JP3670761B2 - 全反射測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は全反射測定装置、特に液状試料の測定に好適に用いられる全反射測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より例えば荷電粒子を含む液状試料の各種光学的情報を得るため、電気泳動法により試料中の成分を分離させ、該分離した試料の透過光を例えば赤外分光法により測定する方法が周知である。
一方、例えばタンパク質の構造は、生体の機能との相関から関心がもたれており、水溶液状態での構造変化を分析することは機能上からも重要である。
【0003】
しかしながら、被測定試料が水溶液では、例えば赤外分光法により水溶液の光学的情報を得る際には、水が赤外領域において非常に強い吸収を有するため、赤外光透過測定を行うことは極めて困難である。
すなわち、水による赤外光吸収の影響を軽減するためには、光が透過する方向のセルの厚みを薄くしなければならない。
【0004】
しかしながら、セルの厚みを薄くすると、セルの内面における多重反射による干渉が発生し、測定スペクトルに歪みを与え、正確な測定結果が得られなくなってしまうのである。
そこで、従来においては、液状試料の測定に、液状使用に光を透過させる必要のない全反射測定法(ATR法)を応用したものが考えられる。
この全反射測定原理について、図1に基づき説明する。
【0005】
同図において、被測定試料10上に該被測定試料10の屈折率n2よりも大きい屈折率n1を有するATR半球状プリズム12またはATR三角柱プリズム12を搭載し、外部からプリズム12に波長λの光束を入射させる。
そして、プリズム12から被測定試料10に対する入射角θを臨界角より大きくすると、入射光は被測定試料10とプリズム12の臨界面で全反射されるが、この反射点では被測定試料10内に光速が僅かに進入する。
【0006】
この進入深さdpを光強度が1/eになる深さで定義すると、波長λの場合、深さdpは次の数1で示される。
【数1】
dp=λ/[2πn1{(sin2θ−(n2/n1)2)}1/2]
したがって、被測定試料10が光を吸収すると、臨界面上にて全反射される光はその分減少する。
【0007】
このような被測定試料10とプリズム12の臨界面における全反射光の特性を解析することにより、被測定試料10が液状試料のように著しく強い赤外光の吸収を示す場合であっても、該被測定試料10から光学的情報を得ることが可能となる。
そして、全反射プリズムへの入射および反射光はカセグレン鏡により集光され、該カセグレン鏡により入射および反射角度範囲についてプリズムを透過する。したがって、該プリズムの平面あるいは平頭面を被測定試料に当接させるのみで、該被測定試料の全反射測定を行うことが可能となり、例えば液滴等が被測定試料であっても、極めて容易に全反射測定を行うことができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、溶液系における赤外光吸収スペクトルは、僅かな温度変化に対して強度やピーク位置が溶液内の構造変化に伴い微妙に変化する。
このため、溶液の赤外吸収スペクトルの温度依存性を厳密に測定するため、例えば、タンパク質構造の熱変化測定等は、溶液内の精密な温度検出と温度制御が必要になってくる。
従来の方法では、セル内の溶液の温度制御と温度検出に対する対策は何等なされておらず、正確な測定結果が得られなくなってしまうのである。
【0009】
本発明は前記従来技術の事情に鑑みなされたものであり、その目的は液状試料の温度情報が容易に得られると共に、その温度制御が適正に行える全反射測定測定装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明にかかる全反射測定装置は、カセグレン鏡と、全反射プリズムと、試料セルと、加熱冷却手段と、検知手段と、制御手段と、保持枠と、弾性Oリングと、を備えたことを特徴とする。
前記カセグレン鏡は、カセグレン主鏡およびカセグレン副鏡を有し、前記副鏡、主鏡の順に反射された光を被測定試料上に集光し、その全反射光を主鏡、副鏡の順に反射させて得る。
【0011】
前記全反射プリズムは、カセグレン鏡の下部に配置され、半球状あるいは先端が平頭な円錐状に形成され、該半球状の平面あるいは円錐状の平頭面が前記カセグレン鏡の集光位置となるように配置される。
前記試料セルは、全反射プリズムの半球状の平面あるいは円錐状の平頭面の外径に比較し、やや大きい内径の凹部が設けられ、該凹部に被測定試料が前記全反射プリズムの半球状の平面あるいは円錐状の平頭面に当接するように入れられた熱伝導性材料からなる。
【0012】
前記加熱冷却手段は、試料セルを加熱および冷却する。
