JP3791625B2 - 車両の四輪駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前後輪に生じる回転数差に応じて摩擦クラッチの締結力を制御して前後輪間の駆動力配分を制御するようにした車両の四輪駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両の四輪駆動制御装置としては、例えば前後輪のうち何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪に設定して、通常時にはエンジンからの出力全部或いはその大半を主駆動輪への駆動力(厳密には車輪に伝達されるのは駆動トルクであって、実際にタイヤが路面を蹴って車両を移動させる駆動力とは異なるが、ここでは駆動トルクを含めて車両を移動させる力を駆動力と総称する)として伝達し、主駆動輪への駆動力が過多となる状況で副駆動輪に駆動力を配分するものがある。そこで、主駆動輪への主推進軸と副駆動輪への副推進軸との間に摩擦クラッチを介装し(正確には変速機の出力軸と副推進軸との間である)、前記主駆動輪と副駆動輪との回転数差から当該主駆動輪への駆動力過多状況を検出し、この回転数差が大きいほど当該主駆動輪への駆動力が過多であることから、当該回転数差検出値が増加すると共に副駆動輪への駆動力が増加するように主−副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、この場合は変速機出力軸と副推進軸との間に摩擦クラッチが介装されているから、前記駆動力配分量の副駆動輪への駆動力配分量が増加するにつれて摩擦クラッチの係合力を増加するようにしている。
【0003】
一方、この四輪駆動制御装置の制御量の出力端は摩擦クラッチであるから、前記主副駆動輪間の回転数差検出から摩擦クラッチまでを制御系と考えると、前述のように主副駆動輪の回転数差を検出してから摩擦クラッチ駆動までの制御系内の応答性を高めても、副推進軸や副駆動輪等の回転慣性に抗してエンジンの出力が駆動輪に伝達されるまでには相応の応答遅れがあり、更に副駆動輪のタイヤが路面を蹴って回転するまでにも応答遅れがあるから、この副駆動輪の回転数と主駆動輪の回転数の差をフィードバックする前記制御系では、特に発進時等で最も主駆動輪のスリップが発生し易い状況下での応答遅れが大きくなる。そこで、このような車両発進時には、主駆動輪のスリップが発生し易い状況を予めアクセルペダルの踏込み量(以下、スロットル開度とも記す)等によって検出し、主駆動輪のスリップが発生或いは増加する以前に、当該発進時においてスロットル開度が大きくなるほど、副駆動輪に伝達される駆動力が大きくなるように主−副駆動輪間の駆動力配分量を設定する,所謂駆動力配分フィードフォワード制御も提案されている。ちなみに、この発進時フィードフォワード制御は発進から車速が所定の閾値を越えるまでの間に実行される。
【0004】
また、前述のように駆動力配分調整手段が摩擦クラッチを備える四輪駆動制御装置では、副駆動輪側への駆動力配分量が“0”であるときに、当該摩擦クラッチのクラッチプレートを完全に離間してしまうと、次いで副駆動輪への駆動力配分量が或る程度以上の値に大幅に且つ速やかに変化した場合に、副駆動輪への駆動力の経時変化に不連続点が発生したり、クラッチプレート同志が接触するまでの所要時間やその滑りが応答遅れになったり、またクラッチプレート同志が短時間に係合することによる衝撃が生じたりする可能性もある。一方で、主駆動輪のみによる二輪走行モードと、副駆動輪を含む四輪への駆動力配分量を自動的に制御する四輪走行モードとを切換え選択できるようにした車両にあって、当該二輪走行モードが選択されているときに、僅かでも副駆動輪側に駆動力配分することはエネルギ損であるから、このような副駆動輪側への駆動力配分量が“0”にしたい場合には摩擦クラッチのクラッチプレート同志を完全に離間してしまった方がよい。そこで、前記四輪走行モードが選択されているような状況下で、実質的に要求される副駆動輪への駆動力配分量が“0”である場合にも、クラッチプレート同志が接触し或いは接触する直前の状態とし且つ副駆動輪へは駆動力が配分されない操作量又は制御量を、前記主副駆動輪間の駆動力配分量の初期値として設定することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように主−副駆動輪間の回転数差による駆動力配分フィードバック制御では、発進時のようにエンジン出力が主−副駆動輪への駆動力として伝達される及びその駆動力が実際の主−副駆動輪間の回転数差として検出されるまでの応答時間を必要とするから、少なくとも主駆動輪のスリップを未然に防止することはできないし或いはその収束にも或る程度の時間を必要とする。そこで、前述の発進時フィードフォワード駆動力配分制御が実行されるのだが、このフィードフォワード制御による副駆動輪への駆動力配分量が前記スロットル開度に応じて設定されるものであるため、当該フィードフォワード制御による副駆動輪への駆動力配分量が、前記初期値として設定される副駆動輪への駆動力配分量以上となって実質的に副駆動輪に駆動力が配分されるためには或る程度のアクセルペダルの踏込みが必要となる。しかしながら、アクセルペダルを少しでも踏込むと、少なくとも主駆動輪には駆動力が伝達される状況となるから、例えば極めて路面摩擦係数状態(以下、単にμとも記す)が低い路面や勾配の大きい坂路(主駆動輪が後輪である車両では降坂路,前輪である車両では登坂路)での発進時には、前記フィードフォワード制御によっても副駆動輪に駆動力が配分される以前に、主駆動輪にスリップが発生してしまう或いはその収束性が悪化する虞れがある。
【0006】
このような問題を解決するためには、前記設定される主−副駆動輪間の駆動力配分量の初期値を、より副駆動輪側への駆動力配分量が大きくなるように設定すればよい。つまり、アクセルペダルを大きく踏込まなくとも、車両の発進直後から副駆動輪側に駆動力を配分して主駆動輪のスリップの発生を抑制或いはその収束性を高めるというものである。しかしながら、このように副駆動輪側への駆動力配分量が大きくなるように、主−副駆動輪間の駆動力配分量の初期値を随時設定しておいたのでは、例えばアクセルペダルを足放ししてから低速小旋回走行に移行した場合でも、摩擦クラッチの係合力が大き過ぎて、前後輪間で発生する回転速差が吸収できずに、所謂タイトコーナブレーキ現象(前後輪間の回転速差がインタロックとなって制動されてしまう現象)が発生する可能性がある。
【0007】
つまり、副駆動輪への駆動力(配分量)の初期値が大き過ぎると、当該副駆動輪への駆動力(配分量)が大きいときにタイトコーナブレーキ現象,即ち強アンダステアが発生し易くなり、逆に副駆動輪への駆動力(配分量)の初期値が小さくても、極低μ路面や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップの発生及びその収束性の悪化という二律相反する問題がある。
【0008】
本発明は前記諸問題に鑑みて開発されたものであり、極低μ路面や急降坂路での発進時の主駆動輪のスリップの発生と、タイトコーナブレーキ現象とを同時に解決することができる車両の四輪駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
而して本発明のうち請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置は、車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じた係合力の可変制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動力配分を行う摩擦クラッチを有する駆動力配分調整手段と、前記主駆動輪及び副駆動輪の回転数差を検出する回転数差検出手段と、少なくとも前記回転数差検出手段での回転数差検出値に基づいて、当該回転数差検出値の増加に伴って前記副駆動輪側の駆動力が増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、当該駆動力配分量に基づいて前記摩擦クラッチを制御する駆動力配分制御手段とを備えた車両の四輪駆動制御装置において、ブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ踏込み検出手段と、車体速を検出する車体速検出手段とを備え、前記駆動力配分制御手段は、前記ブレーキ踏込み検出手段がブレーキペダルの踏込みを検出し且つ前記車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零であるときに前記副駆動輪側の駆動力配分量を所定量だけ増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、前記ブレーキ踏込み検出手段によるブレーキペダルの踏込み検出が解除されるか又は車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零でなくなったときに、前記増加設定された主副駆動輪間の駆動力配分量の副駆動輪側の駆動力配分量を所定の変化速度で減少する駆動力配分量設定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置は、前記駆動力配分量設定手段は、前記副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに前記駆動力配分量の変化速度を大きく設定し、当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の車両の四輪駆動制御装置では、前記従来と同様に前後輪の何れか一方の主駆動輪と他方の副駆動輪との間、より具体的には例えば変速機出力軸と主駆動輪とは直結状態に接続し、例えば当該変速機出力軸と副駆動輪との間に摩擦クラッチを有する駆動力配分調整手段を介装する。この駆動力配分調整手段は、例えば摩擦クラッチへの制御信号を可変することによって当該摩擦クラッチの係合力が調整され、これにより主駆動輪に伝達される駆動力と副駆動輪に伝達される駆動力との駆動力配分量が調整されるように構成する。そして、車輪速センサ等により主駆動輪の回転数と副駆動輪の回転数との回転数差を前記回転数差検出手段として検出し、少なくともこの回転数差が大きい場合には、車体速と等価又はほぼ等価な副駆動輪の回転数に対して主駆動輪がスリップするなどして回転数が増加している状態であって、当該主駆動輪への駆動力が大き過ぎるためであるから、当該回転数差の増加に応じて副駆動輪への駆動力が増加するように、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を用いて当該回転数差に応じた駆動力配分量を設定する。そして、前記駆動力配分制御装置は、このように設定された主副駆動輪間の駆動力配分量を達成するために、前記駆動力配分調整手段への制御信号を形成出力し、これによって前記摩擦クラッチによる係合力が前記所定の駆動力配分量を満足するように制御して、前記主駆動輪のスリップなどによる回転数増加を抑制する。一方、本発明の車両の四輪駆動制御装置では、ブレーキランプスイッチ等でブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ踏込み検出手段を構成し、また通常のスピードメータに採用される変速機出力軸回転速度や、前記副駆動輪速センサで検出された副駆動輪回転速度を用いて車体速検出手段を構成し、前記駆動力配分制御装置に備えられたマイクロコンピュータ等の演算処理装置によって駆動力配分量設定手段を構成しておく。そして、この駆動力配分量設定手段では、前記ブレーキ踏込み検出手段がブレーキペダルの踏込みを検出し且つ車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零であるとき,即ち車両が停車しているときに副駆動輪側への駆動力配分量が所定量だけ増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、これによって前記駆動力配分制御装置は前記摩擦クラッチによる主副駆動輪間の係合力を高めて、当該駆動力配分量に応じたエンジン出力がいつでも副駆動輪側への駆動力として伝達できるようにしておき、前記ブレーキ踏込み検出手段によるブレーキペダルの踏込み検出が解除されるか又は車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零でなくなったとき,即ち車両が発進したと判定されたときに、前記増加設定された主副駆動輪間の駆動力配分量の副駆動輪側の駆動力配分量を所定の変化速度で減少設定することで、前記駆動力配分制御手段によって達成される当該副駆動輪側の駆動力配分量の減少中にアクセルペダルが踏込まれると車両の走行状態に係わらずエンジンの出力は副駆動輪側へも駆動力として配分伝達されるから、例えば前述のような極低μ路面や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高めることができる。このとき、一般にアクセルペダルの踏込み量が大きく、それによってエンジン出力が大きく且つ速やかに立上がる場合は、ブレーキペダルを足放ししてからの所要時間が短いから、その分だけ前記駆動力配分量設定手段で設定され且つ駆動力配分制御手段で達成される副駆動輪側への駆動力配分量も大きくなり、主駆動輪側への駆動力配分量を相対的に小さくして当該主駆動輪のスリップをより一層確実に回避或いはその収束性を高めることができる。
【0012】
また、本発明の車両の四輪駆動制御装置では、例えば請求項2に記載されるように前記駆動力配分量設定手段が、前記副駆動輪側の駆動力配分量を減少するときの変化速度を、当該副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに大きく設定すれば、前記車両の停車状態で設定された副駆動輪側への駆動力配分量が、当該車両の発進後に速やかに減少するから、この状態で旋回走行に移行しても前後輪はその回転数差を吸収してタイトコーナブレーキ現象の発生が回避され、また当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定すれば、前記ブレーキペダル足放し後に或る程度の時間が経過しても、前述のように主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高める効果が持続される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の車両の四輪駆動制御装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。この実施例は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式をベースにした四輪駆動車両用駆動力配分制御装置のトランスファクラッチに適用したものである。
【0014】
図1において1は回転駆動源,即ち機関としてのエンジン、2FL〜2RRは前左輪〜後右輪、3は各車輪2FL〜2RRへの駆動力配分比を変更制御可能な駆動力伝達系、4は駆動力伝達系3による駆動力配分を制御する駆動力配分制御装置を示す。
前記駆動力伝達系3は、エンジン1からの駆動力を断続する図示されないクラッチと、このクラッチの出力を選択された歯車比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動力を前輪(副駆動輪)2FL,2FR側及び後輪(主駆動輪)2RL,2RRに分割するトランスファ14とを備えている。そして、駆動力伝達系3では、前記トランスファ14で分割された前輪側駆動力が前輪側出力軸16,フロントディファレンシャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20を介して、前輪2FL,2FRに伝達される。一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト(後輪側出力軸)22,リヤディファレンシャルギヤ24及び後輪側ドライブシャフト26を介して、後輪2RL,2RRに伝達される。
【0015】
前記トランスファ14は、図2に示すようにトランスファケース28内に挿通された入力軸30の同図の左方端部が前記変速機12の出力側に連結され、この入力軸30はベアリング31等によって回転自在に軸支されている。また、入力軸30の図2における右方端部は,ベアリング32によって回転自在に軸支された出力軸33に結合され、この出力軸33がプロペラシャフト22に連結されている。なお、このトランスファ及び後述するトランスファクラッチの詳細な構造については,例えば本出願人が先に提案した特開平1−204826号公報を参照されたい。
【0016】
一方、前記入力軸30の中央部には、前後輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッチとしての流体式多板クラッチ機構37が設けられている。このクラッチ機構37は、入力軸30にスプライン結合されたクラッチドラム37aと、このクラッチドラム37aに回転方向に係合させたフリクションプレート37bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリング等を介して回転自在に軸支されたクラッチハブ37cと、このクラッチハブ37cに回転方向に係合させたフリクションディスク37dと、クラッチ機構37の図2における右方に配置されたクラッチピストン37eと、このクラッチピストン37eとクラッチドラム37aとの間に形成されたシリンダ室37fとを備えている。また、このクラッチ機構37において、37hはクラッチピストンプレート37eに対するリターンスプリングである。また、このクラッチ機構37は、図2の左方端部側に図示のように装着されたギヤトレインを介して前輪側にも連結されている。即ち、ここでは前記クラッチハブ37cは、第1のギヤ41aにスプライン結合され、この第1のギヤ41aは、ベアリング40a,40bによって回転自在な第2のギヤ41bに噛合され、この第2のギヤ41bは、ベアリング42,43によって回転自在な第3のギヤ41cを介して前述した前輪側出力軸16に連結されている。
【0017】
前記トランスファケース28の側面所定位置には、後述するクラッチ制御装置の一部を構成する圧力制御弁66からの作動流体圧が,制御力として供給される入力ポートが形成されており、この入力ポートから前記シリンダ室37fに当該作動流体圧が供給される。
このため、前記入力ポートに作動流体圧の供給がない状態,即ちクラッチ機構37のシリンダ室37fの圧力が大気圧若しくはほぼ大気圧に等しい状態では、リターンスプリング37hの弾性力により、前記フリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが離間している。従って、この状態では入力軸30に伝達された入力トルクの全部が出力軸33、プロペラシャフト22を介して後輪側に伝達され、当該後輪側のみの二輪駆動状態となる。一方、入力ポートに作動流体圧が供給されている状態では,そのシリンダ室37fの加圧程度に応じてクラッチピストン37eによる押圧力が発生し、これに対してフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとの間に摩擦力による係合力(締結力)が発生し、これにより全駆動トルクのうちの一部が出力軸16を介して前輪側にも伝達される。この前輪側への伝達トルクΔTは供給作動流体圧Pに対して下記1式で与えられるように供給作動流体圧Pに対してリニアに増加する。
【0018】
ΔT=P・S・2n・μ・rm ……… (1)
ここで、Sはピストン37eの圧力作用面積,nはフリクションディスク枚数,μはクラッチ板の摩擦係数,rm はフリクションディスクのトルク伝達有効半径である。
つまり前輪側への伝達トルクΔTは供給流体圧Pに比例し、結局,締結力に応じて駆動トルクが後輪側及び前輪側に配分伝達される。この前後輪に対するトルクの配分比は、前記入力ポートに供給する作動流体の圧力Pに応じて(0:100〜50:50まで)連続的に変更できる。
【0019】
一方、図1に戻って前記駆動力配分制御装置4は、前記トランスファ14と、リザーバ35b内の作動流体を加圧供給する流体圧力源35と、この流体圧力源35からの供給流体圧を可変制御して前記流体式多板クラッチ機構37の入力ポートに作動流体を供給する圧力制御弁50と、前輪速VwF を検出する前輪速センサ54及び後輪速VwR を検出する後輪速センサ56と、アクセルペダル49の踏込み量からスロットル開度θを検出するスロットル開度センサ48と、各輪への駆動力配分を選択できるようにしたモードセレクトスイッチ52と、セレクトレバーによって選択されたギヤ位置が,所謂ニュートラル位置であることを検出するニュートラルスイッチ54と、ブレーキペダル55の踏込み量からブレーキペダルが踏込まれていることを検出するブレーキスイッチ57と、前記リザーバ35b内の作動流体温Tを検出する流体温センサ51と、これらのセンサからの検出信号に基づいて前記圧力制御弁50の出力流体圧を制御するコントロールユニット58とを備えてなる。
【0020】
前記流体圧力源35は、図2に示すように電動モータ35aによって回転駆動され,リザーバ35b内の作動流体を昇圧して前記クラッチ機構37の入力ポートに供給するポンプ35cと、このポンプ35cの吐出側に介装された逆止弁35dと、この逆止弁35d及び前記入力ポート間の管路に接続されたアキュームレータ35eと、このアキュームレータ35eの接続点に接続されたリリーフ弁35kとを備え、このアキュームレータ35eの接続点及びクラッチ機構37の入力ポート間からリザーバ62に分岐されたドレン配管63に前記圧力制御弁50が介装されている。
【0021】
ここで、電動モータ35aは、その励磁巻線の一端がモータリレー35hを介して正のバッテリ電源Bに接続され,他端が接地されており、モータリレー35hがアーキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力を検出して作動する圧力スイッチ35iの検出値に基づいて駆動制御される。即ち、スイッチングレギュレータをなすトランジスタ35jのベースが抵抗器R1 及び圧力スイッチ35iを介して正のバッテリ電源Bに接続され,コレクタがモータリレー35hのリレーコイルを介して正のバッテリ電源Bに接続され,エミッタが接地されているために、アキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設定圧力以上のときには,圧力スイッチ35iがオフ状態となり、スイッチングトランジスタ35jもオフ状態となって,モータリレー35hの常開接点tが開いて電動モータ35aが非通電状態となり、これに応じて電動モータ35aが回転停止状態となると共に、当該ライン圧力としての所定設定圧力以上の作動流体圧力はリリーフ弁35kを介してリリーフされる。一方、アキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設定圧力未満のときには,圧力スイッチ35iがオン状態となり、これに応じてスイッチングトランジスタ35jもオン状態となってモータリレー35hが付勢されて,その常開接点tが閉じて電動モータ35aが回転駆動されることにより、オイルポンプ35cによって当該管路のライン圧力が昇圧される。以上によって本流体圧力源35からは圧力制御弁50の一次側に向けてほぼ安定した作動流体圧が供給される。
【0022】
前記圧力制御弁50は、所謂デューティ比制御型の常時開減圧弁で構成されており、前述のようにポンプ35cの吐出側から入力ポートへの管路に接続されたドレン配管63に介装されている。この圧力制御弁50は、所謂PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、そのソレノイド50aに供給されるディーティ比に応じた電圧信号VD/T に応じて当該減圧弁内に配設されたスプールの開度が定まり、これにより電圧信号VD/T のデューティ比が大きくなると当該減圧弁の一次側,即ちクラッチ機構37側の制御圧PC が高くなる。ここで、クラッチ機構37側の制御圧PC は当該クラッチ機構37の係合力とリニアであり、当該クラッチ機構37の係合力は前輪側に伝達される駆動力とリニアであるため、このPWM制御によって達成される前輪側への駆動力配分量(例えば0〜115kgm=全駆動力の半分)Tqは、前記デューティ比D/Tに対して図3に示すように二次曲線的に単純増加するようになっている。
【0023】
