JP3917435B2 - 水性溶液組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性溶液組成物に関し、さらに詳しくは特定の水溶性キトサン誘導体とポリビニルアルコール(以下「PVA」と略す)および/またはPVA誘導体とを少なくとも含有する水性溶液組成物、該水性溶液組成物を用いる基材の処理方法および処理された物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、キトサンの応用研究の中で、紙への応用は最も古いものの一例である。その初期には紙力増強剤として、また、インキの受容体としても研究され、最近では最先端のインクジェットインクの受容体としての提案が多数なされており、その内の幾つかは実用化されている。
【0003】
しかし、上記用途においてはキトサンについての提案はあるが、キトサンの誘導体が上記用途において実用化されたという報告はない。これは、基材にキトサンの機能を付与するという第一義的な目的には、化学修飾をしていないキトサンそのもので十分であると評価され、キトサンを化学修飾することにより、キトサンそのもの以上の明瞭な機能的かつコスト的なメリットが見出されなかったためと考えられる。
【0004】
しかし、キトサンに関する実用経験が蓄積されるに従って、キトサンに対して一層の機能性アップおよび用途拡大が望まれるようになり、さらにこれまで軽視されてきた化学修飾をしていないキトサンそのものの経時的な着色の問題が顕在化し、その解決が要求されるようになってきている。特に製紙用途では、キトサンで処理した後の紙製品の白度が重要であるが、紙に添加されたキトサンに基づく経時的な着色を抑制することができず、十分な機能を発揮する量のキトサンを使用すると、紙製品が経時的に黄変するという問題があり、これがキトサンの利用拡大の妨げとなっていた。
【0005】
キトサンの利用拡大の妨げとなっているもうひとつの要因は、キトサンが一般の合成高分子に比較して高価であることが挙げられる。この問題の解決法のひとつとして安価な合成ポリマーとの併用が考えられる。実際に、キトサンとPVAとからなるブレンドフィルムは、それぞれの単独フィルムより高強度となること、さらには、キトサンとPVAとの混合溶液にグリオキザールを加えた溶液は、常温では一日程度、架橋による増粘などの変化もなく安定であり、これを紙の上に塗布し、50℃程度の低温で加熱乾燥すると、十分な耐水性を有する保護膜を形成し得ることなどの工業上極めて有用な技術も開示されている。
【0006】
しかしながら、上記技術においてもキトサンそのもの以外のキトサンの誘導体を検討したという報告はない。これは、上記「基材にキトサンの機能を付与するという第一義的な目的には、化学修飾をしていないキトサンそのもので十分であると評価され、キトサンを化学修飾することによる明瞭な機能的かつコスト的メリットが見出されなかった」という理由によると思われる。同時に、キトサンとPVAとのブレンドフィルムの場合に限らず、所謂ポリマーブレンドにおいては、その相溶性はブレンドするポリマー素材の化学構造の変化によって大きく影響を受けることが知られており、キトサンの僅かな化学修飾によってもポリマー混合物中でキトサン誘導体または他のポリマーが相分離してしまうことが知られているために、上記検討がなされていなかったものと推測される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、早くからキトサンの経時的な着色の問題に注目し解決に取り組んできた。その結果、キトサンの酸性水溶液の着色が、酸性亜硫酸塩の添加によって抑制されることを見出した。この方法は実用化され、有効に利用されているが、この溶液を基材に塗布した後は、その着色を抑制する効果は急速に消失することがわかっており、この点で上記の方法はキトサンの着色を抑制する抜本的な解決手段になっていない。結局、現段階ではキトサンの経時的な着色の問題は、キトサンの本質的な性格であり、十分な酸素が存在する条件下においては不可避な問題と結論付けざるを得ない。
従って、本発明の基本的な目的は、紙などの基材を処理した際に経時的な着色の問題が解決されたキトサン誘導体を含む水性溶液組成物を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、ジヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサンおよびヒドロキシブチルキトサンから選ばれる、第1級アミノ基残存率が50%以下の水溶性キトサン誘導体(以下単に「水溶性キトサン誘導体」という場合がある)とPVAおよび/またはPVA誘導体と架橋剤とを少なくとも水中に含むことを特徴とする水性溶液組成物を提供する。
【0009】
上記水性溶液組成物においては、PVAおよび/またはPVA誘導体に対する水溶性キトサン誘導体の割合は、0.1〜50重量%であることが好ましい。
【0010】
