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JP3271651B2 - 磁気特性の優れた極薄けい素鋼板および製造方法 - Google Patents

磁気特性の優れた極薄けい素鋼板および製造方法

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JP3271651B2
JP3271651B2 JP08964696A JP8964696A JP3271651B2 JP 3271651 B2 JP3271651 B2 JP 3271651B2 JP 08964696 A JP08964696 A JP 08964696A JP 8964696 A JP8964696 A JP 8964696A JP 3271651 B2 JP3271651 B2 JP 3271651B2
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伸夫 山上
洋一郎 山中
紀隆 高橋
靖 田中
好仁 上元
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JFE Engineering Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気特性にすぐれ
た極薄けい素鋼板の製造方法及び磁気特性に優れた極薄
けい素鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】変電器の鉄芯などに用いられる方向性け
い素鋼板は、特公昭46-23820号公報等に示されるよう
に、従来、2次再結晶のために、AlNやMnSなどの
析出物をインヒビタとして利用して製造されている。し
かしながらこのような方向性けい素鋼板は、AlNやM
nSなどの多量のインヒビタの固溶のための高温のスラ
ブ加熱工程、最終焼鈍までの脱炭焼鈍工程および2次再
結晶を完全に完了させ、磁気特性に影響をあたえる不純
物を純化するための高温長時間焼鈍工程を必須としてお
り、経済的な観点から問題を有していた。
【0003】また、このような材料に要求される磁気特
性のなかでも特に重要視される鉄損値は、板厚が薄くな
るほど向上すると考えられているものの、従来のけい素
鋼板では、インヒビタの問題で0.2mm 以下の極薄材の製
造が困難であるとされてきた。
【0004】このような問題に対して、特開昭62-83421
号公報および特開平1-212721号公報に示されるように、
極低炭素系であることを前提として、これにAlを微量
に添加した組成とすることによって問題を回避する手法
が考案されている。また特開平5-186829 号公報に代表
されるような表面エネルギーを用いた極薄方向性けい素
鋼板の製造方法が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開昭
62-83421号公報および特開平1-212721号公報に記載され
ている方法によれば、高温のスラブ加熱や高温長時間の
焼鈍プロセスを省略でき経済的効果が得られるものの、
0.2mm 以下の板厚では品質のバラツキが大きく工業的に
安定した2次再結晶挙動を得ることができないという問
題があった。
【0006】また、特開平5-186829 号公報の方法は、
インヒビタを用いないため、本発明が対象とする極薄鋼
板の製造に原理的に有利な手法であるが、微量の不純
物、雰囲気の微妙な変化などによって結晶粒成長が左右
されその結果として安定性に欠けるという問題を抱えて
いた。
【0007】本発明は、そうした問題点を克服し、脱炭
焼鈍および高温長時間の焼鈍を施さずに、0.2mm 以下の
板厚で{110 }<001> 面方位が安定的に2次再結晶し、
これによって磁気特性に優れたけい素鋼板が製造可能と
なるような方法および磁気特性に優れたけい素鋼板を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の第1の手段は、(a) 重量%で、C:0.01%以下、S
i:2.5 %以上7%以下、Mn:0.005 %以上0.12%以
下、P:0.02%以下、S:0.002 %以上0.005 %以下、
sol.Al:0.0015%以上0.006 %以下、N:0.001 %以
上0.008 %以下を含み、不純物としてのTi+Nbが0.
