JP4055121B2 - 粒状ベントナイトの空気除去方法及びベントナイト固状体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、粒状ベントナイトから空気を除去する方法、及びベントナイト固状体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年における最大のテーマは、社会産業の発展における結果としての産業廃棄物や一般廃棄物を埋め立てるための廃棄物処分施設の設置、さらには、原子力発電における高、低レベルの放射性廃棄物に関する数百年以上に及ぶ廃棄物の処置を社会生活に障害を与えることなく如何に処理するかである。
【0003】
産業廃棄物や一般廃棄物を埋め立てるための処分施設では、産業廃棄物が人間の生活環境に影響を与えないようにするために、そこからの漏出汚水が地下に浸透することで環境汚染を引き起こさないように処置することが義務付けられており、地下に埋設するために、図7(a)に示すような貯蔵施設が計画されている。
【0004】
このような施設では、これら廃棄物を格納する躯体として、廃棄物格納用躯体31が計画されており、廃棄物格納用躯体31と周辺地盤32との間に地下水を透過し難い粘土系の充填材33を設置することが考えられている。
【0005】
この粘土系充填材33は、地下水が廃棄物格納用躯体31の内部に侵入するのを大きく遅らせる、或いは廃棄物中の有毒物質が地下水によって漏出することを防止するために、廃棄物格納用躯体31の全周を十分な厚さで取り囲む形態に設置すると同時に、廃棄物格納用躯体31の底部にも粘土系の充填材を敷設することになる。
【0006】
又、原子力分野における低レベルの放射性廃棄物に関しては、これらの低レベル放射性廃棄物が人間の生活環境に影響を与えないようにするために、図7(b)に示すように、低レベルの放射性廃棄物34を放射性廃棄物格納用躯体35に貯蔵して、地下空洞36に埋設する施設が計画されている。
【0007】
このような施設においても、貯蔵した放射性廃棄物を格納する放射性廃棄物格納用躯体35と周辺地盤37との間に地下水を透過しにくい粘土系の充填材38を設置することが考えられている。
【0008】
この粘土系充填材38も、地下水の放射性廃棄物格納用躯体35の内部に侵入するのを大きく遅らせる、或いは放射性廃棄物34の中の有毒物質や放射性核種が浸入してきた地下水中に溶出することで施設外に漏出するのを防止するために、図示のように放射性廃棄物格納用躯体35の全周を十分な厚さで取り囲む形態で設置されると同時に、放射性廃棄物格納用躯体35の底部にも粘土系の充填材38が敷設されることになる。
【0009】
さらに、高レベル放射性廃棄物を人間の生活環境から安全に隔離するためには、高レベル放射性廃棄物を図7(c)に示すように堅固な金属容器に収納するための廃棄体パッケージ39を、地下数百mの以深に掘削された地下坑道40に縦向きに埋設処分する高レベル放射性廃棄物処分施設も計画されており、この処分施設でも、廃棄体パッケージ39と地下坑道40の隙間に粘土系の充填材41を設置することが考えられている。
【0010】
この粘土系充填材41の場合も、地下水の廃棄体パッケージ39ヘの接触を抑制すること、廃棄体パッケージ39から放射性核種が浸入してきた地下水中に溶出することによって施設外へ漏出すること等を抑止するために、図示のように廃棄体パッケージ39の全周を十分な厚さで取り囲む形態に設置され、同時に廃棄体パッケージ39の底部にも粘土系の充填材41が敷設されている。
【0011】
しかして、上記の産業廃棄物或いは放射性廃棄物の処分施設においては、千年や万年単位の長期間に亘って、施設が所要のバリア機能を有していることが重要とされており、廃棄物格納用躯体や廃棄体パッケージ周囲に設置される粘土系充填材には、長期に亘って遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を維持できることが必要とされている。
【0012】
このために、廃棄物格納用躯体31や放射性廃棄物格納用躯体35或いは廃棄体パッケージ39の周辺に充填される粘土系充填材33、38、41としては、ベントナイト粉末或いはベントナイトに砂あるいは砂礫などの骨材を混合したものを、1.3〜2.5Mg/m3程度の密度に締固めた充填材を使うことが考えられている。
【0013】
ベントナイト系充填材は、透水係数が著しく小さいので地下水が廃棄体に接触する量を抑制できるし、拡散現象による放射性核種の漏出も抑制できる。又、廃棄体容器が長期間の腐食によって体積膨張する場合を想定しても、ベントナイト系充填材が力学的な緩衝効果を発揮すると考えられている。
【0014】
しかるに、100%配合のベントナイト系充填材の場合に、現場施工によって乾燥密度1.3Mg/m3以上のベントナイト系充填材を構築することは困難であると言われている。
【0015】
同様に、骨材配合率20%の充填材でも、乾燥密度1.6Mg/m3以上のベントナイト系充填材を構築することも困難であると言われている。
