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JP4072009B2 - 圧潰強度の高いuoe鋼管の製造方法 - Google Patents

圧潰強度の高いuoe鋼管の製造方法 Download PDF

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JP4072009B2 JP2002192531A JP2002192531A JP4072009B2 JP 4072009 B2 JP4072009 B2 JP 4072009B2 JP 2002192531 A JP2002192531 A JP 2002192531A JP 2002192531 A JP2002192531 A JP 2002192531A JP 4072009 B2 JP4072009 B2 JP 4072009B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は深海用ラインパイプ等に使用される圧潰特性に優れたUOE工程で製造する大径鋼管の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、原油・天然ガスの長距離輸送方法としてラインパイプの重要性が高まっており、なかでも海洋を渡る海底ラインパイプは3000mに及ぶ深度にまで達してきた。一般にパイプラインの設計では、まず流体輸送量より鋼管内径が決定され、続いて内圧負荷時の周方向応力を一定値に押さえるべく亀裂伝播特性、腐食減量を考慮し、肉厚、材質が決定されている。しかし、海底ラインパイプの深海化に伴って鋼管に負荷される水圧が高まり、従来はあまり重要視されなかった圧潰強度が問題になりつつある。圧潰強度は外径と肉厚の比に相関があり、鋼管の圧潰強度を高めることによって大径化及び薄肉化が可能になる。従って、圧潰強度が鋼管サイズを決定する主な設計因子になり始めている。
【0003】
ところで、鋼管の圧潰強度は、油井管を対象としては古くから研究されており、統計的にも数多くの実験式が提案されてきた。その中で外径/肉厚比、降伏強度、真円度、偏肉度、残留応力がその主な支配因子とされた。これらの研究は材質が均質なシームレス鋼管について主に行われたものであるため、材料の異方性については多くを論じる必要はなかった。
【0004】
しかし、長距離輸送に使用される幹線ラインパイプでは大径であるため、UOE工程の製造法による鋼管が使用される。UOE工程は、図1に示すようにC成形(プレス)、U成形(プレス)、O成形(プレス)、シーム溶接及び拡管する工程からなる。いずれの成形も冷間で行われるため、最終製品、すなわち鋼管は、加工硬化とバウシンガー効果との複合によって機械的性質に異方性を生じることになる。なお、バウシンガー効果とは材料に塑性歪を与えた後、それとは逆方向の降伏強度が低下する現象である。従って、周方向に引張方向の塑性歪を与えたUOE鋼管は、周方向の圧縮降伏強度、すなわち外圧負荷に対する降伏強度がバウシンガー効果によって低下する。
【0005】
一方、軸方向の荷重負荷に対しては成形時の主歪みに荷重方向が直交するため、軸方向の引張及び圧縮負荷ではその応力挙動に差を生じにくい。また、周方向の荷重負荷が引張応力である場合、すなわち内圧負荷に対しては全厚引張試験から得られる値を基準に強度設計を行えば問題が生じることはない。
【0006】
しかし、近年では深海用ラインパイプに適用し得るUOE鋼管の需要が高まり、外圧による鋼管の圧潰強度が問題になり始めた。圧潰は外圧により鋼管が潰れる現象であり、座屈の一つであるため、圧縮の降伏強度が圧潰強度を決定することとなる。従って、圧潰強度が要求されるラインパイプにUOE鋼管を適用する際には、バウシンガー効果による周方向の圧縮強度の低下が問題になる。
【0007】
このような問題に対し、鋼管を拡管後ガスバーナーによって加熱する方法が特開平9−3545号公報に開示されている。しかし、このような加熱を行っても、全てのUOE鋼管の圧潰強度が20%以上向上するわけではなく、加熱によるバウシンガー効果の回復が小さい鋼管も見られた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、UOE工程で造管後、加熱によって安定的に圧縮降伏強度が回復する、圧潰強度の高い鋼管の製造方法の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、バウシンガー効果により低下した圧潰強度が加熱によって回復する効果について、鋼管の素材である鋼板の化学成分及び圧延、加速冷却等の製造条件にまで遡り詳細に検討した。その結果、熱延後、300℃以下の低温域まで冷却したNb添加鋼の圧縮強度は、熱延後、空冷した鋼板又は500〜600℃まで水冷して冷却を停止した鋼板よりも高いことがわかった。さらに、UOE工程によって鋼管を製造し、拡管後80〜550℃の範囲に加熱すると、圧潰強度が拡管前と同等以上に回復することがわかった。さらに、この効果はTi添加によって顕著になり、80〜150℃未満という低温に加熱しても、バウシンガー効果が回復することがわかった。
