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JP3245491B2 - 隠蔽性に優れた導電性混繊糸 - Google Patents

隠蔽性に優れた導電性混繊糸

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JP3245491B2
JP3245491B2 JP32687193A JP32687193A JP3245491B2 JP 3245491 B2 JP3245491 B2 JP 3245491B2 JP 32687193 A JP32687193 A JP 32687193A JP 32687193 A JP32687193 A JP 32687193A JP 3245491 B2 JP3245491 B2 JP 3245491B2
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conductive
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正夫 河本
和彦 田中
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は導電性複合繊維を含む隠
蔽性に優れた混繊糸に関する。該導電性混繊糸は他の帯
電性の繊維、たとえば絹、セルロ−ス、ポリアミド、ポ
リエステル、ポリビニル系等の各種天然または合成繊維
と混用して、織物、編み物、カ−ペットなどの繊維製品
を製造することが可能であり、とくに制電性付与が要求
される防塵衣、白衣、作業服、下着等に有用である。
【0002】
【従来の技術】従来から除電性能の優れた繊維、すなわ
ち導電性繊維については種々の提案がなされている。た
とえば、非導電性繊維の表面に金属をメッキして導電性
を付与したり、カ−ボンブラックを分散させた樹脂を繊
維表面に塗布して繊維表面に導電性被覆層を形成せしめ
たりする方法等がある。しかしながら、これらの方法は
導電性繊維の製造工程が頻雑であり、技術的に困難性を
伴うという問題がある。また、これらの方法によりえら
れた導電性繊維は、製織編のための精練工程における薬
品処理、使用時における摩耗や洗濯の繰り返し等の外的
作用によって導電性が容易に低下し、実用の域を脱して
しまうなどの問題もある。
【0003】他に、除電性能に優れたものとしてスチ−
ル繊維のような金属繊維が知られているが、金属繊維は
高価であり、しかも一般の有機素材とはなじみにくく紡
績不良、製織・染色仕上げ工程でのトラブルの原因とな
ったり、着用時の洗濯による断線・脱落の問題、通電性
に基づく感電・スパ−クの問題、さらには布地の溶融ト
ラブルの原因等の諸問題がある。かかる諸問題を解決し
ようとする目的で、カ−ボンブラックを含有した熱可塑
性樹脂からなる導電性成分と繊維形成性熱可塑性樹脂か
らなる保護成分とが接合された導電性繊維が種々提案さ
れている。しかしながら、カ−ボンブラックを含有する
繊維は黒色または灰色に着色しているため、とくに白衣
等白さが要求される淡色系製品への混用は審美性を損な
い、ファッション性を欠くため使用範囲が限られている
のが実情である。
【0004】審美性の点において、近年、白色または無
色の導電性金属酸化物を導電性物質として含有する導電
性繊維が提案されている。本発明者等もすでに特願昭6
3−130745号において実着用耐久性、除電性能等
に優れた白色系導電性繊維を提案している。しかしなが
ら、1年以上という長期に亘る実用耐久性の点において
はカ−ボンブラックを含有する導電性繊維のほうが勝っ
ているのが実情である。また、カ−ボンブラックを含有
する熱可塑性樹脂を芯部に、芯部の黒色を隠蔽すべく酸
化チタンを含有する繊維形成性熱可塑性樹脂を鞘部に用
いてなる芯鞘型導電性複合繊維も提案されている(特公
昭52−31450号)。しかしながら、かかる複合繊
維は多少の有色度の改善は見られるものの、今だ不十分
であり、黒色の隠蔽性を高めるべく鞘部に酸化チタンを
多量に含有させると撚糸、製織、製編工程において接触
部品が磨耗するという問題が生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、カ−
