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JP3697121B2 - 太陽光発電装置およびその制御方法 - Google Patents

太陽光発電装置およびその制御方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、太陽光発電装置およびその制御方法に関する。さらに詳しくは、漏電遮断器の不要動作を減少させることのできる太陽光発電装置およびその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅用太陽光発電システムも、いよいよ普及期を迎え、コストダウンに向けた研究開発が盛んである。コストダウンの切り札として、架台の不要な屋根一体型の太陽電池モジュールと非絶縁型(いわゆるトランスレス)インバータとが実用化されつつある。
【0003】
ごく一般的な系統連系型の太陽光発電システムの構成を図6に示す。系統連系型の太陽光発電システムは、太陽電池アレイ1の発電電力をインバータ2を介して商用電力系統3に送出する。インバータ2と商用電力系統3との間には漏電遮断器4が設けられ、需要家内で漏電故障が生じた場合に事故の拡大(火災など)を防ぐために、太陽光発電システムと商用電力系統3とを完全に切り離すようにしてある。
【0004】
ところで、太陽電池は屋外で比較的広い面積(例えば3kWの発電容量では30m2 程度)にわたって設置されるために、太陽電池アレイ1が比較的大きな対地静電容量5をもってしまい、このため漏洩電流が生じて、漏電遮断器4を不要動作させてしまう恐れのあることが「平成8年電気学会産業応用部門全国大会論文番号77」にて古川氏らによって指摘されている。実際に漏電遮断器、特に受電用の漏電遮断器が作動してしまうと需要家において停電が発生してしまう。また太陽光発電用のインバータ専用に漏電遮断器を設置した場合でも、漏電遮断器が遮断動作すれば太陽光発電が行われなくなり発電量損失を生じてしまう。
【0005】
これに対して、発明者の一人である竹原は米国特許出願09/071,299号において、漏電遮断器の不要動作が生じ難くなる対地静電容量と漏電遮断器の感度との関係を示した。また、鋭意研究により、トランスレスインバータの連系運転開始時の太陽電池アレイの対地電位変動により、図2に示すようなインパルス状の漏洩電流が生じることを見出し、トランスレスインバータ内部に電位固定手段を設けることで漏電遮断器の不要動作を無くすことを特願平10−61898号で提案している。上記提案によりトランスレスインバータと漏電遮断器とが一組の場合には漏電遮断器の誤動作を無くすことができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、比較的大型の太陽光発電システムを構成する場合には、複数のトランスレスインバータが単一の漏電遮断器に接続されることがあり、このような場合に対漏電遮断器の不要動作の検討は充分になされていない。
本発明は、上述の問題を解決するものであり、複数のトランスレスインバータを使用した太陽光発電装置を支障なく運転できるようにすることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の太陽光発電装置は、複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、前記太陽電池アレイが複数の太陽電池モジュールを直列接続したストリングを複数並列接続することを特徴とする。
さらに、本発明の太陽光発電装置は、複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、前記複数のインバータのうち他の一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする。
さらに、本発明の太陽光発電装置は、複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
前記複数のインバータのうち少なくとも一つの起動条件と、前記複数のインバータのうち他の一つの起動条件と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする。
さらに、本発明の太陽光発電装置は、複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
