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JP3801071B2 - 発電設備の運転・保全計画支援システム - Google Patents

発電設備の運転・保全計画支援システム Download PDF

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JP3801071B2
JP3801071B2 JP2002048931A JP2002048931A JP3801071B2 JP 3801071 B2 JP3801071 B2 JP 3801071B2 JP 2002048931 A JP2002048931 A JP 2002048931A JP 2002048931 A JP2002048931 A JP 2002048931A JP 3801071 B2 JP3801071 B2 JP 3801071B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電設備の運転・保全計画支援システムに係り、特に、複数の発電会社が所有する複数の発電ユニットの運転・保全を管理する共通のサービスセンターを設け、このサービスセンターが通信ネットワークを通して各発電ユニットから取得したプラントデータを用いて複数の発電会社毎にそれぞれの発電ユニットの運転・保全計画を立案するようにした発電設備の運転・保全計画支援システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、発電事業を営んでいる多くの発電会社は、複数の発電ユニットを保持しており、これらの発電ユニットの発電量を統括的に管理するため、各発電会社毎に中央給電指令所(中給)が設置された発電システムになっている。このような発電システムにおいて、中央給電指令所は、需要者側の電力需要に対応して発電ユニット毎に発電量を割当て調整し、各発電ユニットにおいて中央給電指令所で割当てた発電量を維持するように調整した運転が行われる。この場合、中央給電指令所は、経済性を高めるとの観点から、発電ユニットで使用される燃料費が最小となるように、すなわち発電効率が最大となるようにこの発電システムの運転計画を立案するとともに、環境保全を優先させるとの観点から、発電ユニットから放出される窒素酸化物や二酸化炭素等の排出ガス量が許容範囲内に収まるようにこの発電システムの運転計画を立案している。
【0003】
ところで、運転計画の基準となる発電効率や排出ガス量に関する特性は、使用する燃料の種類や発電方式によって大きく異なってくる。燃料については、火力発電の場合、石炭,石油,天然ガス等、多くの種類の燃料が使用されるもので、使用される燃料の種類によって、単位燃料価格当たりの発電量だけでなく、排出ガス量やその排出ガスの組成も大きく異なっている。また、発電方式については、蒸気タービンによる発電,ガスタービンによる発電、あるいはそれらを組み合わせたコンバインド発電というように、機器の構成自体が発電効率に大きく影響する。中央給電指令所は、これらの発電ユニットから得られるプラントデータ(プラントの特性を表すデータ)を、発電ユニット毎に格納保存しており、それぞれの発電ユニットに対する運転計画の立案の際にはこれらのプラントデータが用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知の発電システムにおいては、それぞれの発電会社の中央給電指令所が所有する発電ユニット毎にプラントデータを格納保存しているが、それらのプラントデータは、プラントの設計値または発電プラントの運転開始時等、発電ユニットにおける比較的初期の段階のプラントデータに限られており、このようなプラントデータは、年月が経過するに従って次第に変化したり、あるいは、使用する燃料の組成によって変化するため、このようなプラントデータを用いるだけでは、それぞれの発電ユニットにおける現実のプラント特性に基づいた運転計画を立案することができないものであった。
【0005】
また、前記既知の発電システムにおいては、発電ユニットを構成するガスタービン等の機器が常時高温にさらされているため、機器の負荷変動が頻繁に繰り返し発生した場合、熱疲労による機器の劣化が急速に進行する。このため、それぞれの発電会社毎に、所有する発電ユニットに対して、単純に燃料費が最小になるような経済性に富んだ運転を採用したとしても、機器の負荷変動が繰り返されれば、機器の寿命が縮まり、その交換時期が早まるため、保全費を含めたプラント運用に必要な各発電ユニットのトータルコストが必ずしも最小にならないものであった。
【0006】
さらに、前記既知の発電システムにおいては、それぞれの発電会社毎に、所有する複数の発電ユニットに対して高い発電効率を有する発電ユニットを積極的に選択して運転したとしても、その発電ユニット構成している機器または部品の故障確率が高い場合は、機器または部品の故障発生によって計画外停止が発生し、それによる経済的損失をもたらす可能性があるため、燃料費のみに基づいて複数の発電ユニットの運転計画を立案しても、結果的にコストが最小にならないものであった。
【0007】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、現実のプラントデータを用い、発電ユニットの機器または部品の種々の状況を含めたトータル判断に基づいて複数の発電会社毎に所有する発電ユニットの運転計画を立案する発電設備の運転・保全計画支援システムを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
また、前記目的を達成するために、本発明は、複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と、共通のサービスセンターとが通信ネットワークを介して接続配置され、サービスセンターは、複数の発電ユニットからそれぞれ通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、複数の発電会社毎に、複数の発電ユニットから取得したプラントデータを用いて機器モデルによってプロセス値を推定し、推定したプロセス値と実測値との偏差値を求め、求めた偏差値から当該発電ユニットの発電効率の低下によって生じる経済的損失費用を複数の発電会社毎に算定し、算定した経済的損失費用と当該発電ユニットにおける機器または部品の交換に係わる費用との比較により、複数の発電会社毎に所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案する第1の手段を備える。
