JP3530181B1 - ワイヤーハーネス用複合線及びその製造方法 - Google Patents
ワイヤーハーネス用複合線及びその製造方法Info
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Abstract
の更なる向上を図ることができるワイヤーハーネス用複
合線を提供する。 【解決手段】 質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.25、
Mn:0.5〜4.0、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0を含有し、残部
がFe及び不純物からなるステンレス鋼線でCとNの含有量
が0.15質量%≦C+N≦0.30質量%を満たす第一素線と、
銅線、銅合金線、アルミニウム線及びアルミニウム合金
線の少なくとも1種から選択される第二素線とを撚り合
わせてなる。
Description
れるワイヤーハーネスに適したワイヤーハーネス用複合
線及びその製造方法に関するものである。特に、優れた
導電性能及び強度を具えながら、耐食性を向上すること
ができるワイヤーハーネス用複合線、及びその製造方法
に関する。
ーネス(内部配線)が配備されており、このワイヤーハー
ネスにより車両内の電装品への電源、通信、センシング
などを行っている。ワイヤーハーネスは、主に、自動車
用電線、保護材、コネクタ類から構成され、自動車用電
線の導体として、従来、銅を主成分とする金属線が用い
られている。
品の軽量化が進められつつあり、ワイヤーハーネスも例
外ではない。また、省資源やリサイクルの必要性から
も、銅の使用量の低減が求められている。
て二つ挙げられる。一つは導体抵抗であり、もう一つは
電線強度である。上記自動車用電線の導体によく用いら
れる銅は、非常に電気抵抗の低い金属材料であるため、
線径が比較的細いものを用いても電線として十分な導電
性が得られるが、電線に必要な強度を保つためには、線
径をある程度大きくする必要がある。従って、電線強度
を保ちつつ銅の使用量を低減することが求められる。
の外周に銅層を具える導体がある(例えば、特許文献1及
び2参照)。また、ステンレス鋼線と銅線とを撚り合わせ
てなる撚線がある(例えば、特許文献3及び4参照)。
体において、電線強度を保持しながら銅の使用量を低減
する対策として、銅ではなく、銅以外の金属線や銅合金
からなる金属線の使用が考えられる。銅以外の金属とし
て、例えば、軽量のアルミニウムが挙げられる。しか
し、アルミニウムは、銅と比較して靱性が低いため、電
線に端子の圧着を行う際などに破損し易いという問題が
ある。そこで、アルミニウムに熱処理を施したり、アル
ミニウム合金化することによって靭性を高くし、圧着の
際などの破損防止を図ることが考えられるが、この場
合、強度が不足する恐れがあり、必ずしも十分な解決策
となると限らない。また、銅合金を用いる場合は、そも
そも強度の大きな向上が期待できないため、電線に求め
られる強度を考慮すると、銅の使用量の低減や軽量化に
限界がある。
導体を形成するのではなく、複数種の金属を組み合わせ
ることが考えられる。例えば、特許文献1や2に記載され
る導体は、めっき法やクラッド法にてステンレス鋼線の
外周に断面積比5〜70%の銅層を形成することで、導体
抵抗が低く、優れた電線強度を具えると共に、靭性にも
優れる。しかし、これらの導体は、ステンレス鋼線を製
造した後、銅層の形成をしなければならず、製造に時間
がかかるだけでなく、このような銅層を既存のめっき法
やクラッド法ですると、コストが非常に高くなる恐れが
ある。
銅などの金属線と一般に強度に優れるステンレス鋼線と
を撚り合わせることで、比較的低コストで製造できると
共に、電線強度を上げることが可能である。しかし、特
許文献3及び4では、耐食性を更に向上するための構成に
ついて言及されていない。例えば、特許文献3に記載さ
れる撚線は、特許文献3の実施例に記載されるようにSUS
430といったフェライト系ステンレス鋼や電気用軟銅の
