JP4065962B2 - 自己組織化単分子膜の作製方法とその利用 - Google Patents
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Description
本発明は、自己組織化単分子膜を作製する方法に関する。詳しくは、いわゆる気相法によって、より高品質の自己組織化単分子膜を作製する方法に関する。また本発明は、高品質の自己組織化単分子膜を有する膜材料に関する。
本出願は、2005年4月15日に出願された日本国特許出願第2005−118932号に基づく優先権を主張し、その出願の全ての内容はこの明細書中に参照により援用されている。
本出願は、2005年4月15日に出願された日本国特許出願第2005−118932号に基づく優先権を主張し、その出願の全ての内容はこの明細書中に参照により援用されている。
基材上に自己組織化単分子膜(Self-Assembled
Monolayer,以下「SAM」ともいう。)を形成する材料が知られている。かかる材料(以下、「自己組織化単分子膜形成材料」または「SAM形成材料」ともいう。)を用いてSAMを形成する主な方法として、SAM形成材料を含む溶液を基材に接触させる方法(液相法)がある。この種の方法によるSAM形成に関する従来技術文献として特許文献1〜3が挙げられる。特許文献1および2には、前記SAM形成材料を含む溶液を構成する溶媒として、アルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が例示されている。また、特許文献3には、該溶液を構成する溶媒として圧縮二酸化炭素を用いる技術が記載されている。
Monolayer,以下「SAM」ともいう。)を形成する材料が知られている。かかる材料(以下、「自己組織化単分子膜形成材料」または「SAM形成材料」ともいう。)を用いてSAMを形成する主な方法として、SAM形成材料を含む溶液を基材に接触させる方法(液相法)がある。この種の方法によるSAM形成に関する従来技術文献として特許文献1〜3が挙げられる。特許文献1および2には、前記SAM形成材料を含む溶液を構成する溶媒として、アルコール類、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類等が例示されている。また、特許文献3には、該溶液を構成する溶媒として圧縮二酸化炭素を用いる技術が記載されている。
一方、基材上にSAMを形成する他の方法として、SAM形成材料を基材に化学蒸着する方法(気相法またはCVD法と称されることもある。)が提案されている。この気相法は、SAM形成材料を効率よく利用することができる、液相法に比べて廃液量を低減し得るので環境への負荷が少ない、等の利点を有する。
しかし、気相法により形成されたSAMは、液相法により形成されたSAMとは品質の異なるものとなりがちであった。例えば、気相法により形成されたSAMは、液相法により形成されたSAMに比べて膜の密度および/またはSAM形成材料の配向性が低くなる傾向にあった。このため、液相法により形成されたSAMの性質から予想される望ましい性質(例えば撥水性)が十分に発揮されない場合があった。
しかし、気相法により形成されたSAMは、液相法により形成されたSAMとは品質の異なるものとなりがちであった。例えば、気相法により形成されたSAMは、液相法により形成されたSAMに比べて膜の密度および/またはSAM形成材料の配向性が低くなる傾向にあった。このため、液相法により形成されたSAMの性質から予想される望ましい性質(例えば撥水性)が十分に発揮されない場合があった。
そこで本発明は、気相法によってより高品質のSAMを作製する方法を提供することを目的とする。例えば、液相法により形成されたSAMに近似した性質(例えば接触角の大きさ)を示すSAMを気相法で作製する方法を提供することを目的とする。本発明の他の一つの目的は、かかる高品質のSAMを有する膜材料を提供することである。
本発明者は、基材にSAM形成材料を化学蒸着するにあたり、所定の条件を適切にコントロールすることによって、該蒸着により得られるSAMの品質が改善される(例えば、より密度の高いSAMが形成される)ことを見出して本発明を完成した。
本発明によると、基材にSAM形成材料を化学蒸着することによって該基材上にSAMを作製する方法が提供される。その方法では、化学蒸着の際に、(1).雰囲気ガスの湿度(25℃における相対湿度)を30%以下とする。また、(2).雰囲気温度を60℃以上とする。さらに、(3).蒸着を開始する時点における基材の表面温度を室温よりも高くする。上記(1)〜(3)をいずれも満たすように化学蒸着(典型的には熱CVD)を行うことによって、より品質の良い(例えば、より高密度の)SAMが形成され得る。例えば、同種のSAM形成材料を用いて液相法により形成されたSAMと比較して、該液相法SAMにより近い性質(例えば接触角の大きさ)を示すSAMを作製することができる。この雰囲気ガス湿度が上記範囲よりも多すぎると得られるSAMの密度が低くなりがちとなり、予想した性質を示すSAMが得られにくくなる。
上記SAMの「密度」は、基材のうちSAMが形成されている領域について該SAMを構成する物質(SAM形成材料の反応残基とみることもできる。)の配置を詳細に検討した場合において該基材が上記物質で覆われている面積の割合、すなわち該SAM構成物質による基材の「被覆率」としても把握され得る。この被覆率がより高いということは、当該SAMの密度(基材上での配置密度または充填密度)がより高いことに対応する。
上記被覆率は、SAMが形成されている表面の水滴接触角を用いて評価することができる。より具体的には、異なる二種類の成分A,Bから構成されている表面において、それら成分Aおよび成分Bが占有する面積をそれぞれQ1およびQ2とし、また該成分Aからなる理想的な表面の水滴接触角および成分Bからなる理想的な表面の水滴接触角をそれぞれθ1およびθ2とすると、これら二成分から構成される表面の水滴接触角θと占有面積Q1,Q2および水滴接触角θ1,θ2との間には以下の関係式(i)が成り立つ(Cassie-Baxterの式)。
cosθ=Q1cosθ1+Q2cosθ2 ・・・(i)
この関係式から被覆率を算出することができる。なお、上記成分Aからなる理想的な表面の水滴接触角の値としては、当該成分Aが基板表面である場合にはその基板表面自体の水滴接触角の値をθ1として採用することができる。また、当該成分AがSAMである場合には、そのSAMについて「予想される接触角」の値(詳しくは後述する。)、例えば、一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの水滴接触角または該SAMの化学構造から理論的に(典型的には、該SAMの表面エネルギー等に基づき)導かれる水滴接触角の値をθ1として採用することができる。
ここに開示される方法によると、上記被覆率が概ね80%以上という高密度のSAMが作製され得る。より好ましい態様では、上記被覆率が概ね85%以上(さらに好ましい態様では概ね90%以上、例えば90〜98%程度)のSAMが作製され得る。したがって、ここに開示される発明の他の観点は、かかる高被覆率(または高密度)のSAMを得るためのSAM作製方法である。
上記被覆率は、SAMが形成されている表面の水滴接触角を用いて評価することができる。より具体的には、異なる二種類の成分A,Bから構成されている表面において、それら成分Aおよび成分Bが占有する面積をそれぞれQ1およびQ2とし、また該成分Aからなる理想的な表面の水滴接触角および成分Bからなる理想的な表面の水滴接触角をそれぞれθ1およびθ2とすると、これら二成分から構成される表面の水滴接触角θと占有面積Q1,Q2および水滴接触角θ1,θ2との間には以下の関係式(i)が成り立つ(Cassie-Baxterの式)。
cosθ=Q1cosθ1+Q2cosθ2 ・・・(i)
この関係式から被覆率を算出することができる。なお、上記成分Aからなる理想的な表面の水滴接触角の値としては、当該成分Aが基板表面である場合にはその基板表面自体の水滴接触角の値をθ1として採用することができる。また、当該成分AがSAMである場合には、そのSAMについて「予想される接触角」の値(詳しくは後述する。)、例えば、一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの水滴接触角または該SAMの化学構造から理論的に(典型的には、該SAMの表面エネルギー等に基づき)導かれる水滴接触角の値をθ1として採用することができる。
ここに開示される方法によると、上記被覆率が概ね80%以上という高密度のSAMが作製され得る。より好ましい態様では、上記被覆率が概ね85%以上(さらに好ましい態様では概ね90%以上、例えば90〜98%程度)のSAMが作製され得る。したがって、ここに開示される発明の他の観点は、かかる高被覆率(または高密度)のSAMを得るためのSAM作製方法である。
ここに開示される方法の好ましい一態様では、前記雰囲気ガスの25℃における相対湿度を5〜30%とする。このことによって、より品質のよい(例えば、より高密度の)SAMが得られる、得られるSAMの品質が安定する、より広い雰囲気温度において良質のSAMを形成することができる(すなわち、雰囲気温度の選択自由度が広がる)、のうち一または二以上の効果が実現され得る。SAM形成材料としてアルコキシシラン(例えばトリメトキシシラン)を使用する場合には、上記範囲から選択される湿度条件のもとでSAMを形成することが特に有効である。雰囲気ガスの湿度(25℃における相対湿度、以下同様)を5〜25%とすることが好ましく、7〜20%とすることがより好ましい。
ここに開示される方法の他の好ましい一態様では、前記雰囲気温度を100〜200℃(より好ましくは100〜180℃)とする。これにより、より品質のよい(より高密度の)SAMを得ることができる。SAM形成材料としてアルコキシシラン(例えばトリメトキシシラン)を使用する場合には、上記範囲から選択した雰囲気温度のもとでSAMを形成することが特に有効である。
ここに開示される方法の他の好ましい一態様では、前記蒸着を開始する時点における基材の表面温度(以下、「初期基材温度」ということもある。)を50℃以上とする。該温度を60℃以上とすることがより好ましく、80℃以上とすることがさらに好ましい。初期基材温度を上記範囲とすることによって、より品質のよい(例えば、より高密度の)SAMが形成される、得られるSAMの品質が安定する、のうち少なくとも一つの効果が得られる。
ここに開示されるSAM作製方法は、SAM形成材料としてアルコキシシランを用いる場合に特に好ましく適用される。すなわち、基材表面にSAMを形成可能な化合物であって少なくとも一つのアルコキシ基(アルコキシシリル基)を有するSAM形成材料を用いたSAMの作製に好ましく適用される。該SAM形成材料の有するアルコキシ基の数としては2または3(すなわち、ジアルコキシシランまたはトリアルコキシシラン)が好ましく、三つのアルコキシ基を有するものが特に好ましい。アルコキシ基の炭素数は1〜4であることが好ましく、より好ましくは1〜3である。
ここに開示される方法に用いるSAM形成材料の一好適例として、少なくとも一つのアルコキシ基と、置換されたまたは置換されていない比較的長い炭素鎖とを有するアルコキシシランが挙げられる。例えば、該炭素鎖が炭素数10以上(典型的には10〜30)の脂肪族基であるSAM形成材料が好ましい。上記脂肪族基は飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、該脂肪族基は開鎖状であってもよく、少なくとも一部が非芳香族性の環を形成している脂環族基であってもよい。
好ましいSAM形成材料の他の一例として、少なくとも一つのアルコキシ基と、置換されたまたは置換されていない芳香環を含む芳香族基とを有するアルコキシシランが挙げられる。例えば、置換されたまたは置換されていないアリール基あるいはアルキルアリール基がシリコン(Si)に結合している化合物(フェニルアルコキシシラン、ベンジルアルコキシシラン、メチルフェニルトリメトキシシラン、それらの置換体等)が好ましい。
好ましいSAM形成材料の他の一例として、少なくとも一つのアルコキシ基と、置換されたまたは置換されていない芳香環を含む芳香族基とを有するアルコキシシランが挙げられる。例えば、置換されたまたは置換されていないアリール基あるいはアルキルアリール基がシリコン(Si)に結合している化合物(フェニルアルコキシシラン、ベンジルアルコキシシラン、メチルフェニルトリメトキシシラン、それらの置換体等)が好ましい。