003 %以下である熱延鋼板を準備する工程、(b) 前記熱
延鋼板を脱スケール後、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持
時間30sec 以上の中間焼鈍を含む3回の冷間圧延により
板厚0.20mm以下の冷間圧延鋼板とする工程、(c) 前記冷
間圧延鋼板を、窒素50vol.%以上含む還元性雰囲気にお
いて、1℃/sec以上の昇温速度で700 ℃以上1000℃以下
の所定温度まで加熱し、該温度に30秒以上保持する1段
目の焼鈍工程、(d) 引き続き上記冷間圧延鋼板を、窒素
50vol.%以上含む還元性雰囲気において、700 ℃以上10
00℃以下の所定温度に3時間以上保持する2段目の焼鈍
工程、(e) さらに、窒素を含まない還元性雰囲気もしく
は酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸
化性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中におい
て、900 ℃以上1300℃以下の範囲の所定温度で30秒以上
の保持を行う3段目の焼鈍工程を含む磁気特性に優れた
極薄けい素鋼板の製造方法である。
【0009】前記課題を解決するための第2の手段は、
前記第1の手段中における中間焼鈍の内、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気とすることを特徴とする磁気特性に優れた極薄け
い素鋼板の製造方法である。
【0010】前記課題を解決するための第3の手段は、
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b'-1)
前記熱延鋼板を脱スケール後、圧下率70〜90%の一次冷
間圧延を施して冷間圧延鋼板とする工程、(b'-2)前記冷
間圧延鋼板を、窒素50vol.%以上を含む非酸化性雰囲気
下、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間0.5 〜5分、昇
温速度1℃/sec 以上の条件で一次焼鈍を実施する工
程、(b'-3)前記焼鈍板に圧下率50〜90%の2次冷間圧延
を実施し、板厚0.20mm以下の冷間圧延鋼板とする工程、
に代えた磁気特性に優れた極薄けい素鋼板の製造方法で
ある。
【0011】前記課題を解決するための第4の手段は、
前記第1の手段中における(b) に記載の工程を、(b''-
1) 前記熱延鋼板を少なくとも50%以上の窒素を含む還
元性雰囲気で焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間2分以
上の熱延板焼鈍を施す工程、(b''-2) 前記熱延焼鈍板
を、冷間圧延率80% 以上の冷間圧延により板厚0.20mm以
下の冷間圧延鋼板とする工程、に代えた磁気特性に優れ
た極薄けい素鋼板の製造方法である。
【0012】前記課題を解決するための第5の手段は、
前記第1ないし第4の手段のうち、いずれかの手段にお
ける(c) と(d) の工程の中間に、コロイダルシリカを含
むPH8以上のスラリーを塗布することにより冷間圧延
鋼板の表面に10mg/m2 以上2mg/m2 以下の酸化珪素を付
着させる工程を付加したことを特徴とする磁気特性に優
れた極薄けい素鋼板の製造方法である。
【0013】前記課題を解決するための第6の手段は、
前記第1ないし第5の手段のうち、いずれかの手段によ
って製造される磁気特性に優れた極薄けい素鋼板であ
る。
【0014】以下、発明に至った経緯と発明の詳細を述
べる。本発明者らは、脱炭焼鈍および高温長時間の焼鈍
を施さずに、0.2mm 以下の板厚で{110}<001>面方位が
安定的に2次再結晶し、これによって磁気特性の優れた
けい素鋼板が製造可能となるような鋼板の組成およびそ
の製造方法を見出すべく実験・研究を行った。その結
果、下記の様な知見を得たのである。
【0015】1)特開昭62-83421号公報および特開平1-
212721号公報に示されるような、通常の0.3mm の厚さの
鋼板を2次再結晶させる場合と比べて、本発明が対象と
する板厚0.2mm 以下の極薄鋼板の場合、1次および2次
再結晶を発現させる焼鈍工程における雰囲気からの窒化
の影響が極めて大きく、新たな問題を引き起こすこと。
たとえば特開昭62-83421号公報の実施例中の表2におけ
るY鋼相当の組成では、インヒビタとしてのAlNが多
くなりすぎるうえに、その分布が不適当となり、その結
果、2次再結晶が生じないこと。
【0016】2)このような過剰なAlNの形成を防ぐ
ために、同一の組成で、焼鈍雰囲気の窒素分圧を低減さ
せたり、焼鈍温度を低下させる検討を行ったが、0.2mm
以下の板厚の場合には、表面からの窒素の脱出も同時に
おこるため、鋼中の主要なインヒビタとなるAlNの2
次再結晶を発現させるために有効な量および形態の制御
が極めて困難であること。