【0011】
前記第1の手段によれば、サービスセンターにおいて、リアルタイムで評価算出した発電効率に基づいて、複数の発電会社毎に、所有する各発電ユニットの運転・保全計画を立案する際に、機器モデルにより推定したプロセス値と実測値との偏差値から性能の低下に伴う経済的損失費用を算出し、この経済的損失費用と機器または部品の交換に係わる費用とを比較し、その比較結果を用いて各発電会社毎の発電ユニットの運転・保全計画を立案することができるため、各発電会社毎に運転・保全のトータルコストを削減することができる。
【0014】
また、前記目的を達成するために、本発明は、複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と、共通のサービスセンターとが通信ネットワークを介して接続配置され、サービスセンターは、複数の発電ユニットからそれぞれ通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、複数の発電会社毎に、取得したプラントデータを用いて当該発電ユニットの機器または部品の余寿命を算定し、算定した余寿命と他の発電ユニットで求めたその発電ユニットの機器または部品の余寿命とを比較して、経済性が高まるように当該発電ユニットの機器または部品の運転条件を変更し、当該発電ユニットの機器または部品の交換を延長または短縮することにより、複数の発電会社が所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案する第2の手段を備える。
【0015】
前記第2の手段によれば、サービスセンターにおいて、リアルタイムで評価算出した発電効率に基づいて、複数の発電会社毎に、所有する各発電ユニットの運転・保全計画を立案する際に、自己の発電ユニットだけでなく、他の発電ユニットの機器または部品の余寿命に基づいて自己の発電ユニット機器または部品の運転条件を変更するようにしているので、複数の発電会社毎に、所有する発電ユニットの運転・保全に必要なトータルコストが最小となるように運転・保全計画の立案が可能になり、既知の発電システムに比べてそれぞれの発電会社で得られるコストメリットが大きくなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に図示されるように、この発電設備の運転・保全計画支援システムは、運転・保全計画の立案業務を行う共通のサービスセンター1と、2つの発電ユニット41,42と1つの中央給電指令所(中給)43を有するA発電会社4と、2つの発電ユニット51,52と1つの中央給電指令所(中給)53を有するB発電会社5と、インターネット等の通信ネットワーク6とからなっている。この場合、サービスセンター1,発電ユニット41,42,発電ユニット51,52,中央給電指令所43,53は、通信ネットワーク6に選択的に接続される。
【0019】
A発電会社4は自社の所有する発電ユニット41,42、B発電会社5は自社の所有する発電ユニット51,52に対する運転・保全計画の立案業務をそれぞれサービスセンター1に依頼する。
【0020】
次に、図2は、図1に図示された発電ユニット41の構成の一例を示すブロック図であり、図3は、図1に図示された共通のサービスセンター1の構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示されるように、発電ユニット41は、発電ユニット41の本体411側に、第1プロセス値を検出する第1センサ412と、第2プロセス値を検出する第2センサ413と、本体411の第1部分を制御する第1制御装置414と、本体411の第2部分を制御する第2制御装置415と、第1及び第2プロセス値を伝送信号に変換するプロセス計算機416とを有しており、この他に、通信を行うために、プロセス値送信部417と、ファイアーウォール418とが設けられる。既知の発電ユニットにおいては、プロセス計算機が第1及び第2センサで検出したプロセス値を演算する機能を持ち、発電ユニットを運転するのに必要な全てのプロセス値をデータベースに格納している。プロセス値送信部417は、プロセス計算機416のデータベースからプロセス値を取得し、ファイアーウォール418を通して通信ネットワーク6に送信する。このプロセス値の送信時に、送信時刻情報及び発電ユニット41を特定するためのIDを併せて送信する。なお、この実施の形態においては、通信ネットワーク6にインターネットが使用されるため、外部から発電ユニット41への不正アクセスを防止するためにファイアーウォール418を設置しているが、通信ネットワーク6に専用線が使用されれば、ファイアーウォール418を省略することができる。なお、発電ユニット42,51,52においても、発電ユニット41と同様の構成を具備している。
【0022】
また、図3に示されるように、サービスセンター1は、ファイアーウォール11と、プロセス値受信部12と、プロセス値データベース13と、機器モデルデータベース14と、材料情報データベース15と、故障情報データベース16と、メーカ情報データベース17と、設計情報データベース18と、効率診断部19と、余寿命診断部20と、故障頻度評価部21と、メーカ優先度評価部22と、電力需要量受信部23と、運転計画情報送信部24と、運転計画評価部25と、定期検査(定検)情報データベース26と、機器情報データベース27とからなり、これらは、図3に図示されるように相互接続されている。
【0023】
発電ユニット41は、プロセス値送信部417がプロセスデータを送信すると、そのプロセスデータは通信ネットワーク6を通してサービスセンター1側に伝送される。サービスセンター1は、ファイアーウォール11を通してプロセスデータを取得し、取得したプロセスデータをプロセス値受信部12からプロセス値データベース13に伝送し、そこに格納する。また、他の発電ユニット42,51,52から伝送されてきたプロセスデータも、同じようにプロセス値データベース13に格納する。
【0024】
ここで、図4は、図3に図示されたプロセス値データベース13の格納内容を示す説明図であり、プロセスデータの構成を示すものである。
【0025】
図4に示されるように、プロセスデータは、発電会社毎に、かつ、発電ユニット毎に、プロセス値を識別するためのIDであるプロセス番号が付され、そのプロセス番号で管理される。この場合、サービスセンター1は、それぞれの発電ユニット41,42,51,52から一定周期でプロセスデータを取得しているもので、この実施の形態においては、プロセス値データベース13に格納されているプロセスデータの時刻内容から判るように1秒周期でプロセスデータを取得している。