ここに開示される方法を適用して基材上にSAMを作製するにあたっては、所定の前処理が施された基材を好ましく使用することができる。その前処理は、例えば、(A).基材のうち少なくともSAMを形成しようとする部分の表面を水素終端化することを含む。また、(B).その水素終端化された基材表面に、酸素を構成原子として含む官能基(例えば水酸基)を導入することを含む。かかる前処理が施された基材を用いることにより、該基材上に高品質の(例えば高密度の)SAMをより適切に作製することができる。
例えば、ここに開示される方法を適用してシリコン基板(基材)上にSAMを作製する場合には、所定の前処理が施されたシリコン基板を好ましく使用することができる。その前処理は、シリコン基板の表面(例えば(111)面)を水素終端化することを含む。また、その水素終端化処理された基板表面に、酸素を含む官能基(例えば水酸基)を導入することを含む。かかる前処理を施して得られたシリコン基板は、その表面が高度に(典型的には原子レベルで)平坦化されたものであり得る。また、該表面に酸素を含む官能基が適切に(例えば、より均一に)導入されたものであり得る。このような表面はSAM形成材料をより適切に蒸着するのに適している。したがって、該シリコン基板の表面(例えば(111)面)に、よりよく組織化された(揃った)単分子膜を形成することができる。すなわち、上記前処理が施されたシリコン基板の使用により、該基板上により高品質の(例えば高密度の)SAMが形成され得る。
前記官能基を導入する好適な方法としては、前記水素終端化された基板表面に、酸素(典型的には酸素分子(O2))を含む雰囲気下で真空紫外光(Vacuum Ultra Violet;以下、「VUV」ともいう。)を照射する方法を例示することができる。例えば、減圧(例えば凡そ1Pa〜1500Pa、好ましくは凡そ10Pa〜1000Pa)の大気中で基板表面にVUVを照射することによって、酸素を構成原子として含む官能基(水酸基等)を上記基板表面に適切に導入することができる。このことによって、平坦であってかつSAM形成材料を蒸着するのに適した表面を有する基材を用意することができる。
本発明によると、また、基材と、該基材上に形成されたSAMと、を備える膜材料が提供される。前記SAMは、被覆率が凡そ85%以上(好ましくは凡そ90%以上)の高密度膜であり得る。該SAMは、前記基材にSAM形成材料を化学蒸着して作製された膜であり得る。かかる膜材料は、高被覆率(すなわち高密度)のSAMを有することから、該膜の特性(例えば、SAM形成材料の分子構造から期待される特性)がより適切に発揮されるものであり得る。例えば、良好な撥水性、親水性、潤滑性等を示すものであり得る。また、基材の保護性能に優れたものであり得る。
このように高密度のSAMは高精密な(例えば、高精細かつ高形状精度の)パターンを形成するのに適する。ここに開示される膜材料の好ましい一態様では、前記SAMが所定のパターンで形成されている。
本明細書において「パターン」とは、基材表面のうち、特定のSAMが形成されていることによって他の部分と区別し得る任意の形態(形状および/または模様)の部分をいう。該特定のSAMが形成されていない部分、すなわち上記「他の部分」の構成は特に限定されない。例えば、基材表面が露出している部分であってもよく、基材上にSAM以外の材料(金属めっき層、ガラスコーティング等)を有する部分であってもよく、上記特定のSAMとは異なる(例えば、テール基の化学構造(官能基の有無およびその種類等)が異なる)SAMが形成されている部分であってもよい。
上記膜材料は、高密度の(充填率の高い)SAMを備えることから、該SAMが形成された部分と他の部分との境界(すなわちSAMの外縁)の明瞭性に優れたものであり得る。
本明細書において「パターン」とは、基材表面のうち、特定のSAMが形成されていることによって他の部分と区別し得る任意の形態(形状および/または模様)の部分をいう。該特定のSAMが形成されていない部分、すなわち上記「他の部分」の構成は特に限定されない。例えば、基材表面が露出している部分であってもよく、基材上にSAM以外の材料(金属めっき層、ガラスコーティング等)を有する部分であってもよく、上記特定のSAMとは異なる(例えば、テール基の化学構造(官能基の有無およびその種類等)が異なる)SAMが形成されている部分であってもよい。
上記膜材料は、高密度の(充填率の高い)SAMを備えることから、該SAMが形成された部分と他の部分との境界(すなわちSAMの外縁)の明瞭性に優れたものであり得る。
このように所定のパターンで形成されたSAMを有する膜材料は、該SAMのパターンに対応する形態で付与された他の材料をさらに備える膜材料であり得る。例えば、上記SAMパターン上に選択的に他の層(金属めっき層等)が形成された膜材料であり得る。また、上記SAMパターンを除いた部分に(上記SAMパターンとは反転する形態で)選択的に他の層(樹脂コーティング層、はんだ層等)が形成された膜材料であってもよい。上記SAMパターン上に選択的にめっき層(例えば、無電解めっき法により形成された金属めっき層)を有する膜材料は、ここに開示される膜材料の好ましい一例である。
本発明によると、上述したいずれかのSAM作製方法のための自己組織化単分子膜作製装置が提供される。その装置は、ガス流入口およびガス流出口を備える反応容器を含む。前記反応容器内の雰囲気温度を制御する雰囲気温度制御手段を備える。また、前記反応容器内の湿度(雰囲気ガスの湿度)を制御する湿度制御手段を備える。また、前記反応容器内に配置された基材の温度を調節する基材温度調節手段を備える。また、前記ガス流入口から反応容器内に自己組織化単分子膜形成材料を含むガスを供給する原料ガス供給手段を備える。かかる構成の装置は、上記SAM作製方法を実施するのに好適である。
上記雰囲気温度制御手段は、基材温度検出器(温度計)としての熱電対、基材加熱手段としてのヒータ等を含み得る。上記湿度制御手段は、反応容器内の雰囲気ガスの湿度を測定する湿度検出手段(湿度計)、該検出手段による検出結果に応じて反応容器に流入するガスの組成を調節するガス組成調節機構(原料ガスとキャリアガスとの混合比を調節する切替弁等)を含み得る。上記基材温度調節手段は、基材温度検出器(温度計)としての熱電対、加熱器としてのヒータ等を含み得る。ここに開示される装置の一つの好ましい態様では、上記反応容器の内部に、基材温度検出器および基材加熱器の少なくとも一方(好ましくは両方)を内蔵した基材載置台が設けられている。上記原料ガス供給手段は、自己組織化単分子膜形成材料を保持する原料保持容器、該膜形成材料を加熱して気化させるための加熱器(ヒータ等)、該膜形成材料とともに反応容器に導入されるキャリアガス(例えば窒素ガス)を供給するキャリアガス源等を含み得る。
また、この明細書により開示される発明には以下のものが含まれる。
(1)シリコン基板にSAM形成材料を化学蒸着することによって該基板上にSAMを作製する方法。その作製方法は、シリコン基板を用意する工程と、そのシリコン基板に前処理を施す工程と、該前処理されたシリコン基板にSAM形成材料を化学蒸着する工程とを含む。ここで、シリコン基板に前処理を施す工程は、前記シリコン基板の表面を水素終端化することを包含する。また、その水素終端化処理された基板表面に、酸素を構成原子として含む官能基を導入することを包含する。かかる官能基の導入は、例えば、水素終端化されたシリコン基板に、酸素を含む雰囲気中で真空紫外光を照射することによって行うことができる。
(2)上記(1)の方法において、前記SAM形成材料の化学蒸着を、上述したいずれかのSAM作製方法と同様の条件で行うSAM作製方法。例えば、25℃における相対湿度が5〜30%の雰囲気ガスを用いる;雰囲気温度が100〜200℃である;および、蒸着開始時におけるシリコン基板の表面温度が50℃以上である;をいずれも満たすように化学蒸着を行うことが好ましい。
(1)シリコン基板にSAM形成材料を化学蒸着することによって該基板上にSAMを作製する方法。その作製方法は、シリコン基板を用意する工程と、そのシリコン基板に前処理を施す工程と、該前処理されたシリコン基板にSAM形成材料を化学蒸着する工程とを含む。ここで、シリコン基板に前処理を施す工程は、前記シリコン基板の表面を水素終端化することを包含する。また、その水素終端化処理された基板表面に、酸素を構成原子として含む官能基を導入することを包含する。かかる官能基の導入は、例えば、水素終端化されたシリコン基板に、酸素を含む雰囲気中で真空紫外光を照射することによって行うことができる。
(2)上記(1)の方法において、前記SAM形成材料の化学蒸着を、上述したいずれかのSAM作製方法と同様の条件で行うSAM作製方法。例えば、25℃における相対湿度が5〜30%の雰囲気ガスを用いる;雰囲気温度が100〜200℃である;および、蒸着開始時におけるシリコン基板の表面温度が50℃以上である;をいずれも満たすように化学蒸着を行うことが好ましい。
ここに開示される技術によると、基材表面に高品質のSAMを、化学蒸着(気相法)によって作製することができる。したがって当該技術は、SAM形成材料の利用効率がよい、環境への負荷が少ない、小型から大型まで種々のサイズの基材や比較的複雑な形状の基材にも適用(該基材上へのSAM作製)しやすい、等のうち一または二以上の効果を発揮し得る、有用性が高く実用性に富む技術である。また、ここに開示される方法により作製されるSAMまたはここに開示される膜材料を構成するSAMは、高密度(高被覆率)であることから、良好な撥水性、親水性、潤滑性等を示すものであり得る。
以下、本発明に関する具体的な実施態様につき説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。また、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項(例えば、各種のSAM形成材料を入手または合成する方法、基材表面の温度の調節手段および該温度の測定方法、CVDに使用する加熱装置の構成および運転方法等)は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の方法は、いわゆる気相法を利用した各種基材上への自己組織化単分子膜の形成に適用され得る。使用する基材の材質は、化学蒸着を行う際の雰囲気温度において固体の状態を維持するものであればよく、特に限定されない。例えば、シリコン(Si)、ガラス、金属(銅、アルミニウム、ゲルマニウム等)、セラミック(アルミナ、シリカ、炭化ケイ素等)、ポリマー材料、炭素材料(グラファイト、ダイアモンド等)等から選択される一種または二種以上の材質から主として構成される基材を使用することができる。上記ポリマー材料は、各種の熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂であり得る。例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド、アラミド(芳香族ポリアミド)、ポリイミド、ABS樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、フェノール樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂等が好適なポリマー材料として挙げられる。本発明にとり特に好ましい基材として、実質的にシリコンからなる基材(シリコン基板)が挙げられる。少なくとも表面部分(SAMが形成される表面部分)が実質的にシリコンからなる基材であってもよい。
本発明において「自己組織化単分子膜(SAM)」とは、原料分子が基材の表面(固体と液体との界面または固体と気体との界面)に集合して自律的に組みあがる単分子膜(分子一層による膜)をいう。ただし、結果的に得られた膜の一部が意に反して(非意図的に)単分子膜となっていない場合(例えば二分子層になっている場合)であっても、少なくとも主としてSAMを作製する意図をもって本発明の作製方法を適用することは、本発明の技術的範囲に含まれ得る。
また、「自己組織化単分子膜形成材料」とは、基材の表面に自己組織化単分子膜を形成し得る材料をいう。かかる材料(SAM形成材料)は、典型的には、基材表面との化学結合等によって該基材に吸着可能な少なくとも一つの官能基(ヘッド基)と、それとは逆に基材の外側に向けて延びる少なくとも一つのテール基とを有する分子(原料分子)である。一般に、基材表面に原料分子のヘッド基が高密度に吸着して形成されたSAMは、それらの原料分子のテール基が高度に配向したものとなりやすい。このような構造のSAMは、原料分子の種類に応じた特性をよりよく発揮するものとなり得るので好ましい。
