JP3078461B2 - 高耐摩耗パーライト系レール - Google Patents
高耐摩耗パーライト系レールInfo
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Description
のレールに要求される耐摩耗性を備えた高耐摩耗パーラ
イト系レールに関するものである。
速度の向上や列車積載重量の増加が図られている。この
ような鉄道輸送の効率化はレール使用環境の過酷化を意
味し、レール材質の一層の改善が要求されるに至ってい
る。具体的には、海外の重荷重鉄道の曲線区間に敷設さ
れたレールでは摩耗が急激に増加し、レールの高寿命化
の点で問題視されるようになった。
理技術の向上により、共析炭素鋼を用いた微細パーライ
ト組織を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レー
ルが開発され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛
躍的に改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または、微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報)。 Cr、Nbなどの合金を添加し、耐摩耗性ばかりでな
く溶接部の硬度低下を改善した低合金熱処理レールの製
造法(特公昭59−19173号公報)。
による微細パーライト組織を呈する高強度(高硬度)レ
ールであり、その目的とするところは耐摩耗性を向上さ
せるところにあった。しかし、近年海外の重荷重鉄道で
はより一層の鉄道輸送の高効率化のために貨物の高軸重
化(列車積載重量の増加)を強力に進めており、特に急
曲線のレールでは上記開発のレールを用いても耐摩耗性
が確保できず、摩耗によるレール寿命の低下が問題とな
ってきた。このような背景から現状の共析炭素鋼の高強
度レール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求めら
れるようになってきた。
いられてきた共析炭素成分のパーライト組織は硬さの低
いフェライト組織と板状の硬いセメンタイト組織の層状
構造になっており、パーライト組織の耐摩耗性を向上さ
せる方法としては、一般的にはパーライト組織中のラメ
ラ間隔:λ[λ=(フェライト厚さ:t1 )+(セメン
タイト厚さ:t2)]を小さくし硬度を向上させる方法
がある。例えば、Metallurgical transac-tions Vol.7A
(1976)P.1217のFig.1 に示されているように、パーライ
ト組織中のラメラ間隔を微細化すると硬度が大きく向上
する。しかし、共析炭素鋼の微細パーライト組織を呈し
た高硬度レールでは現状のパーライト硬さが上限であ
り、硬さの向上を狙って熱処理冷却速度の増加や合金添
加によりパーライトラメラ間隔をさらに微細化しようと
すると、パーライト組織中に硬いマルテンサイト組織が
生成し、レールの靭性と耐摩耗性を低下させるといった
問題点があった。
ト組織より耐摩耗性が高い金属組織を呈した材料をレー
ル鋼として使用する方法が考えられるが、レールと車輪
のようなころがり摩耗では微細パーライト組織よりも安
価で耐摩耗性に優れた材料は見いだされていないのが現
状である。
はじめに車輪の通過により柔らかなフェライト組織が絞
り出され、その後ころがり面直下に硬いセメンタイトの
みが積み重なり、これに加工硬化が加わって耐摩耗性が
確保されていることが実験により確認された。そこで、
本発明者らは強度(硬度)を得るためにパーライトラメ
ラ間隔を微細化すると同時に、炭素量を高くしてパーラ
イト組織の耐摩耗を確保している板状の硬いセメンタイ
ト組織比率を増加させ、ころがり面直下でのセメンタイ
ト密度を高めることにより靭性および延性を損なわず、
耐摩耗性が飛躍的に向上することを実験により見いだし
た。すなわち本発明は、高軸重鉄道や曲線区間のレール
に要求される耐摩耗性に優れたレールを低コストで提供
することを目的とするものである。
するものであって、その要旨とするところは、(1)重
量%で、C:0.85%を超えて1.20%以下を含有
する鋼レールあって、該鋼レールの少なくとも一部、ま
たは少なくともレール頭部表面から該頭部表面を起点と
して深さ20mmの範囲がパーライト組織を呈し、そのパ
ーライトラメラ間隔:λ[λ=(フェライト厚さ:
t1 )+(セメンタイト厚さ:t2)]が100nm以下
で、かつ、パーライト組織中のフェライト厚さ(t1 )
に対するセメンタイト厚さ(t2 )の比:Rc(Rc=
t2 /t1 )が0.15以上であることを特徴とする高
耐摩耗パーライト系レールであり、また、(2)重量%
で、C :0.85超〜1.20%、 Si:0.