【0016】
以上の実態から、現状では、100%配合のベントナイト系充填材の場合には、現場施工によって乾燥密度1.3Mg/m3以上のベントナイト系充填材を構築することや、骨材配合率20%の充填材では、乾燥密度1.6Mg/m3以上のベントナイト系充填材充填材を構築するためには、事前に機械成型加工によらなければならないとされていた。
【0017】
従って、我が国での高レベル放射性廃棄物は、図8に示すように堅固な金属容器に収納した廃棄体パッケージ39を、地下数百m以上の深さに掘削された地下坑道40の処分孔42に縦向きに埋設処分する処分施設では、廃棄体パッケージ39と処分孔42との隙間43にブロック状に加工された粘土系の充填材41を設置することが考えられている。
【0018】
このために、成形加工されたブロック状の粘土系充填材41を積み重ねて構築する場合には、施工時に生じるブロック間の隙間が水みちとなることの危倶が伴っており、廃棄体パッケージ39と処分孔42との隙間43や内側の廃棄体パッケージ39との間に存在する間隙44に隙間充填材45を設置することが必須になっている。
【0019】
そこで、本発明者等は、廃棄体パッケージ39と処分孔42との隙間43に設置するブロック状に加工された粘土系の充填材41を排除することで、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立すると共に、長期に亘って維持できる充填材を容易に施工できる埋設廃棄物の充填材と製造方法及びその施工方法を、特願2002−9513 号として既に提案している。
本提案による充填材の製造方法50は、図9にその工程を示すように、粉末状のベントナイト51に水52を注入しながら、これを混練53することでベントナイトスラリー54を練成している。
【0020】
次いで、このベントナイトスラリー54に密度の大きな粒状のベントナイト高密度固状体55を追加して混練56することを特徴にしており、これによって、ベントナイトと水を主成分とする複合粘性流体のベントナイト・コンクリート7を練成している。
【0021】
しかして、充填材の施工方法は、このベントナイト・コンクリート57を埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との隙間に流体として満遍無くかつ効率良く打設58できるものであり、通常のセメントコンクリートと同様の施工方法である一般的なポンプ打設法や流し込み打設法を採用することを可能にしている。
【0022】
そして、ベントナイト・コンクリートは、打設後においてベントナイトスラリー部とベントナイト固状体との含水比が均一になってベントナイトと水との組成比が全体的に均質になって、流体であったものが最終的に固化することになる。
【0023】
従って、既提案による埋設廃棄物の充填材は、従来のようにブロック状の充填材部材を積み重ねる構築方法と違って流体として打設できることから、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立して長期に亘って維持できると共に、セメントコンクリートの打設と同程度の施工効率で構築することができるものである。
【0024】
しかして、既提案による埋設廃棄物の充填材は、ベントナイト100%の粒状固状体を用いているが、本ベントナイト固状体は、固状体部に空気を含んでいるのが実態である。
【0025】
即ち、ベントナイト・コンクリート中に、ベントナイト固状体が体積百分率70%を占めていて、その乾燥密度を2.3Mg/m3とした場合には、固状体部中に含まれている空気が、作成されたベントナイト・コンクリート中に体積百分率6%程度存在しており、この場合におけるベントナイト・コンクリートの乾燥密度は、1.58Mg/m3程度になっている。
【0026】
これに対して、空気が全く排除された場合を想定して計算すると、ベントナイトスラリー中に体積比をスラリー:固状体=0.3:0.7の比率で混練するとして、乾燥密度が2.3Mg/m3程度のベントナイト固状体を使った場合にできあがるベントナイト・コンクリートの乾燥密度は、(2.3×0.7+0.13×0.3)÷1=1.65Mg/m3程度であり、湿潤密度は2.04Mg/m3程度(含水比24%)になる。
【0027】
従って、空気を全く排除した、密度約2.3Mg/m3程度であるベントナイト100%の粒状固状体を、ベントナイトスラリー中に体積比、スラリー:固状体=0.3:0.7の比率で混練することによって、空気が残っている場合に比べてより大きな密度のベントナイト・コンクリートを造ることができる。
【0028】
さらに、この材料中のベントナイト固状体は、短時間では水に溶けないので、ベントナイトスラリー中に漂う状態になって、当該材料は全体として流体状に振る舞うことになり、セメントコンクリートにおける粗骨材・細骨材とセメントミルクとの混練状態に類似した状態をいっそう増長するものである。
【0029】
