JP3846241B2 - 積層型セラミック電子部品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層型セラミック電子部品の製造方法に関するもので、特に、複数のセラミックグリーンシートの積層工程およびプレス工程における改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この発明にとって興味ある従来技術として、たとえば特開平4−282812号公報に記載されたものがある。
【0003】
この従来技術では、積層型セラミック電子部品のための生の積層体を作製するにあたって、積層されるべき複数のセラミックグリーンシートを複数のグループに分け、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシートを積層しプレスすることによって、複数の予備積層体を作製し、次いで、複数の予備積層体を積層しプレスすることによって、積層型セラミック電子部品のための最終的な生の積層体を得るようにしている。
【0004】
この従来技術によれば、最終的な生の積層体を得るため、複数のセラミックグリーンシートのすべてを一挙に積層しプレスする方法を採用する場合に比べて、積層における位置精度が向上し、また、セラミックグリーンシート上に形成されていた導体膜の歪みを低減できるという利点が奏される。また、セラミックグリーンシートにビアホール導体またはスルーホール導体が設けられている場合には、これらビアホール導体またはスルーホール導体の位置ずれを生じにくくすることができる。
【0005】
同様または類似の技術が、その他、たとえば特開平3−283595号公報および特開平9−129486号公報等にも記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来技術には、以下のような解決されるべき問題がある。
【0007】
各々の予備積層体を得るためのプレス条件のばらつきや、予備積層体間での導体膜、ビアホール導体および/またはスルーホール導体の配置状態の相違のため、プレス工程の結果、複数の予備積層体は、互いに異なる伸びや歪み等の変形態様を示すことがある。また、ビアホール導体またはスルーホール導体が形成される場合には、ビアホール導体またはスルーホール導体のための貫通孔を設けたり、貫通孔に導電性ペーストを充填したりする工程での熱的影響などによっても、予備積層体に歪みが生じることがある。
【0008】
その結果、最終的な生の積層体を得るため、複数の予備積層体を積層しプレスした後において、予備積層体間で位置ずれが生じることがある。
【0009】
上述のように、予備積層体間で位置ずれが生じると、得られた積層型セラミック電子部品が積層セラミックコンデンサの場合には、静電容量のばらつきが生じたり、ビアホール導体またはスルーホール導体が設けられている多層セラミック基板では、ビアホール導体またはスルーホール導体における接続不良が生じたりすることがある。
【0010】
これらの問題を解決するため、たとえば、接続用のランドを大きくするなど、設計に余裕を持たせると、積層セラミックコンデンサにおける小型化を図りながらの大容量化や多層セラミック基板における小型化を図りながらの配線の高密度化を阻害するので好ましくない。
【0011】
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る、積層型セラミック電子部品の製造方法を提供しようとすることである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明は、複数のセラミックグリーンシートを作製する、グリーンシート作製工程と、特定のセラミックグリーンシート上に導体膜を形成する、導体膜形成工程と、複数のセラミックグリーンシートが積層された生の積層体を作製する、積層体作製工程と、生の積層体を焼成する、焼成工程とを備える、積層型セラミック電子部品の製造方法に向けられるものであって、上述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0013】
この発明では、伸び防止シートが用意される。
【0014】
また、上述した積層体作製工程では、複数のセラミックグリーンシートを複数のグループに分け、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシートを積層して複数の予備積層体を作製する工程と、次いで、生の積層体を得るため、複数の予備積層体を積層する工程とが実施される。
【0015】
上述の予備積層体を作製する工程では、複数のセラミックグリーンシートを、伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態でプレスすることが行なわれる。その後、伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の予備積層体に対して、ビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための両端が開口とされた全貫通通路および/または一方端のみが開口とされた半貫通通路を、伸び防止シートをも貫通するように形成する工程と、全貫通通路および/または半貫通通路に伸び防止シートを介して導電性ペーストを充填する工程とがさらに実施される。