【0010】
本発明はこのような知見を基になされたものであり、その要旨は次のとおりである。
(1)質量%で、C:0.03〜0.15%、Si:0.8%以下、Mn:0.3〜2.5%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Nb:0.01〜0.3%、Ti:0.005〜0.03%、Al:0.1%以下、N:0.001〜0.01%を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片をオーステナイト域に再加熱後、再結晶域で粗圧延を行い、引き続き900℃以下の未再結晶温度域で累積圧下率50%以上の仕上げ圧延を行い、Ar3点以上の温度から5〜40℃/秒の冷却速度で300℃以下まで冷却して製造した厚鋼板を、そのまま順にC成形、U成形、O成形し、厚鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE工程により造管した鋼管の、少なくとも外表面から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱することを特徴とする、圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
(2)質量%で、さらに、Ni:1%以下、Mo:0.6%以下、Cr:1%以下、Cu:1%以下、V:0.3%以下、B:0.0003〜0.003%、Ca:0.01%以下、REM:0.02%以下、Mg:0.006%以下の1種又は2種以上を含有することを特徴とする、(1)に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
(3)UOE工程により造管した鋼管の圧潰強度a[MPa]と、少なくとも外表面から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱した後のUOE工程により造管した鋼管の圧潰強度b[MPa]との比b/aが1.10以上であることを特徴とする、(1)及び(2)に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
(4)加熱中又は加熱後の冷却中に塗覆装を行うことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1項に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、バウシンガー効果によって低下した鋼の降伏強度が熱処理によって回復するという現象に関して、加熱温度と鋼の化学成分及び組織との関係を詳細に調べた。まず、種々の成分を含有する鋼を実験室で熱延条件を変化させて製造し、これらの鋼板から引張試験片を加工して4%の引張歪みを付与した。次に、50〜700℃で10分間加熱し、引張まま及び加熱後の引張試験片から圧縮試験片を採取して圧縮試験を実施した。これらの試験片の圧縮試験での0.2%耐力と引張り歪付与前の材料の圧縮試験での0.2%耐力の比(以下、圧縮強度比)を判断基準とした。
【0012】
その結果、熱延後、300℃以下の低温域まで冷却したNb添加鋼の圧縮強度比は、熱延後空冷した鋼及び熱延後500〜600℃まで水冷して冷却を停止した鋼に比べて高く、さらに80〜550℃での熱処理によって圧縮強度比が1.0を超えることがわかった。さらに、Nb−Ti添加鋼は、80〜150℃未満に加熱すると効果が得られることが明らかになった。
【0013】
これに対して、500〜600℃で冷却を停止したNb−Ti無添加鋼では、80〜150℃未満に加熱しても圧縮強度比は全く変化しなかった。さらに、150℃以上の温度に加熱しても、500〜600℃で冷却を停止したNb−Ti無添加鋼のバウシンガー効果の回復は、300℃以下で冷却を停止したNb−Ti添加鋼よりも効果が小さいことがわかった。
