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JP3975765B2 - 糸条の流体処理装置 - Google Patents

糸条の流体処理装置 Download PDF

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JP3975765B2 JP2002029094A JP2002029094A JP3975765B2 JP 3975765 B2 JP3975765 B2 JP 3975765B2 JP 2002029094 A JP2002029094 A JP 2002029094A JP 2002029094 A JP2002029094 A JP 2002029094A JP 3975765 B2 JP3975765 B2 JP 3975765B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数本のフィラメントから構成される合成繊維糸条のフィラメント相互を加圧流体の作用により絡み合わせる、すなわち、交絡処理することで、糸条に集束性を付与するのに適した糸条の流体処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
糸条の流体処理装置としては、たとえば特開平8−109536号公報に記載されるような、横断面形状が円形の糸道と、その糸道に対して直交するように開口した断面形状が円形の流体噴射孔と、糸道に開口する糸通し用スリットとを有するものが一般的に知られている。
【0003】
そして、この特開平8−109536号公報記載の流体処理装置では、さらに、糸道において流体噴射孔に対面する部分に陥没部(6)を形成し、かつ、流体噴射孔を、その流体噴射孔の軸心(P3)の延長線が糸道の中心軸(P2)に対して糸通し用スリットの逆方向にオフセットするように設けることで、流体噴射孔から吹き込まれた噴射流体の流れを陥没部で乱し、乱流状態を一段と高めて交絡処理効果を向上させる。
【0004】
しかしながら、この特開平8−109536号公報に記載される装置は、流体噴射孔を、その流体噴射孔の軸心の延長線が、糸道の中心軸に対して糸通し用スリットの逆方向にオフセットするように設けているために、流体噴射孔からの噴射流体が糸通し用スリットから装置の外へ流出する。そのため、装置に流体を供給した状態で糸条を糸道に導入することは困難であり、糸道に糸条を導入するときには一旦流体の供給を止めなければならず、作業性が悪い。また、糸条を糸道に導入できたとしても、糸通し用スリットからの噴射流体の流出によって、糸条は糸道の糸通し用スリット開口部分に滞留するか、最悪の場合、糸通し用スリットから飛び出してしまい、糸条の集束性が低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、糸条の集束性とともに作業性を高めることができる糸条の流体処理装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するための本発明は、糸道と、糸道に連通する流体噴射孔と、前記糸道に開口する糸導入スリットとを有し、かつ、前記流体噴射孔を、流体噴射孔の中心軸が前記糸道の中心軸に対して前記糸導入スリット側にオフセットするように設けた糸条の流体処理装置を特徴とするものである。
【0007】
そして、糸道の中心軸に垂直な横断面でみた糸道の幅をWとしたとき、糸道の中心軸と流体噴射孔の中心軸とからなすオフセット量OFが0<OFW/4の範囲内にあることが必要である。これに加えて、流体噴射孔の中心軸を通り、かつ、糸道の中心軸を垂直に横断する断面において、糸道の、糸導入スリットが開口している側の壁面の延長線上に、流体噴射孔の壁面が位置していることが好ましい。また、糸道の中心軸に垂直で、流体噴射孔の中心軸を含む横断面でみた流体噴射孔の幅をW’としたとき、糸道の幅Wに対する流体噴射孔の幅W’の比が0.5≦W’/W≦0.95の範囲内にあることが好ましく、糸道を構成する壁面のうち少なくとも流体噴射孔に対向する壁面が平面であることが好ましい。
【0008】
そして、上記いずれかの糸条の流体処理装置と、糸条の流体処理装置によって処理された糸条を引き取る糸条引取手段とを含む糸条の製造装置も好ましい。
【0009】
さらに、上記いずれかの糸条の流体処理装置または糸条の製造装置を用いる糸条の製造方法も好ましい態様である。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に、図を参照しつつ、本発明の糸条の流体処理装置を具体的に説明する。
