JP3661797B2 - 放射線画像の位置合せ用対応点決定方法 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は複数の放射線画像の位置ずれを補正して画像の位置合せをする際に用いる対応点を求める方法に関し、とくに詳細には放射線画像の重ね合わせ処理またはサブトラクション処理のために放射線画像の位置合せを行う際の対応点を求める方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
蓄積性蛍光体を利用して、人体等の被写体の放射線画像情報を一旦蓄積性蛍光体のシート(以下、蓄積性蛍光体シートと称する)に記録し、これを励起光で走査して輝尽発光させ、この輝尽発光光を光電的に読み取って画像信号を得、この画像信号を処理して診断適性の良い被写体の放射線画像を得る方法が知られている。この最終的な画像はハードコピーとして再生したり、あるいはCRT上に再生したりすることができる。
【0003】
一方、従来より放射線画像の重ね合せ処理が公知となっている(例えば特開昭56-11399号参照)。一般に、放射線画像は診断用その他の目的に使われるが、その使用に当たっては被写体の微小な放射線吸収差を良好に検出することが要求される。放射線画像におけるこの検出の程度をコントラスト検出能または単に検出能と呼ぶが、この検出能の高いもの程診断性能も高く、実用的価値が高い放射線画像であると言うことができる。したがって診断性能を高めるため、この検出能を高くすることが望まれるが、その最も大きな障害要因は各種ノイズである。重ね合せ処理は、その各種ノイズを大幅に減少させ、被写体の僅かな放射線吸収差も最終画像において明確に観察可能にして、検出能を大幅に向上させる方法である。すなわち、複数枚重ねた蓄積性蛍光体シートに放射線画像を撮影(蓄積記録)し、この複数枚のシートを読取処理にかけて得た複数の画像信号を加算処理し、このことにより、前述の各種ノイズを減少させるものである。
【0004】
従来、実際にこの重ね合せ処理を行うためには、例えば、カセッテに蓄積性蛍光体シートを2枚重ねて入れて被写体の撮影を行い、2枚の蓄積性蛍光体シートに対して通常の読取処理を逐次行って2組の画像信号を得、この2組の画像信号を加算処理する方法が用いられている。
【0005】
また一方、従来より放射線画像のサブトラクション処理が公知となっている。この放射線画像のサブトラクションとは、異なった条件で撮影した2つの放射線画像を光電的に読み出してデジタル画像信号を得た後、これらのデジタル画像信号を両画像の各画素を対応させて減算処理し、放射線画像中の特定の構造物を抽出させる差信号を得る方法であり、このようにして得た差信号を用いれば、特定構造物のみが抽出された放射線画像を再生することができる。
【0006】
このサブトラクション処理には、基本的に次の2つの方法がある。すなわち、(1) 造影剤注入により特定の構造物が強調された放射線画像の画像信号から、造影剤が注入されていない放射線画像の画像信号を引き算(サブトラクト)することによって特定の構造物を抽出するいわゆる時間サブトラクション処理と、
(2) 同一の被写体に対して相異なるエネルギー分布を有する放射線を照射し、あるいは被写体透過後の放射線をエネルギー分布状態を変えて2つの放射線検出手段に照射して、それにより特定の構造物が異なる画像を2つの放射線画像間に存在せしめ、その後この2つの放射線画像の画像信号間で適当な重み付けをした上で引き算(サブトラクト)を行って、特定の構造物の画像を抽出するいわゆるエネルギーサブトラクション処理である。
【0007】
このサブトラクション処理は特に医療診断上きわめて有効な方法であるため、近年大いに注目され、電子工学技術を駆使してその研究、開発が盛んに進められている。
【0008】
しかしながら、上述したような蓄積性蛍光体シートを用いた放射線画像の重ね合せ処理方法およびサブトラクション処理方法においては以下のような問題が生じる。
【0009】
すなわち、蓄積性蛍光体シートを用いた前記各処理方法においては、2枚(3枚以上の場合もある)の蓄積性蛍光体シートを順次もしくは同時に撮影台に挿入して重ね合わせまたはサブトラクションすべき放射線画像を撮影し、その後に蓄積性蛍光体シートを個別に読取装置に挿入し、その都度蓄積性蛍光体シートに励起光を照射することにより発せられた輝尽発光光を検出することにより放射線画像を読み出すが、この過程においては、撮影および読取りに関わるすべての装置の機械的精度を上昇させたとしても、重ね合わせまたはサブトラクションされるべき画像間で位置ズレおよび回転ズレが生じることとなる。この結果、重ね合せ処理においては各種ノイズがこの処理により平均化されて減少するものの、画像中の構造物の縁の部分をはじめ画像全体にボケが生じ、観察すべき画像が観察に適さなくなり、またサブトラクション処理においては消去されるべき画像が消去されなかったり、逆に抽出すべき画像が消去されて偽画像が生じて正確なサブトラクション像を得ることができなくなる。このように前述した位置ズレおよび回転ズレにより、診断上重大な支障が生じるということが見出された。
【0010】
このようなズレが蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された放射線画像情報間に生じると放射線画像は潜像として蓄積性蛍光体中に蓄積記録されているので、X線画像を可視像としてとらえることのできるX線写真フイルムの場合と異なって、目視によって2枚のX線写真を合わせるといったことができず、ズレ補正は極めて困難なものとなる。
【0011】