前記検知手段は、試料セル内の被測定試料の温度情報をリアルタイムに検出する。
前記制御手段は、加熱冷却手段の温度を上昇および下降させ、前記検知手段が出力する試料セル内の被測定試料温度が所定温度を保つように温度制御を行う。
前記保持枠は、前記全反射プリズム先端部が表出された状態で、該全反射プリズム先端部が前記カセグレン鏡の集光位置となるように、該全反射プリズムを保持する。
前記弾性Oリングは、前記試料セル凹部と前記保持枠との間に介在され、該試料セルと該保持枠との熱膨張の違いによる歪を吸収し、かつ該試料セル内を実質的に気密とするためのものとする。
なお、本発明においては、前記保持枠がコーン状であり、前記弾性Oリングが前記試料セル凹部内周に設けられており、前記弾性Oリングを介して前記試料セル凹部内周と前記コーン状保持枠とがはめ合わされていることが好適である。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明にかかる全反射測定装置は、試料セル内の被測定試料の温度情報を検知手段によりリアルタイムに採取することと、該検知手段から出力される被測定試料の温度が所定温度を保つように制御手段により温度制御を行うこととしたので、温度変化を生じる環境下にあっても安定した測定結果を得ることが可能となる。
【0014】
また、前記全反射測定装置において、全反射プリズムの平面あるいは平頭面を表出した状態で先端部に固定する保持枠を備え、試料セルの内周面には弾性Oリングが設置され、該弾性Oリングを介して試料セル内周面に保持枠がしっかりはめ合わされることにより、試料セル内を実質的に気密とすることが可能となる。それによって、温度変化を生じる環境下にあっても、その外気の影響を直接的に受けることはなくなり、被測定試料の温度制御は容易となる。
【0015】
また、被測定試料が長時間加熱された場合であっても、容易に蒸発してしまうのを防ぐことが可能となる。
それによって、被測定試料として水溶液だけではなく、該水溶液より揮発性の高い有機溶媒を用いることも可能となる。
【0016】
また、試料セルと保持枠は、弾性Oリングを介在させることにより、保持枠の材質と試料セルの構成材質が異なり、両者の膨張係数が相違した場合であっても、温度変化に伴う両者の膨張度の相違を前記弾性Oリングが吸収し、試料セルと全反射プリズムに応力歪みを与えることがない。
以下、図面に基づき本発明の一実施態様について説明する。
【0017】
図3には本発明の一実施態様にかかる全反射測定装置の概略構成が示されており、前記図1と対応する部分には符号100を加えて示し説明を省略する。
なお、本実施態様において、全反射測定装置に電界型のものを想定し、該電界型全反射測定装置により荷電粒子を含んだ液状試料の光学的情報を得る場合について説明する。
【0018】
同図に示す全反射測定顕微鏡114は、カセグレン鏡116と、それ自体誘引電極部を構成するATRプリズム112と、電極接続部118と、対向電極部120と、試料セル111と、図3において試料セル111の下部に配置されたホットステージ113よりなる加熱冷却手段と、検知手段115と、制御手段117と、図3においてホットステージ113の下部に配置されたステージ119とを備えている。
すなわち、前記カセグレン鏡116は、中心部に穴122aが形成された凹面鏡よりなるカセグレン主鏡122と、前記カセグレン主鏡122よりも径の小さい凸面鏡よりなるカセグレン副鏡124とを、中心軸Cを一致させて対向配置している。
【0019】
一方、全反射プリズム112は、略円錐状に形成され、その先端部が平頭面112aを形成している。
前記カセグレン主鏡122は主鏡保持部材126に接着固定されている。
一方、カセグレン副鏡124は副鏡保持部材128により光路を妨げないように保持されている。
そして、主鏡保持部材126は、外枠130に上下動自在に螺合されており、任意の螺合位置で固定ネジ132を締めつけることにより固定可能である。
【0020】
また、前記副鏡保持部材128は、同じく外枠130に対し光軸調整ネジ132によって保持されており、該光軸調節ネジ132を調整することにより、カセグレン副鏡124をその光軸と直交する面上で位置調整することができる。
したがって、前記外枠130と主鏡保持部材126の螺合状態を変更することにより、主鏡122と副鏡124の相対距離を変更し、さらに光軸調整ネジ132を調整することにより、主鏡122と副鏡124の光軸を一致させることができる。
【0021】
前記プリズム112は、コーン状保持枠134の先端部に、該プリズム112の平頭面を表出した状態で接着固定されており、該コーン状保持枠134はホルダ136に調整ネジ132によって光軸と直交する平面上で位置変更可能に保持されている。
【0022】
