JP4057735B2 - アクリル系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリル系ブロック共重合体の製造方法に関する。より詳細には、本発明は、アクリル酸1級アルキルエステルから構成される少なくとも1個の重合体ブロック(A)およびメタクリル酸メチルから構成される少なくとも1個の重合体ブロック(B)を有するアクリル系ブロック共重合体を高いブロック化効率を発揮するアニオン重合法により、安全に且つ円滑に製造することのできる工業的に有利な方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
メタクリル酸エステル系重合体ブロックおよびアクリル酸エステル系重合体ブロックを有するブロック共重合体は、熱可塑性で溶融可能であり、成形性および取り扱い性に優れている。さらに、該ブロック共重合体は柔軟で、弾性を有し、力学的特性や透明性等にも優れているため、いわゆる熱可塑性エラストマーの1種として近年注目され、種々の分野での利用が試みられている。
【0003】
メタクリル酸エステル系重合体ブロックおよびアクリル酸エステル系重合体ブロックを有するブロック共重合体を得るためのアニオン重合法に関しては、以下の(1)および(2)の報告がなされている。
(1)有機リチウム化合物を重合開始剤とし、リチウム2−(2−メトキシエトキシ)エトキサイドを添加剤として用いて、アクリル酸エステルとメタクリル酸メチルとを、トルエンとテトラヒドロフランとの混合溶媒中、−78℃等の低温条件下で溶液重合させて、アクリル酸エステル重合体ブロックとメタクリル酸メチル重合体ブロックを有するブロック共重合体を製造する方法(Macromolecules第27巻、第4890〜4895頁、1994年;Macromolecules第27巻、第4908〜4913頁、1994年;Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry第35巻、第361〜369頁、1997年等参照。)
(2)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、メチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウムを添加剤として用いて、アクリル酸t−ブチルとメタクリル酸エチルとの混合物をトルエン中−60℃の温度条件下で12時間溶液重合させて、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定において幅広い2峰性の分子量分布曲線を示す重合体を製造する方法[高分子学会予稿集(Polymer Preprints, Japan)第46巻、第7号、第1081〜1082頁(1997年)参照]。ただし、ここでは、この重合方法による場合はブロック化の効率が低いために、得られた重合体はアクリル酸t−ブチル単独重合体からなる成分およびアクリル酸t−ブチル−メタクリル酸エチルジブロック共重合体からなる成分から構成される混合物であり、しかも該ジブロック共重合体からなる成分は分子量分布およびアクリル酸t−ブチル単位とメタクリル酸エチル単位との組成割合が広範囲にわたるものであると推定している。
【0004】
一方、アクリル酸エステル重合体ブロックを含むブロック共重合体の製造法に関するものではないが、メタクリル酸エステルのアニオン重合法に関して、以下の(3)〜(6)の報告がなされている。
(3)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、トリアルキルアルミニウムを添加剤として用いてメタクリル酸メチルをトルエン中で溶液重合させて、シンジオタクチシチーが80%以上のポリメタクリル酸メチルを製造する方法[Makromol.Chem.,Supplement第15巻、第167〜185頁(1989年)]。
(4)t−ブチルリチウムを重合開始剤とし、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの存在下に、メタクリル酸メチルをトルエン中で溶液重合させて、シンジオタクチシチーが70%程度のポリメタクリル酸メチルを製造する方法[Macromolecules第25巻、第5907〜5913頁(1992年)参照]。
【0005】
(5)t−ブチルリチウム等の有機アルカリ金属化合物を開始剤として、1個以上の嵩高な基を有する特定の有機アルミニウム化合物(例:トリイソブチルアルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム等)を添加剤として使用して、メタクリル酸エステルを−20℃〜+60℃の範囲内の温度で重合させて、分子量分布の狭いメタクリル酸エステル重合体を製造する方法(特開平5−5009号公報参照)。この公報には、この重合方法がブロック共重合体の製造にも応用可能であることが記載されている。さらに、この公報には、嵩高な基を有する有機アルミニウム化合物の存在下におけるメタクリル酸エステルのアニオン重合法をアクリル系の水素原子を有する単量体に適用した場合には、重合反応が抑制されることも記載されている。
(6)メチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジ−t−ブチルフェノキシ)アルミニウム等のリガンドを有機リチウム化合物開始剤と0℃以上の温度で混合した後、メタクリル酸メチルと接触させてアニオン重合を行うことによって、シンジオタクチックトリアド含有率が70%以上のポリメタクリル酸メチルを製造する方法(特開平7−330819号公報参照)。この公報には、この重合方法が、メタクリル酸メチルから構成される重合体ブロックと、他のメタクリル系単量体、芳香族ビニル系単量体、ジエンおよびマレイミドの中から選択される単量体から構成される重合体ブロックとを有するブロック共重合体の製造に応用可能であることが記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記(1)のブロック共重合体の製造方法においては、重合反応をトルエンとテトラヒドロフランとの混合溶媒中で行っており、溶媒量のテトラヒドロフランはブロック化効率を高める作用を有する。しかしながら、テトラヒドロフランは、その吸水性や過酸化物の混入等のため工業的に高純度で使用または回収精製することが容易ではない。このように、上記(1)の方法は、取り扱い面において大量使用に不向きな溶媒が必要であるため、工業化への適用は困難である。
上記(2)のジブロック共重合体の製造方法では、重合におけるリビング性が低い、すなわち成長種のアニオン末端の寿命が短いため、ブロック化効率が低く、分子量分布の狭いブロック共重合体を高純度で工業的に有利に製造するのは事実上困難である。
【0007】
上記(3)〜(6)の従来技術では、これらの技術で採用している有機アルカリ金属化合物と有機アルミニウム化合物とからなる開始剤系の存在下でのメタクリル酸エステルのアニオン重合による場合は、該有機アルミニウム化合物の添加効果により例えば成長種が有するアニオンのメタクリル酸エステル単量体のエステル基への副反応を抑制することができるため、分子量分布の狭いメタクリル酸エステル重合体が得られるとしている。
本発明者らが上記(3)〜(6)に示されているメタクリル酸エステルのアニオン重合法のいくつかについて、メタクリル酸エステル系重合体ブロックおよびアクリル酸エステル系重合体ブロック(特にアクリル酸1級アルキルエステル系重合体ブロック)を有するブロック共重合体の製造への転用をあえて試みた結果、好結果を得ることができず、アクリル酸エステルから構成される重合体ブロックの形成(特にアクリル酸1級アルキルエステルから構成される重合体ブロックの形成)は大きな困難性を伴うことが判明した。その理由としては、たとえメタクリル酸エステルのアニオン重合が定量的に進行し活性アニオン末端を有するメタクリル酸エステル重合体が形成されたとしても、次にその系にアクリル酸エステルが添加されると、アクリル酸エステル単量体のエステル基への副反応、アクリル酸エステル単量体およびアクリル酸エステル重合体部分のα位のプロトンの引き抜き、アクリル酸エステル重合体部分のエステル基への攻撃等の副反応が生じて、該活性アニオン末端におけるアクリル酸エステルのブロック化効率が極めて低くなることが考えられる。
【0008】
したがって、本発明の課題は、アクリル酸エステルと、それとは異なる他の化学構造を有するアクリル系またはメタクリル系の単量体(例:メタクリル酸エステル等)とを用いて、アニオン重合法により、取り扱い性に問題のある溶媒を使用しない場合においても、高いブロック化効率でブロック共重合させて、対応するブロック共重合体を安全に且つ円滑に製造することのできる工業的に有利な方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成すべく本発明者らが種々検討を重ねてきた結果、有機リチウム化合物とともに特定の有機アルミニウム化合物を用いてアニオン重合開始剤系を構成した場合には、取り扱い性に問題のある溶媒を使用しない場合においても、高いブロック化効率で所定のアクリル系ブロック共重合体を安全に且つ円滑に効率よく製造することができること、その際にアクリル酸エステルとしてアクリル酸1級アルキルエステルを使用するとこの効果が特に顕著であることを見出し、それらの知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルを、有機リチウム化合物、並びにイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムおよびトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物の存在下に重合することを特徴とする、アクリル酸1級アルキルエステルより構成される少なくとも1個の重合体ブロック(A)およびメタクリル酸メチルより構成される少なくとも1個の重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体の製造方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明では、有機リチウム化合物と、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムおよびトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物[以下、「有機アルミニウム化合物(I)」ということがある]の存在下に、アクリル酸1級アルキルエステルと、メタクリル酸メチルをブロック共重合することが必要である。
