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JP3837499B2 - パルスレーザーの時間同期装置および任意波形生成装置 - Google Patents

パルスレーザーの時間同期装置および任意波形生成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信、医療、科学技術分野において超短パルス光源として広く用いられるフェムト秒パルスレーザー発生装置に関し、特にその同期制御装置とこれを用いた任意波形生成装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、フェムト秒パルスレーザーの同期制御技術として、代表的なものは以下の2つがある。
1つ目は、異なる波長の独立な超短パルスレーザーの同期制御を、それぞれのレーザーのパルス間隔を電気回路、例えばカウンター等で検出し、その偏差を一方の共振器長のミラーを駆動する圧電素子にフィードバックすることにより行う方法である。この方法ではカウンター等の電気回路の分解能および圧電素子の分解能などでタイミングジッターがきまり、このタイミングジッターは製品レベルでピコ秒(1ピコ秒=10^−12秒)のオーダー(参考文献〔1〕:スペクトラフィジックス社総合カタログ’00−’01、p18, lok−to−clock参照)、研究レベルで10〜20フェムト秒のオーダーとなっている(参考文献〔2〕:R. K. Shelton, et. al., 国際会議 CLEO2001, CTuG2参照)。
【0003】
2つ目は、一つのレーザー媒質に対して二つの共振器を作る方法である。用いるレーザー媒質をチタンサファイアレーザーとしたものについては、時間タイミング同期した2波長のパルスを取り出すことができている(参考文献〔3〕:S. J. White, et. al., 国際会議 CLEO2000, CThB5,参考文献〔4〕:J. M. Evans, et. al., Opt. Lett. 18, 1074 (1993),参考文献〔5〕:A. Leitenstorfer, et. al., Opt. Lett.20, 916 (1995),参考文献〔6〕:M. R. X. de Barros et. al., Opt. Lett. 18, 631 (1993),参考文献〔7〕:D. R. Dykaar, et. al.,Opt Lett. 18, 634 (1993)参照)。
【0004】
上記の場合、二つのレーザーパルスがレーザー結晶内で4光波混合を起こしてパルスタイミング同期を起こしているものと考えられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記2つ目のチタンサファイアレーザーによる2波長タイミング同期レーザーは、レーザー媒質が一つであるため、レーザー媒質の特性から近接した2波長に限定されている。また、二つのパルスともチタンサファイア結晶がゲイン媒質となっているためゲインの競合がおこり、パルスの重なりがよい状況ではかえって不安定になる性質がある。
このため、チタンサファイアレーザーによる2波長タイミング同期レーザーでは、離れた波長の2つのパルスレーザーの同期をとることは困難となった。
【0006】
また、上記1つ目の電気回路等を用いる方法では,タイミングジッターの影響が大きすぎてフェムト秒パルスレーザーの同期制御は正確に行えなかった。
本発明は、上記の課題を解決するために、離れた波長の2つの超短パルスレーザー間のタイミング同期がとれるようにしたパルスレーザーの時間同期装置およびこれを用いた任意波形生成装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために以下の手段を採用する。
(1)モード同期パルスレーザーの時間同期装置において、レーザー共振器全体の群速度分散をマイナスに設定し、3次の非線形光学媒質からなり第1のゲイン帯域を有する第1のレーザー媒質と、3次の非線形光学媒質からなり前記第1のゲイン帯域に含まれない第2のゲイン帯域を有する第2のレーザー媒質と、前記第1と第2のレーザー媒質をそれぞれ個別に備えた第1および第2の共振器とからなり、両共振器を一方のレーザー媒質中で両レーザーパルスが空間的に重なって3次光非線形効果を介して互いの光伝搬に影響を及ぼし合うように配置するとともに、前記第2のレーザー媒質の発振波長を第1のレーザー媒質の結晶では発振できない波長としたことを特徴とする。