【0016】
また、複数の予備積層体を積層する工程では、積層されるべき2つの予備積層体の互いに対向する面上に位置する伸び防止シートのみを剥がして互いに対向する面を露出させる工程と、この露出させた面を互いに接触させた状態で、積層されるべき2つの予備積層体を互いに接合する工程とが実施される。
【0017】
この発明において、予備積層体を積層する工程によって得られた生の積層体全体を、予備積層体を作製する工程における複数のセラミックグリーンシートをプレスする工程でのプレス条件以上のプレス条件で最終的にプレスする、最終プレス工程をさらに実施することが好ましい。
【0018】
また、上述の最終プレス工程の前に、生の積層体の積層方向での少なくとも一方の端面上に位置する伸び防止シートを剥がす工程と、最終プレス工程の後に、生の積層体の積層方向での上述した少なくとも一方の端面を平面研磨する工程とをさらに実施することが好ましい。
【0019】
予備積層体を作製する工程における複数のセラミックグリーンシートをプレスする工程では、圧力500kgf/cm2 以下および温度100℃以下のプレス条件が付与されることが好ましい。
【0022】
前述の全貫通通路および/または半貫通通路を形成する工程と同時に、位置合わせ用貫通孔を、伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の予備積層体に形成することが好ましく、この場合には、予備積層体を積層する工程において、位置合わせ用貫通孔に基づいて、複数の予備積層体が互いに位置合わせすることが行なわれる。
【0023】
伸び防止シートは、好ましくは、樹脂フィルムから構成される。
【0024】
また、伸び防止シートのセラミックグリーンシートに接触する面には、粗面加工が施されていることが好ましい。
【0025】
また、伸び防止シートの、セラミックグリーンシートに接触する面には、粘着剤が付与されていてもよい。
【0026】
この発明において、積層されるべき2つの予備積層体を互いに接合する工程の前に、予備積層体の互いに接触する面の周縁部分に、速乾性の接着剤を付与するようにしてもよい。
【0027】
また、この発明において、複数の予備積層体の少なくとも1つは、何らの導体も形成されない複数のセラミックグリーンシートのみをもって構成される場合もある。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、この発明の一実施形態による積層型セラミック電子部品の製造方法に含まれる典型的な工程を順次示す断面図である。ここでは、多層セラミック基板の製造方法が示されている。
【0029】
まず、図1(1)に示すように、複数のセラミックグリーンシート1が作製される。セラミックグリーンシート1の作製にあたっては、周知のように、たとえば、ポリエチレンテレフタレートなどからなるキャリアフィルム上で、ドクターブレード法を適用して、セラミックスラリーをシート状に成形することが行なわれる。
【0030】
次に、特定のセラミックグリーンシート1上に、所望のパターンをもって導体膜2が形成される。導体膜2は、たとえばニッケル、銀または銅のような導電性金属粉末を含む導電性ペーストをスクリーン印刷法等により対応のセラミックグリーンシート1上に付与することによって形成される。
【0031】
なお、図1(1)において、最も上に示すセラミックグリーンシート1(a)は、後の工程において、その少なくとも一部が研磨されて除去される、いわばダミーのセラミックグリーンシートである。このダミーのセラミックグリーンシート1(a)についても、導体膜2が、上から2番目のセラミックグリーンシート1上の導体膜2と同様のパターンをもって形成されている。これは、後の工程において、ビアホール導体等のための貫通孔を設けるにあたって、位置合わせの目印とするためのものである。
【0032】
他方、図1(2)に示すように、伸び防止シート3が用意される。伸び防止シート3は、好ましくは、10〜250μmの厚みを有する、一例として、50μmの厚みを有するポリエチレンテレフタレートからなるフィルムから構成される。伸び防止シート3は、ポリエチレンテレフタレートの他、たとえば、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン等からなる樹脂フィルムから構成されても、さらには、ステンレス鋼などからなる金属薄板から構成されてもよい。
【0033】
図1(2)に示すように、複数のセラミックグリーンシート1は、複数のグループ、たとえば3つのグループに分けられ、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシート1を積層して3つの予備積層体4、5および6が作製される。
【0034】