ボンブラックを含有した導電性繊維であっても、着色が
少なく、かつ製造が容易であり、製品への混用によって
風合を損なうことなく、とくに淡色系製品への混用によ
る審美性の低下を防止し、しかも実際に着用し続けた場
合の除電性能がほとんど低下しない、すなわち長期にわ
たって除電性能が維持された導電性混繊糸を提供するこ
とにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、繊維形成性熱
可塑性樹脂からなる保護ポリマ−層(A)、無機微粒子
を10〜80重量%含有する熱可塑性樹脂からなる隠蔽
ポリマ−層(B)、および導電性カ−ボンブラックを1
5〜50重量%含有するポリアミド系樹脂からなる導電
ポリマ−層(C)で構成され、単繊維繊度が15デニ−
ル以下である導電性複合繊維(イ)が10〜50重量
%、および単繊維繊度が3デニ−ル以下の非導電性ポリ
エステル系マルチフィラメント(ロ)が90〜50重量
%からなる混繊糸であって、(ロ)の単繊維数が(イ)
の単繊維数の5倍以上、交絡数が5個/m以上、かつ白
度指数が55以上であることを特徴とする導電性混繊糸
である。
【0007】本発明にかかわる導電性複合繊維(イ)
(以下、単に複合繊維と称する場合がある)において、
保護ポリマー層(A)を構成する繊維形成性熱可塑性樹
脂としては、融点が150℃以上の繊維形成性が良好な
樹脂であればよいが、層(A)は繊維化の際の良好な工
程性を維持するため曳糸性に優れている樹脂であること
が望ましい。かかる樹脂としてポリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系
樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、メタ
キシレンジアミンナイロン等のポリアミド系樹脂などが
挙げられるが、特に構成単位の80モル%以上がエチレ
ンテレフタレート単位またはブチレンテレフタレート単
位であるポリエステルが加工性が著しく改善される点で
好ましい。
【0008】本発明にかかわる導電性複合繊維(イ)
は、他の導電性繊維の場合と同じように通常布帛中に
0.1〜10重量%の割合で混入して使用される。布帛
は当然のことながら染色仕上げ工程を経て製品化される
ものであり、導電性カーボンブラックを多量に含む導電
ポリマー層(C)は脆く、また加工中に熱・薬品等によ
る傷を受け易い。特にポリエチレンテレフタレートを主
体とする布帛は、高温染色・高温セット工程を避けるこ
とができず、導電ポリマー層(C)はかかる工程により
多大な影響を被る。これは程度の差こそあれ、保護ポリ
マー層(A)としてかかる工程で傷害を被り易い樹脂を
使用した場合にも同様なことが言え、そのような場合は
保護ポリマー層(A)としての機能が低下することにな
る。このような場合には、導電性複合繊維の強度低下が
生じ、着用時の屈曲等で繊維が容易に切断されたり、導
電ポリマー層(C)の脱落劣化につながる。
【0009】したがって保護ポリマー層(A)を構成す
る樹脂がポリエステル、特にポリエチレンテレフタレー
トである場合、保護ポリマー層(A)の諸物性は維持さ
れ、導電ポリマー層(C)を構成する樹脂が熱変形温度
の低いポリアミドであっても導電性複合繊維の導電性能
の低下がない。保護ポリマー層(A)を構成する樹脂は
曳糸性を損わない範囲で蛍光増白剤、安定剤、紫外線防
止剤、艶消剤等の各種添加剤を含有していてもよい。
【0010】本発明にかかわる導電性複合繊維(イ)に
おいて、隠蔽ポリマー層(B)は、導電性カーボンブラ
ックを用いることによる導電性複合繊維の着色性の改良
に用いられる。隠蔽ポリマー層(B)に含有される無機
微粒子としては、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化アルミニウム、二酸化ケイ素、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、タルク、カオリ
ン等の白色系顔料または白色系充填材が挙げられ、これ
らは1種または2種以上併用することができる。隠蔽効
果、布帛としての白度、製糸性、加工性等を考慮する
と、二酸化チタンおよび/または酸化亜鉛が好ましい。
【0011】無機微粒子は紡糸時のフィルターの目詰ま