【0017】3)2次再結晶を発現させるために、焼鈍
中のAlNの形態、量の変化をみこした組成の最適化お
よび製造プロセスの検討を行ったところ、特定の成分範
囲に組成を限定した場合にインヒビタとなるAlNが2
次再結晶に有効に働くこと。
【0018】4)さらに、特定の成分範囲に調整された
熱延鋼板を冷間圧延し、1次再結晶を生じさせる為の1
段目の焼鈍、また2次再結晶を進展させる為の2段目の
焼鈍を施したところある程度の2次再結晶が生ずるこ
と。冷間圧延は中間焼鈍を含む3回の圧延でも可能であ
るが、冷間圧延を特定の圧下率とし、窒素を特定量含む
特定条件で中間焼鈍すると2回の冷間圧延で済むこと。
さらに、冷間圧延前に特定の条件で熱延板焼鈍を施し、
冷延圧下率を特定の範囲とすることによって、1回の冷
間圧延でも済むこと。
【0019】5)ただし、2段目までの焼鈍では、2次
再結晶粒の被覆率が、最大でも約80%程度であり、残り
の20%程度は、2次再結晶粒に食い残された板厚程度の
粒径の領域となること。このような細粒部は、貫通粒と
なっているため、結晶粒の曲率に反比例する粒界エネル
ギが十分ではなく、長時間焼鈍しても殆ど2次再結晶粒
に蚕食されず、磁気特性的にも不充分であること。
【0020】6)このような細粒部を2次再結晶粒に蚕
食させるため、結晶粒径に依存せず、{110}面が優
先的に成長する表面エネルギを2次再結晶粒の進展のた
めの駆動力として用いると2次再結晶の被覆率が90%を
越えること。
【0021】7)そうして得られたけい素鋼板は極めて
良好な磁気特性を示すこと。
【0022】8)なお、特開平5-186829 号公報に示さ
れている、表面エネルギ法のみでGoss粒を異常粒成長さ
せる方法は、本発明鋼のようにSが0.0020wt%以上含有
されている鋼では、粒成長性がきわめて低下するため、
900 ℃以上1300℃以下、10分間の焼鈍でのGoss粒の被覆
率は最大でも40%程度であり、不満足な結果となるこ
と。
【0023】そこで上記知見をもとにさらに検討を進
め、本発明を完成したのである。まず、本発明におい
て、熱延鋼板の化学成分および製造方法を限定した理由
について説明する。
【0024】C:インヒビタ法では、Cによる組織およ
び集合組織制御を行なうが、前述した本発明ではそうし
たことを行わないため、積極的なCの添加を行う必要は
ない。むしろ、Cは0.01wt%をこえると磁気特性や加工
性を著しく低下させる。このため、Cは0.01wt%以下、
好ましくは0.005wt %以下とする。
【0025】Si:Siは、磁気特性や相変態を通じた
組織および集合組織制御を行うために極めて重要であ
る。Siが2.5wt %を下回ると、最終焼鈍の3段目の焼
鈍において、高温における相変態にともなう組織および
集合組織の変化が著しく、所定の特性を有する鋼板を製
造することが困難となる。また、Siが7wt%よりも高
い場合には加工性が著しく低下する。従って、Siは2.
5wt %以上7wt %以下とする。ただし加工性の点からS
iのより好ましい範囲を述べると4wt%以下である。
【0026】Mn:Mnは、MnSの形成のために極め
て重要である。このMnSはAlNインヒビタの析出の
核となり、またAlNの固溶を遅らせる働きを有する。
ただし、0.12wt%を越えて過剰に含まれる場合は、その
完全固溶のために1250℃以上の著しい高温でのスラブ加
熱が必要となる。一方、0.005wt %未満では、このよう
な働きは認められず、2次再結晶が不完全となる。この
ため、Mnは0.005wt%以上0.12wt%以下である必要が
ある。
【0027】P:Pは粒成長速度および、加工性を低下
させるために有害である。このため、0.02wt%以下とす
る。
【0028】S:Sは、MnSの形成のためにMnと同
様に極めて重要である。このためには、Sは0.002wt %
以上含有されなければならない。一方、0.005wt %を越
えて含有された場合には、著しく粒成長速度を低下させ
るため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次再結
晶を完了させることが困難となる。従って、Sは0.002w
t %以上0.005wt %以下とする。
【0029】sol.Al:sol.Alは、インヒビタとなる
AlN形成のために極めて重要である。sol.Alが、0.
0015wt%未満の場合は、インヒビタとしてのAlNが不
足しマトリックス粒の粗大化が生じてしまうために、2
次再結晶が困難となる。一方0.006wt %をこえると、焼
鈍中の吸窒のためにインヒビタとしてのAlNが多くな
りすぎるうえに、不適当な分布となり、その結果とし
て、2次再結晶が生じないまたは部分的に2次再結晶粒
が形成されるものの極めて低い被覆率となる。さらに、
このようなAlは、高温での粒成長性を著しく低下させ
るため、3段目の焼鈍において所定の時間内で2次再結
晶を完了させることが困難となる。従って、鋼中のsol.