前記複数のインバータのうち少なくとも一つと前記複数のインバータのうち他の一つとの間で情報交換を可能ならしめる手段を有しており、インバータ間で起動許可信号もしくは起動禁止信号を伝達することによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに直列接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有し、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されている太陽光発電装置の制御方法であって、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングと、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングとを異ならしめることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
[概要]
本発明者らの研究によれば、複数のトランスレスインバータ(以下では単に「インバータ」と呼ぶ)を使用する場合の問題点は二つある。
第一は、単純にインバータの数が増えたことで、インバータの出力フィルタを構成するキャパシタが商用電力系統3からみて並列接続されることになり、静的な漏洩電流が増加することである。これにより、漏電遮断器4の動作マージンが少なくなってしまい、単一のインバータのときに比べて漏電遮断器4が動作し易くなる。
【0010】
第二は、インバータの運転開始時に生じる過渡的な漏洩電流の問題である。つまり、複数のインバータが同時に起動されると、個々のインバータによって生じる過渡的な漏洩電流が加算されて、大きな電流となってしまい、その結果、漏電遮断器4が動作し易くなる。
【0011】
本発明者らは、特に後者の問題に着目し、インバータの起動タイミングをずらすことで、過渡的な漏洩電流の重なりを減少または無くして、漏電遮断器4の不要な遮断動作を防ごうとした。
【0012】
本発明は、複数のインバータのうち、少なくとも一つが起動するタイミングと、他の一つが起動するタイミングとを異ならせることで効果を発揮するが、複数のインバータの起動タイミングをすべて異ならせることで、漏電遮断器の不要動作をさらに確実に防止することができる。
【0013】
インバータが起動するタイミングを異ならせる具体的な方法としては、下記の方法が好適である。
(1)複数のインバータのうち、少なくとも一つのインバータが起動条件を満たした後、起動するまでの時間と、他の一つのインバータが起動条件を満たした後、起動するまでの時間とを異ならせる。
(2)複数のインバータのうち、少なくとも一つのインバータの起動条件と、他の一つのインバータが起動条件とを異ならせる。
(3)複数のインバータのうち、少なくとも一つのインバータに、他の一つのインバータヘ情報を伝達可能にする手段を設け、インバータ間で起動許可信号もしくは起動禁止信号を伝達する。具体的には、複数のインバータのうち、少なくとも一つが起動してから所定時間経過後に、起動許可信号が他の一つのインバータに伝達される、あるいは、他の一つのインバータに送られている起動禁止信号が解除されるのが好ましい。
【0014】
さらに、複数のインバータのうち、一つのインバータが起動するタイミングと、他の一つのインバータが起動するタイミングとは、漏電遮断器の動作時間以上に異なるのが好ましい。このようにすれば、個々のインバータが起動する際に発生するインパルス状の漏洩電流(以下「漏洩インパルス」と呼ぶ)は、漏電遮断器において個々の漏洩インパルスとして認識され易くなるからである。本発明者らの漏洩インパルスの測定結果および制御装置の設計要件(製造コストなど)を考慮すると、各インバータの起動タイミングは1秒以上10秒以下で異なることが好ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい実施形態においては、太陽電池アレイを構成する太陽電池モジュールが、その裏面に金属製の裏面補強板を有する。特に好ましい実施形態においては、該裏面補強板が接地されているが、この場合は、対地静電容量が大きいので、本発明の効果が顕著になる。
【0016】
また、本発明の好ましい実施形態においては、複数の太陽電池モジュールを直列接続したストリングを複数並列接続した太陽電池アレイが好適に用いられる。
【0017】
以下、本発明にかかる太陽光発電装置およびその制御方法の好ましい実施例を、添付する図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
【実施例】
(第1の実施例)
図1は本発明の第1の実施例に係る実験用の太陽光発電池システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、このシステムは、複数の太陽電池モジュールを直並列に接続してなる三つの太陽電池アレイ11〜13と、太陽電池アレイ11〜13のそれぞれから出力される直流電力を交流電力に変換して商用電力系統3へ供給する三台の非絶縁型連系インバータ21〜23と、それらインバータ21〜23の出力が並列接続される漏電遮断器4とを有し、インバータ21〜23が同時に起動しないようにしたものである。以下、このシステムの構成を詳細に説明する。なお、キャパシタ51は、太陽電池アレイ11の対地静電容量およびインバータ21の出力フィルタを構成するキャパシタの静電容量を等価的に表したものである。キャパシタ52および53も同様である。