り、紡糸性の低下、延伸時の断糸等から、平均粒径が5
μ以下、特に1μ以下であることが好ましい。また、隠
蔽ポリマー層(B)中の無機微粒子の含有量は10〜8
0重量%、好ましくは20〜70重量%である。無機微
粒子の含有量が10重量%未満の場合、導電ポリマー層
(C)に対する隠蔽効果が不十分であり、一方80重量
%を越えると隠蔽ポリマー層(B)の流動性が低下し、
複合繊維の紡糸・延伸時の断糸等繊維化工程性が悪くな
る。
【0012】隠蔽ポリマー層(B)を構成する熱可塑性
樹脂としてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン1
2、ナイロン4、ナイロン11、メタキシレンジアミン
ナイロン等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタ
レート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチ
レンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;SB
S(スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合
体)、SBSの水素添加物、SIS(スチレン−イソプ
レン−スチレンブロック共重合体)、SISの水素添加
物、SI(スチレン−イソプレンブロック共重合体)、
SIの水素添加物等のポリスチレン系樹脂;ポリウレタ
ン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エ
ラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマー等の熱
可塑性エラストマーなどが挙げられる。無機微粒子を多
量に含有する場合の流動性、導電ポリマー層(C)との
接着性、耐熱性等の点においてナイロン6、ナイロン6
6を主成分とするポリアミド系樹脂、熱可塑性エラスト
マーが好ましい。これらの樹脂は隠蔽効果を損わない範
囲で蛍光増白剤、安定剤等の各種添加剤を含んでいても
よい。
【0013】本発明にかかわる導電性複合繊維におい
て、導電ポリマー層(C)中の導電性カーボンブラック
含有量は15〜50重量%、好ましくは20〜40重量
%である。導電性カーボンブラック含有量が15重量%
未満の場合、好ましい導電性が得られず十分な除電性能
が発現されない。一方、導電性カーボンブラック含有量
が50重量%を越える場合、導電性のより一層の向上は
認められず、すなわち、導電性能が飽和状態となり、層
(C)の流動性が著しく低下して紡糸性が極端に悪化す
る。
【0014】導電ポリマー層(C)中に含有される導電
性カーボンブラックは、10-3〜10-2Ω・cmの固有
抵抗を有するものが好ましく、種類に限定されるもので
はない。カーボンブラックが完全に粒子状分散をしてい
る場合には、一般に導電性が不良であって、ストラクチ
ャーと呼ばれる連鎖構造をとると導電性が向上して導電
性カーボンブラックと言われるものになることはよく知
られていることである。したがって、導電性カーボンブ
ラックによって樹脂を導電化するにあたっては、ストラ
クチャーを破壊しないで樹脂中に分散させることが肝要
となる。導電性カーボンブラックの樹脂への混合分散は
公知の任意の混合方法によって行うことができるが、導
電性カーボンブラックに過大の剪断応力が作用すると上
述のストラクチャーが破壊され導電性が著しく低下する
ことがあるので、それを避けるような条件でなされる必
要がある。
【0015】導電性カーボンブラック含有樹脂の電気伝
導メカニズムとしてはカーボンブラック連鎖の接触によ
るものと、トンネル効果によるもの等が考えられるが、
一般に前者の方が主と考えられている。したがって、カ
ーボンブラックの連鎖は長い方が、また高密度で樹脂中
に存在する方が接触確率が大となり高い導電性が付与さ
れる。本発明者らの検討結果では、導電性カーボンブラ
ック含有量が15重量%未満ではほとんど導電効果がな
く、20重量%になると急激に導電性が向上し、30重
量%を越えると導電効果はほぼ飽和に達する。
【0016】導電性カーボンブラックを分散して導電性
を発現させる樹脂としてはポリアミド系樹脂が最適であ
