JP3751991B2 - Acサーボモータの電流制御方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、工作機械や産業機械等の機械,装置やロボットの駆動源として使用されるACサーボモータの電流制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来から行なわれているACサーボモータの制御系のブロック線図である。位置指令からエンコーダ等で検出される位置フィードバック値を減じて位置偏差を求め、該位置偏差にポジションゲインを乗じて位置ループ制御(1)を行なって速度指令を求め、この速度指令から速度フィードバック値を減じて速度偏差を求め、比例,積分制御等の速度ループ処理(2)を行いトルク指令(電流指令)を求める。さらに、このトルク指令から電流フィードバック値を減じて電流ループ処理(3)を行い各相の電圧指令を求めてPWM制御等を行いACサーボモータMを制御している。
上記制御系において、電流ループとして、従来は例えば3相ACサーボモータの場合では3相電流を別々に制御する方式が一般的である。図12は上記3相電流を別々に制御する電流ループ処理の詳細図である。
【0003】
速度ループ処理で求められたトルク指令(電流指令)にエンコーダ等で検出されたサーボモータのロータ位置θよりU,V,W相に対して電気角でそれぞれ2π/3ずれた正弦波を乗じて各相の電流指令を求め、該電流指令から電流検出器で検出される各相の実電流Iu,Iv,Iwを減じて電流偏差を求め、各相電流制御器5u,5v,5wで比例積分(PI)制御等を行なって各相の指令電圧Eu,Ev,Ewを電力増幅器6に出力する。電力増幅器6ではインバータ等でPWM制御を行なって各相の電流Iu,Iv,IwをサーボモータMに流し駆動することになる。
以上のように、ACサーボモータにおいては、位置,速度ループの最も内側のマイナーループに電流ループを持ち、この電流ループはACサーボモータの各相に流す電流をそれぞれ制御するループとなっている。
【0004】
上記3相電流を別々に制御する方式の場合には、モータの回転速度が上昇すると電流指令の周波数も上昇し、電流位相が徐々に遅れるため電流の無効成分が多くなり、トルクを効率よく発生することができなくなるという欠点があり、また、制御量として交流を扱っているため、定速度回転かつ定負荷時における定常状態においてさえも、指令に対する位相の遅れや振幅の減衰等の偏差が存在し、直流モータと同程度のトルク制御を実現することが困難である。
この欠点を改善する方法として、3相電流をd−q変換してd相,q相の2相に変換した後にそれぞれの相を制御する方法が知られている。このd−q変換を利用する方法は、電流を直流として制御するので制御系の位相遅れがなく、トルク特性が3相電流を別々に制御する場合と比較して改善されることが知られている。d−q変換においては、d軸は磁界の作る磁束の方向にとることが一般的であり、図13に示すようにロータの永久磁石の磁束の向きにd軸をとり、該d軸に直交する向きにq軸をとっている。
【0005】
図14はACサーボモータの従来の制御をd−q変換して制御するときのブロック線図である。d相の電流指令を「0」とし、q相の電流指令を速度ループから出力されるトルク指令とし、モータの各u,v,w相の実電流(いずれかから2相を検出すればよい)及びロータ位置検出器で検出されたロータの位相から、3相電流から2相電流へ変換する手段9でd相,q相の電流Id,Iqを求めて上記各相指令値から減じてd相,q相の電流偏差を求め、電流制御器5d,5qで従来と同様にして比例,積分制御を行い、d相指令電圧及びq相指令電圧Vd,Vqを求める。そして、2相電圧から3相電圧に変換する手段8は、この2相の指令電圧Vd,VqからU,V,W相の指令電圧Vu,Vv,Vwを求め、電力増幅器6に出力してインバータ等でサーボモータの各相に対して電流Iu,Iv,Iwを流してサーボモータを制御する構成となっている。
【0006】