Alは0.0015wt%以上0.006wt %以下とする。
【0030】N:NもインヒビタとなるAlN形成のた
めに極めて重要である。Nが0.001wt %未満では、吸窒
が始まるまでの、インヒビタとしてのAlN量が少なす
ぎるためにマトリックス粒の粗大化し、その結果2次再
結晶が困難となる。一方、0.008wt %をこえるとスラブ
加熱中に析出したAlNが、熱間圧延の再加熱時にも一
部未固溶のまま残留する。これらは熱延中に粗大化し、
その結果、AlNの分布形態が変化し、2次再結晶が生
じにくくなる。このため、Nは0.001wt %以上0.008wt
%以下必要である。
【0031】Ti、Nb:鋼中に不純物として含まれる
Ti、Nbは、極めて安定な窒化物を形成するため、A
lNによる2次再結晶挙動を阻害する。このような影響
を避けるために、Ti+Nb量を0.003wt %以下とす
る。
【0032】続いて製造方法について述べる。 1)熱延板焼鈍及び冷間圧延 (イ)第1の方法では、熱延板焼鈍を行わず、冷間圧延
は中間焼鈍をはさむ3回の冷間圧延とする。冷間圧延は
常法に従って行われるが、後述するように特別な方法を
とらないかぎり、3回未満では最終焼鈍の際の結晶粒の
選択的粒成長による2次再結晶粒の成長に好ましい集合
組織が適切に形成されず、最終焼鈍後に十分成長した2
次再結晶粒が得られない。またおのおのの冷間圧延での
圧延率は20%以上が好ましい。
【0033】中間焼鈍の条件として、軟化を完全におこ
させるために、再結晶温度である700 ℃以上、結晶粒の
粗大化による冷間圧延鋼板の形状不良を避けるため1000
℃以下とする。また、保持時間は再結晶を十分に生じさ
せるため0.5 分以上必要である。さらに、これらの中間
焼鈍においては、焼鈍過程における析出物の粗大化を避
けるために、0.5 ℃/sec以上の加熱速度、10分以内の保
持時間とすることが好ましい。
【0034】焼鈍雰囲気は常法でよい。ただし極端な酸
化を防止するため非酸化性の雰囲気とする。具体的には
Ar, Heなどの不活性ガスおよび窒素、水素などの単独ま
たは混合雰囲気とする。酸素分圧はとくに規定しない。
極端な酸化が防止されればよい。さらに、少なくとも1
回の中間焼鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性
雰囲気にすると磁気特性が向上する。理由は定かではな
いが、インヒビタの形成現象と関係すると思われる。し
たがって、より好ましくは少なくとも1回の中間焼鈍の
雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性雰囲気とする。
【0035】(ロ)第2の方法では、熱延板焼鈍を行わ
ず、中間焼鈍を含む2回の冷間圧延とする。2回の冷間
圧延で済ませる場合には、冷間圧延を特定の圧下率で行
い、かつ窒素を特定量含む特定条件で中間焼鈍を行わな
ければならない。
【0036】最終焼鈍時に2次再結晶するGoss粒は、元
来熱延鋼板の表層直下にある板厚の約10%の層の熱間圧
延時に形成されたGoss組織が冷間圧延と中間焼鈍の過程
を経て継承されるものである。
【0037】圧下率が90%を超えると、冷間圧延により
強い変形を受け圧延方向に<110 >方位がそろった組織
が著しく発達する。このような<110 >方位を有する加
工組織は粗大粒1次再結晶粒を形成する。そのため最終
焼鈍の1次再結晶に粗大粒Goss以外の面方位を有する結
晶粒が再結晶し2次再結晶粒のための駆動力が低下す
る。その結果鋼板全面をGoss粒で覆うことが出来なくな
り高い磁気特性を得られない。さらに安定して高い磁気
特性を有する鋼板を得るためには、<110 >方位を有す
る加工組織を発達させないという観点から2次冷間圧延
に関しては圧下率を80%以下とすることが望ましい。
【0038】1次冷間圧延の圧下率が70%未満であると
熱延鋼板の板厚中央部にある、熱間圧延時に形成された
{100 }<011 >を有する伸張した結晶粒が変形される
ことなくそのまま継承される。その結果、圧下率が90%
を超えた時と同様に、最終焼鈍時にGoss粒以外の粗大粒
が形成され、Goss粒の2次再結晶を阻害する。
【0039】2次冷間圧延の圧下率が50%未満である
と、歪エネルギーの蓄積が少ないために1次再結晶の核
生成サイトが減少する。その結果、最終焼鈍時の1次再
結晶粒が大きくなり、Goss粒の2次再結晶駆動力となる
粒界エネルギーが減少する。さらに安定して2次再結晶
を発現させるためには、細粒化という観点から圧下率を
60%以上とすることが望ましい。
【0040】以上の理由から、1次冷間圧延の圧下率を
70〜90%、2次冷間圧延のそれを50〜90%と規定する。
2次冷間圧延の圧下率のより好ましい範囲は60〜80%で
