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JP3869275B2 - 内燃機関のイオン電流検出装置 - Google Patents

内燃機関のイオン電流検出装置 Download PDF

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JP3869275B2
JP3869275B2 JP2002014741A JP2002014741A JP3869275B2 JP 3869275 B2 JP3869275 B2 JP 3869275B2 JP 2002014741 A JP2002014741 A JP 2002014741A JP 2002014741 A JP2002014741 A JP 2002014741A JP 3869275 B2 JP3869275 B2 JP 3869275B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関のイオン電流検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の燃焼状態は車両の走行状態により絶えず変化する。そのため、燃焼時に流れるイオン電流により失火等の異常燃焼を検出し、その検出結果に基づいて点火プラグの点火時期や空燃比等を制御して燃焼状態を良好に保つことが行われている。ここで、内燃機関の燃焼状態を正確に検出することを目的として、特開平9−25867号公報の燃焼状態検出装置が提案されている。同公報の装置では、点火直後において点火プラグの対向電極間に交流電圧を印加してその際に対向電極間を流れる電流を検出する。更に、その検出電流から交流電圧による容量電流成分を除去し、燃焼イオン電流成分のみを抽出するよう構成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、イオン電流は出力レベルが低く、その検出精度を向上させるにはイオン電流の出力レベルを高めることが望まれている。特に希薄燃焼、成層燃焼のエンジンではイオン電流の出力レベルがより低くなり、これらエンジンではイオン電流による失火やノック等の燃焼状態の判定が困難になるという問題がある。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたものであって、その目的とするところは、イオン電流の検出精度を向上させ、ひいては燃焼状態を正確に判定することができる内燃機関のイオン電流検出装置を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のイオン電流検出装置では、内燃機関の燃焼室内において一対の対向電極間に交流電圧が印加され、燃料の燃焼時には交流電圧と同じ周波数で対向電極間に電流が流れる。そして、この対向電極間に流れる電流が電流検出手段により検出される。つまり、燃料の燃焼直後には、内燃機関の燃焼室内に燃焼イオンが発生し、その燃焼イオンにより流れる電流(イオン電流)が検出される。請求項1に記載の発明では特に、前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数を、点火コイルの二次側でイオン電流が流れるイオン電流経路の共振周波数にほぼ一致させるようにしたため、イオン電流が流れやすくなり、イオン電流の信号レベルが高くなる。その結果、イオン電流の検出精度を向上させ、ひいては燃焼状態が正確に判定できるようになる。
【0006】
より具体的な構成としては、請求項2に記載したように、点火コイルの一次側巻線に接続され、通電及び遮断により二次側巻線に高電圧を生じさせるスイッチング素子と、任意の周波数の繰り返し信号を出力する前記交流電圧印加手段としての発振器とを備える。そして、所定の点火信号により前記スイッチング素子を駆動させた後、それ引き続き、前記発振器からの繰り返し信号により前記スイッチング素子を駆動させると良い。この場合、発振器から出力される繰り返し信号の周波数をイオン電流経路の共振周波数にほぼ一致させることにより、前述の通りイオン電流が精度良く検出できる。
【0007】
請求項3に記載の発明では、イオン電流経路での電流の周波数が計測され、該計測された周波数に基づき前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数が変更される。要するに、イオン電流経路の共振周波数は、ほこりの付着などによる外乱要因により変化することが考えられる。この場合、イオン電流経路での電流の周波数を逐次計測し、その計測周波数に応じて前記交流電圧の周波数を変更すれば、その交流電圧の周波数を常にイオン電流経路の共振周波数に合わせ込むことが可能となる。
