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JP3749281B2 - データ受信機 - Google Patents

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JP3749281B2
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、伝送信号を、この伝送信号における個別ビットに関連するサンプルを有するディジタルベースバンド信号に変換する入力部と;
前記ディジタルベースバンド信号の各サンプルから、前記個別ビットの値を表すグロスビット及びこのグロスビットの信頼度を示す少なくとも1つの信頼度ビットを含むメトリックを計算するためのメトリック計算機と;
供給されたメトリックからデータを取り出すためのソフト決定のデコーダと;を具えているデータ受信機に関するものである。
【0002】
本発明はデータ受信機におけるディジタルベースバンド信号からメトリックを計算する方法及びこの方法を実施するための信号処理装置にも関するものである。
【0003】
【従来の技術】
斯種の受信機は1993年10月に発行されたIEEEの特別版である“VLSI Signal Processing" (vol.VI.第21〜29頁)にJ.A. Huisken外1名により発表された“Specification, Partitioning and Design of a DAB Channel Decoder"から既知であり、これにはディジタルオーディオ放送(DAB)用受信機が記載されている。この従来の受信機は、斯かる引用文献の第1図のブロック図に示されるように、フロントエンド、直角復調器、チャネルデコーダ及びオーディオデコーダを順次具えている。フロントエンド及び直角復調器は、受信機入力端子におけるアナログRF DAB信号から複素変調信号を取り出し、次いでこの信号をディジタル化する。実及び虚信号成分を有するディジタル化した複素変調信号はチャネルデコーダに供給される。チャネルデコーダは斯かるディジタル化複素変調信号からオーディオデコーダに供給するデータを取り出す。
【0004】
チャネルデコーダは送信側のチャネルエンコーダの信号処理とは反対の信号処理をする。DABにおけるような、送信側及び受信側でのそれぞれのチャネルエンコーディング(符号化)及びデコーディング(復号化)は伝送強度を増すために行われる。伝送チャネルの欠陥は、ビット誤りが導入されるというような意味合いで伝送信号に悪影響を及ぼす。従来の受信機におけるチャネルデコーディングはDAB伝送信号に冗長性を用いることによりビット誤りを補正するためのヴィテルビ(Viterbi) デコーダを具えている。送信側では、伝送すべきデータのヴィテルビ・エンコーディングによりかかる冗長性を加えている。
【0005】
従来の受信機におけるヴィテルビ・デコーダは当業者に周知である軟(ソフト)決定タイプのものである。一般に、ソフト決定のデコーダは同様な受信状態のもとでは、硬(ハード)決定のデコーダよりも低いビット誤り率(BER)で伝送データを検索することができる。これは、ソフト決定のデコーダはハード決定のデコーダよりも伝送信号における冗長性をより一層有効に利用できるからである。いわば、ソフト決定のデコーダは、誤りが最もありがちなビットに誤り補正能力を集中する。従って、ソフト決定のデコーダはいずれにしても「確定」ビットを区別するように、ビット信頼度標識も具えている入力データを必要とする。
【0006】
従来の受信機におけるソフト決定のデコーダに入力されるデータ要素はメトリック(metric)と称される。メトリックは1つのグロス(総体)ビットと3つの信頼度ビットからなる。グロスビットはメトリックが関連する伝送信号におけるビットの最もふさわしい値を示す。信頼度ビットは斯かるグロスビットの誤り確率を示す。なお、信頼度ビットの数を3つに選定することは単なる設計事項であることに留意すべきである。メトリックには3つ以外の異なる数の信頼度ビットを使用することもできる。
【0007】
従来のDAB受信機では、メトリックは伝送信号のビットに関連するサンプルを有しているディジタルベースバンド信号から復調プロセッサにて計算される。前記ディジタルベースバンド信号は、直角復調器によって供給されるディジタル化した複素変調信号をさらに処理することによって得られる。この信号処理はディジタル化した複素変調信号サンプルの連続グループに対する高速フーリエ変換(FFT)及び微分位相計算を含むものであり、又このさらなる信号処理はDABに用いられるような変調技法、即ち直交周波数分割多重(OFDM)に関連する送信側での信号処理とは逆の処理をする。斯かる変調法の場合、伝送信号のビットは周波数多重搬送波における位相差として表される。