ある。
【0041】中間焼鈍は50vol.%以上の窒素を含む非酸
化性雰囲気で行なう。雰囲気を窒素雰囲気とすることに
よって、鋼板の窒化と脱窒が同時におこり、その結果Al
N が微細化される。窒素が50vol.%未満であると鋼板の
窒化よりも脱窒が進み、AlNが適正量より減少し、十分
な2次再結晶が進展しない。酸素分圧はとくに規定しな
い。著しい酸化が防止されればそれで足りる。
【0042】また焼鈍過程における析出物の粗大化を避
けるために、1℃/sec以上の昇温速度で5分以内の保
持とする。ただし0.5 分未満の保持では十分な効果が得
られず、2次再結晶の進展にばらつきが生じる。このた
め昇温速度を1℃/sec 、保持時間を0.5 〜5分と規定
する。
【0043】さらに焼鈍温度を700 〜950 ℃と規定す
る。焼鈍温度が700 ℃未満では再結晶に伴う軟化および
析出物の形態制御、集合組織制御が不十分となる。一方
950 ℃を超えると析出物の粗大化が始まり、正常粒成長
が進展し再結晶粒も板厚に較べ大きくなる。このため最
終焼鈍時の2次再結晶粒成長が抑制される。
【0044】(ハ)第3の方法では、熱延板焼鈍を行っ
た後、1回の冷間圧延を行う。熱延板焼鈍は、焼鈍時の
吸窒によってインヒビタ量を適正化するために極めて重
要である。このため、焼鈍雰囲気は、鋼中から窒素が著
しく脱離せず、雰囲気より十分にNが供給されるような
窒素を含む還元性雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を
防ぐため、1vol.%以上の水素を含むことが好ましい。
また、窒素が50vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離
が顕著となる。このため、窒素の比率は50vol.%以上と
する。
【0045】さらに、保持温度は、吸N が有効に生じる
ために、700 ℃以上が必要である。ただし、950 ℃をこ
えると、熱延板の組織変化が著しくなり、その結果、望
ましい集合組織を得ることができなくなり、最終焼鈍後
に十分成長した2次再結晶粒が得られない。したがっ
て、700 ℃以上950 ℃以下が望ましい。
【0046】さらにまた、保持時間は、2次再結晶を安
定的に発現させる吸Nが生じるために2分以上必要であ
る。このため保持時間を2分以上とする。ただし10時間
超では効果が飽和するため、経済面からは10時間以内と
することが好ましい。
【0047】冷間圧延は、中間焼鈍をはさまない1回の
冷間圧延とする。冷間圧延は常法に従って行われるが冷
間圧延率が80%未満では最終焼鈍の際の結晶粒の選択的
粒成長による2次再結晶粒の成長に好ましい集合組織が
適切に形成されず、最終焼鈍後に十分成長した2次再結
晶粒が得られない。よって、80%以上の冷間圧下率とす
る。
【0048】2)冷間圧延後の焼鈍 安定した2次再結晶を発現させ、なおかつこの2次再結
晶粒の被覆率が90%以上となるためには、インヒビタと
なるAlNの焼鈍中の最適な形態、分量を制御しなくて
はならない。これを実現するのが、冷間圧延後の3回の
焼鈍である。
【0049】○1段目の焼鈍:1段目の焼鈍は、材料の
再結晶と、析出物の形態の調整の為に行う。焼鈍温度
が、700℃未満では、材料が完全に再結晶せず、その結
果、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が不安定となる。
一方、1000℃超の場合には、正常粒成長している結晶粒
が粗大化し始め、引き続く2段焼鈍での2次再結晶が生
じない。このため焼鈍温度は700 〜1000℃とする。
【0050】また、昇温速度が1℃/sec未満の場合、
{110 }<001> 面方位以外の面方位の粒成長を十分に抑
止することができず、その結果、{110 }<001> 面方位
の2次再結晶を選択的に起こすことが難しくなる。その
ため昇温速度を1℃/sec以上とする。
【0051】さらに、焼鈍雰囲気は、鋼中から窒素が著
しく脱離せず、雰囲気より十分にNが供給されるような
窒素を含む還元性雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を
防ぐため、1vol.%以上の水素を含むことが好ましい。
また、窒素が50vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離
が顕著となる。このため、窒素の比率は50vol.%以上と
する。
【0052】さらにまた、保持時間は、引き続く2段焼
鈍での2次再結晶を安定的に発現させるために30秒以上
必要である。したがって保持時間を30秒以上とする。た
だし30分超では効果が飽和するため、経済面からは30分