一方、前記前輪速センサ54及び後輪速センサ56は、前記前輪側出力軸16及び後輪側のプロペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、各軸の回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じたパルス信号又は正弦波信号による前後輪速VwF ,VwR を個別にコントロールユニット58に出力するように構成されている。また、前記モードセレクトスイッチ52は、例えばインストゥルメントパネル等の運転席近傍に設けられており、例えば主駆動輪である後輪のみに駆動力が伝達される二輪走行状態を希望するために運転者が二輪走行モードを当該モードセレクトスイッチ52上で選択すると、論理値“1”のON状態である二輪走行モードセレクト信号S2 が出力され、副駆動輪である前輪にも後輪と同等の駆動力が付与される,即ち前後輪間の駆動力配分量が50:50である四輪直結走行状態を希望するために四輪直結走行モードを選択すると、論理値“1”のON状態である四輪直結走行モードセレクト信号S4Rが出力され、前記二輪走行状態と四輪直結走行状態状態との間で車両の走行状態或いは運転者による操作入力状態に応じた駆動力配分量が自動的に制御された四輪自動走行状態を希望するために四輪自動走行モードを選択すると、論理値“1”のON状態である四輪自動走行モードセレクト信号S4Aが出力され、夫々論理値“1”のON状態であるモードセレクト信号が出力されているときには、論理値“0”のOFF状態を示すその他のモードセレクト信号が出力されるように構成されている。また、前記ニュートラルスイッチ53は、セレクトレバーによって選択されたギヤ位置が所謂ニュートラルであるときに論理値“1”のON状態を示すニュートラル信号が出力され、その他のギヤ位置では論理値“0”のOFF状態となるように構成されている。また、前記スロットル開度センサ48は,アクセル操作量として得られるスロットルの開度を検出するためにポジショナ等で構成されており、具体的にアクセル操作量が“0”であるとき,即ちアクセルペダルの踏込みがないときのスロットル開度を0%とし、アクセルペダルを限界まで踏込んだときのスロットル開度を100%として、その間で当該アクセルペダルの踏込み量に応じて次第に増加する電圧出力からなるスロットル開度θをコントロールユニット58に出力する。また、前記ブレーキスイッチ48は、所謂ブレーキランプ点灯のために設けられているスイッチを兼用し、ブレーキペダル47の踏込みでON状態を示す論理値“1”,ブレーキペダル47の足放しでOFF状態を示す論理値“0”のブレーキ信号SBRK を出力する。
【0024】
前記コントロールユニット58はマイクロコンピュータ70と、前記圧力制御弁50を駆動する駆動回路59とを備えている。また、マイクロコンピュータ70は前記各センサからの検出信号を各検出値として読込むためのA/D変換機能を有する入力インタフェース回路70aと、演算処理装置70bと、ROM,RAM等の記憶装置70cと、前記演算処理装置70bで得られたクラッチ係合力制御信号ST を出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェース回路70dとを備えている。このコントロールユニット58のマイクロコンピュータ70では、後段に詳述する図4の演算処理に従って,前記前後輪速VwF ,VwR の偏差ΔVwから第1前輪配分トルクTq1 を算出し、前記流体温Tから第2前輪配分トルクTq2 を算出し、前記スロットル開度θから第3前輪配分トルクTq3 を算出し、更にブレーキ信号SBRK から第4前輪配分トルクTq4 を算出し、これらのうちの最大値と前記モードセレクト信号S4A,S4R,S2 及びニュートラル信号SN とから基準前輪配分トルクTq0 を設定し、この基準前輪配分トルクTq0 が目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下である場合にはその変化速度Tq' を可変設定し、そうでない場合には当該前輪配分トルク変化速度Tq' を最大値Tq' MAX に設定し、このような前輪配分トルク変化速度Tq' の時間積分値が前記基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートしないようにしながら、当該前輪配分トルク変化速度Tq' の時間積分値を用いて目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を制御信号ST として駆動回路59に向けて算出出力する。
【0025】
前記駆動回路59は、前記マイクロコンピュータ70から出力される制御信号ST としての目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が達成されるように、前記図3の特性曲線に従って圧力制御弁50のソレノイド50aのデューティ比D/Tを設定し、このデューティ比D/Tをなす駆動信号としての指令電圧信号VD/T を出力するために、例えば基準波発生回路やコンパレータ等を含む所謂PWM駆動回路で構成されている。
【0026】
次に、本実施例のコントロールユニット内で行われる演算処理について図4のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、前記マイクロコンピュータ内で所定サンプリング時間ΔT(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理に必要なマップやプログラム,或いは所定の演算式等は前記記憶装置70cのROMから随時読込まれ、また演算により得られた算出値や各情報値は随時記憶装置70cのRAMに記憶されるものとする。
【0027】
この演算処理では、まず、ステップS1で、前記前輪速センサ54からの前輪速VwF 及び後輪速センサ56からの後輪速VwR を読込む。
次にステップS2に移行して、前記流体温センサ51からの流体温Tを読込む。
次にステップS3に移行して、前記スロットル開度センサ48からのスロットル開度θを読込む。
【0028】
次にステップS4に移行して、前記モードセレクトスイッチ52からのモードセレクト信号S4A,S4R,S2 及び前記ニュートラルスイッチ53からのニュートラル信号SN を読込む。
次にステップS5に移行して、前記ブレーキスイッチ57からのブレーキ信号SBRK を読込む。
【0029】
次にステップS6に移行して、前記ステップS1で読込まれた前輪速VwF 及び後輪速VwR を用いて、下記2式に従って前後輪速差ΔVwを算出する。
ΔVw=VwR −VwF ……… (2)
次にステップS7に移行して、前記ステップS6で算出された前後輪速差ΔVwを用いて、図5に示す制御マップから第1前輪配分トルクTq1 を算出設定する。この図5の制御マップでは、前後輪速差ΔVwが正値で且つ所定閾値(+ΔVw1 )以上の領域では、第1前輪配分トルクTq1 は比較的大きな所定値Tq11(例えば115kgmであり、具体的には前後輪駆動力配分量が50:50となる最大配分量)に保持され、この正値の所定閾値(+ΔVw1 )から“0”までの領域では前後輪速差ΔVwの増加に伴って第1前輪配分トルクTq1 がリニアに増加し、一方、当該前後輪速差ΔVwが負値であり場合には、当該ΔVwが“0”から負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )までは第1前輪配分トルクTq1 が“0”となる不感帯が設定され、一方、前後輪速差ΔVwが、この第1所定閾値(−ΔVw1 )より小さい負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )以下では、第1前輪配分トルクTq1 は比較的小さな所定値Tq12(例えば50kgm程度)に保持され、この負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )から“0”までの領域では前後輪速差ΔVwの減少に伴って第1前輪配分トルクTq1 がリニアに増加されるようになっている。
【0030】
次にステップS8に移行して、前記ステップS2で読込まれた流体温Tを用いて、図6に示す制御マップから第2前輪配分トルクTq2 を算出設定する。この図6の制御マップでは、流体温Tが“0℃”より低い所定閾値T1 (例えば−10℃)以上の通常作動温度領域では、第2前輪配分トルクTq2 は小さな所定値Tq20(例えば2〜4kgm)に維持され、流体温Tが前記所定閾値T1 より低い寒冷作動温度領域では、大きな所定値(例えば60kgm程度)に維持されるようになっている。
【0031】
次にステップS9に移行して、車体速と等価又はほぼ等価と考えられる前記ステップS1で読込まれた前輪速(副駆動輪速)VwF が、予め設定された所定車体速VC0(例えば20km/h)以下であるか否かを判定し、当該前輪速VwF が所定車体速VC0以下である場合にはステップS10に移行し、そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0032】
前記ステップS10では、前記ステップS3で読込まれたスロットル開度θを用いて、図7に示す制御マップから第3前輪配分トルクTq3 を算出設定してからステップS12に移行する。この図7の制御マップでは、スロットル開度θの増加に伴って、第3前輪配分トルクTq3 がリニアに増加するようになっている。なお、アクセルペダルの踏込み直後よりもやや大きなスロットル開度θ1 で、同図7の制御マップで競っていされる第3前輪配分トルクTq3 は、前記図6に示す制御マップにおける第2前輪配分トルクTq2 の小さな所定値Tq20より大きくなるようになっている。
【0033】
一方、前記ステップS11では、前記第3前輪配分トルクTq3 を“0”に設定してから前記ステップS12に移行する。
前記ステップS12では、前記ステップS5で読込まれたブレーキ信号SBRK が“1”のON状態であるか否かを判定し、当該ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
【0034】
前記ステップS13では、車体速と等価又はほぼ等価な前輪速(副駆動輪速)VwF が停車状態を示す“0”であるか否かを判定し、当該前輪速VwF が“0”である場合にはステップS15に移行し、そうでない場合には前記ステップS14に移行する。
前記ステップS15では、第4前輪配分トルクTq4 を、前記図6の制御マップによる第2前輪配分トルクTq2 の小さな初手値Tq20よりも大きな所定値Tq41(例えば30kgm)に設定してからステップS16に移行する。
一方、前記ステップS14では、前記第4前輪配分トルクTq4 を“0”に設定してから前記ステップS16に移行する。
【0035】
前記ステップS16では、前記ステップS7で設定された第1前輪配分トルクTq1 及びステップS8で設定された第2前輪配分トルクTq2 及びステップS10又はステップS11で設定された第3前輪配分トルクTq3 及びステップS14又はステップS15で設定された第4前輪配分トルクTq4 のうちの最大値を下記3式に従って選出して、それを基準前輪配分トルクTq0 として算出設定する。
【0036】
Tq0 =MAX(Tq1 ,Tq2 ,Tq3 ,Tq4 ) ……… (3)
但し、式中、MAXは最大値選出を示す。
次にステップS17に移行して、前記四輪直結走行モードセレクト信号S4Rが論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該四輪直結走行モードセレクト信号S4RがON状態である場合にはステップS18に移行し、そうでない場合にはステップS19に移行する。
【0037】
前記ステップS19では、前記四輪自動走行モードセレクト信号S4Aが論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該四輪自動走行モードセレクト信号S4AがON状態である場合にはステップS20に移行し、そうでない場合にはステップS21に移行する。
前記ステップS21では、前記二輪走行モードセレクト信号S2 が論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該二輪走行モードセレクト信号S2 がON状態である場合にはステップS22に移行し、そうでない場合には前記ステップS21に移行する。
【0038】
前記ステップS18では、基準前輪配分トルクTq0 を前輪配分トルク最大値Tq0MAXに設定してからステップS23に移行する。
また、前記ステップS20では、前記ステップS16で算出された基準前輪配分トルクTq0 をそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定してから前記ステップS23に移行する。
【0039】
また、前記ステップS22では、基準前輪配分トルクTq0 を“0”に設定してから前記ステップS23に移行する。
前記ステップS23では、前記ニュートラル信号SN が“1”のON状態であるか否かを判定し、当該ニュートラル信号SN がON状態である場合にはステップS24に移行し、そうでない場合にはステップS25に移行する。
【0040】
そして、前記ステップS24では、前記基準前輪配分トルクTq0 を“0”に設定してからステップS26に移行する。
また、前記ステップS25では、前記ステップS22までで設定された基準前輪配分トルクTq0 をそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定してから前記ステップS26に移行する。
【0041】
前記ステップS26では、前記ステップS25までで設定された基準前輪配分トルクTq0 が、前記記憶装置70cに更新記憶されている目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下であるか否かを判定し、当該基準前輪配分トルクTq0 が目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下である場合にはステップS27に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
【0042】
前記ステップS27では、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) ,即ち現在前輪に配分されている駆動トルクを用いて、図8の制御マップに従って前輪配分トルク変化速度Tq' を算出してからステップS29に移行する。この図8の制御マップでは、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が“0”から比較的小さい第1所定閾値Tq* 1 (例えば20kgm)までの領域では前輪配分トルク変化速度Tq' は比較的小さい第1所定値Tq'1(例えば−15kgm/s)に維持され、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が前記第1所定閾値Tq* 1 よりも大きい第2所定閾値Tq* 2 (例えば25kgm)以上の領域では前輪配分トルク変化速度Tq' は比較的大きい第2所定値Tq'2(例えば−120kgm/sであり、最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX ))に維持され、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が前記第1所定閾値Tq* 1 から第2所定閾値Tq* 2 までの領域では、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の増加に伴って前輪配分トルク変化速度Tq' はリニアに増加設定されるようになっている。なお、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の第2所定閾値Tq* 2 は、所謂低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除く、低μ路面での通常走行で発生する前輪側配分トルクの最大値が用いられている。
【0043】
一方、前記ステップS28では、前輪配分トルク変化速度Tq' を最大前輪配分変化速度Tq' MAX (例えば120kgm/s)に設定してから前記ステップS29に移行する。
前記ステップS29では、前記ステップS27又はステップS28で設定された前輪配分トルク変化速度Tq' に前記所定サンプリング時間ΔTを乗じた値の絶対値が、前記ステップS25までで設定された基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値の絶対値以上であるか否かを判定し、前者が後者以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合にはステップS31に移行する。
【0044】
前記ステップS30では、下記4式に従って前輪配分トルク変化速度Tq' を算出設定してからステップS32に移行する。
Tq' =(Tq0 −Tq* (n-1) )/ΔT ……… (4)
一方、前記ステップS31では、前記ステップS27又はステップS28で設定された前輪配分トルク変化速度Tq' をそのまま前輪配分トルク変化速度Tq' に設定してから前記ステップS32に移行する。
【0045】
前記ステップS32では、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を用いて、下記5式に従って目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を算出設定する。
Tq* (n) =Tq* (n-1) +Tq' ・ΔT ……… (5)
次にステップS33に移行して、前記ステップS32で算出設定された目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を前記制御信号ST として前記駆動回路71に向けて出力する。
【0046】
次にステップS34に移行して、前記目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を前回値Tq* (n-1) として前記記憶装置70cに更新記憶してからメインプログラムに復帰する。
次に本実施例の四輪駆動制御装置による作用を説明する。まず、前記図2に示す流体圧制御装置の作用についてであるが、本実施例の車両が独立した流体圧制御装置を備えていること、並びに当該流体圧制御装置でのライン圧は前述のように一定又はほぼ一定に自動調整されること、及び前記圧力調整弁50へのデューティ比制御によるクラッチ係合力及び前輪への駆動トルク配分調整については、前述の通りであるのでこれらの詳細な説明を省略し、更に後段に詳述する前記図4の演算処理のステップS16以後のフィルタリング処理及びリミッタ処理以前に、当該演算処理のステップS15までで設定される各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の作用について、それらがそのまま最終的な目標前輪配分トルクに設定されたという見地から説明する。
【0047】
まず、前記図4の演算処理のステップS1で読込まれる前後輪速VwF ,VwR 間に前後輪速差ΔVwが発生すると、同ステップS7で第1前輪配分トルクTq1 が算出設定される。このステップS7で用いられる第1前輪配分トルクTq1 算出のための制御マップは前述の通りであり、その変数となる前後輪速差ΔVwの定義式が、前記2式による主駆動輪速(後輪速VwR )から副駆動輪速(前輪速VwF )を減じた値であるために、当該前後輪速差ΔVwが正値である場合は、路面μの低下や急加速等によって主駆動輪である後輪2RL,2RRが車体速を上回ってスリップしている状態を示す。この正値のスリップ量である前後輪速差ΔVwが大きくなるほど、副駆動輪である前輪への駆動力を大きくして、アンダステアを含む走行安定性を高めるべきであるから、前記図5の制御マップのように当該前後輪速差ΔVwが正値であり且つ“0”から正値の所定閾値(+ΔVw1 )までの間で当該前後輪速差ΔVwの増加と共に第1前輪配分トルクTq1 を速やかに増加させ、前後輪速差ΔVwがこの正値の所定閾値(+ΔVw1 )以上の領域では、例えば前後輪駆動力配分量を50:50となる,所謂四輪直結状態として走行安定性を最大限に高めることができる。
【0048】
一方、前記前後輪速差ΔVwが負値である場合は、例えば低μ路面においてエンジンブレーキ力やホイールシリンダ力によって主駆動輪である後輪2RL,2RRが車体速を下回ってロック又はロック傾向を示しているか(実際のホイールシリンダ力による後輪制動力はプロポーショナルバルブ等によって前輪とほぼ同時にロック傾向になるように調整されていることが多い)、例えば高μ路面において或る程度以下の旋回半径で旋回走行していて、旋回半径の大きい前輪が旋回半径の小さい後輪よりも速く(多く)回転している状態を示す。このような後輪のロック又はロック傾向や旋回走行を示す負値の前後輪速差ΔVwが数値的に小さくなるほど、副駆動輪である前輪への駆動力を大きくして、舵取り効果やアンダステアを含む走行安定性を高めるべきである。しかしながら、その一方で、後輪のロック傾向があまり大きくないときに前輪への駆動力を大きくし、相対的に後輪の駆動力が小さくなると、所謂摩擦円の概念に従って後輪はますますロック傾向に陥る。また、主駆動輪である後輪の絶対回転数が小さい低速走行時の小旋回中では、前後輪速差ΔVwもさほど小さな負値とならず、このような状態で前輪への駆動力を大きくするために前記クラッチ機構37の係合力を大きくすると、前後輪間の回転数差を吸収できずにインターロックがかかる,所謂タイトコーナブレーキ現象が発生してしまう。そこで、前記図5の制御マップでは、前記前後輪速差ΔVwが“0”から前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )までの間を不感帯に設定して、この間は第1前輪配分トルクTq1 を“0”とすることで、前記後輪ロック傾向の増幅やタイトコーナブレーキ現象を回避し、当該前後輪速差ΔVwが前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )から負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )までの間で当該前後輪速差ΔVwの減少と共に第1前輪配分トルクTq1 を速やかに増加させ、前後輪速差ΔVwがこの負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )以下の領域では、或る程度,より具体的には前輪の駆動力が後輪のそれの1/4程度になるまで前輪駆動力配分量を高めてアンダステアを含む走行安定性を適切に高めることができる。
【0049】
次に、図4の演算処理では前記流体温センサ51で検出され且つ同ステップS2で読込まれたリザーバ内の流体温Tから、同ステップS8で第2前輪配分トルクTq2 が算出設定される。既知のように、通常の流体圧制御装置に用いられる作動流体は、“0℃”を大きく下回る氷点下の低温作動環境で、その粘性が大きくなり過ぎてアクチュエータの動特性が変化してしまう傾向にある。本実施例では、このような低温作動環境で、例えば前記圧力制御弁50へのデューティ比に対して所定の作動流体圧がクラッチ機構37に供給されず、その結果、前後輪間の駆動力配分量が目標値に一致せず、誤動作する虞れがある。また、“0℃”を大きく下回る氷点下の低温作動環境は、路面が凍結し易く、降雪や積雪の可能性も高い。従って、前記図8の制御マップによれば、前記作動流体温Tが氷点下に設定された前記所定閾値T1 以下の領域では、第1前輪配分トルクTq2 を、例えば前後輪駆動力配分量を50:50となる,所謂四輪直結状態の大きな所定値Tq21まで高めて、流体圧制御装置の誤動作を防止すると同時に、四輪に駆動力を分散することでアンダステアを含む走行安定性を高めることができるようにしてある。なお、このような低温作動環境で設定される第2前輪配分トルクTq2 は、前記作動流体の温度特性並びに流体圧制御装置の温度特性に応じて適宜に設定すればよく、前述では或る閾値以下で一定としたが、これを何段階かに分けてもよいし、或る特性に応じて連続的に変化させるようにすることも勿論可能である。
【0050】
一方、このような低温作動環境以外の通常温度作動環境下で、前後輪間の駆動力配分制御を実施する際に、本実施例の駆動力配分調整手段がクラッチ機構から構成されている関係上、例えば主駆動輪である後輪にのみ駆動力を伝達するために前記圧力調整弁50へのデューティ比を“0”%としてしまうと、前記クラッチ機構37のフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが完全に離間してしまう。この状態から、例えば当該クラッチ機構37のフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが接触し始めて係合力がほぼ“0”となる状態を通り越して、更に両者の係合力を高める指令信号が出力されると、前輪への駆動力の経時変化に不連続点が発生し、またクラッチ機構37が接触開始するまでの応答時間によって前輪への駆動力配分制御に応答遅れが発生し、またクラッチ機構37が短時間に係合することによる衝撃が生じる可能性もある。そこで、前記図6の制御マップによれば、前記作動流体温Tが前記所定閾値T1 以上の領域では、前輪への駆動力が発生しない程度にクラッチ機構37が軽く接触する前記小さな所定値Tq20を、所謂第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクに設定することで、前述のような応答遅れや衝撃発生を回避できるようにしてある。
【0051】