【0008】
前記さらなる処理及びメトリック計算を市販のディジタル信号処理装置、例えばTMS320によって連帯的に行なうことが提案されている。こうしたタイプの信号処理装置の多様性は、これらの信号処理装置を実験用受信機に使用するのには極めて好適であり、信号処理特性は信号処理装置又はそれに結合させたメモリに記憶してあるソフトウェアをプログラムし直すことにより容易に調整することができる。しかし、こうした信号処理装置を消費者用の大量生産品に使用することは一般にコスト面からしてあまり有効ではない。従って、復調プロセッサを専用のハードウェアで開発することが提案されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は特に、専用のハードウェアで実現する場合に比較的少ない部品数で済む冒頭にて述べたような受信機用のメトリック計算機を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的はディジタルベースバンド信号からメトリックを計算する方法を提供することにある。さらに本発明の他の目的は前記方法を実施するためのメトリック計算機を具えている信号処理装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、伝送信号を、この伝送信号における個別ビットに関連するサンプルを有するディジタルベースバンド信号に変換する入力部と;
前記ディジタルベースバンド信号の各サンプルから、前記個別ビットの値を表すグロスビット及びこのグロスビットの信頼度を示す少なくとも1つの信頼度ビットを含むメトリックを計算するためのメトリック計算機と;
供給されたメトリックからデータを取り出すためのソフト決定のデコーダと;を具えているデータ受信機において、前記メトリック計算機がメトリックを:
値が第1飽和値よりも小さいディジタルベースバンド信号のサンプルに応答して、第1極限値(例えば、全てのメトリックビットは“0”か、“1”である)に設定し;
値が第2飽和値よりも大きいディジタルベースバンド信号のサンプルに応答して第2極限値(例えば、全てのメトリックビットは“1”か、“0”である)に設定し;且つ
値が前記第1及び第2飽和値によって画成せれる範囲内にあるディジタルベースバンド信号に応答して、前記2つの極限値間にて等距離のステップで単調な推移関数に従う値に設定する;
メトリック設定手段を具え、前記第1及び第2飽和値によって画成される範囲が、前記境界部の飽和値を含む2k 個の多数の異なるディジタルベースバンド信号のサンプル値を含み、ここにkを信頼度ビットの数(r)よりも大きな整数とするも、ディジタルベースバンド信号の2進表現のビット数(n)よりも小さいか、又はそれに等しい数とすることを特徴とする。
【0012】
ディジタル信号サンプルは一般に、有意度を増す順序でn個のビットb(0)・・・・・b(n)を有している2進ワードとして表される。メトリックは実際上、有意度を増す順序でr個のビットm(0)・・・・・m(r)を有している2進ワードであり、これらのビットのうちのビットm(r)はグロスビットであり、ビットm(0)・・・・・m(r−1)は信頼度ビットである。本発明では信頼度ビットm(0)・・・・・m(r−1)を計算するのにディジタルベースバンド信号サンプルの全ビットb(0)・・・・・b(n)を必要とせず、このことはグロスビットの計算についても云えることである。第1飽和値と第2飽和値との間の範囲内における様々なディジタルベースバンドサンプル値の数は2k であるため、メトリックの信頼度ビットはディジタルベースバンド信号のビットb(k−2)からb(k−r−1)までを計算することができる。グロスビットは上位ビットb(k−1)からb(n)までの少なくとも1つから容易に取り出すことができる。メトリック計算は限定数のビットで行なわれるから、この計算を行なうのに必要とされるハードウェアは比較的簡単になる。
【0013】
本発明による受信機の好適例では、前記入力部が、伝送信号におけるビットの第1及び第2値にそれぞれ関連する前記ディジタルベースバンド信号の第1及び第2公称サンプル値を前記メトリック計算機の前記第1及び第2飽和値とそれぞれ整合させる手段を具えるようにする。このようにすることにより、メトリック計算機の所与の諸特性で受信機の感度を最適とすることができる。
【0014】
本発明の他の好適例では、前記ディジタルベースバンド信号のサンプルの2進値が2の補数で表され、第1飽和値が−2k-1 に等しく、第2飽和値が+2k-1 −1に等しくなるようにする。これによりメトリック計算機のハードウェアを極めて有効に実現することができると共に、メトリック計算機の推移関数に関連する前記範囲をディジタルベースバンド信号のダイナミックレンジ内に対称的に位置させることができる。
【0015】