【0026】
A発電会社4の中央給電指令所43及びB発電会社5の中央給電指令所53は、自社の発電ユニット41,42,51,52が供給する必要がある電力量を、それぞれ電力需要情報として通信ネットワーク6を通してサービスセンター1へ送信する。これらの電力需要情報は、電力需要に応じて時々刻々変化するものであるため、一定周期、例えば、1秒おきに送信する。サービスセンター1は、ファイアーウォール11を通してこれらの電力需要情報を電力需要量受信部23で受信し、受信した電力需要情報を運転計画評価部25に供給する。このとき、運転計画評価部25は、発電会社4,5毎に、それぞれの発電ユニット41,42,51,52の発電量の合算値と要求値が一致するように、各発電ユニット41,42,51,52に対して発電量を振り分け、振り分けた結果を運転計画情報送信部24に供給する。運転計画情報送信部24は、運転計画情報、すなわち発電会社4,5毎に、それぞれ所有する発電ユニット41,42,51,52に振り分けた発電量情報を通信ネットワーク6を通して中央給電指令所43,53にそれぞれ送信する。中央給電指令所43,53は、サービスセンター1から送られてきた運転計画情報の内容を確認し、運転計画情報に従って、自社の発電ユニット41,42,51,52に対して発電量の指令値を出力する。
【0027】
これまでの説明は、発電設備の運転・保全計画支援システムにおける時々刻々と変化する電力需要に対応した、各発電会社4,5毎の、所有する発電ユニット41,42,51,52の運転計画に係わるものであるが、この他に、自社の発電ユニット41,42,51,52を運転するよりも、他社の発電ユニット51,52,41,42からの電力を融通してもらった方が運転・保全にかかるトータルコストを低減できる場合がある。このようなとき、サービスセンター1の運転計画情報送信部24は、策定した運転計画を各発電会社4,5の中央給電指令所43,53にそれぞれ送信し、それぞれの発電会社4,5の了解を取り付けた段階で、最終的な運転計画としている。それぞれの発電会社4,5の中央給電指令所43,53は、自社の発電ユニット41,42,51,52に対してその運転計画に従った発電量の指令値を出力する。
【0028】
以上、サービスセンター1が複数の発電会社4,5に対して果たす役割について説明した。
【0029】
次に、サービスセンター1が運転・保全計画を立案する処理について詳細に説明する。
【0030】
サービスセンター1は、運転計画を立案するための指標の1つとして、発電効率を使用する。以下、発電効率を計算するための処理について述べる。
【0031】
図3に図示されたサービスセンター1において、発電効率を評価する箇所は効率診断部19である。効率診断部19は、設計情報データベース18を参照し、発電ユニットを構成している機器の型式を調査する。
【0032】
図5は、図3に図示された設計情報データベース18の格納内容を示す説明図であり、設計情報データの構成を示すものである。
【0033】
図5に示されるように、設計情報データは、発電会社毎に、発電ユニットを構成する機器または部品と、それらの機器または部品毎に供給メーカと型式からなっている。例えば、A発電会社の第1の発電ユニットの場合、ガスタービンはA社の型式GT001の製品を採用し、また、このガスタービンを構成する部品は、燃焼器がB社の型式CB003、タービンがA社の型式TB001、圧縮器がA社のCP001からなることを示している。
【0034】
また、効率診断部19は、機器モデルデータベース14から発電効率を計算するための機器モデルを参照する。
【0035】
図6は、機器モデルデータベース14の格納内容を示す説明図であり、機器モデルデータの構成を示すものである。
【0036】
図6に示されるように、機器モデルデータは、部品または型式と、部品または型式毎の機器モデルとからなっているもので、機器モデルの実体は、計算機上で動作するプログラムである。また、機器モデルデータには、機器モデル毎に、プログラムの入出力となるプロセス値のプロセス番号も付与されている。
【0037】
効率診断部19は、機器モデルデータベース14に格納されている入出力仕様に従ってプログラムを動作させる。
【0038】
次に、機器モデルを用いて効率診断を行う処理工程について述べる。
【0039】
図7は、ガスタービンの概要構成を示す説明図である。図7に示されるように、ガスタービンは、圧縮機,燃焼器,タービンによって構成され、それらの間を空気,燃焼ガスまたは燃料が通流する。例えば、図7に図示の機器モデルを、機器モデルデータベース14に格納されている圧縮機,燃焼器,タービンの機器モデルの組み合わせによって構成した場合、それぞれの機器モデルの性能を計算することにより、ガスタービン全体の性能を計算することができる。すなわち、図7に示すように、燃料,軸回転数,吸込空気に関する流量,温度等の実測値を機器モデルの入力に設定すると、その入力条件の基で本来出力されるべき電気出力や排ガス温度を推定することができる。それぞれの機器モデルは、正常動作するものと仮定して計算を行う。このため、機器モデルによる推定値とプラントデータから取得した実測値との間に偏差値が生じた場合、このプラントデータを発生した発電ユニットが正常状態を逸脱しているものと判断できる。
【0040】
図8は、電気出力についての機器モデルによる推定値と実測値のトレンドを示している。初期の段階では、推定値と実測値はほぼ一致しているが、時間の経過とともに偏差が大きくなっている。これはガスタービンの劣化進行に伴い性能が低下し、設計通りの出力が得られないことを意味している。図8に図示の例では、ガスタービン全体の性能を計算したときの例であるが、圧縮器,燃焼器,タービン単体毎の性能も計算できる。この場合、性能が低下している部品が特定できるため、故障原因を把握するのに有効である。
【0041】
効率診断部19は、機器モデルで求めた性能計算の結果を発電コストに換算し、これとプラントデータの実測値から求めた発電コストと比較する。
【0042】
図9は、効率診断部19の解析例を示すものである。発電コストは単位発電量の出力に必要な燃料費として定義し、これを一定時間間隔(例えば、1時間おき)で求める。図9における「実測値での評価」とは、プロセス値データベースに格納した電気出力、及び燃料流量の値と、あらかじめ取り込んでおいた燃料価格を用いて求めた発電コストである。燃料流量に燃料価格を乗算し、それを電気出力で除算すれば、発電コスト求めることができる。これに対し、図9の「機器モデルによる推定値での評価」とは、燃料流量として実測値、電気出力として前記機器モデルによる推定値を用いて求めた発電コストである。両者の方法で求めた発電コストをそれぞれ負荷ごとにプロットすると、機器の性能が設計通りに得られるのであれば、2つのグラフは一致する。図9に図示の例は、機器の性能が低下したことにより、発電コストが上昇した例を示している。