次いで、これら予備積層体4〜6の各々は、複数のセラミックグリーンシート1を、伸び防止シート3によって積層方向に挟んだ状態でプレスされる。このプレス工程では、圧力500kgf/cm2 以下および温度100℃以下のプレス条件、一例として、圧力100kgf/cm2 および温度75℃のプレス条件が付与される。
【0035】
なお、複数のセラミックグリーンシート1を伸び防止シート3によって積層方向に挟んだ状態を得るため、通常、セラミックグリーンシート1の積層工程を実施する積層ステージ上に、一方の伸び防止シート3をセットし、その上で、セラミックグリーンシート1を積層し、最も上のセラミックグリーンシート1上に、他方の伸び防止シート3をセットすることが行なわれる。このセラミックグリーンシート1の積層工程において、1つのセラミックグリーンシート1を積層する毎に、このセラミックグリーンシート1を、前に積層されたセラミックグリーンシート1に圧着させるため、予備的なプレスを行なってもよい。
【0036】
また、伸び防止シート3は、予備積層体4〜6の各々に備える複数のセラミックグリーンシート1を積層した後、予備積層体4〜6の各々を積層方向に挟むように配置してもよい。
【0037】
また、セラミックグリーンシート1を成形する際に用いた前述のキャリアフィルムを、そのまま、伸び防止シート3として用いるようにしてもよい。この場合には、予備積層体4〜6の各々の積層方向における端部に位置するセラミックグリーンシート1についてのみ、キャリアフィルムが剥離されずに残されることになる。
【0038】
伸び防止シート3は、予備積層体4〜6の各々を拘束し、これらが伸びたり歪んだりすることを抑制する。この伸び防止シート3の作用をより効果的に発揮させるため、伸び防止シート3の、セラミックグリーンシート1に接触する面には、粗面加工が施されていることが好ましい。この粗面加工によって、伸び防止シート3の表面粗さRz(10点平均粗さ)は、好ましくは、2〜5μmとされ、一例として、3μmとされる。
【0039】
上述した粗面加工に代えて、あるいは、粗面加工に加えて、伸び防止シート3の、セラミックグリーンシートに接触する面に、粘着剤が付与され、それによって、伸び防止シート3による予備成形体4〜6への拘束作用をより確実に働かせるようにしてもよい。
【0040】
予備積層体4〜6は、以後の工程において、伸び防止シート3を付着させた状態で取り扱われ、予備積層体4〜6のこの状態は、伸び防止シート3が剥がされる必要のある段階まで、維持される。
【0041】
伸び防止シート3は、たとえば図1(2)に示すように、その平面寸法が予備積層体4〜6の各々の平面寸法よりわずかに小さいことが好ましい。これによって、予備成形体4〜6の以後の取扱いにおいて、伸び防止シート3が不用意にめくれることを防止することができる。
【0042】
次に、図1(3)に示すように、特定のセラミックグリーンシート1の各々にビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための貫通孔7を形成する工程が実施される。
【0043】
この実施形態では、伸び防止シート3によって積層方向に挟んだ状態の予備積層体4〜6の各々に対して、上述した貫通孔7となるべき両端が開口とされた全貫通通路8および一方端のみが開口とされた半貫通通路9が一挙に形成される。これによって、各セラミックグリーンシート1に設けられた各貫通孔7が、隣り合うセラミックグリーンシート1間で位置ずれを生じることはない。
【0044】
予備積層体4への全貫通通路8の形成にあたっては、前述したように、最も上のダミーのセラミックグリーンシート1(a)上に形成された導体膜2が位置合わせ上の目印とされる。
【0045】
全貫通通路8および半貫通通路9は、伸び防止シート3をも貫通するように設けられるので、伸び防止シート3の厚みや材質は、このような穴あけに適したものとされることが好ましい。
【0046】
全貫通通路8および半貫通通路9を形成するため、たとえば、レーザまたはドリリング等が適用される。特に半貫通通路9を形成するにあたっては、レーザ光を照射する方法を適用することが好ましい。なぜなら、半貫通通路9の場合には、その深さを正確に制御する必要があるが、レーザ光の照射によれば、このような深さの制御が比較的容易であるからである。
【0047】
次に、図1(4)に示すように、全貫通通路8および半貫通通路9に導電性ペースト10が充填される。この導電性ペースト10としては、前述した導体膜2を形成するために用いた導電性ペーストと実質的に同様のものを用いることができる。
【0048】
導電性ペースト10の充填にあたっては、たとえば、伸び防止シート3上に導電性ペースト10を付与し、スキージ(図示せず。)等を作動させることによって、この導電性ペースト10を全貫通通路8および半貫通通路9内に埋め込む方法、または、ディスペンサ(図示せず。)を用いて、導電性ペースト10を全貫通通路8および半貫通通路9内に注入する方法等を適用することができる。
【0049】