さらに、何らかの手段により2つの放射線画像間に生じる位置ズレおよび回転ズレを検出しえたとしても読み取られた放射線画像のデータを補正すべく従来公知の演算処理を行うと、特に回転ズレの補正の際に多大な時間が費やされ、実用上非常に大きな問題となる。
【0012】
そこで本出願人により特開昭58-163338 号に、基準点または基準線を提供するような形状をもつマーカーを用いた放射線画像のサブトラクション処理方法を提案している。この方法は、マーカーを放射線画像に対し固定した位置で2枚の蓄積性蛍光体シートに記録し、この放射線画像の読取りの際にマーカーを検出し、位置ズレおよび回転ズレを計算してサブトラクションすべき放射線画像のいズレか一方をデジタルデータ上で回転および/または移動し、この放射線画像の対応する各画素間で画像データの引き算を行うものである。このマーカーを用いた放射線画像のサブトラクション処理方法における位置合せの工程は、上述した重ね合せ処理方法にも適応することもできる。その場合、位置合せを行った後に放射線画像の対応する各画素間で画像データの加算処理を行えばよい。
【0013】
しかしながら、この方法においては放射線画像の撮影の都度、上述したようなマーカーを被写体とともに蓄積性蛍光体シートに蓄積記録しなければならない。そして、この蓄積記録した放射線画像のマーカーの位置と重なる部分からは被写体の画像情報を得ることができないという問題がある。
【0014】
そこで、本願出願人により位置合せのためにマーカー等を用いることなく放射線画像の位置合せを行う方法が提案されている(特願平4-318533号)。この方法は、位置合せを行う複数の放射線画像のうちの1つの放射線画像にテンプレート領域を設定し、このテンプレート領域を用いて他の放射線画像についてテンプレートマッチングを行って各放射線画像に少なくとも2つのマーカーの代りとなる対応点を求め、各放射線画像の対応点が一致するように各対応点をアフィン変換して、各放射線画像について回転移動補正、拡大または縮小率補正および平行移動補正を行う方法である。
【0015】
この方法によれば、画像の中からマーカーの代りとなる対応点を見つけ出して利用するものであるから、位置合せのためにマーカー等を被写体とともに記録することなく、迅速で精度の高い位置合せをすることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した位置合せ方法においてはテンプレートマッチングにより各放射線画像の対応点を求めるようにしているが、例えば、放射線画像中のノイズを対応点として求めてしまう場合があり、このような対応点は各放射線画像の位置的に共通した対応点とならず位置合せを精度良く行うことができなかった。また、対応点が放射線画像のエッジ上等の相関値の分布が尾根状となる位置に求められた場合、位置合せのときにこの尾根に沿って画像がずれ、その結果として位置合せを精度良く行うことができない場合があった。
【0017】
本発明は上記事情に鑑み、精度良く位置合せを行うために、位置合せに適した対応点を求めることができる放射線画像の位置合せ用の対応点を決定する方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明による放射線画像の位置合わせ用対応点決定方法は、複数の放射線画像の位置合せを行うための対応点を決定する方法において、
前記放射線画像のうちの1つの放射線画像上にテンプレート領域を設定し、
該1つの放射線画像以外の他の放射線画像上において前記テンプレート領域を移動させて該テンプレート領域と前記他の放射線画像の一部との相関値を求めるテンプレートマッチングを行うことにより、前記各放射線画像の互いに対応する複数の対応点を求め、
前記各放射線画像のなかの1つの放射線画像の前記各対応点を基準対応点とし、
前記複数の対応点について、
(1)前記テンプレートマッチングにより得られた、前記テンプレート領域と前記他の放射線画像の一部との前記相関値が所定値以上であること、
(2)前記複数の対応点近傍の前記相関値の分布が尾根状とならないこと、
(3)任意の2基準対応点間の距離と、該2基準対応点に対応する他の放射線画像上の2対応点の距離との比が一定値の範囲内にあること、
の条件のうち少なくとも1つの条件を満たすか否かの評価を行い、
該評価に適合する対応点を前記位置合せのための対応点とすることを特徴とするものである。
【0019】
また、前記評価に適合する対応点が所定数未満である場合には、前記評価に適合しなかった対応点から所定距離以上離れた放射線画像上において、前記テンプレート領域の設定、前記テンプレートマッチング、および前記評価を、該評価に適合する対応点が前記所定数となるまで繰り返し行うことが好ましい。
【0020】
ここで、相関値の分布が尾根状になるとは、例えば放射線画像のエッジの部分を含むテンプレート領域を設定した場合、このテンプレート領域と他の放射線画像のエッジ付近におけるテンプレートマッチングにより得られる相関値は、この相関値の分布を3次元状に見た場合、図8に示すように尾根状となる。このような状態を相関値の分布が尾根状である状態と言うこととする。
【0021】
またここで、テンプレートマッチングとは、上述したように1の放射線画像上にテンプレート領域を設定した場合、このテンプレート領域を他の放射線画像上で動かすことにより最もマッチングのとれる場所を探し出す処理で、その場所を表す点が対応点の座標を与えるものである。
【0022】
このようなテンプレートマッチングにおいて、そのマッチング度を表す評価尺度には、相関法およびSSDA(Sequential Similarity Detection Algolithms)が挙げられる。