【0043】
次いで、効率診断部19が算出した発電コストを用い、運転・保全計画を立案する箇所は、運転計画評価部25である。そこで、運転計画評価部25で実行される処理について述べる。
【0044】
運転計画評価部25は、オンラインで求めたそれぞれの発電ユニット41,
42,51,52の発電コストを用い、経済的な観点から、各発電ユニット41,42,51,52の中の発電コストの低い発電ユニットを積極的に運転するような計画を立案する。例えば、各発電ユニット41,42,51,52の中の1つの発電ユニット41において、その構成機器、例えばガスタービンの劣化が進行し、効率低下が発生しているとしたとき、前述のように、発電ユニット41のプロセスデータから求めた実測値に基づく発電コストと、機器モデルによる推定値から求めた発電コストとの間に偏差値が発生する。このとき、運転計画評価部25は、性能低下に伴う経済的な損失を以下の式(1)を用いて評価する。
【0045】
性能低下による経済的損失(¥)をL1とすると、L1=C×A×D1と表され、この式を式(1)と称する。ここで、Cは、性能低下による発電コスト増加分(¥/MWd)であり、Aは、1日当たりの発電量(実績値)(MWd/日)であり、D1は、定検までの残日数(日)である。式(1)において、1日当たりの発電量Aは各運転日における電気出力の累積値に対する平均値を用いて求める。1日当たりの発電量Aに定期検査(定検)までの残存日数D1を乗算すると、定期検査までに発電できる予想される発電量が計算できる。定期検査の計画に関する情報は、定検情報データベース26に格納されている。
【0046】
図10は、定検情報データベース26の格納内容を示す説明図であり、定期検査情報データの構成を示すものである。
【0047】
図10に示されるように、定期検査情報データは、過去に実施された定期検査の実施時点と、今後実施予定の定期検査時を表す情報であって、この定期検査情報データに基づいて定期検査までの残存日数を計算する。定期検査までの予想される発電量(A×D1)に、発電コスト増加分(C)を乗算することにより、性能低下に伴う経済的損失(L1)が計算できる。
【0048】
次に、運転計画評価部25は、運転保全にかかるトータルコストの観点から、1つの発電ユニット、例えば発電ユニット41の運転を停止して、機器または部品を交換すべきか、または、性能が低下した状態で運転を続行すべきかについて判断する。このとき、運転計画評価部25は、機器情報データベース27を参照し、機器または部品の交換に伴うコストを計算する。
【0049】
図11は、機器情報データベース27の格納内容を示す説明図であり、機器情報データの構成を示すものである。
【0050】
図11に示されるように、機器情報データは、機器または部品毎に、メーカ及び型式,購入価格,設置作業に必要な設置日数からなっている。この場合、機器または部品の交換に伴うコストは、減価償却を加味した機器または部品の時価と、交換作業により発電ユニットを停止したことによる電力販売の機会損失分とを合計したものであって以下の式(2)で表される。
【0051】
機器/部品交換に伴う経済的損失(¥)をL2とすると、L2=P×(1−R)+A×D2×Eと表され、この式を式(2)と称する。ここで、Pは、交換機器/部品購入価格(¥)であり、Rは、寿命消費値(規格値)(−)であり、Aは、1日あたりの発電量(実績値)(MWd/日)であり、D2は、設置作業日数(日)であり、Eは、電力の販売価格(¥/MWd)である。式(2)において、機器または部品の購入価格(P)については機器情報データベース27の格納情報を参照する。また、減価償却については余寿命を考慮して評価し、既に消費された寿命(R)を指標として使用する。この寿命消費値(R)は、規格化された値であって、使用開始時の新品状態のときに0であり、使用年数に応じて値が増加して行き、交換基準に達した時点に1になる。すなわち寿命消費値(R)が1になった場合、機器を使い切り、その価値がなくなったことを意味する。寿命消費値(R)の算定方法については後述する。また、電力販売の機会損失分については、1日当たりの発電量(A)に、機器情報データベース27の格納情報である設置作業日数(D2)を乗算することにより、機器または部品の交換のために発電できなかった発電量を計算することができる。これに、電力の販売価格(E)を乗算すれば、機器または部品の交換に伴う経済的損失(L2)を計算できる。
【0052】
運転計画評価部25は、前記性能低下に伴う経済的損失(L1)と前記機器または部品の交換に伴う経済的損失(L2)とを比較する。発電ユニットの性能低下が進行し、経済的損失(L1)が経済的損失(L2)を超えたとき、当該発電ユニットの運転を停止し、機器または部品を交換するように計画する。
【0053】
発電ユニットの性能低下に伴って、その発電ユニットの運転を停止させる場合には、他の発電ユニットの発電量を増加させ、電力需要に見合った発電量を確保する必要がある。場合によっては、発電コスト(単位電気出力当たりの燃料費)が高く、普段は使用していない発電ユニットを運転したり、他の発電会社から電気を購入したりすることもある。
【0054】
運転計画評価部25は、自社の発電ユニットを停止した発電会社だけでなく、他の発電会社が所有する発電ユニットの発電コストも考慮に入れて、必要な発電量を確保する方法を検討する。前述のように、サービスセンター1は、発電ユニットから取得したプロセス値を基にしてリアルタイムで発電コストを計算している。発電ユニットを停止する場合には、まず、自社と他社のそれぞれの発電ユニットにおいて、発電量を増加する余裕のある発電ユニットの内、最も発電コストが低い発電ユニットを検索する。次いで、他社の発電コストについては、自社の発電コストに一定の価格を上乗せしたコストを算定し、この算定コストと自社の発電コストとを比較する。上乗せ価格を考慮したとしても、なお他社の発電コストの方が安い場合は、他社から電力を購入する。すなわち、他社の発電ユニットの発電量を増加するように運転計画を立案する。前述のように、複数の発電会社、例えばA発電会社4とB発電会社5にまたがる発電量の調整については、サービスセンター1が運転計画を通信ネットワーク6を通してそれぞれの発電会社4,5に送信し、これらの発電会社4,5の承諾を得た時点において正式な運転計画になる。発電会社4,5の承諾についても、サービスセンター1は、通信ネットワーク6を通して確認する。