さらに本発明の好適例では、kをr+1よりも大きくする。こうすることにより、メトリック計算の前のディジタル信号処理による計算ノイズがメトリックに悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0016】
さらに本発明の他の好適例では、kをnよりも小さくする。これはA/D変換にヘッドルームを取っておき、伝送信号の瞬時的な振幅変動によりディジタルベースバンド信号がひずまないようにするためである。
【0017】
【実施例】
図1に示す本発明による受信機は前記引用文献における第1図のものに似ている。図1に示す受信機は、フロントエンド1、直角復調器2、復調プロセッサ3及びソフト決定のデコーダ4を順次具えているDAB受信機を表す。復調プロセッサ3は周波数多重復調器6と,メトリック計算機7とを具えている。ソフト決定のデコーダ4はDRAMを有するデ−インタリービング回路8と、ソフト決定タイプのヴィテルビ−デコーダ9とを具えている。前記引用文献の第1図のものと比較するに、本例の場合にはオーディオデコーダを省いてある。ソフト決定のデコーダによって供給されるデータを他の復号化工程によってさらに復号化すべきか、否かは本発明には関係ないことである。実際上、DAB送信側にてオーディオデータがヴィテルビ符号化の前にソース符号化を受けなかった場合には前記オーディオデコーダは省くことができる。
【0018】
図1にRFにて示す受信したDAB伝送信号はフロントエンド1に供給される。フロントエンド1はテレビジョン受信機に用いられるフロントエンドに似たものとすることができる。このフロントエンド1は受信したDAB伝送信号をろ波すると共に増し、且つ図1にIFにて示すDAB中周波信号を直角復調器2に供給するように周波数変換する。直角復調器2はDAB中周波信号から同相及び直角変調信号を取り出す。直角復調器2内で、これらの変調信号が増幅され、A/D変換されてから多重化されて、図1にCMにて示すディジタル化複素変調信号が得られる。従って、このディジタル化複素変調信号の実及び虚信号成分はDAB伝送信号の同相及び直角変調信号にそれぞれ関連する。
【0019】
周波数多重復調器6は、ディジタル化複素変調信号を順次FFT演算及び微分位相復調することによって図1にDBで示すディジタルベースバンド信号に変換する。これらの工程は送信側にてDAB伝送信号用の同相及び直角変調信号を得るためにヴィテルビ符号化データに対して行なう処理工程とは反対である。従って、周波数多重復調器6の出力端子に現われるディジタルベースバンド信号のサンプル値は送信側でのヴィテルビ符号化データのビット値に関連する。
【0020】
メトリック計算機7については後に詳細に説明するが、これはディジタルベースバンド信号の各サンプルからヴィテルビ符号化データビットの最もふさわしい値を計算する。さらに、メトリック計算機7は斯かるサンプルから前記最もふさわしいビット値の(不)確実性を示す多数の信頼度ビットを計算する。従って、メトリック計算機7は各サンプルに対して、最もふさわしいビット値を表す総体(グロス)ビットと多数の信頼度ビットとを組合わせたものを供給する。この組合わせをメトリックと称し、次いでこれらのメトリックはソフト決定のデコーダ4に供給される。
【0021】
ヴィテルビデコーダ9はデ−インタリービング回路8を経てメトリックを受け取る。デ−インタリービング回路8はメトリックのシーケンスをDAB送信側でのインタリービング走査とは逆に変更する。ヴィテルビデコーダ9は、その入力端子に供給される各新規のメトリックに対して、このデコーダが受け取った一連のメトリックから最もふさわしい出力データを決定する。実際上、ヴィテルビデコーダ9は送信側でのヴィテルビエンコーダによって決定される限定数の可能シーケンスから最もふさわしいグロスビットのシーケンスを計算する。この計算をするのにヴィテルビデコーダ9は出力データが関連する可能グロスビットシーケンスの尤度を確率させるための信頼度ビットを用いる。
【0022】
理想的な受信状態(受信機の入力端子における信号対雑音比がほぼ無限大)から出発し、信号対雑音比が低下するにつれて、出力データのBERは、この出力データが容認できなくなるほどに悪くなるまで劣化する。このように出力データが劣化するレベルの信号対雑音比をしきい値とも称する。各メトリックが具えており、しかも最もふさわしい出力データを計算するためにヴィテルビデコーダ9によって用いられる信頼度ビットが増えるにつれて、前記しきい値は低く(従って一層良好と)なる。なお、追加の各信頼度ビットをメトリックに追加するにつれてしきい値改善が低下することに留意すべきである。信頼度ビット数を増やすと、ソフト決定デコーダ4が益々複雑となるから、しきい値改善とソフト決定デコーダの複雑性との間で妥協点を見い出す必要がある。
【0023】