また、「自己組織化単分子膜形成材料」とは、基材の表面に自己組織化単分子膜を形成し得る材料をいう。かかる材料(SAM形成材料)は、典型的には、基材表面との化学結合等によって該基材に吸着可能な少なくとも一つの官能基(ヘッド基)と、それとは逆に基材の外側に向けて延びる少なくとも一つのテール基とを有する分子(原料分子)である。一般に、基材表面に原料分子のヘッド基が高密度に吸着して形成されたSAMは、それらの原料分子のテール基が高度に配向したものとなりやすい。このような構造のSAMは、原料分子の種類に応じた特性をよりよく発揮するものとなり得るので好ましい。
SAM形成材料としては、例えば、シリコン(Si),チタン(Ti)等のコア原子に上記ヘッド基およびテール基が結合した構造の化合物を用いることができる。コア原子がシリコンである化合物(有機シリコン化合物)が特に好ましい。
上記ヘッド基はアルコキシ基またはハロゲン原子であり得る。本発明にとり特に好ましいヘッド基としてアルコキシ基(アルコキシシリル基等)が挙げられる。例えば、炭素数1〜4(より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基が好ましい。メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましく、通常はメトキシ基が最も好ましい。一分子中に二つ以上(典型的には、二つまたは三つ)のヘッド基を有する化合物が好ましく、三つのヘッド基を有する化合物がより好ましい。複数のヘッド基を有するSAM形成材料において、それらのヘッド基は同じであっても異なっていてもよいが、通常は複数の同じヘッド基を有する化合物が好ましい。好ましいSAM形成材料の例として、コア原子としてのシリコン原子に三つのアルコキシ基と一つのテール基とが結合した構造の化合物(トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等)が挙げられる。
上記ヘッド基はアルコキシ基またはハロゲン原子であり得る。本発明にとり特に好ましいヘッド基としてアルコキシ基(アルコキシシリル基等)が挙げられる。例えば、炭素数1〜4(より好ましくは炭素数1〜3)のアルコキシ基が好ましい。メトキシ基またはエトキシ基がさらに好ましく、通常はメトキシ基が最も好ましい。一分子中に二つ以上(典型的には、二つまたは三つ)のヘッド基を有する化合物が好ましく、三つのヘッド基を有する化合物がより好ましい。複数のヘッド基を有するSAM形成材料において、それらのヘッド基は同じであっても異なっていてもよいが、通常は複数の同じヘッド基を有する化合物が好ましい。好ましいSAM形成材料の例として、コア原子としてのシリコン原子に三つのアルコキシ基と一つのテール基とが結合した構造の化合物(トリメトキシシラン、トリエトキシシラン等)が挙げられる。
SAM形成材料の有するテール基は、例えば、置換されたまたは置換されていない脂肪族基または芳香族基(芳香族性を示す構造部分を有する基。典型的には、少なくとも一つの芳香環を含む基)であり得る。該脂肪族基の炭素数は例えば1〜30(より好ましくは炭素数3〜30、さらに好ましくは炭素数5〜30)であり得る。該芳香族基の炭素数は例えば5〜30(より好ましくは6〜30)であり得る。このような脂肪族基を構成する炭素原子(典型的には、該脂肪族基の主鎖を構成する炭素原子)の一部がヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、イオウ原子等)で置き換えられていてもよく、また芳香族基を構成する炭素原子(典型的には、芳香環を構成する炭素原子)の一部がヘテロ原子(窒素原子、酸素原子、イオウ原子等)で置き換えられていてもよい。
好ましいテール基の一例として、炭素数10以上(典型的には10〜30)の脂肪族基が挙げられる。この脂肪族基は飽和であっても不飽和であってもよく、直鎖状であっても分岐を有していてもよい。また、該脂肪族基は開鎖状であってもよく、少なくとも一部が非芳香族性の環(例えばシクロヘキシル環)を形成していてもよい。例えば、炭素数10〜30の直鎖状の脂肪族基(典型的には、アルキル基、アルケニル基またはアルキニル基等の炭化水素基)が好ましい。炭素数10〜30の直鎖状のアルキル基が特に好ましい。後述する実施例において使用したn−オクタデシルトリメトキシシランは、そのようなテール基を有するSAM形成材料の一具体例である。また、かかる脂肪族基を構成する水素原子の一部または全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)に置き換えられた構造のテール基も好ましい。例えば、脂肪族基を構成する水素原子の過半数(例えば70個数%以上の水素原子)がフッ素原子に置き換えられたものが好適である。後述する実施例において使用したヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシランは、そのようなテール基を有するSAM形成材料の一具体例である。
好ましいテール基の他の一例として、少なくとも末端(コア原子とは反対側)に置換基を有する炭素数2以上(典型的には炭素数2〜9、例えば炭素数3〜6)の飽和または不飽和の脂肪族基が挙げられる。上記置換基は、例えば、置換されたまたは置換されていないアミノ基、メルカプト基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、スルフォン酸基、シアノ基、ハロゲン原子等であり得る。後述する実施例において使用した3−メルカプトプロピルトリメトキシシランは、そのようなテール基を有するSAM形成材料の一具体例である。
好ましいテール基の他の一例として、置換されたまたは置換されていない少なくとも一つの芳香環(典型的にはベンゼン環)を含む芳香族基が挙げられる。炭素数が5以上(典型的には5〜30)である芳香族基が好ましく、炭素数6〜20の芳香族基がより好ましい。上記テール基は、例えば、置換されたまたは置換されていないアリール基またはアルキルアリール基であり得る。このような芳香族基を構成する水素原子の一部または全部がハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)に置き換えられた構造のテール基も好ましい。また、かかる芳香族基はハロゲン原子以外の置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、炭素数1〜12程度の飽和または不飽和の置換されたまたは置換されていない炭化水素基(メチル基、エチル基、クロロメチル基等)、置換されていないアミノ基または置換されたアミノ基(例えばジメチルアミノ基等のような、モノまたはジアルキルアミノ基)、フルオロ基等を例示することができる。そのようなテール基を有するSAM形成材料の具体例としては、後述する実施例において使用したp−アミノフェニルトリメトキシシランおよびp−クロロメチルフェニルトリメトキシシランが挙げられる。
ここに開示されるSAM作製方法では、所定の湿度を有する雰囲気ガスのもとでSAM形成材料(原料分子)を基材に蒸着する。ここで「雰囲気ガス」とは、原料分子が基材表面に蒸着されるとき(すなわち、気体状の原料分子が気相から基材表面に堆積するとき)に、その蒸着空間(例えば反応容器内)を満たすガスをいう。該雰囲気ガスの主成分としては、SAM形成材料や基材表面に対する反応性の低いガスを使用することが好ましい。例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスを好ましく使用することができる。この雰囲気ガスは所定の湿度に相当する濃度で水分子(水蒸気)を含有する。該「所定の湿度」は、25℃における相対湿度(RH:Relative Humidity)に換算して、凡そ30%以下(典型的には凡そ5〜30%)の湿度であることが好ましい。上記所定の湿度が凡そ7〜25%であることがより好ましく、凡そ7〜20%であることがさらに好ましい。このような湿度の調整は、例えば窒素ガスを主成分とする雰囲気ガスの場合、乾燥窒素ガスに水蒸気を単独で混入することにより行うことができる。また、目標値よりも湿度の高いガス(例えば空気)を乾燥窒素ガスに混入してもよい。
また、ここに開示される方法では、所定の雰囲気温度のもとで原料分子を基材に蒸着する。ここで「雰囲気温度」とは、原料分子が基材表面に蒸着されるときの環境温度をいう。その雰囲気温度内に外部から基材を持ち込む場合、基材の持ち込み直後からしばらくの間は雰囲気温度と基材の温度とは異なり得るが、該雰囲気温度のもとにしばらく(例えば30分以上)保持された基材の温度(少なくとも基材表面の温度)は雰囲気温度と実質的に同一であるものとすることができる。この雰囲気温度は、少なくとも凡そ60℃以上とすることが適当であり、通常は凡そ100〜200℃とすることが好ましく、凡そ100〜180℃とすることがより好ましい。雰囲気温度が60℃よりも低すぎると、基材表面に到達した原料分子が該基材表面を動き回り難くなる。このため、該原料分子が基材表面において他の部分よりもエネルギー的に有利な位置を見つけてそこに吸着することによって自律的に組織化するというSAM形成過程を適切に進行させることが困難となり、SAMの品質(例えば密度)が低下しがちとなる。
ここに開示されるSAM作製方法では、SAM形成材料の蒸着を開始する時点において、基材の少なくとも表面の温度(初期基材温度)を制御する(以下、特記しない場合には基材の表面温度と内部の温度とは概ね等しいものとし、これを単に「基材温度」または「初期基材温度」という。)。初期基材温度を凡そ50℃以上とすることが好ましく、70℃以上とすることがより好ましい。また、該初期基材温度が雰囲気温度よりも高すぎないことが好ましい。例えば、雰囲気温度+20℃以下(より好ましくは雰囲気温度+10℃以下、さらに好ましくは雰囲気温度と同程度またはそれ以下)とすることが好ましい。好ましい一つの態様では、この初期基材温度(Ts)を、凡そ50℃以上(より好ましくは凡そ60℃以上)であって、かつ、蒸着時の雰囲気温度(Tv)との関係においてTv−80℃≦Ts≦Tv+20℃(より好ましくはTv−50℃≦Ts≦Tv+10℃、さらに好ましくはTv−30℃≦Ts≦Tv)を満たすように設定する。
なお、上記「蒸着を開始する時点」とは、気体状のSAM形成材料が基材表面に堆積し始める時点をいう。例えば、SAM形成材料(典型的には液体状または固体状)と基材とを所定の蒸着空間(密閉された反応容器内等)に共存させた状態でSAM形成材料を加熱し、該SAM形成材料が揮発して基材表面に堆積し得る状況になった時点をいう。後述する実施例では、50℃以上の所定の温度(例えば150℃)に保持された基材とSAM形成材料とを反応容器に入れて密閉している。このような操作方法は、蒸着開始時における基材の温度(初期基材温度)を所定温度とするための好適な一態様である。
なお、上記「蒸着を開始する時点」とは、気体状のSAM形成材料が基材表面に堆積し始める時点をいう。例えば、SAM形成材料(典型的には液体状または固体状)と基材とを所定の蒸着空間(密閉された反応容器内等)に共存させた状態でSAM形成材料を加熱し、該SAM形成材料が揮発して基材表面に堆積し得る状況になった時点をいう。後述する実施例では、50℃以上の所定の温度(例えば150℃)に保持された基材とSAM形成材料とを反応容器に入れて密閉している。このような操作方法は、蒸着開始時における基材の温度(初期基材温度)を所定温度とするための好適な一態様である。
本発明の作製方法には、上述のような各種材質から主として構成される基材をそのまま(特に前処理を行うことなく)使用し得る。また、必要に応じて(例えば、基材の材質、表面状態、使用するSAM形成材料の種類、目的とするSAMの品質等に応じて)適切な前処理を施した基材を好ましく使用することができる。かかる前処理は、基材の表面を洗浄する処理、基材の表面を高度に(好ましくは原子レベルで)平坦化する処理、基材の表面に微細な凹凸を形成する処理、基材の表面に官能基(典型的にはSAM形成材料の吸着に適した官能基、例えば水酸基)を導入する処理、基材の表面を改質する処理(例えば、基材表面に酸化膜を形成する処理)等から選択される一種または二種以上を含み得る。
基材の表面を洗浄する処理としては、適当な液体に基材を浸漬して超音波振動を加える等の物理的処理、基材を適当な薬品(典型的には、酸,アルカリ,過酸化物等から選択される一種または二種以上)で処理する等の化学的処理、基材に紫外線,電子線等の高エネルギー線を照射する高エネルギー線処理、等から選択される一種または二種以上を適宜採用することができる。上記化学的処理に好ましく使用し得る薬品として、piranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)を例示することができる。また、高エネルギー線処理の好適例としては、紫外線のうち真空紫外光(波長が100〜300nmの範囲にある紫外線)を照射する処理を例示することができる。かかる真空紫外光照射は、エキシマランプ、H2ランプ等の光源を備えた従来公知の真空紫外光照射装置を使用して実施することができる。