【0019】
[太陽電池アレイ]
本実施例で使用する幅45cm×長さ130cm、出力電力30Wのアモルファス太陽電池モジュールの導電部と裏面補強板との間の静電容量は、太陽電池モジュール一枚あたり20nF(測定周波数120Hz)である。アモルファス太陽電池モジュールの構造は、図4に示すように、アモルファスシリコンを含んだ半導体からなるPIN型の光電変換層を三層積層したアモルファス太陽電池セル7をEVA(ethylene vinyl acetate)樹脂からなる接着剤8で裏面補強板である金属板6上に固着したものである。さらに、太陽電池モジュールの表面には、保護層としてETFE(polyethylene-tetrafluoroethylene)フィルムからなる表面保護フィルム9を接着剤8で固着してある。アモルファス太陽電池セル7は、図5に示すように、金属基板66と、集電電極61が設けられた透明電極62との間に、三つの光電変換層63〜65を備えた構造を有する。なお、アモルファス太陽電池セル7の金属基板66と、太陽電池モジュールの金属板6とは絶縁されている。
【0020】
各太陽電池アレイは、100枚の太陽電池モジュールを用いて10直列10並列として構成する。具体的には、10枚の太陽電池モジュールを直列に接続したストリングを10本並列に接続する。そして、地上に、金属架台(傾斜角30度)を用いて、真南に向けて各太陽電池アレイを設置する。太陽電池アレイに用いられた太陽電池モジュールの金属板6はすべて接地される。この時に各太陽電池アレイの対地静電容量は2μFであり、モジュール一枚当たりの静電容量のちょうど100倍である。このような太陽電池アレイを三組、つまり太陽電池アレイ11〜13を用意し、それぞれインバータ21〜23に接続する。
【0021】
[インバータ]
出力容量4.5kWのトランスレスタイプのインバータ三台を用意し、それぞれ1号機、2号機、3号機と命名する。これらのインバータの制御装置に起動許可信号を入力するための入力部と、運転信号を出力するための出力部とを設け、1号機の運転信号出力を2号機の起動許可信号入力ヘ接続し、2号機の運転信号出力を3号機の起動許可信号入力ヘ接続し、1号機、2号機、3号機の順に起動するようにする。なお、入力部には接点信号が入力され、接点開がオフを、接点閉がオンを表す。出力部には、通常は開状態で、閉状態で信号出力を表すリレー接点などを用いる。なお、以下では、入力部に信号が入力された状態を「入力オン」、出力部から信号が出力された状態を「出力オン」などのように表記する。図7は第1実施例のインバータの動作を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
【0022】
図7において、101は起動許可信号の入力部、102は運転信号の出力部である。なお、1号機の起動許可信号の入力部101は常時オンとして、1号機は常時起動可能であるように構成する。前述したように、2号機および3号機の入力部101へは、それぞれ1号機および2号機の出力部102が接続される。起動許可信号の入力部101は、バッファアンプ103を介して、ANDゲート104の一方の入力ヘ接続されている。ANDゲート104のもう一方の入力には、起動判定部105が接続されている。
【0023】
起動判定部105は、太陽電池電圧106と基準電圧107とを比較して、太陽電池電圧106が基準電圧107を超える場合にもう一つの起動許可信号120を出力するものである。例えば、インバータ21(図1)の起動判定部105は、コンパレータ108により太陽電池アレイ11の出力電圧である太陽電池電圧106と基準電圧107とを比較して、太陽電池電圧106が基準電圧107を超える場合に起動許可信号120を出力する。
【0024】
ANDゲート104は、入力部101および起動判定部105から入力される信号を論理積してインバータ起動信号109を出力する。従って、入力部101および起動判定部105からともに起動許可信号が入力される場合、ANDゲート104はインバータ起動信号1O9を出力することになる。インバータ起動信号109が出力されると、インバータ駆動回路110は、インバータ主回路112に駆動信号111を出力するので、インバータ主回路102が動作し、直流電力から交流電力への変換が開始される。なお、インバータ主回路112は、ここで言う制御装置には含まれない。
【0025】
また、インバータ起動信号109は、遅延回路113にも入力され、所定時間遅延された後、運転信号出力部102のリレー114を駆動するトランジスタのべースヘ供給される。トランジスタによりリレー114が駆動されるとリレー114の接点が閉じて運転信号115が出力される。従って、太陽電池電圧106が基準電圧107を超えると、1号機が起動した所定時間後に1号機から出力される運転信号が2号機を起動させ、さらに所定時間後に2号機から出力される運転信号が3号機を起動させることになる。
