベル状2号型に打ち抜き、試験片とした。
◎:伸び率が300%を超える
○:伸び率が120超〜300%
×:伸び率が120%以下
【0048】
[耐水性]
スレート板上に、上記塗料組成物をドクターブレードで1mm厚に塗布し、室温で2週間乾燥後、20℃の水中に7日間浸漬し、取り出した後の塗膜の常態を下記基準に従って目視評価した。
○:フクレ発生せず
△:小さなフクレが少し発生する程度(実用的合格レベル)
×:大きなフクレが発生する
【0049】
【表6】
Figure 0004005185
【0050】
【発明の効果】
本発明は、シェル部に、コア部よりも多く、カルボキシル基を特定量含ませたコアシェル型エマルションを用いることによって、シーラー等の下塗り処理を施さなくても、下地に対して充分な付着性を有する塗料組成物を得ることができると共に、耐汚染性と透湿性も良好となった。
【0051】
さらに、シアノ基含有単量体やエポキシ基含有単量体の使用によって、付着力をより一層向上させることができた。エポキシ基含有単量体の併用は、シェル部にカルボキシル基を多く含ませたことによって低下しがちな耐水性を向上させる効果も発揮した。
【0052】
コアシェル型エマルションのシェル部のTg(ガラス転移温度)を0〜80℃に、コア部のTgを−40〜+40℃に、かつシェル部のTgがコア部のTgより高くなるように、コアシェル型エマルションを構成する単量体成分を選択すると、造膜性を低下させることなく、良好な弾性と耐汚染性を両立して発揮し得る塗膜を形成することができる。
【0053】
本発明の建築外装塗料組成物は、建築外装塗料用エマルション組成物を含有するので、付着性、耐汚染性、透湿性、弾性、耐水性等の特性に優れた塗膜を形成することができる。また付着性に優れているので、通常のトップコートとしてはもちろん、各種素材や既に塗装が施されたような建築物の外壁にも、シーラー等の下塗り処理を施さず、そのまま塗装することも可能である。本発明の塗料組成物は、中塗や下塗塗料として利用することもできるが、上記特性を最大限に生かすことのできる上塗り仕上塗料として用いるのが最適である。

Claims (7)

  1. 多段乳化重合によって得られるコアシェル型エマルションを含有する建築外装塗料用エマルション組成物において、多段乳化重合反応の最終段目に加えられる単量体成分の重合によって構成されるポリマー部分をシェル部とし、前記最終段目より前に加えられる単量体成分の重合によって構成されるポリマー部分をコア部とするときに、前記シェル部を構成する単量体成分中のカルボキシル基含有単量体の量が前記コア部を構成する単量体成分中のカルボキシル基含有単量体の量よりも多く、シェル部を構成する単量体成分がカルボキシル基含有単量体を3〜20重量%、エポキシ基含有単量体を0.1〜5重量%含み、シェル部のTg(ガラス転移温度)を0〜80℃に、コア部のTgを−40〜+40℃に、かつシェル部のTgがコア部のTgより高くなるように、コアシェル型エマルションを構成する単量体成分を選択したものであることを特徴とする建築外装塗料用エマルション組成物。
  2. 顔料を添加されて建築外装塗料組成物として用いられるものである請求項1に記載の建築外装塗料用エマルション組成物。
  3. コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中に、シアノ基含有単量体が含まれているものである請求項1または2に記載の建築外装塗料用エマルション組成物。
  4. 前記シェル部を構成する単量体成分中に、シアノ基含有単量体が3〜20重量%含まれている請求項1〜3のいずれかに記載の建築外装塗料用エマルション組成物。
  5. コアシェル型エマルションを構成する全ての単量体成分中に、エポキシ基含有単量体が含まれているものである請求項1〜4のいずれかに記載の建築外装塗料用エマルション組成物。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の建築外装塗料用エマルション組成物を含有することを特徴とする建築外装塗料組成物。
  7. コアシェル型エマルション全体のTgが−30〜+30℃である請求項1〜のいずれかに記載の建築外装塗料用エマルション組成物を含み、かつ顔料および充填材を、両者の合計で、塗料固形分中40体積%を超えない範囲で含むものである請求項に記載の建築外装塗料組成物。
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