【0008】
請求項4に記載の発明では、点火後にイオン電流経路に流れる電流の周波数がモニタされ、その電流が振動し始めた時の電流周波数からイオン電流経路の共振周波数が求められる。つまり、点火に伴う放電の終了後には、点火コイルに残る磁気によりイオン電流経路の電流が自由振動の周波数(すなわち、同経路の共振周波数)で振動することから、共振周波数を容易に知り得ることができる。
【0009】
上記請求項4の発明では請求項5に記載したように、点火後にイオン電流経路に流れる電流が振動し始めた時に前記交流電圧印加手段による交流電圧の印加を開始すると良い。つまり、イオン電流経路の電流が振動し始めたことで放電期間の終了時期を知ることができ、それ以降にイオン電流を検出することで、点火ノイズの影響を削減することができる。
【0010】
また、請求項6に記載の発明では、点火コイルの一次側巻線に容量素子を直列に接続し、イオン電流検出ゲインが規定範囲となるよう一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を調整した。この場合、対向電極間に流れるイオン電流は点火コイルの静電容量を介して一次側コイルにも流れる。従って、前記の如く点火コイル一次側の共振周波数を調整することでイオン電流を流れやすくすることが可能となり、イオン電流の信号レベルが高くなる。その結果、イオン電流の検出精度を向上させ、ひいては燃焼状態が正確に判定できるようになる。
【0011】
ところで、内燃機関のノック検出を行う場合、ノック周波数に相当する10kHz弱程度の信号成分の検出が要求される。また、ノック検出時には、請求項9の発明としても記載したように、前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数をノック周波数の2倍以上とするのが望ましい。かかる場合、該交流電圧の周波数と点火コイル二次側の共振周波数とを一致させようとすると、点火コイルの二次側巻線のインダクタンスを小さくしなければならず、点火エネルギが縮小されるおそれが生じる。これに対し、上記請求項6の発明では、二次側巻線のインダクタンスを小さくする必要がなく、点火エネルギが確保できるという利点も得られる。つまり本発明では、ノックの高精度検出の効果と点火エネルギ確保の効果とが両立できる。
また、上記請求項6の発明では、一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数(点火コイル一次側の共振周波数)と、前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数とを同じ周波数にした。この場合、既述の通りノック検出精度が向上する。
【0012】
因みに、請求項9に記載したように、前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数をノック周波数の2倍以上とし、その交流電圧の周期に合わせてイオン電流を計測すれば、実際のノック波形が正しく再現でき、ノックの検出精度がより一層向上する。
【0013】
上記請求項6の発明では請求項7に記載したように、一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を、内燃機関固有のノック周波数に対して一定の割合以上に設定すると良い。この場合、ノック周波数に対して点火コイル一次側の共振周波数が調整され、ノック検出精度が確実に向上する。
【0014】
より具体的には請求項8に記載したように、一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を、内燃機関固有のノック周波数の0.7倍以上にすると良い。その理由を図8の周波数特性を用いて説明する。図8は点火コイル一次側の伝達関数に関する周波数特性を示す図であり、同図によれば、「共振周波数f0×√2」以下の周波数領域では伝達関数が1以上となり、所望のイオン電流検出ゲインが実現できることが分かる。つまり、「ノック周波数≦共振周波数f0×√2」とすることによりノックが高精度に検出できる。これを言い換えれば、「共振周波数f0≧ノック周波数×1/√2(≒ノック周波数×0.7)」であれば良いことが導き出される。なおより望ましくは、一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を、内燃機関固有のノック周波数と同等又はそれよりも大きくにすると良い。
【0016】