以内とすることが好ましい。。
【0053】○2段目の焼鈍:2段目の焼鈍は、2次再
結晶の発現と進展のために重要である。
【0054】加熱保持温度が、1000℃をこえると、正常
粒成長している結晶粒が粗大化し、その結果2次再結晶
を生じない。一方、700 ℃未満では、2次再結晶の核と
なる粗大粒の粒成長速度が著しく遅いため、極めて長時
間保持しても2次再結晶が進展しない。そのため加熱保
持温度を700 ℃以上1000℃以下とする。
【0055】昇温速度はとくに規定しない。工業的に可
能な速度で十分である。また、焼鈍雰囲気は、1段目の
焼鈍条件と同様に鋼中から窒素が著しく脱離せず、雰囲
気より十分にNが供給されるような窒素を含む還元性ガ
ス雰囲気とする。ただし、鋼板の酸化を防ぐため、1vo
l.%以上の水素を含むことが好ましい。また、窒素が50
vol.%未満では、鋼中からの窒素の脱離が顕著となる。
このため、窒素の比率を50vol.%以上とする。
【0056】保持時間は2次再結晶を行なわせるために
十分な時間が必要であり、3時間以上とする。一方20時
間をこえても、2次再結晶粒の被覆率において殆ど変化
が見られないため、経済面から20時間以内とすることが
好ましい。
【0057】○3段目の焼鈍:3段目の焼鈍は、2次再
結晶粒で鋼板表面を90%以上被覆するために必要な焼鈍
である。
【0058】2段目までの焼鈍では、2次再結晶粒の被
覆率は、最大でも80%程度であり、残りの20%程度は、
2次再結晶粒に食い残された板厚程度の粒径の領域とな
る。このような、細粒部は、貫通粒となっているため、
結晶粒の曲率に反比例する粒界エネルギが不十分であ
り、長時間焼鈍しても殆ど2次再結晶粒に蚕食されず、
磁気特性的にも不充分である。
【0059】このため、3段目においては、非酸化囲気
中で焼鈍を施すことによって{110}面が優先的に成
長する表面エネルギを2次再結晶の駆動力として用い細
粒部を2次再結晶粒に蚕食させることを狙いとする。た
だし、この場合、加熱温度は表面エネルギを働かせるた
めに、900 ℃以上が必要である。また、1300℃以上に加
熱した場合には、鋼板のクリープ等によって安定して鋼
板を焼鈍することが困難である。また、いずれの温度に
おいても保持時間は30秒以上必要であり、一方30分でそ
の効果が飽和する。従って、加熱の温度範囲は900 ℃以
上1300℃以下、保持時間は30秒以上、好ましくは30分以
下とする。また、その雰囲気は、還元性雰囲気もしくは
酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸化
雰囲気または酸素分圧が0.5Pa以下の真空中とする。窒
素が雰囲気に含まれると、鋼中に窒素が残留して磁気特
性を劣化させるためである。
【0060】3)スラリーの塗布 前記冷間圧延後の焼鈍の内、第2段目の焼鈍は700 〜10
00℃の高温において3時間以上の長時間に亘って行う必
要がある。ところが、当該処理を積層した冷延鋼板に施
すと、鋼板同志が焼き付く恐れがある。そこで、0.2mm
以下の板厚の珪素鋼板において、当該焼鈍条件の下で、
鋼板の窒化を妨げることなく焼き付きが防止でき、さら
に引き続く高温の焼鈍において表面エネルギを駆動力と
した異常粒成長性に影響を与えない経済的な焼鈍分離方
法を検討した。その結果、 (イ)焼鈍分離材として、鋼板表面と反応の少ない酸化
物を付着させるのがよい (ロ)この酸化物は、コイリングで剥離しない程度の鋼
板との密着性を持つ必要がある (ハ)この酸化物は、鋼板の窒化のために通気性の良好
な皮膜を形成する必要がある という知見を得た。
【0061】この知見を基に検討を行った結果、第1段
目の焼鈍の後に、コロイダルシリカを含むPH8以上の
スラリーを塗布することにより冷間圧延鋼板の表面に10
mg/m 2 以上2g/m2以下の酸化珪素を付着させる工程を付
加することで、前記目的を達成できることを見出した。
【0062】付着させる酸化珪素の量は10mg/m2 未満で
は不十分であり、焼鈍時に部分的な焼き付きを起こして
しまう。一方、2g/m2を越えると、焼鈍分離性は充分で
あるものの、窒素の通気性が不十分となるために鋼板が
充分に窒化されず、2次結晶粒で全面を被覆することが
できない。従って、付着させる酸化珪素の量は、10mg/m
2 以上2g/m2以下とする。
【0063】また、酸化珪素を付着させる方法として
は、コロイダルシリカを含むスラリーを塗布する方法に
よる必要がある。スラリー塗布方法の例としては、コー
タ、ディップ、スプレー法等の公知の方法を使用するこ
とができる。コロイダルシリカを含むスラリーを塗布す
る方法が何故有効かについては、まだ充分に解明されて
いないが、発明者等は以下のように考えている。