基材の表面を洗浄する処理としては、適当な液体に基材を浸漬して超音波振動を加える等の物理的処理、基材を適当な薬品(典型的には、酸,アルカリ,過酸化物等から選択される一種または二種以上)で処理する等の化学的処理、基材に紫外線,電子線等の高エネルギー線を照射する高エネルギー線処理、等から選択される一種または二種以上を適宜採用することができる。上記化学的処理に好ましく使用し得る薬品として、piranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)を例示することができる。また、高エネルギー線処理の好適例としては、紫外線のうち真空紫外光(波長が100〜300nmの範囲にある紫外線)を照射する処理を例示することができる。かかる真空紫外光照射は、エキシマランプ、H2ランプ等の光源を備えた従来公知の真空紫外光照射装置を使用して実施することができる。
本発明の方法は、シリコン基板のいずれの結晶面にSAMを形成する場合にも適用可能である。例えば、本発明の方法を適用して、シリコン基板の(111)面、(110)面等(特に好ましくは(111)面)にSAMを形成することができる。ここで、通常、シリコン基板の表面には自然酸化によって薄い酸化膜(シリカ層)が形成されている。このような酸化膜は、SAM形成材料(例えばアルコキシシラン)の吸着に対して好ましく寄与し得る。また、ここに開示される方法の一つの好ましい態様では、シリコン基板の表面にある上記酸化膜を一旦完全に(少なくとも実質的に完全に)除去する。かかる酸化膜の除去は、例えば、シリコン基材の表面に水素終端化処理を施すことにより実現することができる。このような水素終端化処理は、基材の表面を高度に平坦化する処理の一好適例として把握され得る。該水素終端化処理の具体的な方法は特に限定されず、半導体製造分野等において知られている水素終端化方法と同様にして実施することができる。例えば、フッ化アンモニウム(NH4F)、フッ化水素(HF)等の水溶液にシリコン基板を浸漬すればよい。
次いで、水素終端化されたシリコン基板の表面に改めて酸素原子を導入する。かかる官能基を導入する好ましい方法としては、酸素を含む雰囲気中(例えば、常圧または減圧の大気中)で真空紫外光を照射する方法を例示することができる。これにより、シリコン基板の表面に酸素を含む官能基(例えば水酸基、すなわちシラノール基)を導入することができる。
次いで、水素終端化されたシリコン基板の表面に改めて酸素原子を導入する。かかる官能基を導入する好ましい方法としては、酸素を含む雰囲気中(例えば、常圧または減圧の大気中)で真空紫外光を照射する方法を例示することができる。これにより、シリコン基板の表面に酸素を含む官能基(例えば水酸基、すなわちシラノール基)を導入することができる。
かかる水素終端化処理は、シリコン基板に限らず、他の材料からなる基材の前処理にも適用されて、所望の効果(典型的には、後続する化学蒸着によってより高品質のSAMを形成する効果)を発揮することができる。かかる処理を適用する基材の材質は、水素終端化が可能な材質であればよく、特に限定されない。例えば、シリコン、炭化ケイ素、ゲルマニウム、グラファイト等の材料を主体に構成された基材であり得る。該基材の全体がこのような材質から成る基材であってもよく、該基材の少なくとも表面部分(SAMを形成しようとする部分)に上記材質から成る層を有する基材であってもよい。
ここに開示されるSAM作製方法に好ましく使用し得る装置の概略構成例を図8に示す。このSAM作製装置1は、大まかに言って、反応容器10と、該容器内の温度を制御する雰囲気温度制御手段20と、該容器内の湿度を制御する湿度制御手段30と、該容器内に配置された基材の温度を調節する基材温度調節手段40と、から構成されている。
反応容器10の壁面(例えば天井部)には、該容器の内外を連通させるガス流入口12およびガス流出口14が形成されている。ガス流入口12には、SAM形成材料を含むガス(例えば、SAM形成材料のガスとキャリアガスとの混合ガス)を容器10内に供給可能な原料ガス供給手段11が接続されている。雰囲気温度制御手段20は、容器10の内部に配置された温度計22と、容器10の外周を囲むように設けられたヒータ24とを含み、温度計22による温度検出結果に応じてヒータ13の出力を調節することにより容器10内の温度(雰囲気温度)を制御し得るように構成されている。湿度制御手段30は、容器10の内部に配置された湿度計32を含み、湿度計32による湿度検出結果に応じて、例えばガス流入口12から供給されるガスの組成(湿度)を調節することにより容器10内の湿度(雰囲気ガスの湿度)を制御し得るように構成されている。反応容器10の内部(例えば底面)には、基材50を載置するための基材載置台16が設けられている。基材温度調節手段40は、この基材載置台16に内蔵された温度計42と、該温度計による温度検出結果に応じて出力調節可能に構成されたヒータ44とを含む。
反応容器10の壁面(例えば天井部)には、該容器の内外を連通させるガス流入口12およびガス流出口14が形成されている。ガス流入口12には、SAM形成材料を含むガス(例えば、SAM形成材料のガスとキャリアガスとの混合ガス)を容器10内に供給可能な原料ガス供給手段11が接続されている。雰囲気温度制御手段20は、容器10の内部に配置された温度計22と、容器10の外周を囲むように設けられたヒータ24とを含み、温度計22による温度検出結果に応じてヒータ13の出力を調節することにより容器10内の温度(雰囲気温度)を制御し得るように構成されている。湿度制御手段30は、容器10の内部に配置された湿度計32を含み、湿度計32による湿度検出結果に応じて、例えばガス流入口12から供給されるガスの組成(湿度)を調節することにより容器10内の湿度(雰囲気ガスの湿度)を制御し得るように構成されている。反応容器10の内部(例えば底面)には、基材50を載置するための基材載置台16が設けられている。基材温度調節手段40は、この基材載置台16に内蔵された温度計42と、該温度計による温度検出結果に応じて出力調節可能に構成されたヒータ44とを含む。
ここに開示されるSAM作製方法の一例につき、図9に示す工程図に沿ってその概略を説明する。
まず、アセトン、エタノール、超純水を順に使用して基材(例えばシリコン基板)を洗浄し(ステップS102)、さらにpiranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)で洗浄する(ステップS104)。次いで、該基板に真空紫外光を照射する(ステップS106)。これにより基板表面に官能基(例えば水酸基)を導入する。一方、CVD反応に使用する容器(例えば、図8に示す反応容器10)を乾燥させる(ステップS108)。すなわち、容器内の水分を除去する。この水分の除去を行うには、例えば、該容器を乾燥雰囲気下で加熱すればよい。ステップS106を終えた基板を乾燥済の容器に導入する(ステップS110)。例えば、図8に示す基材載置台16の上に基板50をセットする。そして、基板が予め設定した所定の温度(室温よりも高い温度)となるように基板温度を調節する(ステップS112)。また、反応容器内の湿度を予め設定した所定の湿度となるように制御する(ステップS114)。また、反応容器内の雰囲気温度を予め設定した所定温度となるように制御する(ステップS116)。この雰囲気温度の制御は、例えば、図8に示すヒータ24の出力を調節することによって行うことができる。そして、反応容器内に原料ガスを導入する(ステップS118)。例えば、図8に示すガス流入口12から、SAM形成材料のガスとキャリアガスとの混合ガスを供給する。このようにして基板上に高品質のSAMを形成することができる。
まず、アセトン、エタノール、超純水を順に使用して基材(例えばシリコン基板)を洗浄し(ステップS102)、さらにpiranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)で洗浄する(ステップS104)。次いで、該基板に真空紫外光を照射する(ステップS106)。これにより基板表面に官能基(例えば水酸基)を導入する。一方、CVD反応に使用する容器(例えば、図8に示す反応容器10)を乾燥させる(ステップS108)。すなわち、容器内の水分を除去する。この水分の除去を行うには、例えば、該容器を乾燥雰囲気下で加熱すればよい。ステップS106を終えた基板を乾燥済の容器に導入する(ステップS110)。例えば、図8に示す基材載置台16の上に基板50をセットする。そして、基板が予め設定した所定の温度(室温よりも高い温度)となるように基板温度を調節する(ステップS112)。また、反応容器内の湿度を予め設定した所定の湿度となるように制御する(ステップS114)。また、反応容器内の雰囲気温度を予め設定した所定温度となるように制御する(ステップS116)。この雰囲気温度の制御は、例えば、図8に示すヒータ24の出力を調節することによって行うことができる。そして、反応容器内に原料ガスを導入する(ステップS118)。例えば、図8に示すガス流入口12から、SAM形成材料のガスとキャリアガスとの混合ガスを供給する。このようにして基板上に高品質のSAMを形成することができる。
なお、ステップS102およびステップS104で使用する溶媒(洗浄液)の種類および使用順序ならびに洗浄条件は、上記で説明した態様に限定されることなく、基板の材質や表面状態等に応じて適宜変更することができる。例えば、ステップS104を省略してもよい。また、基材の水素終端化を行う場合には、例えば、上記洗浄工程の終了後、水酸基を導入するステップS106の前に行うことが適当である。また、上記ではステップS110〜S118をこの順で行う場合を例として説明したが、所望の化学蒸着条件が実現される限り、これらのステップを実施する順序を適宜変更してもよく、いくつかのステップを並行して行ってもよく、一部のステップを省略してもよい。
ここに開示されるSAM作製方法によると、使用するSAM形成材料の種類に応じて、そのSAM形成材料から予想される接触角に近似した接触角(例えば水滴接触角)を示すSAMを作製することができる。ここで「予想される接触角」とは、(a).本発明の作製方法に用いるSAM形成材料と同様の形態で基材上にSAMを形成し得るSAM形成材料(少なくともテール基が共通する化合物、好ましくはテール基およびヘッド基が共通する化合物、典型的には本発明の作製方法に用いるSAM形成材料と同一の化合物)を用いて、一般的な液相法により形成されたSAMの接触角(例えば水滴接触角)、または、(b).本発明の作製方法に用いるSAMの化学構造(使用したSAM形成材料のテール基の構造等)から理論的に導かれる接触角をいう。ここに開示される方法の好ましい一つの態様によると、予想される接触角との差異が±10°以下のSAMが作製され得る。より好ましい一つの態様によると、予想される接触角との差異が±5°以下のSAMが作製され得る。
なお、上記水滴接触角は、従来公知の種々の手段によって測定することができる。例えば、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置(型式「CA−X150」)を使用して蒸留水の静的接触角を測定することができる。
なお、上記水滴接触角は、従来公知の種々の手段によって測定することができる。例えば、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置(型式「CA−X150」)を使用して蒸留水の静的接触角を測定することができる。
化学蒸着時における雰囲気温度および雰囲気ガス湿度の好適範囲は、使用するSAM形成材料の種類によっても異なり得る。例えば、炭素数10〜30の置換されていないアルキル基をテール基として有するトリアルコキシシランをSAM形成材料に用いる場合には、雰囲気温度を凡そ80〜170℃(より好ましくは凡そ90〜160℃)とし、雰囲気ガスの湿度を凡そ10〜20%(より好ましくは凡そ15〜20%)とすることによって特に良好な結果が得られる。かかる蒸着条件が特に好ましく適用されるSAM形成材料としては、例えば、一般式:CH3(CH2)nSi(OR3)3;で表される化合物が挙げられる。ここで、上記一般式中のnは9〜29から選択される整数であり、Rはメチル基またはエチル基である。