また、イオン電流検出装置の詳細な構成として、請求項1に記載したように、点火コイルの一次側巻線に接続され通電及び遮断により二次側巻線に高電圧を生じさせるスイッチング素子と、任意の周波数の繰り返し信号を出力する前記交流電圧印加手段としての発振器とを備え、所定の点火信号により前記スイッチング素子を駆動させた後、それ引き続き、前記発振器からの繰り返し信号により前記スイッチング素子を駆動させると良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、この発明を具体化した実施の形態を図面に従って説明する。
(第1の実施の形態)
本実施の形態では、車両用内燃機関の燃焼状態検出装置として本発明を具体化しており、その構成を図1に示す。点火プラグ10は内燃機関の燃焼室に設けられ、その点火プラグ10には対向電極11,12が設けられている。一方の対向電極(中心電極)11は、点火コイル21の二次側巻線21bに接続され、他方の対向電極(接地電極)12は接地されている。
【0018】
点火コイル21において、一次側巻線21aの一端は車載バッテリ22に接続され、他端はスイッチング素子としてのトランジスタ23のコレクタに接続されている。トランジスタ23のベースには、ORゲート回路24を介してECU30より点火信号IGTが入力され、その点火信号IGTがHレベルとなる期間でトランジスタ23がONする。また、ORゲート回路24の入力には、交流電圧印加手段としての発振器25が接続されており、この発振器25は所定周波数の矩形波信号を発生する。そして、発振器25からの矩形波信号がORゲート回路24を介してトランジスタ23のベースに入力される。
【0019】
点火コイル21の二次側巻線21bには、電流検出手段としての電流検出抵抗26が接続されており、この電流検出抵抗26にて点火プラグ10の対向電極11,12間を流れる電流が検出される。電流検出抵抗26による検出結果(電圧値)はサンプルホールド(S/H)回路27に入力される。サンプルホールド回路27は、ECU30より指示される所定のタイミングで電流検出抵抗26による検出結果(電圧値)をホールドし出力する。
【0020】
次に、点火動作の概要を図2のタイムチャートを用いて説明する。図2において、t1のタイミングでは、ECU30より点火信号IGTとして例えば2msecのHレベル信号が出力される。すると、トランジスタ23がONされて一次電流i1が図示の如く流れ、点火コイル21に点火用エネルギが蓄積される。その後、t2のタイミングで点火信号IGTがHレベルからLレベルに立ち下げられると、電磁誘導により二次側電圧V2として高電圧が発生し、点火プラグ10の対向電極11,12間に高電圧が印加される。これにより、該対向電極11,12間に火花放電が発生し、燃焼室に導入された燃料混合気が点火され燃焼に供される。
【0021】
点火後、暫くは放電が継続される(t2〜t3の期間)。そして、t3のタイミングでは、発振器25による高速の矩形波信号(繰り返し信号)が出力され、その矩形波信号にてトランジスタ23がON/OFFされる。このとき、点火コイル21の一次側巻線21aにバッテリ電圧が断続的に印加され、その電圧印加(交流電圧印加)に伴い、点火プラグ10の対向電極11,12間に流れるイオン電流が計測される。なお、t3のタイミング直後(放電終了時)には、点火コイル21に残った磁気により二次側電圧V2が図示の如く振動する。
【0022】
ここで本実施の形態では、点火プラグ10、点火コイル21の二次側巻線21b及び電流検出抵抗26からなるイオン電流経路の共振周波数f0に一致するよう発振器25による矩形波信号の周波数が設定されている。すなわち、二次側巻線21bのインダクタンスをL、イオン電流経路全体の静電容量をCとすると、イオン電流経路の共振周波数f0は、
f0=1/(2π√(LC))
となる。例えば、L=5H、C=50pFの時は共振周波数f0は約10kHzとなる。この場合、上記イオン電流経路の共振周波数f0とほぼ同じ周波数で発振器25から矩形波信号が出力される。
【0023】
またこの場合、上記イオン電流経路全体の抵抗Rは、
Q=√(L/C)/R
で表される共振の先鋭度(鋭さ)Qが1より大きくなるよう設定されている。図3は、イオン電流経路の伝達関数に関する周波数特性を示しており、同図に示すように、共振の先鋭度Qの値に応じて電流が流れやすさが変わる。この場合、Q>1とすることで、共振周波数f0でイオン電流が流れやすくなり、イオン電流の信号レベルが高くなる。
【0024】