次に、このd−q変換を利用する電流制御方法について解析する。交流電動機において3相交流で表した回路方程式は次の式(1)で表される。
【0007】
【数1】
上記式(1)の左辺はモータのU,V,W相の電圧であり、右辺例えば第1項の左側の行列はインピーダンス行例であり、Rは巻線抵抗、Lは巻線の自己インダクタンス、Mは相互インダクタンスで、Pは微分演算子である。また、右辺第1項右側のベクトルは各相電流Iu,Iv,Iwのベクトルであり、右辺第2項は各相の巻線が誘起する起電力eu,ev,ewである。そこで、式(2)で表される3相交流座標系から2相交流座標系に変換する交流行列C1、及び式(3)で表される2相交流座標系から3相交流座標系に変換する交流行列C2を用いて上記式(1)を変換すると、いわゆるd−q変換を行なう式(4)が得られる。
【0008】
【数2】
【0009】
【数3】
【0010】
【数4】
なお、上記式(3)において、θはロータの電気角(u相の巻線を基準として時計回りの方向にとった界磁の角度)であり、式(4)におけるωはロータの角速度(電気角)、Φは巻線鎖交磁束数の最大値である。上記式(4)より、磁界の作る磁束方向のd相電流Idを「0」に制御し、q相電流Iqについてのみ、その大きさを制御するようにすると、直流サーボモータと同じ制御が行なえることを意味している。
そして、上記変換行列C1,C2と3相の電圧,電流の合計が「0」である関係、すなわち、Vu+Vv+Vw=0、Iu+Iv+Iw=0の関係から、3相電圧Vu,Vv,Vwと2相電圧Vd,Vq、及び3相電流Iu,Iv,Iwと2相電流Id,Iqの関係は次の式(5),式(6)が成立する。
【0011】
【数5】
【0012】
【数6】
そこで、図14における手段9において、上記式(6)の演算を行って2相電流のId,Iqを求めて各相の電流フィードバックとし、また、上記手段8において、上記式(5)の演算を行って2相電圧Vd,Vqから3相電流Vu,Vv,Vwを求めることによって、d−q変換を利用してサーボモータの電流制御を行なう方法が得られる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前記したように、3相交流を2相直流に座標変換して直流制御方式を採用することによって、電流ループゲインを必要以上に高く設定することなく定常偏差を低減することができる。しかしながら、実際に直流制御方式を実現する場合には、高速回転において電流指令が電力増幅器の制限を超えるような場合、いわゆる電圧飽和が発生する。この電圧飽和では電流制御が困難となり、加速の場合には電流が流れなくなる方向に働くが、減速の場合には電流が増加する方向にはたらき、電力増幅器の素子を破損したりモータの減磁を引き起こす要因となる。
【0014】
電流ループは通常2次の制御系で構成されており、電動機の回転数が高くなるにつれて各電流ループに対する入力周波数が高くなって位相遅れとゲインの低下が生じる。位相遅れについては位相進め制御によって補償することができるが、ゲインの低下は補償されない。そのため、指令に対して実電流の振幅は小さくなり、実電流の振幅が電流リミッタのリミット値より小さい場合でも、指令が実質的にリミットされるという場合が生じる。また、減速時には電動機の逆起電圧が電動機の電圧の印加方向と同じ方向に働き、電流リミッタのリミット値を超える場合が生じる。つまり、減速時には電動機へ流す電流の方向は電動機の回転方向と逆であり、逆起電力の方向と同一となるため、指令に逆起電力が加算されて実電流の最大値がリミット値を超える場合が生じ、トランジスタ等の制御素子や電動機自体を破損させる場合がある。
【0015】
そこで、本発明は前記した従来の問題点を解決して、電圧飽和状態における減速時の電流の増大を抑制するACサーボモータの電流制御方法を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ACサーボモータの駆動電流とロータ位相とからd−q変換によって磁界の作る磁束方向のd相電流を求め、該d相電流が零となるように制御を行なうACサーボモータの電流制御方法において、指令電圧値が電力増幅器の制限を超える電圧飽和状態であって減速時には、d相電流をq相電流指令に加えることにより、前記目的を達成するものである。