上記水性溶液組成物においては、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体の合計濃度が、1〜50重量%であること;pHが4.5以上であること;架橋剤が、多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物および多価カルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記何れかの水性溶液組成物を、基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体とを架橋させることを特徴とする基材の処理方法を提供する。
【0012】
上記基材の処理方法においては、基材が、紙、繊維、織布、不織布またはフィルムであり、架橋物が、基材の0.1〜20重量%であること;基材が、印刷シート(なお、本発明における「印刷シート」とは紙、樹脂フィルムまたはそれらの複合物などを含む意味で用いられている)であること;架橋剤が、グリオキザール、グルタールアルデヒドであり、基材が感熱印刷シートであることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、表面またはその近傍に、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体と架橋剤とからなる皮膜が形成されていることを特徴とする感熱印刷シートを提供する。なお、上記皮膜は連続皮膜である必要はない。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明者らは、従来の検討をさらに進めた結果、従来の化学修飾をしていないキトサンそのものの代わりに、水溶性キトサン誘導体(キトサンの水溶性誘導体)を使用すると、該水溶性キトサン誘導体を用いて印刷シートを処理した場合、インキ中の染料との反応性向上などの目的に応じた機能を強化できるばかりか、キトサンの本質的な問題であった経時的な着色をも有意に抑制できることを見出した。
【0015】
また、本発明においては、水溶性キトサン誘導体の水溶液とPVAおよび/またはPVA誘導体の水溶液は良く相溶し、該混合溶液を乾燥して得られる乾燥物においてもポリマーの相分離は観測されないことを見出した。特に、この溶液にグリオキザールなどの架橋剤を加えた溶液は、キトサンの場合と同様に、常温では一日程度、架橋による増粘などの変化もなく安定であるが、これを印刷シートの上に塗布し、50℃程度の低温で加熱乾燥すると、十分な耐水性を有する保護膜を形成し得ることも確認できた。
【0016】
キトサンそのものは、菌類の細胞壁の構成要素として存在することが知られている天然機能性高分子であるが、工業的にはカニやエビなどの甲殻類の外皮などから得られるキチンを脱アセチル化することによって製造されている。入手しやすさから、本発明で用いる水溶性キトサン誘導体の原料としては一般工業用キトサンで十分である。また、出発物質であるキトサンの分子量や脱アセチル化度に特別の制限はないが、脱アセチル化度についていえば30〜100モル%、さらにキトサン誘導体の合成の容易性を考えれば、脱アセチル化度が50〜100モル%が好ましい。
【0017】
上記水溶性キトサン誘導体としては、例えば、出発物質であるキトサンのアミノ基にヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基、ジヒドロキシプロピル基を導入した水溶性誘導体およびその塩が挙げられる。
【0018】
本発明において使用するPVAおよび/またはPVA誘導体は周知であり、何れのものでも水溶性であればよく、その鹸化度、置換基の量および分子量などにおいて特に限定はない。本発明の水性溶液組成物におけるPVAおよび/またはPVA誘導体に対する前記水溶性キトサン誘導体の割合は、PVAおよび/またはPVA誘導体の0.1〜50重量%であることが好ましい。
【0019】
本発明の水性溶液組成物は、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体とを、水に溶解したものであり、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体とを同時に水に溶解することも可能であるが、両者を別々に水に溶解した後、両液を混合することも可能である。また、溶解する際に、加熱或いは冷却してもよい。さらに溶解性を増すために、水に酸またはアルカリを加えて液のpHを調整してもよいが、本発明の目的である処理基材の経時的な着色を抑制するためには、最終的に水性溶液組成物のpHを4.5以上に調整することが望ましい。最終pHが4以下では水性溶液組成物それ自体、或いは該組成物で処理された基材(複合材料)において経時的な着色が観測されることがある。
【0020】
PVAおよび/またはPVA誘導体に対する水溶性キトサン誘導体の混合割合には特別な制限はないが、水溶性キトサン誘導体による機能付与という第一義的な目的と、経済性との兼ね合いから混合割合を決定すればよく、この意味からPVAおよび/またはPVA誘導体に対する水溶性キトサン誘導体の混合割合は、PVAおよび/またはPVA誘導体の0.1〜50重量%であることが好適である。
