JP3985331B2 - 塗布装置および印刷装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は印刷機等に使用される塗布装置および、かかる塗布装置を備えた印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
印刷機用の塗布装置の技術としては、例えば特開昭57−178872号公報や、実開昭56−76438号公報、特公平4−68147号公報の技術が知られている。これらの技術はいずれも印刷機械のインキ塗布技術として使用され、主に水なしの平版印刷や凸版印刷等によく使われている。中でも特公平4−68147号公報の技術は、弾性表面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えた構造の塗布装置であり、高粘性のインキ使用時などには、非常に有効な塗布技術であった。
【0003】
これらの技術の特徴は、いずれもが、塗布ローラの膜圧設定方法として、ドクターブレードを使用している点である。例えば特公平4−68147号公報の技術は、図11に示すように、インキの塗布装置であるインキユニット2は、弾性層を有するインキ着けローラ201と、ドクターブレード202、ドクターブレード進退調整用の偏芯カム203、練りローラ210、211、弾性表面を有する補助インキ着けローラ212を備えた構造となっている。前記インキ着けローラ201と、前記ドクターブレード202と、前記インキ着けローラ201の軸方向の両端に配置された、側板207、208と、インキ壺206は、囲まれたインキ溜め空間205を形成しており、前記インキ溜め空間205には印刷用インキiが溜められている。
【0004】
また、前記インキ着けローラ201と一体となって回転する図示しない歯車が、前記版胴15と一体となって回転する図示しない歯車と噛み合うことによって、前記インキ着けローラ201と前記版胴15は、接触部において、同期して同じ周速で回転するように構成されている。
【0005】
また、前記インキユニット2は、軸204に取り付けた偏芯カム203を回転させて、前記ドクターブレード202を矢印A方向に進退させることで、ドクターブレード202とインキ着けローラ201との圧接状態を変更して、前記インキ着けローラ201の外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行える構造になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、このようなインキユニットにおいては、ドクターブレード部に詰まった紙粉等に起因して、図7に示すような、塗布膜表面周方向への、スジ状の欠点が発生するという問題を有していた。すなわち、ドクターブレード部で、紙粉等に起因した詰まりが生じたとき、インキ着けローラ201が詰まり部で撓んで逃げるため、この部分のインキ層が厚くなるとともに、詰まった紙粉等がドクターブレード202とインキ着けローラ201との間を塞ぐために、前記インキ層に、周方向のスジ状の欠点252が発生する。
【0007】
このスジ状の欠点は、図7に示すように、塗布ローラ上のインキ層に深い溝として残るため、単に練りローラを用いても、容易には消せないやっかいなものであった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の欠点を改良し、高粘性のインキを塗布するに際しても、紙粉等に起因する塗布膜表面周方向への、スジ状の欠点が発生しにくい塗布装置を提供することをその課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を達成するために、本発明によれば、弾性表面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えた塗布装置において、前記塗布ローラの被塗布面の進行方向に対して前記ドクターブレードの下流側に、前記塗布ローラ上の塗布膜表面の平坦化ブレードが設けられており、前記ドクターブレードおよび平坦化ブレードの導入側前縁が曲成されており、前記ドクターブレードの曲率半径が前記平坦化ブレードの曲率半径と同一かそれ以上であることを特徴とする塗布装置が提供される。
【0016】