次に、図4の演算処理ではステップS3で読込まれたスロットル開度θから、同ステップS10又はステップS11で第3前輪配分トルクTq3 が算出設定される。前記第1前輪配分トルクTq1 のように、既存の前後輪間駆動力配分制御の大半が、実際に発生する前後輪速差ΔVwのフィードバック制御である関係から、クラッチ機構37の係合力が変化してから副駆動輪である前輪2FL,2FRの駆動力が路面に伝達されるまでの間には、当該前輪側駆動系,より具体的には前輪側出力軸16,フロントディファレンシャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20と前輪2FL,2FR自身の回転慣性に抗してエンジンの出力が当該前輪2FL,2FRに伝達されるまでの応答遅れと、当該前輪2FL,2FRのタイヤが路面を蹴って回転するまでの応答遅れとがあるから、この前後輪速差ΔVwのフィードバック制御系では、特に発進時等で最も後輪2RL,2RRのスリップが発生し易い状況下での応答遅れが大きくなり、その収束性が悪化する可能性がある。そこで、図4の演算処理では車体速と等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF が所定車体速VC0以下の領域を車両発進時とし、後輪2RL,2RRに発生すると考えられるスリップ量とエンジン出力とスロットル開度とが互いにリニアな関係にあると見なし、このうち最も時系列的に早いスロットル開度θを検出し、同演算処理のステップS10で用いられる図7の制御マップでは、このスロットル開度θの増加と共に第3前輪配分トルクTq3 を増加させてフィードフォワード制御の成分とし、このフィードフォワード制御成分を有する第3前輪配分トルクTq3 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に設定されたときには、前述のような発進時における後輪2RL,2RRの過大なスリップを未然に防止し、或いは発生したスリップのその後の収束性を高めるようにしてある。なお、本実施例では、前記車体速度等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF が所定車体速VC0より大きくなると、ステップS11で第3前輪配分トルクTq3 は“0”に設定され、前記発進時フィードフォワード制御は強制的に終了される。また、前記第3前輪配分トルクTq3 の制御マップは前述に限定されるものではなく、制御入力を同じくスロットル開度θに設定した場合でも、エンジンの出力特性や後輪に発生すると考えられるスリップ量の特性に応じて適宜に設定すべきである。また、本実施例では、前述のようにアクセルペダルを或る程度踏込んだ状態に相当するスロットル開度θが所定値θ1 であるときに、前記通常温度作動環境時に設定される前記第2前輪配分トルクTq2 が前記小さな所定値Tq20となるようになっている。
【0052】
次に、図4の演算処理ではステップS5で読込まれたブレーキ信号SBRK 及び前記車体速と等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF から、同ステップS14又はステップS15で第4前輪配分トルクTq4 が算出設定される。この第4前輪配分トルクTq4 は、同演算処理のステップS12からのフローによって、ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態で且つ車体速と等価又はほぼ等価と見なせるVwF が“0”であるときに同ステップS15で前記所定値Tq41に設定される以外は、同ステップS14で“0”に設定される。この設定条件,即ちブレーキ信号SBRK が“1”のON状態で車体速と等価又はほぼ等価な前輪速VwF が“0”であるということは、ブレーキペダルを踏込んだ完全な停車状態であるから、本来、このときに前輪側に駆動力を配分する必要はない。また、通常想定される低μ路面で発進時にスリップが発生し易い場合も、少なくとも発進のためにアクセルペダルを踏込み、そのスロットル開度θが前記所定値θ1 以上になれば前記第3前輪配分トルクTq3 によって前輪側への駆動力配分量が大きくなり、後輪のスリップは発生そのものが抑制されるか或いは速やかに収束されるはずである。しかしながら、前述した第3前輪配分トルクTq3 を設定するための図7の制御マップでは、前記スロットル開度θが前記所定値θ1 以上にならないと、当該第3前輪配分トルクTq3 は、前記第2前輪配分トルクTq2 における通常温度作動環境でのイニシャルトルク,即ち前記小さな所定値Tq20以上にならないことになり、当該イニシャルトルクに相当する第2前輪配分トルクTq2 の所定値Tq20が前輪への駆動力“0”の状態であるから、極めて路面μが低い路面や下り勾配の大きい降坂路での発進時のように、後輪への駆動力が小さくても当該後輪にスリップが発生してしまうような状況下では、アクセルペダルの踏込み量が小さく、スロットル開度θが前記所定値θ1 より小さい場合でも後輪にスリップが発生してしまう虞れがあり、しかしながら前記発進時のスリップを補償するはずの第3前輪配分トルクTq3 は、前記第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクよりも小さく、実質的に前輪に駆動力を伝達していない値にしかならないから、このようにして発生した後輪のスリップは、このままでは収束されないことになってしまう(実際には前記第1前輪配分トルクTq1 によるフィードバック制御によってやがて収束されるが、その収束までの所要時間の長さ及びその間に発生する後述の摩擦クラッチ係合力のハンチングに問題がある)。
【0053】
そこで本実施例では、車両がこれから発進するに足る条件,即ちブレーキペダルを踏込んで且つ車速が“0”であることを、前記ブレーキ信号SBRK 及び前輪速VwF から検出し、このときの第4前輪配分トルクTq4 を或るレベル,実質的には前記所定値Tq41まで高めておき、前記ブレーキペダルの踏込み条件及び車速条件が解除されて、今正に車両が発進しようとするときにこの所定値Tq41である第4前輪配分トルクTq4 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に選定されているときには、前記第3前輪配分トルクTq3 が、前記第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より小さくても、この第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41を初期値とし、更に後述する前輪配分トルク変化速度Tq' 変更制御によって、当該第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41からの最終的な目標前輪配分トルクTq* の減少傾きを抑制して前輪側への駆動力配分を残存させ、前記極低μ路面や急降坂路での後輪のスリップを抑制防止すると共に、アンダステアを含む走行安定性を確保しようとする。なお、本実施例では、後述するように目標前輪配分トルクTq* (実際には現在達成されている前輪側への配分トルクであって、具体的には目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) である)の大きさによって前輪配分トルク変化速度Tq' が変化し、より具体的には当該目標前輪配分トルクTq* が大きいときには前輪配分トルクの減少速度を速くし且つ当該目標前輪配分トルクTq* が小さいときには前輪配分トルクの減少速度を遅くする制御態様がなされるため、前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41からの最終的な目標前輪配分トルクTq* の減少傾きが変化することもあるが、当該第4前輪配分トルクTq4 が所定値Tq41から減少したときに主駆動輪である後輪にスリップが発生していれば、前記第1前輪配分トルクTq1 による駆動輪スリップのフィードバック制御が開始されているから、前記車両発進から駆動輪スリップのフィードバック制御までの所要時間を考慮して、より具体的にはこの所要時間よりも前記第4前輪配分トルクTq4 の減少時間が長くなるように、前記所定値T41及び前輪配分トルクの減少速度を設定すればよい。
【0054】
次に、図4の演算処理で同ステップS16で、前述のようにして設定された第1〜第4前輪配分トルクTq1 〜Tq4 のうちの最大値が、後述する最終的な目標前輪配分トルクTq* の基準値となる基準前輪配分トルクTq0 として選出される。これは、ここまで説明した各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 が夫々、車両の走行状態や運転者の操作入力等に応じて独立に設定されたものであり、しかも夫々の前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の目的が走行安定性を高めるという共通したものであるために、何れかを優先するとか何れの比率を高めるという考慮なく、最も走行安定性向上に寄与する前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の最大値を基準前輪配分トルクTq0 に選出する。
【0055】
次に図4の演算処理のステップS17からステップS22では、前記モードセレクト信号S4A,S4R,S2 に応じた基準前輪配分トルクTq0 の変更設定が行われる。即ち、前述のようにして設定された各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 は、走行状態や運転者の操作入力に応じた最適な四輪駆動状態を期待して運転者が意図的に四輪自動走行モードを選択しているときに実行されるべきであり、その他の走行モードが選択されているときには、本来的に運転者の意思を尊重してその通りの走行状態を創造すべきである。そこで、四輪直結走行モードが選択されているときにはステップS17からステップS18に移行して、基準前輪配分トルクTq0 が、前後輪間駆動力配分量が50:50となって前後輪が直結状態となる最大値Tq0MAXに変更設定され、一方、二輪走行モードが選択されているときにはステップS21からステップS22に移行して、基準前輪配分トルクTq0 は“0”に変更設定され、四輪自動走行モードが選択されているときに限って前記選出による基準前輪配分トルクTq0 がそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定される。
【0056】
また、図4の演算処理のステップS23からステップS25では、前記ニュートラル信号SN に応じた基準前輪配分トルクTq0 の変更設定が行われる。即ち、ニュートラル信号SN が論理値“1”のON状態であることは、エンジン出力によって車両が発進することはない(ギヤ位置がニュートラルであって、降坂路等で重力加速度によって発進する場合には、一般にスリップは発生しない)し、運転者の意思としても発進する意思はないと考えられ、このときに前記イニシャルトルクを含む前輪側への駆動力を配分したり、或いは前記流体圧制御装置内で不要な流体圧を発生させたりすることはエネルギ損であるから、ギヤ位置にニュートラルが選択されているときにはステップS23からステップS24に移行して基準前輪配分トルクTq0 は“0”に変更設定され、そうでないときには前述のようにして設定された基準前輪配分トルクTq0 がそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定される。なお、自動変速機を搭載する車両にあっては、このニュートラル位置判定に,所謂パーキングギヤ位置判定を加えてもよい。
【0057】
そして、続く図4の演算処理のステップS26からステップS28では、前述した前輪配分トルク変化速度Tq' の設定が行われる。既知のように、前記前後輪速差ΔVwのみに応じた第1前輪配分トルクTq1 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に設定されて前後輪間の駆動力配分フィードバック制御が実行されると、副駆動輪である前輪の駆動系の回転慣性や当該前輪が路面に駆動力を伝達するまでの時間が応答遅れとなり、このとき駆動力配分量の変化速度が速過ぎると、これに起因して高μ路面から低μ路面へのμジャンプ時に駆動力制御のハンチングが発生する虞れがある(その発生原因については後段に詳述する)。一方、このような問題を回避するために、駆動力配分量の特に減少方向への変化速度が遅過ぎると、副駆動輪である前輪への駆動力配分量が大きい状態からの旋回走行への移行時に、当該前輪への駆動力配分量が十分に小さくならず、そのため旋回走行移行後もクラッチ機構の係合力が高い状態が維持されて前後輪間の回転速差が吸収されず、インタロックによるタイトコーナブレーキ現象が発生する虞れがある。この相反する問題を防止するためには、制御ハンチングの問題が通常走行時,即ち副駆動輪である前輪への駆動力配分量がさほど大きくないときに発生することから、当該前輪への駆動力配分量が大きいときに当該駆動力配分量の変化速度を速くし、前輪への駆動力配分量が小さいときに当該駆動力配分量の変化速度を遅くすればよい。また、これらの問題は、何れも副駆動輪である前輪への駆動力配分量が減少するときに発生するから、図4の演算処理のステップS26で、前述のように設定された四輪駆動制御装置で達成すべき基準前輪配分トルクTq0 が、現在達成されている前輪配分トルク,即ち目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下であるか否かにより、前輪への駆動力配分量が減少方向にあるかどうかを判定し、前輪への駆動力配分量が増加方向にある場合にはステップS28に移行して、このときには前輪配分トルクの変化速度が速過ぎることに問題はない、むしろこのような場合には走行安定性の面から速やかに前輪への駆動力配分量を増加させるべきであるから、制御の応答性を高めるべく前輪配分トルクの変化速度Tq' を最大前輪配分変化速度Tq' MAX に設定し、前輪への駆動力配分量が減少方向にある場合にはステップS27に移行して、前記図8の制御マップに従って前輪配分トルクの変化速度Tq' が設定される。なお、本実施例では前記諸問題のみならず、前記ブレーキ信号SBRK による発進判定の結果、前記所定値Tq41に設定された第4前輪配分トルクTq4 の減少を、この減少方向への前輪配分トルク変化速度Tq' でフィルタリング,即ち規制して、所定の時刻まで前輪側への駆動力配分量が残存する目的もある。
【0058】
ここで、図8の制御マップによれば、前述のように低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除いて、当該低μ路面での通常走行で発生する前輪配分トルクの最大値に設定された第2所定閾値Tq* 2 以上の前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の領域は、例えば前記発進時フィードフォワード制御によって大幅に増加された前輪への駆動力配分量を想定しており、この状態からアクセルペダルを足放ししたときに当該前輪への駆動力配分量が速やかに小さくなって、例えばこれに続く旋回走行時に前記タイトコーナブレーキ現象が発生しないように、このときの前輪配分トルク変化速度Tq' は最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )に等しい第2所定値Tq'2となるようにしてある。また、前記第2所定閾値Tq* 2 より小さい前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の領域は、低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除く、想定可能な全ての路面μでの走行中に発生する前輪配分トルクを想定しており、この領域では当該目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の前記第2所定閾値Tq* 2 から、高μ路面での急加速時や急旋回時に発生する前輪配分トルクの最大値に設定された第1所定閾値Tq* 1 までの範囲で、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を速やかに小さく(数値的には負値であるから大きくなる)し、この第1所定閾値Tq* 1 以下の領域では前輪配分トルク変化速度Tq' を比較的小さい第1所定値Tq'1に維持して、通常走行で発生し得る駆動力配分制御のハンチングを抑制防止できるようにしてある。
【0059】
次に、図4の演算処理では前述のようにして設定された前輪配分トルク変化速度Tq' のフィルタリング処理が行われる。前述のようにして設定された前輪配分トルク変化速度Tq' はあくまでも単位時間当たりの変化速度として設定されるから、前記図4のタイマ割込演算処理が実行されるサンプリング時間ΔT後の実際の前輪配分トルク,即ち目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が、前記基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートしてはならない。これは、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を設定する際に、実際の前輪配分トルクを検出せず、その代わりに目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を用いている点からも達成すべき制御項目となる。また、図4の演算処理で出力される操作量或いは制御量が、前記サンプリング時間ΔT毎の前輪駆動力の目標値によるチョッピング制御であることからも、前記ステップS29で、前記前輪配分トルク変化速度Tq' にサンプリング時間ΔTを乗じた値,即ち次のサンプリング時間までに達成しようとする前輪配分トルクの変化量の絶対値が、前記基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値,即ち目標値と現在値との偏差の絶対値以上であるか否かを判定し、前者が後者以上である場合にはそれまでの前輪配分トルク変化速度Tq' を用いて後述のように目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を設定すると、その値が基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートすることになるから、同ステップS30に移行して当該基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値を更に前記サンプリング時間ΔTで除して新たな前輪配分トルク変化速度Tq' を設定する。勿論、達成しようとする値が目標値をオーバシュートしない場合は、前記前輪配分トルクの減少速度のフィルタリング作用からも、ステップS31に移行してそれまでの前輪配分トルク変化速度Tq' がそのまま前輪配分トルク変化速度Tq' に設定される。
【0060】
そして、図4の演算処理のステップS32からステップS33では、前述のようにしてそれぞれフィルタリングされた前輪配分トルク変化速度Tq' に前記サンプリング時間ΔTを乗じた値を、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) に和して、目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が算出出力される。
以上より、前記クラッチ機構37及び圧力源35及び圧力制御弁50が本発明の四輪駆動制御装置の駆動力配分調整手段に相当し、以下同様に前記ブレーキスイッチ57及び図4の演算処理のステップS5がブレーキ踏込み検出手段に相当し、前輪速センサ54及び図4の演算処理のステップS1が車体速検出手段に相当し、前記前後輪速センサ54,56及び図4の演算処理のステップS1及びステップS6が回転数差検出手段に相当し、図4の演算処理のステップS12からステップS15及びステップS26からステップS30が駆動力配分量設定手段に相当し、図4の演算処理全体が駆動力配分制御手段に相当する。
【0061】
次に、前述のように図4の演算処理のステップS27で前輪への駆動力配分量が減少方向にあるとき、前記前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理する作用について図9のタイミングチャートを用いながら説明する。
このタイミングチャートは、高μ路面を加速度一定で定常走行していたところ、時刻t1 で低μ路面にμジャンプしたときの前後輪速VwF ,VwR と前後輪速差ΔVwとをシミュレートしたものであり、前記基準前輪配分トルクTq0 には前後輪速差ΔVwのみによる前記第1前輪配分トルクTq1 がリアルタイムに反映されているものとする。なお、同図bに示す前後輪速差ΔVwは、理解を容易化するために縦軸を拡大表示してある。また、本実施例で主駆動輪である後輪はエンジンに直結されており、実質的には、そのイナーシャ(回転慣性)が各車輪速及び前後輪速差に大いに影響するが、ここではとりあえず、このエンジンイナーシャを無視した後輪駆動系の回転慣性と前輪駆動系の回転慣性のみを考慮し、そのときの後輪速VwR は実線で、前輪速VwF は破線で、前後輪速差ΔVwは実線で示す。
【0062】
このタイミングチャートによれば、前記時刻t1 で低μ路面へのμジャンプによって、それまでエンジン出力の大半が伝達されていた主駆動輪である後輪がスリップして後輪速VwR が増速し、これによって前後輪速差ΔVwが増加するために前記図4の演算処理のステップS7では前記図5の制御マップのリニア増加部分に対応して第1前輪配分トルクTq1 が増加し、これを基準前輪配分トルクTq0 とする目標前輪配分トルクTq* が前記最大前輪配分トルク変化速度Tq' MAX で増加することになるから、前記前輪駆動系が有する所定の遅れ時間をもって前輪速VwF も増速するが、未だ後輪速VwR の増速率の方が大きいから前後輪速差ΔVwも増加し続ける。
【0063】
やがて、前輪配分トルクの増加に伴って後輪配分トルクが減少することから、後輪速VwR は時刻t2 で極大値を迎え、このときには前後輪速差ΔVwもほぼ同時に極大値となったが、副駆動輪である前記前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF はこの後も増速を継続することとなった。これにより、この時刻t2 以後、前後輪速差ΔVwが減少するが、この前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 の減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' は、図4の演算処理のステップS27で図8の制御マップに従って前記小さな所定値Tq'1程度に抑制されているために、最終的な目標前輪配分トルクTq* は緩やかに減少されることとなり、故に後輪速VwR の減速傾きが抑制されて当該後輪速VwR は緩やかに減速し、従って前後輪速差ΔVwも緩やかに減少し、これが、前輪速VwF が極大値を迎える時刻t3 まで継続して繰返されることとなった。
【0064】
そして、前記時刻t3 では前述した前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF が極大値を迎え、その後、前記目標前輪配分トルクTq* の緩やかな減少に伴って減速に転ずることとなったが、これによって前後輪速差ΔVwの減少傾きはより一層小さくなり、しかしながら当該前後輪速差ΔVwに応じた基準前輪配分トルクTq0 から、最終的な目標前輪配分トルクTq* には図4の演算処理のステップS29からステップS30でリミッタがかけられるため、まず後輪速VwR の減速傾きが更に小さくなり、これから前記前輪駆動系の応答遅れをもって発生する前輪速VwF の減速傾きも小さくなることとなった。
【0065】
このような後輪速VwR 変動の減衰効果によって、当該後輪速VwR は当該低μ路面でのトラクションロスを含んで所定の車両加速度を満足する車輪速に近づくものの、未だ前輪速VwF は前記前輪駆動系の応答遅れからこの車輪速に近づいていないために、後輪速VwR についてはほぼ良好であるが前輪速VwF をやや増速すべき走行状態となり、その結果、時刻t4 で前後輪速差ΔVwは極小値を迎え、その後、当該前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 に応じて最終的な目標前輪配分トルクTq* は増加に転ずることとなったが、未だ前輪速VwF は減速し続けていたため、この前輪駆動系の回転慣性に抗して前輪を回転させるための実質的な目標前輪配分トルクTq* の増加率は非常に小さなものとなり、しかも未だ前輪への駆動力が十分に増加していないために、これからやや遅れて後輪速VwR も極小値を迎え、更に増速に転ずることとなってしまった。
【0066】
しかしながら、目標前輪配分トルクTq* の増加によって前記前輪駆動系の応答遅れに相当する時刻t5 から前輪速VwF が極小値を越えて増速に転じたため、前記後輪速VwR の増速量は小さく抑制され、増速し続ける前輪速VwF との前後輪速差ΔVwは時刻t6 で極大値となり、その後、減少に転ずるものの、前記時刻t2 以後と同様にその減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' が小さく抑制されるために、まず後輪速VwR が極めて緩やかに減速し、これに遅れて前輪速VwF の増速傾きが減少して時刻t7 で極大値を迎え、この時刻t7 で前後輪速差ΔVwは、当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束し、その結果、目標前輪配分トルクTq* の変動がなくなって後輪速VwR ,前輪速VwF とも安定状態となった。