【0008】
(2)上記(1)記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、両レーザーパルスが重なるように配置した一方のレーザー媒質の屈折率特性を、先行する一方のレーザーパルスの時間領域の光非線形効果である非線形屈折効果によって赤方変位または青方変位特性に変化させ、後行する他方のレーザーパルスを前記レーザー媒質に透過させ、先行する一方のレーザーパルスに後行する他方のレーザーパルスの伝搬速度が変化してタイミングが同期するように作用させることを特徴とする。
【0009】
(3)上記(1)記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、前記第1のレーザー媒質に基づく第1のレーザーパルスの隣り合う周波数成分の間隔と前記第2のレーザー媒質に基づく第2のレーザーパルスの隣り合う周波数成分の間隔が周波数領域の光非線形効果である4光波混合によって同一に同期し、マスタレーザーパルスによりレーザー媒質内で時間的な屈折率変化を起こさせ、スレーブレーザーが遅れたときには群速度が速くなり、スレーブレーザーが進んでいるときには群速度が遅くなるように屈折率変化を起こさせることを特徴とする。
(4)上記(1)記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、第1のレーザー媒質をチタンサファイアとし、第2のレーザー媒質をクロムフォルステライトとしたことを特徴とする。
(5)上記(1)記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、第1のレーザー媒質をチタンサファイアとし、第2のレーザー媒質をクロム4価ドープヤグとしたことを特徴とする。
【0010】
(6)任意波形生成装置において、上記(1)乃至(5)のいずれか1項記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置と少なくとも非線形光学結晶とハーフミラーとからなり、前記時間同期装置が出力するそれぞれ異なる光周波数ω1となる波長1と光周波数ω2となる波長2のレーザーパルスを前記非線形光学結晶を介して光周波数ω1に光周波数ω2を加えた光周波数ω3の和周波光と光周波数ω1から光周波数ω2を引いた光周波数ω4の差周波光として出力し、前記波長1の光を前記非線形光学結晶を介して波長1の半分の波長5となる光周波数2ω1の光として出力し、前記波長2の光を前記非線形光学結晶を介して波長2の半分の波長6となる光周波数2ω2の光として出力し、前記波長1および波長2の光はそのまま出力するようにしたことを特徴とする
【0011】
(7)上記(6)記載の任意波形生成装置において、上記光周波数ω1となるレーザーパルスの波長1を850nm、上記光周波数ω2となるレーザーパルスの波長2を1275nm、上記和周波光の上記波長3を510nmとしたことを特徴とする。
(8)上記(6)記載の任意波形生成装置において、前記波長1乃至6のレーザーパルスの内の任意数の異なる波長のレーザーパルスを合成して出力することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は2波長同期レーザーの比較特性図である。
【0013】
図1の左図は、従来の2波長同期レーザーの特性を示す。この図において、縦軸は光のエネルギー値、横軸は無次元。すなわち、ω1およびω2はチタンサファイア内のある波長、例えば800nmの波長のマスターレーザーの繰り返し周波数の間隔離れた光周波数成分、ω3およびω4はチタンサファイア内の他の波長、例えば850nmの波長のレーザー光の繰り返し周波数の間隔離れた光周波数成分。前記800nmおよび850nmのパルスは、レーザー媒質がチタンサファイア結晶であることから、非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域にエネルギー値を有し、ω1とω2およびω3とω4のエネルギー差は△ωとして一定の値をとる。
【0014】
このため、従来の2波長同期レーザーは、それぞれのパルスは非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域にエネルギー値を有する波長のレーザー光とする必要があったため、1つのレーザー媒質の結晶の特性に拘束されることになる。