以上のことから、廃棄物充填材を構成している粒状のベントナイト固状体を、そこに含まれている空気がゼロになるように造形することが出来ると、廃棄物充填材に求められる長期に亘っての遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を維持できる特性を、さらに向上させることが可能になる。
【0030】
一方、粘土系充填材は、地下に埋設する廃棄物の周囲に設置するものなので、水で飽和した状態における透水係数、拡散係数、力学特性等の各種特性を測定したいが、粘土系充填材は、透水性が極めて小さく1E−8m/s〜1E−14m/sであることから、粘土系充填材の試験供試体を水で飽和させるためには1ヶ月以上の長期間を要するのが実情であり、各種特性を迅速に測定できる試験供試体の確保が嘱望されていた。
【0031】
しかるに、現状においては、難透水性材料について飽和状態の供試体を作るのに長時間が必要であることから、供試体の圧縮成型段階において水で飽和した高密度のベントナイト固状体を作りたいが、上述したように、廃棄物の周囲に設置して地下水への漏洩を防止するために用いるベントナイト系粘土等の難透水性粘土は、透水係数が1E−8m/s〜1E−14m/sと非常に難透水性を呈しなければならないので、透水試験や力学試験を実施する際には、供試体に高い圧力で水を注入して徐々に水を浸潤させることで飽和状態にする必要がある。
【0032】
さらに、当該材料は、地下100mの坑道に廃棄物を埋設する際の漏出防止材料として使用するものであることから、実際の条件を模擬する必要があり、このために、地下水で飽和した上で透水係数を上記のように小さくした試験用の供試体を作成することになるが、透水係数1E−12m/s程度の材料で厚さ50mm程度の供試体を飽和させるためには、約3ヶ月を要すると言う具合に長時間を要することになる。
【0033】
【表1】
表1は、供試体高さ100mmの供試体を、圧力1〜32atm (10〜320m水頭換算値)で注水した場合について算定した理想的な最短飽和時間の結果であるが、この試算では、飽和浸潤面の上部領域の透水係数を十分大きいものと仮定しているが、実際には不透水領域の媒体についても透水抵抗を見込む必要があり、供試体の実際の透水係数が想定している透水係数1E−13m/sの1/10になると飽和時間が10倍になる可能性もしくは均一に飽和しないことから更に数倍の時間を待つ必要も考えられるものである。
【0034】
以上のように、難透水性粘土は、透水試験や力学試験を実施する際の供試体として、高い圧力で水を注入しながら徐々に浸潤させて飽和状態にする必要があるが、高密度で難透水性を呈しなければならないので、水で飽和したベントナイト固状体を作るにも、空気が含有されることで目標値の遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を長期に亘って維持できる特性を追求することは困難であった。
【0035】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上の状況に鑑みて提案するものであり、ベントナイトに混入させるためのベントナイト固状体を、含有する空気をゼロにした高密度に造形することで施工を容易にすると共に、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立しながら長期に亘って維持できる特性をさらに増強させることや各種特性を迅速に測定できる試験供試体を短時間で容易に確保できる粒状ベントナイトの空気除去方法及びベントナイト固状体の製造方法を提供している。
【0036】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明である粒状ベントナイトの空気除去方法は、粒状ベントナイトから空気を除去する方法であって、一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、粒状ベントナイトを装填したシリンダーの他方端にピストンを嵌入させると共に、真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態に維持する工程と、前記シリンダー内が真空状態の下で前記ピストンの圧入によって前記粒状ベントナイトを圧縮する工程とを含むことを特徴とする。
【0037】
請求項2に記載の発明である粒状ベントナイトの空気除去方法は、粒状ベントナイトから空気を除去する方法であって、炭酸ガスを吹き込むことによって空気を追い出した炭酸ガス封入容器の中において一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、前記シリンダーに粒状ベントナイトを装填した状態で前記炭酸ガス封入容器を撹拌する工程と、前記シリンダーの他方端にピストンを嵌入させ、真空ポンプによって炭酸ガスを吸引すると共に、シリンダーに装填した粒状ベントナイトをプレスする工程とを含むことを特徴とする。
【0038】