る。すなわち、ポリアミド系樹脂は適当な極性基を持つ
ために導電性カーボンブラックとの相溶性、接着性が良
好であり、導電性カーボンブラックを高濃度に配合して
も流動性があまり低下せず、高い導電性と良好な流動性
を兼ね備えている。またポリアミド系樹脂と導電性カー
ボンブラックとは強固に接着しているためか、機械的物
性も極めて良好である。
【0017】ポリアミド系樹脂に代えてポリエチレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル系樹脂を使用した場合、導電性カーボンブラック
の含有量がわずかであっても樹脂の溶融粘度が急上昇し
て流動性を失い、所望の導電性能を持ち、かつ繊維化で
きる導電ポリマー層(C)を形成し得ない。また、ポリ
アミド系樹脂に代えてポリエチレン、ポリプロピレン等
のポリオレフィン系樹脂を使用した場合、導電性カーボ
ンブラックとの接着性が悪く、導電ポリマー層(C)の
機械的物性がかなり低下するためか短期間での実着用で
導電ポリマー層(C)が切断され、複合繊維の除電性能
が失われ実着用耐久性がない。
【0018】このように、汎用樹脂の中で導電ポリマー
層(C)を構成する樹脂としてはポリアミド系樹脂が最
適である。かかるポリアミド系樹脂としては、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン12、メタキシレンジアミ
ンナイロンまたはこれらを主成分とする樹脂等が挙げら
れる。これらの樹脂は、導電性カーボンブラックの他に
酸化錫で被覆された酸化チタン等の導電性金属酸化物、
ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンエーテル等
の帯電防止向上剤等公知の添加剤が含有されていてもよ
い。
【0019】本発明に係わる複合繊維(イ)の各層の複
合比は任意であるが、紡糸、延伸等の工程性を良好にす
るために、保護ポリマ−層(A)が複合繊維全体に対し
て60重量%以上、とくに70重量%以上であることが
好ましく、隠蔽ポリマ−層(B)と導電ポリマ−層
(C)との重量比が(B)/(C)=0.8〜20であ
ることが好ましい。とくに各層の複合比が、下記の関係
式(1)および(2)を同時に満足することが好まし
い。
【0020】 0.11≦y/x≦1.82 (1) 0.35≦z/(x+y) (2) (ただし、xは繊維断面における導電ポリマー層(C)
の最長径、yは繊維断面における隠蔽ポリマー層(B)
の最小厚さおよびzは繊維断面における保護ポリマー層
(A)の最小厚さを示す。)
【0021】y/xが0.11未満では隠蔽ポリマー層
(B)中の無機微粒子の含有量を多くしても隠蔽効果は
低い。一方、y/xが1.82を越える場合、隠蔽ポリ
マー層(B)による隠蔽効果は向上するが導電性能、繊
維化工程性が低下し好ましくない。また、z/(x+
y)が0.35未満では、繊維化工程性、特に紡糸、延
伸時の断糸、毛羽が多発し、工程性が低下する。z/
(x+y)の上限については導電性が発現でき得るので
あれば特に制限はない。好ましい複合比は0.20≦y
/x≦1.50、0.40≦z/(x+y)であり、特
に好ましい複合比は0.30≦y/x≦1.00、0.
50≦z/(x+y)≦1.50である。
【0022】ここで、xは導電性ポリマー層(C)の最
長径を示すが、後述するように導電性ポリマー層(C)
の形状は円、楕円、多角形と多々ある。円、楕円の場合
は直径、長軸を指し、多角形の場合は辺、対角線を含
め、その中で最も長いものを指す。また、yは隠蔽ポリ
マー層(B)の最小厚さを示すが、これは導電ポリマー
層(C)の外周と隠蔽ポリマー層(B)の外周とで形成
される隠蔽ポリマー層(B)の最小厚さを指す。さらに
zは保護ポリマー層(A)の最小厚さを示すが、これは
隠蔽ポリマー層(B)の外周と保護ポリマー層(A)の
外周とで形成される保護ポリマー層(A)の最小厚さを
指す。
【0023】繊維化工程性、導電性能等を考慮して、導
電性カーボンブラック量、無機微粒子量、各ポリマー層
の複合化比率を適宜選択することにより、1KVの直流
電圧におけるフィラメント抵抗が9×1010Ω/cm・
f以下であり、白度指数が25以上の導電性複合繊維
(イ)を得ることができる。