【0012】
本発明で使用する有機リチウム化合物は、一般に重合開始剤として働く。本発明では、有機リチウム化合物の種類は特に制限されず、アクリル酸エステル等のアニオン重合性単量体の重合に際して従来からアニオン重合開始剤として用いられている有機リチウム化合物であれば使用可能である。
本発明で使用し得る有機リチウム化合物の代表例については、1官能性のアニオン重合開始剤として、1級アルキルエステルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム等のアルキルリチウム類;フルオレニルリチウム、α−メチルスチレンオリゴマーに基づくモノアニオンのリチウム塩等のアリールリチウム類;1,1−ジフェニルヘキシルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム等のアラルキルリチウム類;トリメチルシロキシリチウム;リチウムエチルイソブチレート等が挙げられ、2官能性のアニオン重合開始剤としては、テトラα−メチルスチレンジリチウム、1,3−ビス(リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンセン、1,3−ビス(リチオフェニル−3−メチルペンチル)ベンセン等の有機ジリチウム化合物等を挙げることができる。
これら有機リチウム化合物は1種のみを使用しても、または2種以上を用いてもよい。前記した有機リチウム化合物のうちでも、一般に、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、リチウムエチルイソブチレート、1,3−ビス(リチオ−1,3−ジメチルペンチル)ベンセン、1,3−ビス(リチオフェニル−3−メチルペンチル)ベンセン等が重合開始能力の点から好ましく使用される。
【0013】
本発明で使用する有機アルミニウム化合物(I)は、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムおよびトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムの3種類の有機アルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物である。
一般式:AlR 1 R 2 R 3 で表される有機アルミニウム化合物において、R1が炭素数1または2のアルキル基(メチル基またはエチル基)である場合或いは炭素数1または2のアルコキシ基(メトキシ基またはエトキシ基)である場合には、ブロック化効率が低くなり、所定の高純度のブロック共重合体を工業的に有利に製造することが困難となる(但し、前記式中R 2 およびR 3 はそれぞれ独立して置換基を有してもよいアリールオキシ基を示すかまたはR 2 とR 3 が結合して置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基を示す)。
本発明で用いる有機アルミニウム化合物(I)の製法は特に限定されない。
【0014】
本発明に従うアニオン重合における有機リチウム化合物の使用量は必ずしも限定されるものではないが、有機リチウム化合物を、アクリル酸1級アルキルエステル、メタクリル酸メチル等の使用する全単量体の合計100モルに対して0.01〜10モルの範囲内となる割合で用いることが、目的とするブロック共重合体を円滑に製造できる点から好ましい。
【0015】
有機リチウム化合物と有機アルミニウム化合物(I)の使用割合については、重合方法の種類、溶液重合を行う場合は重合溶媒の種類、その他種々の重合条件等に応じて適宜好適な割合を選択して採用することができるが、一般には有機アルミニウム化合物(I)を、有機リチウム化合物1モルに対して1.0モル以上となるような割合で用いることが好ましく、2.0モル以上となるような割合で用いることがより好ましい。重合反応の点からは有機アルミニウム化合物(I)の使用量に上限はないが、製造コスト、ブロック共重合体中に含まれる有機アルミニウム化合物残渣の除去等の点から、有機アルミニウム化合物(I)の使用量は、有機リチウム化合物1モルに対して500モル以下にとどめることが好ましく、100モル以下にとどめることがより好ましい。
【0016】
ブロック共重合体における重合体ブロック(A)を形成するアクリル酸1級アルキルエステルの具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
本発明に従う重合反応においては、重合体ブロック(A)をアクリル酸1級アルキルエステルから形成するために、ブロック化効率等の効果が特に顕著に発揮される。
ブロック共重合体の製造に用いるアクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルは、不活性気流下等で予め十分に乾燥処理しておくことが重合反応を円滑に進行させる点から好ましい。乾燥処理に当たっては、水素化カルシウム、モレキュラーシーブス、活性アルミナ等の脱水・乾燥剤が好ましく用いられる。
【0017】
ブロック共重合体の製造に当たり、重合系へのアクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルの供給は、下記の(i)〜(iii)のいずれかの方法により行うことができる。
(i)アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルを任意の順序で逐次的に供給して重合を行うことによって、目的とするブロック共重合体を製造する方法。
(ii)アクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルを同時に供給して重合を行うことによって、目的とするブロック共重合体を製造する方法。
(iii)アクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルの逐次的供給による重合と同時供給による重合を併用することによって、目的とするブロック共重合体を製造する方法。
以下に、説明を簡略化するために、1官能性の重合開始剤を使用した場合について上記の方法(i)〜(iii)を詳細に説明する。しかしながら、重合系への単量体の供給方法は以下の方法に限定されるものではなく、例えば2官能性の重合開始剤を使用する場合は、下記の方法に準じて重合系へのアクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルの供給を行うことができる。
【0018】
上記の方法(i)について詳細に説明する。
上記(i)の方法は、(1)アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルのうちのいずれか一方の単量体を重合系に供給して第1段階の重合を行うことにより、その単量体よりなる重合体(主鎖の片末端に活性アニオンを有するリビングポリマー)を製造する工程、および(2)次いで他方の単量体を重合系に供給することによって、前記で得られたリビングポリマーの活性アニオン末端に該他方の単量体を連結・重合(第2段階の重合)させて、アクリル酸1級アルキルエステルよりなる1個の重合体ブロック(A)(以下、これを「ブロックA」ということがある)とメタクリル酸メチルよりなる1個の重合体ブロック(B)(以下、これを「ブロックB」ということがある)を有するブロック共重合体を製造する工程を含む方法である。
この(i)の方法による場合は、重合系にアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルを任意の順序で交互に供給すると共にその供給回数(重合段階数)を選択することによって、ブロックAとブロックBが交互に結合した種々のブロック数のブロック共重合体を製造することができる。
【0019】
例えば、重合系にまずメタクリル酸メチルを供給してそのリビングポリマーを生成させ、次にアクリル酸1級アルキルエステルを供給して該リビングポリマーの活性アニオン末端に連結重合させることによって、ブロックB−ブロックAのジブロック共重合体を製造することができる。また、重合系へのアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルの供給順序を逆にして、最初にアクリル酸1級アルキルエステルを供給して重合を行い、続いてメタクリル酸メチルを供給して重合を行っても、ブロックA−ブロックBからなるジブロック共重合体を製造することができる。
【0020】
さらに、例えば、重合系にまずメタクリル酸メチルを供給してそのリビングポリマーを形成させ、次にアクリル酸1級アルキルエステルを供給して該リビングポリマーの活性アニオン末端に連結・重合させてブロックB−ブロックAのジブロック共重合体(ブロックA側に活性アニオン末端を有するリビングポリマー)を形成させ、更にメタクリル酸メチルを供給して前記ジブロック共重合体の活性アニオン末端に該メタクリル酸メチルを連結・重合させて、ブロックB−ブロックA−ブロックBのトリブロック共重合体を製造することができる。前記のトリブロック共重合体の製造において、重合系へのアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルの供給順序を逆にすると、ブロックA−ブロックB−ブロックAのトリブロック共重合体を製造できる。
また、この(i)の方法において、重合系へのアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルの逐次(交互)供給回数を4以上として、4段階以上の重合工程を逐次的に行うことによって、ブロックA−ブロックB−ブロックA−ブロックBのテトラブロック共重合体、ブロックAとブロックBとが合計で5個以上交互に結合したペンタブロック以上のブロック共重合体をも製造することができる。
【0021】
上記(ii)の方法について詳細に説明する。