【0023】
この相関法とは、対応する各画素ごとに積を算出し、その積の和を標準化した値(以下標準化値と称する)を重ね合せの尺度とするものである。この標準化は、それぞれの領域に於いて画素自身の積(2乗)の和を算出してさらにそれぞれの和の積を算出し、この積の平方根を対応する各画素ごとの積の和の分母とすることにより行われる。重ね合せが完全な場合、雑音(ノイズ)などによって分子の積が全て2乗の和とはならず、このため標準化値は1にはならなくても1に最も近い最大値になると考えられる。よって、テンプレート領域を放射線画像上でいろいろ移動させて、上述した標準化値が最大になる移動をもって重ね合せが達成されたと考えられる。しかしながら、この標準化値が最大となる移動は、全ての移動が終了しなければ判定することができない。この方法の詳細は、例えばSmith らの「Automated cloud tracking using precisely aligned digital ATS pictures 」ibid.、1972年 7月c-21巻、715-729 頁に記載されている。
【0024】
また、SSDAとは、各画素ごとに差の絶対値の和(残差)を重ね合せの尺度とするものである。重ね合せが完全な場合、雑音(ノイズ)などによって残差は0にはならなくても最小にはなると考えられる。よって、テンプレート領域を画像上でいろいろ移動させて、残差が最小になる移動をもって重ね合せが達成されたと考える。この際、重ね合せがズレていると、各画素について順次に加算していくとき残差が急激に増大する。そこで加算の途中で残差があるしきい値を超えたら早々に加算を打ち切り次の移動に移る方法がこのSSDAである。用いる計算は加算だけであり、しかも多くの場合途中で打ち切られるため、大幅に計算時間が短縮される。この方法の詳細は、例えばBarneaらの「A class of algorithms for fast digital image registration 」IEEE.Trans .、1972年 2月c-21巻、179-186 頁に記載されている。
【0025】
【作用】
本発明による放射線画像の位置合せ用の対応点を決定する方法は、前述した(1)の条件を満たすか否かの評価により、放射線画像中のノイズのように位置合せに適していない対応点は排除され、(2)の条件を満たすか否かの評価により例えば放射線画像のエッジ部分に求められた対応点のようにエッジに沿ってずれ易い対応点は排除される。さらに、放射線画像が完全に一致するような場合は、各放射線画像における互いに対応する2対応点間の距離は一定値となるため、(3)の条件を満たすか否かの評価により各放射線画像に共通しない対応点は排
除されることとなる。このように、3つの条件のうちのいずれか1の条件を満たすか否かの評価を行うことにより、位置合せに不適な対応点は排除され、より位置合せに適した対応点のみが選択されることとなる。
【0026】
なお、複数の記録媒体を重ね合せて撮影を行った場合に、放射線源に近い側にある放射線画像上にある任意の2対応点間の距離と、この2対応点に対応する放射線源に遠い側にある2対応点との距離とでは、後者には放射線が広がって照射されるため後者の方が大きいものとなる。したがって、(3)の評価の際に前者と後者との比を一定値の範囲内とすることにより、複数の記録媒体を重ね合せて撮影を行うことにより複数の放射線画像を得た場合であっても、位置合せに適した対応点を精度良く求めることができる。
【0027】
また、(1)、(2)および(3)の条件のうちいずれの条件も満たさないため、対応点の数が少な過ぎて、位置合せを正確に行うことができない場合が生じることがある。このような場合、すなわち、上記評価に適合する対応点が所定数未満である場合は、評価に適合しなかった対応点から所定距離以上離れた放射線画像上において、テンプレート領域の設定、テンプレートマッチングおよび評価を、評価に適合する対応点が所定数以上になるまで繰り返し行うことにより、位置合せのための対応点をより多く求めることができるため、この対応点を用いることにより位置合せをより正確に行うことができる。
【0028】
ここで、評価に適合しなかった対応点から所定距離以上離れた放射線画像上において上記評価等を繰り返し行うのは、例えば評価に適合しなかった対応点において、相関値の分布が尾根状となるものであった場合、この対応点の近傍で上記評価等を再度行うと、求められた対応点において相関値の分布が尾根状となってしまい、上記(2)の条件に適合しないことがある。このため、評価に適合しなかった対応点から所定距離以上離れた放射線画像上において、再度上記評価等を繰り返し行うようにしたものである。
【0029】
【実施例】
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明に用いられる放射線画像を記録する装置の一実施例である放射線撮影装置の概略図である。この撮影により得られる放射線画像は、エネルギーサブトラクション処理に用いられるものである。
【0031】
フィルタ6を間に挟み蓄積性蛍光体シート5および7がシート7を下にして重ねられている。この上には、被写体4を介して放射線3を発する放射線源2が配置されている。以上のように、放射線撮影装置1が構成されている。
【0032】
この放射線源2から発せられた放射線3が被写体4に照射される。被写体4を透過した放射線3aは第1の蓄積性蛍光体シート5に照射され、放射線3aのエネルギーの一部が第1の蓄積性蛍光体シート5に記録され、これによりシート5に被写体4の放射線画像が蓄積記録される。シート5を透過した放射線3bはさらにフィルタ6を透過し、フィルタ6を透過した放射線3cが第2の蓄積性蛍光体シート7に照射される。これによりシート7にも被写体4の放射線画像が蓄積記録される。