【0067】
次に、前述のように前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理しない従来の四輪駆動制御装置の作用について図10のタイミングチャートを用いながら説明する。具体的には前記図4の演算処理のステップS26からステップS28が削除されたものであると考えればよく、前輪配分トルクが減少方向に変化するときも常に前記最小変化速度(−Tq' MAX )で基準前輪配分トルクTq0 に向けて目標前輪配分トルクTq* が変化する。
【0068】
このタイミングチャートでのシミュレーション条件は、前記図9のものと全く同等であり、少なくとも前記時刻t1 で低μ路面にμジャンプしてから前後輪速差ΔVw及び後輪速VwR が極大値を迎える時刻t2 までの挙動は、当該図9での説明と同等である。また、ここでも、後輪に直結されるエンジンイナーシャの影響をネグレクトした後輪速VwR を実線で、前輪速VwF を破線で、前後輪速差ΔVwを実線で示す。
【0069】
従って、この時刻t2 以後、副駆動輪である前記前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF は増速を継続し、同時に前後輪速差ΔVwが減少するが、この前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 の減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' には、前述のようなフィルタリングによる規制が与えられていないので、最終的な目標前輪配分トルクTq* も、当該前後輪速差ΔVwの減少速度と同程度に速やかに減少されることとなり、一方、未だ増速し続ける前輪速VwF には大きな駆動力が配分されているために、後輪速VwR は大幅に且つ速やかに減速し、従って前後輪速差ΔVwも大幅に且つ速やかに減少し、これが、前輪速VwF が極大値を迎える時刻t3Pまで継続して繰返されることとなった。
【0070】
そして、前記時刻t3Pでは前述した前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF が極大値を迎え、その後、減速に転ずることとなったが、この前輪への駆動力配分量の減少に伴って後輪速VwR の減速傾きは次第に小さくなり、両者の前後輪速差ΔVwは時刻t4Pで極小値となり、一方、後輪速VwR はこれより遅い時刻t5Pで極小となり、以後、増速に転ずる。しかしながら、前記大幅に且つ速やかに減少する前後輪速差ΔVwと同等に設定された基準前輪配分トルクTq0 からなる目標前輪配分トルクTq* によって、前記前輪駆動系の応答遅れを伴う前輪速VwF は、これ以後も大幅に且つ速やかに減速し続け、これにより前後輪速差ΔVwは速やかに且つ大幅に増加することとなり、それと共に基準前輪配分トルクTq0 及び目標前輪配分トルクTq* が大幅に且つ速やかに増加されようとするが、一方で後輪への駆動力配分量は未だ大きいままであり、前記前輪駆動系の回転慣性等によりクラッチ機構37の係合力が増加されるまでに時間がかかり、その結果、前輪速VwF は、前記時刻t5Pよりも大幅に遅い時刻t6Pで極小値となり、その後、増速に転ずることができる。
【0071】
この応答遅れにより、前後輪速差ΔVwは時刻t7Pで極大値を迎え、後輪速VwR は時刻t8Pで極大値を迎えるが、前輪速VwF の極大値はこれよりも遅い時刻t9Pで発生し、その直後の時刻t10P では再び前後輪速差ΔVwが極小値となってしまい、結果的に前記時刻t2 以後と同様に前後輪速VwF ,VwR は位相がずれたまま増減を繰り返し、それが前後輪速差ΔVwから基準前輪配分トルクTq0 及び目標前輪配分トルクTq* に大きな変動を与え続け、前後輪速VwF ,VwR が当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束することなく、駆動力配分制御のハンチングが継続することとなる。
【0072】
この問題を回避するためには、少なくとも前記目標前輪配分トルクTq* の減少時にその減少傾きを小さく設定しなければならないことになるが、この目標前輪配分トルクTq* の減少傾きを小さく抑制したままであるときに発生する問題と、本実施例による作用を図11のタイミングチャートを用いて説明する。
このタイミングチャートは、例えば路面μのやや低い路面での発進時にアクセルペダルを大きく踏込んで,所謂スロットルON状態で発進し、さほど時間のない時刻t25で旋回走行に移行するため、それより早い時刻t21でアクセルペダルを足放ししてスロットルOFF状態に移行し、前記時刻t25ではステアリングを切込まなければならない状況での目標前輪配分トルクTq* をシミュレートしたものであり、前記基準前輪配分トルクTq0 には前記第3前輪配分トルクTq3 がリアルタイムに反映されているものとする。なお、前記スロットルON時に設定される第3前輪配分トルクTq3 と等しい基準前輪配分トルクTq0 ,即ち目標前輪配分トルクTq* は、前記図8の制御マップの第2所定閾値Tq* 2 以上であったものとする。また、この路面での前記時刻t25からの旋回走行において前記タイトコーナブレーキ現象を発生させないための目標前輪配分トルクTq* の最大値は、図11においてTq* lim で表す。
【0073】
まず、前述のような制御のハンチングを抑制防止するために、目標前輪配分トルクTq* の減少速度,本実施例でいうところの前輪配分トルク変化速度Tq' を或る値で制限してしまうと、例えば時刻t21でアクセルペダルを足放ししてスロットル開度θが“0”まで減少すると、前記第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 も当該時刻t21か又はその直後に“0”になってしまう。実際のスロットル開度θの変化はそれほどステップ的でないから、図11の時刻t21からに示すように基準前輪配分トルクTq0 が変化し、その減少速度が前記規制値より速くなると、これ以後、目標前輪配分トルクTq* は同図に二点鎖線で示すように傾き一様で減少することになる。ところが、このように減少速度が規制された目標前輪配分トルクTq* では、前記ステアリング切込み開始時刻t25より遅い時刻t26でしか、前記タイトコーナブレーキ現象回避前輪配分トルクTq* lim 以下とならないから、実質的にステアリングを切込む時刻t25以後ではタイトコーナブレーキ現象の発生する可能性がある。
【0074】
一方、前記図4の演算処理のステップS27における図8の制御マップでは、目標前輪配分トルク(正確にはその前回値)Tq* (n-1) が、前記第2所定閾値Tq* 2 以上であるときには、前輪配分トルク変化速度Tq' は前記最小変化速度に等しい所定値Tq'2一定であるため、目標前輪配分トルクTq* の減少速度にフィルタがかかる時刻t22から、図11に実線で示すように目標前輪配分トルクTq* が第2所定閾値Tq* 2 より小さくなる時刻t23までは、前記最小変化速度(−Tq' MAX )で当該目標前輪配分トルクTq* はリニアに且つ速やかに減少し、次いで目標前輪配分トルクTq* が前記第1所定閾値Tq* 1 以下となる時刻t24までは、前輪配分トルク変化速度Tq' がリニアに減少するため、当該目標前輪配分トルクTq* は二次曲線的に減少し、次いでこれ以後は、前記小さな所定値Tq'1で傾き一様に且つ緩やかに減少することになる。このシミュレーションでは、前記時刻t25よりも早い時刻t23.5で目標前輪配分トルクTq* が前記タイトコーナブレーキ現象回避前輪配分トルクTq* lim 以下となるため、ステアリングを切込む時刻t25以後でタイトコーナブレーキ現象の発生する可能性は小さくなる。
【0075】
ちなみに、前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理しない前記図10のタイミングチャートにおいて、後輪に直結されたエンジンイナーシャの影響を考慮すると、当該重いエンジンイナーシャが直結された後輪速VwR はさほど変動しなくなることが予想され、更に電子制御によってスロットル開度に応じたエンジン出力トルクが一定になるように制御されている場合には、後輪速VwR の変動幅は更に小さくなると考えられる。こうした状況における後輪速VwR を図10に二点鎖線で、前輪速VwF を一点鎖線で、前後輪速差ΔVwを二点鎖線で夫々示す。このような状況下では、後輪速VwR の変動が大幅に抑制されるから、前記時刻t2 で前後輪速差ΔVwが極大となると、変動しにくい後輪速VwR に対して前輪速VwF が速やかに増速し、これとリアルタイムに前後輪速差ΔVwが減少し、次いで前輪駆動系の遅れ時間後に前輪速VwF が減速し、これとリアルタイムに前後輪速差ΔVwが増加するといったように、前輪速VwF の変動周期及びそれに伴う前後輪速差ΔVwの変動周期が短くなる。一方、前述のように出力トルクがほぼ一定に制御されたエンジンに、この前輪駆動系が短い周期で付加されたり外されたりすると、その周期が、実際に発生するであろう後輪速VwR 変動を加振するようなものでない限り、平均的な後輪速VwR も次第に減速することが予想される。従って、前輪速VwF との前後輪速差ΔVwは次第に小さくなり、これに伴って前輪速VwF の変動幅も次第に小さくなり、相応の時間経過後に、後輪速VwR ,前輪速VwF は当該低μ路面で所定の車両加速度を達成する速度に収束するであろう。
【0076】
これを本発明である図9のタイミングチャートにフィードバックすると、同じく後輪速VwR は二点鎖線で、前輪速VwF は一点鎖線で、前後輪速差ΔVwは二点鎖線で示すように、前記時刻t2 以後、増速する前輪速VwF に対して、後輪速VwR の変化代が小さくなる分、前後輪速差ΔVwは緩やかに減少することになるから、前輪速VwF の減速代も小さく抑えられ、この間に後輪速VwR はゆっくりと減速して前輪速VwF に漸近し、殆どオーバシュートすることなく、凡そ前記時刻t7 より早い時刻で、前後輪速差ΔVwは当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束し、その結果、目標前輪配分トルクTq* の変動がなくなって後輪速VwR ,前輪速VwF とも安定状態となる。つまり、エンジンイナーシャと考えると、従来の制御耐用でもやがて前輪速変動及び制御のハンチングは収束するが、本実施例によれば、こうした前輪速変動や制御のハンチングの発生そのものを抑制することができる。
【0077】
次に、前記図11による発進後の駆動力配分制御より更に早い時刻,即ち発進時及びその直後の駆動力配分制御の作用を図12のタイミングチャートを用いて説明する。
このタイミングチャートは、理解を容易化するために大きな駆動力がかかっても車輪がスリップすることのない十分な高μ路面で、時刻t31までブレーキペダルを踏込んだ停車状態から、時刻t32でアクセルペダルを踏込んで車両を発進させた状況をシミュレートしたものであり、従ってこの発進後に主副駆動輪がスリップすることはなく、両者の前後輪速差ΔVwは“0”となって前記図4の演算処理のステップS7による第1前輪配分トルクTq1 は“0”であり続けたものとし、この想定の下に目標前輪配分トルクTq* の経時変化を図12aに、ブレーキ信号SBRK の経時変化を図12bに、車体速VC (=前輪速VwF )の経時変化を図12cに、スロットル開度θの経時変化を図12dに示す。
【0078】
まず、前記図4の演算処理によれば、前記時刻t31までブレーキ信号SBRK が論理値“1”のON状態であり且つ車体速VC と等価な前輪速VwF が“0”であるために、同ステップS15で第4前輪配分トルクTq4 が前記所定値Tq41に設定され、一方、スロットル開度θは“0”であるために第3前輪配分トルクTq3 は“0”であり、また第2前輪配分トルクTq2 は通常温度作動環境におけるイニシャルトルクに相当し且つ前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41より小さな所定値Tq20であったために、当該時刻t31まで同ステップS16で前記第4前輪配分トルクTq4 が基準前輪配分トルクTq0 に設定され、その他の諸条件による規制がなく且つ当該基準前輪配分トルクTq0 に設定され続ける目標前輪配分トルクTq* 自身に変化がないから当該目標前輪配分トルクTq* は前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に維持されている。なお、この第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41は、前記目標前輪配分トルクTq* の第2所定閾値Tq* 2 より大きいので、このときの前輪配分トルク変化速度Tq' は前記図4の演算処理のステップS27において、最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )に一応設定される。
【0079】
ところが、時刻t31でブレーキペダルから足放しすると、ブレーキ信号SBRK が論理値“0”のOFF状態となるので、図4の演算処理ではステップS12及びステップS13のand条件が満たされず、第4前輪配分トルクTq4 は同ステップS14で“0”に設定される。このとき、設定される前輪配分トルクのうちの最大値は前記イニシャルトルクTq20の第2前輪配分トルクTq2 であるから、図4の演算処理のステップS16では、一旦この第2前輪配分トルクTq2 が基準前輪配分トルクTq0 に設定される。しかしながら、前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に設定されている目標目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の方が、前記基準前輪配分トルクTq0 に設定される第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より大きいから、同ステップS27に移行し、このときの第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に設定されている目標目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) は未だ前記目標前輪配分トルクTq* の第2所定閾値Tq* 2 より大きいので、これ以後、目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は前記最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )で減少設定され続ける。
【0080】
やがて、このように減少設定され続ける目標前輪配分トルクTq* は時刻t32.5で、前述のように前記目標前輪配分トルクの第2所定閾値Tq* 2 より小さくなり、これ以後は、前記図11の説明と同様に、リニアに減少する前輪配分トルク変化速度Tq' に従って、二次曲線的に減少することになる。一方、これに先んじて時刻t32でアクセルペダルが踏込まれてスロットル開度θが直線的に増加し、且つ車体速VC と等価な前輪速VwF が未だ所定車体速VC0以下であるために、図4の演算処理のステップS10でこれと同様に増加する第3前輪配分トルクTq3 が設定されることとなるが、少なくとも当該スロットル開度θが前記所定値θ1 となる時刻t33までは、当該第3前輪配分トルクTq3 が第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より大きくなることはなく、従って同ステップS16では、前記時刻t33までは前記イニシャルトルクTq20に設定されている第2前輪配分トルクTq2 が、また当該時刻t33以後は第3前輪配分トルクTq3 が、夫々一旦、基準前輪配分トルクTq0 に設定されるものの、この時間t32-33 では、未だ前記減少し続ける目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が各時刻の基準前輪配分トルクTq0 より大きく、従って各時刻の最終的な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は、前述と同様に同ステップS27で設定される所定の変化速度Tq' で減少設定され続けることになる。なお、車体速VC は前記時刻t32以後、次第に増速している。
【0081】
そして、前記減少設定され続ける目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) は、遂に前記目標前輪配分トルクの第1所定閾値Tq* 1 以下となる前に、前記スロットル開度θの増加と共に増加設定される第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 以下となるため、これ以後は、図4の演算処理のステップS28で設定される最大前輪配分トルク変化速度Tq' MAX が十分な増加速度を有することもあって、当該第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 と等価な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が各時刻に設定される。
【0082】
やがて、増速する車体速VC (=前輪速VwF )は時刻t35で前記所定車体速VC0より大きくなるため、図4の演算処理ではステップS11で第3前輪配分トルクTq3 は“0”に設定され、この時点で前述のように当該路面μが十分に高いために前後輪速差ΔVwは“0”となって第1前輪配分トルクTq1 も“0”であるため、同ステップS16で基準前輪配分トルクTq2 は前記第2前輪配分トルクTq2 (=イニシャルトルクTq20)が設定されることになるが、当該時刻t35で目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) に設定されていた第3前輪配分トルクTq3 は、前記目標前輪配分トルクの第2所定閾値Tq* 2 より大幅に大きいために、これ以後、各時刻の最終的な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は、前記時刻t31以後と同様に前記最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )で減少設定され続ける。
【0083】
一方、ブレーキペダルの踏込み時に目標前輪配分トルクTq* を高めず、またブレーキペダルの足放し時にもこれを緩やかに減少することのない従来の四輪駆動制御装置、具体的には図4の演算処理のステップS12からステップS15及びステップS26からステップS28が削除された四輪駆動制御装置では、前記図12のタイミングチャートにおいて前記時刻t33までは前記イニシャルトルクt20に設定された第2前輪配分トルクTq2 が目標前輪配分トルクTq* に設定され、その後はスロットル開度θと共に増加する第3前輪配分トルクTq3 が目標前輪配分トルクTq* に設定されることになる。このタイミングチャートでは前述のように理解を容易化するために十分な高μ路面を想定したが、路面μが極めて低い場合や下り勾配の大きい降坂路で発進する場合には、前記時刻t32からのスロットル開度θの増加に伴って,その直後から主駆動輪である後輪がスリップし始めることが予測されるが、少なくとも当該スロットル開度θが前記所定値θ1 を越える時刻t33までの目標前輪配分トルクTq* は前記イニシャルトルクt20,即ち前輪への駆動力は伝達されていない状態となるから、この時間の後輪のスリップは、少なくとも当該後輪のスリップが前記前後輪速差ΔVwとして検出され且つこれに伴う第1前輪配分トルクTq1 によって副駆動輪である前輪配分トルクが立上がるまで収束されることがない。一方、本実施例の四輪駆動制御装置では、前記時刻t32から時刻t33で、前記時刻t31までのブレーキペダル踏込み時の初期目標前輪配分トルクTq* が或る程度残存しているために、当該時刻t32で増加するエンジン出力は確実に副駆動輪(前輪)側にも配分され、前記極低μ路面や急降坂路での発進時に主駆動輪(後輪)のスリップの発生が回避されるか或いは発生したスリップを速やかに収束することができる。
【0084】
また、この発進直後に、前記図11の説明のように低速旋回走行に移行した場合に、前記残存する前輪配分トルクがタイトコーナブレーキ現象の要因となる可能性もあるが、その場合には通常想定されるブレーキペダル足放しから旋回走行までの移行時間を考慮して、この移行時間中に前輪配分トルクが当該タイトコーナブレーキ現象を誘因する値まで減少できるように、前記第4前輪配分トルクtq4 の所定値Tq41及び目標前輪配分トルクTq* の減少速度Tq' を設定すればよい。
【0085】
なお、前記実施例では後輪駆動車両をベースにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の四輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両をベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファのクラッチ機構を制御するものであってもよい。
また、前記実施例ではクラッチ機構として流体圧駆動による流体式摩擦クラッチを用いた場合について説明したが、本発明は駆動力を連続的に配分できるクラッチであれば例えば電磁クラッチ機構等にも採用できる。
【0086】
また、前記実施例では車体速の評価に副駆動輪速を用いたが、前述のように当該副駆動輪への駆動力変動によって変動する副駆動輪の影響が車体速に表れないように、適切なフィルタをかけて用いてもよいし、或いは既存のアンスキッド制御装置等に用いられる疑似車速(推定車体速)を転用するようにしてもよい。
また、前記実施例はコントロールユニット58としてマイクロコンピュータを適用した場合について説明したが、これに代えてカウンタ,比較器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0087】
また、前記実施例では可変トルククラッチを付勢する作動流体として作動流体を適用した場合について説明したが、これに限らず水等の流体,空気等の気体を適用し得ることは言うまでもない。
また、前記オイルポンプの回転駆動源としては前記電動モータに限らず,エンジンの回転出力を用いることも可能である。
【0088】
【発明の内容】
以上説明したように本発明の車両の四輪駆動制御装置によれば、車両が停車しているときに所定量だけ増加された副駆動輪側への駆動力配分量を、車両の発進後に所定の変化速度で減少させて副駆動輪への駆動力配分量を残存させることにより、例えば極低μ路や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高めることができる。
【0089】
また、前記副駆動輪側の駆動力配分量を減少するときの変化速度を、当該副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに大きく設定することで、当該車両の発進後の旋回走行におけるタイトコーナブレーキ現象の発生が回避され、また当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定すれば、前記ブレーキペダル足放し後に或る程度の時間が経過しても、主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高める効果が持続される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の四輪駆動制御装置の一例を示す車両構成の概略説明図である。
【図2】図1の前後輪間駆動力配分制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】図2の前後輪間駆動力配分制御装置で用いられるデューティ比と目標前輪配分トルクの相関関係図である。
【図4】図2の前後輪間駆動力配分制御装置の一実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の演算処理で、第1前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図6】図4の演算処理で、第2前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図7】図4の演算処理で、第3前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図8】図4の演算処理で、前輪配分トルク変化速度を算出設定するための制御マップである。
【図9】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【図10】従来の駆動力配分制御の説明図である。
【図11】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【図12】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【符号の説明】