次に、イオン電流計測の概要を図4のタイムチャートを用いて説明する。図4の(a)は発振器25から出力される矩形波信号を示し、(b)は対向電極11,12間に印加される交流電圧を示す。つまり、点火コイル21の二次側巻線21bには矩形波信号の周波数と同じ周波数の高圧の交流電圧が発生し、この交流電圧が点火プラグ10の対向電極11,12間に印加される。なお、交流電圧は、トランジスタ23や点火コイル21の実装状態における浮遊容量により、矩形波信号に比べて波形がなまり且つ位相が常に一定で約90°遅れる。
【0025】
(c)は、交流電圧の印加時に点火プラグ10や点火コイル21の静電容量を流れる容量電流を示している。この容量電流は、交流電圧の時間微分に比例した電流であって、点火プラグ10や点火コイル21を含む回路の電気的定数によってほぼ一義的に決まる。また、(d)は、燃焼イオンの量の増減で変化する燃焼イオン電流を示している。燃焼イオン電流は、振幅が対向電極11,12間に存在する燃焼イオンの量に比例し、交流電圧と同位相で振動する。
【0026】
前述した(c)の容量電流と(d)の燃焼イオン電流との和が対向電極11,12間を流れる電流であり、その電流信号を(e)に示す。(e)に示す電流信号は、燃焼時か失火時かで異なる波形を呈し、燃焼時には実線で示す波形となり、失火時には一点鎖線で示す波形となる。そして、この(e)の電流信号がサンプルホールド回路27に入力される。
【0027】
ここで、(a)の矩形波信号がHレベルからLレベルへと変化するタイミング(図の丸数字1のタイミング)では、(b)の交流電圧が最大となるために(c)の容量電流がほぼ0となるのに対し、(d)の燃焼イオン電流が最大となる。このタイミングで、(e)の電流信号がサンプルホールド回路27でホールドされ、この電流信号により失火等の燃焼状態が判定される。サンプルホールド回路27によりホールドされた電流信号は容量電流成分を含まないイオン電流成分のみであり、この信号レベルにより燃焼状態が正しく判定できる。つまり、失火時に燃焼イオンが発生しない場合には電流信号がほぼ0になり、結果として失火発生が正確に検出できる。
【0028】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下に示す効果が得られる。
発振器25による交流電圧の周波数をイオン電流経路の共振周波数f0にほぼ一致させたため、イオン電流が流れやすくなる。その結果、イオン電流の検出精度を向上させ、ひいては燃焼状態が正確に判定できるようになる。
【0029】
特に、共振の先鋭度(鋭さ)Qが1より大きくなるようイオン電流経路全体の抵抗Rを設定することで、より一層高いレベルのイオン電流信号が得られるようになる。
【0030】
また、交流電圧が最大となる位相でサンプルホールド回路27により電流信号をホールドし、その電流信号に基づいて内燃機関の燃焼状態を検出するようにした。この場合、電流検出抵抗26による検出電流から燃焼イオン電流だけが抽出できるので、燃焼状態が正確に検出できる。
【0031】
(第2の実施の形態)
次に、本発明における第2の実施の形態について、上述した第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。上記第1の実施の形態では、イオン電流検出用電源である交流電圧の周波数をイオン電流経路の共振周波数f0と同じになるよう固定した。しかしながら、この共振周波数f0は、イオン電流経路の導線にほこり等が付着し静電容量が変化することなどが原因で変動する。そこで本実施の形態では、共振周波数f0の変化に追従させて前記交流電圧の周波数を可変に設定する構成について説明する。
【0032】
図5は、本実施の形態における燃焼状態検出装置の構成図であり、前記図1との相違点として、周波数カウンタ40を新たに追加している。この周波数カウンタ40は周知の周波数計測器であり、電流検出抵抗26による検出電圧を取り込み、イオン電流経路を流れる電流の周波数(電流周波数f1)を計測する。周波数カウンタ40の計測結果はECU30に入力され、ECU30では、周波数カウンタ40の計測結果に基づいて発振器25の周波数を可変に設定する。
【0033】
交流電圧の周波数設定の概要を、前記図2のタイムチャートを参照しながら説明する。図2において、点火タイミング直後の放電期間中(図のt2〜t3)はイオン電流経路に直流電流(周波数=0)が流れる。これに対し、放電終了後(図2のt3以後)には点火コイル21に残った磁気によりイオン電流経路に自由振動周波数、すなわち共振周波数f0の交流電流が流れる。
【0034】
この場合、イオン電流経路に流れる電流が振動し始めることで放電終了の時期が分かり、その放電終了時に周波数カウンタ40により計測された電流周波数f1がイオン電流経路の共振周波数f0として認定される。そして、t3のタイミング以降、イオン電流経路の共振周波数f0(放電終了時の電流周波数f1)と同じ周波数の矩形波信号が発振器25より出力される。これにより、前記共振周波数f0と同じ周波数の交流電圧が点火プラグ10に印加され、イオン電流が精度良く検出されるようになる。