これに対し、本発明は2波長同期レーザーの使用レーザー光の波長を1つのレーザー媒質の結晶の特性に拘束されることなく、離れた波長とする点に特徴を有する。
【0015】
図1の右図は本発明の2波長同期レーザーの特性図である。この図において、縦軸は光のエネルギー値、横軸は無次元。すなわち、ω1およびω2はチタンサファイア内のある波長、例えば850nmの波長のレーザー光の繰り返し周波数の間隔離れた光周波数成分、ω3およびω4はチタンサファイア内の他の波長、例えば1275nmの波長のレーザー光の繰り返し周波数の間隔離れた光周波数成分である。前記850nmのパルスは、レーザー媒質がチタンサファイア結晶であることから、非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域にエネルギー値を有するが、前記1275nmのパルスは、非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域にエネルギー値を有しない。これにより、マスターレーザー側のω1とω2のエネルギー値が含まれる非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域外にスレーブレーザーのω3とω4のエネルギー値をとれるようにω3とω4を含むレーザー光の波長を選択することが可能となる、すなわち先の非線形媒質(チタンサファイア結晶)と異なる媒質を用いることが可能となる。ω1とω2およびω3とω4のエネルギー差は△ωとして一定の値をとる。
【0016】
この結果、本発明は、従来の2波長同期レーザーがそれぞれのパルスは非線形媒質(チタンサファイア結晶)内のゲイン帯域にエネルギー値を有する波長のレーザー光とする必要があった欠点を解消し、1つのレーザー媒質の結晶の特性に拘束されることなく2波長を選択することができるようになる。それゆえ、従来の2波長同期レーザーでは4光波混合は実レベル遷移を用いているが本発明ではスレーブレーザー側の波長については非共鳴の遷移を用いることができる。従ってゲインの競合は起こらなくなる。
【0017】
図2は2波長パルスレーザーの時間同期装置を示す。この装置は二つのレーザー媒質とそれぞれの励起光、プリズム、鏡から構成される。一つ目のレーザー媒質であるチタンサファイア結晶はアルゴンレーザー又はNdドープレーザーの2倍波の緑色光により励起され、鏡(M1、M2、M8)とアウトプットカプラ(OC1)、プリズム(P1、P2)により共振器が構成されている。この共振器からは中心波長850nm、パルス幅20fsのパルスが約75MHzの繰り返しで発生する。鏡(M8)はピエゾ素子に固定されていて外部電圧により共振器長を調整できるようになっている。
【0018】
二つ目のレーザー媒質であるクロムフォルステライト結晶はNd:YVOレーザー(波長1064nm)により励起され、鏡(M3、M4、M5、M6、M7)とアウトプットカプラ(OC2)、プリズム(P3、P4)、半導体過飽和吸収鏡(SESAM)により共振器が構成されている。この共振器からは中心波長1275nm、パルス幅40fsのパルスが発生する。
【0019】
クロムフォルステライトレーザーの発振光は自らの共振器内でチタンサファイア結晶を透過し、その中でチタンサファイアレーザーの発振光と重なり相互作用を起こす。チタンサファイア結晶内ではチタンサファイアレーザーの光周波数とクロムフォルステライトレーザーの光周波数との4光波混合が起こり、二つのパルスは時間同期を起こすように働く。
【0020】
図1の右図に示すように、本発明が従来の2波長チタンサファイアレーザーと異なる点は、クロムフォルステライトレーザーのレーザー光のエネルギー値がチタンサファイア結晶のゲイン帯域に入らないため、クロムフォルステライトレーザーにとってチタンサファイアレーザーはゲイン媒質ではなくなる、つまり透明物質であるチタンサファイア結晶で4光波混合が起こり受動的な時間タイミング同期が起こる点である。この方式ができると大きく離れた波長のパルス間の同期ができ、ゲインの競合もなくなる。
【0021】
(上記の時間同期の仕組み)
周波数領域と時間領域でのそれぞれの説明をする。
