JP4096595B2 - 表面処理ステンレス鋼板とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルガスケット用の表面処理ステンレス鋼板とその製造方法に関し、さらに詳しくは自動車エンジンなどのシリンダーガスケットに使用される耐熱ゴム塗装用のステンレス鋼板とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車エンジン等のシリンダーガスケット用材料は、高温・高圧下の条件でシール性を維持できるものでなければならない。従来は石綿やカーボンが使用されてきたが、環境への有害性およびシール性等の問題で、最近ではメタルガスケットが主流となりつつある。
【0003】
自動車エンジン等のシリンダーヘッドはシリンダー内の爆発サイクルに対応する強い圧力の変動サイクルを受けるから、ガスケットはこれに十分耐えるシール特性が発揮されなければならない。
【0004】
メタルガスケットの場合、このシール性を確保するため、ステンレス鋼板表面に耐熱性のゴムコーティングが施されるのが一般的である。
従来はゴムコーティングとメタルの密着性を確保するために、例えば特開平9−122580号公報に記載のようなクロメート処理が施されていた。クロメート処理はステンレス鋼板以外のめっき鋼板等に一般的に使用されており、これらクロメート処理に含まれる6価クロムは水溶性であり、それが溶出した場合、環境汚染が問題となる。そこで最近ではクロムフリー処理に対する要望が高まっている。
【0005】
例えば特開平8−10699 号、同8−10700 号、同8−58015 号の各公報にはリン酸とシリカからなる、クロムフリー処理を行ったガスケット用ステンレス鋼板が開示されている。これらの公報に開示されたステンレス鋼板にはガスケット用に必須の耐不凍液性の評価が行われているが、加熱温度(公報中では130 ℃)および加熱時間(これら公報中では最高200 H)の条件が緩やかであり、現状一般的に必要とされている長期間の耐不凍液性(120 ℃〜150 ℃で500 H以上)を満足しないことが判明した。
【0006】
一方、特開平5−169584号、同9−10678 号、同9−24578 号の各公報には、透明塗膜を施した塗装鋼板用のクロムフリー化成処理について記載されているが、ガスケット用に必須の耐不凍液性や耐熱性などの記述はなく、そのまま長期の耐不凍液性が必要なガスケット用ステンレス鋼板としては適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、これらの従来技術の問題を解決したガスケット用ステンレス鋼板とその製造方法を提供することである。
【0008】
より具体的には本発明の課題は、ゴムとの密着性に優れ、かつ耐熱性、耐油性、長期の耐不凍液性を満足し、かつ環境に優しいクロムフリー表面処理層を備えたステンレス鋼板およびその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ステンレス鋼板の表面に各種化成処理層を形成させた後、この化成処理層を各種焼付け条件で焼付けてから、フッ素やNBR ゴムのコーティングを施したものを高温の耐熱性、耐油性の促進試験、そして長期(500H) の耐不凍液性促進試験を施しゴム密着性を調査した。
【0010】
この結果、シランカップリング剤と腐食性フッ化物を含有する表面処理剤をステンレス鋼板に塗布・乾燥することである程度のゴム密着性を満たすことが判明した。しかしながら、従来のクロメート皮膜並みの性能は得られておらず、クロメート皮膜並みを目指すため研究を重ねた結果、下記の知見を得、本発明を完成した。
【0011】
(1) ゴム密着性が悪いものと良いものをステンレス鋼板表面分析法(XPSX線光電子分光法) で調査した結果、フッ化物由来のFが表面処理層に一定量以上残存しているものが相対的に密着性が悪い。
【0012】
(2) 上述の(1) の要件を満たした上でさらにシランカップリング剤と腐食性フッ化物からなる表面処理層の付着量が10mg/m2 以上500mg/m2以下であるとさらに密着性が向上する。
【0013】
(3) シランカップリング剤と腐食性フッ化物からなる表面処理剤をステンレス鋼板に塗布後、加熱焼付を行う際に平均昇温速度3℃/s以上の急速加熱を行いかつ最高到達温度を例えば200 ℃以上という高温とすることで、化成処理層のフッ化物が極めて少なくなり密着性がさらに良好となる。
【0014】