使用することで、優れた強度と共に、メッセンジャワイ
ヤーとして海岸地区などでの使用に耐え得る耐食性を具
える。しかし、自動車用電線の導体は、通常頻繁に電流
が流れる条件の下で腐食雰囲気に曝されるため、頻繁に
電流を流さない上記メッセンジャワイヤーよりも過酷な
状況であり、上記フェライト系ステンレス鋼や電気用軟
銅を用いた導体では、自動車用電線の導体として十分な
耐食性を満たすことができない。特許文献4に記載され
る撚線は、ワイヤーハーネス用の導体であるが、電池腐
食に対する耐食性の更なる向上が要望されている。
レス鋼線として、例えば、一般に耐食性が高いSUS304の
ようなオーステナイト系ステンレスを用いることが考え
られる。しかし、上記ステンレスであっても、引張強さ
や破断荷重などの強度を向上するための線引き加工や撚
線加工などの線加工を行うことで、マルテンサイト相が
誘起されて、耐食性を下げるという危険性がある。ま
た、より耐食性が高いオーステナイト系ステンレスとし
てSUS316やSUS310が知られているが、これらのステンレ
スは、SUS304ほどの強度を具えていない。そのため、ワ
イヤーハーネスに求められる導電率を有するようにしな
がら、銅線を減らして換わりにこれらSUS316やSUS310か
らなるステンレス鋼線を用いた場合、強度の向上が望み
にくい。
能及び強度を具えながら耐食性の更なる向上を図ること
ができるワイヤーハーネス用複合線を提供することにあ
る。
で、かつ軽量で銅の使用量を低減することができるワイ
ヤーハーネス用複合線の製造方法を提供することにあ
る。
と特定の組成のステンレスからなる素線とを撚り合わせ
ることで上記目的を達成する。即ち、本発明ワイヤーハ
ーネス用複合線は、質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.
25、Mn:0.5〜4.0、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0を含有し、
残部がFe及び不純物からなるステンレス鋼線でCとNの含
有量が0.15質量%≦C+N≦0.30質量%を満たす第一素線
と、銅線、銅合金線、アルミニウム線及びアルミニウム
合金線の少なくとも1種から選択される第二素線とを撚
り合わせてなることを特徴とする。
素線と銅などからなる第二素線とを組み合わせて用いる
ことで、十分な導電性能を有しながら電線強度を維持
し、かつ銅の使用量を低減して軽量化を図る。また、こ
れら素線を撚り合わせて構成することで、より低コスト
での製造を実現する。更に、アルミニウムのみ、といっ
た単一の金属からなる導体と比較して、異なる複数種の
金属を用いることで、靭性の低下を軽減することができ
る。そして、特に、第一素線であるステンレス鋼線の組
成として、特に、オーステナイト生成元素であるC及びN
を増量添加することで、オーステナイト相の安定性を向
上させて、線引き加工や撚線加工などの線加工により誘
起されるマルテンサイト相を抑制して、耐食性を向上さ
せる。かつ、上記C及びNの固溶強化の効果によって、従
来のオーステナイト系ステンレス鋼線よりも引張強さを
増大して、強度の向上をも図ることができる。以下、本
発明をより詳しく説明する。
線は、特に、侵入型固溶元素であるC、Nを通常のオース
テナイト系ステンレス鋼よりも多めに含有させる。C、N
などの侵入型固溶元素は、基地であるオーステナイト相
(γ相)に含有させると、γ相の相安定化を行うと共に、
結晶格子にひずみを生成して強化する固溶強化の効果
や、金属組織中の転位を固着させる効果(コットレル雰
囲気)を具える。これらの効果によって、強度を向上す
るべく線引き加工や撚線加工などの線加工を施しても、
SUS316などと同等、或いは同等以上の優れた耐食性と高
い機械的特性との両立を図ることが可能である。このよ
うな優れた効果を得るために、本発明では、ステンレス
鋼線中のCとNの合計含有量(C+N量)を0.15質量%以上0.3
0質量%とする。C+N量が0.15質量%未満では、固溶強化