【0017】
本発明の指令電圧値が電圧飽和状態であるか、モータが減速時であるか等の判定は、電流指令を比例積分する電流制御器と電力増幅器側へのd−q変換器との間に設けた電圧飽和処理ブロックにより行なうことができ、電流制御器からの電圧指令値とモータからの速度とを入力とし、その判定結果は、d相電流をq相電流指令に加えるq相電流指令補正ブロック及び電流制御器の積分器に出力される。
また、電圧飽和状態において、電流ループにおける電流指令の積分項の値を変更し電圧リミット値にクランプした電圧指令を出力することにより、制御出力がクランプされたことによる制御偏差の増大,電流ループ中の積分器の値の増大を抑制するものである。
また、本発明のACサーボモータの電流制御方法において、ACサーボモータの電圧飽和ブロックはd相電圧とq相電圧を成分とするベクトルの大きさが電力増幅器の電圧リミット値を超えたことにより検知し、また、ACサーボモータの減速はモータの回転とq相電流指令の極性により検知する。
【0018】
【作用】
電力増幅器からACサーボモータに供給される駆動電流を、モータの各u,v,w相の中のいずれか2相の実電流を測定することによって求め、また、ロータ位置検出器によりロータの位相を求める。3相電流から2相電流へ変換する手段は、この求めた実電流とロータ位相から前記式(6)によるd−q変換の演算を行ってd相,q相の電流Id,Iqを求める。
次に、各相指令値から前記d相電流Id,q相電流Iqを減じてd相,q相の電流偏差を求め、電流制御器において比例,積分制御を行い、d相指令電圧Vd及びq相指令電圧Vqを求める。
【0019】
電圧飽和処理ブロックは、このd相指令電圧Vd,q相指令電圧Vqとモータからの速度を入力して、d相指令電圧とq相指令電圧を成分とするベクトルの大きさと電力増幅器の電圧リミット値との比較により電圧飽和の検知を行い、また、q相電流Iqと速度からモータが加速状態かあるいは減速状態かの判定を行なう。
この電圧飽和処理ブロックにおいて電圧飽和状態でかつ減速と判定された場合には、その結果をq相電流指令補正ブロックに知らせてd相電流を使用してq相電流指令を小さくする。これにより、電圧飽和時の減速時における電流増加を防ぎ、電力増幅器の破損やモータの減磁作用を阻止する。
また、電圧飽和処理ブロックにおける判定結果は、電流制御器の積分項の値を変更したり、電圧指令の電力増幅器の電圧リミット値にクランプする処理を行なわせる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図を参照しながら詳細に説明する。
(本発明を実施するための構成例)
図1は、本発明の電流制御方法を実施するときのブロック線図である。図1のブロック線図は前記図14に示した従来のACサーボモータのd−q変換による制御ブロック線図において、電圧飽和処理ブロック10とq相電流指令補正ブロック11の点で相違している。
図1に示すブロック線図は以下のような構成となっている。d相の電流指令Idを「0」とし、q相の電流指令Iqを速度ループから出力されるトルク指令とし、3相電流から2相電流へ変換する手段9において、ACサーボモータMの各u,v,w相の実電流(いずれかから2相を検出すればよい)及びロータ位置検出器で検出されたロータの位相θをd−q変換してd相電流Id,q相電流Iqを求め、さらに上記各相指令値Id,Iqからこのd相電流Id,q相電流Iqを減じてd相,q相の電流偏差を求め、この電流偏差を積分器12d,12q及び積分ゲインがk1の積分ゲインブロック13d,13qと、比例ゲインがk2の比例ブロック14d,14qによって比例積分制御を行ない、d相指令電圧Vd,q相指令電圧Vqを求める。なお、この積分器12,積分ゲインブロック13,比例ブロック14は電流制御器を構成している。