特に全貫通通路8に導電性ペースト10を充填しようとする場合、全貫通通路8の各々の一方開口側から真空吸引を実施しながら、他方開口側から導電性ペースト10を埋め込みまたは注入するようにすれば、全貫通通路8への導電性ペースト10の充填を能率的に行なうことができる。
【0050】
このような導電性ペースト10の充填工程において、伸び防止シート3は、予備積層体4〜6の各々の表面が導電性ペースト10によって汚されることを防止するように作用している。
【0051】
次に、図2(1)〜(4)に順次示すように、複数の予備積層体4〜6を積層する工程が実施される。予備積層体4〜6を積層するにあたっては、これら予備積層体4〜6を一挙に積層するのではなく、予備積層体4〜6から選ばれた2つのものについての積層が、必要回数、繰り返される。
【0052】
すなわち、図2(1)および(2)に示すように、予備積層体5および6が積層され、次いで、図2(3)および(4)に示すように、予備積層体4および5が積層される。
【0053】
より具体的に説明すると、まず、図2(1)に示すように、予備積層体5および6の互いに対向する面上に位置する伸び防止シート3のみが剥がされ、これによって、これら互いに対向する面が露出される。
【0054】
次に、図2(2)に示すように、上述した露出された面を互いに接触させた状態で、2つの予備積層体5および6が互いに接合される。
【0055】
上述した接合は、予備積層体5および6を互いに圧着することによって達成されるが、必要に応じて、予備積層体5および6の互いに接触する面の周縁部分に、速乾性の接着剤、たとえば瞬間接着剤等をディスペンサ等により付与するようにすれば、より確実な接合状態を得ることができる。
【0056】
上述のように、速乾性の接着剤を付与する領域を予備積層体5および6の互いに接触する面の周縁部分としたのは、予備積層体5および6の周縁部分には、通常、製品に影響しないギャップ部分などが設けられるためである。
【0057】
また、予備積層体5および6を互いに接合する工程の直前に、予備積層体5および6の互いに接触させる面上に位置する伸び防止シート3を剥がすようにすれば、これら互いに接触させる面の乾燥を防ぎ、良好な接合状態を得ることができる。また、互いに接触させる面に、ごみなどが付着する可能性も低減することができる。
【0058】
次に、図2(3)に示すように、予備積層体4および5の互いに対向する面上に位置する伸び防止シート3のみを剥がし、互いに対向する面を露出させることが行なわれる。
【0059】
次に、図2(4)に示すように、上述の露出させた面を互いに接触させた状態で、予備積層体4および5を、前述した予備積層体5および6の場合と同様、互いに接合することが行なわれる。
【0060】
このようにして、得ようとする積層型セラミック電子部品としての多層セラミック基板のための生の積層体11が得られる。
【0061】
次に、図3(1)に示すように、生の積層体11の積層方向での両端面上に位置するように残された伸び防止シート3が剥がされる。
【0062】
次に、図3(1)に示した生の積層体11全体が、最終的にプレスされる。この最終プレス工程では、前述した予備積層体4〜6を作製する工程における複数のセラミックグリーンシート1をプレスする工程でのプレス条件以上のプレス条件が適用される。一例として、最終プレス工程において、圧力750kgf/cm2 および温度80℃のプレス条件が付与される。
【0063】
次に、生の積層体11の積層方向での両端面を平滑にするため、たとえばグラインダーを用いて平面研磨が施される。この平面研磨の結果、図3(2)に示すように、ダミーのセラミックグリーンシート1(a)は、その上に形成された導体膜3とともに、その厚みの少なくとも一部が除去される。このとき、生の積層体11の上から2番目のセラミックグリーンシート1上に形成された導体膜2が露出するまで、ダミーのセラミックグリーンシート1(a)が平面研磨されて除去されてもよい。
【0064】
また、生の積層体11の下面側においても、平面研磨が実施される。これによって、最も下のセラミックグリーンシート1は、その厚みの少なくとも一部が除去される。
【0065】
なお、前述した伸び防止シート3の剥離は、生の積層体11の積層方向での一方端面上に位置する伸び防止シート3に対してのみ実施され、次いで、最終プレス工程が実施され、その後、伸び防止シート3が剥がされた端面に対してのみ、上述の平面研磨工程が実施されてもよい。
【0066】
また、図2(4)に示すように、生の積層体11の積層方向での両端面上に伸び防止シート3が位置する状態で、最終プレス工程が実施されてもよい。この場合においても、好ましくは、伸び防止シート3が剥がされた後、上述の平面研磨工程が実施される。
【0067】
次に、図3(2)に示すような平面研磨後の生の積層体11は、必要に応じてカットされ、その後、焼成され、それによって、目的とする多層セラミック基板が得られる。この多層セラミック基板は、セラミックグリーンシート1によって与えられたセラミック層、導体膜2ならびに全貫通通路8または半貫通通路9に充填された導電性ペースト10によって与えられたビアホール導体およびスルーホール導体を備えている。