1はエンジン
2FL〜2RRは前左輪〜後右輪
3は駆動力系
4は駆動力配分制御装置
12は変速機
14はトランスファ
16は前輪側出力軸
18は前輪側ディファレンシャルギヤ
20は前輪側ドライブシャフト
22はプロペラシャフト
24は後輪側ディファレンシャルギヤ
26は後輪側ドライブシャフト
35は流体圧力源
37はクラッチ機構
48はスロットル開度センサ
50は圧力制御弁
51は流体温センサ
52はモードセレクトスイッチ
53はニュートラルスイッチ
54は前輪速センサ
56は後輪速センサ
58はコントロールユニット
59は駆動回路
70はマイクロコンピュータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の前後輪に生じる回転数差に応じて摩擦クラッチの締結力を制御して前後輪間の駆動力配分を制御するようにした車両の四輪駆動制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両の四輪駆動制御装置としては、例えば前後輪のうち何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪に設定して、通常時にはエンジンからの出力全部或いはその大半を主駆動輪への駆動力(厳密には車輪に伝達されるのは駆動トルクであって、実際にタイヤが路面を蹴って車両を移動させる駆動力とは異なるが、ここでは駆動トルクを含めて車両を移動させる力を駆動力と総称する)として伝達し、主駆動輪への駆動力が過多となる状況で副駆動輪に駆動力を配分するものがある。そこで、主駆動輪への主推進軸と副駆動輪への副推進軸との間に摩擦クラッチを介装し(正確には変速機の出力軸と副推進軸との間である)、前記主駆動輪と副駆動輪との回転数差から当該主駆動輪への駆動力過多状況を検出し、この回転数差が大きいほど当該主駆動輪への駆動力が過多であることから、当該回転数差検出値が増加すると共に副駆動輪への駆動力が増加するように主−副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、この場合は変速機出力軸と副推進軸との間に摩擦クラッチが介装されているから、前記駆動力配分量の副駆動輪への駆動力配分量が増加するにつれて摩擦クラッチの係合力を増加するようにしている。
【0003】
一方、この四輪駆動制御装置の制御量の出力端は摩擦クラッチであるから、前記主副駆動輪間の回転数差検出から摩擦クラッチまでを制御系と考えると、前述のように主副駆動輪の回転数差を検出してから摩擦クラッチ駆動までの制御系内の応答性を高めても、副推進軸や副駆動輪等の回転慣性に抗してエンジンの出力が駆動輪に伝達されるまでには相応の応答遅れがあり、更に副駆動輪のタイヤが路面を蹴って回転するまでにも応答遅れがあるから、この副駆動輪の回転数と主駆動輪の回転数の差をフィードバックする前記制御系では、特に発進時等で最も主駆動輪のスリップが発生し易い状況下での応答遅れが大きくなる。そこで、このような車両発進時には、主駆動輪のスリップが発生し易い状況を予めアクセルペダルの踏込み量(以下、スロットル開度とも記す)等によって検出し、主駆動輪のスリップが発生或いは増加する以前に、当該発進時においてスロットル開度が大きくなるほど、副駆動輪に伝達される駆動力が大きくなるように主−副駆動輪間の駆動力配分量を設定する,所謂駆動力配分フィードフォワード制御も提案されている。ちなみに、この発進時フィードフォワード制御は発進から車速が所定の閾値を越えるまでの間に実行される。
【0004】
また、前述のように駆動力配分調整手段が摩擦クラッチを備える四輪駆動制御装置では、副駆動輪側への駆動力配分量が“0”であるときに、当該摩擦クラッチのクラッチプレートを完全に離間してしまうと、次いで副駆動輪への駆動力配分量が或る程度以上の値に大幅に且つ速やかに変化した場合に、副駆動輪への駆動力の経時変化に不連続点が発生したり、クラッチプレート同志が接触するまでの所要時間やその滑りが応答遅れになったり、またクラッチプレート同志が短時間に係合することによる衝撃が生じたりする可能性もある。一方で、主駆動輪のみによる二輪走行モードと、副駆動輪を含む四輪への駆動力配分量を自動的に制御する四輪走行モードとを切換え選択できるようにした車両にあって、当該二輪走行モードが選択されているときに、僅かでも副駆動輪側に駆動力配分することはエネルギ損であるから、このような副駆動輪側への駆動力配分量が“0”にしたい場合には摩擦クラッチのクラッチプレート同志を完全に離間してしまった方がよい。そこで、前記四輪走行モードが選択されているような状況下で、実質的に要求される副駆動輪への駆動力配分量が“0”である場合にも、クラッチプレート同志が接触し或いは接触する直前の状態とし且つ副駆動輪へは駆動力が配分されない操作量又は制御量を、前記主副駆動輪間の駆動力配分量の初期値として設定することが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述のように主−副駆動輪間の回転数差による駆動力配分フィードバック制御では、発進時のようにエンジン出力が主−副駆動輪への駆動力として伝達される及びその駆動力が実際の主−副駆動輪間の回転数差として検出されるまでの応答時間を必要とするから、少なくとも主駆動輪のスリップを未然に防止することはできないし或いはその収束にも或る程度の時間を必要とする。そこで、前述の発進時フィードフォワード駆動力配分制御が実行されるのだが、このフィードフォワード制御による副駆動輪への駆動力配分量が前記スロットル開度に応じて設定されるものであるため、当該フィードフォワード制御による副駆動輪への駆動力配分量が、前記初期値として設定される副駆動輪への駆動力配分量以上となって実質的に副駆動輪に駆動力が配分されるためには或る程度のアクセルペダルの踏込みが必要となる。しかしながら、アクセルペダルを少しでも踏込むと、少なくとも主駆動輪には駆動力が伝達される状況となるから、例えば極めて路面摩擦係数状態(以下、単にμとも記す)が低い路面や勾配の大きい坂路(主駆動輪が後輪である車両では降坂路,前輪である車両では登坂路)での発進時には、前記フィードフォワード制御によっても副駆動輪に駆動力が配分される以前に、主駆動輪にスリップが発生してしまう或いはその収束性が悪化する虞れがある。
【0006】
このような問題を解決するためには、前記設定される主−副駆動輪間の駆動力配分量の初期値を、より副駆動輪側への駆動力配分量が大きくなるように設定すればよい。つまり、アクセルペダルを大きく踏込まなくとも、車両の発進直後から副駆動輪側に駆動力を配分して主駆動輪のスリップの発生を抑制或いはその収束性を高めるというものである。しかしながら、このように副駆動輪側への駆動力配分量が大きくなるように、主−副駆動輪間の駆動力配分量の初期値を随時設定しておいたのでは、例えばアクセルペダルを足放ししてから低速小旋回走行に移行した場合でも、摩擦クラッチの係合力が大き過ぎて、前後輪間で発生する回転速差が吸収できずに、所謂タイトコーナブレーキ現象(前後輪間の回転速差がインタロックとなって制動されてしまう現象)が発生する可能性がある。
【0007】
つまり、副駆動輪への駆動力(配分量)の初期値が大き過ぎると、当該副駆動輪への駆動力(配分量)が大きいときにタイトコーナブレーキ現象,即ち強アンダステアが発生し易くなり、逆に副駆動輪への駆動力(配分量)の初期値が小さくても、極低μ路面や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップの発生及びその収束性の悪化という二律相反する問題がある。
【0008】
本発明は前記諸問題に鑑みて開発されたものであり、極低μ路面や急降坂路での発進時の主駆動輪のスリップの発生と、タイトコーナブレーキ現象とを同時に解決することができる車両の四輪駆動制御装置を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
而して本発明のうち請求項1に係る車両の四輪駆動制御装置は、車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じた係合力の可変制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動力配分を行う摩擦クラッチを有する駆動力配分調整手段と、前記主駆動輪及び副駆動輪の回転数差を検出する回転数差検出手段と、少なくとも前記回転数差検出手段での回転数差検出値に基づいて、当該回転数差検出値の増加に伴って前記副駆動輪側の駆動力が増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、当該駆動力配分量に基づいて前記摩擦クラッチを制御する駆動力配分制御手段とを備えた車両の四輪駆動制御装置において、ブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ踏込み検出手段と、車体速を検出する車体速検出手段とを備え、前記駆動力配分制御手段は、前記ブレーキ踏込み検出手段がブレーキペダルの踏込みを検出し且つ前記車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零であるときに前記副駆動輪側の駆動力配分量を所定量だけ増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、前記ブレーキ踏込み検出手段によるブレーキペダルの踏込み検出が解除されるか又は車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零でなくなったときに、前記増加設定された主副駆動輪間の駆動力配分量の副駆動輪側の駆動力配分量を所定の変化速度で減少する駆動力配分量設定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明のうち請求項2に係る車両の四輪駆動制御装置は、前記駆動力配分量設定手段は、前記副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに前記駆動力配分量の変化速度を大きく設定し、当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の車両の四輪駆動制御装置では、前記従来と同様に前後輪の何れか一方の主駆動輪と他方の副駆動輪との間、より具体的には例えば変速機出力軸と主駆動輪とは直結状態に接続し、例えば当該変速機出力軸と副駆動輪との間に摩擦クラッチを有する駆動力配分調整手段を介装する。この駆動力配分調整手段は、例えば摩擦クラッチへの制御信号を可変することによって当該摩擦クラッチの係合力が調整され、これにより主駆動輪に伝達される駆動力と副駆動輪に伝達される駆動力との駆動力配分量が調整されるように構成する。そして、車輪速センサ等により主駆動輪の回転数と副駆動輪の回転数との回転数差を前記回転数差検出手段として検出し、少なくともこの回転数差が大きい場合には、車体速と等価又はほぼ等価な副駆動輪の回転数に対して主駆動輪がスリップするなどして回転数が増加している状態であって、当該主駆動輪への駆動力が大き過ぎるためであるから、当該回転数差の増加に応じて副駆動輪への駆動力が増加するように、マイクロコンピュータ等の演算処理装置を用いて当該回転数差に応じた駆動力配分量を設定する。そして、前記駆動力配分制御装置は、このように設定された主副駆動輪間の駆動力配分量を達成するために、前記駆動力配分調整手段への制御信号を形成出力し、これによって前記摩擦クラッチによる係合力が前記所定の駆動力配分量を満足するように制御して、前記主駆動輪のスリップなどによる回転数増加を抑制する。一方、本発明の車両の四輪駆動制御装置では、ブレーキランプスイッチ等でブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ踏込み検出手段を構成し、また通常のスピードメータに採用される変速機出力軸回転速度や、前記副駆動輪速センサで検出された副駆動輪回転速度を用いて車体速検出手段を構成し、前記駆動力配分制御装置に備えられたマイクロコンピュータ等の演算処理装置によって駆動力配分量設定手段を構成しておく。そして、この駆動力配分量設定手段では、前記ブレーキ踏込み検出手段がブレーキペダルの踏込みを検出し且つ車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零であるとき,即ち車両が停車しているときに副駆動輪側への駆動力配分量が所定量だけ増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、これによって前記駆動力配分制御装置は前記摩擦クラッチによる主副駆動輪間の係合力を高めて、当該駆動力配分量に応じたエンジン出力がいつでも副駆動輪側への駆動力として伝達できるようにしておき、前記ブレーキ踏込み検出手段によるブレーキペダルの踏込み検出が解除されるか又は車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零でなくなったとき,即ち車両が発進したと判定されたときに、前記増加設定された主副駆動輪間の駆動力配分量の副駆動輪側の駆動力配分量を所定の変化速度で減少設定することで、前記駆動力配分制御手段によって達成される当該副駆動輪側の駆動力配分量の減少中にアクセルペダルが踏込まれると車両の走行状態に係わらずエンジンの出力は副駆動輪側へも駆動力として配分伝達されるから、例えば前述のような極低μ路面や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高めることができる。このとき、一般にアクセルペダルの踏込み量が大きく、それによってエンジン出力が大きく且つ速やかに立上がる場合は、ブレーキペダルを足放ししてからの所要時間が短いから、その分だけ前記駆動力配分量設定手段で設定され且つ駆動力配分制御手段で達成される副駆動輪側への駆動力配分量も大きくなり、主駆動輪側への駆動力配分量を相対的に小さくして当該主駆動輪のスリップをより一層確実に回避或いはその収束性を高めることができる。
【0012】
また、本発明の車両の四輪駆動制御装置では、例えば請求項2に記載されるように前記駆動力配分量設定手段が、前記副駆動輪側の駆動力配分量を減少するときの変化速度を、当該副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに大きく設定すれば、前記車両の停車状態で設定された副駆動輪側への駆動力配分量が、当該車両の発進後に速やかに減少するから、この状態で旋回走行に移行しても前後輪はその回転数差を吸収してタイトコーナブレーキ現象の発生が回避され、また当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定すれば、前記ブレーキペダル足放し後に或る程度の時間が経過しても、前述のように主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高める効果が持続される。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の車両の四輪駆動制御装置の実施例を添付図面に基づいて説明する。この実施例は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)方式をベースにした四輪駆動車両用駆動力配分制御装置のトランスファクラッチに適用したものである。
【0014】
図1において1は回転駆動源,即ち機関としてのエンジン、2FL〜2RRは前左輪〜後右輪、3は各車輪2FL〜2RRへの駆動力配分比を変更制御可能な駆動力伝達系、4は駆動力伝達系3による駆動力配分を制御する駆動力配分制御装置を示す。
前記駆動力伝達系3は、エンジン1からの駆動力を断続する図示されないクラッチと、このクラッチの出力を選択された歯車比で変速する変速機12と、この変速機12からの駆動力を前輪(副駆動輪)2FL,2FR側及び後輪(主駆動輪)2RL,2RRに分割するトランスファ14とを備えている。そして、駆動力伝達系3では、前記トランスファ14で分割された前輪側駆動力が前輪側出力軸16,フロントディファレンシャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20を介して、前輪2FL,2FRに伝達される。一方、後輪側駆動力がプロペラシャフト(後輪側出力軸)22,リヤディファレンシャルギヤ24及び後輪側ドライブシャフト26を介して、後輪2RL,2RRに伝達される。
【0015】
前記トランスファ14は、図2に示すようにトランスファケース28内に挿通された入力軸30の同図の左方端部が前記変速機12の出力側に連結され、この入力軸30はベアリング31等によって回転自在に軸支されている。また、入力軸30の図2における右方端部は,ベアリング32によって回転自在に軸支された出力軸33に結合され、この出力軸33がプロペラシャフト22に連結されている。なお、このトランスファ及び後述するトランスファクラッチの詳細な構造については,例えば本出願人が先に提案した特開平1−204826号公報を参照されたい。
【0016】
一方、前記入力軸30の中央部には、前後輪に対するトルク配分比を変更できる可変トルククラッチとしての流体式多板クラッチ機構37が設けられている。このクラッチ機構37は、入力軸30にスプライン結合されたクラッチドラム37aと、このクラッチドラム37aに回転方向に係合させたフリクションプレート37bと、前記入力軸30の外周部にニードルベアリング等を介して回転自在に軸支されたクラッチハブ37cと、このクラッチハブ37cに回転方向に係合させたフリクションディスク37dと、クラッチ機構37の図2における右方に配置されたクラッチピストン37eと、このクラッチピストン37eとクラッチドラム37aとの間に形成されたシリンダ室37fとを備えている。また、このクラッチ機構37において、37hはクラッチピストンプレート37eに対するリターンスプリングである。また、このクラッチ機構37は、図2の左方端部側に図示のように装着されたギヤトレインを介して前輪側にも連結されている。即ち、ここでは前記クラッチハブ37cは、第1のギヤ41aにスプライン結合され、この第1のギヤ41aは、ベアリング40a,40bによって回転自在な第2のギヤ41bに噛合され、この第2のギヤ41bは、ベアリング42,43によって回転自在な第3のギヤ41cを介して前述した前輪側出力軸16に連結されている。
【0017】
前記トランスファケース28の側面所定位置には、後述するクラッチ制御装置の一部を構成する圧力制御弁66からの作動流体圧が,制御力として供給される入力ポートが形成されており、この入力ポートから前記シリンダ室37fに当該作動流体圧が供給される。
このため、前記入力ポートに作動流体圧の供給がない状態,即ちクラッチ機構37のシリンダ室37fの圧力が大気圧若しくはほぼ大気圧に等しい状態では、リターンスプリング37hの弾性力により、前記フリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが離間している。従って、この状態では入力軸30に伝達された入力トルクの全部が出力軸33、プロペラシャフト22を介して後輪側に伝達され、当該後輪側のみの二輪駆動状態となる。一方、入力ポートに作動流体圧が供給されている状態では,そのシリンダ室37fの加圧程度に応じてクラッチピストン37eによる押圧力が発生し、これに対してフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとの間に摩擦力による係合力(締結力)が発生し、これにより全駆動トルクのうちの一部が出力軸16を介して前輪側にも伝達される。この前輪側への伝達トルクΔTは供給作動流体圧Pに対して下記1式で与えられるように供給作動流体圧Pに対してリニアに増加する。
【0018】
ΔT=P・S・2n・μ・rm ……… (1)
ここで、Sはピストン37eの圧力作用面積,nはフリクションディスク枚数,μはクラッチ板の摩擦係数,rm はフリクションディスクのトルク伝達有効半径である。
つまり前輪側への伝達トルクΔTは供給流体圧Pに比例し、結局,締結力に応じて駆動トルクが後輪側及び前輪側に配分伝達される。この前後輪に対するトルクの配分比は、前記入力ポートに供給する作動流体の圧力Pに応じて(0:100〜50:50まで)連続的に変更できる。
【0019】
一方、図1に戻って前記駆動力配分制御装置4は、前記トランスファ14と、リザーバ35b内の作動流体を加圧供給する流体圧力源35と、この流体圧力源35からの供給流体圧を可変制御して前記流体式多板クラッチ機構37の入力ポートに作動流体を供給する圧力制御弁50と、前輪速VwF を検出する前輪速センサ54及び後輪速VwR を検出する後輪速センサ56と、アクセルペダル49の踏込み量からスロットル開度θを検出するスロットル開度センサ48と、各輪への駆動力配分を選択できるようにしたモードセレクトスイッチ52と、セレクトレバーによって選択されたギヤ位置が,所謂ニュートラル位置であることを検出するニュートラルスイッチ54と、ブレーキペダル55の踏込み量からブレーキペダルが踏込まれていることを検出するブレーキスイッチ57と、前記リザーバ35b内の作動流体温Tを検出する流体温センサ51と、これらのセンサからの検出信号に基づいて前記圧力制御弁50の出力流体圧を制御するコントロールユニット58とを備えてなる。
【0020】
前記流体圧力源35は、図2に示すように電動モータ35aによって回転駆動され,リザーバ35b内の作動流体を昇圧して前記クラッチ機構37の入力ポートに供給するポンプ35cと、このポンプ35cの吐出側に介装された逆止弁35dと、この逆止弁35d及び前記入力ポート間の管路に接続されたアキュームレータ35eと、このアキュームレータ35eの接続点に接続されたリリーフ弁35kとを備え、このアキュームレータ35eの接続点及びクラッチ機構37の入力ポート間からリザーバ62に分岐されたドレン配管63に前記圧力制御弁50が介装されている。
【0021】
ここで、電動モータ35aは、その励磁巻線の一端がモータリレー35hを介して正のバッテリ電源Bに接続され,他端が接地されており、モータリレー35hがアーキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力を検出して作動する圧力スイッチ35iの検出値に基づいて駆動制御される。即ち、スイッチングレギュレータをなすトランジスタ35jのベースが抵抗器R1 及び圧力スイッチ35iを介して正のバッテリ電源Bに接続され,コレクタがモータリレー35hのリレーコイルを介して正のバッテリ電源Bに接続され,エミッタが接地されているために、アキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設定圧力以上のときには,圧力スイッチ35iがオフ状態となり、スイッチングトランジスタ35jもオフ状態となって,モータリレー35hの常開接点tが開いて電動モータ35aが非通電状態となり、これに応じて電動モータ35aが回転停止状態となると共に、当該ライン圧力としての所定設定圧力以上の作動流体圧力はリリーフ弁35kを介してリリーフされる。一方、アキュームレータ35e及び圧力制御弁50間の管路のライン圧力が所定設定圧力未満のときには,圧力スイッチ35iがオン状態となり、これに応じてスイッチングトランジスタ35jもオン状態となってモータリレー35hが付勢されて,その常開接点tが閉じて電動モータ35aが回転駆動されることにより、オイルポンプ35cによって当該管路のライン圧力が昇圧される。以上によって本流体圧力源35からは圧力制御弁50の一次側に向けてほぼ安定した作動流体圧が供給される。
【0022】
前記圧力制御弁50は、所謂デューティ比制御型の常時開減圧弁で構成されており、前述のようにポンプ35cの吐出側から入力ポートへの管路に接続されたドレン配管63に介装されている。この圧力制御弁50は、所謂PWM(Pulse Width Modulation)制御によって、そのソレノイド50aに供給されるディーティ比に応じた電圧信号VD/T に応じて当該減圧弁内に配設されたスプールの開度が定まり、これにより電圧信号VD/T のデューティ比が大きくなると当該減圧弁の一次側,即ちクラッチ機構37側の制御圧PC が高くなる。ここで、クラッチ機構37側の制御圧PC は当該クラッチ機構37の係合力とリニアであり、当該クラッチ機構37の係合力は前輪側に伝達される駆動力とリニアであるため、このPWM制御によって達成される前輪側への駆動力配分量(例えば0〜115kgm=全駆動力の半分)Tqは、前記デューティ比D/Tに対して図3に示すように二次曲線的に単純増加するようになっている。
【0023】