【0026】
遅延回路113は、アナログ的な遅延回路や、カウンタを利用するディジタル的な遅延回路などが利用可能である。ここで、運転信号はインバータが起動してから五秒後に出力されるようにしている。
【0027】
起動許可信号や運転信号などのインタフェイスには、図7に示すような接点タイプを利用する他にも、種々多様な構成が可能であり、例えばTTL論理信号を用いるインタフェイスとか、RS232Cなどの汎用インタフェイスとか、カレントループとか、フォトカプラなどが使用できる。つまり、本発明の目的に反しない範囲で、図7に示す構成の制御回路に代えて他の構成の制御回路を使用してもよい。
【0028】
基準電圧107は、一例として、太陽電池電圧106が100Vを越えた時にインバータが起動するように設定する。本実施例のインバータの起動条件(例えば基準電圧107)は、インバータ間でそれほど厳密に一致させる必要はない。但し、1号機は、それが運転されないと2号機および3号機が起動できないので、極力起動しやすいように条件設定をしておくことが、発電量増大の観点からは望ましい。本実施例にあっては、各インバータに接続されるアレイは同一条件、同一構成で設置されているが、それらの条件が異なる場合には、上述の配慮を注意深く実施すべきである。たとえば、1号機に関しては他のインバータよりも起動電圧(基準電圧107)を低く設定するとか、最も日射が良好な太陽電池アレイを接続するなどを実施すればよい。
【0029】
図8は図7に示す制御装置のインバータ起動時の制御を示すフローチャートである。
ステップS1およびS2で外部から起動許可信号が入力されているか、および、太陽電池電圧106が100Vを超えたかを判定し、両条件が満たされればステップS3でインバータを起動する。そして、ステップS4で五秒の遅延時間が経過した後、ステップS5で運転信号を出力する。
【0030】
太陽電池アレイが接続されたインバータを200V、60Hzの商用電力系統3に接続した場合、インバータ部で測定される連系運転開始前の漏れ電流は0.3mA前後である。従って、インバータ三台を並列に接続すると漏洩電流の合計は約1mAになる。インバータの並列台数を多くすることで静的な漏れ電流は増加し、漏電遮断器4が遮断動作するまでの余裕は減少することになる。
【0031】
[漏電遮断器]
使用する漏電遮断器4は定格電流30A、漏電検出感度を示す定格感度電流30mA、不感帯を示す定格不動作電流15mA、および、動作時間0.1秒以下の性能を有する。これを商用電力系統3(200V、60Hz)に接続し、図1に示すような実験用太陽光発電システムを構成する。当然であるが、漏電遮断器4の感度は上記の静的な漏れ電流に対しては充分余裕のあるものを選ぶべきである。
【0032】
[動作実験]
天候快晴で充分な日射強度のある時に、起動実験を実施した。本実施例の太陽光発電システムにあっては、1号機が起動した五秒後に2号機が起動し、さらにその五秒後に3号機が起動し、漏電遮断器4が遮断状態へトリップしないことが確認された。各インバータの起動の様子を図3に示す。
【0033】
これに対し、総てのインバータの制御装置の入力部101に起動許可信号を入力しておき、1号機と同様に「常時起動許可」とした場合には、インバータがほぼ一斉に起動し、漏電遮断器4が遮断状態へトリップすることが確認された。なお、遮断状態へのトリップは毎回起きるわけではなく、50回試験したうち三回生じた。
【0034】
このようになるのは微妙な起動タイミングのずれにより、図2に示す漏洩インパルス電流の大きさが変動したり、三台のインバータの漏洩インパルス電流の重なり方が変化するためだと思われる。実際に測定してみたところ、本実施例の漏洩インパルス電流は、インバータ一台あたりの波高値で100mA前後、幅5mS程度に達しており、一斉起動のときに、これらの漏洩インパルス電流が重なり合うことで遮断状態へのトリップが生じたものである。そして、一旦、遮断状態へトリップすれば、漏電遮断器4は自動復帰しないから、大変面倒な事態になる。
【0035】
このように、本実施例の太陽光発電システム、つまりインバータの起動タイミングをずらして、複数のインバータが同時に起動しないようにした太陽光発電システムならば、起動時の漏洩インパルス電流が重なり合わないために、漏電遮断器4の不要な遮断状態へのトリップ動作を防げることが明らかである。
【0036】
有線や無線で起動許可(または禁止)信号をインバータに送るのは、やや面倒ではあるが、汎用的で、漏電遮断器4の不要動作を避けるには大変確実性の高い方法であり、太陽電池アレイの設置条件などにはほとんど影響を受けないという特長がある。