また、本発明の好ましい態様によれば、さらに、前記塗布ローラの被塗布面の進行方向に対して、前記塗布ローラの上流側および下流側に補助塗布ローラを設け、前記塗布ローラと前記補助塗布ローラの間には、前記塗布ローラと前記補助塗布ローラとに同時に当接し、軸方向に揺動する練りローラを備えた塗布装置が提供される。
【0017】
また、本発明の好ましい態様によれば、上記のいずれかの塗布装置と、該塗布装置からインキの供給を受ける刷版を巻装する版胴とを備えてなる印刷装置が提供される。
【0020】
また、本発明の好ましい態様によれば、上記のいずれかの塗布装置であって、前記塗布ローラが非弾性体である回転軸および該回転軸を内包する少なくとも最表層がポリウレタンゴムよりなる多層構造の弾性体よりなり、前記塗布ローラ弾性体各層の硬度が、表面の層ほど内部の層よりも高いことを特徴とする塗布装置が提供される。
【0021】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記最表層の硬度がJISAによるゴム硬度で40°以上であることを特徴とする塗布装置が提供される。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を図面を用いて説明する。
【0023】
図1は本発明による一実施形態であり、図2は本発明による塗布装置が装着された印刷機の概略断面図を示す。また、図10は、図1に示す本発明による塗布装置の平面図を示す。
【0024】
図2に示すように、印刷機1はフレーム本体11に、印刷用紙のスタッカーである給紙台12、印刷用紙を供給する給紙コンベア13、圧胴14、印刷版を取付ける版胴15、ブランケット胴16、インキの塗布装置であるインキユニット2、印刷を終了した用紙を搬送するチェーンデリバリ17と、印刷済み用紙のスタッカーである排紙台18を備えている。
【0025】
図2において、印刷用紙Pは人または機械によって捌かれた後、給紙台12に積まれる。印刷装置の作動により、給紙台12に積まれた印刷用紙Pは、図示しない供給装置のエアノズルからの圧縮空気の噴射によって、用紙1枚1枚が分離された後、前記供給装置によって1枚づつ給紙コンベア13へと送られる。
【0026】
前記給紙コンベア13に送られた用紙Pは、図示しない用紙の先頭位置合わせ装置によって、圧胴14へと送り出され、圧胴14の図示しない用紙把持装置で先頭を把持されて、前記圧胴14と共に回転し、ブランケット胴16と前記圧胴14に挟まれ所定の圧力で圧接される。
【0027】
一方インキユニット2から版胴5に巻装された印刷版151に供給されたインキは、印刷版151のインキ受容性を有する画像部にのみインキ像として残り、ブランケット胴16上に転写される。この状態で、ブランケット胴16は、圧胴14に圧接され、前記インキ像は、前記圧胴14と共に回転する用紙Pに転写される。こうしてインキ像を転写された前記用紙Pは、前記圧胴14からチェーンデリバリ17に受け渡され、排紙台18へと搬送された後に積み重ねられて、一連の印刷工程を終了する。
【0028】
インキの塗布装置であるインキユニット2は、図1の断面図に示すように、一層または多層の弾性層を有するインキの塗布ローラであるインキ着けローラ201と、ドクターブレード202、ドクターブレード進退調整用カム203、平坦化部材209、練りローラ210、211、弾性表面を有する補助塗布ローラである補助インキ着けローラ212を備えている。
【0029】
前記インキ着けローラ201と、前記ドクターブレード202と、前記インキ着けローラ201の軸方向の両端に配置された、側板207、208と、インキ壺206は、囲まれたインキ溜め空間205を形成しており、前記インキ溜め空間205には印刷用インキiが溜められている。また、前記インキ着けローラ201に、側板207、208を緩やかに圧接することでシールがなされ、インキ溜め空間205のインキiが漏れることはない。
【0030】
また、前記インキ着けローラ201と一体となって回転する図示しない歯車が、前記版胴15と一体となって回転する図示しない歯車と噛み合うことによって、前記インキ着けローラ201と前記版胴15は、接触部において、同期して同じ周速で回転するように構成されている。
【0031】
また、前記インキユニット2は、軸204に取り付けた偏芯カム203を回転させて、前記ドクターブレード202を矢印A方向に進退させることで、ドクターブレード202とインキ着けローラ201との圧接状態を変更して、前記インキ着けローラ201の外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行える構造になっている。