【0021】
そして、本発明の電圧飽和処理ブロック10は前記電流制御器に次に設けられるブロックであり、d相指令電圧Vd,q相指令電圧Vq、さらにトルク指令及びACサーボモータMの速度ωを入力信号としている。電圧飽和処理ブロック10は電圧指令が飽和したか否かの判定及びモータが減速中であるかあるいは加速中であるかの判定を行なう機能を備えたブロックである。
この中、電圧飽和の判定は、例えば次式(7)で示される条件によって行なうことができる。
Vq2 +Vq2 >Vlimit2 …(7)
なお、Vlimitは電圧リミット値である。
また、モータの加減速の判定は、例えばω・Iq*の正負の判定によって行なうことができる。なお、ωはモータの速度であり、Iq*はq相のトルク指令値(q相電流指令値)である(以下、q相電流指令値をIq*によって表す)。
【0022】
電圧飽和処理ブロック10は、電圧飽和状態でかつ減速の場合にはその結果をq相電流指令補正ブロック11に知らせる。このq相電流指令補正ブロック11は、3相電流から2相電流へ変換する手段9から得られたd相電流Idをq相電流指令値に加える機能を備えるブロックであり、例えば、以下の式(8),(9)に示される補正値Icを演算して加算しq相電流指令値Iq*を変更するものである。
Iq*≧0 Ic=k・Id
Iq*≦0 Ic=−k・Id …(8)
Iq*←Iq*+Ic …(9)
なお、kは補正係数である。
【0023】
また、電圧飽和処理ブロック10は、電圧飽和状態の場合において電流制御器の積分項12,13の値sumd,sumqを書換えを行なう。この書換えは、加速状態か減速状態かに応じて相違している。
積分項12,13値sumd,sumqは、加速及び減速に応じて例えば以下の式(10)に示される値に書き替えられる。
また、電圧指令についても電圧リミット値にクランプする。
【0024】
さらに、2相電圧から3相電圧に変換する手段8は、電圧飽和処理ブロック10で飽和処理された2相の指令電圧Vd,VqからU,V,W相の指令電圧Vu,Vv,Vwを求め、電力増幅器6に出力してインバータ等でサーボモータの各相に対して電流Iu,Iv,Iwを流してサーボモータMの制御を行なう。
【0025】
(本発明の実施例の作用)
次に、本発明の実施例の作用について説明する。
(A)加速時(速度は正方向)
(1)q相電流指令補正処理
電圧飽和処理ブロック10において、電圧飽和状態でかつ減速の場合にはその結果がq相電流指令補正ブロック11に知らせられてq相電流指令補正処理が行なわれるが、加速時には、q相電流指令補正ブロック11に対して該ブロックを駆動する信号は出力されず、q相電流指令は速度ループから入力されたトルク指令をそのまま使用することになる。
【0026】
(2)指令電圧のクランプ,及び飽和処理
d−q変換を利用する電流制御においては、磁束の方向と同じ向きのd相電流を「0」とし、d相電流Idと直交するq相電流Iqをトルク指令に追従させるよう制御するため、Id=0,Iq>であり、正方向に回転しかつ加速時であるためロータの角速度ωは正である。したがって、前記式(4)によるd相電圧とq相電圧をベクトル図で表すと図2となる。
このd相電圧Vdとq相電圧Vqの構成ベクトル電圧Vcが電圧リミット値Vlimitを超えた場合に、この合成ベクトルVcの位相を変えずに、大きさをVlimitとした電圧Vc’に変換して、指令電圧のクランプを行なうと、この関係は以下の式(11),(12)によって表すことができる。
Vd=Vlimit・sinθ …(11)
Vq=Vlimit・cosθ …(12)
なお、位相θはtanθ=Vd/Vqの関係にある。
【0027】
前記クランプ処理により生じる位相ずれを調整するため、積分器に対して飽和処理を行なう必要がある。合成電圧Vcが電圧リミット値Vlimitを超えていない場合におけるd相電圧及びq相電圧と電流(ただしId=0)の関係は図3で表される。