ここに、本発明は、次の通りである。
(1) ステンレス鋼板の少なくとも一方の表面にシランカップリング剤と腐食性フッ化物とに由来する表面処理層を有し、該表面処理層の表面のXPS分析によるフッ素と珪素の比が下式(1)を満たすことを特徴とするメタルガスケット用のゴム塗装用表面処理ステンレス鋼板。
【0015】
0≦F(at%)/Si(at%)≦0.5・・・・・(1)
*at%:元素%
(2) 前記腐食性フッ化物が、Zr、Sb、P、SiおよびTiの六フッ化物酸、Bの四フッ化物酸、ならびにそれらのNH4 塩およびZn塩から成る群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする上記(1)に記載の表面処理ステンレス鋼板。
【0016】
(3)前記表面処理層の付着量が10mg/m2以上500mg/m2以下であることを特徴とする上記(1)または(2)に記載の表面処理ステンレス鋼板。
(4) ステンレス鋼板の少なくとも一方の表面に、シランカップリング剤と腐食性フツ化物とを含有する表面処理剤を塗布後、加熱焼付を行う際に、前記表面処理剤の塗布層を3℃/s以上の平均昇温速度で200℃以上にまで加熱することを特徴とするメタルガスケット用のゴム塗装用表面処理ステンレス鋼板の製造方法。
【0017】
(5) 前記表面処理剤において、前記腐食性フッ化物のシランカップリング剤に対する質量比(腐食性フッ化物質量%/シランカップリング剤質量%)が、0.001 以上0.3 以下であることを特徴とする上記(4)に記載の表面処理ステンレス鋼板の製造方法。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。
ステンレス鋼板
ステンレス鋼板は、オーステナイト系、フェライト系等のステンレス鋼板であれば種類は問わない。ガスケット用途にはエンジン環境下での耐食性とバネ材としての強度、ビード加工部の疲労特性が要求されるためオーステナイト系ステンレス鋼板が一般的に用いられる。特に、準オーステナイト系ステンレス鋼板であるSUS 301(17質量%Cr−7質量%Ni) を焼鈍→酸洗あるいは光輝焼鈍後に冷間圧延し強度を上昇させたものが用いられる。
【0019】
表面処理剤
本発明においてステンレス鋼板に用いる表面処理剤は、シランカップリング剤および腐食性フッ化物を含有する。
【0020】
本発明においては「シランカップリング剤と腐食性フッ化物とに由来する表面処理層」を鋼板表面に有するが、これはそれらを含む表面処理剤を使って形成される表面処理層を意味し、具体的な手段は問わない。一般には塗布・焼付けにより形成される。
【0021】
本発明において使用するシランカップリング剤は、下記式に示すような構造式で示されるものであり、無機物と有機物の接着に用いられる物質である。
【0022】
【化1】
【0023】
上記式中、Si−OR1 に相当する官能基が加水分解し、鋼板表面に物理的あるいは化学的に、または他のシランカップリング剤と架橋結合する。
一方、上記式中のR2に相当する部分の官能基は上層あるいは被着対象物に応じて使用され、本発明の対象である耐熱ゴムコーティングの場合、反応性の高いアミノ基あるいはビニル基、エポキシ基など樹脂と反応する官能基を有するシランカップリング剤が使用される。
【0024】
具体的にはアミノ基を有するものとして、N-(2- アミノエチル)3- アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシランが例示され、ビニル基を含有するものとして、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが例示され、そして、エポキシ基を含有するものとして、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランが例示される。
【0025】
具体的に上市されているものとして、アミノ基を含有するものとしては、チッソ(株)製サイラエースS320 、S330 、東レダウコーニングシリコーン(株)製SH6020、日本ユニカーのA1100等がある。ビニル基を含有するものとしては、チッソ(株)製サイラエースS210 、S220 、日本ユニカーのA151 、A171 などがあり、そしてエポキシ基を含有するものとしてチッソ(株)製サイラエースS510 、S520 、日本ユニカーのA174 、187 などがある。
【0026】