【0032】
そして、膜厚調整されたインキ着けローラ201上の塗布膜は、平坦化部材である平坦化ブレード209で表面を平坦化される構造になっている。
【0033】
この塗布装置に使用するドクターブレード202は、板厚0.1〜0.5の例えばスウェーデン鋼などにより構成され、インキ壺206と下面の押さえ部材214により上下から挟み込むようにして保持されて、インキ量調整部材21を形成している。したがって、前記インキユニット2に搭載された図示しないモータの回転角度をセンサにより規制し、電子回路で正逆回転を制御して、前記軸204を介して、前記ドクターブレード202の、進退調整用の偏芯カム203を微小に回転駆動することで、前記インキ量調整部材21を構成するドクターブレード202の、前記インキ着けローラ201表面への押込量を調整する構造となっている。その結果として、前記インキ着けローラ表面に形成されるインキ塗布膜の厚さを調整できるようになっている。
【0034】
また、この塗布装置に使用するインキ着けローラ201は、弾性表面を有する例えばゴムまたはプラスチックのエラストマーによるローラで構成されており、このローラの弾性部分の構造は、一層構造であってもよいが、より好ましくは、表面の層ほど内部の層よりも硬度が高く設定された、2層以上の多層構造である方が好ましい。
【0035】
またこの種の塗布装置は、塗布膜の膜厚をドクターブレード202とインキ着けローラ201の圧接状態の変化のみで調整しているので、インキ着けローラ201の材質を例えばニトリルゴムなどのゴムにした場合は、長期間の使用によって、ローラ表面の摩耗により塗布膜の膜厚が変化したり、ゴム内部の可塑剤が抽出されて表面硬度が初期設定値より10°以上高くなり、紙粉によるスジ状欠点が多発しだしたり、インキ膜厚の調整が困難になったりする問題を有していた。そこで更に好ましくは、前記インキ着けローラ201の弾性体部分が、表面の層ほど内部の層よりも硬度が高く設定された多層構造のローラであり、少なくとも最表層がポリウレタンゴムであるほうが好ましく、更に好ましくは、各層が全てポリウレタンゴムであるほうが良い。ここで、「表面の層ほど内部の層よりも硬度が高い」とは、最も好ましい態様として、隣り合う2つの層に注目して表面に近い層が内部に近い層によりも硬度が高い、という関係がすべての隣り合う2層について成り立つ場合を含むが、これに限らず、多層のゴム層をローラの半径方向に二分したときの表面側の層の平均硬度(個々の層の硬度に厚さを乗じたものの総和を総厚さで除したもの)が内部側の層の平均硬度よりも高いことを表わす。したがって、ゴム層が明確な層構造を持たない場合でも、上記観点で2つの層に分割したときに上記関係が満たされる場合もこの条件を満たすことになる。
【0036】
このポリウレタンゴムであるほうが良い理由は、まずウレタンゴムは弾性、強じん性に富み、引き裂き強度が大きく、耐摩耗性が良いので、ドクターブレードとの擦過に対しても寸法安定性が良く、したがって塗布膜の膜厚を常に一定にできること。また、印刷機で一般的に使用されている例えばニトリルゴム等に比べて可塑剤の含有量が著しく少ないため、ゴム内部の可塑剤が抽出されることによるゴム硬度の変化が少ないこと。更に、表面の層ほど内部の層よりも硬度を高く設定した多層(2層を含む)構造にすることで、単層のものに比べ前記紙粉によるスジ状欠点を激減できることなどである。
【0037】
また、各層全てをポリウレタンゴムにすると、ローラ表面の摩耗が少ないので長期間の使用でも塗布膜の膜厚変化が少なく、表面の層ほど内部の層よりも硬度を高く設定した多層構造により、紙粉によるスジ状欠点が少なく、ゴム内部の可塑剤が抽出されないのでゴム硬度の変化が少なく、良好な塗布条件を長期間維持できるので、より好ましい。
【0038】
本発明は、従来製作困難であった多層構造のポリウレタンゴムローラを採用することにより、前述のような良好な効果を得た。本発明に好適なポリウレタンゴムのとしては、明和ゴム工業株式会社のUVサミット、株式会社金陽社のユーロンH、株式会社加貫ローラ製作所のニューUVなどがある。
【0039】