【0033】
図2は、各蓄積性蛍光体シート5および7に蓄積記録された放射線画像を模式的に表した図である。各蓄積性蛍光体シート5および7の略全面に被写体4の各放射線画像4a、4bが蓄積記録されている。すなわち、放射線画像4aは上側の蓄積性蛍光体シート5から、放射線画像4bは下側の蓄積性蛍光体シート7から得られた放射線画像となる。
【0034】
図3は、本発明に用いる放射線画像を読取る読取ユニットの一実施例である放射線画像読取装置および本発明の位置合せ方法を実施し、サブトラクション処理を行う演算ユニットの一実施例である画像処理表示装置の斜視図である。
【0035】
図1に示す放射線撮影装置1で撮影が行われた後、第1および第2の蓄積性蛍光体シート5、7が1枚ずつ放射線画像読取装置10の所定位置にセットされる。ここでは、第1の蓄積性蛍光体シート5に蓄積記録された第1の放射線画像の読取りの場合について説明する。
【0036】
所定位置にセットされた、第1の放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シート5は、図示しない駆動手段により駆動されるエンドレスベルト等のシート搬送手段15により、矢印Y方向に搬送(副走査)される。一方、レーザ光源16から発せられた光ビーム17はモータ18により駆動され矢印Z方向に高速回転する回転多面鏡19によって反射偏向され、fθレンズ等の集束レンズ20を透過した後、ミラー21により光路を変えて蓄積性蛍光体シート5に入射し、副走査の方向(矢印Y方向)と略垂直な矢印X方向に主走査する。蓄積性蛍光体シート5の光ビーム17が照射されたか所からは、蓄積記録されている放射線画像情報に応じた光量の輝尽発光光22が発せられ、この輝尽発光光22は光ガイド23によって導かれ、フォトマルチプライヤ(光電子増倍管)24によって光電的に検出される。光ガイド23はアクリル板等の導光性材料を成形して作られたものであり、直線状をなす入射端面23a が蓄積性蛍光体シート5上の主走査線にそって延びるように配され、円環状に形成された射出端面23b にフォトマルチプライヤ24の受光面が結合されている。入射端面23a から光ガイド23内に入射した輝尽発光光22は、該光ガイド23の内部を全反射を繰り返して進み、射出端面23b から射出してフォトマルチプライヤ24に受光され、放射線画像を表す輝尽発光光22がフォトマルチプライヤ24によって電気信号に変換される。フォトマルチプライヤ24から出力されたアナログ信号Sは、ログアンプ25で対数的に増幅された後、A/D変換器26に入力され、サンプリングされてデジタルの画像信号SOが得られる。この画像信号SOは第1の蓄積性蛍光体シート5に蓄積記録された第1の放射線画像を表すものであり、第1の画像信号SO1 と呼ぶ。この第1の画像信号SO1 は画像処理表示装置30内の内部メモリーに一旦記録される。
【0037】
この画像処理表示装置30は、種々の指示を入力するキーボード31、指示のための補助情報や画像信号に基づく可視画像を表示するCRTディスプレイ32、補助記憶媒体としてのフロッピーディスクが装填され駆動されるフロッピィディスク駆動装置33、およびCPUや内部メモリが内蔵された本体部34が備えられている。
【0038】
次に上記と同様にして、第2の蓄積性蛍光体シート7に蓄積記録された第2の放射線画像を表す第2の画像信号SO2 が得られ、この第2の画像信号SO2 も画像処理表示装置30内の内部メモリに一旦記憶される。
【0039】
このようにしてサブトラクション演算を行うべき2つの画像信号SO1 ,SO2 が内部メモリに記憶されると、これら2つの画像信号SO1 ,SO2 が読み出されて、これら2つの画像信号SO1 ,SO2 が担持する各放射線画像の各画素間で対応したサブトラクション演算が行われるように、画像の位置合せが行われる。
【0040】
ここで、本実施例における、画像信号SO1 ,SO2 が表す2つの放射線画像の位置合せ方法について説明する。
【0041】
本発明による放射線画像の位置合せ方法においては、図1における放射線源2に近い位置にある蓄積性蛍光体シート5より得られた放射線画像4aを図4に示すように4等分して4つの領域14A,14B,14C,14Dを定める。そして各領域について、クロス型のフィルタを用いて画像をフィルタリング処理してフィルタの出力最大値を与える点を検出する。
【0042】
ここで、フィルタのマトリクスをAij(i=1,2,……n 、j=1,2,……n )としたとき、フィルタを表す式は
【0043】
【数1】
【0044】
となるが、クロス型フィルタとは、要素a=Ai,j(i=j or i=n-j-1),b=Ai,j(i ≠j and i ≠n-j-1)としたときにa≠b(a>b)であるようなマトリクスをいうものであり、本実施例においては、例えば
【0045】
【数2】
【0046】
というマトリクスを用いる。
【0047】
このようなクロス型のフィルタを用いることによって、図4に示すように、ろっ骨とろっ骨とが交わるクロスエッジのような構造の複雑な部分、すなわち、その周囲の領域からみて極端に濃度が変化する点を検出することができ、本実施例においては4つの点40A,40B,40C,40Dを検出することができる。なお、このようなクロスエッジは4つの領域14A〜14D中に複数存在するが、本実施例においては各領域においてフィルタの出力が最大値となった点40A,40B,40C,40Dを検出するものとする。