腐食性フッ化物は、ステンレス鋼板表面の不働態化膜へのエッチングを行わせることにより、シランカップリング剤のステンレス鋼板への密着性を向上させると共に、シランカップリング剤同士の架橋反応を促進させ表面処理皮膜を強固にさせ、表面処理層自身の耐水性を向上させると共に、上層に設ける耐熱ゴムコーティングとの密着性を向上させる目的で添加される。したがって、本発明において「腐食性」とはステンレス鋼板表面の不働態化膜をエッチングできることを意味し、その限りにおいて特に制限されない。
【0027】
フッ化物は上記の過程、すなわちエッチングあるいは加水分解に寄与した後、揮散しあるいは皮膜中に残留する。
腐食性フッ化物の種類としては、Zr、Sb、P、Si、Tiの六フッ化物酸およびBの四フッ化物酸、そしてそれらの塩が好ましい。但し塩の場合、Na塩やK塩などは表面処理層の耐水性を劣化させるため好ましくなく、NH4 塩やZn塩の使用が好ましい。NH4 塩は乾燥時にアンモニアが揮散しやすく表面処理層に残留しにくいことと、Zn塩は残留しても耐水性の劣化を引き起しにくいためである。
【0028】
シランカップリング剤と腐食性フッ化物の表面処理剤の質量比は、シランカップリング剤100 質量部に対して腐食性フッ化物0.1 質量部以上30質量部以下が好ましい。腐食性フッ化物が0.1 質量部未満であると、エッチングおよびシランカップリング剤の架橋反応が促進されず耐不凍液性等が劣ることがあり、一方、30質量部を超えると効果が飽和する上経済的に不利である。好ましい範囲は1質量部以上10質量部以下である。
【0029】
他の添加物
表面処理剤には加工時にゴム密着性を確保するために樹脂が添加されていても良い。その場合はエポキシ樹脂やフェノール樹脂、アクリル樹脂やシリコン樹脂などいずれもが適用される。その他の樹脂種でも適用可能であり、上層に設けられる耐熱ゴムのコーティング層の種類によって使い分けるのがよい。樹脂の添加量はシランカップリング剤100 質量部に対して50質量部以下であることが好ましい、樹脂の添加量が多いと耐熱性に劣ることがある。
【0030】
表面処理剤には皮膜強度を向上させるため、あるいは耐熱性を向上させるために、シリカゾルを添加しても良い。シリカゾルの添加量はシランカップリング剤100 質量部に対して300 質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは200 重量以下である。添加量が300 質量部を超えると皮膜強度が却って低下し粉化が生じるようになり密着性が低下する。
【0031】
さらに表面処理剤には塗工性を向上させるための濡れ性向上剤や、皮張り防止剤、あるいは架橋反応を促進するための酸系の添加剤などが添加されていても良い。
【0032】
Fと Si の表面元素比率
本発明の第一の骨子である、FとSiの表面元素比率と耐熱ゴムのコーティング層の密着性について説明する。
なお、FとSiの比率を元素比率で考えるのは、XPS 分析による表面分析を行っているためで、要するに表面近傍にあるF量の多少を問題にしているのであり、場合によっては質量比であってもよい。
【0033】
上記で説明したようにシランカップリング剤は表面処理層と鋼板との間で結合を形成しかつシランカップリング剤同士で架橋反応を生じ(あるいはフッ化物を間に挟んで)結合を形成する。一方、腐食性フッ化物はステンレス鋼板の表面へのエッチングによりステンレス表面へのシランカップリング剤の結合を強化しかつ、シランカップリング剤同士の架橋反応を促進する。
【0034】
ところが前述のように表面処理層を形成した後の表面に腐食性フッ化物由来のFが多量に検出されると長期間の耐不凍液性が不満足であることが判明した。これは詳細なメカニズムは不明であるが、腐食性フッ化物に結合したFが、耐不凍液性の試験中に不凍液から浸入した水により加水分解・遊離しフッ化水素酸を形成し、表面処理層を脆弱化あるいはステンレス鋼板表面−シランカップリング剤間の結合を切断あるいはステンレス鋼板表面の不働態化膜を溶解するため、ゴムの密着性に劣るものと推察される。
【0035】
以上の実験事実と推察をもとに、本発明者らがさらに調査研究を進めた結果、表面処理層の表面のXPS(X線光電子分光法)分析にてフッ化物由来のFとシランカップリング剤由来のSiの比、すなわちF(at%)/Si(at%)比(以下F/Si 比)が0.5 以下であると、長期間の耐不凍液性が改善することを見いだした。
【0036】
F/Si 比は小さい程良く、XPS でフッ化物由来のFが観測されないのが、つまりF/Si 比がゼロのときが最良である。