【0014】
この300℃以下で巻取った鋼のミクロ組織を調査した結果、上部ベイナイトなどの低温変態生成相を含む組織を有していることが明らかになった。このような低温変態生成相が、バウシンガー効果による圧縮降伏強度の低下を抑制すると考えられる。さらに、拡管後の圧縮降伏応力が、100℃程度に加熱することにより、拡管前の圧縮降伏強度と同等以上に上昇する理由は、バウシンガー効果を引き起こす転位周りの応力場が容易に変化することと、C等の固溶状態で存在している元素が転位に固着するためと推定している。
【0015】
さらに、詳細に析出物の解析を行った結果、Ti添加鋼には微細なTiNが析出していることがわかった。この微細なTiNによって、スラブ再加熱時及びHAZのオーステナイト粒の粗大化が抑制され、母材及びHAZのミクロ組織が微細化したと考えられる。このような均質で微細なミクロ組織が得られた結果、粒内での応力の不均一が軽減されて残留応力が均一に分布し易くなり、Nb添加との相乗効果によって、バウシンガー効果により低下した圧潰強度が低温の熱処理によって容易に向上することを見出した。
【0016】
このようにして製造した鋼板をUOE工程で鋼管とし、バウシンガー効果による圧縮降伏強度の低下について、鋼管の外表面側から内表面側までの肉厚方向において詳細に調査した。その結果、外表面側は筒状に成形する工程と拡管の工程での周方向の引張歪みを受けており、バウシンガー効果のために圧縮降伏強度が低下しているが、内面側はUO工程での曲げ加工による圧縮の加工硬化が拡管後も残留し、圧縮降伏強度が低下しないことがわかった。
【0017】
さらに、鋼管の外表面側から内表面側までの肉厚方向の表層部、肉厚中心部及び1/4肉厚部で、バウシンガー効果による圧縮降伏強度の低下に対する加熱の効果について検討を行った。その結果、内表面側を加熱する効果は小さいが、外表面側を加熱することによって圧潰強度が向上することがわかった。この加熱は、80〜550℃の範囲が効果的であり、また80〜250℃の範囲でも効果が大きく、80〜150℃未満の低温でも効果が認められた。
【0018】
次に、成分元素の限定理由を述べる。
【0019】
C量は0.03〜0.15%に限定する。炭素は鋼の強度向上に極めて有効であり、目標とする強度を得るためには、最低0.03%は必要である。しかし、C量が0.15%よりも多いと母材、HAZの低温靱性や現地溶接性の著しい劣化を招くので、その上限を0.15%とした。一様伸びはC量が多い方が高くなり、低温靭性や溶接性はC量が少ない方が良好であり、要求特性の水準によりバランスを考える必要がある。
【0020】
Siは脱酸や強度向上のために添加する元素であるが、0.8%よりも多く添加するとHAZ靱性及び現地溶接性が著しく劣化するので、Si量の上限を0.8%とした。なお、鋼の脱酸はAl及びTiでも可能であり、Siは必ずしも添加する必要はないが、通常、0.1%程度を含有する。
【0021】
Mnは本発明鋼の母相のミクロ組織をベイナイト主体の組織とし、優れた強度と低温靱性のバランスを確保する上で不可欠な元素であり、その下限は0.3%である。しかし、Mn量が2.5%よりも多いと、フェライトを分散して生成させることが困難になるので上限を2.5%とした。
【0022】
また、本発明鋼では、必須の元素としてNb:0.01〜0.3%、Ti:0.005〜0.03%を含有する。
【0023】
Nbは制御圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制して組織を微細化するだけでなく、焼入れ性増大にも寄与し、鋼を強靱化する。この効果は、Nb量が0.01%未満では小さいため下限とする。しかし、Nb添加量が0.3%よりも多いと、HAZ靱性や現地溶接性に悪影響をもたらすので、その上限を0.3%とした。
【0024】
Ti添加は微細なTiNを形成して、母材及びHAZのミクロ組織を微細化し、バウシンガー効果によって低下した圧潰強度が、80〜550℃、とりわけ80〜150℃未満に加熱することによって向上する効果を促進する。また、母材及びHAZの低温靱性を改善する。この効果はNbとの複合添加により極めて顕著になる。この目的のために、Ti量は3.4N(各々質量%)以上添加することが好ましい。また、Al量が少ない時(たとえば0.005%以下)、Tiは酸化物を形成し、HAZにおいて粒内フェライト生成核として作用し、HAZ組織を微細化する効果も有する。このような効果を発現させるためには、最低0.005%のTi添加が必要である。しかし、Ti量が0.03%よりも多いと、TiNの粗大化やTiCによる析出硬化が生じ、低温靱性を劣化させるので、その上限を0.03%に限定した。