【0024】本発明にかかわる複合繊維(イ)の複合形
状は、カ−ボンブラック使用の導電性複合繊維の欠点で
ある着色性が軽減されるような複合形状であればとくに
限定されないが、着色が非常に少ない点において、導電
ポリマー層(C)および隠蔽ポリマー層(B)が繊維の
長さ方向へ連続しており、かつ導電ポリマー層(C)の
周囲に隠蔽ポリマー層(B)、さらにその外周に保護ポ
リマー層(A)が位置する複合形状であることが好まし
い。例えば図1イ〜ホのような芯鞘型の断面構造を有す
る繊維が好適例として挙げられるが、これらに限定され
るものではなく、芯鞘の形状が円形、多角形等種々用い
られる。また芯鞘型の断面は同心配置のみでなく、偏心
配置することもでき、芯の断面形状は円形に限らず楕
円、多角形等であってもかまわない。特に芯部が凹凸や
鋭い角をもつことは除電性能上むしろ好ましいものであ
る。同様に複合繊維の断面形状も円形であっても非円形
であってもよい。さらに、本発明においては、導電ポリ
マー層(C)が隠蔽ポリマー層(B)に完全に被覆され
ている必要はなく、また、隠蔽ポリマー層(B)が保護
ポリマー層(A)に完全に被覆されている必要もなく、
本発明の目的の一つである審美性を満足するのであれば
複合繊維表面に隠蔽ポリマー層(B)または導電ポリマ
ー層(C)が露出していてもよい。
【0025】本発明にかかわる複合繊維(イ)を製造す
るには、従来公知の複合繊維製造方法を採用することが
できる。例えば、500〜2500m/分の速度で通常
の紡糸をし、その後延伸、熱処理する方法、1500〜
5000m/分の速度で紡糸をし、延伸、仮撚加工を続
いて行う方法、5000m/分以上の高速で紡糸し、延
伸工程を省略する方法等、任意の製造条件が採用され
る。そして、このような方法で得られた複合繊維(イ)
の繊度は15デニ−ル以下であることが必要である。繊
度を15デニ−ル以下にすることにより、ポリエステル
系マルチフィラメント(ロ)との混繊交絡性が良好にな
り、審美性の点で優れた混繊糸が得られるのである。
【0026】上述の複合繊維(イ)は、従来の白色系金
属酸化物を導電発現物質として用いた導電性複合繊維に
比べ、耐久性は一段と優れるが、該繊維を織編物に混用
して長期間着用している過程で、布帛の種々の変形に対
して導電層が切断する等のトラブルが発生し、除電性能
が低下する場合がある。長期に亘る着用、とくに布帛の
変形量の多い用途に用いられる場合には、上述の複合繊
維を一構成成分とした混繊糸にすることにより、長期に
亘る除電耐久性が向上することがわかった。
【0027】本発明に係わる非導電性ポリエステル系マ
ルチフィラメント(ロ)は、テンションメンバ−として
の役割、高隠蔽性の確保、風合の3点を十分に満足する
ものでなくてはならない。また、該ポリエステル系マル
チフィラメント(ロ)は十分に配向された構造を有し、
引張り等の外力に対し大きな抵抗力を有している必要が
ある。すなわち、大きな切断強度、低い破断伸度を有し
ていることが好ましい。たとえば切断強度としては3.
0g/d以上、とくに4.5g/d以上、破断伸度とし
ては15%以下、とくに10%以下であることが望まし
い。また高隠蔽性の混繊糸を得るためには、ポリエステ
ル系マルチフィラメント(ロ)の熱水収縮率(Wsr)
が、複合繊維(イ)のWsrに対して下記式を満足して
いることが好ましい。
【0028】 0≦|Wsr(ロ)−Wsr(イ)|≦9% (3) 〔ただし、Wsr(イ)は複合繊維(イ)の熱水収縮
率、Wsr(ロ)はポリエステル系マルチフィラメント
(ロ)の熱水収縮率を示す。〕
【0029】Wsr(ロ)−Wsr(イ)の値が9%を
越えると、混繊糸の白度指数が高くなったとしても、加
工収縮後の複合繊維(イ)が収縮差によりたるみを生
じ、混繊糸の外に露出することになり審美性が損なわれ
ることになる。一方、Wsr(ロ)−Wsr(イ)の値
が−9%未満では、ポリエステル系マルチフィラメント
(ロ)が収縮差によりたるみを生じ、テンションメンバ
−としての役割を失い、導電性混繊糸としての性能を十
分に発揮することができなくなる。
【0030】また、ポリエステル系マルチフィラメント
(ロ)の繊度は3デニ−ル以下であることが必要であ
る。繊度が3デニ−ルを越えると、上述の複合繊維
(イ)との混繊交絡性が劣ったものとなり、審美性、隠