【0021】
上記水性溶液組成物に使用する水は通常水に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水、水道水など、本発明の水性溶液組成物の用途に応じて選択できる。また、用途に応じた適性を付与するために、上記水に、アセトンなどのケトン類、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、界面活性剤を加えることもできる。
【0022】
また、本発明の水性溶液組成物の使用に際しては、耐水性皮膜を得る目的などのために、該水性溶液組成物中に架橋剤を加える。特に、水溶性キトサン誘導体が本来有する触媒作用以外に、特別な触媒の存在なしに100℃以下で水酸基および/またはアミノ基と反応して共有結合を形成し得る水溶性架橋剤、具体的にはグリオキザール、グルタールアルデヒドなどの多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価カルボジイミド化合物などを用いることができる。これらの架橋剤を使用する場合には、架橋剤の量は、ポリマー固形分の0.1〜200重量%が好適である。
【0023】
本発明の水性溶液組成物を用いる基材の処理方法では、水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、ポリマーを架橋させて、処理された基材(複合材料)とすることができる。
【0024】
本発明の水性溶液組成物の使用に際しては、前記の如き架橋剤を用いることによって、適当な架橋条件を選択し、より効率的に上記の如き処理された基材(複合材料)を得ることができる。また、本発明の水性溶液組成物中に存在する成分の熱感受性に応じて、架橋時の加熱温度と時間とを選べばよく、感熱印刷シートなどのように熱に敏感な化合物を含む基材を処理する場合は、50℃以下で水性溶液組成物を塗布および乾燥すればよく、さらに低温で脱水するには減圧乾燥などの方法を使用することもできる。逆に100℃以上の耐熱性を持つ基材を処理する場合には、100℃以上で乾燥および架橋すればよい。以上において水性溶液組成物中に存在した水分量の80重量%以上を除去する方法には特別な条件はない。
【0025】
水性溶液組成物中の成分の架橋を進行させる条件についても同様であり、水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体とが本来有する触媒作用以外に、特別な触媒の存在なしに100℃以下で水酸基および/またはアミノ基と反応して共有結合を形成し得る水溶性化合物を架橋剤として使用する場合は、100℃以下で加熱すれば目的は達成される。特にグリオキザール、グルタールアルデヒドなどの多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物、多価カルボジイミド化合物を架橋剤として使用する場合は、100℃以下で1秒から180秒程度加熱すればよい。感熱印刷シートなどのように熱に敏感な化合物を含む基材に応用する場合など、50℃以上に加熱できない場合は、低温架橋性の良さからグリオキザールが架橋剤として最適である。グリオキザールを使用すれば時間を延長すれば40℃以下での架橋も可能である。
【0026】
このように本発明の基材の処理方法では、脱水工程を含む関係上、本発明の水性溶液組成物において水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体の合計濃度が0.1重量%以上であることが好ましい。これ以下では脱水に多大のエネルギーを必要とする点で不利である。また、本発明の水性溶液組成物の用途のひとつはコーティング剤であることから、水溶性キトサン誘導体の濃度が60重量%以下であることが好ましい。これ以上の濃度では、水性溶液組成物があまりに高粘度になるため、コーティング適性に劣る。さらに好適には水性溶液組成物中の水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体の合計濃度が1〜50重量%の範囲である。
【0027】
水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在していた水分量の80重量%以上を除去して得られる処理済基材(複合材料)、および架橋剤を含む本発明の水性溶液組成物を基材の表面および/または内部に付与した後、架橋を進行させる条件にて処理した基材(複合材料)は、第1級、第2級、第3級の違いはあるが、いずれもアミノ基を含むか、または第4級アンモニウム基を含むために、キトサン本来の抗菌性、インキ中の染料との反応性、架橋性などを保持、或いはより強化された能力を持つ。
【0028】