一方、前記前輪速センサ54及び後輪速センサ56は、前記前輪側出力軸16及び後輪側のプロペラシャフト22の所定位置に個別に装備され、各軸の回転数を光学方式又は電磁方式で検知して、これに応じたパルス信号又は正弦波信号による前後輪速VwF ,VwR を個別にコントロールユニット58に出力するように構成されている。また、前記モードセレクトスイッチ52は、例えばインストゥルメントパネル等の運転席近傍に設けられており、例えば主駆動輪である後輪のみに駆動力が伝達される二輪走行状態を希望するために運転者が二輪走行モードを当該モードセレクトスイッチ52上で選択すると、論理値“1”のON状態である二輪走行モードセレクト信号S2 が出力され、副駆動輪である前輪にも後輪と同等の駆動力が付与される,即ち前後輪間の駆動力配分量が50:50である四輪直結走行状態を希望するために四輪直結走行モードを選択すると、論理値“1”のON状態である四輪直結走行モードセレクト信号S4Rが出力され、前記二輪走行状態と四輪直結走行状態状態との間で車両の走行状態或いは運転者による操作入力状態に応じた駆動力配分量が自動的に制御された四輪自動走行状態を希望するために四輪自動走行モードを選択すると、論理値“1”のON状態である四輪自動走行モードセレクト信号S4Aが出力され、夫々論理値“1”のON状態であるモードセレクト信号が出力されているときには、論理値“0”のOFF状態を示すその他のモードセレクト信号が出力されるように構成されている。また、前記ニュートラルスイッチ53は、セレクトレバーによって選択されたギヤ位置が所謂ニュートラルであるときに論理値“1”のON状態を示すニュートラル信号が出力され、その他のギヤ位置では論理値“0”のOFF状態となるように構成されている。また、前記スロットル開度センサ48は,アクセル操作量として得られるスロットルの開度を検出するためにポジショナ等で構成されており、具体的にアクセル操作量が“0”であるとき,即ちアクセルペダルの踏込みがないときのスロットル開度を0%とし、アクセルペダルを限界まで踏込んだときのスロットル開度を100%として、その間で当該アクセルペダルの踏込み量に応じて次第に増加する電圧出力からなるスロットル開度θをコントロールユニット58に出力する。また、前記ブレーキスイッチ48は、所謂ブレーキランプ点灯のために設けられているスイッチを兼用し、ブレーキペダル47の踏込みでON状態を示す論理値“1”,ブレーキペダル47の足放しでOFF状態を示す論理値“0”のブレーキ信号SBRK を出力する。
【0024】
前記コントロールユニット58はマイクロコンピュータ70と、前記圧力制御弁50を駆動する駆動回路59とを備えている。また、マイクロコンピュータ70は前記各センサからの検出信号を各検出値として読込むためのA/D変換機能を有する入力インタフェース回路70aと、演算処理装置70bと、ROM,RAM等の記憶装置70cと、前記演算処理装置70bで得られたクラッチ係合力制御信号ST を出力するためのD/A変換機能を有する出力インタフェース回路70dとを備えている。このコントロールユニット58のマイクロコンピュータ70では、後段に詳述する図4の演算処理に従って,前記前後輪速VwF ,VwR の偏差ΔVwから第1前輪配分トルクTq1 を算出し、前記流体温Tから第2前輪配分トルクTq2 を算出し、前記スロットル開度θから第3前輪配分トルクTq3 を算出し、更にブレーキ信号SBRK から第4前輪配分トルクTq4 を算出し、これらのうちの最大値と前記モードセレクト信号S4A,S4R,S2 及びニュートラル信号SN とから基準前輪配分トルクTq0 を設定し、この基準前輪配分トルクTq0 が目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下である場合にはその変化速度Tq' を可変設定し、そうでない場合には当該前輪配分トルク変化速度Tq' を最大値Tq' MAX に設定し、このような前輪配分トルク変化速度Tq' の時間積分値が前記基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートしないようにしながら、当該前輪配分トルク変化速度Tq' の時間積分値を用いて目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を制御信号ST として駆動回路59に向けて算出出力する。
【0025】
前記駆動回路59は、前記マイクロコンピュータ70から出力される制御信号ST としての目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が達成されるように、前記図3の特性曲線に従って圧力制御弁50のソレノイド50aのデューティ比D/Tを設定し、このデューティ比D/Tをなす駆動信号としての指令電圧信号VD/T を出力するために、例えば基準波発生回路やコンパレータ等を含む所謂PWM駆動回路で構成されている。
【0026】
次に、本実施例のコントロールユニット内で行われる演算処理について図4のフローチャートを用いて説明する。この演算処理は、前記マイクロコンピュータ内で所定サンプリング時間ΔT(例えば10msec)毎のタイマ割込処理として実行される。なお、このフローチャートでは、特に通信のためのステップを設けていないが、演算処理に必要なマップやプログラム,或いは所定の演算式等は前記記憶装置70cのROMから随時読込まれ、また演算により得られた算出値や各情報値は随時記憶装置70cのRAMに記憶されるものとする。
【0027】
この演算処理では、まず、ステップS1で、前記前輪速センサ54からの前輪速VwF 及び後輪速センサ56からの後輪速VwR を読込む。
次にステップS2に移行して、前記流体温センサ51からの流体温Tを読込む。
次にステップS3に移行して、前記スロットル開度センサ48からのスロットル開度θを読込む。
【0028】
次にステップS4に移行して、前記モードセレクトスイッチ52からのモードセレクト信号S4A,S4R,S2 及び前記ニュートラルスイッチ53からのニュートラル信号SN を読込む。
次にステップS5に移行して、前記ブレーキスイッチ57からのブレーキ信号SBRK を読込む。
【0029】
次にステップS6に移行して、前記ステップS1で読込まれた前輪速VwF 及び後輪速VwR を用いて、下記2式に従って前後輪速差ΔVwを算出する。
ΔVw=VwR −VwF ……… (2)
次にステップS7に移行して、前記ステップS6で算出された前後輪速差ΔVwを用いて、図5に示す制御マップから第1前輪配分トルクTq1 を算出設定する。この図5の制御マップでは、前後輪速差ΔVwが正値で且つ所定閾値(+ΔVw1 )以上の領域では、第1前輪配分トルクTq1 は比較的大きな所定値Tq11(例えば115kgmであり、具体的には前後輪駆動力配分量が50:50となる最大配分量)に保持され、この正値の所定閾値(+ΔVw1 )から“0”までの領域では前後輪速差ΔVwの増加に伴って第1前輪配分トルクTq1 がリニアに増加し、一方、当該前後輪速差ΔVwが負値であり場合には、当該ΔVwが“0”から負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )までは第1前輪配分トルクTq1 が“0”となる不感帯が設定され、一方、前後輪速差ΔVwが、この第1所定閾値(−ΔVw1 )より小さい負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )以下では、第1前輪配分トルクTq1 は比較的小さな所定値Tq12(例えば50kgm程度)に保持され、この負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )から“0”までの領域では前後輪速差ΔVwの減少に伴って第1前輪配分トルクTq1 がリニアに増加されるようになっている。
【0030】
次にステップS8に移行して、前記ステップS2で読込まれた流体温Tを用いて、図6に示す制御マップから第2前輪配分トルクTq2 を算出設定する。この図6の制御マップでは、流体温Tが“0℃”より低い所定閾値T1 (例えば−10℃)以上の通常作動温度領域では、第2前輪配分トルクTq2 は小さな所定値Tq20(例えば2〜4kgm)に維持され、流体温Tが前記所定閾値T1 より低い寒冷作動温度領域では、大きな所定値(例えば60kgm程度)に維持されるようになっている。
【0031】
次にステップS9に移行して、車体速と等価又はほぼ等価と考えられる前記ステップS1で読込まれた前輪速(副駆動輪速)VwF が、予め設定された所定車体速VC0(例えば20km/h)以下であるか否かを判定し、当該前輪速VwF が所定車体速VC0以下である場合にはステップS10に移行し、そうでない場合にはステップS11に移行する。
【0032】
前記ステップS10では、前記ステップS3で読込まれたスロットル開度θを用いて、図7に示す制御マップから第3前輪配分トルクTq3 を算出設定してからステップS12に移行する。この図7の制御マップでは、スロットル開度θの増加に伴って、第3前輪配分トルクTq3 がリニアに増加するようになっている。なお、アクセルペダルの踏込み直後よりもやや大きなスロットル開度θ1 で、同図7の制御マップで競っていされる第3前輪配分トルクTq3 は、前記図6に示す制御マップにおける第2前輪配分トルクTq2 の小さな所定値Tq20より大きくなるようになっている。
【0033】
一方、前記ステップS11では、前記第3前輪配分トルクTq3 を“0”に設定してから前記ステップS12に移行する。
前記ステップS12では、前記ステップS5で読込まれたブレーキ信号SBRK が“1”のON状態であるか否かを判定し、当該ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態である場合にはステップS13に移行し、そうでない場合にはステップS14に移行する。
【0034】
前記ステップS13では、車体速と等価又はほぼ等価な前輪速(副駆動輪速)VwF が停車状態を示す“0”であるか否かを判定し、当該前輪速VwF が“0”である場合にはステップS15に移行し、そうでない場合には前記ステップS14に移行する。
前記ステップS15では、第4前輪配分トルクTq4 を、前記図6の制御マップによる第2前輪配分トルクTq2 の小さな初手値Tq20よりも大きな所定値Tq41(例えば30kgm)に設定してからステップS16に移行する。
一方、前記ステップS14では、前記第4前輪配分トルクTq4 を“0”に設定してから前記ステップS16に移行する。
【0035】
前記ステップS16では、前記ステップS7で設定された第1前輪配分トルクTq1 及びステップS8で設定された第2前輪配分トルクTq2 及びステップS10又はステップS11で設定された第3前輪配分トルクTq3 及びステップS14又はステップS15で設定された第4前輪配分トルクTq4 のうちの最大値を下記3式に従って選出して、それを基準前輪配分トルクTq0 として算出設定する。
【0036】
Tq0 =MAX(Tq1 ,Tq2 ,Tq3 ,Tq4 ) ……… (3)
但し、式中、MAXは最大値選出を示す。
次にステップS17に移行して、前記四輪直結走行モードセレクト信号S4Rが論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該四輪直結走行モードセレクト信号S4RがON状態である場合にはステップS18に移行し、そうでない場合にはステップS19に移行する。
【0037】
前記ステップS19では、前記四輪自動走行モードセレクト信号S4Aが論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該四輪自動走行モードセレクト信号S4AがON状態である場合にはステップS20に移行し、そうでない場合にはステップS21に移行する。
前記ステップS21では、前記二輪走行モードセレクト信号S2 が論理値“1”のON状態であるか否かを判定し、当該二輪走行モードセレクト信号S2 がON状態である場合にはステップS22に移行し、そうでない場合には前記ステップS21に移行する。
【0038】
前記ステップS18では、基準前輪配分トルクTq0 を前輪配分トルク最大値Tq0MAXに設定してからステップS23に移行する。
また、前記ステップS20では、前記ステップS16で算出された基準前輪配分トルクTq0 をそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定してから前記ステップS23に移行する。
【0039】
また、前記ステップS22では、基準前輪配分トルクTq0 を“0”に設定してから前記ステップS23に移行する。
前記ステップS23では、前記ニュートラル信号SN が“1”のON状態であるか否かを判定し、当該ニュートラル信号SN がON状態である場合にはステップS24に移行し、そうでない場合にはステップS25に移行する。
【0040】
そして、前記ステップS24では、前記基準前輪配分トルクTq0 を“0”に設定してからステップS26に移行する。
また、前記ステップS25では、前記ステップS22までで設定された基準前輪配分トルクTq0 をそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定してから前記ステップS26に移行する。
【0041】
前記ステップS26では、前記ステップS25までで設定された基準前輪配分トルクTq0 が、前記記憶装置70cに更新記憶されている目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下であるか否かを判定し、当該基準前輪配分トルクTq0 が目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下である場合にはステップS27に移行し、そうでない場合にはステップS28に移行する。
【0042】
前記ステップS27では、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) ,即ち現在前輪に配分されている駆動トルクを用いて、図8の制御マップに従って前輪配分トルク変化速度Tq' を算出してからステップS29に移行する。この図8の制御マップでは、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が“0”から比較的小さい第1所定閾値Tq* 1 (例えば20kgm)までの領域では前輪配分トルク変化速度Tq' は比較的小さい第1所定値Tq'1(例えば−15kgm/s)に維持され、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が前記第1所定閾値Tq* 1 よりも大きい第2所定閾値Tq* 2 (例えば25kgm)以上の領域では前輪配分トルク変化速度Tq' は比較的大きい第2所定値Tq'2(例えば−120kgm/sであり、最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX ))に維持され、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が前記第1所定閾値Tq* 1 から第2所定閾値Tq* 2 までの領域では、目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の増加に伴って前輪配分トルク変化速度Tq' はリニアに増加設定されるようになっている。なお、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の第2所定閾値Tq* 2 は、所謂低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除く、低μ路面での通常走行で発生する前輪側配分トルクの最大値が用いられている。
【0043】
一方、前記ステップS28では、前輪配分トルク変化速度Tq' を最大前輪配分変化速度Tq' MAX (例えば120kgm/s)に設定してから前記ステップS29に移行する。
前記ステップS29では、前記ステップS27又はステップS28で設定された前輪配分トルク変化速度Tq' に前記所定サンプリング時間ΔTを乗じた値の絶対値が、前記ステップS25までで設定された基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値の絶対値以上であるか否かを判定し、前者が後者以上である場合にはステップS30に移行し、そうでない場合にはステップS31に移行する。
【0044】
前記ステップS30では、下記4式に従って前輪配分トルク変化速度Tq' を算出設定してからステップS32に移行する。
Tq' =(Tq0 −Tq* (n-1) )/ΔT ……… (4)
一方、前記ステップS31では、前記ステップS27又はステップS28で設定された前輪配分トルク変化速度Tq' をそのまま前輪配分トルク変化速度Tq' に設定してから前記ステップS32に移行する。
【0045】
前記ステップS32では、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を用いて、下記5式に従って目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を算出設定する。
Tq* (n) =Tq* (n-1) +Tq' ・ΔT ……… (5)
次にステップS33に移行して、前記ステップS32で算出設定された目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を前記制御信号ST として前記駆動回路71に向けて出力する。
【0046】
次にステップS34に移行して、前記目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を前回値Tq* (n-1) として前記記憶装置70cに更新記憶してからメインプログラムに復帰する。
次に本実施例の四輪駆動制御装置による作用を説明する。まず、前記図2に示す流体圧制御装置の作用についてであるが、本実施例の車両が独立した流体圧制御装置を備えていること、並びに当該流体圧制御装置でのライン圧は前述のように一定又はほぼ一定に自動調整されること、及び前記圧力調整弁50へのデューティ比制御によるクラッチ係合力及び前輪への駆動トルク配分調整については、前述の通りであるのでこれらの詳細な説明を省略し、更に後段に詳述する前記図4の演算処理のステップS16以後のフィルタリング処理及びリミッタ処理以前に、当該演算処理のステップS15までで設定される各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の作用について、それらがそのまま最終的な目標前輪配分トルクに設定されたという見地から説明する。
【0047】
まず、前記図4の演算処理のステップS1で読込まれる前後輪速VwF ,VwR 間に前後輪速差ΔVwが発生すると、同ステップS7で第1前輪配分トルクTq1 が算出設定される。このステップS7で用いられる第1前輪配分トルクTq1 算出のための制御マップは前述の通りであり、その変数となる前後輪速差ΔVwの定義式が、前記2式による主駆動輪速(後輪速VwR )から副駆動輪速(前輪速VwF )を減じた値であるために、当該前後輪速差ΔVwが正値である場合は、路面μの低下や急加速等によって主駆動輪である後輪2RL,2RRが車体速を上回ってスリップしている状態を示す。この正値のスリップ量である前後輪速差ΔVwが大きくなるほど、副駆動輪である前輪への駆動力を大きくして、アンダステアを含む走行安定性を高めるべきであるから、前記図5の制御マップのように当該前後輪速差ΔVwが正値であり且つ“0”から正値の所定閾値(+ΔVw1 )までの間で当該前後輪速差ΔVwの増加と共に第1前輪配分トルクTq1 を速やかに増加させ、前後輪速差ΔVwがこの正値の所定閾値(+ΔVw1 )以上の領域では、例えば前後輪駆動力配分量を50:50となる,所謂四輪直結状態として走行安定性を最大限に高めることができる。
【0048】
一方、前記前後輪速差ΔVwが負値である場合は、例えば低μ路面においてエンジンブレーキ力やホイールシリンダ力によって主駆動輪である後輪2RL,2RRが車体速を下回ってロック又はロック傾向を示しているか(実際のホイールシリンダ力による後輪制動力はプロポーショナルバルブ等によって前輪とほぼ同時にロック傾向になるように調整されていることが多い)、例えば高μ路面において或る程度以下の旋回半径で旋回走行していて、旋回半径の大きい前輪が旋回半径の小さい後輪よりも速く(多く)回転している状態を示す。このような後輪のロック又はロック傾向や旋回走行を示す負値の前後輪速差ΔVwが数値的に小さくなるほど、副駆動輪である前輪への駆動力を大きくして、舵取り効果やアンダステアを含む走行安定性を高めるべきである。しかしながら、その一方で、後輪のロック傾向があまり大きくないときに前輪への駆動力を大きくし、相対的に後輪の駆動力が小さくなると、所謂摩擦円の概念に従って後輪はますますロック傾向に陥る。また、主駆動輪である後輪の絶対回転数が小さい低速走行時の小旋回中では、前後輪速差ΔVwもさほど小さな負値とならず、このような状態で前輪への駆動力を大きくするために前記クラッチ機構37の係合力を大きくすると、前後輪間の回転数差を吸収できずにインターロックがかかる,所謂タイトコーナブレーキ現象が発生してしまう。そこで、前記図5の制御マップでは、前記前後輪速差ΔVwが“0”から前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )までの間を不感帯に設定して、この間は第1前輪配分トルクTq1 を“0”とすることで、前記後輪ロック傾向の増幅やタイトコーナブレーキ現象を回避し、当該前後輪速差ΔVwが前記負値の第1所定閾値(−ΔVw1 )から負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )までの間で当該前後輪速差ΔVwの減少と共に第1前輪配分トルクTq1 を速やかに増加させ、前後輪速差ΔVwがこの負値の第2所定閾値(−ΔVw2 )以下の領域では、或る程度,より具体的には前輪の駆動力が後輪のそれの1/4程度になるまで前輪駆動力配分量を高めてアンダステアを含む走行安定性を適切に高めることができる。
【0049】
次に、図4の演算処理では前記流体温センサ51で検出され且つ同ステップS2で読込まれたリザーバ内の流体温Tから、同ステップS8で第2前輪配分トルクTq2 が算出設定される。既知のように、通常の流体圧制御装置に用いられる作動流体は、“0℃”を大きく下回る氷点下の低温作動環境で、その粘性が大きくなり過ぎてアクチュエータの動特性が変化してしまう傾向にある。本実施例では、このような低温作動環境で、例えば前記圧力制御弁50へのデューティ比に対して所定の作動流体圧がクラッチ機構37に供給されず、その結果、前後輪間の駆動力配分量が目標値に一致せず、誤動作する虞れがある。また、“0℃”を大きく下回る氷点下の低温作動環境は、路面が凍結し易く、降雪や積雪の可能性も高い。従って、前記図8の制御マップによれば、前記作動流体温Tが氷点下に設定された前記所定閾値T1 以下の領域では、第1前輪配分トルクTq2 を、例えば前後輪駆動力配分量を50:50となる,所謂四輪直結状態の大きな所定値Tq21まで高めて、流体圧制御装置の誤動作を防止すると同時に、四輪に駆動力を分散することでアンダステアを含む走行安定性を高めることができるようにしてある。なお、このような低温作動環境で設定される第2前輪配分トルクTq2 は、前記作動流体の温度特性並びに流体圧制御装置の温度特性に応じて適宜に設定すればよく、前述では或る閾値以下で一定としたが、これを何段階かに分けてもよいし、或る特性に応じて連続的に変化させるようにすることも勿論可能である。
【0050】
一方、このような低温作動環境以外の通常温度作動環境下で、前後輪間の駆動力配分制御を実施する際に、本実施例の駆動力配分調整手段がクラッチ機構から構成されている関係上、例えば主駆動輪である後輪にのみ駆動力を伝達するために前記圧力調整弁50へのデューティ比を“0”%としてしまうと、前記クラッチ機構37のフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが完全に離間してしまう。この状態から、例えば当該クラッチ機構37のフリクションプレート37bとフリクションディスク37dとが接触し始めて係合力がほぼ“0”となる状態を通り越して、更に両者の係合力を高める指令信号が出力されると、前輪への駆動力の経時変化に不連続点が発生し、またクラッチ機構37が接触開始するまでの応答時間によって前輪への駆動力配分制御に応答遅れが発生し、またクラッチ機構37が短時間に係合することによる衝撃が生じる可能性もある。そこで、前記図6の制御マップによれば、前記作動流体温Tが前記所定閾値T1 以上の領域では、前輪への駆動力が発生しない程度にクラッチ機構37が軽く接触する前記小さな所定値Tq20を、所謂第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクに設定することで、前述のような応答遅れや衝撃発生を回避できるようにしてある。
【0051】