【0025】
Alは通常脱酸材として鋼に含まれる元素で、組織の微細化にも効果を有する。しかし、Al量が0.1%を越えるとAl系非金属介在物が増加して鋼の清浄度を害するので、上限を0.1%とした。また、脱酸はTi及びSiでも可能であり、Alは必ずしも添加する必要はないが、現状の技術では0.001%程度を含有する。
【0026】
NはTiNを形成し、スラブ再加熱時及びHAZのオーステナイト粒の粗大化を抑制して、母材及びHAZの低温靱性を向上させる。このために必要な最小量は0.001%である。しかし、N量が0.01%よりも多すぎるとTiNが増えすぎ、表面疵、靭性劣化等の弊害が生じるので、その上限は0.01%に抑える必要がある。
【0027】
さらに、本発明では、不純物元素であるP及びS量をそれぞれ0.03%及び0.01%以下とする。この主たる理由は母材及びHAZの低温靱性をより一層向上させるためである。P量の低減は連続鋳造スラブの中心偏析を軽減するとともに、粒界破壊を防止して低温靱性を向上させる。また、S量の低減は熱間圧延で延伸化するMnSを低減して延靱性を向上させる効果がある。両者共、少ない程望ましいが、特性とコストのバランスで決定する必要があり、通常、P及びSは、それぞれ0.001%以上及び0.0001%以上を含有する。
【0028】
次に、選択元素であるNi、Mo、Cr、Cu、V、Ca、REM及びMgを添加する目的について説明する。基本となる成分に、更にこれらの元素を添加する主たる目的は、本発明鋼の優れた特徴を損なうことなく、強度・靱性の一層の向上や製造可能な鋼材サイズの拡大を図るためである。
【0029】
Niを添加する目的は、低炭素の本発明鋼を低温靱性や現地溶接性を劣化させることなく向上させるためであり、0.1%以上添加することが好ましい。Niの添加はMn、Cr及びMoの添加と比較して、圧延組織中、特に連続鋳造鋼片の中心偏析帯中に低温靱性に有害な硬化組織を形成することが少ない。しかし、Ni量が1%よりも多すぎると、経済性だけでなく、HAZ靱性や現地溶接性を劣化させるので、その上限を1%とした。また、Niの添加は連続鋳造時及び熱間圧延時におけるCu割れの防止にも有効である。この場合、NiはCu量の1/3以上添加する必要がある。
【0030】
Moを添加する理由は、鋼の焼入れ性を向上させて高強度を得るためであり、0.1%以上を添加することが好ましい。また、MoはNbと共存して制御圧延時にオーステナイトの再結晶を抑制し、オーステナイト組織の微細化にも効果がある。しかし、0.6%を超える過剰なMoの添加はHAZ靱性及び現地溶接性を劣化させ、さらにフェライトを分散して生成させるのが困難になるので、その上限を0.6%とした。
【0031】
Crは母材及び溶接部の強度を増加させるため、0.1%以上添加することが好ましいが、1%超を添加するとHAZ靱性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためCr量の上限は1%とした。
【0032】
Cuは母材、溶接部の強度を増加させるため、0.1%以上添加することが好ましいが、1%よりも多く添加するとHAZ靱性や現地溶接性を著しく劣化させる。このためCu量の上限は1%とした。
【0033】
VはNbとほぼ同様の効果を有するが、その効果はNbに比較して弱い。また、溶接部の軟化を抑制する効果も有する。上限としてHAZ靱性、現地溶接性の点から0.3%まで許容できるが、特に0.03〜0.08%の添加が好ましい。
【0034】
Bは、極微量の添加により鋼の焼入れ性を高める元素であるが、この効果はB量が0.0003%未満では不十分であるため、B量の下限を0.0003%とした。一方、Bを0.003%よりも過剰に添加すると、Fe23(C,B)6等の脆性粒子の形成を促進し、低温靱性を劣化させるので、B量の上限を0.003%とした。
【0035】
Ca及びREMは硫化物(MnS)の形態を制御し、低温靱性を向上させる。この効果を得るにはCaを0.001%以上、REMを0.002%以上とすることが好ましい。Ca量が0.01%、REMが0.02%を越えて添加するとCaO−CaS又はREM−CaSが大量に生成して大型クラスター、大型介在物となり、鋼の清浄度を害するだけでなく、現地溶接性にも悪影響を及ぼす。このためCa及びREMの添加量の上限を、それぞれ0.01%及び0.02%に制限した。なお超高強度ラインパイプでは、S量及びO量をそれぞれ0.001%及び0.002%以下に低減し、かつESSP=(Ca)〔1−124(O)〕/1.25Sを0.5≦ESSP≦10.0とすることが特に有効である。