図1に示す受信機では、各メトリックに対する信頼度ビット数を3とするのが賢明な折衷策と思われる。従って、メトリックは4ビットの2進ワードとする。この場合、直角復調器2内でのA/D変換精度は8ビットとし、複素変調信号が8ビットのサンプルを有し、周波数多重復調器6が8ビットの精度で作動するものとするのが好適である。直角復調器2からメトリック計算機7までのディジタル信号通路に8ビットのサンプル精度を持たせる理由は次の通りである。
【0024】
先ず、ディジタルベースバンド信号サンプルにおける最下位ビット(1つ又は複数)は主として周波数多重復調器6によって導入される計算ノイズによるものである。従って、複素変調信号サンプルはディジタルベースバンド信号から取り出されるメトリックよりも少なくとも1ビット又は2ビット多いビット数で表すのが好適である。
【0025】
第2として、直角復調器2内におけるA/D変換器(図示せず)のダイナミックレンジは、この復調器の入力端子に供給されるDAB中間周波信号の公称レベルにて全てが用いられないようにするのが好適である。DAB伝送信号の振幅は、例えば非静止マルチパス受信状態では急速に変化する。こうした状態のもとでは、受信機の振幅安定化手段(図示せず)での制御遅延のために、DAB中間周波信号の振幅が瞬時的に変動する。ディジタル化複素変調信号の非線形ひずみをまねくことになるA/D変換器のオーバドライブを防ぐためにヘッドルーム(あき高)を取っておく必要がある。このようなひずみはメトリックに影響を及ぼし、従ってヴィテルビデコーダ9によって与えられるデータのBERを劣化させる。このために、図1に示す受信機はA/D変換器の公称信号レベルと最大入力信号レベルとの間に十分なマージン(余裕)があるように設定する。このようなマージンはディジタル化複素変調信号の2つの最上位ビットにほぼ等価である。なお、マージンは考慮すべき様々な受信状態及び振幅安定化手段の特性に多少依存する。
【0026】
メトリック計算機7によって供給されるメトリックのフォーマットは殆どのソフト決定のデコーダによって必要とされるフォーマットに対応させる。このフォーマットは、全信頼度ビットの値がグロスビットの値に一致する場合に、グロスビットが最大の正確度を有するようにする。これに対し、全信頼度ビットの値がグロスビットの値とは正反対の値となる場合に、グロスビットは最小の正確度を有する。従って、図1に示す受信機では、2進値の“1111”(10進値の15)を有する4ビットのメトリックはグロスビット値が殆ど確実に“1”であることを示す。2進値が“0000”(10進値の0)のメトリックはグロスビット値が殆ど確実に“0”であることを示す。さらに図1に示す受信機のメトリックは、4ビットの2進ワードであるメトリックの最上位ビットがグロスビットを表すようにフォーマット化される。従って、メトリックが“0111”(10進値の7)又は“1000”(10進値の8)の場合に、それぞれ0及び1のグロスビットは最小の正確度を有する。
【0027】
要するに、第1極限メトリック値(10進値の0)から第2極限メトリック値(10進値の15)の方へと出発すると、10進値0で“0”の値を有するグロスビットの信頼度は最小信頼度の点(10進値の7)まで低下し、この点を越えるとグロスビットは最小信頼度を有する“1”(10進値の8)となり、このグロスビット値の信頼度は、10進値の15で最大信頼度に達するまで増大する。
【0028】
図2は図1に示した受信機におけるメトリック計算機7の可能な伝達特性を示す。水平軸はディジタルベースバンド信号のサンプル値(DBSV)に関連し、縦軸はメトリック値(MEV)に関連する。2つの飽和値SAV1とSAV2とによって画成された範囲内にて、メトリックの値は第1極限メトリック値(EMV1)と第2極限メトリック値(EMV2)との間にて等距離ステップの単調推移関数に従ってディジタルベースバンドサンプル値の関数として変化する。図2に示す推移関数は次式によって表すこともできる。
MEV=−(DBSV−SAV2)≫2
ここに≫は2ビットにわたる偏移を示す。
【0029】
SAV1及びSAV2を含む前記範囲内の種々のディジタルベースバンドサンプル値の数は2k 個である。ディジタルベースバンド信号のサンプル値がSAV1よりも小さい場合には、メトリックが“1111”(2進表記)の第2極限値EMV2をとる。これに対し、ディジタルベースバンド信号のサンプル値がSAV2よりも大きい場合には、メトリックが“0000”である第2極限値EMV1をとる。
【0030】
受信したDAB伝送信号に雑音及びひずみがない場合には、ディジタルベースバンド信号サンプルが主として2つの値、即ち以後第1公称サンプル値NSV1及び第2公称サンプル値NSV2とそれぞれ称する2つの値をとる。これらの公称サンプルは送信側でのヴィテルビ符号化データにおけるビットの第1値及び第2値(例えば“0”及び“1”)にそれぞれ対応する。従って、理想的な受信状態のもとでは、ディジタルベースバンド信号サンプル値と伝送データとの間に明瞭な関係がある。それ故、信頼度ビットは全グロスビットが「確かなもの」である旨を示すようにするのが好適である。