上限は前述のように0.5 であるが望ましくは0.4 以下、さらに望ましくは0.3 以下である。
【0037】
なお、一般にSiはシランカプリング剤由来のものであるが、シリカゾルその他のSi含有物質を添加した場合には、それらとの合計量をもってSi量とする。
本発明では下記の条件でXPS 測定を行い、表面処理層表面のFおよびSiの定量を下記のように行った。
【0038】
皮膜中および皮膜内部の元素の存在については常用の蛍光X線分析が使用できる。
<XPS 測定条件>
・測定機器 アルバックファイ社製 Quantum 2000
・使用X線源 単色化X線(AlK α線1486.6eV)
・Siの検出 結合エネルギー103eV 付近のSi2p のピークにより行った。
・Fの検出 結合エネルギー685eV 付近のF1s のピークにより行った。
・分析領域 1mm角
・光電子取出角 45 °
【0039】
表面処理層の付着量
本発明を効果的にならしめる第二の骨子は、表面処理層の付着量の制限にある。すなわち表面処理層の付着量は片面当たり10mg/m2 以上500mg/m2以下が好ましい。これは10mg/m2 未満であると処理層の均一塗布が困難になり良好な耐不凍液性が得られなくなる場合があり500mg/m2を超えると、付着量が多くなりすぎ加工部(ガスケット形状打ち抜き後のビード加工など)の耐熱ゴムのコーティング層の密着性が劣ることがある上、性能が飽和することもある。好ましい付着量範囲としては30mg/m2 以上300mg/m2以下であり、望ましくは50mg/m2 以上200mg/m2以下である。
【0040】
表面処理層の付着量は蛍光X線法による非破壊の方法やさらには、酸洗・電解により表面処理層を剥離しその元素量を発光分析で定量する方法やあるいは皮膜量を重量法で定量する方法がある。
【0041】
製造方法
表面処理剤の塗布方法は、ロールコートやスプレーコート、浸漬法、浸漬→リンガー絞り法、カーテンフローコートなどの公知の方法で適用できる。仕上がりの外観と前述の好ましい付着量範囲への制御の容易性を考慮するとロールコートが好ましい。
【0042】
表面処理剤塗布前に濡れ性向上のためにアルカリ脱脂や溶剤脱脂、さらに湯洗や酸洗も有効であり、これらの前処理は本発明の効果を妨げるものではない。
前述のF/Si 比を0.5 以下に効率的にならしめるには、表面処理剤塗布後の焼き付け条件が重要で表面処理剤を塗布後、加熱焼付を行う際に3℃/s以上の平均昇温速度で加熱しかつ最高到達温度を200 ℃以上とすることで達せられる。
【0043】
A: 急速加熱により腐食性フッ化物のステンレス鋼板へのエッチング反応を促進させシランカップリング剤とステンレス鋼板への結合を促進させること。
【0044】
B: さらにはシランカップリング剤同士の架橋反応を促進させること。
C: そして上記反応に寄与する腐食性フッ化物中のFを表面処理層中へ の残存量を低減させること。
によって、長期間の耐不凍液性をはじめとするエンジンガスケット環境下でのゴムの密着性を確保しようというものである。
【0045】
加熱焼付時の平均昇温速度を3℃/s以上とすることにより、上記のA、B、Cの反応を効率的に行わせることができF/Si 比を低減させることができる。さらに鋼板の最高到達温度を200 ℃以上とすることでほぼF/Si 比を0.5 以下とすることができる。
【0046】
平均昇温速度を3℃/s未満であると最高到達温度を200 ℃以上としてもF/Si 比が大きくゴム密着性が劣化するケースがある。また加熱時間も長くなるため生産性も乏しい。平均昇温速度は3℃/s以上とし、最高到達温度を200 ℃以上とすることで安定してF/Si 比を低減できる。一方、平均昇温速度の上限はないが早すぎると設備負荷が大きくなるので20℃/s以下が好ましい。
【0047】
最高到達温度は200 ℃以上とすることが安定してF/Si 比を低減することができゴムの密着性が良好となる。
【0048】
【実施例】
(実験1)
厚さ0.2mm のSUS 301 鋼板 (17質量%Cr−7質量%Ni)を準備し、表面を日本パーカライング社製FC436S(20g/l 60℃)をスプレーしアルカリ脱脂を行い、水洗乾燥を行ったステンレス鋼板を用意した。
【0049】
次いで、表1に示す組成の表面処理剤を任意の乾燥皮膜量となるようにロールコートを行い、表1に記載の条件で乾燥・焼き付けを行った。作成したステンレス鋼板の表面処理板について下記の評価を行った。