【0035】
次に、ECU30による交流電圧の周波数設定手順を図6のフローチャートにより説明する。図6において、先ずステップ101では、その時々の燃焼気筒について点火タイミングになったか否かを判別し、点火タイミングになったことを条件に後続のステップ102に進む。ステップ102では、周波数カウンタ40によりイオン電流経路での電流周波数f1を計測し、その計測結果を取り込む。
【0036】
その後、ステップ103では、前記計測した電流周波数f1が所定の周波数f2を超えたか否かを判別し、電流周波数f1が周波数f2を超えたことを条件にステップ104に進む。ここで、ステップ103がYESになることで放電終了時であることが判別される。ステップ104では、その時の電流周波数f1をイオン電流経路の共振周波数f0とみなし、その電流周波数f1(=f0)と同じ周波数信号を発振器25より出力させる。
【0037】
以上第2の実施の形態によれば、イオン電流経路での電流の周波数(計測周波数)に基づき発振器25による交流電圧の周波数を可変に設定するので、種々の外乱要因によりイオン電流経路の共振周波数f0が変化しても、前記交流電圧の周波数を常にイオン電流経路の共振周波数f0に合わせ込むことが可能となる。
【0038】
点火後にイオン電流経路に流れる電流が振動し始めた時に発振器25による交流電圧の印加を開始し、それ以降イオン電流を検出するので、点火ノイズの影響を削減することができる。
【0039】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、イオン電流の計測値に基づいてノック検出を行うこととしており、内燃機関のノック検出を行う場合、ノック周波数に相当する10kHz弱程度(例えば7kHz程度)の信号成分の検出が要求される。また、ノック検出時には、発振器25(交流電圧印加手段)による交流電圧の周波数をノック周波数の2倍以上とするのが望ましい。かかる場合、上述した実施の形態の如く交流電圧の周波数をイオン電流経路(点火コイル二次側)の共振周波数に合わせ込むようとすると、二次側巻線21bのインダクタンスを小さくしなければならず、点火エネルギが縮小されるおそれが生じる。そこで本実施の形態では、二次側巻線21bのインダクタンスを小さくことなく、イオン電流を感度良く検出し、ひいてはノックの検出精度を向上させる構成を提案する。
【0040】
因みに、発振器25による交流電圧の周波数をノック周波数の2倍以上とし、その交流電圧の周期に合わせてイオン電流を計測すれば、実際のノック波形が正しく再現できる。つまり、本実施の形態では交流電圧の周期に合わせてイオン電流を計測する構成としている。この場合、図10(a)に示すように交流電圧の周波数がノック周波数とほぼ同じであると、実際のノック波形とは異なる計測結果が得られることとなる。これに対し、(b)に示すように交流電圧の周波数がノック周波数に対して十分に大きいと、概ね実際のノック波形が再現できる。
【0041】
図7は本実施の形態における燃焼状態検出装置の構成図であり、前記図1との相違点として、点火コイル21の一次側巻線21aにコンデンサ51が直列に接続されている。また、一次側巻線21aとトランジスタ23との間に電圧調整抵抗52が接続されている。
【0042】
ここで、コンデンサ51は点火コイル一次側の共振周波数を調整するための容量素子であり、その静電容量をC、一次側巻線21aのインダクタンスをL1とした場合、点火コイル一次側の共振周波数f0は、
f0=1/(2π√(L1・C))
となる。例えば、L1=3mH、C=10nFの場合、共振周波数f0は約30kHzとなる。また本実施の形態では、点火コイル一次側の共振周波数f0と、発振器25による交流電圧の周波数とを同じ周波数にしており、上記共振周波数f0とほぼ同じ周波数で発振器25から矩形波信号(交流電圧)が出力される。なお、二次側巻線21bのインダクタンスは点火エネルギを確保するために十分に大きく、18Hである。
【0043】
電圧調整抵抗52は、交流電圧の周波数が30kHzの時に二次側巻線21bの電圧振幅が点火プラグ10での放電を生じさせない電圧値以下、例えば300V以下になるよう抵抗値が設定されている。
【0044】
上記構成において、点火プラグ10での点火放電後に発振器25による交流電圧が印加されると、点火プラグ10、点火コイル21の静電容量53,54、一次側巻線21a、電流検出抵抗26を介してイオン電流が計測される。