チタンサファイアレーザーをマスターレーザー、クロムフォルステライトレーザーをスレーブレーザーとする。マスターレーザーはカーレンズモード同期により自ら超短パルスを発生させる。チタンサファイア結晶内にクロムフォルステライトレーザーが入射すると図3に示すような4光波混合を起こす。マスターレーザーの光周波数成分ω1とω2、スレーブレーザーの光周波数成分ω3から4光波混合により新たにω4の光周波数が発生する。
【0022】
このとき、ω1−ω2=ω4−ω3となる。ω1−ω2はマスターレーザーの繰り返し周波数、ω4−ω3はスレーブレーザーの繰り返し周波数に対応するためスレーブレーザーの繰り返し周波数はマスターレーザーの繰り返し周波数に引き込まれることになる。4光波混合によるω4の発生はマスターレーザーからスレーブレーザーへとエネルギーの移譲が起こったと解釈できる。つまりスレーブレーザーにとって透明物質であるチタンサファイア結晶で繰り返し周波数がマスターレーザーに一致したときにゲインが増えることになる。
【0023】
(光波混合)
ω1,ω2はチタンサファイアレーザーのある縦モードの周波数。ω3,ω4はクロムフォルステライトレーザーの縦モードの周波数である。実際にはそれぞれ多数の縦モードを含む。チタンサファイアレーザーの縦モード間隔ω1−ω2はΔωに相当し、クロムフォルステライトレーザーのある縦モードω3からΔωだけ離れた縦モードω4が生成される。これによりクロムフォルステライトレーザーの縦モード間隔もチタンサファイアレーザーのそれと同じ値になる。つまり、繰り返し周波数f=2πΔωが同期される。
【0024】
(時間領域)
図4は、本発明の時間領域でのタイミング同期動作を説明する図である。
マスターレーザーのパルスがスレーブレーザーのパルスに比べて進んでいると仮定する。マスターレーザーパルスの強度によってチタンサファイア結晶内では屈折率変化が起こる。結晶内の屈折率はパルスの波高値が高いほど大きくなる。この時間的な屈折率変化によってマスターレーザーパルスの立ち上がりではスペクトルの赤方変位、立ち下がりでは青方変位が起こる。スレーブレーザーパルスはマスターパルスの立ち下がりのところに位置しているためスペクトルの青方変位を受ける。レーザー共振器全体の群速度分散はマイナスに設定されているので青方変位を受けたパルスは共振器を一周する時間が短くなる。従って、スレーブレーザーパルスはマスターレーザーパルスに追いつくように働く。
【0025】
マスターレーザーパルスがスレーブレーザーパルスに比べて遅れているときには上記と逆の効果が起こるため、スレーブレーザーの周回時間は長くなり、やはり、レーザーパルスが近づくように働く。従って、二つのレーザーパルスは同期する。
(時間領域でのタイミング同期)
チタンサファイア結晶中をマスターレーザーパルスとスレーブレーザーパルスがともに左に進んでいる。このとき、仮にマスターレーザーパルスが先に進んでいるとする。
【0026】
マスターレーザーパルスの立ち下がり部分にスレーブレーザーパルスは重なる。このときスレーブレーザーパルスのスペクトルは青方変位を受ける。スペクトル全体が青方変位を受けると、共振器を一周するのにかかる時間が短くなり次に空間的に再び重なったときにはより時間的に重なりが大きくなる。スレーブレーザーパルスがマスターレーザーパルスを追い越してしまうと今度は赤方変位を受け、一周するのにかかる時間が長くなる。このようにしてパルス同士が重なり続けることになる。
【0027】
お互いの共振器長が大きく離れているときにはそれぞれの共振器長による繰り返し周波数でレーザーが動作する。ピエゾにより共振器長を変化させていき、引き込みが起こる範囲にはいるとスレーブレーザーの繰り返し周波数はマスターレーザーに引き込まれ、完全に一致する。図5,6にマスターレーザーのパルストレインとスレーブレーザーのパルストレインを同時にとったオシロスコープの写真を示す。図5はそれぞれの共振器長が大きく離れているときのもので、マスターレーザーのパルストレインでトリガーをかけるとスレーブレーザーのパルストレインは同期していないため流れてしまっている様子が分かる。ピエゾにより共振器長を近づけると図6のようにお互いのパルスが同期する。共振器長の変化に対するそれぞれの繰り返し周波数の差をプロットしたものが図7である。ある範囲で繰り返し周波数の差が0になっていることがわかる。
【0028】