【0036】
Mgは微細分散した酸化物を形成し、溶接熱影響部の粒粗大化を抑制して低温靭性を向上させるため、0.0001%以上添加することが好ましい。しかし、0.006%超を添加すると粗大酸化物を生成し、靭性を劣化させるため、0.006%を上限とした。
【0037】
次に製造方法について説明する。
【0038】
まず、圧延加熱前にオーステナイト域に再加熱するが、Nbが固溶する温度に昇温する必要がある。この再加熱は、Nbが固溶し、さらに結晶粒が粗大化しない1050℃〜1250℃が好ましい範囲である。
【0039】
再加熱後、再結晶温度域で粗圧延を行い、引き続き900℃以下の未再結晶温度域で仕上げ圧延を行う。これは、ラインパイプに基本的に必要な低温靭性を高めるためである。なお、仕上げ圧延の終了温度がAr3点未満では、冷却後、上部ベイナイト等の低温変態生成相を含み、且つCやNbが固溶して存在する組織を得られないため、Ar3点を仕上げ圧延の終了温度の下限とする。仕上げ圧延の累積圧下率は50%以上とする。これは、ラインパイプに必要な低温靭性を確保するためである。仕上げ圧延の累積圧下率の上限は、再結晶圧延終了時の厚みと製品板厚の比で決まる。
【0040】
仕上げ圧延後、Ar3点以上の温度から300℃以下まで冷却する。これは、上部ベイナイト等の低温変態生成相を含み、且つCやNbが固溶して存在する組織を得るためである。冷却終了温度の下限は、特性上からは特には制限がないが、通常、50〜150℃の範囲である。Ar3点以上の温度から300℃以下まで冷却する際の冷却速度は、5〜40℃/秒とする。これは、上部ベイナイト等の低温変態生成相を含み、且つCやNbが固溶して存在する組織を得るためである。
【0041】
このようにして製造した鋼板を、そのまま順にC成形、U成形、O成形によって筒状に成形し、突合せ部を接合する。溶接はその後、真円度を高めるために拡管を行う。
【0042】
圧潰強度を高めるには、少なくとも外表面側から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱することが必要である。加熱温度は80℃未満では、本発明鋼であってもバウシンガー効果により低下した圧縮強度の回復は殆ど起きない。一方、550℃を超える高温に加熱すると軟化が起こるために、却って圧縮降伏強度が低下する。従って、加熱温度は、80〜550℃の範囲とするが、80〜250℃の範囲でも効果が大きく、特に80〜150℃未満の低温でも効果が認められた。内表面側については、この温度域での加熱では変化が殆どないので、加熱しなくても良い。
【0043】
加熱温度での保持時間は、高温では熱処理温度に到達後、直ちに冷却しても良く、低温では6000秒以下保持しても良い。好ましい範囲は、60〜1800秒である。
【0044】
また、誘導加熱によって外表面を加熱する方法が効果的であるが、誘導加熱以外にも油槽、あるいはソルトバスによっても可能である。
【0045】
このようにして製造したUOE鋼管の圧潰強度は、熱間圧延後の厚板の圧縮強度から計算される圧潰強度と同等以上であることが必要である。UOE工程により造管した鋼管の圧潰強度a [MPa]と、少なくとも外表面から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱した後の鋼管の圧潰強度b[MPa]との比b/aが、1.10以上であることは、熱間圧延後の厚板の圧縮強度から計算される圧潰強度と同等以上になることを意味するものである。
【0046】
防食のために鋼管外面に塗覆装を行っても良い。海底ラインパイプでは主にプラスティックコーティングを行うが、密着強度を上げるために150〜250℃程度の温度で実施する必要がある。このコーティングの際に加熱されてもバウシンガー効果が回復するため、極めて効率が良い。
【0047】
【実施例】
表1に示す化学成分を含有する鋼を転炉溶製して連続鋳造鋼片とし、表2に示した条件で熱間圧延した。仕上げ圧延の終了温度はいずれもAr3点以上であった。これらの鋼板をそのまま順にC成形、U成形、O成形し、厚鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE工程で、表2に示した材質、外径及び肉厚の鋼管にした。これらの鋼管に高周波での移動過熱方式による加熱を施した。鋼管の外表面及び内表面の温度を熱電対によって測定した。肉厚中心の温度は外表面温度と内表面温度の平均値として計算した。表2に示した加熱温度は最外表面の温度であり、実質的な加熱時間は180秒程度であった。内表面の温度は特に制御しなかったが、外表面温度より30℃程度低かった。従って、肉厚中心の温度は外表面温度より約15℃低くなっている。