その上、本発明の水性溶液組成物を用いて処理された基材(複合材料)は、キトサンの本質的問題である経時的な着色が有意に抑制されている。特に第1級アミノ基残存率(水溶性キトサン誘導体中の第1級アミノ基またはその塩の基由来の窒素原子数の、キトサン由来の全窒素原子数に対する比率)が50%以下、より好ましくは0〜25%であるN−ヒドロキシエチルキトサン、N−ヒドロキシブチルキトサン、ジヒドロキシプロピルキトサンなどのN−ヒドロキシアルキル誘導体を用いた場合には、経時的な着色は実用上無視できるほど抑制されている点が特記される。
【0029】
上記特徴を生かす用途として、本発明の水性溶液組成物で処理される基材は、例えば、紙、繊維、織布、不織布およびフィルム基材などが好適である。特にその特徴は、紙やフィルムなどの印刷シートにおいて最大に発揮される。この様な用途において、基材に付与される水溶性キトサン誘導体とPVAおよび/またはPVA誘導体の架橋物は基材の0.1〜5重量%であることが好ましい。
【0030】
さらに本発明の水性溶液組成物は、基材に塗布または含浸後において低温架橋性に優れ、得られた処理基材(複合材料)は、50℃以下での低温架橋処理であっても十分な強度、耐水性および耐油性を有している。従って本発明の水性溶液組成物は、熱によって影響されやすい感熱印刷シート(例えば、バーコードラベルなど)の表面処理剤として非常に有用である。なお、上記において好ましい塗布量は固形分で3〜10g/m2である。
【0031】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。文中の「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準である。
実施例として用いた水性溶液組成物の組成内容を表1に示し、それらの作成方法を以下に記した。
【0032】
<実施例1>
グリセリル化キトサン(置換度0.6、第1級アミノ基残存率=25%)12部とPVA((株)クラレ製、「クラレポバールPVA−117」商品名)100部とを酢酸水溶液に溶解し、固形分濃度13%の水溶液を調製後、40%グリオキザール水溶液15部を加えて本発明の水性溶液組成物(pH=4.8)を得た。
【0033】
<実施例2〜15>
キトサン誘導体(A成分)、PVA(B成分)および架橋剤(C成分)の種類および配合比を表1に示すように変えた水性溶液組成物を、実施例1と同様の方法により調製した。なお、これらの水性溶液組成物のpHは4.8〜9.5の範囲内である。
【0034】
<比較例>
比較例として用いた水性溶液組成物の組成内容を表1に示し、それらの作成方法を以下に記した。
【0035】
<比較例1>
キトサン(分子量8万、脱アセチル化度87モル%)10部とPVA((株)クラレ製、「クラレポバールPVA−117」商品名)100部とを酢酸水溶液に溶解し、固形分濃度15%の水溶液を調製後、40%グリオキザール水溶液12.5部を加えて、比較例1の水性溶液組成物(pH=4.2)を得た。
【0036】
<比較例2>
キトサンを配合しなかった以外は比較例1と同様に水性溶液組成物(pH=5.7)を調製した。
【0037】
<比較例3>
比較例1の水性溶液組成物に、亜硫酸水素ナトリウム0.5部およびヒドロキノンモノメチルエーテル0.5部を配合し、比較例3の水性溶液組成物(pH=4.4)を調製した。
【0038】
<比較例4>
架橋剤を配合しなかった以外は、実施例1と同様に水性溶液組成物(pH=4.8)を調製した。
【0039】
表1に示す組成により調製した水性溶液組成物を用い、下記の皮膜形成方法により得られた皮膜の耐水性評価試験を行った。評価結果を表1に示す。
【0040】
<皮膜形成方法並びに耐水性評価方法>
実施例1〜15および比較例1〜4の水性溶液組成物2gを、それぞれ直径9cmのガラスシャーレ内に流延し、50℃で乾燥して皮膜を作成した。皮膜作成後、ガラスシャーレに40℃の水80mlを注ぎ、40℃の恒温槽内に静置した。8時間毎に、計2回、40℃の水を取り替え、24時間後の皮膜の状態を観察し、皮膜の耐水性を評価した。なお、評価は下記の基準に従って行った。
【0041】
<耐水性評価基準>
◎:不溶かつ膨潤も少ない。
○:不溶であるが膨潤している。
△:一部溶解している或いは崩れている。
×:全部溶解或いは殆ど溶解している。
なお、表中の置換度とは、キトサンのピラノール環1個当たりに反応した反応物の平均モル数であり、本発明において上記置換度は0.5以上であることが好ましい。
【0042】
【0043】
A成分:キトサン誘導体、B成分:PVA、C成分:架橋剤
PVA−117:重合度1,750、ケン化度98.5モル%
PVA−105:重合度550、ケン化度98.5モル%
KL−318:アニオン変性PVA、重合度1,750、ケン化度88モル%
C−118:カチオン変性PVA、重合度1,750、ケン化度98.5モル%
PEGDGE:ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル
【0044】