【0068】
図4は、この発明の他の実施形態を説明するための図1(3)に相当する図である。図4において、図1(3)に示した要素に相当する要素には同様の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0069】
図4に示した実施形態では、全貫通通路8および半貫通通路9を形成する工程と同時に、位置合わせ用貫通孔13を、伸び防止シート3によって積層方向に挟んだ状態の予備積層体4〜6の各々に形成する工程が実施されることを特徴としている。
【0070】
位置合わせ用貫通孔13は、予備積層体4〜6の各々の周縁部分に設けることが好ましい。予備積層体4〜6の各々の周縁部分は、製品に影響しないギャップ部分などとされるからである。
【0071】
この実施形態によれば、後で実施される複数の予備積層体4〜6を積層する工程において、位置合わせ用貫通孔13をカメラ等でセンシングすることによって、これら位置合わせ用貫通孔13に基づいて、予備積層体4〜6を互いに位置合わせすることが行なわれる。したがって、位置合わせの精度を向上させることができる。
【0072】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を説明するための図1(2)に相当する図である。なお、この実施形態では、全貫通通路および/または半貫通通路を形成する工程、ならびに全貫通通路および/または半貫通通路に導電性ペーストを充填する工程のいずれもが実施されない。しかしながら、この実施形態は、積層されるべき複数の予備積層体の少なくとも1つについては、何らの導体も形成されない複数のセラミックグリーンシートのみをもって構成されることがある、という実施の態様を裏付けるものとしての意義がある。
【0073】
この実施形態は、積層セラミックコンデンサの製造を意図したものである。
【0074】
この実施形態では、作製された複数のセラミックグリーンシート21は、たとえば4つのグループに分けられ、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシート21が積層され、4つの予備積層体22、23、24および25が作製される。
【0075】
これら予備積層体22〜25のうち、両端部に位置する予備積層体22および25については、何らの導体も形成されないセラミックグリーンシート21のみをもって構成される。
【0076】
他方、中間部に位置する予備積層体23および24については、静電容量形成のための内部電極となる導体膜26が形成されたセラミックグリーンシート21が積層される。
【0077】
これら予備積層体22〜25の各々を、伸び防止シート27によって挟んだ状態でプレスすること、予備積層体22〜25のうち、積層されるべき2つのものの互いに対向する面上に位置する伸び防止シート27のみを剥がして互いに対向する面を露出させること、この露出させた面を互いに接触させた状態で予備積層体22〜25を互いに接合すること、等については、前述した実施形態の場合と実質的に同様である。
【0078】
以上、この発明を、図示した実施形態に関連して説明したが、この発明は、多層セラミック基板、積層セラミックコンデンサ以外の積層型セラミック電子部品の製造方法にも適用することができる。たとえば、積層インダクタの製造方法や、等価直列インダクタンスの低減化を可能とするビアホール導体および/またはスルーホール導体を有する積層構造のセラミックコンデンサの製造方法にも適用することができる。
【0079】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、積層されるべき複数のセラミックグリーンシートを複数のグループに分け、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシートを積層して複数の予備積層体を得てから、これら複数の予備積層体からなる最終の生の積層体を得るようにしている。したがって、予備積層体を得る段階では、比較的少ない数のセラミックグリーンシートを取り扱うに過ぎないので、セラミックグリーンシートの積層の位置ずれや導体膜あるいはビアホール導体またはスルーホール導体の歪みや位置ずれを生じにくくすることができる。
【0080】
また、予備積層体を作製するため、複数のセラミックグリーンシートをプレスするにあたって、複数のセラミックグリーンシートを伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態とするので、予備積層体の伸びや歪みを抑制でき、したがって、複数の予備積層体の間での伸びや歪み等の変形態様のばらつきを抑制することができる。
【0081】