上記(ii)の方法は、アクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルとの重合速度の差を利用する方法である。例えば、一般的に、アクリル酸エステルの重合速度の方がメタクリル酸エステルの重合速度よりも高く、そのためメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルを同時に重合系に供給しても、最初の段階では、主としてアクリル酸1級アルキルエステルの重合が起こり、主としてアクリル酸1級アルキルエステルからなる重合体(主鎖の片末端に活性アニオンを有するリビングポリマー)が形成される。そして、重合系中におけるアクリル酸1級アルキルエステルの濃度が低下するに伴って、形成された重合体の活性アニオン末端に対するメタクリル酸メチルの連結・重合が促進されるようになり、結果的には、主としてアクリル酸1級アルキルエステルからなる重合体ブロック(ブロックA)と主としてメタクリル酸メチルからなる重合体ブロック(ブロックB)を有するブロック共重合体が製造される。なお、この(ii)の方法を行うに当たっては、メタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルを予め混合しておいて重合系に同時に供給しても、または混合せずに別々に同時に供給してもよい。
【0022】
この(ii)の方法において、メタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルの重合系への同時供給を1段階だけ行った場合には、1個のブロックAと1個のブロックBが結合したジブロック共重合体(ブロックA−ブロックB)が形成される。また、この(ii)の方法において、第1回目のメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルの同時供給による重合がほぼ終了した時点(ブロックA−ブロックBのジブロック共重合体が生成した時点)で、さらに第2回目のメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルの同時供給を行って重合を行うと、ブロックA−ブロックB−ブロックA−ブロックBのテトラブロック共重合体を製造することができる。そして、この(ii)の方法においてメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルの同時供給による重合を3回以上行うことによって、ブロックAとブロックBが合計で6個以上交互に結合したヘキサブロック以上のブロック共重合体を得ることができる。
【0023】
上記(iii)の方法について詳細に説明する。
上記(iii)の方法は、上記した(i)の方法と(ii)の方法を併用するものであり、この(iii)の方法を採用することによって、ブロックAとブロックBが合計で3個以上結合したマルチブロック共重合体を製造することができる。この(iii)の方法を行うに当たっては、上記(i)の方法と上記(ii)の方法の適用順序および適用回数は、目的とするブロック共重合体の化学構造に応じて適宜決めることができる。
【0024】
何ら限定されるものではないが、この(iii)の方法の具体例としては、以下の(iii)−1〜(iii)−4のいずれかの方法を挙げることができる。
(iii)−1:重合系に最初にメタクリル酸メチルを供給してそのリビングポリマーを形成させ、そこにメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルを同時に供給することによって、該リビングポリマーの活性アニオン末端に重合速度の速いアクリル酸1級アルキルエステルを主として連結・重合させてブロックB−ブロックAのジブロック共重合体(ブロックA側に活性アニオン末端を有するリビングポリマー)を生成させ、引き続きメタクリル酸メチルエステルを連結・重合させて最終的にブロックB−ブロックA−ブロックBのトリブロック共重合体を製造する方法。
【0025】
(iii)−2:重合系にメタクリル酸メチルおよびアクリル酸1級アルキルエステルを逐次的に任意の回数で供給して、活性アニオン末端を有する重合体ブロックがメタクリル酸メチル重合体ブロック(ブロックB)である、式:ブロックB−ブロックA−(ブロックB−ブロックA)m−ブロックB*(式中、mは0または1以上の整数、*は活性アニオン末端を示す)、または式:ブロックA−(ブロックB−ブロックA)n−ブロックB*(式中、nは0または1以上の整数、*は活性アニオン末端を示す)で表されるマルチブロック共重合体を生成させ、そこにメタクリル酸メチルとアクリル酸1級アルキルエステルを同時に供給することによって、ブロックBの前記した活性アニオン末端(*)に対する重合速度の速いアクリル酸1級アルキルエステルを主とする連結・重合と、それに引く続くメタクリル酸メチルを主とする連結・重合を行わせて、式:ブロックB−ブロックA−(ブロックB−ブロックA)m−ブロックB−ブロックA−ブロックB(式中、mは0または1以上の整数を示す)、または式:ブロックA−(ブロックB−ブロックA)n−ブロックB−ブロックA−ブロックB(式中、nは0または1以上の整数を示す)で表されるマルチブロック共重合体を製造する方法。
【0026】
(iii)−3:重合系にメタクリル酸メチルおよびアクリル酸1級アルキルエステルを同時に供給することによって、重合速度の速いアクリル酸1級アルキルエステルを最初に主として重合させて活性アニオン末端を有するアクリル酸1級アルキルエステル重合体を生成させ、引き続きその活性アニオン末端にメタクリル酸メチルを主として連結・重合させてブロックA−ブロックBのジブロック共重合体(ブロックB側の末端に活性アニオンを有するリビングポリマー)を製造し、そこにアクリル酸1級アルキルエステルを供給して該ブロックBの活性アニオン末端に連結・重合させて、ブロックA−ブロックB−ブロックAのトリブロック共重合体を製造する方法。
【0027】
(iii)−4:重合系にメタクリル酸メチルおよびアクリル酸1級アルキルエステルを同時に供給することによって、重合速度の速いアクリル酸1級アルキルエステルを最初に主として重合させて活性アニオン末端を有するアクリル酸1級アルキルエステル重合体を生成させ、引き続きその活性アニオン末端にメタクリル酸メチルを主として連結・重合させてブロックA−ブロックBのジブロック共重合体(ブロックB側に活性アニオン末端を有するリビングポリマー)を製造し、そこにアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルをこの順序で任意回数繰り返して供給することによって逐次的に重合を行わせ、式:ブロックA−ブロックB−ブロックA−ブロックB−(ブロックA−ブロックB)p−ブロックA(式中、pは0または1以上の整数を示す)、または式:ブロックA−ブロックB−ブロックA−(ブロックB−ブロックA)q−ブロックB(式中、qは0または1以上の整数を示す)で表されるマルチブロック共重合体を製造する方法。
【0028】
上記した(i)〜(iii)の方法のうちでも、上記(i)の方法、すなわちアクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルを任意の順序で逐次的に且つ交互に重合系に供給して、ブロックAとブロックBをこの順序または逆の順序で交互に形成させながらブロック共重合体を製造する方法を採用する場合は、所定の重合度(分子量)に調整されたブロックAと所定の重合度(分子量)に調整されたブロックBが所定の数で交互に結合したブロック共重合体を確実に製造することができる。
【0029】
本発明に従う重合反応は、有機溶媒を用いなくても行うことが可能であるが、重合温度の制御、重合系内の条件の均一化等が可能であって重合を円滑に進行させ得る点から、有機溶媒中で行うことが好ましい。その際、薬品取り扱い時の安全性が比較的高く、廃水への混入が生じにくく、溶媒の回収精製が容易であることなどの点から、炭化水素系溶媒および/またはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく用いられる。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒等を使用することができ、これらの有機溶媒は単独で用いても、または2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、炭化水素系溶媒がより好ましく用いられる。なお、重合に使用する有機溶媒は、予め脱気および脱水処理して精製しておくことが好ましい。
【0030】
有機溶媒の使用量は、ブロック共重合体の製造に当たって採用する重合方法の種類[例えば上記した(i)〜(iii)のいずれの方法によって行うのかなど]、目的とするブロック共重合体の種類(ブロック数や重合度等)、有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、有機溶媒の種類等に応じて適宜調整し得るが、重合の円滑な進行、生成したブロック共重合体の分離取得のし易さ、廃液処理負担等の点から、一般的には有機溶媒を、ブロック共重合体の製造に用いる全単量体100重量部に対して、200〜3000重量部の割合で用いることが好ましく、300〜2000重量部の割合で用いることがより好ましい。
【0031】
重合系への有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物(I)および、アクリル酸1級アルキルエステル、メタクリル酸メチルの添加方法は特に制限されず、採用する具体的な重合方法の内容[例えば上記した(i)〜(iii)のいずれの方法によって行うのか]、目的とするブロック共重合体の種類(ブロック数等)等に応じて適宜好適な方法を採用することができる。例えば、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物(I)については、それぞれをそのまま重合系に添加してもよく、また、一方または両方を有機溶媒または単量体中に溶解させた状態で重合系に添加してもよい。単量体については、そのまま重合系に供給してもよく、また有機溶媒に予め溶解させた状態で重合系に供給してもよい。工業的規模で重合反応を行うのであれば、重合系の温度制御が容易となる点において、単量体をそれ自体またはそれを含有する溶液の形で重合反応系に供給しながら所定の重合反応を行うことが好ましい場合がある。なお、この際、単量体の供給は連続的であっても、断続的であってもよい。
【0032】
重合開始時における有機リチウム化合物、有機アルミニウム化合物(I)および単量体(アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチル)の接触順序については、一般的には、有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物(I)と接触させ、次いで単量体と接触させることによって重合を開始させるか、または、有機リチウム化合物を有機アルミニウム化合物(I)の一部と接触させ、次いで、単量体と有機アルミニウム化合物(I)の残部からなる混合物と接触させることによって重合を開始させることが好ましい。これらの順序を採用すると、有機アルミニウム化合物(I)の作用により単量体中の失活成分を不活性化することができ、さらに、単量体と有機アルミニウム化合物(I)とが錯体を形成することによってブロック化効率を一層向上させることが可能となる。