【0011】
図1は、本発明の糸条の流体処理装置1の一実施態様の概略斜視図である。この装置には、横断面形状が矩形の糸道2が貫通するように設けられている。糸条Yはその糸道2を通過するとき、流体の作用を受けて単糸が互いに絡み合い、集束性を付与される。
【0012】
図2は、図1におけるA−A矢視断面図である。糸道2に流体噴射孔3と糸導入スリット4とが開口し、さらに、流体噴射孔3は、その中心軸P3が糸道2の中心軸P2に対して糸導入スリット側にオフセットするように、設けられている。なお、図2において、糸道2の中心軸P2を通り、流体噴射孔の中心軸P3に平行な直線S2で糸道2を分割し、糸導入スリット側をR2、その逆側をL2としている。
【0013】
この糸条の流体処理装置1における重要な構成要件としては、流体噴射孔3を、その中心軸P3が糸道2の中心軸P2に対して糸導入スリット側にオフセットするように設けることによって、噴射流体をL2方向に指向させることにある。この結果、糸導入スリット4では装置の外から糸道2へ向かう流体(空気)流れが発生し、まず、糸道2への糸条の導入作業が容易になる。また、一旦糸道2に導入した糸条が装置の外へ飛び出すことを防ぐことができる。さらに、糸条には噴射流体だけでなく、糸導入スリットから吸引された流体も作用することとなり、より高い集束性を糸条に付与できる。
【0014】
さらに、装置の外から糸道2に向かう流体(空気)流れを糸導入スリット4により効果的に発生させるために、上記P2とP3との距離であるオフセット量OFが、糸道の中心軸P2に垂直な横断面でみた糸道の幅をWとしたとき、0<OFW/4の範囲内にある必要がある。OFW/4であると、交絡処理条件によって、糸道2には旋回流が発生し、フィラメントには仮撚りが入ってしまい、フィラメント相互の開繊が妨げられ、糸条に集束性が付与することが困難になったり、あるいは、噴射流体のL2方向に指向する力が大きくなり過ぎてしまい、糸条は糸道壁面に押しつけられ、糸条の擦過から毛羽が発生したり、悪くは糸切れを発生させてしまうという可能性がでてくる。なお、本発明において、糸道の幅Wとは、流体噴射孔の中心軸P3に対して垂直な方向における糸道2の最大幅と定義する。
【0015】
一方、流体噴射孔の中心軸P3が糸道の中心軸P2上にある、もしくは糸道の中心軸P2に対して糸導入スリット4の逆側にオフセットされると(すなわち、OF≦0の場合)、噴射流体はR2方向に指向される。この結果、噴射流体はR2で滞留するか、糸導入スリット4から装置の外へ噴出してしまう。従って、糸条は糸導入スリット4の開口部分に集まるか、あるいは、糸導入スリット4から装置の外へ糸飛びして、フィラメント相互の絡み合いが起こりにくくなるとともに、噴射流体の噴出によるエネルギーロスが生じ、糸条の集束性は低下し、不経済となる。
【0016】
さらに、図3に示すように、流体噴射孔3の中心軸P3を通り、かつ、糸道2の中心軸P2を垂直に横断する断面において、糸道2の、糸導入スリットが開口している側の壁面21の延長線上に、流体噴射孔3の壁面31が位置していることが好ましい。すなわち、糸道2の、糸導入スリットが開口している側の壁面21と、流体噴射孔3を構成する壁面31とを、同一直線上に配置すると、糸道2において、糸導入スリット4の開口部分を横切る噴射流体は、糸導入スリット4の開口部分をその糸導入スリット4の軸方向に直交するように流れるため、糸導入スリット4から噴射流体が流出するのをより防ぐことができる。
【0017】
糸道2を構成する壁面のうち少なくとも流体噴射孔3に対向する壁面が平面であると、流体噴射孔3から噴射された流体の乱れはより大きくなり、フィラメント相互の絡み合いが起こり易く、糸条の集束性が高くなる。噴射流体が平らな壁面に衝突する場合、はね返りの流れが一段と不規則となり、糸道の流体流れの乱流状態が高められるからである。
【0018】
また、加工の容易さという観点からすれば、糸道2は図4に示すように断面形状が円形であっても良い。この場合、流体噴射孔3に対向する壁面が平面であるときほど高い集束性を期待できないが、糸道の中心軸P2と流体噴射孔の中心軸P3が一致している従来の装置よりは高い集束性を付与できる。
【0019】
流体噴射孔3の中心軸P3に垂直な方向における流体噴射孔3の断面の形状は、矩形断面、円形断面、楕円形断面またはその他の形状でも良いが、糸道2への開口面に近づくにつれて断面積が拡大するような構成であることが好ましい。