次に、図4の演算処理ではステップS3で読込まれたスロットル開度θから、同ステップS10又はステップS11で第3前輪配分トルクTq3 が算出設定される。前記第1前輪配分トルクTq1 のように、既存の前後輪間駆動力配分制御の大半が、実際に発生する前後輪速差ΔVwのフィードバック制御である関係から、クラッチ機構37の係合力が変化してから副駆動輪である前輪2FL,2FRの駆動力が路面に伝達されるまでの間には、当該前輪側駆動系,より具体的には前輪側出力軸16,フロントディファレンシャルギヤ18及び前輪側ドライブシャフト20と前輪2FL,2FR自身の回転慣性に抗してエンジンの出力が当該前輪2FL,2FRに伝達されるまでの応答遅れと、当該前輪2FL,2FRのタイヤが路面を蹴って回転するまでの応答遅れとがあるから、この前後輪速差ΔVwのフィードバック制御系では、特に発進時等で最も後輪2RL,2RRのスリップが発生し易い状況下での応答遅れが大きくなり、その収束性が悪化する可能性がある。そこで、図4の演算処理では車体速と等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF が所定車体速VC0以下の領域を車両発進時とし、後輪2RL,2RRに発生すると考えられるスリップ量とエンジン出力とスロットル開度とが互いにリニアな関係にあると見なし、このうち最も時系列的に早いスロットル開度θを検出し、同演算処理のステップS10で用いられる図7の制御マップでは、このスロットル開度θの増加と共に第3前輪配分トルクTq3 を増加させてフィードフォワード制御の成分とし、このフィードフォワード制御成分を有する第3前輪配分トルクTq3 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に設定されたときには、前述のような発進時における後輪2RL,2RRの過大なスリップを未然に防止し、或いは発生したスリップのその後の収束性を高めるようにしてある。なお、本実施例では、前記車体速度等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF が所定車体速VC0より大きくなると、ステップS11で第3前輪配分トルクTq3 は“0”に設定され、前記発進時フィードフォワード制御は強制的に終了される。また、前記第3前輪配分トルクTq3 の制御マップは前述に限定されるものではなく、制御入力を同じくスロットル開度θに設定した場合でも、エンジンの出力特性や後輪に発生すると考えられるスリップ量の特性に応じて適宜に設定すべきである。また、本実施例では、前述のようにアクセルペダルを或る程度踏込んだ状態に相当するスロットル開度θが所定値θ1 であるときに、前記通常温度作動環境時に設定される前記第2前輪配分トルクTq2 が前記小さな所定値Tq20となるようになっている。
【0052】
次に、図4の演算処理ではステップS5で読込まれたブレーキ信号SBRK 及び前記車体速と等価又はほぼ等価と見なせる前輪速VwF から、同ステップS14又はステップS15で第4前輪配分トルクTq4 が算出設定される。この第4前輪配分トルクTq4 は、同演算処理のステップS12からのフローによって、ブレーキ信号SBRK が“1”のON状態で且つ車体速と等価又はほぼ等価と見なせるVwF が“0”であるときに同ステップS15で前記所定値Tq41に設定される以外は、同ステップS14で“0”に設定される。この設定条件,即ちブレーキ信号SBRK が“1”のON状態で車体速と等価又はほぼ等価な前輪速VwF が“0”であるということは、ブレーキペダルを踏込んだ完全な停車状態であるから、本来、このときに前輪側に駆動力を配分する必要はない。また、通常想定される低μ路面で発進時にスリップが発生し易い場合も、少なくとも発進のためにアクセルペダルを踏込み、そのスロットル開度θが前記所定値θ1 以上になれば前記第3前輪配分トルクTq3 によって前輪側への駆動力配分量が大きくなり、後輪のスリップは発生そのものが抑制されるか或いは速やかに収束されるはずである。しかしながら、前述した第3前輪配分トルクTq3 を設定するための図7の制御マップでは、前記スロットル開度θが前記所定値θ1 以上にならないと、当該第3前輪配分トルクTq3 は、前記第2前輪配分トルクTq2 における通常温度作動環境でのイニシャルトルク,即ち前記小さな所定値Tq20以上にならないことになり、当該イニシャルトルクに相当する第2前輪配分トルクTq2 の所定値Tq20が前輪への駆動力“0”の状態であるから、極めて路面μが低い路面や下り勾配の大きい降坂路での発進時のように、後輪への駆動力が小さくても当該後輪にスリップが発生してしまうような状況下では、アクセルペダルの踏込み量が小さく、スロットル開度θが前記所定値θ1 より小さい場合でも後輪にスリップが発生してしまう虞れがあり、しかしながら前記発進時のスリップを補償するはずの第3前輪配分トルクTq3 は、前記第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクよりも小さく、実質的に前輪に駆動力を伝達していない値にしかならないから、このようにして発生した後輪のスリップは、このままでは収束されないことになってしまう(実際には前記第1前輪配分トルクTq1 によるフィードバック制御によってやがて収束されるが、その収束までの所要時間の長さ及びその間に発生する後述の摩擦クラッチ係合力のハンチングに問題がある)。
【0053】
そこで本実施例では、車両がこれから発進するに足る条件,即ちブレーキペダルを踏込んで且つ車速が“0”であることを、前記ブレーキ信号SBRK 及び前輪速VwF から検出し、このときの第4前輪配分トルクTq4 を或るレベル,実質的には前記所定値Tq41まで高めておき、前記ブレーキペダルの踏込み条件及び車速条件が解除されて、今正に車両が発進しようとするときにこの所定値Tq41である第4前輪配分トルクTq4 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に選定されているときには、前記第3前輪配分トルクTq3 が、前記第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より小さくても、この第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41を初期値とし、更に後述する前輪配分トルク変化速度Tq' 変更制御によって、当該第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41からの最終的な目標前輪配分トルクTq* の減少傾きを抑制して前輪側への駆動力配分を残存させ、前記極低μ路面や急降坂路での後輪のスリップを抑制防止すると共に、アンダステアを含む走行安定性を確保しようとする。なお、本実施例では、後述するように目標前輪配分トルクTq* (実際には現在達成されている前輪側への配分トルクであって、具体的には目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) である)の大きさによって前輪配分トルク変化速度Tq' が変化し、より具体的には当該目標前輪配分トルクTq* が大きいときには前輪配分トルクの減少速度を速くし且つ当該目標前輪配分トルクTq* が小さいときには前輪配分トルクの減少速度を遅くする制御態様がなされるため、前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41からの最終的な目標前輪配分トルクTq* の減少傾きが変化することもあるが、当該第4前輪配分トルクTq4 が所定値Tq41から減少したときに主駆動輪である後輪にスリップが発生していれば、前記第1前輪配分トルクTq1 による駆動輪スリップのフィードバック制御が開始されているから、前記車両発進から駆動輪スリップのフィードバック制御までの所要時間を考慮して、より具体的にはこの所要時間よりも前記第4前輪配分トルクTq4 の減少時間が長くなるように、前記所定値T41及び前輪配分トルクの減少速度を設定すればよい。
【0054】
次に、図4の演算処理で同ステップS16で、前述のようにして設定された第1〜第4前輪配分トルクTq1 〜Tq4 のうちの最大値が、後述する最終的な目標前輪配分トルクTq* の基準値となる基準前輪配分トルクTq0 として選出される。これは、ここまで説明した各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 が夫々、車両の走行状態や運転者の操作入力等に応じて独立に設定されたものであり、しかも夫々の前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の目的が走行安定性を高めるという共通したものであるために、何れかを優先するとか何れの比率を高めるという考慮なく、最も走行安定性向上に寄与する前輪配分トルクTq1 〜Tq4 の最大値を基準前輪配分トルクTq0 に選出する。
【0055】
次に図4の演算処理のステップS17からステップS22では、前記モードセレクト信号S4A,S4R,S2 に応じた基準前輪配分トルクTq0 の変更設定が行われる。即ち、前述のようにして設定された各前輪配分トルクTq1 〜Tq4 は、走行状態や運転者の操作入力に応じた最適な四輪駆動状態を期待して運転者が意図的に四輪自動走行モードを選択しているときに実行されるべきであり、その他の走行モードが選択されているときには、本来的に運転者の意思を尊重してその通りの走行状態を創造すべきである。そこで、四輪直結走行モードが選択されているときにはステップS17からステップS18に移行して、基準前輪配分トルクTq0 が、前後輪間駆動力配分量が50:50となって前後輪が直結状態となる最大値Tq0MAXに変更設定され、一方、二輪走行モードが選択されているときにはステップS21からステップS22に移行して、基準前輪配分トルクTq0 は“0”に変更設定され、四輪自動走行モードが選択されているときに限って前記選出による基準前輪配分トルクTq0 がそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定される。
【0056】
また、図4の演算処理のステップS23からステップS25では、前記ニュートラル信号SN に応じた基準前輪配分トルクTq0 の変更設定が行われる。即ち、ニュートラル信号SN が論理値“1”のON状態であることは、エンジン出力によって車両が発進することはない(ギヤ位置がニュートラルであって、降坂路等で重力加速度によって発進する場合には、一般にスリップは発生しない)し、運転者の意思としても発進する意思はないと考えられ、このときに前記イニシャルトルクを含む前輪側への駆動力を配分したり、或いは前記流体圧制御装置内で不要な流体圧を発生させたりすることはエネルギ損であるから、ギヤ位置にニュートラルが選択されているときにはステップS23からステップS24に移行して基準前輪配分トルクTq0 は“0”に変更設定され、そうでないときには前述のようにして設定された基準前輪配分トルクTq0 がそのまま基準前輪配分トルクTq0 に設定される。なお、自動変速機を搭載する車両にあっては、このニュートラル位置判定に,所謂パーキングギヤ位置判定を加えてもよい。
【0057】
そして、続く図4の演算処理のステップS26からステップS28では、前述した前輪配分トルク変化速度Tq' の設定が行われる。既知のように、前記前後輪速差ΔVwのみに応じた第1前輪配分トルクTq1 が最終的な目標前輪配分トルクTq* に設定されて前後輪間の駆動力配分フィードバック制御が実行されると、副駆動輪である前輪の駆動系の回転慣性や当該前輪が路面に駆動力を伝達するまでの時間が応答遅れとなり、このとき駆動力配分量の変化速度が速過ぎると、これに起因して高μ路面から低μ路面へのμジャンプ時に駆動力制御のハンチングが発生する虞れがある(その発生原因については後段に詳述する)。一方、このような問題を回避するために、駆動力配分量の特に減少方向への変化速度が遅過ぎると、副駆動輪である前輪への駆動力配分量が大きい状態からの旋回走行への移行時に、当該前輪への駆動力配分量が十分に小さくならず、そのため旋回走行移行後もクラッチ機構の係合力が高い状態が維持されて前後輪間の回転速差が吸収されず、インタロックによるタイトコーナブレーキ現象が発生する虞れがある。この相反する問題を防止するためには、制御ハンチングの問題が通常走行時,即ち副駆動輪である前輪への駆動力配分量がさほど大きくないときに発生することから、当該前輪への駆動力配分量が大きいときに当該駆動力配分量の変化速度を速くし、前輪への駆動力配分量が小さいときに当該駆動力配分量の変化速度を遅くすればよい。また、これらの問題は、何れも副駆動輪である前輪への駆動力配分量が減少するときに発生するから、図4の演算処理のステップS26で、前述のように設定された四輪駆動制御装置で達成すべき基準前輪配分トルクTq0 が、現在達成されている前輪配分トルク,即ち目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) 以下であるか否かにより、前輪への駆動力配分量が減少方向にあるかどうかを判定し、前輪への駆動力配分量が増加方向にある場合にはステップS28に移行して、このときには前輪配分トルクの変化速度が速過ぎることに問題はない、むしろこのような場合には走行安定性の面から速やかに前輪への駆動力配分量を増加させるべきであるから、制御の応答性を高めるべく前輪配分トルクの変化速度Tq' を最大前輪配分変化速度Tq' MAX に設定し、前輪への駆動力配分量が減少方向にある場合にはステップS27に移行して、前記図8の制御マップに従って前輪配分トルクの変化速度Tq' が設定される。なお、本実施例では前記諸問題のみならず、前記ブレーキ信号SBRK による発進判定の結果、前記所定値Tq41に設定された第4前輪配分トルクTq4 の減少を、この減少方向への前輪配分トルク変化速度Tq' でフィルタリング,即ち規制して、所定の時刻まで前輪側への駆動力配分量が残存する目的もある。
【0058】
ここで、図8の制御マップによれば、前述のように低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除いて、当該低μ路面での通常走行で発生する前輪配分トルクの最大値に設定された第2所定閾値Tq* 2 以上の前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の領域は、例えば前記発進時フィードフォワード制御によって大幅に増加された前輪への駆動力配分量を想定しており、この状態からアクセルペダルを足放ししたときに当該前輪への駆動力配分量が速やかに小さくなって、例えばこれに続く旋回走行時に前記タイトコーナブレーキ現象が発生しないように、このときの前輪配分トルク変化速度Tq' は最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )に等しい第2所定値Tq'2となるようにしてある。また、前記第2所定閾値Tq* 2 より小さい前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の領域は、低μ路面での発進時や急旋回時,極端なμジャンプ等を除く、想定可能な全ての路面μでの走行中に発生する前輪配分トルクを想定しており、この領域では当該目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の前記第2所定閾値Tq* 2 から、高μ路面での急加速時や急旋回時に発生する前輪配分トルクの最大値に設定された第1所定閾値Tq* 1 までの範囲で、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を速やかに小さく(数値的には負値であるから大きくなる)し、この第1所定閾値Tq* 1 以下の領域では前輪配分トルク変化速度Tq' を比較的小さい第1所定値Tq'1に維持して、通常走行で発生し得る駆動力配分制御のハンチングを抑制防止できるようにしてある。
【0059】
次に、図4の演算処理では前述のようにして設定された前輪配分トルク変化速度Tq' のフィルタリング処理が行われる。前述のようにして設定された前輪配分トルク変化速度Tq' はあくまでも単位時間当たりの変化速度として設定されるから、前記図4のタイマ割込演算処理が実行されるサンプリング時間ΔT後の実際の前輪配分トルク,即ち目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が、前記基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートしてはならない。これは、前記前輪配分トルク変化速度Tq' を設定する際に、実際の前輪配分トルクを検出せず、その代わりに目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を用いている点からも達成すべき制御項目となる。また、図4の演算処理で出力される操作量或いは制御量が、前記サンプリング時間ΔT毎の前輪駆動力の目標値によるチョッピング制御であることからも、前記ステップS29で、前記前輪配分トルク変化速度Tq' にサンプリング時間ΔTを乗じた値,即ち次のサンプリング時間までに達成しようとする前輪配分トルクの変化量の絶対値が、前記基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値,即ち目標値と現在値との偏差の絶対値以上であるか否かを判定し、前者が後者以上である場合にはそれまでの前輪配分トルク変化速度Tq' を用いて後述のように目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) を設定すると、その値が基準前輪配分トルクTq0 をオーバシュートすることになるから、同ステップS30に移行して当該基準前輪配分トルクTq0 から目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) を減じた値を更に前記サンプリング時間ΔTで除して新たな前輪配分トルク変化速度Tq' を設定する。勿論、達成しようとする値が目標値をオーバシュートしない場合は、前記前輪配分トルクの減少速度のフィルタリング作用からも、ステップS31に移行してそれまでの前輪配分トルク変化速度Tq' がそのまま前輪配分トルク変化速度Tq' に設定される。
【0060】
そして、図4の演算処理のステップS32からステップS33では、前述のようにしてそれぞれフィルタリングされた前輪配分トルク変化速度Tq' に前記サンプリング時間ΔTを乗じた値を、前記目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) に和して、目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が算出出力される。
以上より、前記クラッチ機構37及び圧力源35及び圧力制御弁50が本発明の四輪駆動制御装置の駆動力配分調整手段に相当し、以下同様に前記ブレーキスイッチ57及び図4の演算処理のステップS5がブレーキ踏込み検出手段に相当し、前輪速センサ54及び図4の演算処理のステップS1が車体速検出手段に相当し、前記前後輪速センサ54,56及び図4の演算処理のステップS1及びステップS6が回転数差検出手段に相当し、図4の演算処理のステップS12からステップS15及びステップS26からステップS30が駆動力配分量設定手段に相当し、図4の演算処理全体が駆動力配分制御手段に相当する。
【0061】
次に、前述のように図4の演算処理のステップS27で前輪への駆動力配分量が減少方向にあるとき、前記前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理する作用について図9のタイミングチャートを用いながら説明する。
このタイミングチャートは、高μ路面を加速度一定で定常走行していたところ、時刻t1 で低μ路面にμジャンプしたときの前後輪速VwF ,VwR と前後輪速差ΔVwとをシミュレートしたものであり、前記基準前輪配分トルクTq0 には前後輪速差ΔVwのみによる前記第1前輪配分トルクTq1 がリアルタイムに反映されているものとする。なお、同図bに示す前後輪速差ΔVwは、理解を容易化するために縦軸を拡大表示してある。また、本実施例で主駆動輪である後輪はエンジンに直結されており、実質的には、そのイナーシャ(回転慣性)が各車輪速及び前後輪速差に大いに影響するが、ここではとりあえず、このエンジンイナーシャを無視した後輪駆動系の回転慣性と前輪駆動系の回転慣性のみを考慮し、そのときの後輪速VwR は実線で、前輪速VwF は破線で、前後輪速差ΔVwは実線で示す。
【0062】
このタイミングチャートによれば、前記時刻t1 で低μ路面へのμジャンプによって、それまでエンジン出力の大半が伝達されていた主駆動輪である後輪がスリップして後輪速VwR が増速し、これによって前後輪速差ΔVwが増加するために前記図4の演算処理のステップS7では前記図5の制御マップのリニア増加部分に対応して第1前輪配分トルクTq1 が増加し、これを基準前輪配分トルクTq0 とする目標前輪配分トルクTq* が前記最大前輪配分トルク変化速度Tq' MAX で増加することになるから、前記前輪駆動系が有する所定の遅れ時間をもって前輪速VwF も増速するが、未だ後輪速VwR の増速率の方が大きいから前後輪速差ΔVwも増加し続ける。
【0063】
やがて、前輪配分トルクの増加に伴って後輪配分トルクが減少することから、後輪速VwR は時刻t2 で極大値を迎え、このときには前後輪速差ΔVwもほぼ同時に極大値となったが、副駆動輪である前記前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF はこの後も増速を継続することとなった。これにより、この時刻t2 以後、前後輪速差ΔVwが減少するが、この前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 の減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' は、図4の演算処理のステップS27で図8の制御マップに従って前記小さな所定値Tq'1程度に抑制されているために、最終的な目標前輪配分トルクTq* は緩やかに減少されることとなり、故に後輪速VwR の減速傾きが抑制されて当該後輪速VwR は緩やかに減速し、従って前後輪速差ΔVwも緩やかに減少し、これが、前輪速VwF が極大値を迎える時刻t3 まで継続して繰返されることとなった。
【0064】
そして、前記時刻t3 では前述した前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF が極大値を迎え、その後、前記目標前輪配分トルクTq* の緩やかな減少に伴って減速に転ずることとなったが、これによって前後輪速差ΔVwの減少傾きはより一層小さくなり、しかしながら当該前後輪速差ΔVwに応じた基準前輪配分トルクTq0 から、最終的な目標前輪配分トルクTq* には図4の演算処理のステップS29からステップS30でリミッタがかけられるため、まず後輪速VwR の減速傾きが更に小さくなり、これから前記前輪駆動系の応答遅れをもって発生する前輪速VwF の減速傾きも小さくなることとなった。
【0065】
このような後輪速VwR 変動の減衰効果によって、当該後輪速VwR は当該低μ路面でのトラクションロスを含んで所定の車両加速度を満足する車輪速に近づくものの、未だ前輪速VwF は前記前輪駆動系の応答遅れからこの車輪速に近づいていないために、後輪速VwR についてはほぼ良好であるが前輪速VwF をやや増速すべき走行状態となり、その結果、時刻t4 で前後輪速差ΔVwは極小値を迎え、その後、当該前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 に応じて最終的な目標前輪配分トルクTq* は増加に転ずることとなったが、未だ前輪速VwF は減速し続けていたため、この前輪駆動系の回転慣性に抗して前輪を回転させるための実質的な目標前輪配分トルクTq* の増加率は非常に小さなものとなり、しかも未だ前輪への駆動力が十分に増加していないために、これからやや遅れて後輪速VwR も極小値を迎え、更に増速に転ずることとなってしまった。
【0066】
しかしながら、目標前輪配分トルクTq* の増加によって前記前輪駆動系の応答遅れに相当する時刻t5 から前輪速VwF が極小値を越えて増速に転じたため、前記後輪速VwR の増速量は小さく抑制され、増速し続ける前輪速VwF との前後輪速差ΔVwは時刻t6 で極大値となり、その後、減少に転ずるものの、前記時刻t2 以後と同様にその減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' が小さく抑制されるために、まず後輪速VwR が極めて緩やかに減速し、これに遅れて前輪速VwF の増速傾きが減少して時刻t7 で極大値を迎え、この時刻t7 で前後輪速差ΔVwは、当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束し、その結果、目標前輪配分トルクTq* の変動がなくなって後輪速VwR ,前輪速VwF とも安定状態となった。
【0067】
次に、前述のように前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理しない従来の四輪駆動制御装置の作用について図10のタイミングチャートを用いながら説明する。具体的には前記図4の演算処理のステップS26からステップS28が削除されたものであると考えればよく、前輪配分トルクが減少方向に変化するときも常に前記最小変化速度(−Tq' MAX )で基準前輪配分トルクTq0 に向けて目標前輪配分トルクTq* が変化する。
【0068】
このタイミングチャートでのシミュレーション条件は、前記図9のものと全く同等であり、少なくとも前記時刻t1 で低μ路面にμジャンプしてから前後輪速差ΔVw及び後輪速VwR が極大値を迎える時刻t2 までの挙動は、当該図9での説明と同等である。また、ここでも、後輪に直結されるエンジンイナーシャの影響をネグレクトした後輪速VwR を実線で、前輪速VwF を破線で、前後輪速差ΔVwを実線で示す。
【0069】