【0033】
本発明に従う重合反応においては、必要に応じ、公知技術に準じて重合系に他の添加剤を添加することも可能である。他の添加剤としては、例えば、塩化リチウム等の無機塩類;リチウム2−(2−メトキシエトキシ)エトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド化合物;テトラエチルアンモニウムクロリド、テトラエチルホスホニウムブロミド等の有機四級塩等が挙げられる。
また、本発明に従う重合反応は、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスの雰囲気下で行うことが好ましい。さらに、反応系が均一になるように十分な攪拌条件下に重合を行うことが好ましい。
【0034】
本発明に従う重合反応における重合温度は、使用する有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、有機溶媒の種類、重合させるべき単量体の種類、重合工程の内容等に応じて適宜好適な条件を選んで採用することができる。各重合体ブロックおよびブロック共重合体全体における分子量(重合度)の揃ったブロック共重合体を、高い収率で工業的に有利に製造できる点から、一般的には−100℃〜+100℃の範囲内の温度であることが好ましく、−80℃〜+60℃の範囲内の温度であることがより好ましい。ただし、反応の段階に応じて反応温度を制御することがより好ましい。次に反応の段階に応じた温度条件について説明する。
重合開始時以降における重合体ブロック(A)の形成段階(すなわち、アクリル酸1級アルキルエステルからなる生長末端に対するアクリル酸1級アルキルエステルの付加段階)では、該重合体鎖におけるアクリル酸1級アルキルエステルからなる末端アニオンの活性の高さおよび重合速度の高さの両面を考慮すると、−100℃〜+40℃の範囲内の温度で重合することが好ましく、−80℃〜+20℃の範囲内の温度で重合することがより好ましい。
【0035】
重合体ブロック(A)を形成させる際のアクリル酸1級アルキルエステルの重合温度を低く設定すると、形成される重合体ブロック(A)の立体規則性が向上する傾向があるため、結晶性の重合体ブロック(A)を有するブロック共重合体(すなわち結晶性を有するブロック共重合体)を製造することが可能になる。
すなわち、アクリル酸1級アルキルエステル重合体ブロックを有するブロック共重合体では、該アクリル酸1級アルキルエステル重合体ブロックが軟質性の発現に寄与するが、該アクリル酸1級アルキルエステル重合体ブロックに結晶性を付与させることにより、ブロック共重合体に優れた耐薬品性や高い破断強度をさらに付与することが可能になる。また、結晶性を有するブロック共重合体はその融点を挟んで物性が大きく異なることから、その結晶化率、結晶化速度や結晶化温度を利用して、所望の熱応答的な機能を持たせることも可能である。
【0036】
結晶性を有するブロック共重合体の製造を目的とする場合は、重合体ブロック(A)を形成させる際のアクリル酸1級アルキルエステルの重合温度を−40℃以下の低温とすることが好ましい。結晶性発現の観点からは重合温度の下限に制限はないが、成長種末端のアニオン活性の高さ、重合速度の高さ、冷却コスト等を考慮すると、−100℃〜−40℃の範囲内の温度を採用することが好ましく、−80℃〜−50℃の範囲内の温度を採用することがより好ましい。このようにアクリル酸1級アルキルエステルの重合を−40℃以下の温度で行った場合、形成される重合体ブロック(A)は通常、35%以上のシンジオタクチックトライアッド(rr)を有する。より高い結晶性を発揮させたいのであれば、重合体ブロック(A)のシンジオタクチシチーは、シンジオタクチックトライアッド(rr)において40%以上であることが好ましい。
【0037】
なお、重合体ブロック(A)のシンジオタクチシチーは、ブロック共重合体を重水素化クロロホルム溶液の形態で13C−NMR測定することにより得られる64.35ppm付近のピーク[シンジオタクチックトライアッド(rr)に帰属される]、64.43ppm付近のピーク[ヘテロタクチックトライアッド(rm)に帰属される]および64.56ppm付近のピーク[アイソタクチックトライアッド(mm)に帰属される]の面積の和に対する、該シンジオタクチックトライアッド(rr)に帰属されるピークの面積の割合として表される。
また、ブロック共重合体の結晶性の確認は、DSC(示差走査熱量計)測定、X線回折測定、光学顕微鏡観察等の公知の方法準じて行うことが可能である。例えば、DSC測定による確認方法では、ブロック共重合体を、窒素気流下に、−150℃より+200℃まで10℃/分の速度で昇温した際に吸熱ピーク(結晶の融解に由来するピーク)が観察され、且つ+200℃から−150℃まで10℃/分の速度で降温した際に発熱ピーク(結晶化に由来するピーク)が観察された場合、該ブロック共重合体は結晶性を有するものと判定できる。
【0038】
一方、重合開始時以降における重合体ブロック(B)の形成段階(すなわち、メタクリル酸メチルからなる生長末端に対するメタクリル酸メチルの付加段階)では、メタクリル酸メチルからなる末端アニオンの活性の高さおよび重合速度の高さの両面を考慮すると、−100℃〜+100℃の範囲内の温度で重合することが好ましく、−60℃〜+60℃の範囲内の温度で重合することがより好ましい。
なお、重合体ブロック(A)の形成反応からメタクリル酸メチルの重合反応に切り替える初期段階(例えば、アクリル酸1級アルキルエステルの重合率が100%に近い段階で重合系にメタクリル酸メチルを添加する段階)においては、ブロック化効率が高められる観点から、重合系の温度を40℃以下とすることが好ましく、20℃以下とすることがより好ましい。この観点においては温度の下限について特に制限はないが、温度が低すぎると冷却コスト、重合速度等の点において工業的に不利になるので、−100℃以下の温度としないほうが有利である。
【0039】
各重合工程における反応時間は、その工程で使用する有機溶媒の種類、有機リチウム化合物の種類、有機アルミニウム化合物(I)の種類、重合温度、目的とするブロック共重合体の分子量、有機溶媒中における単量体濃度等の諸条件に応じて適宜好適な時間を採用すればよい。重合時間が短すぎると、未反応の単量体の割合が多くなる。逆に重合時間が必要以上に長すぎると、形成された重合体の末端アニオンが失活し易くなる。この失活の傾向は、アクリル酸1級アルキルエステルから構成された末端アニオンにおいて特に顕著である。以上のことから、一般的には、単量体の転化率が90%以上となり、且つ末端のアニオンをできるだけ失活させないような時間内で各重合工程を終了させることが好ましく、その時間は、多くの場合、数秒間〜100時間の範囲内の中で選択することができる。
【0040】
本発明においては、重合反応により目的とするブロック共重合体が形成された段階で、重合停止剤を反応混合物に添加することによって重合反応を停止させることができる。重合停止剤としては、例えばメタノール、酢酸、塩酸のメタノール溶液等のプロトン性化合物を使用することができる。重合停止剤の使用量は特に限定されるものではないが、一般には、重合開始剤として使用した有機リチウム化合物1モルに対して1〜100モルの範囲内となる割合で用いることが好ましい。
【0041】
本発明において、所定の重合を全て終えた後であって且つ重合停止剤を添加する前の段階で、二官能性以上の多官能性のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルを反応系に添加することにより、いわゆる「スター型」または「マルチアーム型」のブロック共重合体を製造することもできる。また、本発明では、所定の重合を全て終えた後であって且つ重合停止剤を添加する前の段階で、末端官能基付与剤(例えばアルデヒド、ラクトン、二酸化炭素等)または少量の官能基含有アニオン重合性単量体(例えばメタクリル酸グリシジル等)を反応系に添加してもよく、その場合には分子鎖の末端に水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の官能基を有するブロック共重合体を得ることができる。
【0042】
重合停止後の反応混合物から分離取得したブロック共重合体中に有機リチウム化合物や有機アルミニウム化合物(I)に由来する金属成分が残存していると、ブロック共重合体やそれよりなる成形品等の物性の低下、外観不良、着色等を生じる場合があるので、ブロック共重合体の使用目的に応じては、有機リチウム化合物および有機アルミニウム化合物(I)に由来する金属化合物を重合終了後に除去することが好ましい。該金属化合物の除去方法としては、ブロック共重合体を、酸性水溶液を用いた洗浄処理、イオン交換樹脂等の吸着剤を用いた吸着処理等の清浄化処理に付することが有効である。有機アルミニウム化合物(I)は重合停止後でも空気中の水分等と反応し、容易に水酸化アルミニウムに変換されるが、水酸化アルミニウムは酸性水溶液にもアルカリ水溶液にも難溶であるため、一旦生成すると除去が困難になる。したがって、重合終了後はきるだけ速やかにブロック共重合体(反応混合物の形態でもよい)を酸性水溶液を用いて洗浄することが、金属成分の除去効率の高さにおいて好ましい。なお、酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸水溶液、硝酸水溶液、酢酸水溶液、プロピオン酸水溶液、クエン酸水溶液等を使用することができる。
【0043】
重合を停止させた後の反応混合物からブロック共重合体を分離取得するための方法は特に制限されず、公知の方法に準じた任意の方法を採用することができる。例えば、反応混合物をブロック共重合体の貧溶媒に注いで該ブロック共重合体を沈殿させる方法、反応混合物から溶媒を留去してブロック共重合体を取得する方法等が採用可能である。
【0044】
本発明の方法によれば、1個以上の重合体ブロック(A)および1個以上の重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体が得られるが、重合体ブロックの個数、重合体ブロックの配列、各重合体ブロックの分子量および立体規則性、ならびにブロック共重合体全体の分子量については特に限定されない。