ホルダ136は、前記外枠130に上下動自在に螺合されており、位置決めネジ140を絞めつけることにより、任意の上下位置でプリズム112を位置決めすることができる。
また、前記全反射プリズム112は、導電性を有する半導体材料より形成されている。
すなわち、一般的なATRプリズムとしては、水溶液の屈折率が小さいため、ZnSeが用いられているが、該ZnSeは絶縁物質であり、誘引電極部として機能させることができないのである。
【0023】
なお、前記半導体材料としては、ゲルマニウムが好適である。
そして、試料セル111は、熱伝導性の高い材質よりなり、全反射プリズム112の平頭面の外径に比較し、やや大きい内径の凹部が設けられ、該凹部には被測定液110が平頭面に当接するように入れられている。
また、ホットステージ113は、熱伝導性の高い材質よりなる試料セル111を加熱および冷却することにより、該試料セル111内の被測定液110の温度を上昇および下降させている。
【0024】
また、検知手段115は、試料セル11内の被測定液110に感温部が浸漬され、該感温部により被測定液の温度情報をリアルタイムに検出している。
また、制御手段117は、ホットステージ113の温度を上昇および下降させ、検知手段125が出力する試料セル111内の被測定液110の温度が所定温度を保つように制御を行っている。
【0025】
また、ステージ119は、昇降することにより試料セル111の水平位置調整をすることにより、全反射プリズム112の平頭面112aと対向電極120の電極端面120aの距離、すなわち電極間の距離を試料の特性と印加する電圧に応じて好適な距離に設定している。
なお、試料セル111の材質は、熱伝導性の高いものであれば良く、真鍮等が好適である。
【0026】
図4には本実施態様に用いられる試料セル111近傍の縦断面図が示されており、図5には本実施態様に用いられる試料セル111の上面図が示されている。
検知手段115は、本実施態様においてアルメル−クロメル熱電対121と温度モニタ123よりなり、熱電対121が出力する被測定液110の温度情報を温度モニタ123によりリアルタイムに監視している。
【0027】
電極接続部118は、オーミックコンタクト膜142およびリード線142aよりなり、前記図4に示すように、前記全反射プリズム112の円錐面には該オーミックコンタクト膜142が付着メッキされている。
さらに、前記オーミックコンタクト膜142には、電源144の一方の極から伸びたリード線146aがコーン状保持枠134に形成された穴を通して接続されている。
【0028】
リード線146aは、コーン状保持枠134に接着剤148により固着されている。
すなわち、前記プリズム112が半導体材料のため、リード線146aを直接接続しても、全反射プリズム112を直接電極としては用いられない。
このため、プリズム112とリード線146aの接続媒体としてオーミックスコンタクト膜142を設けているのである。
【0029】
ここで、プリズム112に用いられるゲルマニウムは、一般的にn型あるいはp型の半導体となっている。
そして、n型の場合には、前記オーミックコンタクト膜142の材料としてSnを、またp型の場合には、AuあるいはIn等を用いるのが好適である。
【0030】
試料セル111は、プリズム112の平頭面112aの外径に比較し、やや大きい内径の凹部111aが設けられており、該試料セル111の凹部111aに荷電粒子を含む被測定液110が入れられている。
そして、試料セル111の凹部111aに入れられた被測定液110にプリズム112の平頭面112aが僅かに浸漬されている。
【0031】
また、全反射プリズム112の対向位置には円柱状の対向電極部120が設けられており、該対向電極部120の平面な電極端面120aが全反射プリズム112の平頭面112aと平行となるように配置されている。
すなわち、試料セル111の凹部111aに入れられた被測定液110に対向電極部112が絶縁物材よりなる円板125を介して試料セル111上に浸漬されており、該対向電極部120の平面な電極端面120aが全反射プリズム112の平頭面112aと平行となるように配置されている。
そして、前記対向電極部120は、前記電源115の他方の極とリード線146bを介して接続されている。
【0032】
試料セル111の側面より貫通した孔127が設けられており、この孔127に参照電極部129が絶縁物材よりなる円筒状部材131を介してはめ込まれており、試料セル111内の被測定液110に浸漬されている。そして、参照電極部139により、プリズム112の平頭面112aと対向電極部120の電極端面120aにより被測定液110に印加されている電圧がリアルタイムに監視されている。