また、例えば、炭素数10〜30のアルキル基の70個数%以上の水素原子がハロゲン原子(典型的にはフッ素原子)に置き換えられた基をテール基として有するトリアルコキシシランをSAM形成材料に用いる場合には、雰囲気温度を凡そ100〜200℃(より好ましくは凡そ130〜170℃)とし、雰囲気ガスの湿度を凡そ5〜13%(より好ましくは凡そ7〜12%)とすることによって特に良好な結果が得られる。かかる蒸着条件が特に好ましく適用されるSAM形成材料としては、一般式:CF3(CF2)p(CH2)qSi(OR3)3;で表される化合物が挙げられる。ここで、上記一般式中のpおよびqは、p+qが9〜29の整数となり、かつ、次式:(2p+3)/(2p+2q+3)×100;で表されるフッ素置換率が70%以上となるように選択される自然数である。Rはメチル基またはエチル基である。
また、例えば、アミノ基で置換されたアリール基またはアルキルアリール基(典型的には、ベンゼン環のパラ位にアミノ基を有する)をテール基として有するトリアルコキシシランをSAM形成材料に用いる場合には、雰囲気温度を凡そ80〜170℃(より好ましくは凡そ80〜130℃)とし、雰囲気ガスの湿度を凡そ10〜20%(より好ましくは凡そ10〜15%)とすることによって特に良好な結果が得られる。かかる蒸着条件が特に好ましく適用されるSAM形成材料としては、一般式:NH2C6H4(CH2)mSi(OR3)3で表される化合物が挙げられる。ここで、上記一般式中のmは0〜3の整数であり、Rはメチル基またはエチル基である。
また、例えば、ハロゲン化アルキル基で置換されたアリール基またはアルキルアリール基(典型的には、ベンゼン環のパラ位にハロゲン化アルキル基を有する)をテール基として有するトリアルコキシシランをSAM形成材料に用いる場合には、雰囲気温度を凡そ80〜170℃(より好ましくは凡そ80〜130℃)とし、雰囲気ガスの湿度を凡そ10〜20%(より好ましくは凡そ10〜15%)とすることによって特に良好な結果が得られる。かかる蒸着条件が特に好ましく適用されるSAM形成材料としては、一般式:CX3C6H4(CH2)mSi(OR3)3で表される化合物が挙げられる。ここで、上記一般式中のXは、それぞれ、水素原子およびハロゲン原子(例えば塩素原子および/またはフッ素原子)から選択されるいずれかである。mは0〜3の整数であり、Rはメチル基またはエチル基である。
ここに開示される膜材料は、基材と、該基材上に形成されたSAMとを備える。その膜材料を構成するSAMは、被覆率が凡そ85%以上(典型的には凡そ85〜98%)の高密度膜であり得る。好ましい一つの態様では、該SAMの被覆率が凡そ90%以上(典型的には凡そ90〜95%)である。
上記膜材料を構成するSAMは、基材にSAM形成材料を化学蒸着して作製された膜であり得る。その化学蒸着は、例えば、(1).雰囲気ガス湿度(25℃における相対湿度)が凡そ30%以下(典型的には凡そ5〜30%)の条件で行うことが好ましい。また、(2).雰囲気温度凡そ60℃以上(例えば凡そ100〜200℃)の条件で行うことが好ましい。さらに、(3).蒸着を開始する時点における基材の表面温度を室温よりも高く(好ましくは凡そ80℃以上に)して行うことが好ましい。これら(1)〜(3)の条件をいずれも満たすように化学蒸着を行って得られたSAMを備える膜材料が特に好ましい。
上記膜材料を構成するSAMは、基材にSAM形成材料を化学蒸着して作製された膜であり得る。その化学蒸着は、例えば、(1).雰囲気ガス湿度(25℃における相対湿度)が凡そ30%以下(典型的には凡そ5〜30%)の条件で行うことが好ましい。また、(2).雰囲気温度凡そ60℃以上(例えば凡そ100〜200℃)の条件で行うことが好ましい。さらに、(3).蒸着を開始する時点における基材の表面温度を室温よりも高く(好ましくは凡そ80℃以上に)して行うことが好ましい。これら(1)〜(3)の条件をいずれも満たすように化学蒸着を行って得られたSAMを備える膜材料が特に好ましい。
前記膜材料を構成するSAMは、化学蒸着により得られたものであるので、該SAM形成時におけるSAM形成材料の利用効率がよい。このことは、例えば、該膜材料の製造コスト低減の観点から有利である。また、かかる膜材料の製造時等における環境への負荷が少ないという利点を有する。
このような膜材料は、高被覆率(すなわち高密度)のSAMを有することから、該膜の特性(例えば、SAM形成材料の分子構造から期待される特性)をより適切に発揮するものであり得る。例えば、SAM形成材料の種類(特にテール基の種類)に応じて適切な撥水性を示す膜(撥水膜)、親水性を示す膜(親水膜)または潤滑性を示す膜(潤滑膜)等であり得る。このような特性を示すSAMを有する本発明の膜材料は、他の観点として、撥水性膜材料(例えば、接触角150℃以上の超撥水性を示す膜材料)、親水性膜材料、潤滑性膜材料等として把握され得る。
また、上記SAMは基材を高密度に被覆しているので、該基材の保護性能(保護膜としての性能)に優れる。例えば、該SAMによって基材に良好な防汚性、耐水性(耐吸水性、耐吸湿性等を含む概念である。)、耐薬品性(耐腐食性を含む概念である。)等を付与することができる。
このような膜材料は、高被覆率(すなわち高密度)のSAMを有することから、該膜の特性(例えば、SAM形成材料の分子構造から期待される特性)をより適切に発揮するものであり得る。例えば、SAM形成材料の種類(特にテール基の種類)に応じて適切な撥水性を示す膜(撥水膜)、親水性を示す膜(親水膜)または潤滑性を示す膜(潤滑膜)等であり得る。このような特性を示すSAMを有する本発明の膜材料は、他の観点として、撥水性膜材料(例えば、接触角150℃以上の超撥水性を示す膜材料)、親水性膜材料、潤滑性膜材料等として把握され得る。
また、上記SAMは基材を高密度に被覆しているので、該基材の保護性能(保護膜としての性能)に優れる。例えば、該SAMによって基材に良好な防汚性、耐水性(耐吸水性、耐吸湿性等を含む概念である。)、耐薬品性(耐腐食性を含む概念である。)等を付与することができる。
このように高密度のSAMは、該SAM自身により、あるいは該SAMを位置決め等に利用して、高精細なパターンを形成するのに適している。したがって、上記膜材料は、各種パターンを作製するための膜材料(レジスト材料)として好適に利用され得る。このようなパターンの形成には、例えば、リソグラフィ(フォトリソグラフィ等)技術等の、従来公知の各種パタニング技術を適宜利用することができる。好ましい一つの態様では、基材表面にSAMを有する膜材料を用意し、該SAMの所定部分に光を照射する。照射する光としては、例えば、紫外光、真空紫外光(典型的には、波長200nm以下の真空紫外光)等を好ましく使用することができる。その光照射部分のSAMを除去および/または変質(テール基の分解、官能基の除去または他の官能基への変換、新たな官能基の導入等を含む概念である。)ことにより、基材上に所定のパターンで形成されたSAMを有する膜材料を得ることができる。上記SAMが高密度であることは、より高解像度のリソグラフィを実現する(より高精細なパターンを形成する)という観点から有利である。
所定のパターンで形成されたSAMを有する膜材料は、該SAMパターン上に選択的に他の材料を付与する用途、上記SAMパターンを除いた部分に(上記SAMパターンとは反転する形態で)選択的に他の材料を付与する用途等の、種々の用途に好ましく利用することができる。例えば、金属に対して高い親和性を示すSAMが所定のパターンで形成されている膜材料に金属めっきを施すことにより、該SAMパターン上に選択的に金属めっき層を形成することができる。また、例えば、撥水性を示すSAMが所定のパターンで形成されている膜材料をはんだ蒸気に曝すことにより、該SAMパターンを除いた部分に選択的にはんだを付着させてはんだ層を形成することができる。
ここに開示される膜材料の一つの好適例では、該SAMパターン上に選択的に金属めっき層が形成されている。かかる構成の膜材料は、例えば、金属に対して高い親和性を示すSAM(例えば、チオール(−SH)基を有するSAM)が所定のパターンで形成されている膜材料を用い、該膜材料に無電解めっき法を適用して任意の金属をめっきすることによって作製され得る。上記無電解めっき法は、上記金属に対して高い親和性を示すSAMパターンを有する膜材料に感受性化処理(sensitization)を行うことを含み得る。例えば、該膜材料を塩化第一スズ溶液に浸漬する等の手法により、還元剤として作用し得る金属(例えば二価のスズイオン)をSAMパターン上に優先的に(好ましくは選択的に)付着させる。上記無電解めっき法は、また、上記金属に対して高い親和性を示すSAMパターンを有する膜材料に活性化処理(activation)を行うことを含み得る。例えば、該膜材料を塩化パラジウム溶液に浸漬することにより、無電解めっき法において触媒として作用し得る金属(例えばパラジウム)をSAMパターン上に優先的に(好ましくは選択的に)付着させる。活性化処理のみを行ってもよく、感受性化処理に続いて活性化処理を行ってもよい。その他、無電解めっき法に使用する具体的な材料および操作方法、めっき条件等については、従来公知の無電解めっき法と同様の材料、方法および条件を適宜採用することができるので、詳細な説明は省略する。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
<SAMの作製方法>
以下の実施例1〜5では、次の手順(1)〜(6)に従って、n型の低抵抗(0.01〜0.02Ωcm)シリコン基板の(111)面にSAMを形成した。
<SAMの作製方法>
以下の実施例1〜5では、次の手順(1)〜(6)に従って、n型の低抵抗(0.01〜0.02Ωcm)シリコン基板の(111)面にSAMを形成した。
(1)上記シリコン基板に対し、アセトンで10分間の超音波洗浄を行い、次いでエタノールで10分間、さらに超純水で10分間の超音波洗浄を行った(図9に示すステップS102)。
(2)その基板をpiranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)で洗浄して基板表面に付着しているコンタミネーションを除去した(同ステップS104)。
(3)基板の表面を高度に平坦化するため、上記シリコン基板を濃度40質量%のNH4F水溶液で処理することによって該基板の表面を水素終端化した(図9には表れていないが、通常は、ステップS104の後であってステップS106の前に該水素終端化処理を行うとよい。)。
(4)水素終端化された基板の表面に、大気圧の室温下において、エキシマランプ(ウシオ電気株式会社製、型式「UER20−172V」、波長λ=172nm、照射エネルギー密度10mWcm-2)から生じる真空紫外線光(VUV)を60分間照射した(同ステップS106)。ランプから基板までの距離は約10mmとした。かかるVUV照射によって、シリコン基板の(111)面に、後述するSAM形成材料を用いてSAMを形成するのに適した官能基(主としてシラノール基)を導入した。
(5)上記(4)のVUV照射を経た基板をテフロン(登録商標)製の反応容器(容積65mL)に収容して電気炉に導入し、150℃で10分間加熱した。これにより反応容器および基板表面の吸着水を除去した(同ステップS108)。
(6)上記(5)の加熱処理を経たシリコン基板および反応容器を所定の湿度(雰囲気ガス湿度)に維持されたグローブボックスに移した。そのグローブボックス内で、ガラスカップに入れたSAM形成材料とともに、上記シリコン基板を上記反応容器に封入した。すなわち、基板とSAM形成材料とを反応容器に収容して該容器を密閉(シール)した。その密閉した反応容器を所定の雰囲気温度の電気炉内に3時間保持した。これによりSAM形成材料をシリコン基板の表面に化学蒸着し、該基板の表面にSAMを形成した。
(2)その基板をpiranha溶液(98%硫酸と30%過酸化水素水とを3:1の体積比で混合したもの)で洗浄して基板表面に付着しているコンタミネーションを除去した(同ステップS104)。
(3)基板の表面を高度に平坦化するため、上記シリコン基板を濃度40質量%のNH4F水溶液で処理することによって該基板の表面を水素終端化した(図9には表れていないが、通常は、ステップS104の後であってステップS106の前に該水素終端化処理を行うとよい。)。
(4)水素終端化された基板の表面に、大気圧の室温下において、エキシマランプ(ウシオ電気株式会社製、型式「UER20−172V」、波長λ=172nm、照射エネルギー密度10mWcm-2)から生じる真空紫外線光(VUV)を60分間照射した(同ステップS106)。ランプから基板までの距離は約10mmとした。かかるVUV照射によって、シリコン基板の(111)面に、後述するSAM形成材料を用いてSAMを形成するのに適した官能基(主としてシラノール基)を導入した。