また、複数の予備積層体を積層するとき、積層されるべき2つの予備積層体の互いに対向する面上に位置する伸び防止シートのみを剥がして互いに対向する面を露出させ、この露出させた面を互いに接触させた状態で、積層されるべき2つの予備積層体を互いに接合するようにしているので、予備積層体の互いに接触させる面での乾燥を防ぐとともに、ごみなどの付着を防ぐことができ、その結果、良好な接合状態を得ることができる。また、接合工程を実施している間および接合後においても、予備積層体の外側に向く端面には、伸び防止シートが位置されているので、この段階においても、伸び防止シートによって、予備積層体の不所望な伸びや歪みを抑制することができる。
【0082】
これらのことから、前述したように、複数のセラミックグリーンシートを複数のグループに分け、各グループ毎に複数のセラミックグリーンシートを積層して複数の予備積層体を作製する工程を採用したことによる効果が、阻害されることなく、最大限に発揮されることができる。
【0083】
その結果、この発明が多層セラミック基板の製造方法に適用された場合には、多層セラミック基板の小型化を図りながらも配線の高密度化を有利に図ることができ、また、積層セラミックコンデンサの製造方法に適用された場合には、積層セラミックコンデンサの小型化を図りながらも大容量化を有利に図ることができる。
【0084】
この発明において、予備積層体を積層する工程によって得られた生の積層体全体を、予備積層体を作製する工程における複数のセラミックグリーンシートをプレスする工程でのプレス条件以上のプレス条件で最終的にプレスする、最終プレス工程を実施するようにすれば、予備積層体間で良好な接合状態を確実に得ることができる。
【0085】
上述した最終プレス工程の前に、生の積層体の積層方向での少なくとも一方の端面上に位置する伸び防止シートを剥がし、最終プレス工程の後に、生の積層体の積層方向での上述した少なくとも一方の端面を平面研磨するようにすれば、伸び防止シートが付着していた面の平滑化を図ることができる。
【0086】
したがって、伸び防止シートに対して、その表面の平滑性が特に要求されず、そのため、伸び防止シートとして、粗面加工が施されたものや粘着剤が付与されたものを問題なく、用いることができるようになるとともに、これら粗面加工や粘着剤によって、伸び防止シートによるセラミックグリーンシートに対する拘束力を増すことができ、伸び防止シートの作用をより効果的に発揮できるようにすることができる。
【0087】
また、この発明によれば、伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の予備積層体に対して、ビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための両端が開口とされた全貫通通路および/または一方端のみが開口とされた半貫通通路を、伸び防止シートをも貫通するように形成し、全貫通通路および/または半貫通通路に伸び防止シートを介して導電性ペーストを充填するようにしているので、ビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための貫通孔を形成する工程および導電性ペーストを充填する工程の数を低減でき、また、貫通孔の位置合わせ不良によるビアホール導体またはスルーホール導体の接続不良の問題を生じにくくすることができ、さらに、予備積層体の表面が導電性ペーストによって汚されることを防止することができる。
【0088】
また、この発明において、上述した全貫通通路および/または半貫通通路を形成する工程と同時に、位置合わせ用貫通孔を、伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の予備積層体に形成し、予備積層体を積層する工程において、この位置合わせ用貫通孔に基づいて、複数の予備積層体を互いに位置合わせするようにすれば、予備積層体の位置合わせ精度を向上させることができ、そのため、ビアホール導体またはスルーホール導体の形成精度を一層向上させることができる。
【0089】
また、この発明において、積層されるべき2つの予備積層体を互いに接合する工程の前に、予備積層体の互いに接触する面の周縁部分に、速乾性の接着剤を付与しておけば、予備積層体間で良好な接合状態を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層型セラミック電子部品の製造方法に含まれる典型的な工程を順次示す断面図である。
【図2】図1に示した工程に続く典型的な工程を順次示す断面図である。
【図3】図2に示した工程に続く典型的な工程を順次示す断面図である。
【図4】この発明の他の実施形態を説明するための図1(3)に相当する図である。
【図5】この発明のさらに他の実施形態を説明するための図1(2)に相当する図である。
【符号の説明】
1,21 セラミックグリーンシート
2,26 導体膜
3,27 伸び防止シート
4〜6,22〜25 予備積層体
7 貫通孔
8 全貫通通路
9 半貫通通路
10 導電性ペースト
11 生の積層体
13 位置合わせ用貫通孔
Claims (11)
- 複数のセラミックグリーンシートを作製する、グリーンシート作製工程と、
特定の前記セラミックグリーンシート上に導体膜を形成する、導体膜形成工程と、
複数の前記セラミックグリーンシートが積層された生の積層体を作製する、積層体作製工程と、