【0020】
噴射流体を有効的にフィラメントに作用させ、糸掛け作業性を高めるためには、図2に示す糸道2の幅Wと流体噴射孔3の幅W’が、0.5≦W’/W≦0.95の関係を満足することが好ましい。W’/Wが0.5を下回ると糸道2におけるフィラメントの挙動に偏りが発生することによって十分な集束性が得られなくなり易く、また、0.95を上回ると糸導入スリット4からの流体の流入が低下することから、糸掛け作業性が悪くなることがある。なお、本発明において、流体噴射孔の幅W’とは、糸道への開口面での幅寸法で、かつ、流体噴射孔の中心軸P3に対して垂直な方向における幅寸法と定義される。
【0021】
また、図5に示すように、糸導入スリット4の中心軸をP4としたとき、その中心軸P4と流体噴射孔の中心軸P3のなす角度θが0°<θ≦90°となるように設けることが好ましい。90°より大きくなると、噴射流体が糸導入スリット側の壁面に沿って糸導入スリット4に流れ、装置の外に流出してしまう。
【0022】
さらに、糸導入スリット4の糸道2への開口部は、糸導入スリット側の壁面の中央になるよう設けることが好ましい。流体噴射孔側の壁面やその壁面に対向する壁面と同一平面となると、噴射流体の流出を招き易くなる。
【0023】
上述の本発明の糸条の流体処理装置1は、たとえば図6に示すように、糸条の製造装置に組み込まれて使用される。まず、溶融されたポリマーが紡糸口金5から吐出される。紡出されたポリマーは、冷却装置6を通過する間に固化され糸条Yとなり、給油装置7で油分を付与された後、2つのローラ間8a、8bに設置された流体処理装置1を通過するとき、噴射流体によって交絡処理され、その後、巻取装置9によって巻き取られる。
【0024】
【実施例】
<実施例1〜7>
470デシテックス、72フィラメントのナイロン繊維を糸速度3600m/分、糸張力0.5Nで走行させ、次いで、図2〜図4のいずれかの形状をした糸条の流体処理装置を使用して、圧力0.5MPaの圧空で交絡処理を施した後、高速ワインダーによって巻き取り、得られた糸条の集束性を交絡度によって評価した。交絡度は、JIS L 1013に記載の方法と同等の性能を持つ自動交絡度試験器(R−2072:ロッシールド社製)を用いて測定した。また、交絡処理を行った際に、糸導入スリットの流体流れが糸道に対してどちらの方向になるか、糸道内での糸挙動に偏りは発生していないかを観察した。
【0025】
糸条の流体処理装置の詳細な寸法、評価結果は表1のとおりであった。
【0026】
【表1】
Figure 0003975765
【0027】
表1において、オフセット量は、糸道の中心軸に対して流体噴射孔の中心軸のオフセット方向が、糸導入スリット方向である時を正に、その逆方向である時を負に取っている。
【0028】
糸導入スリットの流れ方向について、記号○は糸導入スリットの流体流れが装置の外から糸道へ流れ込む方向であることを意味し、記号×は糸導入スリットの流体流れが糸道から装置の外へ流れ出る方向であることを意味する。
【0029】
糸道内糸挙動について、記号○は糸条が糸道内を均一に運動していたことを意味し、△は、時々糸挙動に偏りが発生したことを意味し、記号×は糸道の壁面に常に押しつけられていたり、糸導入スリットから飛び出してしまったことを意味する。
【0030】
集束性は、交絡度が大きい方が高いことになる。記号○は糸条の製造時や、その糸条を織、編加工する時に必要な集束性を有していることを意味し、記号×は上記集束性を有していないことを意味する。特に、記号○の中でも、開繊部/集束部の形態が糸条長手方向に沿って均一なものに関しては記号◎で示した。
【0031】
実施例1〜7において、糸導入スリットにおける流体流れは、装置の外から糸道へ流れ込む方向で、また、糸道内糸挙動は、糸道内で均一に運動するものであった。
【0032】
この結果、本発明の糸条の流体処理装置を用いた実施例1〜7においては、交絡度が十分に高く、糸条の製造時や、その糸条を織、編加工する時に必要な集束性を有しいる糸条が得られた。特に、実施例2で得られた糸条は、開繊部/交絡部の糸条長手方向の均一性が非常に高かった。これは、糸道の、糸導入スリットが開口している側の壁面と流体噴射孔の壁面とが同一線上にあり、糸道の幅に対して流体噴射孔の幅の比(W’/W)が適正であったため、集束性がより高くなったものと考える。実施例7は糸道形状が円形であったため、実施例1〜6に比べ交絡度はやや低くなったが、糸条の製造時や、その糸条を織、編加工する時に必要な集束性は十分に有していた。
<比較例1、2、3>