ただし、熱可塑性エラストマーとしての特性を特に良好に発揮し得るブロック共重合体を製造する目的においては、該ブロック共重合体に1個以上の重合体ブロック(A)および2個以上の重合体ブロック(B)を有するトリブロック以上のブロック構造を持たせることが好ましい。
耐熱性に優れたブロック共重合体を製造する目的においては、重合体ブロック(B)における立体規則性がトライアッドで70%以上のシンジオタクチシチーとなるようにすることが好ましく、80%以上のシンジオタクチシチーとなるようにすることがより好ましい。この目的においては、(メタ)アクリル系単量体(b)として、主としてメタクリル酸エステルを使用するのが好適である。一方、重合体ブロック(A)の立体規則性については、上記したように、それを形成させるためのアクリル酸エステル(a)の重合温度を選択することによって制御可能であり、トライアッドで35%以上のシンジオタクチシチーとなるようにすることも可能である。
【0045】
本発明の方法では、目的とするブロック共重合体における各重合体ブロックおよびブロック共重合体全体の分子量はその用途等に応じて適宜調節することができるが、一般には、重合体ブロック(A)の数平均分子量が1000〜1000000の範囲内であり、重合体ブロック(B)の数平均分子量が1000〜1000000の範囲内であり、ブロック共重合体全体の数平均分子量が3000〜3000000の範囲内であることが、得られるブロック共重合体の成形性、取り扱い性、力学的特性、他の重合体(例えばアクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂等)との相容性、微分散性、接着性、粘着性等の点から好ましい。
また、本発明の方法で得られるブロック共重合体全体の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)は特に限定されるものではないが、本発明によれば、Mw/Mnの値が1.0〜1.5の範囲内となるような、分子量分布の均一性の高いブロック共重合体を製造することができ、さらにはMw/Mnの値が1.0〜1.3の範囲内となるブロック共重合体を製造することも可能である。
【0046】
本発明の方法で得られるブロック共重合体は、熱可塑性であり、成形加工性および取り扱い性に優れていて、射出成形、押出成形、圧縮成形、注型、ブロー成形、流延成形、真空成形等に代表される、各種の溶融成形、熱成形または熱加工が可能である。しかも、本発明の方法で得られるブロック共重合体は、柔軟で、弾性を有し、力学的特性、透明性、耐薬品性、耐候性、耐熱性、印刷適性、セット性、粘着性、接着性等において優れた特性を発揮させることができる。そのため、本発明によって得られるブロック共重合体は、それらの特性を活かして、各種成形品、クッション材、緩衝材、防振材、防音材、接着剤、粘着剤、樹脂の耐衝撃性等を向上させるための樹脂改質剤、複数の樹脂間の相容性を向上させるための相容化剤等として有効に使用することができる。
なお、本発明の方法で得られるブロック共重合体を各種用途に使用するに際し、該ブロック共重合体に、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、可塑剤、安定化剤、増粘剤、粘着付与樹脂等の樹脂またはオリゴマー、着色剤、顔料、増量剤等を添加してもよい。
【0047】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0048】
《参考例1》[有機アルミニウム化合物(I):イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン34mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリイソブチルアルミニウム6.32mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0049】
《参考例2》[有機アルミニウム化合物(I):トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムの調製]
モレキュラーシーブスで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥塩化メチレン30mlと、2,6−ジフェニルフェノール4.43gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリメチルアルミニウムのへキサン溶液(濃度:1.0mol/l)を6.0ml添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物(I)[トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム]を0.17mol/lの濃度で含有する溶液を調製した。
【0050】
《参考例3》[有機アルミニウム化合物(I):n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン31mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリn−オクチルアルミニウム9.17gを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物(I)[n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0051】
《参考例4》[有機アルミニウム化合物:メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン37mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリメチルアルミニウム2.40mlを添加し、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0052】
《参考例5》[有機アルミニウム化合物:エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムの調製]
ナトリウムで乾燥後アルゴン雰囲気下に蒸留して得た乾燥トルエン36mlと、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール11.02gを、内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積200mlのフラスコ内に添加し、室温で攪拌しながら溶解した。得られた溶液にトリエチルアルミニウム3.42mlを添加して、80℃で約18時間攪拌することによって、対応する有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]を0.5mol/lの濃度で含有するトルエン溶液を調製した。
【0053】
《実施例1》[MMA−nBA(結晶性)ブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−30℃に冷却し、上記参考例1と同様な方法で調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、メタクリル酸メチル(MMA)を2.0ml加えて18時間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCで表す)測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は13000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.03であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で83%であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これに第2番目の単量体としてアクリル酸n−ブチル(nBA)を2.0ml加えることにより、約16時間重合を行った。
【0054】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収した。それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は28000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.10であることが判明した。さらに、前記の白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル:=51.1:48.9(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを51.8:48.2の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。さらにこのジブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、そのアクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で56%であった。
(6)上記(5)で得られたジブロック共重合体のDSC測定の結果、51℃に吸熱ピークを確認した。また、該ジブロック共重合体の光学顕微鏡観察により、球状結晶を確認した。この結晶は約70℃まで昇温することにより融解した。一方、上記(2)で得られたポリメタクリル酸メチルを用いてDSC測定および光学顕微鏡観察を行っても、吸熱ピークや結晶は確認されなかった。これらのことから、得られたジブロック共重合体では、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分が結晶性を有していることが判明した。
【0055】
《実施例2》[MMA−nBA(非晶性)ブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−78℃に冷却し、上記参考例1と同様な方法で調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、メタクリル酸メチルを2.0ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら18時間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は12000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.05であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で84%であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これに第2番目の単量体としてアクリル酸n−ブチルを2.0ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら4時間重合を行った。