【0048】
このようにして4つの点40A〜40Dが検出されると、この4つの点を基準対応点とし、各基準対応点を中心としたテンプレート領域を放射線画像4a上に設定する。すなわち、図5に示すように4等分した各領域14A〜14Dに基準対応点40A〜40Dを中心としたテンプレート領域41A〜41Dを設定する。
【0049】
次いで各テンプレート領域41A〜41Dを放射線画像4b上において所定範囲内で移動させてテンプレートマッチングを行う。ここで、テンプレートマッチングは上述した相関法またはSSDAを用いて行う。相関法においては前述したように標準化値が最大となる点が以下に記載する対応点の座標を与える。また、SSDAにおいても上述したように残差の和が最小となる点が対応点の座標を与える。
【0050】
このようにしてテンプレートマッチングを行うことにより、図6に示すように放射線画像4bに複数の対応点が求められる。
【0051】
次いで、このようにして求められた複数の対応点について、以下の条件を満たすか否かの評価を行う。すなわち、
(1)テンプレートマッチングにより得られた、テンプレート領域41A〜41Dと放射線画像4bの一部との相関値が所定値以上であること、
(2)対応点近傍の相関値の分布が尾根状とならないこと、
(3)任意の2基準対応点間の距離と、2基準対応点に対応する放射線画像4b上の2対応点の距離との比が一定値の範囲内にあること、
の評価を行う。以下この評価について詳細に説明する。
【0052】
まず、(1)の評価について説明する。
【0053】
図6に示す放射線画像4b上において求められた複数の対応点について、各対応点におけるテンプレートマッチングを行った際の相関値を求め、各対応点における相関値の値が0.84未満となる対応点を排除する。すなわち、各対応点における相関値をCORR(i,j)(i,jは対応点の座標)としたときに、
CORR(i,j)<0.84 …(3)
となった対応点を図6に示す複数の対応点から排除する。これにより放射線画像4b中に求められた複数の対応点のうち、ノイズのように位置合せに不適な対応点が排除される。
【0054】
次いで、前述した評価(2)について説明する。
【0055】
まず、図6に示す放射線画像4b上において求められた複数の対応点について、各対応点を中心として上下左右および45度斜め方向の8点における相関値の傾きを求める。例えば、図7に示す対応点である画素50を中心として8つの画素51A〜51Hにおけるテンプレートマッチングの際の相関値の傾きを求める。
【0056】
すなわち、
Ak=(CORR(i,j)−CORRk(i,j))/10 …(4)
但し、CORR(i,j):対応点における相関値
CORRk(i,j):k方向における10画素先の相関値
Ak:k方向における傾き
により傾きを求め、角傾きAkについて
Ak<Th(Th=0.00075 ) …(5)
ならば、その画素を図6に示す複数の対応点から排除する。
【0057】
このように、ある方向について相関値の傾きが小さい場合、その画素は図8に示すような相関値の分布が尾根状となっている部分に存在するものと判断される。このように、相関値の分布が尾根状となっている部分に対応点が存在すると、位置合せを行ったときこの尾根に沿って画像がずれてしまうこととなる。したがって、図8に示すようにある画素52の近傍の相関値の分布が尾根状となり、対応点の位置が矢印A方向にずれ易いような場合は、(2)の条件を満たすか否かの評価によりその対応点は位置合せのためには不適なものとして、複数の対応点から排除される。
【0058】
次いで、前述した評価(3)について説明する。
【0059】
まず、放射線画像4a上の4つの基準対応点40A〜40Dのうちの任意の2点間の距離と、この2点に対応する放射線画像4b上の2対応点間の距離とを求める。例えば、図9に示すように、放射線画像4a上における基準対応点40A,40B間の距離ABと、放射線画像4b上における対応点40A′,40B′間の距離A′B′を求める。すなわち、基準対応点40A,40Bの座標を(Ui,Vi),(Uj,Vj)とし、対応点40A′,40B′の座標を(Xi,Yi),(Xj,Yj)としたときに
【0060】
【数3】
【0061】
により距離AB,A′B′を求める。
【0062】
次いで距離AB,A′B′の比を求め、この比が所定のしきい値の範囲内にあるか否かをみる。すなわち
Th1<A′B′/AB<Th2 …(7)
なる評価を行い、式(7) の条件を満たす対応点のみが位置合せに適した対応点として用いられる。
【0063】
ここで、式(7) における比A′B′/ABは各点の位置が真に対応する場合、本来ならば1となるはずであるが、図1に示す放射線画像の撮影の際には、蓄積性蛍光体シート7に蓄積記録される放射線画像は、蓄積性蛍光体シート5に蓄積記録される放射線画像と比較して若干大きい画像となる。これは、蓄積性蛍光体シート7は放射線源2からみてシート5よりも離れた位置にあるため、放射線が広がって照射されることにより生ずる現象である。したがって、式(7) におけるA′B′/ABの条件を1と定めずに、1より若干大きいしきい値Th1からTh2の範囲にあるようにして、条件(3)の評価を行うことが望ましい。
【0064】
このように、図6に示す複数の対応点の評価を行い、最終的に位置合せに適した対応点として図10に示すように最大4つの対応点44A〜44Dが4つの領域43A〜43D内において選択される。
【0065】
次いで、放射線画像4a上における各基準対応点40A〜40Dの座標を(ui ,vi )(i=1〜4)として、アフィン変換