また、インキ着けローラ201の表面硬度は、JISA形に規定されるゴム硬度で、15°〜70°に設定するのが望ましい。何故ならば、硬度15°未満では薄厚のインキ膜の形成が困難になり、一方硬度70°を超えると安定したインキ膜を得られないばかりでなく、版面への正常なインキ転写ができなくなるためである。この硬度のより好ましい値は25°〜50°であるが、着けローラ201の表面硬度が低いと印刷中に着けローラ201に圧接されたドクターブレードとの間での摩擦熱の発生が大きくなる。この影響によって着けローラ201が熱膨張して版胴との周速差が生じスリップが誘発されて、ブランケット胴が汚れ易くなる問題が発生すると共に、インキ温度が高くなる問題があった。したがって、このような問題の懸念がない更に好ましい着けローラ201の表面硬度の値は40°〜50°である。
【0040】
また、インキ着けローラ201を多層構造のポリウレタンゴムにしたときは、表層の硬度が70°を越えても内層の硬度を十分低くすることによって、単層の着けローラのように安定したインキ膜を得られなくなるような問題は生じないことが多い。また、表層のポリウレタンゴムの硬度が高いと擦過による熱の発生も少なくなるので、前記着けローラ201の熱膨張によるブランケット胴の汚れやインキ温度の上昇などの問題は少なくなる。したがって、この場合は表層の硬度が低くなりすぎさえしなければ問題ないので、好ましいインキ着けローラ201の最外層の硬度の値は40°以上であれば良い。
【0041】
また、前述した本発明によるポリウレタンゴムのインキ着けローラ201は、ドクターブレード202との圧接状態を常に一定になるようにする必要があることより、瞬時に変形状態から元の状態に復帰する弾性体構造が好ましく、変形状態から元の状態に復帰するのに時間がかかる発泡体構造は好ましくない。
【0042】
図1に示す態様では、平坦化部材として、平坦化ブレード209を使用しており、前記平坦化ブレード209は、例えば板厚0.1〜0.5mmの鋼などにより構成され、前記インキ着けローラ201の進行方向に対して、前記ドクターブレード202の下流側に、数mmの間隔をおいて1個設けている。この間隔としては、1mm以上とするのが平坦化効果の上で好ましく、10mm以下とするのが装置の小型化の上で好ましい。さらに好ましい範囲としては、1〜3mm程度がよい。
【0043】
平坦化部材の設置位置を前記インキ着けローラ201の進行方向に対して、前記ドクターブレードの上流側に設けた場合は、前記ドクターブレード部で発生した紙粉等に起因するインキ層表面の周方向への前記スジ状の欠点は、前記平坦化部材の設置部で前記インキ着けローラ表面を一度平坦化するため成長せず、あまり目立たない。特にベタ印刷、平網印刷等のように、ローラ軸方向に均一な印刷パターンの場合や、罫線や文字のように画像面積の少ない印刷パターンでは、前記スジ状の欠点防止に効果的である。
【0044】
一方、図1のように平坦化部材の設置位置を前記インキ着けローラ201の進行方向に対して、前記ドクターブレード202の下流側に設けた場合は、前記平坦化部材である平坦化ブレード209の設置部での、前記インキ着けローラ201上のインキ層の膜厚は、前記ドクターブレード部と同じである。したがって、印刷版の像パターンが、前記インキ着けローラ201の軸方向に不均一でも、全く影響を受けず、前記ドクターブレード部で発生した、紙粉等に起因する前記スジ状の欠点を、前記平坦化ブレード209で容易に目立たなくすることができるとともに、前記平坦化ブレード209と前記インキ着けローラ201表面の接圧調整は非常に容易なものとなる。したがって、平坦化部材の取付け位置としては、図1に示すように、前記インキ着けローラ201の進行方向に対して、ドクターブレードの下流側とする。
【0045】
また、図1のように、平坦化部材としてブレードを使用する場合、図5に示すように、前記ドクターブレード202と前記平坦化部材である平坦化ブレード209の導入側前縁が曲成されており、前記ドクターブレードの曲率半径Rが前記平坦化ブレードの曲率半径rと同一かそれ以上である塗布装置とする。例えばインキ着けローラ表面と前記ドクターブレードおよび前記平坦化ブレードの接圧状態を同じにした場合に、前記インキ着けローラ201表面に形成されたインキ層が、前記平坦化ブレード209を通過するに際し、前記導入側前縁部の曲率の差によって、前記ドクターブレード202通過時以上の抵抗を受けるため、インキ層表面の平坦化が容易に行われ、かつ、インキ着けローラ201表面と前記ドクターブレード202および、前記平坦化ブレード209の接圧調整も容易に行える塗布装置を構成することができる。
【0046】