【0056】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は25000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であることが判明した。さらに、前記の白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=51.1:48.9(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを51.6:48.4の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。さらにこのジブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、そのアクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で39%であった。
(6)上記(5)で得られたジブロック共重合体については、DSC測定で吸熱ピークが確認されず、また光学顕微鏡観察で結晶生成も確認されなかった。
【0057】
《実施例3》[MMA−nBA(非晶性)ブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−78℃に冷却し、上記参考例2と同様な方法で調製した有機アルミニウム化合物(I)[トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム]の溶液(濃度:0.17mol/l)を11.3ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、メタクリル酸メチルを2ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら18時間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.06であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で87%であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これに第2番目の単量体としてアクリル酸n−ブチルを2.0ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら4時間重合を行った。
【0058】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解させて1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は24000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であることが判明した。さらに、前記の白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=51.1:48.9(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを51.4:48.6の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。さらにこのジブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で38%であった。
(6)上記(5)で得られたジブロック共重合体については、DSC測定で吸熱ピークが確認されず、また光学顕微鏡観察で結晶生成も確認されなかった。
【0059】
《実施例4》[nBA(非晶性)−MMAブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−30℃に冷却し、上記参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、アクリル酸n−ブチル2.0mlを0.1ml/分の滴下速度で20分間を要して加え、さらに5分間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物(ポリアクリル酸n−ブチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は14000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であることが判明した。さらにこのポリアクリル酸n−ブチルを13C−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で34%であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これに第2番目の単量体としてメタクリル酸メチルを2.0ml加えた。この溶液を−78℃で約1時間攪拌した後、−20℃まで昇温し、同温度に保ちながら48時間重合を行った。
【0060】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は27000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.20であることが判明した。さらに、前記の白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=51.1:48.9(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを51.6:48.4の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。
(6)上記(5)で得られたジブロック共重合体については、DSC測定で吸熱ピークが確認されず、また光学顕微鏡観察で結晶生成も確認されなかった。
【0061】
《実施例5》[MMA−nBA(非晶性)−MMAブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン5mlを入れた後、室温(23℃)下に、上記参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。この溶液を−30℃に冷却し、そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、10分後にメタクリル酸メチル1.0mlを徐々に添加しながら重合を開始させ、添加終了後、−30℃に保ちながら8時間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は7000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で82%であることが判明した。
(3)上記(1)の重合終了後直ちに、上記(1)で得られた溶液の残りの部分に対し、−30℃の温度を維持しながら、乾燥トルエン30mlおよびメタクリル酸メチル1.0mlとアクリル酸n−ブチル5.0mlからなる単量体混合液(第2番目の単量体)を加えた。添加後、同温度に保ちながら30分間重合を行った。
【0062】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解させて1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークが確認された。この結果、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明し、さらに、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークの積分比とメタクリル酸メチル重合体に帰属されるピークの積分比から、添加したメタクリル酸メチルの重合率は3%以下であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分について、−30℃でさらに48時間重合反応を継続させた。
【0063】
(6)上記(5)で得られた溶液の一部をサンプリングし、重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークおよびメタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークはいずれも存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率およびメタクリル酸メチルの重合率はいずれも98%以上であることが判明した。
採取した試料をメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物を回収した。回収された白色沈殿物の一部をテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は54000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.29であることが判明した。また、回収された白色沈殿物の残りの部分を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行った。そのアクリル酸エステル(a)、(メタ)アクリル系単量体(b)等の単量体の種類−NMR測定結果と上記のデータに基づき、得られた重合体は、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを30:70の重量比で有する、メタクリル酸メチル重合体ブロック−アクリル酸n−ブチル重合体ブロック−メタクリル酸メチル重合体ブロックよりなるトリブロック共重合体であることが判明した。さらにこのトリブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、そのアクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で33%であった。