【0055】
さらに、サービスセンター1においては、運転計画を立案するための指標の一つとして、機器または部品の余寿命を使用する。以下、余寿命を計算するための処理について述べる。
【0056】
サービスセンター1において、機器または部品の余寿命を評価する箇所は余寿命診断部20である。余寿命診断部20は、材料情報データベース15に格納したそれぞれの発電ユニットにおける余寿命評価データに基づいて、その発電ユニットの余寿命を評価する。
【0057】
図12は、材料情報データベース15の格納内容を示す説明図であり、材料情報データ、すなわち余寿命評価データの構成を示すものである。
【0058】
ガスタービンのように動作時に高温にさらされる部品は、印加温度の変化に伴う熱応力の変化によって熱疲労損傷と、印加温度の高さとその接続時間に応じて進行するクリープ損傷が進行する。これらの損傷は、一定限界値を超えると、亀裂等の損傷を誘発し、大事故の原因になる。
【0059】
図12に示されるように、余寿命評価データは、それぞれの発電ユニット(ガスタービン)における熱疲労損傷及びクリープ損傷の蓄積を表したグラフからなっている。熱疲労損傷のグラフは、縦軸が正規化された熱疲労損傷値であり、横軸が10秒毎の排ガス温度変化率積算値であって、熱疲労損傷値が1に達した時点が部品の交換時期となる。つまり、ガスタービンにおける排ガス温度変化率積算値は、排ガス温度の現在の温度値と10秒前の温度値との差(10秒間の変化率を表す)の絶対値に規格化定数を乗算し、この乗算結果を10秒毎に加算することによって得られる値であって、熱疲労損傷値は、時間の経過とともに単調に増加する。また、クリープ損傷を表すグラフは、縦軸が正規化されたクリープ損傷値であり、横軸が10秒毎の排ガス温度積算値であって、クリープ損傷値が1に達したとき、クリープ損傷に対する材料耐性の限界となる。クリープ損傷値は時間の経過に伴って単調に増加する。ガスタービンの消費された寿命(R)は、熱疲労損傷とクリープ損傷値との和から求める。つまり、R=H+C(式)3によって寿命(R)を求めることができる。ここで、Hは、熱疲労損傷値(規格化値)、Cはクリープ損傷値(規格化値)を示す。
【0060】
図13は、前記処理によって求めた寿命消費値の時間に対する変化状態をプロットしたグラフであって、余寿命診断部20で解析した解析例を示すものである。
【0061】
新品のガスタービンは、その設置時点における寿命消費値が0で、起動/停止や負荷調整等、温度変化を伴う運転を繰り返すに従って順次増加する。ガスタービンの余寿命を評価するには、現在までの寿命消費値に、寿命消費値を表す数式によってその後の寿命消費値を外挿して予測し、その予測結果、熱疲労値が交換の基準である1に達するまでの残り時間から求める。
【0062】
サービスセンター1において、運転計画評価部25は、余寿命診断部20が評価した余寿命データを取得し、その余寿命データを用いて運転計画を立案する。
【0063】
図14は、ある発電ユニットに対して、運転計画評価部25が余寿命データを用いて運転計画を立案するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【0064】
図14を用いてこのフローチャートについて説明すると、まず、ステップS1において、運転計画評価部25は、余寿命診断部20が評価した当該発電ユニットの余寿命データを取得し、その余寿命の日数を算出する。
【0065】
次に、ステップS2において、運転計画評価部25は、定検情報データベース26を参照し、当該発電ユニットの定期検査までの日数を求め、算出した余寿命の日数が求めた定期検査までの日数よりも長いか否かを判断する。そして、余寿命の日数が定期検査までの日数よりも長いと判断した(Y)ときは、次のステップS3に移行し、一方、余寿命の日数が定期検査までの日数よりも長くない判断した(N)ときは、他のステップS4に移行する。
【0066】
次いで、ステップS3において、運転計画評価部25は、当該発電ユニットに対して通常運転を行うように運転計画を立案してこの一連のフローチャートの処理を終了する。
【0067】
また、ステップS4において、運転計画評価部25は、当該発電ユニットにおける最大発電量を25%低減させて現在の発電量の75%に、電力需要量に応じて変化する負荷調整量を25%低減させて現在の負荷調整量の75%にそれぞれ設定し、当該発電ユニットの余寿命の延長を図った運転計画を立案する。
【0068】
続く、ステップS5において、運転計画評価部25は、当該発電ユニットにおける最大発電量が100%低減したか否かを判断する。そして、最大発電量が100%低減したと判断した(Y)ときは次のステップS6に移行し、一方、最大発電量が未だ100%低減していないと判断した(Y)ときは他のステップS7に移行する。
【0069】
続いて、ステップS6において、運転計画評価部25は、後述するように、ステップS4における処理を4回繰り返し行い、それによってもなお余寿命が到来したことにより、当該発電ユニットの運転を停止する運転計画を立案してこの一連のフローチャートの処理を終了する。
【0070】
また、ステップS7において、運転計画評価部25は、当該発電ユニットの運転を1週間続行する運転計画を立案する。そして、運転計画評価部25は、この運転計画が終了した1週間後に、ステップS1に戻り、再度、ステップS1以降の動作を繰り返し実行する。
【0071】
ところで、余寿命に基づいて発電ユニットの最大発電量と負荷調整量を減少するように設定した場合には、それらの減少を補うため、他の発電ユニットの発電量を増加させるとともに、電力需要に発電量を追従させるような運転を行う必要がある。このうち、最大発電量については、前述のように、オンラインで求めた発電コストに基づいて最適な発電ユニットを選択する。一方、負荷調整量については、熱疲労が増大するような運転を強いるため、余寿命に基づいて最適な発電ユニットを選択する。
【0072】
図19(a)(b)は、このときの発電ユニットの選択原理を示す特性図である。いま、ある発電ユニットの最大発電量と負荷調整量を減少させたとき、(a)に図示されるような電力量の不足が発生した場合、(b)に図示されるようにベース上昇とピーク対応とに分けて、電力量の不足分を補うことになる。ベース上昇については、発電コストの低い発電ユニットを選択して最大発電量を増大させ、ピーク対応については、余寿命が多く残っている発電ユニットを選択して負荷追従性を増加させる。
【0073】