や転位の固着が不十分であり、強度及び耐食性の向上が
得られにくい。C+N量が0.30質量%超では、鋳造の際に
炭化物、窒化物の生成量が多くなり、その後に行う伸線
加工などの加工が困難になることに加えて、ブローホー
ルが発生し易くなる。より好ましいC+N量は、0.20質量
%以上0.30質量%以下である。
化を行うために、ステンレス鋼線の引張強さ及び靭性を
適性に調整する必要がある。本発明者らが検討した結
果、以下の条件により製造されたステンレス鋼線は、自
動車用電線の導体として適正な強度と靭性とを具えるこ
とができるとの知見を得た。即ち、本発明に用いるステ
ンレス鋼線は、ステンレス鋼材を減面率5%以上98%以
下で線引き加工して所定の線径に調整し、その後、温度
950℃以上1150℃以下、保持時間0.5秒以上60秒以下の熱
処理を施したものが適する。より好ましくは、減面率:
5%以上70%以下、熱処理温度:1000℃以上1100℃以
下、保持時間:0.5秒以上20秒以下である。また、上記
温度範囲において、熱処理温度を低めとする場合、保持
時間を長くし、高めとする場合、保持時間を短くするこ
とが好ましい。熱処理温度が950℃未満の場合、十分な
加熱が得られにくく、鋼線の靭性が不足する恐れがあ
る。逆に1150℃超の場合、加熱しすぎることで、強度不
足やδ相の発生により靭性が不足する恐れがある。保持
時間が0.5秒未満の場合、加熱時間が短く十分な加熱が
得られにくく、鋼線の靭性が不足する恐れがある。同60
秒超の場合、熱処理温度が高温だとδ相の発生を増長す
る恐れがあり、また、工業的に高コストになり易い。
において、第二素線と撚り合わせる前の引張強さは、ス
テンレス鋼線が導体強度を決定する素線であることを考
慮して下限を800N/mm2、撚線加工の際の加工性を考慮し
て上限を1200N/mm2とすることが好ましい。より好まし
くは、900N/mm2以上1100N/mm2未満である。
るためには、線引き加工や撚線加工などの線加工により
誘起されるマルテンサイト相が少ない、或いは含まない
方が好ましい。本発明者らが検討した結果、自動車用の
ワイヤーハーネスとして使用に耐え得る耐食性を持たせ
るには、ステンレス鋼線の金属組織が加工誘起マルテン
サイト相:10体積%以下、残部:主にオーステナイト相
であることが好ましいとの知見を得た。より好ましく
は、加工誘起マルテンサイト相の含有率が5体積%以下
である。
イト相の安定性と加工条件(減面率、熱処理条件)とが相
互に影響する。従って、例えば、通常の室温での加工に
おいて加工誘起マルテンサイト相を10体積%以下に制御
するには、C+Nを上記規定の範囲に含有させて、オース
テナイト相の相安定化を図ることが有効である。また、
加工の際、ステンレス鋼の周囲の温度が低いほど、マル
テンサイト相は、誘起され易いため、例えば、線引き加
工の際のダイス冷却や線引きされた線材の巻き取り釜の
冷却を停止するなどして、加工温度を高めにすることが
有効である。
び成分範囲を限定する理由を述べる。Cは、強力なオー
ステナイト形成元素である。また、結晶格子中に侵入型
固溶し、ひずみを導入して強化する効果をもつ。更に、
コットレル雰囲気を形成して金属組織中の転位を固着さ
せる効果がある。しかし、Cr炭化物が結晶粒界に存在す
る場合、オーステナイト中のCrの拡散速度が低いため、
粒界周辺にCr欠乏層が生じ、靭性及び耐食性の低下が生
じる。そこで、有効な含有量としてC:0.01質量%以上0.
25質量%以下とする。
であり、侵入型固溶強化元素でもある。また、コットレ
ル雰囲気形成元素でもある。ただし、γ相中への固溶に
は限度があり、多量の添加(0.20質量%以上、特に、0.2
5質量%超)は溶解、鋳造の際にブローホールを発生する
要因となる。この現象はCr、MnなどのNとの親和力が高
い元素を添加することで固溶限を上げ、ある程度の抑制
が可能である。しかし、過度に添加する場合、溶解の際
に温度や雰囲気制御が必要となって、コスト増加を招く
恐れがある。そこで、本発明では、N:0.01質量%以上0.