請求項3に記載の発明であるベントナイト固状体の製造方法は、ベントナイトスラリーから埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との間に充填される廃棄物充填材を練成する際に適用され、ベントナイトスラリーに追加して混練されるベントナイト固状体を製造する方法であって、一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、粒状ベントナイトを装填したシリンダーの他方端にピストンを嵌入させると共に、真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態に維持する工程と、前記シリンダー内が真空状態の下で前記ピストンの圧入による前記粒状ベントナイトの圧縮によって所定密度のベントナイト固状体を成型する工程とを含むことを特徴とする。
【0039】
請求項4に記載の発明であるベントナイト固状体の製造方法は、ベントナイトスラリーから埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との間に充填される廃棄物充填材を練成する際に適用され、ベントナイトスラリーに追加して混練されるベントナイト固状体を製造する方法であって、炭酸ガスを吹き込むことによって空気を追い出した炭酸ガス封入容器の中において一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、前記シリンダーに粒状ベントナイトを装填した状態で前記炭酸ガス封入容器を撹拌する工程と、前記シリンダーの他方端にピストンを嵌入させ、真空ポンプによって炭酸ガスを吸引すると共に、シリンダーに装填した粒状ベントナイトをプレスすることによって所定密度のベントナイト固状体を成型する工程とを含むことを特徴とする。
【0040】
請求項5に記載のベントナイト固状体の製造方法は、請求項3又は4に記載の製造方法において、ベントナイト固状体が、成型された後にピストンの追加挿入によってシリンダーから取り出されることを特徴とする。
【0046】
【発明の実施の形態】
本発明による廃棄物充填材のベントナイト高密度固状体は、ベントナイト中の水を飽和状態にして含入空気量をほぼゼロに構成するものであり、両端を開放されたシリンダーとシリンダーの両端に嵌入可能なピストン、シリンダーもしくはピストンの少なくとも一方に設ける通気孔及び通気孔に接続された真空ポンプから構成される製造装置を用いながら、シリンダーの一端を封鎖して含水量を調整した粒状ベントナイトを装填し、次いで、他方端にピストンを嵌入させると共に真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態にして粒状ベントナイトに含まれる空気を吸引し、しかる後に、真空状態の下でピストンの圧入による粒状ベントナイトの圧縮によって所定密度のベントナイト高密度固状体を成型することで製造している。
【0047】
これによって製造されたベントナイト高密度固状体は、廃棄物充填材を施工容易にし、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立して長期に亘って維持できる特性を増強させている。
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0048】
図1、2は、本発明によるベントナイト高密度固状体を製造する装置と製造方法の実施の形態を示している。
【0049】
本実施の形態において、ベントナイト高密度固状体の製造装置1は、両端を開放されているシリンダー2とこのシリンダー2の下方端3に配置されている蓋4及びシリンダー2の上方端5から嵌入されるピストン6から構成されている。
【0050】
蓋4には、シリンダー2の中央部に該当する位置に通気孔7を設けており、この通気孔7には、図示されていない真空ポンプが接続されている。尚、蓋4は本実施の形態に限定されるものでなく、上記ピストン6と同様の形状であってシリンダー2の下方端3から嵌入されるピストンでも採用できるものである。
【0051】
又、通気孔7は、図1(a)に見られる本実施の形態のように、蓋4に特定して設けるものでなく、シリンダーに投入される粒状ベントナイトから空気を吸引できる位置であれば、任意の位置に設けられるものであり、ピストン6もしくはシリンダー2のいずれの位置に設置することも可能である。
【0052】
本発明によるベントナイト高密度固状体の製造方法では、シリンダー2に含水量を調節された粒状ベントナイト9を投入した後に、図1(b)に示されるようにピストン6をシリンダー2に嵌入している。
【0053】
しかして、本実施の形態では粒状ベントナイト9の投入に先だって、ポーラス板8が、シリンダー2の下方端3側に配置されている。
【0054】
即ち、本発明では、蓋4で封鎖しているシリンダー2に粒状ベントナイト9を投入した後にピストン6を嵌入してベントナイト固状体中に含まれる空気を吸引するが、ポーラス板8は、この際にベントナイト固状体中の空気が容易に吸引されるように機能している。