前記ドクターブレードの曲率半径Rは、15μm以上が適当であり、この曲率半径Rは、インキ着けローラ201の弾性度、インキ着けローラ201のドクターブレード202に対する相対速度や、インキiの粘性などにより変わるものであり、上記15μm以上で適当な値を選べばよい。 一例として、上記インキ着けローラ201の表面のゴム硬度が30°、ドクターブレード202に対する相対速度が36m/分、インキiの粘度が約900ポアズにおいて、曲率半径Rの好ましい値は50〜75μmである。
【0047】
本発明の重要な技術的思想は、従来ドクターブレードに課していた、インキ塗布膜の膜圧調整と、インキ塗布膜表層の平坦化の二つの機能を分離することで、ドクターブレードにインキ膜圧の調整機能を、平坦化部材に塗布膜表面の平坦化機能を持たしたことにある。
【0048】
平坦化部材の作用は、塗布層であるインキ層251の移動において、インキ層表面に適度な抵抗を与えることで、丁度コテを用いたと同じように、前記インキ層表層を平坦化することである。
【0049】
つまり、ドクターブレード部で、紙粉等に起因した詰まりが生じたとき、インキ着けローラ201が詰まり部で撓んで逃げるため、この部分のインキ層が厚くなるとともに、詰まった紙粉等のために、前記インキ層に、図7に示すような周方向のスジ状の欠点252が発生する。このスジ状の欠点252が平坦化部材と接触すると、前記インキ層の盛り上がった部分は堰き止められて通過できないため、スジ状の欠点252の溝の部分へとインキが押しやられる。この作用によって、前記スジ状の欠点252の溝部はインキによって埋められ、図8のように平坦化される。
【0050】
平坦化ブレードの材質を鉄などの金属や、セラミック、樹脂等にした方が、製作の容易さからは好ましい。
【0052】
また、例えば図6に示すような、インキユニットでは、ドクターブレード202部でスジ状の欠点が発生したとしても、軸方向に揺動する練りローラ210、211の作用によって、前記補助インキ着けローラ212と213上に、スジ状の欠点の位相が、それぞれ前記インキ着けローラ201とは軸方向にずれて転写される。このため、被塗布面である前記印刷版151上での、前記補助インキ着けローラ213、前記インキ着けローラ201、前記補助インキ着けローラ212それぞれによるインキの塗布は、軸方向に位相がずれて行われる。この結果、前記スジ状の欠点は、被塗布面である前記印刷版151上で、目立たなくなる。
【0053】
また、図3、図4、図6、図9に示すように、インキ着けローラ201を、少なくとも最表層がポリウレタンゴムである多層構造にして、前記ローラ各層の硬度が、表面の層ほど内部の層よりも高くすることにより、前記スジ状の欠点の発生を激減できる。
【0054】
【実施例】
(実施例1)図2に示す印刷機に、本発明による図1のインキユニットを装着して、室温23°C、湿度40%の条件で、印刷速度5000枚/時間の速度で、印刷評価テストを行った。その結果、表1に示すように、特公平4−68147号公報に示す従来の塗布装置での、スジ状欠点が発生するまでの印刷枚数100枚に対し、印刷枚数1500枚までスジ状欠点が発生せず印刷できた。
【0055】
インキユニットの条件は、インキ着けローラ201にはゴム硬度43°、外径60.1mmの一層のゴムローラを、また、インキ補助着けローラ212には、ゴム硬度35°、外形30.1mmの一層のゴムローラを、また練りローラ210、211には外径19.6mmのステンレス製ローラを使用した。また、ドクターブレード202および平坦化ブレード209には、厚さ0.15mmで、掻き取り部の導入側前縁に曲率を持つ鋼を使用し、それぞれの曲率半径は、50μm、15μmにした。また、ドクターブレード202および平坦化ブレード209の間隔は2mmにした。なお、用紙は四六版サイズで70Kgの、A3サイズ上質紙を用いた。
【0056】
(実施例2)また、図2に示す印刷機に、本発明による図6のインキユニットを装着して、室温23°C、湿度40%の条件で、印刷速度5000枚/時間の速度で、印刷評価テストを行った。その結果、表1に示すように、特公平4−68147号公報に示す従来の塗布装置での、スジ状欠点が発生するまでの印刷枚数100枚に対し、印刷枚数2000枚までスジ状欠点が発生せず印刷できた。
【0057】