この運転計画の立案に並行して運転計画評価部25は、オンラインで計算した各発電ユニットの発電効率に基づき、高い発電効率の発電ユニットを積極的に選択して運転させる運転計画を立案する。例えば、図9に図示されるように、発電ユニットの発電量(出力)を低下させることは、異常に伴う性能の低下に拘わらず、発電効率の低下(コストの上昇)をもたらす。そのため、余寿命を基に発電量を低くするよう調整した発電ユニットの運転が行われる確率が低くなる。そして、運転計画評価部25は、それぞれの発電ユニットに対する余寿命診断を行った結果、運転停止すべき判断した発電ユニットについては、機器または部品の交換を実施するような保全計画を立案する。
【0074】
基本的には、自社の所有する発電ユニットの中から発電量及び負荷調整を補うための発電ユニットを選択するが、自社の発電ユニットで補償できない場合は、他社の発電ユニットから電力を調達するように運転計画を立案する。この場合、ベース上昇のために一定電力を供給する場合と、ピーク対応のために発電量に時間変化を伴う場合とでは、電力価格に格差を設ける。つまり、ピーク対応については、負荷を頻繁に変化させるため、機器または部品の寿命を短くしやすいことから、通常価格に一定の上乗せ価格を加算した電力価格になる。
【0075】
これまでの説明においては、余寿命データを用いて発電ユニットの運転・保全計画を立案する際に、機器または部品の劣化が予想以上に進行し、その交換時期が早まった例を示すものである。そして、通常の発電ユニットの運転・保全計画の立案においては、余寿命データに基づいて、定期検査の実行時に機器または部品を交換するように計画しているが、運転状況の変更等によって、余寿命が予想以上に早めに到来したような場合であっても、寿命を超過した機器または部品を使用しないような運転計画を立案することも可能である。このため、本実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムにおいては、寿命を超過した機器または部品に基づいて発生した異常により、発電ユニットの計画外停止をもたらすというような不測の事態の発生を回避することができ、発電ユニットの計画外停止に伴う経済的損失の回避を図ることができる。
【0076】
また、これとは逆に、リアルタイムに評価した余寿命の結果から、機器または部品の交換時期を延長する例もある。例えば、高温にさらされるため劣化進行が早いガスタービンは、これまで交換の基準時間(例えば、累積運転時間が50000時間等)を設けて、それを超えることがないように定期点検の中で部品交換を実施していた。しかし、余寿命が多く残っている場合には、必ずしも基準時間に達したときに部品交換を行う必要はなく、交換時期を延長させることも可能である。この場合、基準時間を基にした部品交換に比べて、それぞれの発電会社4,5において、保全コストを削減することができる。
【0077】
また、サービスセンター1は、運転計画を立案するための指標の一つとして、機器の故障頻度を使用する。以下、機器の故障頻度を計算するための処理について述べる。
【0078】
サービスセンター1において、機器の故障頻度を評価する箇所は故障頻度評価部21である。故障頻度評価部21は、故障情報データベース16に格納した故障情報データに基づいて、各機器の故障頻度を評価する。
【0079】
図15は、故障情報データベース16の格納内容を示す説明図であり、故障情報データの構成を示すものである。
【0080】
図15に示されるように、故障情報データは、それぞれの発電ユニットにおいて発生した故障履歴を表しているもので、例えば、2000年9月10日に、発電所Aの第1発電ユニットにおいては、A社が製造した型式VL0010の弁にパッキン劣化が発生したのでそれを補修したこと、また、この弁は1992年3月10日に取り替えを行ったことも表している。この故障情報データの内容によれば、約8年6ヶ月の使用によって弁が故障したことが判る。発電所Bの第2発電ユニットのポンプについても同様である。
【0081】
故障頻度評価部21は、故障情報データベース16の格納データを用い、それぞれの機器または部品がどの程度の確率で(何年に一回か)、故障が発生するかを評価し、その評価結果を運転計画評価部25に供給する。
【0082】
運転計画評価部25は、故障頻度評価部21から供給された評価結果と、定検情報データベース26の参照結果とを用い、それぞれの発電ユニットの機器または部品が、以後、何回目の定期検査が行われる時期まで故障せずに使用できるかを評価する。そして、これらの機器または部品の故障確率から推測して、次回の定期検査が行われる時期までしかもたない機器または部品がある場合は、定期検査においてその機器または部品の交換を計画する。
【0083】
さらに、サービスセンター1においては、運転計画を立案するための指標の一つとして、メーカ(製造元)に対する優先度を使用する。以下、メーカに対する優先度を計算するための処理について述べる。
【0084】
サービスセンター1において、メーカに対する優先度を評価する箇所はメーカ優先度評価部22である。メーカ優先度評価部22は、メーカ情報データベース17に格納したそれぞれのメーカ情報に基づいて、そのメーカの優先度を評価する。
【0085】
図16は、メーカ情報データベース17の格納内容を示す説明図であり、メーカ情報データの構成を示すものである。
【0086】
図16に示されるように、メーカ情報データは、それぞれの機器または部品に対して、メーカ毎にその信頼性及びメンテナンス力を評価しているもので、評価基準としてA,B,Cを用いている。この場合、Aは10点、Bは5点、Cは0点という点数が付けられ、総合点数を求めることによって、点数の高い順にメーカの優先度の高さになる。
【0087】
運転計画評価部25は、発電ユニットを選択して運転させる場合、発電ユニットに用いられている機器または部品のメーカの優先度が高い場合、その発電ユニット積極的に選択して運転させるような計画を立案する。
【0088】
以上、説明したように、この実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムにおいては、それぞれの発電会社4,5毎に、所有する発電ユニット41,42,51,52の運転・保全計画を立案するとき、性能診断結果,余寿命診断結果,故障頻度,メーカに対する優先度を使用して立案するものであるが、他の発電会社5,4が所有する発電ユニット51,52,41,42を調整し、電力を調達した方がコスト的に有利になる場合は、複数の発電会社4,5にまたがる運転・保全計画を立案する。
【0089】
そして、他社から電力を調達した場合は、発電会社4,5間で電力料金の支払が発生するが、通常、複数の電力会社4,5が相互に電力を調達し合うので、その調達の度に電力料金の支払を行う必要はなく、ある一定期間毎に、例えば、1年毎に貸借を相殺した後の電力分に対して電力料金を支払うようにすればよい。