【0066】
【数4】
【0067】
但し、mは拡大,縮小率、θは回転量、A,Bは回転移動補正および拡大または縮小率補正を示す係数、C,Dは平行移動補正を示す係数
にしたがって、各対応点(xi ,yi )の座標を変換することにより第1の放射線画像4aと第2の放射線画像4bとを重ね合せる。ここで式(3) に基づく座標変換では、第2の放射線画像全体をX方向とY方向とで互いに独立に拡大もしくは縮小すること、第2の放射線画像全体を回転移動すること、および第2の放射線画像をX方向,Y方向に平行移動すること、のすべてが同時に行われる。
【0068】
ここで、式(8) に含まれる係数A,B,C,Dの求め方について説明する。
【0069】
本発明においては、最小二乗法により係数A,B,C,Dを決定するものであり、まず、基準対応点(ui ,vi )と対応点(xi ,yi )との位置的な誤差Eを、
とし、誤差Eの二乗誤差を最小にするために式(9) を解くと、
【0070】
【数5】
【0071】
となる。よって、式(10)から1次方程式を解くと、係数A,B,C,Dは以下のように求められる。
【0072】
A=[d・(e+f)−b・i −c・j ]/Δ
B=[d・(g+h)+c・i−b・j]/Δ
C=[−b・(e+f)+c・(−g+h)+a・i]/Δ
D=[−c・(e+f)−b・(−g+h)+a・j]/Δ
但し、Δ=a・d−b2 −c2
a=Σ(xi 2 +yi 2 ),b=Σxi ,c=Σyi ,d=Σ
e=Σxi ・ui ,f=Σyi ・vi ,
g=Σyi ・ui ,h=Σxi ・vi ,i=Σui ,j=Σvi …(11)
このようにして求められた係数、A,B,C,Dを用いて式(8) により座標変換を行うことにより、各対応点44A〜44Dと基準対応点40A〜40Dとの誤差が最小となるように第2の放射線画像4bを第1の放射線画像4aに略等しく合せることができる。すなわち、図11に示すように、本発明の位置合せ方法により55組の放射線画像の位置合せを行ったデータでみてみると、基準レベルを|R|=4.5 、 max|Ri |=1.00とした場合、すべてのデータが基準レベル以内、しかも|R|=3.15、 max|Ri |=0.7 内に入っており、図12に示す従来の方法による位置合せ結果と比較して、非常に高精度に位置合せが行われていることがわかる。
【0073】
このようにしてアフィン変換が行われた後、サブトラクション処理、すなわち画像信号SO2 の位置合せ後の画像信号をSO2 ′としたとき、
S1=Wa・SO1 −Wb・SO2 ′+C …(12)
但し、Wa,Wbは重み付け係数、
Cはバイアス分を表す。
【0074】
により重み付け引き算が行われ、これにより2つの放射線画像の差の画像に対応する画像信号S1が生成される。この画像信号S1は画像処理表示装置30のCRTディスプレイ32に送られ、この画像信号S1に基づく可視画像(エネルギーサブトラクション画像)がCRTディスプレイ32に再生表示される。なお、本体部34で実行される上記サブトラクション処理を行う機能(ハードウェアとソフトウェアとの組合せ)が本発明の演算ユニットの一例と観念される。
【0075】
なお、上記実施例においては、図1における放射線源2からみて遠い位置にある蓄積性蛍光体シート7より得られる放射線画像からテンプレートマッチングにより検出された対応点をアフィン変換するようにしているが、これは以下の理由によるものである。すなわち、図1に示すようないわゆるワンショットで2枚の蓄積性蛍光体シートに放射線画像を蓄積記録するような場合は、2枚のシート5,7はフィルタ6を挟んで空間的に互いに異なる位置に配置されることとなり、これにより2枚のシートの放射線源2および被写体4からの距離が異なり、このため各シート5,7に記録される放射線画像の寸法が異なり放射線源2からみて遠い位置にあるシート7に蓄積記録される放射線画像4bはシート5に蓄積記録される放射線画像4aと比較してボケたり、散乱線が多い画像となる。また、上述したアフィン変換を行った場合、変換された画像については、各画素間は何らかの補間をする必要があるため多少なりとも画質が劣化するものである。したがって、画質のよい放射線画像4aをアフィン変換し画質を劣化させるよりも、放射線画像4aと比較して画質が劣る放射線画像4bを変換した方が、結果として得られるサブトラクション画像の画質が担保されることとなる。したがって、放射線源2からみて遠い位置にある蓄積性蛍光体シート7から得られた放射線画像4bをアフィン変換することとしたものである。
【0076】
また、上述した実施例においては、前述した3つの条件(1),(2)および(3)のすべての条件を満たした対応点の位置合せのために用いるようにしているが、3つの条件のうち少なくとも1つの条件を満たす対応点を位置合せのために用いるようにしてもよい。但し、条件が多いほどより位置合せに適した対応点が選択されるため、条件の数は求められる位置合せの精度により決定すればよい。
【0077】
さらに、上述した実施例においては、条件(1)における相関値のしきい値として0.84を用いているが、このしきい値はいかなる値でもよく、さらに、図13に示すように放射線画像の線量が大きい部分ほどしきい値を大きくするようにしてもよい。このように線量に応じてしきい値を変化させるのは、放射線量が低いとノイズが多くなりフィルタの出力値が小さくなって特徴点を求め難くなるからである。
【0078】