(5)上記(4)のVUV照射を経た基板をテフロン(登録商標)製の反応容器(容積65mL)に収容して電気炉に導入し、150℃で10分間加熱した。これにより反応容器および基板表面の吸着水を除去した(同ステップS108)。
(6)上記(5)の加熱処理を経たシリコン基板および反応容器を所定の湿度(雰囲気ガス湿度)に維持されたグローブボックスに移した。そのグローブボックス内で、ガラスカップに入れたSAM形成材料とともに、上記シリコン基板を上記反応容器に封入した。すなわち、基板とSAM形成材料とを反応容器に収容して該容器を密閉(シール)した。その密閉した反応容器を所定の雰囲気温度の電気炉内に3時間保持した。これによりSAM形成材料をシリコン基板の表面に化学蒸着し、該基板の表面にSAMを形成した。
<接触角の測定方法>
以下の実施例に示すSAMの接触角は、25℃の雰囲気下で蒸留水の静的接触角を液滴法(液滴直径約2mm)により測定して得られた値である。この接触角測定には、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置(型式「CA−X150」)を使用した。
以下の実施例に示すSAMの接触角は、25℃の雰囲気下で蒸留水の静的接触角を液滴法(液滴直径約2mm)により測定して得られた値である。この接触角測定には、協和界面科学株式会社製の接触角測定装置(型式「CA−X150」)を使用した。
<被覆率の測定方法>
以下の実施例に示すSAMの被覆率は、上述した式(i)で表されるCassie-Baxterの関係式を用いて算出した。また、水滴接触角の測定には、KRUSS社製の自動接触角・表面張力計、型式「DSA10−Mk2」を使用した。
以下の実施例に示すSAMの被覆率は、上述した式(i)で表されるCassie-Baxterの関係式を用いて算出した。また、水滴接触角の測定には、KRUSS社製の自動接触角・表面張力計、型式「DSA10−Mk2」を使用した。
<実施例1:ODSを用いたSAMの作製(基板温度の検討)>
本実施例では、SAM形成材料として、CH3(CH2)17Si(OCH3)3で表されるn−オクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、以下「ODS」と略記する。)を使用した。
[サンプル1] 上記手順(6)において、上記手順(5)で150℃に加熱された基板および反応容器を引き続き同温度に保持しつつ、基板とSAM形成材料とを反応容器に封入した。そして、基板および反応容器を同温度(ここでは150℃)に保持したまま、雰囲気温度150℃の電気炉に導入した。このようにして、ODSに由来するSAMが表面に形成されたシリコン基板(サンプル1)を得た。
本実施例では、SAM形成材料として、CH3(CH2)17Si(OCH3)3で表されるn−オクタデシルトリメトキシシラン(東京化成工業株式会社製、以下「ODS」と略記する。)を使用した。
[サンプル1] 上記手順(6)において、上記手順(5)で150℃に加熱された基板および反応容器を引き続き同温度に保持しつつ、基板とSAM形成材料とを反応容器に封入した。そして、基板および反応容器を同温度(ここでは150℃)に保持したまま、雰囲気温度150℃の電気炉に導入した。このようにして、ODSに由来するSAMが表面に形成されたシリコン基板(サンプル1)を得た。
[サンプル2] 上記手順(6)において、上記手順(5)で150℃に加熱された基板および反応容器を80℃に保持しつつ、基板とSAM形成材料とを反応容器に封入した。そして、基板および反応容器を引き続き同温度(ここでは80℃)に保持しつつ、反応容器を150℃の電気炉に導入した。このようにして、ODSに由来するSAMが表面に形成されたシリコン基板(サンプル2)を得た。
[サンプル3] 上記手順(6)において基板および反応容器の温度を特に制御しなかった。したがって、封入操作時における基板および反応容器の温度はグローブボックスの温度(室温)とほぼ同じとなっていた。この点以外はサンプル1と同様にして、ODSに由来するSAMが表面に形成されたシリコン基板(サンプル3)を得た。
[サンプル4] サンプル3と同様に、上記手順(6)において特に基板および反応容器の温度を制御しなかった。ただし、電気炉の出力を調節することにより、該電気炉に導入された基板がサンプル3よりも速やかに雰囲気温度(ここでは150℃)に到達するようにした。この点以外はサンプル3と同様にして、ODSに由来するSAMが表面に形成されたシリコン基板(サンプル4)を得た。
これらサンプル1〜4の作製においてSAM形成材料(ここではODS)が化学蒸着される過程におけるシリコン基板の温度プロファイルを図1に示す。
なお、上記サンプル1〜4のいずれにおいても、上記封入操作を行う際、グローブボックス内は、乾燥窒素(N2)に少量の空気を混入した雰囲気とした。その雰囲気ガス(すなわちN2と少量の空気との混合ガス)の湿度は、25℃における相対湿度に換算して10〜15%の湿度となるように制御した。本実施例では、乾燥窒素への空気混入量を調節することによって雰囲気ガスの湿度を上記範囲に制御した。
なお、上記サンプル1〜4のいずれにおいても、上記封入操作を行う際、グローブボックス内は、乾燥窒素(N2)に少量の空気を混入した雰囲気とした。その雰囲気ガス(すなわちN2と少量の空気との混合ガス)の湿度は、25℃における相対湿度に換算して10〜15%の湿度となるように制御した。本実施例では、乾燥窒素への空気混入量を調節することによって雰囲気ガスの湿度を上記範囲に制御した。
このようにして得られた各SAMの静的接触角を上記方法により測定した。その結果を表1に示す。なお、ODSに由来して形成されたSAMの接触角は理論上110°程度だといわれている。実際、ODSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は通常110°程度である。
サンプル1〜3の比較から判るように、蒸着開始時における基板温度を室温よりも雰囲気温度に近づけることにより、予想される接触角に近い接触角(具体的には、予想される接触角との差が±1°以下のSAM)を示すSAMが得られた。なお、サンプル3とサンプル4との比較から判るように、蒸着開始時からの温度勾配を急にすることによっても、予想される接触角との差異を低減する効果がみられた。
また、各サンプルについて上記方法により測定(算出)した被覆率の値は、表1に示す接触角の値と同様に、サンプル3、サンプル4、サンプル2、サンプル1の順に上昇していた。なかでもサンプル1およびサンプル2のSAMは90%を超える高い被覆率を示し、特にサンプル1では96%という優れた被覆率が実現されていた。
また、各サンプルについて上記方法により測定(算出)した被覆率の値は、表1に示す接触角の値と同様に、サンプル3、サンプル4、サンプル2、サンプル1の順に上昇していた。なかでもサンプル1およびサンプル2のSAMは90%を超える高い被覆率を示し、特にサンプル1では96%という優れた被覆率が実現されていた。
<実施例2:ODSを用いたSAMの作製(湿度および温度の検討)>
上記手順(6)において、グローブボックス内の湿度(雰囲気ガス湿度)が表2に示す値(25℃における相対湿度で表している。以下同じ。)となるように制御した。各雰囲気ガス湿度下で反応容器に基板およびODSを封入して密閉し、それらを表2に示す各雰囲気温度の電気炉内に3時間保持してSAMを形成した。なお、手順(6)を行う間、基板および反応容器の温度は、上記サンプル1と同様に150℃に保持した。
上記手順(6)において、グローブボックス内の湿度(雰囲気ガス湿度)が表2に示す値(25℃における相対湿度で表している。以下同じ。)となるように制御した。各雰囲気ガス湿度下で反応容器に基板およびODSを封入して密閉し、それらを表2に示す各雰囲気温度の電気炉内に3時間保持してSAMを形成した。なお、手順(6)を行う間、基板および反応容器の温度は、上記サンプル1と同様に150℃に保持した。
このようにして得られた各SAMの静的接触角を上記方法により測定した。その結果を表2および図2に示す。ここで、表中の記号「A」は、本実施例により得られたODS−SAMの接触角と、予想される接触角(ODSについては110°)との差が±5°未満であったことを表している。また、記号「B」は該接触角との差が5°以上10°未満であったことを、記号「C」は差が10°以上20°未満であったことを、記号「X」は差が20°以上であったことを表している。
また、同様にして表3に示す各条件でSAMを作製し、それらのSAMの被覆率を上記方法により測定(算出)した。その結果を表3に示した。表中、被覆率を示す値の単位は%である。
<実施例3:HFDTSを用いたSAMの作製(湿度および温度の検討)>
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3で示されるヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、以下「HFDTS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表4に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。すなわち、上記手順(6)において、上記手順(5)で150℃に加熱された基板および反応容器を引き続き同温度(すなわち150℃)に保持しつつ、基板とSAM形成材料とを反応容器に封入した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表4および図3に示した。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、HFDTSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常123°程度である。
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、CF3(CF2)7(CH2)2Si(OCH3)3で示されるヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製、以下「HFDTS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表4に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。すなわち、上記手順(6)において、上記手順(5)で150℃に加熱された基板および反応容器を引き続き同温度(すなわち150℃)に保持しつつ、基板とSAM形成材料とを反応容器に封入した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表4および図3に示した。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、HFDTSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常123°程度である。
また、同様にして表5に示す各条件でSAMを作製し、それらのSAMの被覆率を上記方法により測定(算出)した。その結果を表5に示した。表中、被覆率を示す値の単位は%である。
<実施例4:AHPSを用いたSAMの作製(湿度および温度の検討)>
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、p−NH2C6H4Si(OCH3)3で表されるp−アミノフェニルトリメトキシシラン(以下「AHPS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表6に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表6および図4に示す。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、AHPSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常60°程度である。