蔽性を損なうことになる。さらに、隠蔽性の見地から、
該ポリエステル系マルチフィラメント(ロ)の白度指数
は85以上であることが好ましい。
【0031】つぎに、本発明の導電性混繊糸について説
明する。本発明の混繊糸は、上述した制電性を担う導電
性複合繊維(イ)と非導電性ポリエスエル系マルチフィ
ラメント(ロ)とを通常の混繊(合糸)によって得るこ
とができる。混繊するに際し、複合繊維(イ)とポリエ
ステル系マルチフィラメント(ロ)とが分離しないよう
に適当な手段で一体化することが必要である。そのため
に加撚、巻き付け等の方法があるが、エア−交絡法によ
り一体化することにより、隠蔽性が高くなるので好まし
い。本発明の効果の一つである隠蔽性を達成するための
交絡数は5個/m以上である。ここで、交絡数とは、
0.02g/dの張力下の糸条の非交絡部分にピンを刺
し、0.1g/dの張力でピンを糸条方向に移動させ、
ピンが動かなくなった点を交絡部とし、1mあたりの個
数を示すものである。
【0032】また、本発明の混繊糸は、隠蔽性を示す白
度指数が55以上であることが必要である。混繊糸の白
度指数が55未満の場合、該混繊糸を織り編み込んだ布
帛を淡色に着色することが困難となり、ファッション性
に欠けたものとなる。
【0033】多くの場合、混繊糸は単独よりも、天然繊
維あるいは合成繊維などとの交撚糸としてファブリケ−
ションに使用されており、本発明の混繊糸においても、
これらの他の繊維との交撚糸として使用することができ
る。混繊糸の繊度はそれ程大きい必要はなく、たとえば
50〜200デニ−ル、とくに60〜100デニ−ルの
範囲が好適である。混繊糸における複合繊維(イ)とポ
リエステル系マルチフィラメント(ロ)との混繊比は
(イ):(ロ)=10:90〜50:50(重量比)で
あることが必要である。複合繊維(イ)の混繊率が10
重量%未満の場合、混繊時の交絡性が劣るため工程通過
性が悪い。一方、複合繊維(イ)の混繊率が50重量%
を越えると、混繊糸としての隠蔽性が悪くなり審美性が
悪くなる。また、混繊糸の隠蔽性を高めるうえで、混繊
糸を構成するポリエステル系マルチフィラメント(ロ)
のフィラメント数(単繊維数)は複合繊維(イ)のフィ
ラメント数(単繊維数)の5倍以上であることが必要で
ある。
【0034】このようにして得られた本発明の混繊糸
は、他の帯電性の繊維、たとえば絹、セルロ−ス、羊
毛、アセテ−ト、ポリアミド、ポリエステル、ポリビニ
ル等の天然あるいは合成繊維と混用して織物、編物、カ
−ペット、縫い糸等の繊維製品を製造することができ
る。
【0035】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれら実施例により何等限定されるもの
ではない。なお、実施例中における各物性値は下記の方
法により測定、算出した。 (1)PETまたはPBTの固有粘度〔η〕(dl/g) フェノ−ル/テトラクロロエタン(等重量)混合溶媒を
用いて、30℃で測定した。
【0036】(2)芯抵抗(Ω/cm・f) 導電性繊維を10cm長さに切断し、切断断面に導電塗
料(ド−タイト)を塗布して繊維端部を固定した後、該
反歩を電極として印加電圧1KVにおける電気抵抗を測
定して算出した。 (3)帯電電荷量(μ・ク−ロン/m2 ) 労働省産業安全研究所発行の静電気安全指針のRIIS
TR78−1によって行なった(22℃、30%RHの
部屋に24時間放置後測定)。
【0037】(4)繊維の強度(g/デニ−ル)および
初期ヤング率(g/デニ−ル) 島津製作所製、島津オ−トグラフ2000Aを用いて測
定した。 (5)白度指数 JIS L 1013 B法に準拠して求めた。すなわ
ち、試料の筒編地を作製し、それを8つ折りにして分光
光度計(307型、日立製)を用いて、標準白板に対す
る波長450nm、550nmの反射率を求め、下記式
により白度指数を求めた。 白度指数=4R1 −3R21 :450nmにおける反射率 R2 :550nmにおける反射率 (6)熱水収縮率(Wsr:%) 測定する試料に初荷重0.05g/dをかけて長さ30
cmの点に印をつけ、ついでフリ−の状態で100℃の
沸水中に30分間浸漬した後、0.05g/dの荷重を
かけ前記点の収縮率を求めた。
【0038】実施例1導電ポリマ−層(C)として、導