【0031】
しかし、実際の受信状態のもとではディジタルベースバンド信号のサンプルが256通りの値(ディジタルベースバンドサンプルの8ビット表示)の範囲内の任意の値を取り得る。サンプル値はNSV1及びNSV2付近でばらつき、このばらつきの大きさは、特にアンテナ入力端子における搬送波対雑音比に依存する。この場合、メトリック計算機によって供給されるグロスビットは実際のサンプル値に最も近い公称サンプル値に関連する。従って、信頼度ビットは、好ましくは実際のサンプル値がNSV1及びNSV2との間にあるときには、この実際のサンプル値と前記公称サンプル値との相対差を示す。
【0032】
従って、公称サンプル値はメトリック計算機7における推移関数の飽和値に対応させるのが好適である。これは受信機の入力端子と周波数多重復調器6との間の受信機部分の伝達特性を適当に設定することにより達成することができる。しかし、この設定は一般に最適処理に対する設定とは一致しない。例えば、この後者の設定は、ディジタルベースバンドサンプルの8ビットの2の補数表現(−128から+127までの10進値の範囲)を有するDAB受信機用に計算されている。この計算の結果、NSV1及びNSV2に対する値はそれぞれ+43及び−44になる。
【0033】
これに対し、本発明はメトリック計算機のハードウェアを簡単にするために、信号処理に対する計算による最適設定をずらすことを提案する。本発明は、斯様なずれによって受信機のパーホーマンス(性能)が許容できないほどには劣化しないという認識に基づいて成したものである。例えば、8ビットの2の補数のディジタルベースバンド信号を有するDAB受信機では、メトリック計算機の飽和値をSAV1=+31及びSAV2=−32とすることができる。従って、前記受信機部分の伝達特性は、公称サンプル値がこれらの飽和値と整合するように設定するのが好適である。このような本発明による受信機のパーホーマンスは、飽和値がSAV1=+43及びSAV2=−44で、しかも前記設定が信号処理に対して最適化されるメトリック計算機を有する受信機よりも僅か劣るだけである。
【0034】
本発明によれば、公称サンプル値が飽和値と整合しないように受信機を最適設計のものからずらすこともできる。飽和値はメトリック計算機7を極めて能率的なハードウェアで実現できるように選定する。飽和値間の量子化ステップ数を2k とする場合の前記設定とは、飽和値と公称値との整合と、受信機の信号処理特性の最適化との間で妥協点を見い出すことを意味するものとする。この妥協の両要素は受信機全体のパーホーマンスに影響を及ぼすことからして、最良のパーホーマンスに対する妥協点を見い出す必要がある。本発明による受信機の斯かる最良のパーホーマンスは、信号処理だけの観点で最適設定となるようにメトリック計算機を公称サンプル値と整合すべく設計する受信機に比べてあまり劣るものではない。
【0035】
図1に示すように本発明によるDAB受信機におけるメトリック計算機を有効なハードウェアで実現する例を図3に示す。メトリック計算機の入力端子Iにおけるディジタルベースバンド信号のサンプル値は8ビットの2の補数表記法で表される。ビットb(7)は符号ビットであり、他のビットb(6)・・・・・・b(0)はサンプルの大きさを表すため、サンプルの10進値DSVは次のようになる。
【0036】
【数1】
Figure 0003749281
入力端子Iにおける各ディジタルベースバンド信号サンプルに対して、メトリック計算機はその出力端子0に適当な4ビットのメトリックを供給し、このメトリックのビットm(3)はグロスビットを表し、m(2),m(1)及びm(0)は信頼度ビットを表す。第1及び第2飽和値は最適信号処理に対する設定でDAB受信機の公称サンプル値(+43,−44)に近似する+31及び−32にそれぞれ選定する。
【0037】
図3のメトリック計算機では、メトリックのグロスビット値をディジタルベースバンド信号のビットb(7)の値に等しくする。即ち、m(3)=b(7)とする。符号ビットb(7)はディジタルベースバンド信号から取り出されて、メトリック統合器(コンバイナ)MCの入力端子GBに供給される。メトリックコンバイナMCは、その入力端子GBにて受信したビットをメトリックのグロスビットm(3)としてメトリック計算機の出力端子0に供給し、メトリックコンバイナの入力端子RBにて受信される3ビットは信頼度ビットm(2),m(1)及びm(0)として出力端子0に供給される。これらの信頼度ビットのソースは3つの入力端子を有するセレクタSELによって決定される。入力端子E1には、ジェネレータREV1が第1極限メトリック値における3つの信頼度ビットm(2),m(1)及びm(0)の値に対応する3つのビット値“0”を供給する。入力端子E2には、ジェネレータREV2が第2極限メトリック値の3つの信頼度ビットの値に対応する3つのビット値“1”を供給する。セレクタSELの入力端子Tには、ディジタルベースバンド信号サンプルの3ビット、b(4),b(3),b(2)の反転値が供給される。これらのビットはインバータ3INVによって反転される。