【0064】即ち、このような方法を用いると、シリカ
の凝集力が弱いため、その皮膜は約100 ナノメータ程度
の直径のシリカのクラスタが鋼板表面に散在するような
構造となる。このため、クラスタの存在しない領域を通
して自由に窒素ガスが鋼板と接触できる。また、シリカ
のクラスタがスペーサの役割を果たして鋼板同志の接触
を防ぎ、鋼板の分離性を高めている。
【0065】スラリーのPHを8以上とするのは、冷間
圧延板が酸化しないようにするためである。
【0066】
【実施例】
(実施例1)表1に示される鋼種を真空溶解し、30mmま
でスラブ圧延を行った後に、1150℃加熱にて2.5mm まで
熱間圧延を施した。つづいて、これを酸洗してから表
2、表3、表4に示される工程、表5、表6、表7に示
される工程、及び表8、表9及び表10に示される工程で
最終焼鈍までを行い、得られた薄鋼板の組織として板厚
の10倍以上の粒径を有する結晶粒の被覆率と圧延方向の
磁束密度B8[T] 、 保持力Hc[A/m] を測定した。この結果
を、表2〜表10に示す。これら表からも明らかなよう
に、本発明の成分範囲でなおかつ本発明の製造方法を施
した場合にのみ、板厚の10倍以上の結晶粒径を有する粗
大粒が90%以上を被覆する磁気特性に優れた極薄けい素
鋼板を得ることができた。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【表5】
【0072】
【表6】
【0073】
【表7】
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】
【表10】
【0077】(実施例2)表11に示される鋼種を真空溶
解し、30mmまでスラブ圧延を行った後に、1150℃加熱に
て2.5mm まで熱間圧延を施した。つづいて、これを酸洗
してから以下の工程で冷間圧延板を製造した。
【0078】1回目の冷間圧延: 2.5mm から0.3mm ま
で圧下 中間焼鈍: 昇温速度3℃/sec 、100%N2雰囲気中で、
900 ℃に2分間保持 2回目の冷間圧延: 0.3mm から0.1mm まで圧下 その後、この冷間圧延板に以下の条件で3段の焼鈍を施
した。
【0079】1段目の焼鈍: 昇温速度3℃/sec 、95
%N2-5%H2雰囲気中で、900 ℃に2分間保持 2段目の焼鈍: 95%N2-5%H2雰囲気中で、900 ℃に15時
間保持 3段目の焼鈍: 昇温速度3℃/sec 、100%H2雰囲気中
で、1200℃に10分間保持 ここで、1段目の焼鈍後に、表12に示す条件でコロイダ
ルシリカをロールコータ法で鋼板表面に塗布し、乾燥後
に鋼板を積層して2段目の焼鈍を行った。さらに2段目
の焼鈍後に剥離性を調査した。さらに、剥離性の良好な
ものについて、アルカリ洗浄を行った後に3段目の焼鈍
を施し、得られた薄鋼板の組織として板厚の10倍以上の
粒径を有する結晶粒の被覆率と圧延方向の磁束密度B8
[T] 、 保持力Hc[A/m] を測定した。
【0080】この結果を表12に示す。表12から明らかな
ように、酸化珪素の付着量とスラリーのPH値が本発明
の範囲にある場合にのみ、2段目焼鈍後の剥離性が良
く、かつ板厚の10倍以上の粒径を有する粗大粒が90%以
上を被覆する磁気特性に優れた極薄珪素鋼板を得ること
ができた。
【0081】
【表11】
【0082】
【表12】
【0083】
【発明の効果】本発明によってインヒビターと表面エネ
ルギーを併用することにより、2次再結晶粒が鋼板表面
の面積率で90%以上の極薄珪素鋼板を、工業的に安定し
て得ることが可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平7−256375 (32)優先日 平成7年10月3日(1995.10.3) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 田中 靖 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 上元 好仁 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−121137(JP,A) 特開 平7−197126(JP,A) 特開 平6−207219(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/06

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a) 重量%で、C:0.01%以下、Si:
    2.5 %以上7%以下、Mn:0.005 %以上0.12%以下、
    P:0.02%以下、S:0.002 %以上0.005 %以下、sol.