【0055】
本実施の形態では、図1(b)のようにシリンダー2に含水量を調節された粒状ベントナイト9を投入してピストン6を嵌入した後に、真空ポンプを稼働させている。
【0056】
これによって、シリンダー2内は真空状態に形成されるので、含水量を調節された粒状ベントナイト9は、真空ポンプの吸引によってその内部に含まれている空気を蓋4の通気孔7から排除されており、粒状ベントナイト9は、含入空気量がほぼゼロの状態に構成されることになる。
【0057】
図2(a)は、ピストン10に別途の通気孔11とその先端に配置されるポーラス板12を設けている他の実施の形態を示しており、粒状ベントナイト9の内部に含まれている空気を図1(b)の実施の形態よりも急速かつ完全に除去することができる。
【0058】
尚、本実施の形態では、ピストン10の外周面にOリング等のシール構造13を装備させており、外側からシリンダー2に空気が侵入するのを防止しているが、このような処置は、他の部位においても必要に応じて適宜に採用できるものである。
【0059】
図2(b)は、外周面にシール構造13を装備しているピストン10を嵌入させた実施の形態で、所定密度のベントナイト高密度固状体を成型する工程を示している。
【0060】
本工程では、シリンダー2の内部を、上記の工程で形成した真空状態に維持したままで実施されるものであり、粒状ベントナイトは、空気ゼロの状態を維持されている。
【0061】
しかして、ピストン10は、所定の圧力14でシリンダー2に圧入されており、シリンダー2にさらに挿入されることで粒状ベントナイトを圧縮して所定の圧縮密度に成形するものであり、所定の含水比を維持されたベントナイト高密度固状体15を製造している。
【0062】
このために、シリンダー2の内面には、ピストン10を所定の圧入位置に停止させるためのストッパー16が設けられており、ピストン10で計量された所定量の粒状ベントナイトをこの位置まで圧縮することで、ベントナイト高密度固状体15を所定の高密度に成形している。
【0063】
即ち、本実施の形態では、ベントナイト高密度固状体15を乾燥密度0.8M/m3の飽和供試体として作成することを目標にしたが、結果として乾燥密度0.78M/m3を確保して目標の約99%に至る飽和度の供試体を作成できている。
【0064】
その後において、ベントナイト高密度固状体15は、シリンダー2から取り出される。この工程は、図2(c)に示すようにシリンダー2から蓋4を取り外すと同時にストッパー16を撤去してから、シリンダー2を支持筒体17に設置してから実施するものであり、ピストン10をシリンダー2にさらに追加挿入させることによって、ベントナイト高密度固状体15をシリンダー2から支持筒体17内に押し出している。
【0065】
又、ベントナイト高密度固状体15の取り出しは、この他にもピストン10を撤去してから、蓋4を取り外すと共にシリンダー2の下方端側から新規のピストンを挿入させてシリンダー2の上方端側からベントナイト高密度固状体15を取り出したり、蓋4に換えてピストンを嵌入する他の実施形態の場合には、ピストンをそのまま挿入させることで、ベントナイト高密度固状体15を取り出すこともできる。
【0066】
そして、本発明によって製造されたベントナイト高密度固状体は、その用途に対応させながら、その大きさを任意に構成できるものであり、仮に試験供試体として提供する場合には、41Φ×40Hの形状に製作することも可能にし、実際の現場に適用する場合には、装置の大型化を図ることで種々の寸法に作製しながら要求性能に対処することができるものである。
【0067】
以上のように、本実施の形態におけるベントナイト高密度固状体は、廃棄物充填材を上記の工程に従って構成することで、廃棄物充填材に求められる遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を長期に亘って維持できる特性を一層増強させると共に各種特性を迅速に測定するために求められる殆ど充分な試験供試体を短時間で容易に確保しながら確実に提供できるものである。
【0068】
しかして、本発明によるベントナイト高密度固状体の製造装置と製造方法は、目標の約100%に迫る遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を長期に亘って維持できる特性を追求することができる。
【0069】
即ち、以下に説明する他の実施の形態では、ベントナイト高密度固状体を目標にする乾燥密度の飽和供試体として作成できるものである。
【0070】
本実施の形態は、所定含水比によって空気ゼロの状態を維持する供試体を作成する手段と、炭酸ガス雰囲気中で所定密度にプレス成形することで空気と置換した残存の炭酸ガスを水に溶解させて消滅する手段とを併用することで、飽和状態の供試体を短時間で作成している。
【0071】