【0038】
セレクタSELはセレクタコントローラCONによって制御され、このコントローラにはビットb(7),b(6)及びb(5)の値が供給される。これらのビット値が等しい(“111”又は“000”)場合に、入力端子Tにおけるビット値がメトリックコンバイナMCに転送される。前記コントローラCONに供給される3つのビット値が等しくなく、しかもb(7)=0の場合には、ジェネレータREV1によって供給される値“000”がメトリックコンバイナMCに転送され、これに対し、b(7)=1の場合には、ジェネレータREV2によって供給される値“111”がメトリックコンバイナMCに転送される。従って、ディジタルベースバンド信号サンプルの10進値が+31と−32との間の境界部又はその範囲内にある場合にはm(2)=b(4)、m(1)=b(3)及びm(0)=b(2)となる。ディジタルベースバンド信号のサンプル値がこの範囲外にあり、そのサンプル値が+31よりも大きい場合には、m(4),m(3)及びm(2)は“0”となり、又前記サンプル値が−32以下の場合には、m(4),m(3)及びm(2)が“1”となる。
【0039】
下記の表1は図3に示すメトリック計算機の機能を理解するのに役立つ。この表1はディジタルベースバンド信号のサンプル値がとりうる全ての10進値と、これに対応する2の補数の8ビット2進表記を短縮したリストである。
【0040】
【表1】
Figure 0003749281
【0041】
この表から明らかなように、図3に示すようなメトリック計算機の例には多数の変形例がある。例えばメトリックコンバイナMCを省いて、セレクタSELが4ビットのメトリックを出力端子0に直接供給するようにすることができる。このような、図3に示す例の変形例では、セレクタSELが入力端子E1にて第1極限メトリック値を受け取り、入力端子E2にて第2極限メトリック値を受け取る。入力端子Tはビットb(4),b(3)及びb(2)の反転後のディジタルベースバンド信号サンプルのビットb(7)を含む4ビット2進ワードを受け取る。
【0042】
本発明の明瞭化のために一例につき説明したが、本発明による受信機におけるメトリック計算機は種々変更し得ることは当業者に明らかである。又、ディジタルベースバンド信号のサンプル値と伝送信号におけるビット値との関係を図1に示した受信機における関係とは逆とし得ることも明らかである。2の補数サンプル値の正符号が伝送信号における“0”の代わりに“1”のビット値に関連し、負符号に対してその逆となるようにすることもできる。図1に示す本発明による受信機の斯様な変形例は、インバータの追加又は除去を意味することも明らかである。
【0043】
他の変形例はディジタルベースバンド信号のサンプル値を2の補数以外の、1の補数の2進表現、符号と大きさ又は符号なし表現によるものとすることができる。これは符号なし2進表現でのディジタルベースバンド信号がとりうるサンプル値を表す表2につき説明することができる。
【0044】
【表2】
Figure 0003749281
【0045】
飽和値SAV1=127及びSAV2=64がメトリック計算機のハードウェアを極めて有効に実現できるようにすることは明らかである。b(6)=0及びb(7)=0の場合に、セレクタは第1極限値の4ビットメトリック値“0000”をメトリック計算機の出力端子に通すことができ、又ビットb(7)=1の場合には第2極限メトリック値“1111”が出力端子に供給される。2つの飽和値間の範囲内では、セレクタはb(5)をグロスビットとして出力端子に供給し、ビットb(4),b(3)及びb(2)を信頼度ビットとして出力端子に供給する。上記飽和値の欠点は推移関数がディジタルベースバンド信号の極限サンプル値に対して対称にならないということにある。しかし、飽和値をSAV1=96及びSAV2=159に選定すると、推移関数はディジタルベースバンドサンプル値の範囲内で対称となる。前述した例の場合、当業者は前記飽和値を有するメトリック計算機のハードウェアを容易に想定することができる。
【0046】