電性カ−ボンブラックを35重量%含有したナイロン6
を用い、隠蔽ポリマ−層(B)として、二酸化チタン微
粒子(平均粒子径0.2μ)を50重量%含有したナイ
ロン6を用い、そして保護ポリマ−層(A)として二酸
化チタンを0.5重量%含有した極限粘度が0.65の
ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)を用い、繊維断
面における複合比が、y/x=0.23、z/(x+
y)=0.85になるように三層芯鞘型複合繊維(図1
のイ)を1000m/分の速度で紡糸し、ついで延伸を
行ない、25デニ−ル/2フィラメントの導電性複合繊
維を得た。得られた複合繊維のフィラメント芯抵抗は3
×107 Ω/cm・f、白度指数は41.4、Wsrは
4.5%であった。また、繊維化工程性は良好で問題は
なかった。一方、極限粘度が0.69のPETのチップ
を用いて1000m/分の速度で紡糸・延伸し、30デ
ニ−ル/72フィラメントのマルチフィラメント(酸化
チタン0.5重量%含有、白度指数89.0)を得た。
このマルチフィラメントを仮撚数3723T/M、SP
回転数373000rpm、仮撚温度210℃にて仮撚
し、切断強度3.42g/d、Wsr4.8%の仮撚糸
を得た。複合繊維を1.64%のオ−バ−フィ−ド、ポ
リエステルマルチフィラメントを0.55%のオ−バ−
フィ−ドにて1:1の割合でエア−交絡域に供給し、エ
ア−圧2.0kg/cm2 の条件にて混繊し、ついで1
80℃で熱セットした後巻き取って、交絡数が48個/
mであり、白度指数が72.0の55デニ−ル/74フ
ィラメントの混繊糸を得た。
【0039】この混繊糸を、PET/綿=65/35、
綿番手20s/2の経糸に80本に1本の割合で打ち込
んで、経糸80本/インチ、緯糸50本/インチの1/
2ツイル織物とした。続いて通常のポリエステル混綿織
物の条件で染色仕上げを行なった。導電性カ−ボンブラ
ックの隠蔽性は良好であり、審美性に優れた織物が得ら
れた。この織物の帯電電荷量は3.7μ・ク−ロン/m
2 であった。この織物を2年間着用し、その間約500
回洗濯を繰り返した後の帯電電荷量は3.8μ・ク−ロ
ン/m2 、芯抵抗は3.5×107 Ω/cm・fであっ
た。
【0040】実施例2 ポリエステル系マルチフィラメントとして、極限粘度が
0.69のPETチップを用いて1000m/分の速度
で紡糸・延伸して得られた30デニ−ル/72フィラメ
ントのPETマルチフィラメント(酸化チタン含有0.
5重量%含有、白度指数89.0、切断強度3.8g/
d、Wsr7.8%)を用いた以外は、実施例1と同様
にして混繊糸を製造した。該混繊糸の白度指数は68.
0であった。また、この混繊糸を用いて実施例1と同様
にして織物を作製して評価したところ、審美性に優れ、
かつ除電性能、実用耐久性のあるものであった。
【0041】比較例1 ポリエステル系マルチフィラメントとして、極限粘度が
0.69のPETチップを用いて紡糸・延伸して得られ
た30デニ−ル/6フィラメントのPETマルチフィラ
メント(酸化チタン含有0.5重量%含有)を用いた以
外は実施例1と同様にして混繊糸を製造した。得られた
混繊糸の白度指数は50.0であり、該混繊糸を用いた
織物は審美性に欠けるものであった。
【0042】実施例3〜12 実施例2において、導電性複合繊維(イ)を構成する各
層のポリマ−の種類、無機微粒子の含有量、PETマル
チフィラメント(ロ)の繊度、交絡数を表1〜2に示す
ように変えた以外は同様にして混繊糸を得、これらの混
繊糸を用いて織物を作製して評価を行なった。結果を表
1〜2に示す。いずれの混繊糸も白度指数が高く、織物
にした場合の審美性にも優れていた。また、除電耐久性
にも優れていた。
【0043】実施例13 実施例2において、三層芯鞘型複合繊維を紡糸速度35
00m/分で紡糸した25デニ−ル/2フィラメントの
糸をそのまま導電性複合繊維(イ)として用い、他は同
じ条件で同様にして混繊糸を作製した。この混繊糸を用
いて織物を作製して評価を行なった。結果を表1〜2に
示す。導電性複合繊維(イ)とPETマルチフィラメン
トとのWsr差が大きいため、すなわち、導電性複合繊
維(イ)のWsrが大きいため、加工工程中に該複合繊