図3は、本実施の形態において、粒状ベントナイトを炭酸ガス雰囲気中で製造装置1に投入した工程を示している。
【0072】
本工程において、製造装置1に投入される粒状ベントナイト9’は、含水量を調節された粒状ベントナイト9をビニール袋もしくは市販されているグローブボックス等の炭酸ガス封入容器18の中に入れてから、炭酸ガスボンベ19からの炭酸ガスを炭酸ガス封入容器中に吹き込むことによって満たしていた空気を追い出して製造されるものであり、次いでの含有されている空気を粒状ベントナイト9から排除するための操作は、炭酸ガス封入容器18を攪拌しながら粒状ベントナイト9を炭酸ガスで洗うようにしている。
【0073】
粒状ベントナイト9’は、以上の操作を複数回実施することによって、空気の全く無い炭酸ガスと水と粒状ベントナイト9のみから構成されることになっており、図3での工程では、所定含水比によって空気ゼロの状態を維持できる粒状ベントナイト9’を製造装置1に投入することで供試体を作成するための準備態勢を完了している。
【0074】
本実施の形態における以降の工程は、製造装置1を炭酸ガス雰囲気中に保持することで空気を炭酸ガス封入容器18から追い出している以外は、図1、2に示した上記実施の形態における以降の工程と全く同様である。
【0075】
上記に図示した例のように、以降の工程では、炭酸ガスを真空ボンプで吸引することによって、空気がゼロの極めて希薄な炭酸ガス封入容器18の中で粒状ベントナイト9’を所定の圧力でプレスすることになり、空気含有量ゼロで炭酸ガスもほとんど含まない所定密度で飽和状態にあるベントナイト高密度固状体を作成することが出来る。
【0076】
図4は、ベントナイト高密度固状体15’のミクロな構造を概念的に示したものである。
【0077】
以上の工程において、上記の実施の形態では、炭酸ガス雰囲気でないために空気のミクロな気泡が約1%の微量ながら残存することになり、これを排除することに時間を要していた。しかるに、本実施の形態では、粒状ベントナイト9’が炭酸ガス雰囲気の炭酸ガス封入容器18の中で作成されるので、空気のミクロな気泡はゼロであり、仮に微量の炭酸ガスが残った場合でも、炭酸ガスの気泡は周囲の水に溶解することによって炭酸ガスは水で置き換えられることになるので、本実施の形態で作成されるベントナイト高密度固状体15’は、残存空気ゼロの理想的な供試体を作成できている。
【0078】
以上の工程によって製造されたベントナイト高密度固状体は、上記実施の形態に比較して、残存空気ゼロの廃棄物充填材を構成しており、廃棄物充填材に求められる遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を長期に亘って維持できる特性を一層増強させると共に、各種特性を迅速に測定できる試験供試体を短時間で容易に確保して確実に提供することができるものである。
【0079】
図5、6は、本発明によるベントナイト高密度固状体の製造装置と製造方法における他の実施形態を示している。
【0080】
本実施の形態における特徴は、上述の各実施の形態で説明した製造装置を真空容器中に設置することで、ベントナイト高密度固状体を成型製造するものである。
【0081】
本実施の形態では、図5(a)に示すように、粒状のベントナイト20は、真空混練容器21に装填されて真空引きされ、しかる後に所定の含水比にするための水を真空混練容器21中に投入し、さらに続けて真空混練容器21を振り回すことで均質な含水比に操作されている。
【0082】
図5(b)に見る工程では、図1に示した実施の形態であるベントナイト高密度固状体の製造装置1を真空容器22に設置しており、真空ポンプとの接続とピストン6を真空容器22の外部に突出させている。
【0083】
真空混練容器21は、真空容器22の挿入口23に結合され、真空混練容器21と挿入口23との各開閉扉を操作して、真空状態が確保される状態を保ちながら、所定の数値に調整されかつ均質にされた含水比の粒状のベントナイト20をベントナイト高密度固状体の製造装置1に装填している。
【0084】
しかる後の製造工程とその操作は、上記実施の形態と同様であり、図6(a)、(b)に表現している。
【0085】
図6(a)では、ピストン6が矢印24のように押圧されることで製造装置1のシリンダー2に嵌入されており、ピストン6の嵌入後に真空ポンプを稼働させている。
【0086】
これによって、シリンダー2内は真空状態に形成されるので、含水量を調節された粒状ベントナイト20は、真空ポンプの吸引によってその内部に含まれている空気を排除されており、粒状ベントナイト20は、含入空気量がほぼゼロの状態に構成されることになる。
【0087】
図6(b)は、外周面にシール構造13を装備しているピストン6の圧入で、所定密度のベントナイト高密度固状体を成型する工程を示している。
【0088】
本工程では、シリンダー2の内部と真空容器22の内部とが真空状態に維持されていることから、粒状ベントナイトは空気ゼロの状態に維持されている。
【0089】