本発明は或る特定のメトリックフォーマットを当てにするものでないことに留意すべきである。本発明は前述した例におけるものとは異なるメトリックフォーマットを有するソフト決定のデコーダを有する受信機に使用することができる。例えばフォーマットは、全ての信頼度ビットの値が、グロスビットの値とは反対となるか、又は信頼度の指示がグロスビットの値とは無関係となるような値となる場合に最大の確実性が示されるようにすることができる。メトリックフォーマットの相違がメトリック計算機のハードウェアに対して僅かではあるが、明白な変更となることは明らかである。
【0047】
半導体本体に集積回路として形成されるメトリック計算機の構成上の差異は集積回路のマスクセットを生成するのに用いられるシリコンコンパイラのタイプにより生ずる。本発明による受信機の設計の大部分はディジタルベースバンド信号のサンプル値と、これに対応するメトリックとの間の関係の明細事項を必要とする。次いで、この明細事項をシリコンコンパイラ用の入力データとして用い、コンパイラにより前記明細事項に従ってメトリック計算をする集積回路用のマスクセットを生成する。
【0048】
ディジタルベースバンド信号のサンプル値を表すのに用いられるビット数を8ビットとは異なるビット数とし、且つメトリックにおける信頼度ビットの数を図1に示した受信機におけるような3ビットとは異なるビット数とし得ることは明らかである。前記受信機のハードウェアを簡単にするために、ディジタル化複素変調信号及びそれから取り出されるディジタルベースバンド信号は8ビット精度の代わりに6ビットの精度で表現することができる。従って、メトリックにおける信頼度ビットの数は1又は2に減り、メトリック計算機の飽和値によって画成される範囲間の量子化ステップは64から32又は16に変えることができる。前述したような受信機の変更によって、直角復調器2及び周波数多重復調器6のハードウェアが簡単になるばかりでなく、デ−インタリービング回路8に必要とされるメモリ容量及びソフト決定のヴィテルビデコーダ9の複雑性も低減する。このようなハードウェアの有効化を図った受信機が前述したように多少劣るしきい値を呈することは勿論である。
【0049】
本発明をDAB用に提案されるような受信機構造につき詳細に説明したが、本発明はDAB以外の受信機、例えばDVB(ディジタルビデオ放送)用の受信機にも有利に用いることができる。このような受信機では、入力部(受信機の入力端子とメトリック計算機の入力端子との間の信号処理部)が図1に示したような受信機の入力部とは相違する。受信すべき伝送信号はDABに用いられるようなOFDM以外の変調形式、例えば単一搬送波変調形式のものとすることができる。データを例えばケーブルによりベースバンドで伝送し、入力部が復調器を具えないようにすることもできる。本発明による受信機に入力部はオプト−エレクトリカル変換器を有している光学的受信機とすることもできる。
【0050】
本発明による受信機にはヴィテルビ以外のソフト決定のデコーダを使用することができる。このような受信機のソフト決定デコーダは、伝送チャネルによって導入される冗長度(例えば、エコーによるシンボル間干渉)を用いて不良ビットを補正するタイプのものとすることもできる。場合によっては、斯様なデコーダとして項(term)ソフト決定検出器が用いられる。こうした項は受信機における全く同一の機能部、即ち伝送信号における冗長度に基づく誤り補正能力を有するデバイスに関連することは明らかである。
【0051】
要するに、ハードウェアの有効なデータ受信機を提案すしたが、この受信機のディジタルベースバンド信号サンプルは伝送信号のビットに関するものである。各サンプルに対して、メトリック計算機は受信機のソフト決定のデコーダ用の入力データ要素(メトリック)を計算する。このメトリックは2進ワードであり、このワードの最上位ビット(グロスビット)は伝送信号のビットに最もふさわしい値(“0”又は“1”)を示す。メトリックの他のビット(信頼度ビット)は、このグロスビットの信頼度を表す。
【0052】
メトリック計算機は極限メトリック値(全メトリックビットが“0”か、又は“1”である)の間で等距離ステップの単調な推移関係を呈する。この推移関数に従って、メトリック値は2つの飽和値によって画成される範囲内でディジタルベースバンド信号のサンプル値の関数として変化する。飽和値を含む斯かる範囲内の種々のサンプル値の数は2の整数べき個である。斯かる範囲内にて信頼度ビットをディジタルベースバンドサンプルの2進表現での選択ビット数から容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による受信機を示すブロック図である。
【図2】本発明によるような受信機におけるメトリック計算機に対する等距離ステップを有する単調な推移関数の例を示す図である。
【図3】本発明によるような受信機におけるメトリック計算機の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 フロントエンド
2 直角復調器
3 復調プロセッサ