25質量%以下とする。
る。また、オーステナイト系ステンレスのγ相の相安定
にも有効であり、高価なNiの代替元素となり得る。そし
て、上記のようにγ相中へのNの固溶限を上げる効果も
有する。ただし、高温での耐酸化性には悪影響を及ぼす
ため、Mn:0.5質量%以上4.0質量%以下とする。なお、M
nの含有量は、特に耐食性を重視する場合、0.5質量%以
上2.0質量%以下が好ましく、耐食性の若干の低下があ
るがNの固溶限を上げる、即ち、Nのミクロなブローホー
ルを極めて少なくする場合、2.0質量%超4.0質量%以下
の添加が大きな効果を有する。このように用途に応じ
て、Mnの含有量を調整することも可能である。
な構成元素であり、耐熱特性、耐酸化性を得るために有
効な元素である。本発明では、他の元素成分から、Ni当
量、Cr当量を算出し、γ相の相安定性を考慮した上で、
ワイヤーハーネスに必要な耐熱特性を得るために16質量
%以上、靭性劣化を考慮して20質量%以下とする。
においてNの含有量を0.2質量%以上とする場合、多量に
Niを含有させると、ブローホール発生の原因となる。こ
の場合、Nと親和力の高いMnを添加することが有効であ
り、オーステナイト系ステンレスを得るためにMnの添加
量を考慮してNi添加を行う必要がある。そこで、Niの含
有量は、γ相の安定化のために8.0質量%以上、ブロー
ホール抑制とコスト上昇抑制のために14.0質量%以下と
する。また、Niの含有量は、上記のように8.0質量%以
上14.0質量%以下が好ましいが、10.0質量%未満の範囲
では、特に、溶解鋳造工程においてNを容易に固溶させ
ることが可能になるため、製造コストをより低減するこ
とができるというメリットがある。
銅線、銅合金線、アルミニウム線及びアルミニウム合金
線からなる群より選ばれる少なくとも一種を用いる。従
って、第二素線を複数本用いる場合は、全て同種でもよ
いし、複数種のものを組み合わせて用いてもよい。アル
ミニウム線、アルミニウム合金線を用いる場合、銅線や
銅合金線と比較してより軽量にすることができる。銅線
は、化学成分が銅及び不可避的不純物からなるものが挙
げられる。銅合金線は、化学成分が銅と、Sn、Ag、Ni、
Si、Cr、Zr、In、Al、Ti、Fe、P、Mg、Zn、Beよりなる
群から選ばれる1種以上の元素と不可避的不純物とから
なるものが挙げられる。アルミニウム線は、化学成分が
アルミニウム及び不可避的不純物からなるものが挙げら
れる。アルミニウム合金線は、化学成分がアルミニウム
と、Mg、Si、Cu、Ti、B、Mn、Cr、Ni、Fe、Sc、Zrより
なる群から選ばれる1種以上の元素と不可避的不純物と
からなるものが挙げられる。
ス鋼線からなる第一素線と、上記銅などの金属線からな
る第二素線とを組み合わせ、撚り合わせることで得られ
る。第一素線及び第二素線は、それぞれ1本以上用い
る。第一素線の含有率が大きいほど、強度に優れる反
面、導体抵抗が高くなり易い。一方、第二素線の含有率
が大きいほど、導体抵抗は小さいが、強度が低くなり易
い。従って、適当な導体抵抗、及び強度が得られるよう
に第一素線及び第二素線の本数を適宜選択するとよい。
する。 (実施例1)ステンレス鋼線及び銅線を用いて複合線を作
製し、この複合線の特性を調べてみた。用いたステンレ
ス鋼線の化学成分を表1に示す。表1において、鋼種:ス
テンレスは、一般的なオーステナイト系ステンレスで
あるJIS鋼種SUS304である。
ンレス及び)を溶解鋳造、鍛造、熱間圧延してステ
ンレス線材(線径φ0.43mm)を作製し、これら線材に減面
率86%で線引き加工を施した後、軟線化熱処理を施し、
線径φ0.16mmのステンレス鋼線を得た。軟線化熱処理
は、温度1100℃、保持時間約5秒間とした。これらステ
ンレス鋼線の引張強さを表2に示す。
性を向上するための軟線化熱処理を行った場合であって
も、SUS304のステンレス素線と比較して、高い引張強
さを有することが確認できる。従って、ステンレス素線
は、強度と靭性との双方に優れることがわかる。ま
た、熱処理後のステンレス素線の組織を調べたとこ
ろ、加工誘起マルテンサイト相はほとんど見られず、オ
ーステナイト相であった。
ネスによく用いられる軟線を用いた。ステンレス鋼線と
撚り合わせる銅線は、線径φ0.16mmのものを用意した。
また、複合線と比較するために銅線のみの撚線を作製
し、この銅線は、線径φ0.23mmのものを用意した。
ぞれ組み合わせて7本として撚り合せて複合線及び銅撚
線を作製した。そして、得られた複合線及び銅撚線の外
周に塩化ビニルを所定の厚みに被覆して絶縁層を形成