しかして、ピストン6は、所定の圧力25でシリンダー2に圧入されており、シリンダー2にさらに挿入されることで粒状ベントナイト20を圧縮して所定の圧縮密度に成形するものであり、所定の含水比を維持されたベントナイト高密度固状体26を製造している。
【0090】
本実施の形態の場合も、シリンダー2の内面には、ピストン6を所定の圧入位置に停止させるためのストッパーが設けられており、ピストン6で計量された所定量の粒状ベントナイトをこの位置まで圧縮することで、ベントナイト高密度固状体26を所定の高密度に成形している。
【0091】
以上の工程によって製造されたベントナイト高密度固状体は、上記実施の形態と同様に廃棄物充填材を構成することで、廃棄物充填材に求められる遮水性能や放射性核種遅延性能などのバリア機能を長期に亘って維持できる特性を一層増強させると共に、各種特性を迅速に測定できる試験供試体を短時間で容易に確保して確実に提供することができるものである。
【0092】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳細に説明してきたが、本発明による廃棄物充填材のベントナイト高密度固状体及びその製造装置と製造方法は、上記実施の形態に何ら限定されるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、出願時において既に公知のものを適用することによる種々の変更が可能であることは、当然のことである。
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との間に充填される埋設廃棄物の充填材に混入するベントナイト固状体であって、ベントナイト中の水を飽和状態にして含入空気量をほぼゼロに構成することを特徴としており、廃棄物充填材を施工容易にすると共に、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立して長期に亘って維持できる特性を増強させることと各種特性を迅速に測定できる試験供試体を短時間で容易に確保できる効果を発揮している。
【0094】
また本発明によれば、含入空気を炭酸ガスに置換することを特徴としており、上記効果に加えて、空気ゼロの状態に形成することで特性の充実を更に増強できる効果を発揮している。
【0095】
また本発明によれば、ベントナイトを所定の密度に成型することを特徴としており、上記効果に加えて、施工容易性と特性の充実を一層増強できる効果を発揮している。
【0096】
また本発明によれば、両端を開放されたシリンダーとシリンダーの両端に嵌入可能なピストン、シリンダーもしくはピストンの少なくとも一方に設ける通気孔及び通気孔に接続された真空ポンプから構成されており、ベントナイト固状体の成型を容易にできる効果を発揮している。
【0097】
また本発明によれば、一方のピストンをシリンダーの蓋として構成することを特徴としており、上記効果に加えて、製造装置の安定な設置を可能にできる効果を発揮している。
【0098】
また本発明によれば、ポーラス板をピストンに備える通気孔の前面に配置することを特徴としており、上記効果に加えて、ベントナイト固状体中に含まれる空気の吸引を容易にできる効果を発揮している。
【0099】
また本発明によれば、一端を封鎖したシリンダーに含水量を調整した粒状ベントナイトを装填し、次いで、他方端にピストンを嵌入させると共に真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態にして粒状ベントナイトに含まれる空気を吸引し、しかる後に、真空状態の下でピストンの圧入による粒状ベントナイトの圧縮によって所定密度のベントナイト固状体を成型しており、廃棄物充填材を施工容易にし、遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立して長期に亘って維持できる特性を増強させるベントナイト固状体の製造を確実にできる効果を発揮している。
【0100】
また本発明によれば、炭酸ガス中で一端を封鎖したシリンダーに含水量を調整した粒状ベントナイトを装填し、次いで、他方端にピストンを嵌入させると共に真空ポンプの吸引と炭酸ガスの供給によってシリンダー内を炭酸ガスに置換し、しかる後に、該炭酸ガス状態の下でピストンの圧入による粒状ベントナイトの圧縮によって所定密度のベントナイト固状体を成型しており、廃棄物充填材を施工容易にし、空気ゼロの状態に形成することで遮水性能や放射性核種遅延性能等のバリア機能を当初から確立して長期に亘って維持できる特性を増強させるベントナイト固状体の製造を確実にできる効果を発揮している。
【0101】
また本発明によれば、ベントナイト固状体を成型した後にピストンの再挿入によってシリンダーから取り出すことを特徴としており、上記効果に加えて、ベントナイト固状体の製造を容易にできる効果を発揮している。
【0102】
また本発明によれば、ベントナイト固状体を成型した後にピストンの追加挿入によってシリンダーから取り出すことを特徴としており、上記効果に加えて、ベントナイト固状体の製造を容易にできる効果を発揮している。