4 デコーダ
6 周波数多重復調器
7 メトリック計算機
8 デ−インタリービング回路
9 ヴィテルビ−デコーダ
RF DAB伝送信号
IF DAB中間周波信号
CM ディジタル複素変調信号
DB ディジタルベースバンド信号

Claims (7)

  1. 伝送信号を、この伝送信号における個別ビットに関連するサンプルを有するディジタルベースバンド信号に変換する入力部と;
    前記ディジタルベースバンド信号の各サンプルから、前記個別ビットの値を表すグロスビット及びこのグロスビットの信頼度を示す少なくとも1つの信頼度ビットを含むメトリックを計算するためのメトリック計算機と;
    供給されたメトリックからデータを取り出すためのソフト決定のデコーダと;
    を具えているデータ受信機において、前記メトリック計算機が
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が第1飽和値より小さい場合、前記メトリックを、第1極限値に設定し、
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が第2飽和値より大きい場合、前記メトリックを、第2極限値に設定し、
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が前記第1及び第2飽和値によって画成される範囲内にある場合、当該サンプル値を表現する複数のビットのうち所定の選択されたビットの値から信頼度ビットの値を得て、前記メトリックを、前記2つの極限値間にて等距離のステップで単調な推移関数に従う値に設定する、
    メトリック設定手段を具え、
    前記第1及び第2飽和値によって画成される範囲が、前記境界部の飽和値を含む2k 個の多数の異なるディジタルベースバンド信号のサンプル値を含み、ここにkを信頼度ビットの数(r)よりも大きな整数とするも、ディジタルベースバンド信号の2進表現のビット数(n)よりも小さいか、又はそれに等しい数とすることを特徴とする受信機。
  2. 前記入力部が、伝送信号におけるビットの第1及び第2値にそれぞれ関連する前記ディジタルベースバンド信号の第1及び第2公称サンプル値を前記メトリック計算機の前記第1及び第2飽和値とそれぞれ整合させる手段を具えていることを特徴とする請求項1に記載の受信機。
  3. 前記ディジタルベースバンド信号のサンプルの2進値が2の補数で表され、第1飽和値が−2k-1 に等しく、第2飽和値が+2k-1 −1に等しくなるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の受信機。
  4. kがr+1よりも大きくなるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の受信機。
  5. kがnよりも小さくなるようにしたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の受信機。
  6. データ受信機におけるディジタルベースバンド信号からメトリックを取り出す方法であって、前記ディジタルベースバンド信号が伝送信号における個別ビットに関連するサンプルを具え、前記メトリックが前記個別ビットの値を表すグロスビットと、このグロスビットの信頼度を示す少なくとも1個の信頼度ビットとを具えているメトリック取り出し方法において
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が第1飽和値より小さい場合、前記メトリックを、第1極限値に設定し、
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が第2飽和値より大きい場合、前記メトリックを、第2極限値に設定し、
    前記ディジタルベースバンド信号のサンプル値が前記第1及び第2飽和値によって画成される範囲内にある場合、当該サンプル値を表現する複数のビットのうち所定の選択されたビットの値から信頼度ビットの値を得て、前記メトリックを、前記2つの極限値間にて 等距離のステップで単調な推移関数に従う値に設定し、
    前記第1及び第2飽和値によって画成される範囲が、前記境界部の飽和値を含む2k 個の多数の異なるディジタルベースバンド信号のサンプル値を含み、ここにkを信頼度ビットの数(r)よりも大きな整数とするも、ディジタルベースバンド信号の2進表現のビット数(n)よりも小さいか、又はそれに等しい数とすることを特徴とするメトリック取り出し方法。
  7. 請求項6に記載の方法を実施するための信号処理装置において、当該信号処理装置を半導体本体に集積回路として形成することを特徴とする信号処理装置。
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