また、上述した実施例においては、条件(2)についての評価を行う際に、対応点である画素50の上下左右および斜め45度方向の8つの画素51A〜51Hにおける相関値の傾きを求めるようにしているが、画素50の上下左右方向の4つの画素51A,51C,51E,51Gにおける相関値の傾きを求めるようにしてもよいものである。但し、この方向の数は多いほどより位置合せに適した対応点が選択されるため、相関値の傾きを求める画素の数は、求められる位置合せの精度により決定すればよい。
【0079】
なお、上述した条件(2)に関する評価を行うことにより、例えば照射野絞りを用いて放射線画像の撮影を行った場合のように、照射野エッジ上に対応点が求められても、この対応点は排除されるため、照射野エッジに沿って画像がずれて位置合せがなされることはなくなる。
【0080】
また、上述した実施例においては、対応点が選択された後に、アフィン変換により位置合せを行うようにしているが、位置合せの方法はアフィン変換に限定されるものではなく、前述した特開昭58-163338 号に開示されたマーカーを用いて位置合せを行う方法において、マーカーの代わりに対応点を用いて位置ズレを補正するようにしてもよい。
【0081】
さらに、上述した実施例において、評価を行った結果、対応点が2個以下となってしまった場合、すなわち、精度良く位置合せを行うには対応点が少なすぎる場合は、前述した評価における条件をゆるくして再度評価を行って対応点を求めるようにすればよい。
【0082】
またこのような場合、上記(1)、(2)および(3)の条件のうちいずれの条件をも満たさない対応点から所定距離以上離れた位置、すなわち図14に示すように評価に適合しない対応点を含む領域の、条件を満たさない対応点から半径r以上離れた位置において、対応点が位置合せを正確に行うことができる所定数以上となるまで、上述したテンプレート領域の設定、テンプレートマッチングおよび評価を繰り返し行うようにすればよい。
【0083】
すなわち、図14に示すように領域14A で求められた基準対応点40A が評価に適合しない対応点であった場合、この対応点40A から半径r離れた斜線の領域において、放射線画像4aに対して上述したフィルタリング処理を行ってテンプレート領域を設定し、この新たに設定されたテンプレート領域を放射線画像4b上において所定範囲内で移動させてテンプレートマッチングを行う。そしてこのテンプレートマッチングにより新たな対応点が求められた後、この対応点について上述した(1)、(2)および(3)の条件のうち少なくとも1つの条件を満たすか否かの評価を行う。そしてこれにより、位置合せを行う対応点の数が所定数以上(例えば3個以上)となった場合は、この対応点を用いて位置合せを行う。一方、位置合せを行う対応点の数が所定数以上とならない場合は、位置合せを行う対応点の数が所定数以上となるまで、上記テンプレート領域の設定、テンプレートマッチングおよび評価を繰り返し行う。このように、対応点の数が所定数以上となるまでテンプレート領域の設定等を繰り返し行うことにより、位置合せを行う対応点を確実に複数個求めることができ、このように複数個の対応点を用いて位置合せを行うことにより、より精度良く位置合せを行うことが可能となる。
【0084】
ここで、評価に適合しなかった対応点から半径r以上離れた放射線画像上において上記評価等を繰り返し行うのは、例えば評価に適合しなかった対応点において、相関値の分布が尾根状となるものであった場合、この対応点の近傍で上記評価等を再度行うと、求められた新たな対応点の近傍の領域において相関値の分布がまた尾根状となってしまうことがあり、上記(2)の条件に適合しないことがある。このため、評価に適合しなかった対応点から半径r以上離れた放射線画像上において、再度上記評価等を繰り返し行うようにしたものである。なお、この半径rはこの尾根状となる部分を避けることができるように設定することが必要である。
【0085】
なお、このように評価を繰り返し行う場合には、演算時間短縮のため繰り返し回数を制限することが好ましい。本出願人の胸部の放射線画像を対象とした実験によれば、約500 例のデータベースにおいて位置合せを行うための対応点の数を4個とした場合、平均的な対応点の数は繰り返しを行わない場合は2.8個、繰り返し回数を3回に制限した場合は3.8個であった。したがって、繰り返し回数を制限する場合は3回程度に制限することが好ましい。
【0086】
また、上述した実施例においては、エネルギーサブトラクション処理を行うために2つの放射線画像の位置合せを行うようにしているが、重ね合せ処理を行うために2つの放射線画像の位置合せを行うようにしてもよい。すなわち、図15に示すように図2と同様の放射線画像撮影装置1においてフィルタ6を用いることなく2枚の蓄積性蛍光体シート5′,7′に被写体4の放射線画像を蓄積記録し、蓄積性蛍光体シート5′,7′から図3に示す放射線画像読取装置により2つの放射線画像を表す画像信号SO1 ,SO2 を得、2枚の蓄積性蛍光体シート5′,7′から得られた放射線画像のうち、シート7′から得られた放射線画像を上述した実施例と同様にアフィン変換を施して位置合せを行った後、重ね合せ処理、すなわち画像信号SO2 の位置合せ後の画像信号SO2 ′としたとき、
S2=Wc・SO1 +Wd・SO2 ′ …(13)
但し、Wc,Wdは重み付け係数
により、重み付け加算が行われ、これにより2つの放射線画像の和の画像に対応する画像信号S2を生成するものである。
【0087】
また、上述した実施例においては、クロス型フィルタにより放射線画像をフィルタリング処理して、フィルタ出力の最大値を与える点を検出するようにしているが、この点としては例えば、分割された各領域の中の最大値を表す点、ある所定値以上の点等、いかなる点を用いてもよいものである。