【0050】
<表面処理層の表面分析 〜XPS 〜>
前述の条件にてステンレス表面処理ステンレス鋼板表面のXPS 分析を行い、F/Si 比(at比)を測定した。
【0051】
<耐熱ゴムコーティング層の形成>
作成した表面処理板の上層に、下記の耐熱ゴムコーティングを下記条件にて施した。
・フッ素ゴム ダイキン工業(株)製 品番 ダイエルDPA351
膜厚25μ 加硫条件200 ℃×30分
【0052】
<耐熱ゴムコーティング層を形成したサンプルの評価>
下記試験・評価方法にて評価を行った。
・耐熱性
大気中200 ℃×500H保持した後、ゴム層表面に1mmマス碁盤目を100 個けがきテープ剥離を行いゴム残存マス数をカウントした。90個以上を合格とした。さらに180 °密着曲げを行い曲げ外側のゴム層の評価を行った。
【0053】
評価 ◎:剥離無し
評価 ○:曲げ面の剥離率20%未満
評価 △:曲げ面の剥離率50%未満
評価 ×:曲げ面の剥離率50%以上(◎、○を合格)
【0054】
・耐油性
JIS K −6301の12.3.1に規定されている No.3油とサンプルを耐圧容器中に封入し170 ℃で500H保持した後、ゴム層表面に1mmマス碁盤目を100 個けがき、テープ剥離を行い、ゴム残存マス数をカウントした。残存数90個以上を合格とした。さらに180 °密着曲げを行い曲げ外側のゴム層の評価を行った。
【0055】
評価 ◎:剥離無し
評価 ○:曲げ面の剥離率20%未満
評価 △:曲げ面の剥離率50%未満
評価 ×:曲げ面の剥離率50%以上(◎、○を合格)
【0056】
・耐不凍液性 (耐LLC 性)
トヨタ製純正ロングライフクーラント(LLC)とイオン交換水50/50vol%で混合しサンプルとともに圧力容器に封入し、130 ℃で500H加熱した。ゴム層表面に1mmマス碁盤目を100 個けがき、テープ剥離を行いゴム残存マス数をカウントした。残存数70個以上を合格とした。さらに180 °密着曲げを行い曲げ外側のゴム層の評価を行った。
【0057】
評価 ◎:剥離無し
評価 ○:曲げ面の剥離率20%未満
評価 △:曲げ面の剥離率50%未満
評価 ×:曲げ面の剥離率50%以上 (◎、○を合格)
【0058】
実験の結果を表1に示す。結果に示すように腐食性フッ化物を使用しないと試番6に示すように長期のゴム密着性に劣る。一方、試番10、11、20、21、22のように焼き付け時の昇温速度あるいは最高焼付温度のいずれかが低いと表面のF/Si 比が高く密着性に劣る。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
以上のように、本発明により、環境に優しい六価クロムを使用せずかつエンジンガスケットに必須の長期間の耐熱性・耐油性・耐LLC 性を確保できるため、その工業的効果は大きい。
Claims (5)
- ステンレス鋼板の少なくとも一方の表面にシランカップリング剤と腐食性フッ化物とに由来する表面処理層を有し、該表面処理層の表面のXPS分析によるフッ素と珪素の比が下式(1)を満たすことを特徴とするメタルガスケット用のゴム塗装用表面処理ステンレス鋼板。
0≦F(at%)/Si(at%)≦0.5・・・・・(1)
*at%:元素% - 前記腐食性フッ化物が、Zr、Sb、P、SiおよびTiの六フッ化物酸、Bの四フッ化物酸、ならびにそれらのNH4 塩およびZn塩から成る群から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の表面処理ステンレス鋼板。
- 前記表面処理層の付着量が10mg/m2以上500mg/m2以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の表面処理ステンレス鋼板。
- ステンレス鋼板の少なくとも一方の表面に、シランカップリング剤と腐食性フツ化物とを含有する表面処理剤を塗布後、加熱焼付を行う際に、前記表面処理剤の塗布層を3℃/s以上の平均昇温速度で200℃以上にまで加熱することを特徴とするメタルガスケット用のゴム塗装用表面処理ステンレス鋼板の製造方法。
- 前記表面処理剤において、前記腐食性フッ化物のシランカップリング剤に対する質量比(腐食性フッ化物質量%/シランカップリング剤質量%)が、0.001 以上0.3 以下であることを特徴とする請求項4に記載の表面処理ステンレス鋼板の製造方法。
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