なお、試料セル111の側面より貫通した孔131が設けられており、この孔131に対向電極部120のリード線133がやはり絶縁物材よりなる円筒状部材135を介してはめ込まれている。
【0033】
試料セル111の上面と内面より貫通した孔137が設けられており、この孔137に検知手段115の熱電対121が挿通されており、試料セル111内の被測定液110に浸漬されている。
そして、試料セル111の内周面にはその全周に亘って溝139が設けられており、該溝139内に弾性Oリング141が設けられている。そして、弾性Oリング141を介して試料セル111内周面に保持枠180がしっかりはめ合わされており、試料セル111内が実質的に気密とされている。
なお、対向電極部120の材質は電界をかけた時に安定したものであれば良く、Auあるいはカーボン等が好適である。
【0034】
また、円筒状部材131,135には、セラミックス、プラスチック等の絶縁物材を用いるのが好適である。
本実施態様にかかる全反射測定装置114は概略以上のように構成され、次にその作用について説明する。
【0035】
まず、前述したように、プリズム112の平頭面112aと対向電極部120の電極端面120aとが平行に対向配置するように、ホットステージ113上に試料セル111を載置する。
なお、対向電極部は、絶縁物材よりなる円板125を介して試料セル111上に載置されていることが好適である。
すなわち、プリズム112の平頭面112aと対向電極部120の電極端面120aとの間隔、すなわち電極間の距離が通常300〜500μm程度となるように、円板125の厚みを変更することにより調節されている。
【0036】
また、対向電極部120が試料セル111に直接的に接触した場合、該試料セルが導電性を有していると電極となってしまい、試料セル111内面にも測定荷電粒子が誘引されてしまうからである。
また、円板125の外形を対向電極部120の電極端面120a外形よりも大としていることが好適である。
【0037】
すなわち、対向電極部120が円板125に載置されている場合、裏面側の電極端面が被測定液110と接触していると、該電極端面にも測定荷電粒子が誘引されてしまうからである。
そして、試料セル111の凹部111aに荷電粒子を含んだ被測定液110を滴下し、対向電極部120を該被測定液110に浸漬させる。
【0038】
一方、カセグレン鏡116およびプリズム112についても位置決めを行う。そして、顕微鏡のステージ119の高さを調節して、試料セル111の凹部111aに滴下した被測定液110の液面にプリズム112の平頭面112aを僅かに浸漬させる。
したがって、被測定液110は、対向配置された平頭面112aと電極端面120aによって挟み込まれることとなる。
【0039】
この状態において、電源115から電流が流れ、プリズム112の平頭面112aが一方の電極となり、また、対向電極部120の電極端面120aが他方の電極となり、被測定液110に電圧が印加される。
このため、被測定液110中の荷電粒子を含む物質が、それぞれの有する極性と反対極性の電極へと誘引されることとなる。
【0040】
したがって、プリズム112の平頭面112の電極を測定したい物質が有する極性と反対極性にすることにより、測定物液110を平頭面112aに誘引することができる。
そして、前記図3において、赤外光源150から出射された光束をマイケルソン干渉計152に導光して赤外干渉光を生成し、これを固定鏡154で反射させて入射光156を形成する。
【0041】
入射光156は、カセグレン副鏡124、カセグレン主鏡122およびプリズム112を介して被測定液110上に照射され、該被測定液110とプリズム112の臨界面からの全反射光158が形成される。
全反射光158は、固定鏡160で反射されてMCT検出器162でその光強度が検出され、その検出信号が信号処理装置164に供給される。
【0042】
一方、レーザー166から出射されたレーザー光をマイケルソン干渉計152に導光し、レーザー干渉光を生成してその光強度をフォトダイオード168で検出し、その検出信号をサンプリング信号として信号処理装置164に供給する。
信号処理装置164は、このサンプリング信号に同期して、MCT検出器162からの光強度信号を読取り、公知の信号処理を行って赤外吸収スペクトルを求め、これをレコーダー170に出力させる。
【0043】
ここで、試料セル111内の被測定液110の温度情報を検知手段によりリアルタイムに採取することと、該検知手段115から出力される被測定液110の温度が所定温度を保つように制御手段117により温度制御を行うため、温度変化を生じる環境下にあっても安定した測定結果を得ることができる。
【0044】
また、弾性Oリング141を介して試料セル111内周面にコーン状保持枠180がしっかりはめ合わされるため、試料セル111内を実質的に気密とすることができる。