10〜1.00%、Mn:0.40〜1.50%を含有
して、さらに必要に応じて、Cr:0.05〜0.50
%、 Mo:0.01〜0.20%、V :0.
02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.0
5%、Co:0.10〜2.00%の1種または2種以
上を含有して、残部が鉄および不可避不純物からなる鋼
レールであって、該鋼レールの少なくとも一部、または
少なくともレール頭部表面を起点として深さ20mmの範
囲がパーライト組織を呈し、そのパーライトラメラ間
隔:λ[λ=(フェライト厚さ:t1 )+(セメンタイ
ト厚さ:t2 )]が100nm以下で、かつ、パーライト
組織中のフェライト厚さ(t1 )に対するセメンタイト
厚さ(t2 )の比:Rc (Rc =t2 /t1 )が0.1
5以上であることを特徴とする高耐摩耗パーライト系レ
ールである。
ず、本発明においてレールの化学成分を上記のように限
定した理由について説明する。Cはパーライト組織を生
成させて耐摩耗性を確保する有効な元素であり、通常レ
ール鋼としてはC量0.60〜0.85%が用いられて
いるが、C量が0.85%以下では耐摩耗性を確保して
いるパーライト組織中のフェライト厚さ(t1)に対す
るセメンタイト厚さ(t2 )の比:Rc (Rc =t2 /
t1 )を0.15以上に確保できず、さらに、焼き入れ
性の低下からパーライト組織式中のラメラ間隔を100
nm以下にすることができない。また、C量が1.20%
を超えるとオーステナイト粒界の初析セメンタイトの量
が増加し、延性・靭性が大きく低下するため、C量を
0.85超〜1.20%に限定した。
る。Siはパーライト組織中のフェライト相への固溶体
硬化により強度を向上させ、わずかながらレール鋼の靭
性を改善させる元素であるが、0.10%未満ではその
効果が十分に期待できず、また、1.20%を超えると
脆化をもたらし溶接性も低下するので、Si量を0.1
0〜1.20%に限定した。
させ、焼き入れ性を高めることによって高強度化に寄与
し、さらに、初析セメンタイトの生成を抑制する元素で
あるが、0.40%未満の含有量ではその効果が小さ
く、また、1.50%を超えると偏析部にマルテンサイ
ト組織を生成させ易くするためにMn量を0.40〜
1.50%に限定した。
は強度、延性、靭性を向上させる目的で以下の元素を必
要に応じて1種または2種以上を添加する。Cr:0.
05〜0.50%、 Mo:0.01〜0.20%、
V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜
0.050%、Co:0.10〜2.00%
めた理由について説明する。Crはパーライトの平衡変
態点を上昇させ、結果としてパーライト組織を微細にし
て高強度化に寄与すると同時に、パーライト組織中のセ
メンタイト相を強化することによって耐摩耗性を向上さ
せる元素であるが、0.05%未満ではその効果が小さ
く、0.50%を超える過剰な添加はマルテンサイト組
織を生成させ、鋼を脆化させるるため、Cr添加量を
0.05〜0.50%に限定した。
上昇させ、結果としてパーラト組織を微細にして高強度
化に寄与し、耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.