ここで、d相電圧及びq相電圧が上昇して合成電圧Vcが電圧リミット値Vlimitを超えてクランプされると、q相電流Iqによってd相電圧Vd側に(−ωL・Iq)の負電圧が生ずるが、d相電圧Vdはクランプされているためこの(−ωL・Iq)の達することができず、図4に示すように正のd相電流が流れ、q相電圧Vqは(ωL・Id)が付加されて
Vq=ωΦ+Z・Iq+ωL・Id …(13)
となり、q相電圧Vqは増加することになる。
【0028】
このことは、電圧飽和によってクランプすると、d相電流Idの増加に従ってd相電圧Vdは減少し、q相電圧Vqが増加することを示し、図2の破線で示す合成ベクトル電圧Vc”の方向に位相θが減少することになる。d相電流Idの増加し位相θが遅れると発生トルクが減少することになる。
そこで、この実施例では、q相の積分器の値を書き替えることによってd相電流Idの増加の防止を行なう。
【0029】
この実施例では、例えば、前記式(10)中に示したように、q相の積分項の値sumqを(Vq+k2・Iq)/k1に書き替えることにより、このq相の積分器の値を書き替えとクランプとを行なうことができる。図1において、電圧飽和時にq相の積分項の値sumqを(Vq+k2・Iq)/k1に書き替えると、電流制御器から得られる出力はVqとなり、積分器の飽和処理を行なうとともに指令電圧をクランプすることができる。
【0030】
(B)減速時(速度は正方向)
(1)q相電流指令補正処理
この場合には、電圧飽和処理ブロック10において、電圧飽和状態でかつ減速の場合にはその結果がq相電流指令補正ブロック11に知らせられ、q相電流指令補正処理が行なわれる。q相電流指令補正ブロック11では、該知らせに応じて、前記式(8),(9)の演算を行なって、q相電流指令Iq*に補正値Ic(=sign(Iq*)k・Id)を加えて(Iq*+Ic)とする。
d相電流Idを使用してq相電流指令Iq*を小さくすることによってq相電流Iqの増加は抑制されることになる。したがって、電圧飽和時の減速時における電流増加は抑えられ、これによって、電力増幅器の破損やモータの減磁作用が阻止されることになる。
なお、このとき、補正係数kを調整することによって、q相電流指令Iq*の補正の程度を調節することができる。
【0031】
(2)指令電圧のクランプ,及び飽和処理
減速時において、指令電圧が飽和していない状態では、Id=0,Iq<0,ω>0であるから、前記式(4)によるd相電圧とq相電圧をベクトル図で表すと図5となる。
なお、図5の(b)はd相電圧Vdを示し、図5の(a)は|Z・Iq|>|ωΦ|の場合のq相電圧Vq(<0)を示し、図5の(c)は|Z・Iq|<|ωΦ|の場合のq相電圧Vq(>0)を示している。
ここで、高速回転時のq相電圧Vqは、|Z・Iq|<|ωΦ|となるから図5の(c)で示される。この状態で、d相電圧Vdがクランプされると図6の(a)に示すようにd相電流Idが流れることになり、これにともなって、q相電圧Vqは図6の(b)に示すように減少する。したがって、d相電流の増加に従って、d相電圧Vd,q相電圧Vqは減少することになる。このことは、指令電圧のベクトル位相に変化は生じないことを意味している。
【0032】
そこで、この実施例では、d相及びq相の積分器の値を書き替えることによってd相電流Idの増加の防止を行なう。
この実施例では、例えば、前記式(10)中に示したように、d相の積分項の値sumdを(Vd+k2・Id)/k1に書き替え、q相の積分項の値sumqを(Vq+k2・Iq)/k1に書き替えることにより、このd相,q相の積分器の値を書き替えとクランプとを行なうことができる。図1において、電圧飽和時にd相の積分項の値sumdを(Vd+k2・Id)/k1に書き替え、q相の積分項の値sumqを(Vq+k2・Iq)/k1に書き替えると、電流制御器から得られる出力はそれぞれVd,qとなり、積分器の飽和処理を行なうとともに指令電圧をクランプすることができる。
【0033】
(本発明の実施例を適用するサーボモータモータの構成例)