【0048】
このようにして製造した鋼管を5mに切断し、圧力容器内に鋼管を設置して、鋼管に軸力が発生しないように水圧を負荷する単軸圧潰試験を行った。水圧を負荷して、急に水圧が低下し始めた圧力を圧潰強度とした。これらの鋼管の造管ままでの圧潰強度a[MPa]、加熱処理後の圧潰強度b[MPa]及び両者の比b/aを表2に示した。
【0049】
本発明法の実施例1〜9では、加熱により圧潰強度が18〜29%上昇し、高圧潰強度の鋼管が得られている。特に、150℃未満の低温に加熱しても圧潰強度が向上し、150℃以上でも実施例2と11の比較からわかるように本発明の製造法で製造した鋼の方が圧潰強度の上昇が大きい。実施例10、12では、冷却停止温度が高いため、140℃の加熱では圧潰強度が向上せず、低い圧潰強度である。実施例11は300℃と加熱温度が高いが、冷却停止温度が高いため、圧潰強度が向上しない。実施例14はNb−Tiを含有せず化学成分が本発明外であるため、圧潰強度が向上しない。
【0050】
【表1】
Figure 0004072009
【0051】
【表2】
Figure 0004072009
【0052】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、鋼管の外表面および内表面に異なった加熱履歴を与えることで、UOE工程で製造した鋼管に、より高い圧潰強度を付与することが可能であり、圧潰強度に優れたUOE鋼管を低コストで提供できる、これは、深海のような高い圧潰強度が要求される環境においても、天然ガス、原油等の輸送用ラインパイプ等に使用することができ、産業上、極めて貢献度が高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】UOE工程による鋼管製造プロセスの模式図。

Claims (4)

  1. 質量%で、
    C :0.03〜0.15%、
    Si:0.8%以下、
    Mn:0.3〜2.5%、
    P :0.03%以下、
    S :0.01%以下、
    Nb:0.01〜0.3%、
    Ti:0.005〜0.03%、
    Al:0.1%以下、
    N :0.001〜0.01%
    を含有し、残部が鉄及び不可避的不純物からなる鋼片をオーステナイト域に再加熱後、再結晶域で粗圧延を行い、引き続き900℃以下の未再結晶温度域で累積圧下率50%以上の仕上げ圧延を行い、Ar3点以上の温度から5〜40℃/秒の冷却速度で300℃以下まで冷却して製造した厚鋼板を、そのまま順にC成形、U成形、O成形し、厚鋼板の端部同士をシーム溶接後、拡管するUOE工程により造管した鋼管の、少なくとも外表面から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱することを特徴とする圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
  2. 質量%で、さらに、
    Ni:1%以下、
    Mo:0.6%以下、
    Cr:1%以下、
    Cu:1%以下、
    V :0.3%以下、
    B :0.0003〜0.003%、
    Ca:0.01%以下、
    REM:0.02%以下、
    Mg:0.006%以下、
    の1種又は2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
  3. 前記UOE工程により造管した鋼管の圧潰強度a[MPa]と、少なくとも外表面から肉厚中心までの範囲を80〜550℃に加熱した後のUOE工程により造管した鋼管の圧潰強度b[MPa]との比b/aが1.10以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
  4. 前記加熱中又は加熱後の冷却中に塗覆装を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の圧潰強度の高いUOE鋼管の製造方法。
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