01%未満ではその効果が小さく、0.20%を超える
過剰な添加はパーライト変態速度を低下させて靭性に有
害なマルテンサイト組織を生成させるため、Mo添加量
を0.01〜0.20%に限定した。
炭、窒化物による析出硬化で塑性変形能を高め、高温度
に加熱する熱処理が行われる際にオーステナイト粒の成
長を抑制する作用によりオーステナイト粒を微細化さ
せ、冷却後のパーライト組織を強化して、レールに要求
される強度と靭性を向上させるのに有効な成分である
が、0.03%未満ではその効果が期待できず、その反
対に0.30%を超えて含有させてもそれ以上の効果が
期待できないことから、V量を0.03〜0.30%に
限定した。
てオーステナイト粒を細粒化する有効な元素であり、そ
のオーステナイト粒成長抑制効果もVよりも高温度(1
200℃近傍)まで効果を示し、レールの延性と靭性を
改善する。その効果は、0.002%未満の少ない含有
量では期待できず、また、0.050%を超える過剰な
含有はそれ以上の効果が期待できない。従って、Nb量
を0.002〜0.050%に限定した。
させて、パーライト組織を微細にすることにより強度を
向上させる元素であるが、0.10%未満の少ない含有
量ではその効果が期待できず、また2.00%を超える
過剰な添加では強化の効果が飽和域に達するため、Co
量を0.10〜2.00%に限定した。
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分解法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に加熱されたレールの頭部を加
速冷却し、レール頭部パーライト組織のラメラ間隔を微
細化する。
ましくは、少なくともレール頭部表面から該頭部表面を
起点として深さ20mmとしたのは、20mm未満であれば
レール頭部耐摩耗範囲が少なく、十分なレールの高寿命
化効果が得られないためである。また、前記パーライト
組織を呈する範囲がレール頭部表面から該頭部表面を起
点として深さ30mm以上の範囲であれば、十分な高寿命
効果が得られより望ましい。なお、前記レール頭部表面
とは、レール頭頂部およびレール頭側部、すなわち特に
列車の車輪踏面およびフランジの接する部分である。
ェライト厚さ:t1 +セメンタイト厚さ:t2 )、パー
ライト組織中のフェライト厚さに対するセメンタイト厚
さの比:Rc (Rc =t2 /t1 )について前記のよう
に定めた理由について説明する。まず、パーライトラメ
ラ間隔:λを100nm以下に限定した理由について説明
する。ラメラ間隔を100nm以上にすると、パーライト
組織の硬度を確保することが難しく、セメンタイト厚さ
の比:Rc (Rc =t2 /t1 )を0.15以上確保し
ても輪重15トンにもおよぶ海外重荷重鉄道の急曲線の
レールで要求されている耐摩耗性を確保できない。ま
た、レール頭表面において塑性変形を起因としたきしみ
割れなどの表面損傷を誘発するためパーライトラメラ間
隔:λを100nm以下に限定した。
(t1 )に対するセメンタイト厚さ(t2 )の比:Rc
(Rc =t2 /t1 )を0.15以上に限定した理由
は、Rc を0.15以下にすると、パーライト鋼の耐摩
耗性を確保しているころがり面直下でのセメンタイト密
度を高めることが困難となり、従来の共析成分のレール
と比較して耐摩耗性の向上が認められないからであり、
そこでRc を0.15以上に限定した。
イト厚さ:t1 およびセメンタイト厚さ:t2 の測定は
ナイタールおよびピクラールなど所定の腐食液でエッチ
ングし、場合によっては腐食した試料の表面より2段レ
プリカを採取する。さらに、これらを走査型電子顕微鏡
で10視野観察し、各視野においてλ、t1 、t2 を測
定しそれを平均する。
ト組織であることが望ましいが、レールの冷却方法や素
材の偏析状態によってはパーライト組織中に微量な初析
セメンタイトが生成することがある。しかし、パーライ
ト組織中に微小な初析セメンタイトが生成してもレール
の耐摩耗性、強度、靭性に大きな影響をおよぼさないた
め、本パーライト系レールの組織としては若干の初析セ
メンタイト組織の混在も含んでいる。
1には、本発明のパーライト組織のレール鋼と比較レー
ル鋼の化学成分を示す。また、表2にこれら材料のラメ
ラ間隔:λ[λ=(フェライト厚さ:t1 )+(セメン
タイト厚さ:t2 )]、フェライト厚さ(t1 )に対す
るセメンタイト厚さ(t2 )の比:Rc (Rc =t2 /
t1 )、および西原式摩耗試験における乾燥条件下での
50万回繰り返し後の摩耗量測定結果を示す。
ル鋼のラメラ間隔(λ)と摩耗量の関係を、図2に本発
明レール鋼(符号:H)の10000倍のミクロ組織一
例を示す。図2は、本発明レール鋼を5%ナイタール液
でエッチングし、走査型電子顕微鏡で観察したものであ
り、図中の白い部分がセメンタイト層、黒い部分がフェ
ライト層である。
る。 ・本発明レール(10本) 符号A〜J:上記成分範囲
で、そのパーライトラメラ間隔:λ(λ=フェライト厚
さ:t1 +セメンタイト厚さ:t2 )が100nm以下
で、かつ、パーライト組織中のフェライト厚さ(t1 )
に対するセメンタイト厚さ(t2 )の比:Rc (Rc =
t2 /t1 )が0.15以上の頭部に加速冷却を施した
熱処理レール。 ・比較レール(6本) 符号K〜P:共析炭素含有鋼に
よる比較レール。
mm) ・試験荷重 :686N ・すべり率 :9% ・相手材 :焼き戻しマルテンサイト鋼(HV35
0) ・雰囲気 :大気中 ・冷却 :圧搾空気による強制冷却(流量:100
Nl (リッター)/min) ・繰返し回数:70万回
メラ間隔(λ)を微細化すると同時に、比較レール鋼よ
りもフェライト厚さ(t1 )に対するセメンタイト厚さ
(t2)の比:Rc (Rc =t2 /t1 )を高めること
により、比較レールよりも同一ラメラ間隔において摩耗
量が少なく、耐摩耗性が飛躍的に向上している。このよ
うに本発明によれば、高軸重鉄道の曲線区間においても
耐摩耗性に優れたレールを提供することができる。
をラメラ間隔と摩耗量の関係で比較したものである。
層間隔の一例を示したものである。
Claims (6)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.85%を超えて1.