【0037】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例では、インバータの起動遅延時間、すなわち、各インバータが起動条件を満たした後起動するまでの時間として異なる値を設定することで、本発明の意図を実現する。
【0038】
[構成]
太陽電池アレイ11〜13と漏電遮断器4とは上述の第1実施例と同一とし、インバータだけは次の構成を採用する。すなわち、第2実施例のインバータには、日射強度を示す信号を入力する入力端子を設け、太陽電池アレイ面への日射強度を検出可能に構成し、日射強度を起動条件にする。
【0039】
日射強度の検出器としては、熱電対を使用した日射計(英光精機製、商品名MS−801)を採用する。この他にもフォトダイオードを用いた光検出器など種々多様な構成が可能である。第2実施例で採用する日射計は、日射強度0〜1kW/m2 の時に0〜7mVの電圧信号を出力する。日射計の出力電圧がこのように低いので、インバータ側ではノイズなどに注意する必要がある。なお、本実施例で採用する日射計は大変高価なので、本実施例では日射計は一台とし、その出力を三台のインバータ21〜23に分配した。もちろん、インバータ21〜23それぞれに日射強度の検出器を設けてもよいのだが、その場合には日射強度の検出器の感度を揃えておくことに注意しなければならない。
【0040】
第1実施例と同様にインバータを三台用意し、インバータ21〜23が起動する日射強度を0.03kW/m2 とする。また、起動遅延時間を、1号機は一秒間に、2号機は五秒間に、3号機は九秒間に設定する。
【0041】
図9は第2実施例のインバータの動作を制御する制御装置の構成を示すブロック図である。
図9において、201は日射計で、起動判定部105に接続されている。なお、図9には示さないが、日射計201の出力は、1号機から3号機の各起動判定部105へ並列に接続されている。日射計201の出力は、起動判定部105のバッファアンプ204を介してコンパレータ108へ入力され、基準電圧107と比較される。そして、バッファアンプ204から入力される電圧が基準電圧107を超える場合に、起動判定部105から起動許可信号120が出力される。起動許可信号120は、遅延回路113により所定時間遅延され、インバータ起動信号109としてインバータ駆動回路110へ出力される。インバータ起動信号109が出力されると、インバータ駆動回路110は、インバータ主回路112に駆動信号111を出力するので、インバータ主回路112が動作し、直流電力から交流電力への変換が開始される。
【0042】
第2実施例にあっては、起動条件(日射強度値)はできるだけ同一であることが望ましい。第2実施例の要点は、起動条件が整ってから実際にインバータが起動するまでに遅延を与えて、その遅延時間を異ならせることで複数のインバータの同時起動を防ぐことにある。従って、起動条件そのものをできるだけ一致させないと、同時に遅延期同が始まらないことになり、期待どおりの遅延時間が得られないことになる。勿論、これは遅延時間の値と関連があり、一般的に言って遅延時間を長めにとれば、起動条件の一致精度を緩やかにすることができる。起動条件をできるだけ一致させるという観点から言えば、太陽電池アレイの構成や設置条件もできるだけ同一であることが望ましい。
【0043】
[動作実験]
第1実施例と同様の起動実験をしたところ、1号機−2号機−3号機の順でインバータは起動し、漏電遮断器4が動作しないことが確認された。
【0044】
第2実施例では、第1実施例と異なり、それぞれのインバータは情報を伝達する必要はなく、比較的簡易に複数のインバータを有する太陽光発電システムを構成することができる。第2実施例では日射強度を起動条件に用いたが、他の要素も使用可能である。第1実施例のように太陽電池電圧を使用すれば、日射強度計の出力を分配することもなく極めて簡便である。
【0045】
(第3の実施例)
第3の実施例として、起動条件を異ならせる例について説明する。第3実施例においても、太陽電池アレイおよび漏電遮断器4は第1および第2の実施例と同一とし、インバータのみを変更する。具体的にはインバータが起動する太陽電池電圧が異なる三台のインバータを用意する。すなわちインバータが起動する太陽電池電圧を、1号機は80V、2号機は100V、3号機は120Vとする。
【0046】
このような構成で晴天日の朝の起動動作を確認したところ、ほぼ1分違いで三台のインバータが起動し、本発明の意図が達成できることを確認した。適常の運転では、このような簡単な方法で起動時間を異ならせるだけで、本発明の意図は充分に達せられる。
【0047】