表1に示した耐水性評価結果より、本発明の水性溶液組成物から得られる皮膜は、50℃程度の低温乾燥においても、十分な耐水性を有することが分かる。実施例1〜3はキトサン誘導体の置換度を変えたもので、結果は良好であった。実施例4〜6は各成分の配合割合を変えたものであるが、十分な耐水性を示した。実施例7〜8はキトサン誘導体の種類を、実施例9〜11はPVAの種類を、実施例12〜15は架橋剤の種類をそれぞれ変えたものであるが、いずれも良好な結果であった。
【0045】
比較例2は、キトサン誘導体を配合していないものであるが、皮膜は殆ど溶解してしまった。同様に、比較例4は架橋剤を配合していないものであるが、皮膜は殆ど溶解してしまった。
【0046】
<実施例16〜19、比較例5および6>
次に、水性溶液組成物を上質紙にバーコーターにより固形分で5g/cm2の割合で塗布し、50℃で乾燥後、40℃×相対湿度95%の環境下に放置し、2ヶ月間塗工紙の経時的な着色の変化を色彩色差計(ミノルタカメラ(株)製、CR−321)により、色差b値を測定し評価を行った。結果を表2に示す。
なお、実施例16〜19は、それぞれ実施例1〜3、7で調製した水性溶液組成物を、比較例5、6は比較例1、3で調製した水性溶液組成物をそれぞれ用いた。
【0047】
【0048】
表2の結果より、本発明の水性溶液組成物を用いて紙を処理した際、該処理紙の経時的な着色が著しく抑制されていることが分かる。実施例16〜18は、キトサン誘導体の置換度を変えたもので、置換度が高くなる程、着色を抑制する効果がより優れることが分かる。実施例19は、キトサン誘導体の種類を変えたものであるが、キトサン誘導体の種類を変えても経時的な着色が抑えられていることが分かる。比較例5はキトサンそのものを用いたもので、経時的にかなり着色が進行している。比較例6は、比較例5にキトサン水溶液の着色を抑制する効果がある亜硫酸水素ナトリウムを配合したもので、未添加の比較例5に比べると幾分着色が抑制されているものの、経時的な着色を抑制する十分な効果は有していない。
【0049】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、紙などの基材を処理した際に経時的な着色の問題が解決されたキトサン誘導体を含む水性溶液組成物、該水性溶液組成物を用いる基材の処理方法および処理された物品が提供される。
Claims (10)
- ジヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサンおよびヒドロキシブチルキトサンから選ばれる、第1級アミノ基残存率が50%以下の水溶性キトサン誘導体とポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体と架橋剤とを少なくとも水中に含むことを特徴とする水性溶液組成物。
- ポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体に対する水溶性キトサン誘導体の割合が、0.1〜50重量%である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 水溶性キトサン誘導体とポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体の合計濃度が、1〜50重量%である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- pHが、4.5以上である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 架橋剤が、多価アルデヒド化合物、多価エポキシ化合物、多価イソシアネート化合物および多価カルボジイミド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の水性溶液組成物。
- 請求項1〜5の何れか1項に記載の水性溶液組成物を、基材の表面および/または内部に付与した後、該水性溶液組成物中に存在している水分量の80重量%以上を除去して、水溶性キトサン誘導体とポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体とを架橋させることを特徴とする基材の処理方法。
- 基材が、紙、繊維、織布、不織布またはフィルムであり、架橋物が、基材の0.1〜20重量%である請求項6に記載の基材の処理方法。
- 基材が、印刷シートである請求項6に記載の基材の処理方法。
- 架橋剤が、グリオキザールまたはグルタールアルデヒドであり、基材が感熱印刷シートである請求項6に記載の基材の処理方法。
- 表面またはその近傍に、ジヒドロキシプロピルキトサン、ヒドロキシエチルキトサンおよびヒドロキシブチルキトサンから選ばれる、第1級アミノ基残存率が50%以下の水溶性キトサン誘導体とポリビニルアルコールおよび/またはポリビニルアルコール誘導体と架橋剤とからなる皮膜が形成されていることを特徴とする感熱印刷シート。
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