【0090】
この場合、サービスセンター1は、このような各発電会社4,5間の契約を取り纏め、それぞれの発電会社4,5の運転・保守にかかるトータルコストが最小となるように計画を立案する。
【0091】
続く、図17は、本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【0092】
図17に図示の例は、発電ユニット41が2つの軸61,62を、発電ユニット42が2つの軸71,72を、発電ユニット51が2つの軸81,82を、発電ユニット52が2つの軸91,92を有し、それぞれの発電ユニット41,42,51,52が軸61,62,71,72,81,82,91,92毎に発電量の調整が行われる例を示すものである。なお、図17において、図1に示された構成要素と同じ構成要素については同じ符号を付けている。
【0093】
図17において、軸61,62,71,72,81,82,91,92は、タービンの動力を発電機に伝達させるための回転軸を指すもので、発電ユニット41,42,51,52の中には、発電機が複数台数あって、それぞれに1台または複数台数のタービンが連結しているものがある。このような発電ユニット41,42,51,52に対しては、軸61,62,71,72,81,82,91,92毎に、すなわち発電機毎に発電量を設定することにより、極め細かな運転・保全計画を立案することができるものである。例えば、発電ユニット41,42,51,52を構成する複数の軸61,62,71,72,81,82,91,92の中で、1つの軸の運転を停止させ、他の軸だけを運転するような計画を立案することも可能である。
【0094】
この場合、図17に図示の第2の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作は、既に述べた図1に図示の第1の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作と殆ど同じであるので、第2の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作については、その説明を省略する。
【0095】
次に、図18は、本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第3の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【0096】
図18に図示の例は、中央給電指令所がない場合である。中央給電指令所は、時々刻々と変化する電力需要に応じて管理下にある発電ユニットの発電量を調整する役割をもっている。これに対し、この例は、あらかじめ決められた発電計画に従って、各発電ユニット41,42,51,52を運転する運用形態になっている。
【0097】
この場合も、図18に図示の第3の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作は、既に述べた図1に図示の第1の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作に準じたものであるので、第3の実施の形態による発電設備の運転・保全計画支援システムの動作については、その説明を省略する。
【0099】
【発明の効果】
また、請求項1に記載の発明によれば、サービスセンターにおいて、リアルタイムで評価算出した発電効率に基づいて、複数の発電会社毎に、所有する各発電ユニットの運転・保全計画を立案する際に、機器モデルにより推定したプロセス値と実測値との偏差値から性能の低下に伴う経済的損失費用を算出し、この経済的損失費用と機器または部品の交換に係わる費用とを比較し、その比較結果を用いて各発電会社毎の発電ユニットの運転・保全計画を立案することができるため、各発電会社毎に運転・保全のトータルコストを削減することができるという効果がある。
【0101】
また、請求項2に記載の発明によれば、サービスセンターにおいて、リアルタイムで評価算出した発電効率に基づいて、複数の発電会社毎に、所有する各発電ユニットの運転・保全計画を立案する際に、自己の発電ユニットだけでなく、他の発電ユニットの機器または部品の余寿命に基づいて自己の発電ユニット機器または部品の運転条件を変更するようにしているので、複数の発電会社毎に、所有する発電ユニットの運転・保全に必要なトータルコストが最小となるように運転・保全計画の立案が可能になり、既知の発電システムに比べてそれぞれの発電会社で得られるコストメリットが大きくなるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第1の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図2】図1に図示された発電ユニットの構成の一例を示すブロック図である。
【図3】図1に図示されたサービスセンターの構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3に図示されたプロセス値データベースの格納内容を示す説明図であり、プロセスデータの構成を示すものである。
【図5】図3に図示された設計情報データベースの格納内容を示す説明図であり、設計情報データの構成を示すものである。
【図6】機器モデルデータベースの格納内容を示す説明図であり、機器モデルデータの構成を示すものである。
【図7】ガスタービンの概要構成を示す説明図である。
【図8】電気出力における機器モデルによる推定値と発電ユニットから取得した実測値の経時変化を示す特性図である。
【図9】効率診断部で実行された効率診断の解析例の一例を示す特性図である。
【図10】定検情報データベースの格納内容を示す説明図であり、定期検査情報データの構成を示すものである。
【図11】機器情報データベースの格納内容を示す説明図であり、機器情報データの構成を示すものである。
【図12】材料情報データベースの格納内容を示す説明図である。
【図13】寿命消費値の時間に対する変化状態をプロットしたグラフである。
【図14】運転計画評価部が余寿命データを用いて運転計画を立案するときの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】故障情報データベースの格納内容を示す説明図であり、故障情報データの構成を示すものである。
【図16】メーカ情報データベースの格納内容を示す説明図であり、メーカ情報データの構成を示すものである。