図6は、本発明の同期状態を示す測定図であり、オシロスコープでマスターレーザーパルス列とスレーブレーザーパルス列を同時に観測した結果である。図5は共振器長のずれが大きい例である。図5において、上段はマスターレーザーパルス、下段はスレーブレーザーパルスである。マスターレーザーパルスでトリガーをかけるとスレーブレーザーパルスは同期していないため流れてしまう。図6は共振器長を調整した結果同期が起きた場合の例を示す。
【0029】
図7は、本発明の同期特性説明図である。
図7において、横軸はマスターレーザーの共振器長の変化Displacement(μm)、縦軸はマスターレーザーとスレーブレーザーの繰り返し周波数の差△fRT(Hz)を示す。図7において、マスターレーザーの共振器長を変化させたとき、約1μmの範囲でスレーブレーザーの繰り返し周波数はマスターレーザーの繰り返し周波数に一致する。つまり同期する。
【0030】
次に本発明の他の実施例を説明する。
図8は、本発明の他の実施例の和周波光発生装置の概略図である。
和周波光発生装置は、前記実施例1で説明した2波長パルスレーザーの時間同期装置を用い、この2波長パルスレーザーの時間同期装置から波長1(ω1)と波長2(ω2)のパルスを発生し、両パルスをレンズおよび非線形光学結晶を介して和周波光(光周波数:ω3=ω1+ω2)を出力する。
【0031】
和周波光発生装置は、本実験ではマスターとしてチタンサファイアレーザー、スレーブにクロムフォルステライトレーザーを使用しているが、スレーブレーザーの波長範囲がマスターレーザーのゲイン媒質に対して透明であればどのような組み合わせのレーザー同士でも成り立つ。
また、図8に示すとおり大きく離れた2波長のパルスが同期して出力されるため2波長のパルスの和周波光混合が容易に実現される。チタンサファイアレーザーとクロムフォルステライトレーザーを用いた場合、和周波光の波長は510nm付近であり、緑色のフェムト秒光源となる。また、チタンサファイアレーザーの第二高調波は青であり(波長425nm)、クロムフォルステライトレーザーの第二高調波は赤である(波長637nm)。従って本装置からフェムト秒の赤、緑、青の三原色を同時に発生させることができ、照明装置、描画装置(プロジェクターなど)への応用が期待される。また、理化学実験用光源としても安定な緑色のフェムト秒光源として利用価値が高い。
【0032】
図8において、波長1(光周波数;ω1)と波長2(光周波数;ω2)の光をそれぞれ非線形光学結晶を介して1/2波長、即ち、波長5(光周波数:ω5=ω1×2)、波長6(光周波数:ω6=ω2×2)の光を出力し、非線形光学結晶を介して波長3(光周波数;ω3=ω1+ω2)の和周波光、波長4(光周波数;ω4=ω1−ω2)の差周波光を出力し、前記波長1(光周波数;ω1)と波長2(光周波数;ω2)の光を出力するようにすると、6種類の波長の光を作れる。これらの波長の光を適宜合成すると任意の波形の光電場を作成することができる。図8の装置は、和周波光と同時に差周波光も発生している。
【0033】
図8の装置において、たとえば波長1を1275nm、波長2を850nmとすると、510nmの和周波光が発生する。同時に波長1の第二高調波(波長637nm)と波長2の第二高調波(波長425nm)を発生させるとRGBの三原色の時間同期したフェムト秒光源を一つの装置より発生させることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明は、請求項1ないし5記載の事項により、第2のレーザー媒質の発振波長を第1のレーザー媒質の結晶では発振できない波長とし、発振波長が大きく離れたレーザーパルスの同期をとることができるようになる。
【0035】
本発明の2波長パルスレーザーの時間同期装置はレーザー媒質を二つ用いてそれぞれの波長のパルスを発生させ受動同期させることによりきわめてタイミングジッターの少ない異なる2波長のパルスを発生させることができる。また、タイミング同期を起こすレーザー媒質は片方のパルスにとって透明物質であるためゲインの競合がない。従ってより安定なタイミング同期が起こる。
本発明は、請求項6または8記載の事項により、光電場の任意波形生成装置を作ることができる。
本発明は、請求項7記載の事項により、画像色表示用のRGB信号を簡単に作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2波長同期レーザーの比較特性図である。
【図2】本発明の実施例の同期装置を示す図である。
【図3】本発明の4光波混合の説明図である。