図8は、本発明の実施例を適用したサーボモータ制御系のブロック図であり、その構成は従来のデジタルサーボ制御を行なう装置と同一の構成であるため、概略的に示している。図8において、20はコンピュータを内蔵した数値制御装置(CNC)、21は共有RAM、22はプロセッサ(CPU),ROM,RAM等を有するデジタルサーボ回路、23はトランジスタインバータ等の電力増幅器、MはACサーボモータ、24はACサーボモータMの回転とともにパルスを発生するエンコーダ、25はロータ位相を検出するためのロータ位置検出器である。
図7は上記デジタルサーボ回路22のプロセッサが所定周期毎に実施する電流ループ制御処理のフローチャートである。デジタルサーボ回路22のプロセッサは、数値制御装置(CNC)から指令された位置指令(もしくは速度指令)を共有RAM21を介して読み取り位置ループ処理,速度ループ処理を行なう。
【0034】
まず、速度ループ処理によって出力されたトルク指令Iq*を読むとともに(ステップS1)、ロータ位置検出器25からロータ位相θを取り込む(ステップS2)。
次に、電流検出器で検出されるU相,V相の実電流Iu,Ivを取込み(ステップS3)、取り込んだU相,V相の実電流Iu,Ivとロータ位相θより前記式(6)の演算を行なってd相,q相の電流Id,Iqを算出し(ステップS4)該d相電流Idをフィードバック電流とし、d相電流指令を「0」として、通常の電流ループ処理(比例積分制御)を行いd相指令電圧Vdを求める。また、ステップS1で読み取ったトルク指令をq相の電流指令とし、ステップS4で算出したq相の電流値Iqをフィードバック電流として電流ループ処理を行ってq相の電圧指令Vqを求める(ステップS5)。
【0035】
次に、ステップS5で求めたd相,q相指令電圧Vd,Vqの合成ベクトルVcがクランプ電圧である電圧リミット値Vlimitを超えるか否かの判定を行なう。すなわち、(Vd2 +Vq2 )の値がVlimit2 の値より大きいか否かの判定を行なう(ステップS6)。
合成ベクトルVcが電圧リミット値Vlimitを超えない場合には、ステップS13に進んで、ステップS5で算出したd相,q相の電圧を指令電圧とし、該電圧をd−q変換してU,V,W相の電圧指令値を求め出力する(ステップS13)。
また、ステップS6において、合成ベクトルVcが電圧リミット値Vlimitを超えている場合には、ω・Iqの符号によって加速状態であるかあるいは減速状態であるかの判定を行なう(ステップS7)。
【0036】
ステップS7の判定で、モータが正方向に回転し(ω>0),トルク指令Iq*が正の場合、あるいはモータが負方向に回転し(ω<0),トルク指令Iq*が負の場合であって加速状態の場合には、ステップS9に進んで比例積分制御を行なってd相電圧Vd及びq相電圧Vqを算出する(ステップS9)。
また、ステップS7の判定で、モータが正方向に回転し(ω>0),トルク指令Iq*が負の場合、あるいはモータが負方向に回転し(ω<0),トルク指令Iq*が正の場合であって減速状態の場合には、ステップS8においてq相電流指令補正の処理を行なう。q相電流指令補正の処理は、ステップS4で求めたd相電流Idに係数kを乗じたId・kをIq*の符号に応じてトルク指令Iq*に加えることによって行なうことができる。その後、このq相電流指令補正を行なったq相電流をステップS9の比例積分制御によりd相電圧Vd及びq相電圧Vqを算出する。
【0037】
次に、フローチャート中の破線の囲みで示したステップS10〜ステップS12からなる電圧飽和処理を行なう。
電圧飽和処理では、減速時及び加速時においてq相の積分項sumqを(Vq+k2・Iq)/k1に書換え(ステップS10)、加速時においてのみ(ステップS11)d相の積分項sumdを(Vd+k2・Id)/k1に書換える (ステップS12)。
なお、ステップS11の判定は、前記ステップS7における判定と同様にモータ速度ωの符号とトルク指令Iq*の符号によって判定することができる。