但し、第3実施例にあっては、頻度はわずかではあるが全てのインバータが「同時オン」する可能性が残る。このような状況が起き得るのは、「手動によるインバータの起動」や「商用電力系統3側の停電・復旧によるインバータの起動」が日射良好なる条件下、つまり太陽電池電圧が120V以上で生じた場合である。そのような条件でインバータを起動する際には、別途遅延時間を設けるなどの工夫が必要になることを付記する。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)大発電量の大型太陽光発電システムにあっても複数の小容量のトランスレスインバータを用いて経済的にシステムを構築できる。
(2)複数のインバータを起動する時の過渡的な漏洩インパルス電流の重なりを減少させるかまたは無くするので、複数のインバータを同時起動する太陽光発電システムに比べて、漏電遮断器4の感度を上げることが可能である。結果的に太陽光発電システムの安全性を高めることができる。
(3)裏面に金属補強板を用いた太陽電池モジュールを使用する太陽光発電システムでは、太陽電池モジュールの加工性がよく多種多様な設置形態が可能になる。
(4)複数のインバータの起動条件もしくは起動遅延時間を異ならせることで、太陽光発電システム構築する場合は、複数のインバータ間を信号線で結ぶ必要もなく、極めて簡単かつ容易に漏電遮断器4の不要な遮断動作を防止することができる。
このような顕著な効果を有する本発明は、産業上の利用価値が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る太陽光発電システムを示すブロック図である。
【図2】 起動時のパルス状漏洩電流を示す図である。
【図3】 図1のシステムの起動動作の一例を示す図である。
【図4】 図1のシステムにおける太陽電池モジュールの構造の一例を示す図である。
【図5】 図4の太陽電池モジュールを構成する太陽電池セルの構造の一例を示す図である。
【図6】 対地静電容量を有した系統連系型太陽光発電システムの例を示すブロック図である。
【図7】 本発明の第1の実施例で用いた制御装置のブロック図である。
【図8】 本発明の第1の実施例における簡単な制御のフローチャートである。
【図9】 本発明の第2の実施例で用いた制御装置のブロック図である。
【符号の説明】
1,11,12,13:太陽電池アレイ、2,21,22,23:インバータ、3:商用電力系統、4:漏電遮断器、5,51,52,53:キャパシタ(浮遊容量)。

Claims (20)

  1. 複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、前記太陽電池アレイが複数の太陽電池モジュールを直列接続したストリングを複数並列接続することを特徴とする太陽光発電装置。
  2. 前記複数のインバータの起動するタイミングが全て異なることを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電装置。
  3. 前記太陽電池モジュールが導電性の裏面補強板を有することを特徴とする請求項1または2記載の太陽電池発電装置
  4. 前記裏面補強板が金属からなることを特徴とする請求項記載の太陽電池発電装置
  5. 前記裏面補強板が接地されていることを特徴とする請求項記載の太陽電池発電装置
  6. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、前記複数のインバータのうち他の一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽光発電装置。
  7. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つの起動条件と、前記複数のインバータのうち他の一つの起動条件と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽光発電装置。
  8. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つと前記複数のインバータのうち他の一つとの間で情報交換を可能ならしめる手段を有しており、インバータ間で起動許可信号もしくは起動禁止信号を伝達することによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽光発電装置。
  9. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動してから所定時間経過した後に、前記起動許可信号を前記複数のインバータのうち他の一つに伝達するようにしていることを特徴とする請求項に記載の太陽光発電装置。
  10. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングと前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングとが前記漏電遮断機の動作時限以上異なっていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の太陽光発電装置。