【図4】本発明の時間領域でのタイミング同期動作を説明する図である。
【図5】非同期状態を示す測定図である。
【図6】本発明の同期状態を示す測定図である。
【図7】本発明の同期特性説明図である。
【図8】本発明の他の実施例の和周波光発生装置の概略図である。

Claims (8)

  1. レーザー共振器全体の群速度分散をマイナスに設定し、3次の非線形光学媒質からなり第1のゲイン帯域を有する第1のレーザー媒質と、3次の非線形光学媒質からなり前記第1のゲイン帯域に含まれない第2のゲイン帯域を有する第2のレーザー媒質と、前記第1と第2のレーザー媒質をそれぞれ個別に備えた第1および第2の共振器とからなり、両共振器を一方のレーザー媒質中で両レーザーパルスが空間的に重なって3次光非線形効果を介して互いの光伝搬に影響を及ぼし合うように配置するとともに、前記第2のレーザー媒質の発振波長を第1のレーザー媒質の結晶では発振できない波長としたことを特徴とするモード同期パルスレーザーの時間同期装置。
  2. 請求項1記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、両レーザーパルスが重なるように配置した一方のレーザー媒質の屈折率特性を、先行する一方のレーザーパルスの時間領域の光非線形効果である非線形屈折効果によって赤方変位または青方変位特性に変化させ、後行する他方のレーザーパルスを前記レーザー媒質に透過させ、先行する一方のレーザーパルスに後行する他方のレーザーパルスの伝搬速度が変化してタイミングが同期するように作用させることを特徴とするモード同期パルスレーザーの時間同期装置。
  3. 請求項1記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、前記第1のレーザー媒質に基づく第1のレーザーパルスの隣り合う周波数成分の間隔と前記第2のレーザー媒質に基づく第2のレーザーパルスの隣り合う周波数成分の間隔が周波数領域の光非線形効果である4光波混合によって同一に同期し、マスタレーザーパルスによりレーザー媒質内で時間的な屈折率変化を起こさせ、スレーブレーザーが遅れたときには群速度が速くなり、スレーブレーザーが進んでいるときには群速度が遅くなるように屈折率変化を起こさせることを特徴とする特徴とするモード同期パルスレーザーの時間同期装置。
  4. 請求項1記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、第1のレーザー媒質をチタンサファイアとし、第2のレーザー媒質をクロムフォルステライトとしたことを特徴とするモード同期パルスレーザーの時間同期装置。
  5. 請求項1記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置において、第1のレーザー媒質をチタンサファイアとし、第2のレーザー媒質をクロム4価ドープヤグとしたことを特徴とするモード同期パルスレーザーの時間同期装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項記載のモード同期パルスレーザーの時間同期装置と少なくとも非線形光学結晶とハーフミラーとからなり、前記時間同期装置が出力するそれぞれ異なる光周波数ω1となる波長1と光周波数ω2となる波長2のレーザーパルスを前記非線形光学結晶を介して光周波数ω1に光周波数ω2を加えた光周波数ω3の和周波光と光周波数ω1から光周波数ω2を引いた光周波数ω4の差周波光として出力し、前記波長1の光を前記非線形光学結晶を介して波長1の半分の波長5となる光周波数2ω1の光として出力し、前記波長2の光を前記非線形光学結晶を介して波長2の半分の波長6となる光周波数2ω2の光として出力し、前記波長1および波長2の光はそのまま出力するようにしたことを特徴とする任意波形生成装置。
  7. 請求項6記載の任意波形生成装置において、上記光周波数ω1となるレーザーパルスの波長1を850nm、上記光周波数ω2となるレーザーパルスの波長2を1275nm、上記和周波光の上記波長3を510nmとしたことを特徴とする任意波形生成装置。
  8. 請求項6記載の任意波形生成装置において、前記波長1乃至6のレーザーパルスの内の任意数の異なる波長のレーザーパルスを合成して出力することを特徴とする任意波形生成装置。
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