20%以下を含有する鋼レールであって、該鋼レールの
少なくとも一部がパーライト組織を呈し、前記パーライ
ト組織のパーライトラメラ間隔が100ナノメーター
(nm)以下で、かつ、パーライト組織中のフェライト厚
さに対するセメンタイト厚さの比が0.15以上である
ことを特徴とする高耐摩耗パーライト系レール。 - 【請求項2】 重量%で、C:0.85を超えて1.2
0%以下を含有する鋼レールであって、該鋼レールの少
なくともレール頭部表面から該頭部表面を起点として深
さ20mmの範囲がパーライト組織を呈し、前記パーライ
ト組織のパーライトラメラ間隔が100nm以下で、か
つ、パーライト組織中のフェライト厚さに対するセメン
タイト厚さの比が0.15以上であることを特徴とする
高耐摩耗パーライト系レール。 - 【請求項3】 重量%で、 C :0.85%を超えて1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、残部が鉄およ
び不可避的不純物からなる鋼レールであって、該鋼レー
ルの少なくとも一部がパーライト組織を呈し、前記パー
ライト組織のパーライトラメラ間隔が100nm以下で、
かつ、パーライト組織中のフェライト厚さに対するセメ
ンタイト厚さの比が0.15以上であることを特徴とす
る高耐摩耗パーライト系レール。 - 【請求項4】 重量%で、 C :0.85を超えて1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、残部が鉄およ
び不可避的不純物からなる鋼レールであって、該鋼レー
ルの少なくともレール頭部表面から該頭部表面を起点と
して深さ20mmの範囲がパーライト組織を呈し、前記パ
ーライト組織のパーライトラメラ間隔が100nm以下
で、かつ、パーライト組織中のフェライト厚さに対する
セメンタイト厚さの比が0.15以上であることを特徴
とする高耐摩耗パーライト系レール。 - 【請求項5】 重量%で、 C :0.85を超えて1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、さらに Cr:0.05〜0.50%、 Mo:0.01〜0.20%、 V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.05%、 Co:0.10〜2.00%の1種または2種以上を含
有して、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼レー
ルであって、該鋼レールの少なくとも一部がパーライト
組織を呈し、前記パーライト組織のパーライトラメラ間
隔が100nm以下で、かつ、パーライト組織中のフェラ
イト厚さに対するセメンタイト厚さの比が0.15以上
であることを特徴とする高耐摩耗パーライト系レール。 - 【請求項6】 重量%で、 C :0.85を超えて1.20%以下、 Si:0.10〜1.00%、 Mn:0.40〜1.50%を含有して、さらに Cr:0.05〜0.50%、 Mo:0.01〜0.20%、 V :0.02〜0.30%、 Nb:0.002〜0.05%、 Co:0.10〜2.00%の1種または2種以上を含
有して、残部が鉄および不可避的不純物からなる鋼レー
ルであって、該鋼レールの少なくともレール頭部表面か
ら該頭部表面を起点として深さ20mmの範囲がパーライ
ト組織を呈し、前記パーライト組織のパーライトラメラ
間隔が100nm以下で、かつ、パーライト組織中のフェ
ライト厚さに対するセメンタイト厚さの比が0.15以
上であることを特徴とする高耐摩耗パーライト系レー
ル。
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1994
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