維(イ)が緊張状態になり、見掛けの審美性は良好であ
ったが、2年間も着用していると導電性複合繊維(イ)
の断糸が生じ、実用耐久性に若干問題があった。
【0044】実施例14 実施例2において、PETマルチフィラメントとして、
紡糸速度3500m/分の速度で紡糸した30デニ−ル
/72フィラメントの高配向未延伸マルチフィラメント
を用いた以外は同様にして混繊糸を作製した。この混繊
糸を用いて織物を作製して評価を行なった。結果を表1
〜2に示す。織物の表面に導電性複合繊維(イ)が露出
している部分があり、審美性に若干劣っていた。また織
物表面に露出している導電性複合繊維(イ)が着用時に
断糸することがあり、実用耐久性に若干問題があった。
【0045】比較例2 実施例2において、導電性複合繊維(イ)を構成する隠
蔽ポリマ−層に含まれる無機微粒子の量を7重量%に
し、複合比を表1に示すようにする以外は同様にして導
電性複合繊維(イ)を得、混繊糸を作製した。該混繊糸
の白度指数が低いため、審美性が非常に劣る織物しか得
られなかった。
【0046】比較例3 実施例2において、導電性複合繊維(イ)を構成する隠
蔽ポリマ−層に含まれる無機微粒子の量を7重量%に
し、複合比を表1に示すようにする以外は同様にして導
電性複合繊維(イ)を得ようとしたが、延伸時に糸切れ
が多発し、満足な導電性複合繊維を得ることができなか
った。
【0047】比較例4 二酸化チタンを15重量%含有したPET(極限粘度
0.69)を鞘に、カ−ボンブラックを35重量%含有
したナイロン6を芯にした芯鞘複合繊維(芯:鞘=5
0:50、重量比)を製造し、実施例2と同様にして混
繊糸を作製した。得られた複合繊維は繊維化工程中にお
いてガイド等の接触部品の摩耗が激しく、また混繊糸の
白度指数が低いため、審美性が非常に劣る織物しか得ら
れなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【発明の効果】本発明の混繊糸を含有する布帛は、導電
性発現物質としてカ−ボンブラックを用いているにも拘
らず、審美性に優れ、また実着用2年後においてもその
除電性能の低下は見られず、着用耐久性にも優れたもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる導電性複合繊維の繊維断面の
好ましい例である。
【符号の説明】
A:保護ポリマ−層 B:隠蔽ポリマ−層 C:導電ポリマ−層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D02G 3/00 - 3/04 D01F 8/12 D01F 6/90

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維形成性熱可塑性樹脂からなる保護ポ
    リマ−層(A)、無機微粒子を10〜80重量%含有す
    る熱可塑性樹脂からなる隠蔽ポリマ−層(B)、および
    導電性カ−ボンブラックを15〜50重量%含有するポ
    リアミド系樹脂からなる導電ポリマ−層(C)で構成さ
    れ、単繊維繊度が15デニ−ル以下である導電性複合繊
    維(イ)が10〜50重量%、および単繊維繊度が3デ
    ニ−ル以下の非導電性ポリエステル系マルチフィラメン
    ト(ロ)が90〜50重量%からなる混繊糸であって、
    (ロ)の単繊維数が(イ)の単繊維数の5倍以上、交絡
    が5個/m以上、かつ白度指数が55以上であること
    を特徴とする導電性混繊糸。
  2. 【請求項2】導電性複合繊維(イ)が層(C)の周囲に
    層(B)、さらにその外層に層(A)が位置する繊維断
    面を有し、かつ、各層の複合比が下記の関係式(1)お
    よび(2)を同時に満足する繊維であることを特徴とす
    る請求項1記載の導電性混繊糸。 0.11≦y/x≦1.82 (1) 0.35≦z/(x+y) (2) 〔ただし、xは繊維断面における導電ポリマ−層(C)
    の最長径、y繊維断面における隠蔽ポリマ−層(B)の
    最小厚さおよびzは繊維断面における保護ポリマ−層
    (A)の最小厚さを示す。〕
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