糸条の流体処理装置として、糸道の中心軸に対する流体噴射孔の中心軸のオフセット方向が糸導入スリット方向とは逆方向であるもの、または、流体噴射孔の中心軸がオフセットされていないものを用いた以外は、実施例と同様の評価を行った。
【0033】
糸条の流体処理装置の詳細な寸法、評価結果は表1のとおりであった。
【0034】
得られた糸条は、交絡度が低下し、糸条の製造時や、その糸条を織、編加工する時に必要な集束性を有していないものであった。また、糸導入スリットにおける流体流れは、糸道から装置の外へ流れ出る方向であった。
【0035】
集束性が低下した原因は、比較例1の場合、流体噴射孔を、その流体噴射孔の中心軸が糸道の中心軸に対して糸導入スリットの逆方向にオフセットするように設けたため、糸導入スリットからの流体が流出し、その流れによって糸条が装置の外へ飛び出したことに起因すると考える。
【0036】
また、比較例2の場合、流体噴射孔を、その流体噴射孔の中心軸が糸道の中心軸に対して糸導入スリットの逆方向にオフセットするように設けたため、糸導入スリットの開口部分に流体の滞留が生じ、その流れによって糸条も糸導入スリットの開口部分に滞留し、フィラメント相互の絡み合いが起こりにくくなったためと考えられる。
【0037】
さらに、比較例3の場合、流体噴射孔を、その流体噴射孔の中心軸が糸道の中心軸に一致するように設けたため、糸導入スリットから流体の流入が低下し、十分な集束性が得られなかったと考える。
【0038】
【発明の効果】
本発明の糸条の流体処理装置は、装置の外から糸道に流入する流れを糸導入スリットに効果的に発生させることができるので、糸条の糸道への導入作業を容易にし、また、一旦糸道に導入した糸条が装置の外へ飛び出すことを防ぐことができる。さらに、糸条には噴射流体だけでなく、糸導入スリットから流入した流体も作用することとなり、高い集束性を糸条に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の糸条の流体処理装置の一実施態様の概略斜視図である。
【図2】図1におけるA−A矢視断面図である。
【図3】本発明の糸条の流体処理装置の別の実施態様の断面図である。
【図4】本発明の糸条の流体処理装置の別の実施態様の断面図である。
【図5】本発明の糸条の流体処理装置の別の実施態様の断面図である。
【図6】本発明の糸条の流体処理装置を用いた糸条の製造装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1:糸条の流体処理装置
2:糸道
3:流体噴射孔
4:糸導入スリット
5:紡糸口金
6:冷却装置
7:給油装置
8a、8b:ローラ
9:巻取装置
P2:糸道の中心軸
P3:流体噴射孔の中心軸
P4:糸導入スリットの中心軸
Y:糸条
θ:流体噴射孔の中心軸P3と糸導入スリットの中心軸P4の成す角

Claims (6)

  1. 糸道と、糸道に連通する流体噴射孔と、前記糸道に開口する糸導入スリットとを有し、かつ、前記流体噴射孔を、流体噴射孔の中心軸が前記糸道の中心軸に対して前記糸導入スリット側にオフセットするように設け、前記糸道の中心軸に垂直な横断面でみた前記糸道の幅をWとしたとき、前記糸道の中心軸と前記流体噴射孔の中心軸とからなすオフセット量OFが0<OF≦W/4の範囲内にある、糸条の流体処理装置。
  2. 流体噴射孔の中心軸を通り、かつ、糸道の中心軸を垂直に横断する断面において、糸道の、糸導入スリットが開口している側の壁面の延長線上に、流体噴射孔の壁面が位置している、請求項1に記載の糸条の流体処理装置。
  3. 糸道の中心軸に垂直で、流体噴射孔の中心軸を含む横断面でみた流体噴射孔の幅をW’としたとき、糸道の幅Wに対する流体噴射孔の幅W’の比が0.5≦W’/W≦0.95の範囲内にある、請求項1または2に記載の糸条の流体処理装置。
  4. 糸道を構成する壁面のうち少なくとも流体噴射孔に対向する壁面が平面である、請求項1〜のいずれかに記載の糸条の流体処理装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の糸条の流体処理装置と、糸条の流体処理装置によって処理された糸条を引き取る糸条引取手段とを含む糸条の製造装置。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の糸条の流体処理装置または請求項に記載の糸条の製造装置を用いる糸条の製造方法。
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