    Al:0.0015%以上0.006 %以下、N:0.001 %以上0.
    008 %以下を含み、不純物としてのTi+Nbが0.003
    %以下である熱延鋼板を準備する工程、(b) 前記熱延鋼
    板を脱スケール後、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間
    30sec 以上の中間焼鈍を含む3回の冷間圧延により板厚
    0.20mm以下の冷間圧延鋼板とする工程、(c) 前記冷間圧
    延鋼板を、窒素50vol.%以上含む還元性雰囲気におい
    て、1℃/sec以上の昇温速度で700 ℃以上1000℃以下の
    所定温度まで加熱し、該温度に30秒以上保持する1段目
    の焼鈍工程、(d) 引き続き前記冷間圧延鋼板を、窒素50
    vol.%以上含む還元性雰囲気において、700 ℃以上1000
    ℃以下の所定温度に3時間以上保持する2段目の焼鈍工
    程、(e) さらに、窒素を含まない還元性雰囲気もしくは
    酸素分圧が0.5Pa 以下で実質的に窒素を含まない非酸化
    性雰囲気または酸素分圧が0.5Pa 以下の真空中におい
    て、900 ℃以上1300℃以下の範囲の所定温度で30秒以上
    の保持を行う3段目の焼鈍工程を含む磁気特性に優れた
    極薄けい素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 中間焼鈍の内、少なくとも1回の中間焼
    鈍の雰囲気を窒素50vol.%以上含む非酸化性雰囲気とす
    ることを特徴とする請求項1記載の磁気特性に優れた極
    薄けい素鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の磁気特性に優れた極薄
    けい素鋼板の製造方法のうち、(b) に記載の工程を、
    (b'-1)前記熱延鋼板を脱スケール後、圧下率70〜90%の
    一次冷間圧延を施して冷間圧延鋼板とする工程、(b'-2)
    前記冷間圧延鋼板を、窒素50vol.%以上を含む非酸化性
    雰囲気下、焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間0.5 〜5
    分、昇温速度1℃/sec 以上の条件で一次焼鈍を実施す
    る工程、(b'-3)前記焼鈍板に圧下率50〜90%の2次冷間
    圧延を実施し、板厚0.20mm以下の冷間圧延鋼板とする工
    程、に代えた磁気特性に優れた極薄けい素鋼板の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載の磁気特性に優れた極薄
    けい素鋼板の製造方法のうち、(b) に記載の工程を、
    (b''-1) 前記熱延鋼板を少なくとも50%以上の窒素を含
    む還元性雰囲気で焼鈍温度700 ℃〜950 ℃、保持時間2
    分以上の熱延板焼鈍を施す工程、(b''-2) 前記熱延焼鈍
    板を、冷間圧延率80% 以上の冷間圧延により板厚0.20mm
    以下の冷間圧延鋼板とする工程、に代えた磁気特性に優
    れた極薄けい素鋼板の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか1項
    に記載の磁気特性に優れた極薄けい素鋼板の製造方法に
    おいて、(c) と(d) の工程の中間に、コロイダルシリカ
    を含むPH8以上のスラリーを塗布することにより冷間
    圧延鋼板の表面に10mg/m2 以上2g/m2以下の酸化珪素を
    付着させる工程を付加したことを特徴とする磁気特性に
    優れた極薄けい素鋼板の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれか1項
    に記載の製法によって製造される磁気特性に優れた極薄
    けい素鋼板。
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