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、p−NH2C6H4Si(OCH3)3で表されるp−アミノフェニルトリメトキシシラン(以下「AHPS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表6に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表6および図4に示す。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、AHPSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常60°程度である。
<実施例5:CMPSを用いたSAMの作製(湿度および温度の検討)>
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、p−CH2ClC6H4Si(OCH3)3で表されるp−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン(以下「CMPS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表7に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表7および図5に示す。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、CMPSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常60°程度である。
本実施例では、実施例2で用いたODSに代わるSAM形成材料として、p−CH2ClC6H4Si(OCH3)3で表されるp−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン(以下「CMPS」と略記する。)を使用した。その他の点については実施例2と同様にして、表7に示す各雰囲気ガス湿度および各雰囲気温度の下でSAMを作製した。それらのSAMの接触角を上記方法により測定した結果を表7および図5に示す。ここで、表中の記号「A」、「B」、「C」および「X」の意味は表2と同様である。また、CMPSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常60°程度である。
<実施例6:フォトリソグラフィによるパターンの作製>
実施例2で作製したサンプルのうち、シリコン基板上に雰囲気温度200℃、雰囲気ガス湿度25%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約104°、被覆率約88%;以下、この膜材料を「サンプルP1」という。)、雰囲気温度100℃、雰囲気ガス湿度15%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約108°、被覆率約93%;以下、この膜材料を「サンプルP2」という。)、および雰囲気温度150℃、雰囲気ガス湿度20%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約110°、被覆率約95%;以下、この膜材料を「サンプルP3」という。)について、真空紫外光(VUV)の照射によるパタニングを行った。フォトマスクとしては、幅5μm、長さ25μmの長方形状の孔が幅方向および長さ方向に整列して設けられた形状のものを使用した。隣接する孔同士の間隔は、幅方向および長さ方向のいずれについても5μmである。このようにして、ODSの化学蒸着により作製された高密度のSAMがシリコン基板上に所定のパターン(SAMパターン)で形成されている膜材料を得た。
これらの膜材料に形成されているSAMパターンのAFM(Atomic Force Microscopy、原子間力顕微鏡)による形状像を図6に示す。図6(A)はサンプルP1から得られたSAMパターン、図6(B)は同条件でサンプルP2から得られたSAMパターン、図6(C)は同条件でサンプルP3から得られたSAMパターンの形状像である。これらの像から判るように、サンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さ(例えば、解像度、パターン外縁の明瞭性、形状精度)がより高くなる傾向がみられた。この結果は、これらのSAMをレジスト膜として用いた場合、高解像度のリソグラフィを実現する性能がP1,P2,P3の順に向上することを示している。
実施例2で作製したサンプルのうち、シリコン基板上に雰囲気温度200℃、雰囲気ガス湿度25%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約104°、被覆率約88%;以下、この膜材料を「サンプルP1」という。)、雰囲気温度100℃、雰囲気ガス湿度15%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約108°、被覆率約93%;以下、この膜材料を「サンプルP2」という。)、および雰囲気温度150℃、雰囲気ガス湿度20%の条件で作製されたSAMを有するもの(接触角約110°、被覆率約95%;以下、この膜材料を「サンプルP3」という。)について、真空紫外光(VUV)の照射によるパタニングを行った。フォトマスクとしては、幅5μm、長さ25μmの長方形状の孔が幅方向および長さ方向に整列して設けられた形状のものを使用した。隣接する孔同士の間隔は、幅方向および長さ方向のいずれについても5μmである。このようにして、ODSの化学蒸着により作製された高密度のSAMがシリコン基板上に所定のパターン(SAMパターン)で形成されている膜材料を得た。
これらの膜材料に形成されているSAMパターンのAFM(Atomic Force Microscopy、原子間力顕微鏡)による形状像を図6に示す。図6(A)はサンプルP1から得られたSAMパターン、図6(B)は同条件でサンプルP2から得られたSAMパターン、図6(C)は同条件でサンプルP3から得られたSAMパターンの形状像である。これらの像から判るように、サンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さ(例えば、解像度、パターン外縁の明瞭性、形状精度)がより高くなる傾向がみられた。この結果は、これらのSAMをレジスト膜として用いた場合、高解像度のリソグラフィを実現する性能がP1,P2,P3の順に向上することを示している。
なお、ここに開示される方法により得られたSAMの真空紫外光によるフォトリソグラフィは、例えば、凡そ10〜105Pa(より好ましくは凡そ10〜103Pa)の雰囲気圧力で実施することができる。真空紫外光の照射時間は、例えば凡そ10〜60分の範囲とすることができ、通常は凡そ30〜60分の範囲とすることが好ましい。本実施例では、雰囲気圧力10Paにおいて、エキシマランプ(ウシオ電気株式会社製、型式「UER20−172V」、波長λ=172nm、照射エネルギー密度10mWcm-2)から生じる真空紫外線光を20分間照射することによりSAMのパタニングを行った。
<実施例7:AFMプローブによるパターンの作製>
上記膜材料サンプルP1,P2およびP3について、AFMプローブを用いて直線状パターンを作製した。AFMプローブとしては、NANOWORLD社製の商品名「SSS−NCHR−10」を使用した。プローブの先端とSAM表面との距離は凡そ0.5〜2nmとなるように制御した。これにより、ODSの化学蒸着により作製された高密度のSAMがシリコン基板上に所定のパターン(SAMパターン)で形成されている膜材料を得た。
これらの膜材料に形成されているSAMパターンのAFM(Atomic Force Microscopy、原子間力顕微鏡)による形状像を図7に示す。図7(A)はサンプルP1から得られたSAMパターン(線幅45〜50nm)、図7(B)は同条件でサンプルP2から得られたSAMパターン(線幅35〜40nm)、図7(C)は同条件でサンプルP3から得られたSAMパターン(線幅20〜25nm)の形状像である。これらの像から判るように、サンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さ(例えば、解像度、パターン外縁の明瞭性)がより高くなる傾向がみられた。この結果は、これらのSAMをレジスト膜として用いた場合、高解像度のリソグラフィを実現する性能がP1,P2,P3の順に向上することを示している。
上記膜材料サンプルP1,P2およびP3について、AFMプローブを用いて直線状パターンを作製した。AFMプローブとしては、NANOWORLD社製の商品名「SSS−NCHR−10」を使用した。プローブの先端とSAM表面との距離は凡そ0.5〜2nmとなるように制御した。これにより、ODSの化学蒸着により作製された高密度のSAMがシリコン基板上に所定のパターン(SAMパターン)で形成されている膜材料を得た。
これらの膜材料に形成されているSAMパターンのAFM(Atomic Force Microscopy、原子間力顕微鏡)による形状像を図7に示す。図7(A)はサンプルP1から得られたSAMパターン(線幅45〜50nm)、図7(B)は同条件でサンプルP2から得られたSAMパターン(線幅35〜40nm)、図7(C)は同条件でサンプルP3から得られたSAMパターン(線幅20〜25nm)の形状像である。これらの像から判るように、サンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さ(例えば、解像度、パターン外縁の明瞭性)がより高くなる傾向がみられた。この結果は、これらのSAMをレジスト膜として用いた場合、高解像度のリソグラフィを実現する性能がP1,P2,P3の順に向上することを示している。
なお、ここに開示される方法により得られたSAMのAFMによるフォトリソグラフィは、例えば、凡そ20〜30℃(より好ましくは凡そ25〜28℃)の温度で実施することが好ましい。該リソグラフィを行う際の湿度は、25℃における相対湿度として凡そ35〜60%の範囲とすることが好ましく、凡そ40〜55%の範囲とすることがより好ましい。リソグフラフィの際の印加電圧は凡そ7〜10Vの範囲とすることが好ましく、凡そ7〜8.5Vの範囲とすることがより好ましい。本実施例では、湿度40〜45%、温度25℃、印加電圧8Vの条件でSAMのパタニングを行った。
また、上記サンプルP1,P2,P3について、AFMプローブとしてNANOSENSORS社製の商品名「SSR−NCHR−10」を使用しプローブの先端とSAM表面との距離が凡そ5〜10nmとなるように制御し、SAMのパタニングを湿度35〜40%、温度23℃、印加電圧7Vの条件で行い、それ以外は上記と同様の操作によりSAMパターンを作製したところ、同様にサンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さがより高くなる傾向がみられることが確認された。
また、上記サンプルP1,P2,P3について、AFMプローブとしてNANOSENSORS社製の商品名「SSR−NCHR−10」を使用しプローブの先端とSAM表面との距離が凡そ5〜10nmとなるように制御し、SAMのパタニングを湿度35〜40%、温度23℃、印加電圧7Vの条件で行い、それ以外は上記と同様の操作によりSAMパターンを作製したところ、同様にサンプルP1,P2,P3の順にパターンの精密さがより高くなる傾向がみられることが確認された。
<実施例8:シリコン基板上にSAMを有する膜材料の作製>
本実施例では、SAM形成材料として、HSCH2CH2CH2Si(OCH3)3で示される3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(以下「MPS」と略記する。)を使用した。以下、図面を参照しつつ、本実施例に係る膜材料の製造方法を説明する。
図10(1)に示すように、実施例1〜5と同様に上記手順(1)〜(3)の前処理を施したシリコン基板200を用意し、該シリコン基板200の被処理面202(SAMを形成しようとする表面、ここでは(111)面)にVUVを照射した。このVUV照射は、上記手順(4)に用いたものと同じエキシマランプを用いて30分間行った。ランプから基板までの距離は約10mmとした。かかるVUV照射によって、図10(2)に示すように、シリコン基板200の被処理面(表面)202に、SAMを形成するのに適した官能基(主としてシラノール基)を導入した。
本実施例では、SAM形成材料として、HSCH2CH2CH2Si(OCH3)3で示される3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(以下「MPS」と略記する。)を使用した。以下、図面を参照しつつ、本実施例に係る膜材料の製造方法を説明する。