【図17】本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第2の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図18】本発明による発電設備の運転・保全計画支援システムの第3の実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図19】発電ユニットの選択原理を示す特性図である。
【符号の説明】
1…サービスセンター、4…A発電会社、5…B発電会社、6…通信ネットワーク(インターネット)、11,418…ファイアーウォール、12…プロセス値受信部、13…プロセス値データベース、14…機器モデルデータベース、15…材料情報データベース、16…故障情報データベース、17…メーカ情報データベース、18…設計情報データベース、19…効率診断部、20…余寿命診断部、21…故障頻度評価部、22…メーカ優先度評価部、23…電力需要量受信部、24…運転計画情報送信部、25…運転計画評価部、26…定期検査(定検)情報データベース、27…機器情報データベース、41,42,51,52…発電ユニット、43,53…中央給電指令所(中給)、411…本体、412…第1センサ、413…第2センサ、414…第1制御装置、415…第2制御装置、416…プロセス計算機、417…プロセス値送信部。

Claims (7)

  1. 複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と、共通のサービスセンターとが通信ネットワークを介して接続配置され、前記サービスセンターは、前記複数の発電ユニットからそれぞれ前記通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、前記複数の発電会社毎に、前記複数の発電ユニットから取得したプラントデータを用いて機器モデルによってプロセス値を推定し、推定したプロセス値と実測値との偏差値を求め、求めた偏差値から当該発電ユニットの発電効率の低下によって生じる経済的損失費用を前記複数の発電会社毎に算定し、算定した経済的損失費用と当該発電ユニットにおける機器または部品の交換に係わる費用との比較により、前記複数の発電会社毎に所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とする発電設備の運転・保全計画支援システム。
  2. 複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と、共通のサービスセンターとが通信ネットワークを介して接続配置され、前記サービスセンターは、前記複数の発電ユニットからそれぞれ前記通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、前記複数の発電会社毎に、取得したプラントデータを用いて当該発電ユニットの機器または部品の余寿命を算定し、算定した余寿命と他の発電ユニットで求めたその発電ユニットの機器または部品の余寿命とを比較して、経済性が高まるように当該発電ユニットの機器または部品の運転条件を変更し、当該発電ユニットの機器または部品の交換を延長または短縮することにより、前記複数の発電会社が所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とする発電設備の運転・保全計画支援システム。
  3. 前記サービスセンターは、前記複数の発電会社毎に、それぞれの発電ユニットにおける機器または部品の故障履歴をデータベースに格納し、前記データベースに格納された故障履歴を用いてそれぞれの機器または部品の故障確率を算定し、算定した故障確率を加味して前記複数の発電会社が所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電設備の運転・保全計画支援システム。
  4. 前記サービスセンターは、前記複数の発電会社毎に、それぞれの発電ユニットにおける機器または部品の製造元及びその製造元に対する信頼性,メンテナンス力の優劣度をデータベースに格納し、それぞれの機器または部品を評価する際に、前記データベースに格納された製造元の優劣度を加味して前記複数の発電会社が所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とする請求項1又は2に記載の発電設備の運転・保全計画支援システム。
  5. 前記サービスセンターによる前記プラントデータの取得は、前記それぞれの発電ユニット毎に、一定時間間隔で行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電設備の運転・保全計画支援システム。
  6. 複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と通信ネットワークを介して接続されたサービスセンターであって、前記複数の発電ユニットからそれぞれ前記通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、前記複数の発電会社毎に、前記複数の発電ユニットから取得したプラントデータを用いて機器モデルによってプロセス値を推定し、推定したプロセス値と実測値との偏差値を求め、求めた偏差値から当該発電ユニットの発電効率の低下によって生じる経済的損失費用を前記複数の発電会社毎に算定し、算定した経済的損失費用と当該発電ユニットにおける機器または部品の交換に係わる費用との比較により、前記複数の発電会社毎に所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とするサービスセンター。
  7. 複数の発電会社毎にそれぞれ所有する複数の発電ユニット及び中央給電指令所と通信ネットワークを介して接続されたサービスセンターであって、前記複数の発電ユニットからそれぞれ前記通信ネットワークを通してプラントデータを取得し、前記複数の発電会社毎に、取得したプラントデータを用いて当該発電ユニットの機器または部品の余寿命を算定し、算定した余寿命と他の発電ユニットで求めたその発電ユニットの機器または部品の余寿命とを比較して、経済性が高まるように当該発電ユニットの機器または部品の運転条件を変更し、当該発電ユニットの機器または部品の交換を延長または短縮することにより、前記複数の発電会社が所有する発電ユニットの運転・保全計画を立案することを特徴とするサービスセンター。
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