それによって、温度変化を生じる環境下にあっても、その外気の影響を直接的に受けることはなくなり、被測定試料の温度制御は容易となる。
また、被測定液110が長時間加熱された場合であっても、容易に蒸発してしまうのを防ぐことができる。
【0045】
また、被測定試料として水溶液だけではなく、該水溶液より揮発性の高い有機溶媒を用いることができる。
また、試料セル111とコーン状保持枠134は、弾性Oリング141を介在させるため、コーン状保持枠134の材質と試料セル111の構成材質が異なり、両者の膨張係数が相違した場合であっても、温度変化に伴う両者の膨張度の相違を弾性Oリング141が吸収し、試料セル111と全反射プリズム112に応力歪みを与えることがない。
【0046】
なお、前記カセグレン副鏡124下部にはマスク172が設けられ、該マスク172は、プリズム112の全反射の臨界角より小さい入射角の光線を遮光する。
以上のようにして、プリズム112の平頭面112aに誘引された測定荷電物質の全反射測定を行うことが可能となる。
なお、プリズム112の平頭面112aに測定荷電物質を効率良く正確に誘引するために、前記コーン状保持枠134には、プラスチック等の絶縁物材を用いるのが好適である。
すなわち、コーン状保持枠134が被測定液110に僅かでも接触した場合、該コーン状保持枠134が導電性を有していると電極となってしまい、コーン状保持枠134にも測定荷電物質が誘引されてしまうからである。
【0047】
同様にして、円筒状部材131,135にも、セラミックス、プラスチック等の絶縁物材を用いることが好適である。
以上説明した本実施態様にかかる全反射測定装置は、プリズム112にn型半導体のゲルマニウムを用い、円錐面にオーミックコンタクト膜142としてSnを真空蒸着で約1ミクロン程度付着メッキした。
また、プリズム112の平頭面112aの直径を1mmに、対向電極部120の電極端面120aの直径を2mmにそれぞれ形成し、電極端面120aの水平位置を測定試料の表面位置より1mm低い位置に設定することにより、荷電粒子を含んだ測定試料の平頭面112aへの誘引が効率良く行われた。
【0048】
なお、顕微鏡のステージ119を昇降させ試料セル111の水平位置調整をすることにより、平頭面112aと電極端面120aとの間隔、すなわち、電極間の距離を、試料の特性と印加する電圧に応じて好適な距離に設定することが可能となる。
また、被測定液の屈折率を1.4程度と想定し、またプリズム112としてゲルマニウムを用いた場合、全反射の臨界角は20.5度となる。
そして、カセグレン鏡116のNAをそれぞれ約10度大きくとると、該カセグレン鏡116の開口角は60度となるため、プリズムの円錐角も60度に設定した。
【0049】
この結果、曲率半径が3mmのプリズム112を円錐角60度に形成することにより、優れた全反射測定能を得ることができた。
図5には本実施態様にかかる全反射測定装置による測定結果が示されている。
本分析系では、水溶液の温度と赤外光吸収度の相関を検証する目的で、被測定液として水を用い、水温を24〜75゜Cで変化させる条件とした。
同図より明らかなように、本実施態様にかかる全反射測定装置によれば、被測定液の温度を変化させても、その赤外光吸収度の変化を適正に把握することができる。
【0050】
以上のように、本実施態様にかかる全反射測定装置によれば、全反射プリズム112を電極として作用させているため、電極面となる平頭面112aにおいて全反射測定ができ、平頭面112aに誘引された荷電物質を正確かつ容易に全反射測定することが可能となる。
しかも、試料セル111内の被測定液110の温度情報を検知手段115によりリアルタイムに採取することと、該検知手段115から出力される被測定液110の温度が所定温度を保つように制御手段117により温度制御を行うため、温度変化を生じる環境下にあっても安定した測定結果を得ることができる。
【0051】
また、弾性Oリング141を介して試料セル110内周面にコーン状保持枠180がしっかりはめ合わされるため、試料セル111内を実質的に気密とすることができる。
それによって、温度変化を生じる環境下にあっても、その外気の影響を直接的に受けることはなくなり、被測定液110の温度制御は容易となる。
【0052】
また、被測定液110が長時間加熱された場合であっても、容易に蒸発してしまうのを防ぐことができる。
それによって、被測定液110として水溶液だけではなく、該水溶液より揮発性の高い有機溶媒を用いることもできる。
また、試料セル111とコーン状保持枠180は、弾性Oリング141を介在させるため、コーン状保持枠134の材質と試料セル111の構成材質が異なり、両者の膨張係数が相違した場合であっても、温度変化に伴う両者の膨張度の相違を弾性Oリング141が吸収し、試料セルと全反射プリズムに応力歪みを与えることがない。