図10(1)に示すように、実施例1〜5と同様に上記手順(1)〜(3)の前処理を施したシリコン基板200を用意し、該シリコン基板200の被処理面202(SAMを形成しようとする表面、ここでは(111)面)にVUVを照射した。このVUV照射は、上記手順(4)に用いたものと同じエキシマランプを用いて30分間行った。ランプから基板までの距離は約10mmとした。かかるVUV照射によって、図10(2)に示すように、シリコン基板200の被処理面(表面)202に、SAMを形成するのに適した官能基(主としてシラノール基)を導入した。
このシリコン基板をテフロン(登録商標)製の反応容器(容積65mL)に収容して電気炉に導入し、150℃で10分間加熱した。これにより反応容器および基板表面の吸着水を除去した。これらシリコン基板および反応容器を、雰囲気ガス湿度15%(25℃における相対湿度)に調整したグローブボックスに移した。そのグローブボックス内で、図11に示すように、ガラス瓶212に入れたSAM形成材料(ここではMPS)214とともに、シリコン基板200を反応容器210に封入した。すなわち、基板200とSAM形成材料214とを反応容器210に収容して該容器を密閉(シール)した。上記封入操作は、シリコン基板200および反応容器210の温度を引き続き上記温度(すなわち150℃)に保持しつつ行った。その密閉した反応容器210を雰囲気温度150℃に調節された電気炉220に3時間保持することにより、SAM形成材料214をシリコン基板200の表面202に化学蒸着した。
このようにして、図10(3)に示されるように、MPSに由来するSAM(MPS−SAM)204がシリコン基板200の表面202に形成された膜材料2を得た。上記MPS−SAMの静的接触角を上記方法により測定したところ、約67°であった。また、このMPS−SAMの被覆率を上記方法により測定したところ、約88%であった。なお、MPSを用いて一般的な液相法によりほぼ理想的に形成されたSAMの接触角(すなわち、予想される接触角)は、通常72°程度である。
次いで、図12(1)に示すように、膜材料2のSAM形成面に、幅50μm、長さ200μmの長方形状の孔が幅方向および長さ方向に整列して設けられた形状のフォトマスク222を介してVUVを照射した。より具体的には、実施例6でパタニングに使用したものと同じエキシマランプを使用して、雰囲気圧力10Paにおいて、波長λ=172nmのVUVを10分間照射した。これにより、図12(2)に示すように、VUVが照射された部分ではMPS−SAM204が分解されて表面202が露出した。このようにして、シリコン基板200上にMPS−SAM204が所定のパターンで形成された膜材料(すなわちシリコン基板上にMPS−SAMのマイクロパターンが形成された膜材料、換言すればMPS−SAM/SiO2マイクロパターンを有する膜材料)3を得た。
さらに、この膜材料3に対し、後述する銅めっき層を形成するための活性化処理(activation)を行った。具体的には、膜材料3を塩化パラジウム溶液の酸性溶液(pH5)中に25℃で1分間浸漬することにより、膜材料3にパラジウム(Pd)を付着させた。ここで、MPSはテール基の末端にチオール基(−SH)を有する。このチオール基が金属(例えば、金、銀、銅、鉄、白金、パラジウムおよびそれらを含む合金等)との高い親和性を示すことを利用して、上記パラジウムの付着をMPS−SAM上で優先的に(典型的には、MPS−SAM上で選択的に)進行させることができる。引き続いて、上記パラジウムを付着させた膜材料を市販の無電解銅めっき用めっき液(ここでは、日本高純度化学株式会社製品、グレード名「C−200LT」を使用した。)に、25℃で10秒間浸漬した。このようにして、図12(3)に示すように、パタニングされたMPS−SAM204上に銅めっき層(銅めっき膜)208が選択的に形成された膜材料4を得た。
上記手法により得られた膜材料3の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、使用したフォトマスク222の形態によく対応した形態のMPS−SAM204が形成されていることが確認された。そのSAM204の外縁(エッジ)は良好な明瞭性を有していた。
また、膜材料4の表面をSEMにより観察したところ、パタニングされたMPS−SAM204上に、そのパターン204の形態によく対応した形態の銅めっき層208が形成されていることが確認された。銅めっき層208の外縁は良好な明瞭性を有していた。
また、膜材料4の表面をSEMにより観察したところ、パタニングされたMPS−SAM204上に、そのパターン204の形態によく対応した形態の銅めっき層208が形成されていることが確認された。銅めっき層208の外縁は良好な明瞭性を有していた。
<実施例9:エポキシ基板上にSAMを有する膜材料の作製>
市販のプリント配線板用エポキシ基板を用意し(筒中プラスチック工業株式会社製品、商品名「EPG100」を使用した。)、これにアセトンで10分間の超音波洗浄を行い、次いでエタノールで10分間、さらに超純水で10分間の超音波洗浄を行った(図13に示すステップS132)。
次いで、上記エポキシ基板の表面に、大気圧の室温下において、上記手順(4)で用いたものと同じエキシマランプによりVUVを30分間照射した(同ステップS136)。ランプから基板までの距離は約3〜5mmとした。
市販のプリント配線板用エポキシ基板を用意し(筒中プラスチック工業株式会社製品、商品名「EPG100」を使用した。)、これにアセトンで10分間の超音波洗浄を行い、次いでエタノールで10分間、さらに超純水で10分間の超音波洗浄を行った(図13に示すステップS132)。
次いで、上記エポキシ基板の表面に、大気圧の室温下において、上記手順(4)で用いたものと同じエキシマランプによりVUVを30分間照射した(同ステップS136)。ランプから基板までの距離は約3〜5mmとした。
かかるVUV照射を経たエポキシ基板をテフロン(登録商標)製の反応容器(容積65mL)に収容して電気炉に導入し、150℃で10分間加熱して吸着水を除去した。これらエポキシ基板および反応容器を、雰囲気ガス湿度15%(25℃における相対湿度)に調整したグローブボックスに移した。そのグローブボックス内で、上記エポキシ基板とSAM形成材料としてのMPSとを反応容器に封入した。この封入操作は、エポキシ基板および反応容器の温度を引き続き上記温度(すなわち150℃)に保持しつつ行った。その反応容器を雰囲気温度150℃に調節された電気炉に3時間保持することにより、エポキシ基板の表面にMPSを化学蒸着して該表面にSAMを形成(成膜)した(図13に示すステップS140)。
このようにして、MPSに由来するSAM(MPS−SAM)がエポキシ基板の表面に形成された膜材料を得た。上記MPS−SAMの静的接触角は約68°であり、被覆率は約89%であった。
このようにして、MPSに由来するSAM(MPS−SAM)がエポキシ基板の表面に形成された膜材料を得た。上記MPS−SAMの静的接触角は約68°であり、被覆率は約89%であった。
次いで、上記で得られた膜材料のSAM形成面に、幅50μm、長さ200μmの長方形状の孔が幅方向および長さ方向に整列して設けられた形状のフォトマスクを介してVUVを照射した。より具体的には、実施例6でパタニングに使用したものと同じエキシマランプを使用して、雰囲気圧力10Paにおいて、波長λ=172nmのVUVを10分間照射した。これにより、VUVが照射された部分のMPS−SAMを分解して基板表面を露出させた。このようにして、エポキシ基板上にMPS−SAMが所定のパターンで形成された膜材料(すなわち、エポキシ基板上にMPS−SAMのマイクロパターンが形成された膜材料)を得た(図13に示すステップS142)。
上記で得られたSAMパターン付膜材料に対し、実施例8と同様の活性化処理(activation)を行った。引き続いて、上記パラジウムを付着させた膜材料を実施例8で用いたものと同じ無電解銅めっき用めっき液に25℃で10秒間浸漬した。このようにして、MPS−SAMパターン上に選択的に銅めっき層(すなわち銅パターン)が形成された膜材料を得た(図13に示すステップS144)。
このようにして得られた膜材料の表面をSEMにより観察した。その表面の一部のSEM像を図14に示す。また、該材料の表面を40倍の光学顕微鏡により観察して得られた像を図15に示す。図14および図15中の薄い畦状部分がめっき層形成部分であり、その他のいくつかの相互に分離した濃い部分が非めっき部分を示している。これらの図に示されるように、本実施例により得られた膜材料では、エポキシ基板の表面に、使用したフォトマスクの形態によく対応した形態の銅めっき層が形成されていた。その銅めっき層(銅パターン)の外縁は良好な明瞭性を有していた。このことは、該銅めっき層の形成に先立って形成されたMPS−SAMのパターン形状もまた使用したフォトマスクの形態によく対応し且つ該パターンの外縁が明瞭であること、換言すれば、ステップS140により形成されたMPS−SAMがレジスト材料として優れた特性を有することを裏付けるものである。
本発明の範囲を特に限定するものではないが、本発明の作製方法を採用することによって品質のよいSAMが得られる理由は以下のように推察される。すなわち、気相法によるSAM作製において、SAM形成材料が基材に化学蒸着される際、SAM形成材料(原料分子)は基本的に基材表面のランダムな位置に到達する。その原料分子は基材表面を滑るように移動し、他の部分に比べてエネルギー的に有利な位置を見つけてそこに安定して吸着(典型的には化学結合)する。したがって、よく組織化された(高密度の)SAMが形成されるためには、基材表面に到達した原料分子がエネルギー的に有利な位置を見つけるため該基材表面を容易に動き回り得ること、および、原料分子がエネルギー的に十分に有利な位置を見つけるまでの間に原料分子の位置が定まってしまわないこと(原料分子が基材および/または先に吸着した原料分子とが化学結合するまでの時間を稼ぐこと)が共に要求される。ここに開示される作製方法において、蒸着開始時における基材の表面温度を室温よりも高めておくこと(好ましくは50℃以上とすること)および雰囲気温度を一定値以上とすること(少なくとも60℃以上とすること)は、主として前者の要因に寄与し得るものと考えられる。また、雰囲気ガスの湿度を制御する(例えば、25℃における湿度が5〜30%のガスを用いる)ことは、主として後者の要因に寄与し得るものと考えられる。そして、これらの条件をいずれも満たすように化学蒸着を行うことによって、上述のように高品質のSAMが形成されたものと推察される。
なお、SAMの形成対象となる基材(被処理基材)としては、上記例のようなシリコンまたはエポキシ樹脂を主構成材料とする基板以外に、例えば、紙類、金属、その他の材料からなる基材を採用してもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
Claims (5)
- 基材に自己組織化単分子膜形成材料を気相から化学蒸着することによって該基材上に自己組織化単分子膜を作製する方法であって:
前記化学蒸着に使用される反応容器を乾燥させる工程;
その乾燥済の反応容器内の湿度を、該反応容器内の雰囲気ガスの25℃における相対湿度が5〜30%となるように制御する工程;および、
該反応容器内に自己組織化単分子膜形成材料を含むガスを導入し、その導入された自己組織化単分子膜形成材料を前記基材に気相から化学蒸着する工程;
を含み、
ここで、前記化学蒸着を、以下の条件:
前記雰囲気ガスの相対湿度を5〜30%に制御する;
該反応容器内の雰囲気温度を100〜200℃に制御する;および、
蒸着を開始する時点において前記基材の表面温度が50℃以上である;
をいずれも満たすように行う、自己組織化単分子膜の作製方法。 - 前記膜形成材料として、少なくとも一つのアルコキシ基を有するアルコキシシランを用いる、請求項1に記載の方法。
- 前記基材として:
基材の表面を水素終端化すること;および、
酸素を構成原子として含む官能基を前記水素終端化された基材表面に導入すること;
を含む前処理が施された基材を使用する、請求項1又は2に記載の方法。 - 前記酸素を含む官能基の導入は、前記水素終端化された基材表面に、酸素分子を含む雰囲気下で真空紫外光を照射することにより行われる、請求項3に記載の方法。
- 前記基材はシリコン基板である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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