【0064】
(7)上記(5)で得られた溶液の残りの部分にメタノール0.02mlを加えることによって重合を停止させた。
得られた溶液に対し、クエン酸を20重量%の濃度で含む水溶液を50mlずつ使用して5回洗浄し、次いで蒸留水を50mlずつ使用して3回洗浄することにより、金属成分(有機リチウム化合物の残渣および有機アルミニウム化合物の残渣)を除去した。残った有機相を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物を回収した。回収した沈殿物は、金属成分を実質的に含まないトリブロック共重合体であった。
(8)上記(7)で得られたトリブロック共重合体については、DSC測定で吸熱ピークが確認されず、また光学顕微鏡観察で結晶生成も確認されなかった。
【0065】
《実施例6》[MMA−nBA(結晶性)−MMAブロック共重合体の製造]
[MMA−nBA(結晶性)−MMAブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン5mlを入れた後、室温(23℃)下に、上記参考例1におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物(I)[イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。この溶液を−30℃に冷却し、そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、10分後にメタクリル酸メチル1mlを徐々に添加しながら重合を開始させ、添加終了後、−30℃に保ちながら6時間重合を行った。
(2)上記の(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は7000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で82%であった。
【0066】
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これにアクリル酸n−ブチル(第2番目の単量体)5.0mlおよび乾燥トルエン15mlを添加した。添加終了後−78℃で30分間攪拌し、次いで−60℃に昇温し、同温度を保ちながら5時間重合を行った。
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
また、採取した試料をメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物を回収した。回収された白色沈殿物の一部をテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は46000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.11であることが判明した。また、回収された白色沈殿物の残りの部分を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=17.3:82.7(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを16.8:83.2の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。さらにこのトリブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、そのアクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で48%であった。
【0067】
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分を上記(3)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これにメタクリル酸メチル(第3番目の単量体)を1.0ml加え、この溶液を−78℃で約30分攪拌した後、−20℃に昇温し、同温度に保ちながら10時間重合を行った。
(6)上記(5)で得られた溶液の一部をサンプリングし、重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。
採取した試料をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、その一部をテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、上記(5)で得られた重合体のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は55000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.12であることが判明した。
さらに、得られた白色沈殿物の残部を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、上記(5)で得られた重合体におけるメタクリル酸メチル重合体ブロック:アクリル酸n−ブチル重合体ブロックの重量比は28.9:71.1であり、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=29.5:70.5(重量比)]とほぼ同一の組成であることが判明した。ここで求められた組成比(28.9:71.1)と上記(4)で求められたジブロック共重合体におけるメタクリル酸メチル重合体ブロック:アクリル酸n−ブチル重合体ブロックの組成比(16.8:83.2)とを照らし合わせた結果、上記(5)で生成した重合体は、メタクリル酸メチル重合体ブロック:アクリル酸n−ブチル重合体ブロック:メタクリル酸メチル重合体ブロックが15:71:14の重量比であるトリブロック共重合体であることが判明した。
【0068】
(7)上記(5)で得られた溶液の残りの部分にメタノール1mlを加えることによって重合を停止させた。
得られた溶液に対し、クエン酸を20重量%の濃度で含む水溶液を50mlずつ使用して5回洗浄し、次いで蒸留水を50mlずつ使用して3回洗浄することにより、金属成分(有機リチウム化合物の残渣および有機アルミニウム化合物の残渣)を除去した。残った有機相を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物を回収した。回収した沈殿物は、金属成分を実質的に含まないトリブロック共重合体であった。
(8)上記(7)で得られたトリブロック共重合体のDSC測定の結果、43℃に吸熱ピークを確認した。また、該トリブロック共重合体の光学顕微鏡観察により、球状結晶を確認した。この結晶は約60℃まで昇温することにより融解した。一方、上記(2)で得られたポリメタクリル酸メチルを用いてDSC測定および光学顕微鏡観察を行っても、吸熱ピークや結晶は確認されなかった。これらのことから、得られたトリブロック共重合体では、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分が結晶性を有していることが判明した。
【0069】
《実施例7》[MMA−nBA(非晶性)ブロック共重合体の製造]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−78℃に冷却し、上記参考例3と同様な方法で調製した有機アルミニウム化合物(I)[n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]の溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、メタクリル酸メチルを2.0ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら18時間重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注いで、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は12000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で85%であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を上記(1)の重合終了後直ちに−78℃まで冷却し、これに第2番目の単量体としてアクリル酸n−ブチルを2.0ml加え、−30℃に昇温し、同温度に保ちながら4時間重合を行った。
【0070】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解させて1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は23000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.07であることが判明した。さらに、前記の白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、得られた重合体は、仕込んだ単量体の組成比[メタクリル酸メチル:アクリル酸n−ブチル=51.1:48.9(重量比)]とほぼ同一の組成である、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを51.0:49.0の重量比で有するジブロック共重合体であることが判明した。さらにこのジブロック共重合体を13C−NMRにより分析したところ、アクリル酸n−ブチル重合体ブロック部分のシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で35%であった。
(6)上記(5)で得られたジブロック共重合体については、DSC測定で吸熱ピークが確認されず、また光学顕微鏡観察で結晶生成も確認されなかった。
【0071】
《比較例1》[ブロック共重合体の製造の試行]
(1)内部雰囲気をアルゴンで置換した内容積120mlのシュレンク管に乾燥トルエン14mlを入れた後、−78℃に冷却し、トリイソブチルアルミニウムのトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)を3.76ml加えた。そこにt−ブチルリチウムのペンタン溶液(濃度:1.6mol/l)を0.12ml加えて攪拌し、メタクリル酸メチルを2.0ml加えることによって48時間重合を行った。