【図面の簡単な説明】
【 図1】本発明による廃棄物充填材のベントナイト高密度固状体を製造する装置と工程の実施形態図
【 図2】ベントナイト高密度固状体を製造する実施形態の次工程図
【 図3】本発明によるベントナイト高密度固状体を製造する装置と工程を示す他の実施形態図
【 図4】他の実施形態で生成したベントナイト高密度固状体を概念的に示すミクロ構造図
【 図5】本発明によるベントナイト高密度固状体を製造する装置と工程の他の実施形態図
【 図6】ベントナイト高密度固状体を製造する他の実施形態の次工程図
【 図7】産業廃棄物や高、低レベル放射性廃棄物の処分施設
【 図8】埋設廃棄物の概要図
【 図9】埋設廃棄物における充填材の製造方法を示す工程図
【符号の説明】
1 製造装置、 2 シリンダー、 3 下方端、 5 上方端、
6、10 ピストン、 7、11 通気孔、 8、12 ポーラス板、
9、9’、20 粒状ベントナイト、 13 シール構造、 14 圧力、
15、15’、26 ベントナイト高密度固状体、 16 ストッパー、
17 支持筒体、 18 炭酸ガス封入容器、 19 炭酸ガスボンベ、
21 真空混練容器、 22 真空容器、 23 挿入口、
24、25 矢印、 31 廃棄物格納用躯体、 32、37 周辺地盤、
33、38、41 粘土系充填材、 34 低レベル放射性廃棄物、
35 放射性廃棄物格納用躯体、 36 地下空洞、
39 廃棄体パッケージ、 40 地下坑道、 42 処分孔、
43 隙間、 44、44 隙間、 45隙間充填材、
50 充填材の製造方法、 51 ベントナイト、 52 水、
53、56 混練、 54 ベントナイトスラリー、
55 ベントナイト高密度固状体、 57 ベントナイト・コンクリート、
58 打設、
Claims (5)
- 粒状ベントナイトから空気を除去する方法であって、
一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、
粒状ベントナイトを装填したシリンダーの他方端にピストンを嵌入させると共に、真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態に維持する工程と、
前記シリンダー内が真空状態の下で前記ピストンの圧入によって前記粒状ベントナイトを圧縮する工程と
を含むことを特徴とする粒状ベントナイトの空気除去方法。 - 粒状ベントナイトから空気を除去する方法であって、
炭酸ガスを吹き込むことによって空気を追い出した炭酸ガス封入容器の中において一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、
前記シリンダーに粒状ベントナイトを装填した状態で前記炭酸ガス封入容器を撹拌する工程と、
前記シリンダーの他方端にピストンを嵌入させ、真空ポンプによって炭酸ガスを吸引すると共に、シリンダーに装填した粒状ベントナイトをプレスする工程と
を含むことを特徴とする粒状ベントナイトの空気除去方法。 - ベントナイトスラリーから埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との間に充填される廃棄物充填材を練成する際に適用され、ベントナイトスラリーに追加して混練されるベントナイト固状体を製造する方法であって、
一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、
粒状ベントナイトを装填したシリンダーの他方端にピストンを嵌入させると共に、真空ポンプの吸引によってシリンダー内を真空状態に維持する工程と、
前記シリンダー内が真空状態の下で前記ピストンの圧入による前記粒状ベントナイトの圧縮によって所定密度のベントナイト固状体を成型する工程と
を含むことを特徴とするベントナイト固状体の製造方法。 - ベントナイトスラリーから埋設廃棄物の格納用躯体と埋設処分孔との間に充填される廃棄物充填材を練成する際に適用され、ベントナイトスラリーに追加して混練されるベントナイト固状体を製造する方法であって、
炭酸ガスを吹き込むことによって空気を追い出した炭酸ガス封入容器の中において一端を封鎖したシリンダーに含水量を調節した粒状ベントナイトを装填する工程と、
前記シリンダーに粒状ベントナイトを装填した状態で前記炭酸ガス封入容器を撹拌する工程と、
前記シリンダーの他方端にピストンを嵌入させ、真空ポンプによって炭酸ガスを吸引すると共に、シリンダーに装填した粒状ベントナイトをプレスすることによって所定密度のベントナイト固状体を成型する工程と
を含むことを特徴とするベントナイト固状体の製造方法。 - ベントナイト固状体が、成型された後にピストンの追加挿入によってシリンダーから取り出されることを特徴とする請求項3又は4に記載のベントナイト固状体の製造方法。
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