し、これら複合線、銅撚線を導体とする電線を作製し
た。
の破断荷重、導体抵抗、導体質量、電線質量を測定し
た。その結果を表3に示す。
23mmの銅線のみからなる銅撚線(試料No.8)と比較して、
同等かそれ以上の破断荷重であり、強度に優れることが
わかる。しかも、電線質量を半分、或いは半分以下に低
減できることが確認できる。また、試料No.1〜4は、同
一の素線径で銅線のみからなる銅撚線(試料No.7)と比較
した場合、破断荷重が非常に高く、強度に優れると共
に、電線質量も低減されることが確認できる。
負荷電流0.5A、配線長1.5mとする場合、自動車用電線の
導体抵抗は、667mΩ/m以下であることが必要であるが、
試料No.1〜4は、この要件を十分に満たしていることが
わかる。
しい試料No.1と試料No.5、及び試料No.2と試料No.6を比
較すると、導体抵抗がほぼ同等であるが、試料No.1、2
は、破断荷重が10N以上大きいことがわかる。即ち、特
定のステンレス鋼線を用いた試料No.1、2は、JIS鋼種SU
S304を用いた電線よりも、強度に優れることが確認でき
る。JIS鋼種SUS304を用いた試料No.5、6の強度を試料N
o.1、2と同程度の強度とするには、ステンレス素線に
減面率20〜30%の線引き加工を1〜2回行う必要がある。
しかし、線引き加工によりマルテンサイト相が増加して
強度の向上を図ることはできても、後述するように耐食
性が劣化し易い。これに対し、試料No.1、2は、特定の
成分のステンレス素線を用いることで、このような強
度向上のための線引き加工を行わなくてもよいため、加
工により耐食性が劣化することがなく、かつ製造性にも
優れる。
ネスとしての一例であり、製品の形態や得られたデータ
の数値を持って全ての活用例に適用判断できるものでは
ない。しかし、本試験の結果から、高強度と高導電率と
の両立が求められる場合、本発明は、比較的容易に目的
を達成し得ることが確認できたと考える。また、本発明
は、強度に優れるステンレス鋼線を用いることで、鋼線
の使用量を減らして導電率を向上させることも可能であ
る。
た。本試験に用いた試料は、上記試験例1で用いた試料N
o.1、2、5、6の複合線、及び加工誘起マルテンサイト相
の含有率を変化させた試料を新たに用意した(試料No.
9、10)。試料No.9は、試料No.1で用いたステンレス鋼線
と同様の化学成分のステンレス鋼材(ステンレス)を用
い、試料No.10は、試料No.5で用いたステンレス鋼線と
同様の化学成分のステンレス鋼材(ステンレス)を用
い、加工条件を変化させることで加工誘起マルテンサイ
トの含有率を変化させた。具体的には、加工度を高くと
り(減面率96%)、より低温の軟線化熱処理(温度1050℃
×保持時間2秒)を行うと共に、ステンレス鋼線の周囲の
温度が低めにすることで、加工誘起マルテンサイト相の
含有比率を上げたものである。なお、試料No.9に用いた
ステンレス鋼線の熱処理後の引張強さは、1187N/mm 2で
あった。
い、塩水:人口海水(5%食塩水)、温度35℃、試験期間1
ヶ月として行った。試験結果を表4に示す。表4において
発錆面積率(%)とは、複合線の全表面積に対する発錆し
た個所の総面積の割合とする。
ることで、ステンレス鋼線と銅線との接触部に電池がで
き、表4に示すように接触部では、腐食が進行すること
が確認できる。また、接触部から銅線が腐食し始め、銅
腐食生成物が更にステンレス鋼線にも悪影響を与えるこ
とが確認できた。そして、SUS304を用いた試料No.5、6
よりも、特定の成分により加工誘起マルテンサイト相の
制御を行った試料No.1、2の方が耐食性に優れることが
わかる。また、成分に加えて加工条件により加工誘起マ
ルテンサイト相の制御を行った試料No.9も、試料No.5よ
りも耐食性に優れることがわかる。特に、表4に示すよ
うにステンレス鋼線の加工誘起マルテンサイト相の含有
率(体積%)が大きいほど、腐食の進行具合が大きいこと
が確認できた。従って、加工によりマルテンサイト相を
増加させると、引張強さの向上が図れる反面、耐食性が
劣化することがわかる。
代わりに線径φ0.16mmの純アルミニウム(不可避的不純
物を含む)からなるアルミニウム線を用いて、実施例1と
同様に複合線を作製し、この複合線を導体とする電線を
作製して、試験例1と同様に導体の破断荷重、導体抵
抗、導体質量、電線質量を測定した。その結果、実施例
1と同様に高強度と高導電率との両立することができる
ことが確認された。また、より軽量化できることが確認
された。
金線や銅合金線のみで導体を構成した場合、銅線のみで