【0045】
この場合、上記の通り点火コイル一次側の共振周波数f0を約30kHzとすると、該共振周波数f0が内燃機関固有のノック周波数(7kHz程度)に対して0.7倍以上に調整されることとなり、ノックが精度良く検出できるようになる。その理由を図8の周波数特性を用いて説明する。図8によれば、「共振周波数f0×√2」以下の周波数領域では伝達関数が1以上となり、所望のイオン電流検出ゲインが実現できることが分かる。つまり、「ノック周波数≦共振周波数f0×√2」とすることによりノックが高精度に検出できる。これを言い換えれば、「共振周波数f0≧ノック周波数×1/√2(≒ノック周波数×0.7)」であれば良いことが導き出される。
【0046】
図9は、(a)がイオン電流の生波形を示し、(b)が6〜8kHzのバンドパスフィルタ通過後のノック周波数成分を示す。この場合、イオン電流生波形の信号レベルをIs、ノック周波数成分の信号レベルをIfとし、それら信号レベルについて、コンデンサ51による共振周波数の調整を行ってないものと、コンデンサ51による共振周波数の調整を行ったものとを比較した。
【0047】
コンデンサ51による共振周波数の調整を行ってないものは7kHz程度のノック周波数に追従できず、ノック周波数成分の信号レベルIfはイオン電流生波形(主に低周波成分)の信号レベルIsの半分以下となった。これに対し、コンデンサ51による共振周波数の調整を行ったものは7kHz程度のノック周波数に追従でき、ノック周波数成分の信号レベルIfはイオン電流生波形(主に低周波成分)の信号レベルIsとほぼ同レベルであった。
【0048】
以上第3の実施の形態によれば、イオン電流検出ゲインが規定範囲(伝達関数≧1)となるように点火コイル一次側の共振周波数f0が調整されるので、イオン電流を流れやすくすることが可能となり、イオン電流の信号レベルが高くなる。その結果、イオン電流の検出精度を向上させ、ひいては燃焼状態が正確に判定できるようになる。
【0049】
また本実施の形態では、二次側巻線21bのインダクタンスを小さくする必要がなく、点火エネルギが確保できるという利点も得られる。つまり本実施の形態の装置では、ノックの高精度検出の効果と点火エネルギ確保の効果とが両立できる。
【0050】
なお本発明は、上記以外に次の形態にて具体化できる。
上記第1,第2の実施の形態において、発振器25の周波数を段階的に変更する構成としても良い。例えば、イオン電流経路での電流周波数(計測周波数)や点火装置の外乱要因等に応じて、同周波数を2段階、3段階などで切り替える構成とする。
【0051】
上記実施の形態では、交流電圧印加手段としての発振器25を点火コイル21の一次側に設けたが、この交流電圧印加手段を点火コイル21の二次側に設けても良い。この場合にも、交流電圧印加手段による交流電圧の周波数をイオン電流経路の共振周波数にほぼ一致させることにより、イオン電流の検出精度が向する。
【0052】
上記第3の実施の形態では、点火コイル一次側の共振周波数f0を内燃機関固有のノック周波数に対して0.7倍以上(1/√2以上)に調整したが、その構成を変更する。つまり、上記図8の特性図において、共振周波数f0よりも高周波側では検出ゲイン(伝達関数)が減衰するが、その減衰の傾きは電圧調整抵抗52の抵抗値に応じて変わる。例えば電圧調整抵抗52の抵抗値が大きくなると傾きが緩やかになる。また、イオン電流検出ゲイン(伝達関数)の規定範囲も1以上でなく、より拡張することも可能である。従って、点火コイル一次側の共振周波数f0を、内燃機関固有のノック周波数に対してn倍(一定の割合)に設定する構成としても良い。この場合、nは0.7付近かそれ以上の値である。何れにしても、ノック周波数に対して点火コイル一次側の共振周波数が調整されることで、ノック検出精度が確実に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態における燃焼状態検出装置の概要を示す構成図。
【図2】点火動作を説明するためのタイムチャート。
【図3】イオン電流経路の伝達関数に関する周波数特性を示す図。
【図4】イオン電流の検出動作を説明するためのタイムチャート。
【図5】第2の実施の形態における燃焼状態検出装置を示す構成図。
【図6】交流電圧の周波数設定手順を示すフローチャート。
【図7】第3の実施の形態における燃焼状態検出装置を示す構成図。
【図8】点火コイル一次側の伝達関数に関する周波数特性を示す図。
【図9】イオン電流生波形とノック周波数成分とを示すタイムチャート。
【図10】交流電圧とノック波形と示すタイムチャート。
【符号の説明】