【0088】
さらに、上述した実施例においては、2つの放射線画像の位置合せについて説明しているが、位置合せを行う放射線画像の数は3枚以上であってもよいものである。この場合、3以上の放射線画像のうち、1つの放射線画像に上述した基準対応点を設定し、他の放射線画像についてテンプレートマッチングにより対応点を設定し、各放射線画像の対応点をアフィン変換により基準対応点に合わせるようにすればよい。
【0089】
また、上述した実施例においては式(8) に示すアフィン変換により位置合せを行うようにしているが、一般式である
【0090】
【数6】
【0091】
(但し、u,vは基準対応点の座標、x,yは変換される対応点の座標、a,b,c,dは回転移動補正および拡大または縮小率補正を示す係数、e,fは平行移動補正を示す係数)
により表されるアフィン変換を行うものであれば、いかなる係数により位置合せを行うようにしてもよいものである。
【0092】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明による放射線画像の位置合せ用対応点決定方法は、テンプレートマッチングにより求められた複数の対応点について前述した(1)、(2)および(3)のうち少なくとも1つの評価をするようにしたため、位置合せに適した対応点をより精度良く求めることができ、このように求められた対応点を用いて位置合せを行えば、より精度良く迅速に位置合せを行うことができる。
【0093】
また、上記評価に適合する対応点が所定数未満であるときに、テンプレート領域の設定、テンプレートマッチングおよび評価を、評価に適合する対応点が所定数となるまで繰り返し行うことにより、位置合せのための対応点をより多く求めることができるため、この対応点を用いることにより位置合せをより正確に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるサブトラクションを行う放射線画像を得る放射線画像記録装置の概略図
【図2】各蓄積性蛍光体シートに蓄積記録された放射線画像を模式的に表す図
【図3】本発明による放射線画像位置合せ方法を実施するための装置を内包した画像読取装置の概略を表す図
【図4】放射線画像を分割して基準対応点を設定した状態を表す図
【図5】放射線画像にテンプレート領域を設定した状態を表す図
【図6】他の放射線画像に対応点を設定した状態を表す図
【図7】評価(2)を説明するための図
【図8】相関値の分布が尾根状となる状態を表す図
【図9】評価(3)を説明するための図
【図10】選択された対応点を表す図
【図11】本発明による放射線画像位置合せ方法により位置合せがなされた結果を表す図
【図12】従来の放射線画像位置合せ方法により位置合せがなされた状態を表す図
【図13】放射線としきい値との関係を表す図
【図14】評価に適合しなかった対応点から半径r以上離れた領域を斜線で表した図
【図15】本発明の実施例による重ね合せを行う放射線画像を得る放射線画像記録装置の概略図
【符号の説明】
1 放射線撮影装置
2 放射線源
3 放射線
4 被写体
5 第1の蓄積性蛍光体シート
6 フィルタ
7 第2の蓄積性蛍光体シート
10 放射線画像読取装置
15 シート搬送手段
16 レーザ光源
17 光ビーム
18 モータ
19 回転多面鏡
20 集束レンズ
21 ミラー
22 輝尽発光光
23 光ガイド
24 フォトマルチプライヤ
25 ログアンプ
26 A/D変換器
30 画像処理表示装置
31 キーボード
32 CRTディスプレイ
33 フロッピィディスク駆動装置
34 本体部
40A〜40D 基準対応点
41A〜41D テンプレート領域
44A〜44D 対応点
Claims (3)
- 複数の放射線画像の位置合せを行うための対応点を決定する方法において、
前記放射線画像のうちの1つの放射線画像上にテンプレート領域を設定し、
該1つの放射線画像以外の他の放射線画像上において前記テンプレート領域を移動させて該テンプレート領域と前記他の放射線画像の一部との相関値を求めるテンプレートマッチングを行うことにより、前記各放射線画像の互いに対応する複数の対応点を求め、
前記各放射線画像のなかの1つの放射線画像の前記各対応点を基準対応点とし、
前記複数の対応点について、任意の2基準対応点間の距離と、該2基準対応点に対応する他の放射線画像上の2対応点の距離との比が一定値の範囲内にあるという条件を満たすか否かの評価を行い、該評価に適合する対応点を前記位置合せのための対応点とすることを特徴とする放射線画像の位置合せ用対応点決定方法。 - 前記テンプレートマッチングにより得られた、前記テンプレート領域と前記他の放射線画像の一部との前記相関値が所定値以上であること、および前記複数の対応点近傍の前記相関値の分布が尾根状とならないことの条件のうち少なくとも1つの条件を満たすか否かの評価をさらに行い、該評価に適合する対応点を前記位置合せのための対応点とすることを特徴とする請求項1記載の放射線画像の位置合せ用対応点決定方法。
- 前記評価に適合する対応点が所定数未満である場合は、前記評価に適合しなかった対応点から所定距離以上離れた放射線画像上において、前記テンプレート領域の設定、前記テンプレートマッチング、および前記評価を、該評価に適合する対応点が前記所定数となるまで繰り返し行うことを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像の位置合せ用対応点決定方法。
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