導体を構成する場合と比較して強度に優れるが、この強
度向上はあまり大きくなく、電線の軽量化として特に細
径化すると、強度の向上が望みにくい。これに対し、本
発明は、アルミニウム線などのみとせず、ステンレス鋼
線との撚線という形態をとることで、強度、導電率、軽
量化といった要求特性に対して柔軟に対応することがで
きる。
した。アルミニウム線やその合金線、銅合金線を第二素
線として用いる場合、ステンレス鋼線との間に形成され
る電池特性は多少異なる。しかし、加工誘起マルテンサ
イト量が10体積%以下であるステンレス鋼線を用いるこ
とで、試験例2と同様に優れた耐食性を発揮することが
確認できた。
複合線によれば、特定の化学成分のステンレス鋼線と銅
などの第二素線とを撚り合わせて構成することで、自動
車用電線の導体として優れた導電性能及び強度を具える
と共に、耐食性をも向上させることができるという優れ
た効果を奏し得る。また、本発明複合線は、上記ステン
レス鋼線を用いることで、銅の使用量を低減して軽量化
を図ることができる。更に、本発明複合線は、従来のク
ラッド線やめっき線などのような製造工程を必要とせ
ず、比較的容易に製造できるため、製造コストを低減す
ることもできる。そして、このような本発明ワイヤーハ
ーネス用複合線を自動車用電線の導体に用いると、自動
車全体の軽量化やリサイクル性を向上することができ、
今後の環境問題を考慮するにあたり、極めて有効である
とともに、工業的価値の高いものである。
Claims (4)
- 【請求項1】 質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.25、
Mn:0.5〜4.0、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0を含有し、残部
がFe及び不純物からなるステンレス鋼線でCとNの含有量
が0.15質量%≦C+N≦0.30質量%を満たす第一素線と、 銅線、銅合金線、アルミニウム線及びアルミニウム合金
線の少なくとも1種から選択される第二素線とを撚り合
わせてなることを特徴とするワイヤーハーネス用複合
線。 - 【請求項2】 第一素線の金属組織は、線加工によって
誘起されるマルテンサイト相が10体積%以下であり、残
部がオーステナイト相であることを特徴とする請求項1
に記載のワイヤーハーネス用複合線。 - 【請求項3】 第一素線は、ステンレス鋼材を所定の線
径まで減面率5%〜98%で線引き加工した後、温度950℃
〜1150℃、保持時間0.5秒〜60秒の熱処理を施し、第二
素線と撚り合わせる前の引張強さが800N/mm2以上1200N/
mm2未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
ワイヤーハーネス用複合線。 - 【請求項4】 質量%でC:0.01〜0.25、N:0.01〜0.25、
Mn:0.5〜4.0、Cr:16〜20、Ni:8.0〜14.0を含有し、残部
がFe及び不純物からなり、CとNの含有量が0.15質量%≦
C+N≦0.30質量%であるステンレス鋼材を所定の線径ま
で減面率5%〜98%で線引き加工する工程と、 線引き加工された線材に温度950℃〜1150℃、保持時間
0.5秒〜60秒の熱処理を施す工程と、 得られたステンレス鋼線を1本以上と銅線、銅合金線、
アルミニウム線及びアルミニウム合金線の少なくとも1
種から選択される金属線を1本以上とを撚り合わせる工
程とを具え、 撚り合わせる前のステンレス鋼線の引張強さが800N/mm2
以上1200N/mm2未満であることを特徴とするワイヤーハ
ーネス用複合線の製造方法。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003071304A JP3530181B1 (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | ワイヤーハーネス用複合線及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2003071304A JP3530181B1 (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | ワイヤーハーネス用複合線及びその製造方法 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
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