  11. 複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
    前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、前記複数のインバータのうち他の一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする太陽光発電装置。
  12. 複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該ア レイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
    前記複数のインバータのうち少なくとも一つの起動条件と、前記複数のインバータのうち他の一つの起動条件と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする太陽光発電装置。
  13. 複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有する太陽光発電装置であって、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されており、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングが、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングと異なり、
    前記複数のインバータのうち少なくとも一つと前記複数のインバータのうち他の一つとの間で情報交換を可能ならしめる手段を有しており、インバータ間で起動許可信号もしくは起動禁止信号を伝達することによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならしめていることを特徴とする太陽光発電装置。
  14. 複数の太陽電池モジュールからなる複数の太陽電池アレイと、該アレイのそれぞれに接続され該アレイのそれぞれからの直流出力電力を交流電力に変換して商用電力系統に出力する複数の非絶縁型連系インバータと、該複数の非絶縁型連系インバータからの出力が並列接続された漏電遮断器とを有し、前記アレイのそれぞれは前記インバータのうちの一つにのみ接続されている太陽光発電装置の制御方法であって、前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングと、前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングとを異ならしめることを特徴とする太陽光発電装置の制御方法。
  15. 前記複数のインバータの起動するタイミングが全て異なるように制御することを特徴とする請求項14に記載の太陽光発電装置の制御方法。
  16. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、前記複数のインバータのうち他の一つが起動条件を満たした後起動するまでの時間と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならせることを特徴とする請求項14または15に記載の太陽光発電装置の制御方法。
  17. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つの起動条件と、前記複数のインバータのうち他の一つの起動条件と、を異ならせることによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならせることを特徴とする請求項14または15に記載の太陽光発電装置の制御方法。
  18. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つと前記複数のインバータのうち他の一つとの間で起動許可信号もしくは起動禁止信号を伝達することによりそれぞれのインバータが起動するタイミングを異ならせることを特徴とする請求項14または15に記載の太陽光発電装置の制御方法。
  19. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動してから所定時間経過した後に、前記起動許可信号を前記複数のインバータのうち他の一つに伝達することを特徴とする請求項18に記載の太陽光発電装置の制御方法。
  20. 前記複数のインバータのうち少なくとも一つが起動するタイミングと前記複数のインバータのうち他の一つが起動するタイミングとが前記漏電遮断機の動作時限以上異なるように制御することを特徴とする請求項14〜19のいずれかに記載の太陽光発電装置の制御方法。
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