前記工程によって得られたd相電圧Vdとq相電圧Vqを前記式(5)に示すd−q変換によってU,V,W相の電圧指令値を算出して出力し(ステップS13,ステップS14)、当該周期の電流ループ処理を終了する。
【0038】
(実施例の効果)
図9及び図10は本発明の実施例によるシミュレーション結果を示すものであり、図10の(b)は図9に示すような−5000rpmから5000rpmまでのステップ加減速を印加した場合の電流値を表している。図10の(b)に示す電流では、電流リミット内に制御されている。これに対して、図10の(a)は従来の制御方式によるシミュレーション結果であり、電流リミットオーバーが生じていることを示している。
なお、図9中に示すa,b,cは図10中に示すa,b,cと対応している。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、電圧飽和状態における減速時の電流の増大を抑制するACサーボモータの電流制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電流制御方法を実施するときのブロック線図である。
【図2】d相,q相指令電圧の関係を説明するための図である。
【図3】加速時におけるd相,q相電圧の説明図である。
【図4】加速時において電圧指令が飽和したときのd相,q相電圧の説明図である。
【図5】減速時におけるd相,q相電圧の説明図である。
【図6】減速時において電圧指令が飽和したときのd相,q相電圧の説明図である。
【図7】本発明のデジタルサーボ回路のプロセッサが実施する電流ループ処理のフローチャートである。
【図8】本発明の一実施例のデジタルサーボ系のブロック図である。
【図9】本発明の実施例によるシミュレーション結果を示す図である。
【図10】本発明の実施例によるシミュレーション結果を示す図である。
【図11】従来から行なわれているACサーボモータの制御系のブロック線図である。
【図12】従来のACサーボモータの制御系の3相電流を別々に制御する電流ループ処理の詳細図である。
【図13】d−q変換の座標系を説明する図である。
【図14】電流制御をd−q変換して行なう電流制御部のブロック図である。
【符号の説明】
6 電力増幅器
8 2相−3相変換器
9 3相−2相変換器
10 電圧飽和処理ブロック
11 q相電流指令補正
Vd d相電圧指令
Vq q相電圧指令
Id d相電流指令
Iq q相電流指令
Claims (4)
- ACサーボモータの駆動電流とロータ位相とからd−q変換によって磁界の作る磁束方向のd相電流を求め、該d相電流が零となるように制御を行なうACサーボモータの電流制御方法において、
指令電圧値が電力増幅器の制限を超える電圧飽和状態であって減速時には、d相電流から形成される補正値をq相電流指令に加えてq相電流指令を小さくすることを特徴とするACサーボモータの電流制御方法。 - 前記電圧飽和状態において、電流ループにおける電流指令の積分項の値を変更し、電圧リミット値にクランプした電圧指令を出力することを特徴とする請求項1記載のACサーボモータの電流制御方法。
- 前記ACサーボモータの電圧飽和はd相電圧とq相電圧を成分とするベクトルの大きさが電力増幅器の電圧リミット値を超えたことにより検知することを特徴とする請求項1,又は2記載のACサーボモータの電流制御方法。
- 前記ACサーボモータの減速はモータの回転とq相電流指令の極性により検知することを特徴とする請求項1,又は2記載のACサーボモータの電流制御方法。
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| JP33660394A JP3751991B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | Acサーボモータの電流制御方法 |
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