インキユニットの条件は、インキ着けローラ201にはゴム硬度43°、外径60.1mmの一層のゴムローラを、また、インキ補助着けローラ212、213には、ゴム硬度35°、外形30.1mmの一層のゴムローラを、また練りローラ210、211には外径19.6mmのステンレス製ローラを使用した。また、ドクターブレード202および平坦化ブレード209には、厚さ0.15mmで、掻き取り部の導入側前縁に曲率を持つ鋼を使用し、それぞれの曲率半径は、50μm、15μmにした。また、ドクターブレード202および平坦化ブレード209の間隔は2mmにした。なお、用紙は四六版サイズで70Kgの、A3サイズ上質紙を用いた。
【0062】
本発明の実施例1、実施例2における評価結果は、前述のように、表1に示す通りで、インキユニットを除き、同じ条件で印刷したときに、従来の特公平4−68147号公報によるインキユニット使用時には、印刷枚数100枚までに発生していたスジ状欠点が、実施例1では1500枚に、実施例2では2000枚に延びることを確認した。なお、用紙は四六版サイズで70Kgの、A3サイズ上質紙を用いた。
【0063】
【表1】
【0064】
【発明の効果】
以上のように、本発明の塗布装置によれば、ドクターブレード部で紙粉等の詰まりに起因する、塗布膜表面周方向へのスジ状の欠点が発生しても、平坦化部材で塗布膜表面を平坦化することによって、塗布膜表面周方向へのスジ状の欠点を発生しにくくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による塗布装置の一実施態様の断面図を示す。
【図2】本発明による塗布装置を装着した印刷機の例の概略断面図を示す。
【図3】本発明による塗布装置の一実施形態によるインキユニットの断面図を示す。
【図4】塗布装置の一実施形態によるインキユニットの断面図を示す。
【図5】本発明によるブレードの導入側前縁部の形状を示す。
【図6】本発明による塗布装置の別の態様によるインキユニットの断面図を示す。
【図7】版胴上の周方向のスジ状の欠点の断面図を示す。
【図8】版胴上の周方向のスジ状の欠点を平坦化した断面図を示す。
【図9】塗布装置の一実施例の断面図を示す。
【図10】本発明による塗布装置の一実施例の断面図を示す。
【図11】従来の塗布装置の例を示す。
【符号の説明】
1:印刷機
2:インキユニット
11:フレーム本体
12:給紙台
13:給紙コンベア
14:圧胴14
15:版胴
16:ブランケット胴
17:チェーンデリバリ
18:排紙台
21:インキ量調整部材
151:印刷版
201:インキ着けローラ
202:ドクターブレード
203:偏芯カム
204:軸
205:インキ溜め空間
206:インキ壺
207:側板
208:側板
209:平坦化部材
210、211:練りローラ
212、213:補助着けローラ
214:押さえ部材
Claims (6)
- 弾性表面を有する塗布ローラと、前記塗布ローラの外周面に対し進退自在で、前記外周面に形成する塗布膜の膜厚調整を行うドクターブレードとを備えた塗布装置において、前記塗布ローラの被塗布面の進行方向に対して前記ドクターブレードの下流側に、前記塗布ローラ上の塗布膜表面の平坦化ブレードが設けられており、前記ドクターブレードおよび平坦化ブレードの導入側前縁が曲成されており、前記ドクターブレードの曲率半径が前記平坦化ブレードの曲率半径と同一かそれ以上であることを特徴とする塗布装置。
- 前記ドクターブレードと前記平坦化ブレードの間隔が1〜3mmであることを特徴とする請求項1記載の塗布装置。
- さらに、前記塗布ローラの被塗布面の進行方向に対して、前記塗布ローラの上流側および下流側に補助塗布ローラを設け、前記塗布ローラと前記補助塗布ローラの間には、前記塗布ローラと前記補助塗布ローラとに同時に当接し、軸方向に揺動する練りローラを備えた請求項1または2に記載の塗布装置。
- 前記塗布ローラが非弾性体である回転軸および該回転軸を内包する少なくとも最表層がポリウレタンゴムよりなる多層構造の弾性体よりなり、前記塗布ローラ弾性体各層の硬度が、表面の層ほど内部の層よりも高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の塗布装置。
- 前記最表層の硬度がJISAによるゴム硬度で40°以上である請求項4に記載の塗布装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の塗布装置と、該塗布装置からインキの供給を受ける刷版を巻装する版胴とを備えてなる印刷装置。
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