【0053】
なお、前記実施態様においてはATRプリズム自体を誘引電極部として用いたが、プリズムの全反射面に接触させて金属ワイヤーのグリッド電極を配置すること、あるいはプリズムの全反射面に金属グリッドをメッキして電極とすること等も可能である。
また、前記実施態様においては、ATRプリズムの形状を先端が平頭な円錐状としたが、該形状は試料が液体の場合に好適であり、試料がゼリー状等の半固体の場合には、ATRプリズムの形状を半球状に形成することが好適である。
また、前記実施態様において、試料セルを被測定試料が入れられる凹部が設けられたものとしたが、フローセルにも適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる全反射測定装置によれば、試料セル内の被測定試料の温度情報を検知手段によりリアルタイムに採取することと、該検知手段から出力される被測定試料の温度が所定温度を保つように制御手段により温度制御を行うこととしたので、温度変化を生じる環境下にあっても安定した測定結果を得ることができる。
また、前記全反射測定装置において、全反射プリズムの平面あるいは平頭面を表出した状態で先端部に固定する保持枠を備え、試料セルの内周面には弾性Oリングが設置され、該弾性Oリングを介して試料セル内周面に保持枠がしっかりはめ合わされることにより、試料セル内を実質的に気密とすることができる。
それによって、温度変化を生じる環境下にあっても、その外気の影響を直接的に受けることはなくなり、被測定試料の温度制御は容易となる。
また、被測定試料が長時間加熱された場合であっても、容易に蒸発してしまうのを防ぐことができる。
それによって、被測定試料として水溶液だけではなく、該水溶液より揮発性の高い有機溶媒を用いることもできる。
また、試料セルと保持枠は、弾性Oリングを介在させることにより、保持枠の材質と試料セルの構成材質が異なり、両者の膨張係数が相違した場合であっても、温度変化に伴う両者の膨張度の相違を前記弾性Oリングが吸収し、試料セルと全反射プリズムに応力歪みを与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】全反射測定原理の説明図である。
【図2】本発明の一実施態様にかかる全反射測定装置の概略構成図である。
【図3】図3に示した全反射測定装置に用いられる試料セル近傍の縦断面図である。
【図4】図3に示した全反射測定装置に用いられる試料セルの上面図である。
【図5】図3に示した全反射測定装置による測定結果の1例である。
【符号の説明】
110 被測定液
111 試料セル
112 全反射プリズム
113 ホットステージ(加熱冷却手段)
114 電界型全反射顕微鏡
115 検知手段
117 制御手段
119 ステージ
134 コーン状保持枠
141 弾性Oリング
Claims (2)
- カセグレン主鏡およびカセグレン副鏡を有し、前記副鏡、主鏡の順に反射された光を被測定試料上に集光し、その全反射光を主鏡、副鏡の順に反射させて得るカセグレン鏡と、
カセグレン鏡の下部に配置され、半球状あるいは先端が平頭な円錐状に形成され、該半球状の平面あるいは円錐状の平頭面が前記カセグレン鏡の集光位置となるように配置された全反射プリズムと、
前記全反射プリズムの半球状の平面あるいは円錐状の平頭面の外径に比較し、やや大きい内径の凹部が設けられ、該凹部に被測定試料が前記全反射プリズムの半球状の平面あるいは円錐状の平頭面に当接するように入れられた熱伝導性材料からなる試料セルと、
前記試料セルを加熱および冷却する加熱冷却手段と、
前記試料セル内の被測定試料の温度情報をリアルタイムに検出する検知手段と、
前記加熱冷却手段の温度を上昇および下降させ、前記検知手段が出力する試料セル内の被測定試料温度が所定温度を保つように温度制御を行う制御手段と、
前記全反射プリズム先端部が表出された状態で、該全反射プリズム先端部が前記カセグレン鏡の集光位置となるように、該全反射プリズムを保持する保持枠と、
前記試料セル凹部と前記保持枠との間に介在され、該試料セルと該保持枠との熱膨張の違いによる歪を吸収し、かつ該試料セル内を実質的に気密とするための弾性Oリングと、
を備えたことを特徴とする全反射測定装置。 - 請求項1記載の全反射測定装置において、
前記保持枠はコーン状であり、
前記弾性Oリングは前記試料セル凹部内周に設けられており、
前記弾性Oリングを介して前記試料セル凹部内周と前記コーン状保持枠とがはめ合わされていることを特徴とする全反射測定装置。
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