前記生の積層体を焼成する、焼成工程と
を備える、積層型セラミック電子部品の製造方法であって、
伸び防止シートを用意する工程をさらに備え、
前記積層体作製工程は、複数の前記セラミックグリーンシートを複数のグループに分け、各グループ毎に複数の前記セラミックグリーンシートを積層して複数の予備積層体を作製する工程と、次いで、前記生の積層体を得るため、複数の前記予備積層体を積層する工程とを備え、
前記予備積層体を作製する工程は、複数の前記セラミックグリーンシートを、前記伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態でプレスする工程を備え、次いで、前記伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の前記予備積層体に対して、ビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための両端が開口とされた全貫通通路および/または一方端のみが開口とされた半貫通通路を、前記伸び防止シートをも貫通するように形成する工程と、前記全貫通通路および/または前記半貫通通路に前記伸び防止シートを介して導電性ペーストを充填する工程とをさらに備え、
複数の前記予備積層体を積層する工程は、積層されるべき2つの前記予備積層体の互いに対向する面上に位置する前記伸び防止シートのみを剥がして前記互いに対向する面を露出させる工程と、前記露出させた面を互いに接触させた状態で、積層されるべき2つの前記予備積層体を互いに接合する工程とを備える、
積層型セラミック電子部品の製造方法。 - 前記予備積層体を積層する工程によって得られた前記生の積層体全体を、前記予備積層体を作製する工程における複数の前記セラミックグリーンシートをプレスする工程でのプレス条件以上のプレス条件で最終的にプレスする、最終プレス工程をさらに備える、請求項1に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記最終プレス工程の前に、前記生の積層体の積層方向での少なくとも一方の端面上に位置する前記伸び防止シートを剥がす工程と、前記最終プレス工程の後に、前記生の積層体の積層方向での前記少なくとも一方の端面を平面研磨する工程とをさらに備える、請求項2に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記予備積層体を作製する工程における複数の前記セラミックグリーンシートをプレスする工程において、圧力500kgf/cm2 以下および温度100℃以下のプレス条件が付与される、請求項2または3に記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記全貫通通路および/または半貫通通路を形成する工程と同時に、位置合わせ用貫通孔を、前記伸び防止シートによって積層方向に挟んだ状態の前記予備積層体に形成する工程をさらに備え、前記予備積層体を積層する工程において、前記位置合わせ用貫通孔に基づいて、複数の前記予備積層体が互いに位置合わせされる、請求項1ないし4のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記セラミックグリーンシートを積層する前の段階で、特定の前記セラミックグリーンシートにビアホール導体またはスルーホール導体を設けるための貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔に導電性ペーストを充填する工程とをさらに備える、請求項1ないし5のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記伸び防止シートは、樹脂フィルムからなる、請求項1ないし6のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記伸び防止シートの、前記セラミックグリーンシートに接触する面には、粗面加工が施されている、請求項1ないし7のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 前記伸び防止シートの、前記セラミックグリーンシートに接触する面には、粘着剤が付与されている、請求項1ないし8のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 積層されるべき2つの前記予備積層体を互いに接合する工程の前に、前記予備積層体の互いに接触する面の周縁部分に、速乾性の接着剤を付与する工程をさらに備える、請求項1ないし9のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
- 複数の前記予備積層体の少なくとも1つは、何らの導体も形成されない複数の前記セラミックグリーンシートのみをもって構成される、請求項1ないし10のいずれかに記載の積層型セラミック電子部品の製造方法。
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