従って、この時刻t2 以後、副駆動輪である前記前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF は増速を継続し、同時に前後輪速差ΔVwが減少するが、この前後輪速差ΔVwと等価な基準前輪配分トルクTq0 の減少速度,即ち前輪配分トルク変化速度Tq' には、前述のようなフィルタリングによる規制が与えられていないので、最終的な目標前輪配分トルクTq* も、当該前後輪速差ΔVwの減少速度と同程度に速やかに減少されることとなり、一方、未だ増速し続ける前輪速VwF には大きな駆動力が配分されているために、後輪速VwR は大幅に且つ速やかに減速し、従って前後輪速差ΔVwも大幅に且つ速やかに減少し、これが、前輪速VwF が極大値を迎える時刻t3Pまで継続して繰返されることとなった。
【0070】
そして、前記時刻t3Pでは前述した前輪駆動系の応答遅れによって前輪速VwF が極大値を迎え、その後、減速に転ずることとなったが、この前輪への駆動力配分量の減少に伴って後輪速VwR の減速傾きは次第に小さくなり、両者の前後輪速差ΔVwは時刻t4Pで極小値となり、一方、後輪速VwR はこれより遅い時刻t5Pで極小となり、以後、増速に転ずる。しかしながら、前記大幅に且つ速やかに減少する前後輪速差ΔVwと同等に設定された基準前輪配分トルクTq0 からなる目標前輪配分トルクTq* によって、前記前輪駆動系の応答遅れを伴う前輪速VwF は、これ以後も大幅に且つ速やかに減速し続け、これにより前後輪速差ΔVwは速やかに且つ大幅に増加することとなり、それと共に基準前輪配分トルクTq0 及び目標前輪配分トルクTq* が大幅に且つ速やかに増加されようとするが、一方で後輪への駆動力配分量は未だ大きいままであり、前記前輪駆動系の回転慣性等によりクラッチ機構37の係合力が増加されるまでに時間がかかり、その結果、前輪速VwF は、前記時刻t5Pよりも大幅に遅い時刻t6Pで極小値となり、その後、増速に転ずることができる。
【0071】
この応答遅れにより、前後輪速差ΔVwは時刻t7Pで極大値を迎え、後輪速VwR は時刻t8Pで極大値を迎えるが、前輪速VwF の極大値はこれよりも遅い時刻t9Pで発生し、その直後の時刻t10P では再び前後輪速差ΔVwが極小値となってしまい、結果的に前記時刻t2 以後と同様に前後輪速VwF ,VwR は位相がずれたまま増減を繰り返し、それが前後輪速差ΔVwから基準前輪配分トルクTq0 及び目標前輪配分トルクTq* に大きな変動を与え続け、前後輪速VwF ,VwR が当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束することなく、駆動力配分制御のハンチングが継続することとなる。
【0072】
この問題を回避するためには、少なくとも前記目標前輪配分トルクTq* の減少時にその減少傾きを小さく設定しなければならないことになるが、この目標前輪配分トルクTq* の減少傾きを小さく抑制したままであるときに発生する問題と、本実施例による作用を図11のタイミングチャートを用いて説明する。
このタイミングチャートは、例えば路面μのやや低い路面での発進時にアクセルペダルを大きく踏込んで,所謂スロットルON状態で発進し、さほど時間のない時刻t25で旋回走行に移行するため、それより早い時刻t21でアクセルペダルを足放ししてスロットルOFF状態に移行し、前記時刻t25ではステアリングを切込まなければならない状況での目標前輪配分トルクTq* をシミュレートしたものであり、前記基準前輪配分トルクTq0 には前記第3前輪配分トルクTq3 がリアルタイムに反映されているものとする。なお、前記スロットルON時に設定される第3前輪配分トルクTq3 と等しい基準前輪配分トルクTq0 ,即ち目標前輪配分トルクTq* は、前記図8の制御マップの第2所定閾値Tq* 2 以上であったものとする。また、この路面での前記時刻t25からの旋回走行において前記タイトコーナブレーキ現象を発生させないための目標前輪配分トルクTq* の最大値は、図11においてTq* lim で表す。
【0073】
まず、前述のような制御のハンチングを抑制防止するために、目標前輪配分トルクTq* の減少速度,本実施例でいうところの前輪配分トルク変化速度Tq' を或る値で制限してしまうと、例えば時刻t21でアクセルペダルを足放ししてスロットル開度θが“0”まで減少すると、前記第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 も当該時刻t21か又はその直後に“0”になってしまう。実際のスロットル開度θの変化はそれほどステップ的でないから、図11の時刻t21からに示すように基準前輪配分トルクTq0 が変化し、その減少速度が前記規制値より速くなると、これ以後、目標前輪配分トルクTq* は同図に二点鎖線で示すように傾き一様で減少することになる。ところが、このように減少速度が規制された目標前輪配分トルクTq* では、前記ステアリング切込み開始時刻t25より遅い時刻t26でしか、前記タイトコーナブレーキ現象回避前輪配分トルクTq* lim 以下とならないから、実質的にステアリングを切込む時刻t25以後ではタイトコーナブレーキ現象の発生する可能性がある。
【0074】
一方、前記図4の演算処理のステップS27における図8の制御マップでは、目標前輪配分トルク(正確にはその前回値)Tq* (n-1) が、前記第2所定閾値Tq* 2 以上であるときには、前輪配分トルク変化速度Tq' は前記最小変化速度に等しい所定値Tq'2一定であるため、目標前輪配分トルクTq* の減少速度にフィルタがかかる時刻t22から、図11に実線で示すように目標前輪配分トルクTq* が第2所定閾値Tq* 2 より小さくなる時刻t23までは、前記最小変化速度(−Tq' MAX )で当該目標前輪配分トルクTq* はリニアに且つ速やかに減少し、次いで目標前輪配分トルクTq* が前記第1所定閾値Tq* 1 以下となる時刻t24までは、前輪配分トルク変化速度Tq' がリニアに減少するため、当該目標前輪配分トルクTq* は二次曲線的に減少し、次いでこれ以後は、前記小さな所定値Tq'1で傾き一様に且つ緩やかに減少することになる。このシミュレーションでは、前記時刻t25よりも早い時刻t23.5で目標前輪配分トルクTq* が前記タイトコーナブレーキ現象回避前輪配分トルクTq* lim 以下となるため、ステアリングを切込む時刻t25以後でタイトコーナブレーキ現象の発生する可能性は小さくなる。
【0075】
ちなみに、前輪配分トルク変化速度Tq' をフィルタリング処理しない前記図10のタイミングチャートにおいて、後輪に直結されたエンジンイナーシャの影響を考慮すると、当該重いエンジンイナーシャが直結された後輪速VwR はさほど変動しなくなることが予想され、更に電子制御によってスロットル開度に応じたエンジン出力トルクが一定になるように制御されている場合には、後輪速VwR の変動幅は更に小さくなると考えられる。こうした状況における後輪速VwR を図10に二点鎖線で、前輪速VwF を一点鎖線で、前後輪速差ΔVwを二点鎖線で夫々示す。このような状況下では、後輪速VwR の変動が大幅に抑制されるから、前記時刻t2 で前後輪速差ΔVwが極大となると、変動しにくい後輪速VwR に対して前輪速VwF が速やかに増速し、これとリアルタイムに前後輪速差ΔVwが減少し、次いで前輪駆動系の遅れ時間後に前輪速VwF が減速し、これとリアルタイムに前後輪速差ΔVwが増加するといったように、前輪速VwF の変動周期及びそれに伴う前後輪速差ΔVwの変動周期が短くなる。一方、前述のように出力トルクがほぼ一定に制御されたエンジンに、この前輪駆動系が短い周期で付加されたり外されたりすると、その周期が、実際に発生するであろう後輪速VwR 変動を加振するようなものでない限り、平均的な後輪速VwR も次第に減速することが予想される。従って、前輪速VwF との前後輪速差ΔVwは次第に小さくなり、これに伴って前輪速VwF の変動幅も次第に小さくなり、相応の時間経過後に、後輪速VwR ,前輪速VwF は当該低μ路面で所定の車両加速度を達成する速度に収束するであろう。
【0076】
これを本発明である図9のタイミングチャートにフィードバックすると、同じく後輪速VwR は二点鎖線で、前輪速VwF は一点鎖線で、前後輪速差ΔVwは二点鎖線で示すように、前記時刻t2 以後、増速する前輪速VwF に対して、後輪速VwR の変化代が小さくなる分、前後輪速差ΔVwは緩やかに減少することになるから、前輪速VwF の減速代も小さく抑えられ、この間に後輪速VwR はゆっくりと減速して前輪速VwF に漸近し、殆どオーバシュートすることなく、凡そ前記時刻t7 より早い時刻で、前後輪速差ΔVwは当該路面μで所定の車両加速度を満足する値に収束し、その結果、目標前輪配分トルクTq* の変動がなくなって後輪速VwR ,前輪速VwF とも安定状態となる。つまり、エンジンイナーシャと考えると、従来の制御耐用でもやがて前輪速変動及び制御のハンチングは収束するが、本実施例によれば、こうした前輪速変動や制御のハンチングの発生そのものを抑制することができる。
【0077】
次に、前記図11による発進後の駆動力配分制御より更に早い時刻,即ち発進時及びその直後の駆動力配分制御の作用を図12のタイミングチャートを用いて説明する。
このタイミングチャートは、理解を容易化するために大きな駆動力がかかっても車輪がスリップすることのない十分な高μ路面で、時刻t31までブレーキペダルを踏込んだ停車状態から、時刻t32でアクセルペダルを踏込んで車両を発進させた状況をシミュレートしたものであり、従ってこの発進後に主副駆動輪がスリップすることはなく、両者の前後輪速差ΔVwは“0”となって前記図4の演算処理のステップS7による第1前輪配分トルクTq1 は“0”であり続けたものとし、この想定の下に目標前輪配分トルクTq* の経時変化を図12aに、ブレーキ信号SBRK の経時変化を図12bに、車体速VC (=前輪速VwF )の経時変化を図12cに、スロットル開度θの経時変化を図12dに示す。
【0078】
まず、前記図4の演算処理によれば、前記時刻t31までブレーキ信号SBRK が論理値“1”のON状態であり且つ車体速VC と等価な前輪速VwF が“0”であるために、同ステップS15で第4前輪配分トルクTq4 が前記所定値Tq41に設定され、一方、スロットル開度θは“0”であるために第3前輪配分トルクTq3 は“0”であり、また第2前輪配分トルクTq2 は通常温度作動環境におけるイニシャルトルクに相当し且つ前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41より小さな所定値Tq20であったために、当該時刻t31まで同ステップS16で前記第4前輪配分トルクTq4 が基準前輪配分トルクTq0 に設定され、その他の諸条件による規制がなく且つ当該基準前輪配分トルクTq0 に設定され続ける目標前輪配分トルクTq* 自身に変化がないから当該目標前輪配分トルクTq* は前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に維持されている。なお、この第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41は、前記目標前輪配分トルクTq* の第2所定閾値Tq* 2 より大きいので、このときの前輪配分トルク変化速度Tq' は前記図4の演算処理のステップS27において、最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )に一応設定される。
【0079】
ところが、時刻t31でブレーキペダルから足放しすると、ブレーキ信号SBRK が論理値“0”のOFF状態となるので、図4の演算処理ではステップS12及びステップS13のand条件が満たされず、第4前輪配分トルクTq4 は同ステップS14で“0”に設定される。このとき、設定される前輪配分トルクのうちの最大値は前記イニシャルトルクTq20の第2前輪配分トルクTq2 であるから、図4の演算処理のステップS16では、一旦この第2前輪配分トルクTq2 が基準前輪配分トルクTq0 に設定される。しかしながら、前記第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に設定されている目標目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) の方が、前記基準前輪配分トルクTq0 に設定される第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より大きいから、同ステップS27に移行し、このときの第4前輪配分トルクTq4 の所定値Tq41に設定されている目標目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) は未だ前記目標前輪配分トルクTq* の第2所定閾値Tq* 2 より大きいので、これ以後、目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は前記最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )で減少設定され続ける。
【0080】
やがて、このように減少設定され続ける目標前輪配分トルクTq* は時刻t32.5で、前述のように前記目標前輪配分トルクの第2所定閾値Tq* 2 より小さくなり、これ以後は、前記図11の説明と同様に、リニアに減少する前輪配分トルク変化速度Tq' に従って、二次曲線的に減少することになる。一方、これに先んじて時刻t32でアクセルペダルが踏込まれてスロットル開度θが直線的に増加し、且つ車体速VC と等価な前輪速VwF が未だ所定車体速VC0以下であるために、図4の演算処理のステップS10でこれと同様に増加する第3前輪配分トルクTq3 が設定されることとなるが、少なくとも当該スロットル開度θが前記所定値θ1 となる時刻t33までは、当該第3前輪配分トルクTq3 が第2前輪配分トルクTq2 のイニシャルトルクTq20より大きくなることはなく、従って同ステップS16では、前記時刻t33までは前記イニシャルトルクTq20に設定されている第2前輪配分トルクTq2 が、また当該時刻t33以後は第3前輪配分トルクTq3 が、夫々一旦、基準前輪配分トルクTq0 に設定されるものの、この時間t32-33 では、未だ前記減少し続ける目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) が各時刻の基準前輪配分トルクTq0 より大きく、従って各時刻の最終的な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は、前述と同様に同ステップS27で設定される所定の変化速度Tq' で減少設定され続けることになる。なお、車体速VC は前記時刻t32以後、次第に増速している。
【0081】
そして、前記減少設定され続ける目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) は、遂に前記目標前輪配分トルクの第1所定閾値Tq* 1 以下となる前に、前記スロットル開度θの増加と共に増加設定される第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 以下となるため、これ以後は、図4の演算処理のステップS28で設定される最大前輪配分トルク変化速度Tq' MAX が十分な増加速度を有することもあって、当該第3前輪配分トルクTq3 からなる基準前輪配分トルクTq0 と等価な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) が各時刻に設定される。
【0082】
やがて、増速する車体速VC (=前輪速VwF )は時刻t35で前記所定車体速VC0より大きくなるため、図4の演算処理ではステップS11で第3前輪配分トルクTq3 は“0”に設定され、この時点で前述のように当該路面μが十分に高いために前後輪速差ΔVwは“0”となって第1前輪配分トルクTq1 も“0”であるため、同ステップS16で基準前輪配分トルクTq2 は前記第2前輪配分トルクTq2 (=イニシャルトルクTq20)が設定されることになるが、当該時刻t35で目標前輪配分トルクの前回値Tq* (n-1) に設定されていた第3前輪配分トルクTq3 は、前記目標前輪配分トルクの第2所定閾値Tq* 2 より大幅に大きいために、これ以後、各時刻の最終的な目標前輪配分トルクの今回値Tq* (n) は、前記時刻t31以後と同様に前記最小前輪配分トルク変化速度(−Tq' MAX )で減少設定され続ける。
【0083】
一方、ブレーキペダルの踏込み時に目標前輪配分トルクTq* を高めず、またブレーキペダルの足放し時にもこれを緩やかに減少することのない従来の四輪駆動制御装置、具体的には図4の演算処理のステップS12からステップS15及びステップS26からステップS28が削除された四輪駆動制御装置では、前記図12のタイミングチャートにおいて前記時刻t33までは前記イニシャルトルクt20に設定された第2前輪配分トルクTq2 が目標前輪配分トルクTq* に設定され、その後はスロットル開度θと共に増加する第3前輪配分トルクTq3 が目標前輪配分トルクTq* に設定されることになる。このタイミングチャートでは前述のように理解を容易化するために十分な高μ路面を想定したが、路面μが極めて低い場合や下り勾配の大きい降坂路で発進する場合には、前記時刻t32からのスロットル開度θの増加に伴って,その直後から主駆動輪である後輪がスリップし始めることが予測されるが、少なくとも当該スロットル開度θが前記所定値θ1 を越える時刻t33までの目標前輪配分トルクTq* は前記イニシャルトルクt20,即ち前輪への駆動力は伝達されていない状態となるから、この時間の後輪のスリップは、少なくとも当該後輪のスリップが前記前後輪速差ΔVwとして検出され且つこれに伴う第1前輪配分トルクTq1 によって副駆動輪である前輪配分トルクが立上がるまで収束されることがない。一方、本実施例の四輪駆動制御装置では、前記時刻t32から時刻t33で、前記時刻t31までのブレーキペダル踏込み時の初期目標前輪配分トルクTq* が或る程度残存しているために、当該時刻t32で増加するエンジン出力は確実に副駆動輪(前輪)側にも配分され、前記極低μ路面や急降坂路での発進時に主駆動輪(後輪)のスリップの発生が回避されるか或いは発生したスリップを速やかに収束することができる。
【0084】
また、この発進直後に、前記図11の説明のように低速旋回走行に移行した場合に、前記残存する前輪配分トルクがタイトコーナブレーキ現象の要因となる可能性もあるが、その場合には通常想定されるブレーキペダル足放しから旋回走行までの移行時間を考慮して、この移行時間中に前輪配分トルクが当該タイトコーナブレーキ現象を誘因する値まで減少できるように、前記第4前輪配分トルクtq4 の所定値Tq41及び目標前輪配分トルクTq* の減少速度Tq' を設定すればよい。
【0085】
なお、前記実施例では後輪駆動車両をベースにした四輪駆動車両について詳述したが、この種の四輪駆動車両に限定されるものではなく、前輪駆動車両をベースにした四輪駆動車両に搭載されるトランスファのクラッチ機構を制御するものであってもよい。
また、前記実施例ではクラッチ機構として流体圧駆動による流体式摩擦クラッチを用いた場合について説明したが、本発明は駆動力を連続的に配分できるクラッチであれば例えば電磁クラッチ機構等にも採用できる。
【0086】
また、前記実施例では車体速の評価に副駆動輪速を用いたが、前述のように当該副駆動輪への駆動力変動によって変動する副駆動輪の影響が車体速に表れないように、適切なフィルタをかけて用いてもよいし、或いは既存のアンスキッド制御装置等に用いられる疑似車速(推定車体速)を転用するようにしてもよい。
また、前記実施例はコントロールユニット58としてマイクロコンピュータを適用した場合について説明したが、これに代えてカウンタ,比較器等の電子回路を組み合わせて構成することもできる。
【0087】
また、前記実施例では可変トルククラッチを付勢する作動流体として作動流体を適用した場合について説明したが、これに限らず水等の流体,空気等の気体を適用し得ることは言うまでもない。
また、前記オイルポンプの回転駆動源としては前記電動モータに限らず,エンジンの回転出力を用いることも可能である。
【0088】
【発明の内容】
以上説明したように本発明の車両の四輪駆動制御装置によれば、車両が停車しているときに所定量だけ増加された副駆動輪側への駆動力配分量を、車両の発進後に所定の変化速度で減少させて副駆動輪への駆動力配分量を残存させることにより、例えば極低μ路や急坂路での発進時の主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高めることができる。
【0089】
また、前記副駆動輪側の駆動力配分量を減少するときの変化速度を、当該副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに大きく設定することで、当該車両の発進後の旋回走行におけるタイトコーナブレーキ現象の発生が回避され、また当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定すれば、前記ブレーキペダル足放し後に或る程度の時間が経過しても、主駆動輪のスリップを回避或いはその収束性を高める効果が持続される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の四輪駆動制御装置の一例を示す車両構成の概略説明図である。
【図2】図1の前後輪間駆動力配分制御装置の一例を示す概略構成図である。
【図3】図2の前後輪間駆動力配分制御装置で用いられるデューティ比と目標前輪配分トルクの相関関係図である。
【図4】図2の前後輪間駆動力配分制御装置の一実施例の演算処理を示すフローチャートである。
【図5】図4の演算処理で、第1前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図6】図4の演算処理で、第2前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図7】図4の演算処理で、第3前輪配分トルクを算出設定するための制御マップである。
【図8】図4の演算処理で、前輪配分トルク変化速度を算出設定するための制御マップである。
【図9】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【図10】従来の駆動力配分制御の説明図である。
【図11】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【図12】図4の演算処理による駆動力配分制御の説明図である。
【符号の説明】
1はエンジン
2FL〜2RRは前左輪〜後右輪
3は駆動力系
4は駆動力配分制御装置
12は変速機
14はトランスファ
16は前輪側出力軸
18は前輪側ディファレンシャルギヤ
20は前輪側ドライブシャフト
22はプロペラシャフト
24は後輪側ディファレンシャルギヤ
26は後輪側ドライブシャフト
35は流体圧力源
37はクラッチ機構
48はスロットル開度センサ
50は圧力制御弁
51は流体温センサ
52はモードセレクトスイッチ
53はニュートラルスイッチ
54は前輪速センサ
56は後輪速センサ
58はコントロールユニット
59は駆動回路
70はマイクロコンピュータ
Claims (2)
- 車両の前後輪の何れか一方を主駆動輪とし、他方を副駆動輪として、制御信号に応じた係合力の可変制御によって前記主駆動輪及び副駆動輪への駆動力配分を行う摩擦クラッチを有する駆動力配分調整手段と、前記主駆動輪及び副駆動輪の回転数差を検出する回転数差検出手段と、少なくとも前記回転数差検出手段での回転数差検出値に基づいて、当該回転数差検出値の増加に伴って前記副駆動輪側の駆動力が増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、当該駆動力配分量に基づいて前記摩擦クラッチを制御する駆動力配分制御手段とを備えた車両の四輪駆動制御装置において、ブレーキペダルの踏込みを検出するブレーキ踏込み検出手段と、車体速を検出する車体速検出手段とを備え、前記駆動力配分制御手段は、前記ブレーキ踏込み検出手段がブレーキペダルの踏込みを検出し且つ前記車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零であるときに前記副駆動輪側の駆動力配分量を所定量だけ増加するように前記主副駆動輪間の駆動力配分量を設定し、前記ブレーキ踏込み検出手段によるブレーキペダルの踏込み検出が解除されるか又は車体速検出手段で検出された車体速検出値が零又は略零でなくなったときに、前記増加設定された主副駆動輪間の駆動力配分量の副駆動輪側の駆動力配分量を所定の変化速度で減少する駆動力配分量設定手段を備えたことを特徴とする車両の四輪駆動制御装置。
- 前記駆動力配分量設定手段は、前記副駆動輪側の駆動力配分量が大きいときに前記駆動力配分量の変化速度を大きく設定し、当該副駆動輪側の駆動力配分量が小さいときに駆動力配分量の変化速度を小さく設定することを特徴とする請求項1に記載の車両の四輪駆動制御装置。
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