(2)上記(1)で得た溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチルに帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。採取した試料を大量のメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物(ポリメタクリル酸メチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリメタクリル酸メチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11300であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.19であることが判明した。さらにこのポリメタクリル酸メチルを1H−NMRにより分析したところ、そのシンジオタクチシチーはトライアッド(rr)で89%であることが判明した。
(3)上記(1)の重合終了後直ちに、上記(1)で得られた溶液の残りの部分に対し、−78℃の温度を維持しながら、第2番目の単量体としてアクリル酸n−ブチル2.0mlを加えることにより、同温度で24時間重合を行った。
【0072】
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解させて1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル重合体に帰属されるピークは確認できなかった。また1H−NMR測定により得られたアクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークとメタクリル酸メチル重合体に帰属されるピークとの面積比から、アクリル酸n−ブチルは重合していないことが判明した。
採取した試料をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は単峰性のピークを現し、そのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11200であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.18であることが確認された。また、この白色沈殿物を重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMRにより分析したところ、アクリル酸n−ブチル重合体に帰属されるピークは確認できず、得られた重合体はメタクリル酸メチル単独重合体であることが判明した。
上記比較例1の結果から、t−ブチルリチウムとトリイソブチルアルミニウムの存在下に、メタクリル酸メチルとアクリル酸n−ブチルを用いて重合を行った場合には、メタクリル酸メチル重合体ブロックとアクリル酸n−ブチル重合体ブロックを有するブロック共重合体は得られないことが分かる。
【0073】
《比較例2》[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのブロック共重合体の製造の試行]
(1)有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記参考例4におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[メチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更した以外は実施例4の(1)におけると同様にして、アクリル酸n−ブチルの重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチルの重合率は56%であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物(ポリアクリル酸n−ブチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は11000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.46であることが判明した。
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を使用した以外は実施例4の(3)におけると同様にして、メタクリル酸メチル(第2番目の単量体)の重合を行った。
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチルの重合率は3%以下であることが判明した。
【0074】
《参考例6》[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムを使用してのブロック共重合体の製造の試行]
(1)有機アルミニウム化合物のトルエン溶液を上記参考例5におけると同様にして調製した有機アルミニウム化合物[エチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム]のトルエン溶液(濃度:0.5mol/l)(使用量:3.76ml)に変更した以外は実施例4の(1)におけると同様にして、アクリル酸n−ブチルの重合を行った。
(2)上記(1)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、アクリル酸n−ブチル単量体に帰属されるピークは存在せず、アクリル酸n−ブチルの重合率は98%以上であることが判明した。また、採取した試料を大量のメタノール中に注ぎ、析出した沈殿物(ポリアクリル酸n−ブチル)を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られたポリアクリル酸n−ブチルのポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は15000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.34であることが判明した。
【0075】
(3)上記(1)で得られた溶液の残りの部分を使用した以外は実施例4の(3)におけると同様にして、メタクリル酸メチル(第2番目の単量体)の重合を行った。
(4)上記(3)で得られた溶液の一部をサンプリングし、それを重水素化クロロホルムに溶解して1H−NMR測定を行ったところ、メタクリル酸メチル単量体に帰属されるピークは存在せず、メタクリル酸メチルの重合率は98%以上であることが判明した。
(5)上記(3)で得られた溶液の残りの部分をメタノール中に注ぎ、析出した白色沈殿物を回収し、それをテトラヒドロフランに溶解し、その溶液を用いてGPC測定を行ったところ、得られた重合体は、上記(1)で生成したポリアクリル酸n−ブチル成分とブロック共重合体成分とに由来する2峰性のピークを現し、そのブロック共重合体成分のポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は59000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.63であることが判明した。このことより、上記(3)の二段目の重合により形成されたポリメタクリル酸メチルブロックの数平均分子量は44000であると見積もられ、上記(1)で形成されたポリアクリル酸n−ブチルアニオンからの二段目のメタクリル酸メチルの重合開始効率(すなわちブロック化効率)は約32%と算出された。
【0076】
【発明の効果】
本発明により、アクリル酸1級アルキルエステルとメタクリル酸メチルを用いて、アニオン重合法により、取り扱い性に問題のある溶媒を使用しない場合においても、高いブロック化効率で、対応するブロック共重合体を安全に且つ円滑に製造することのできる工業的に有利な方法が提供される。
また、本発明の方法によれば、結晶性のアクリル酸1級アルキルエステル重合体ブロックとメタクリル酸メチル重合体ブロックとを有するブロック共重合体を高純度で製造することも可能である。
Claims (6)
- アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルを、有機リチウム化合物、並びにイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムおよびトリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウムから選ばれる少なくとも1種の有機アルミニウム化合物の存在下に重合することを特徴とする、アクリル酸1級アルキルエステルより構成される少なくとも1個の重合体ブロック(A)およびメタクリル酸メチルより構成される少なくとも1個の重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体の製造方法。
- アクリル酸1級アルキルエステルおよびメタクリル酸メチルの重合反応系への添加順序が逐次的および/または同時である請求項1に記載の製造方法。
- 有機リチウム化合物を前記有機アルミニウム化合物と接触させ、次いでアクリル酸1級アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸メチルと接触させることによって重合を開始させるか、または、有機リチウム化合物を前記有機アルミニウム化合物の一部と接触させ、次いで、アクリル酸1級アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸メチルと前記有機アルミニウム化合物の残部からなる混合物と接触させることによって重合を開始させる請求項1または2に記載の製造方法。
- −80℃〜+60℃の範囲内の温度で重合を行う請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 炭化水素系溶媒および/またはハロゲン化炭化水素系溶媒の中で重合を行う請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
- 重合終了後に、得られたブロック共重合体を酸性水溶液を用いて洗浄することによって、該ブロック共重合体中に含まれる金属成分を除去する請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
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