10…点火プラグ、11,12…対向電極、21…点火コイル、21a…一次側巻線、21b…二次側巻線、23…トランジスタ、25…発振器、26…電流検出抵抗、30…ECU、40…周波数カウンタ、51…コンデンサ。

Claims (10)

  1. 一次側巻線及び二次側巻線からなる点火コイルと、内燃機関の燃焼室に設けられ前記点火コイルの二次側巻線に接続された一対の対向電極と、前記対向電極間に交流電圧を印加するための交流電圧印加手段と、前記対向電極間に流れる電流を検出するための電流検出手段と、を備える内燃機関のイオン電流検出装置において、
    前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数を、点火コイルの二次側でイオン電流が流れるイオン電流経路の共振周波数にほぼ一致させるようにしたことを特徴とする内燃機関のイオン電流検出装置。
  2. 点火コイルの一次側巻線に接続され通電及び遮断により二次側巻線に高電圧を生じさせるスイッチング素子と、任意の周波数の繰り返し信号を出力する前記交流電圧印加手段としての発振器とを備え、所定の点火信号により前記スイッチング素子を駆動させた後、それ引き続き、前記発振器からの繰り返し信号により前記スイッチング素子を駆動させる請求項1に記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  3. 前記イオン電流経路での電流の周波数を計測する手段と、該計測した周波数に基づき前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数を変更する手段とを備える請求項1又は2に記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  4. 点火後にイオン電流経路に流れる電流の周波数をモニタし、その電流が振動し始めた時の電流周波数からイオン電流経路の共振周波数を求める請求項3に記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  5. 請求項4に記載の内燃機関のイオン電流検出装置において、点火後にイオン電流経路に流れる電流が振動し始めた時に前記交流電圧印加手段による交流電圧の印加を開始する内燃機関のイオン電流検出装置。
  6. 一次側巻線及び二次側巻線からなる点火コイルと、内燃機関の燃焼室に設けられ前記点火コイルの二次側巻線に接続された一対の対向電極と、前記対向電極間に交流電圧を印加するための交流電圧印加手段と、前記対向電極間に流れる電流を検出するための電流検出手段と、を備える内燃機関のイオン電流検出装置において、
    点火コイルの一次側巻線に容量素子を直列に接続し、イオン電流検出ゲインが規定範囲となるよう一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を調整し、一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数と、前記交流電圧印加手段による交流電圧の周波数とを同じ周波数としたことを特徴とする内燃機関のイオン電流検出装置。
  7. 一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を、内燃機関固有のノック周波数に対して一定の割合以上に設定した請求項6に記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  8. 一次側巻線のインダクタンスと前記容量素子の静電容量とで決まる共振周波数を、内燃機関固有のノック周波数の0.7倍以上とした請求項6に記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  9. 前記交流電圧印加手段による交流電圧の周期に合わせてイオン電流を計測するイオン電流検出装置であって、該交流電圧の周波数を、内燃機関固有のノック周波数の2倍以上とした請求項6乃至8の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
  10. 点火コイルの一次側巻線に接続され通電及び遮断により二次側巻線に高電圧を生じさせるスイッチング素子と、任意の周波数の繰り返し信号を出力する前記交流電圧印加手段としての発振器とを備え、所定の点火信号により前記スイッチング素子を駆動させた後、それに引き続き、前記発振器からの繰り返し信号により前記スイッチング素子を駆動させる請求項6乃至9の何れかに記載の内燃機関のイオン電流検出装置。
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