(エレベータシステムの構成例)
図1は、実施形態にかかるエレベータシステム10の全体構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施形態のエレベータシステム10は、群管理装置30、エレベータ制御装置40、乗りかご50、乗り場60、及び昇降路70を備える。
昇降路70は、エレベータシステム10の設置場所である建物等の内部に、複数の階層に亘って設けられている。複数の乗りかご50は、昇降路70内を昇降することで、利用者が乗車して異なる階層間を移動することが可能に構成される。建物等の各階層には、利用者が乗りかご50への乗降を行う乗り場60が設けられている。
昇降路70内には、ロープ71、カウンタウェイト72、及び巻き上げ機73が設けられている。
個々の乗りかご50は、ロープ71を介してカウンタウェイト72とそれぞれ連結されている。また、ロープ71は巻き上げ機73に架け渡されており、巻き上げ機73の駆動によりロープ71が送り動作されることで、乗りかご50がカウンタウェイト72とバランスを取りながら昇降路70内を昇降する。
個々の乗りかご50には、それぞれ行き先階呼び装置51、かごドア52、及び荷重センサ54が設けられている。
行き先階呼び装置51は、乗りかご50内に設けられ、行き先階を示すボタン等を有して構成されている。乗りかご50内の利用者が、所定の行き先階ボタンを押下することで、行き先階呼び装置51によって行き先階呼びが受け付けられ、後述のエレベータ制御装置40を介して群管理装置30へと送信され登録される。これにより、利用者は、乗りかご50を所望の行き先階へと向かわせることができる。
かごドア52は、乗りかご50の乗降口に設けられている。かごドア52は、乗りかご50が昇降路70内を移動中には閉状態となっており、乗りかご50が所定階の乗り場60に到着すると開状態となって、乗りかご50に対する利用者の乗降が可能となる。
荷重センサ54は、例えば乗りかご50外側の下面等に設けられ、乗りかご50全体の重量を検出する。乗りかご50自体の重量は既知であるので、乗りかご50全体の重量を検出することで、乗りかご50内の利用客等の合計の重量を検出することができる。これにより、乗りかご50内の利用者数を推定することが可能である。
階層ごとの乗り場60には、それぞれ乗り場呼び装置61、及び乗り場ドア62が設けられている。
乗り場呼び装置61は、上下ボタン等を有して構成されている。乗り場60の利用者が、上下ボタンのいずれかを押下することで、乗り場呼び装置61によって乗り場呼びが受け付けられ、後述のエレベータ制御装置40を介して群管理装置30へと送信され登録される。これにより、利用者は、所望の行き先階へと向かう乗りかご50を、乗り場60に呼ぶことができる。
乗り場ドア62は、乗り場60内の乗りかご50への乗降口に設けられている。乗り場ドア62は、乗りかご50がその乗り場60に到着するまでは閉状態となっており、乗りかご50が到着すると、乗りかご50のかごドア52と連動して開状態となる。これにより、乗りかご50に対して利用者が乗降することができる。
群管理装置30、及びエレベータ制御装置40は、それぞれCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。これらの群管理装置30、及びエレベータ制御装置40は、互いに情報の授受が可能なように、有線または無線で接続されている。
エレベータ制御装置40は、個々の乗りかご50ごとに設けられ、対応する乗りかご50をそれぞれ制御する。
群管理装置30は、エレベータ制御装置40を介して、対応する複数の乗りかご50の運行を制御する。より具体的には、群管理装置30は、行き先階呼び装置51からの行き先階呼び、及び乗り場呼び装置61からの乗り場呼びを登録し、複数の乗りかご50のいずれかを、これらの呼び登録に応答させる。
図2は、実施形態にかかるエレベータシステム10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、乗りかご50は、行き先階呼び装置51、かごドア52、及び荷重センサ54を備える。これらの行き先階呼び装置51、かごドア52、及び荷重センサ54は、エレベータ制御装置40と各種情報の授受を行う。
例えば、行き先階呼び装置51は、利用者による行き先階呼びを受け付けると、その行き先階呼びをエレベータ制御装置40へと送信する。また、かごドア52は、エレベータ制御装置40から受信した制御信号等に応じて開閉動作を行う。また、荷重センサ54は、乗りかご50の重量を検出し、エレベータ制御装置40へと送信する。
また、昇降路70には、巻き上げ機73が設けられ、エレベータ制御装置40と各種情報の授受を行う。具体的には、巻き上げ機73は、エレベータ制御装置40から受信した制御信号等に応じて駆動し、昇降路70内で乗りかご50を昇降させる。
また、乗り場60には、乗り場呼び装置61、及び乗り場ドア62が設けられている。これらの乗り場呼び装置61及び乗り場ドア62は、群管理装置30と各種情報の授受を行う。
例えば、乗り場呼び装置61は、利用者による乗り場呼びを受け付けると、その乗り場呼びを群管理装置30へと送信する。また、乗り場ドア62は、群管理装置30から受信した制御信号等に応じて開閉動作を行う。
エレベータ制御装置40は、機能部として、通信部41、制御部42、及び記憶部45を備える。これらの機能部は、例えばエレベータ制御装置40が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
通信部41は、エレベータ制御装置40の外部機器との通信を行う。
例えば、通信部41は、乗りかご50に設けられた行き先階呼び装置51、かごドア52、及び荷重センサ54、並びに昇降路70に設けられた巻き上げ機73と各種情報の授受を行って、これらの各部の状態情報を受信し、また、これらの各部を制御する制御信号等を送信する。また、通信部41は、乗りかご50内の行き先階呼び装置51から行き先階呼びを受信する。
また例えば、通信部41は、群管理装置30と各種情報の授受を行って、上記各部の状態情報、及び行き先階呼び装置51からの行き先階呼びを転送する。また、通信部41は、群管理装置30から上記各部への指示を受信する。
制御部42は、群管理装置30からの指示に基づいて、乗りかご50に設けられた行き先階呼び装置51、かごドア52、及び荷重センサ54、並びに昇降路70に設けられた巻き上げ機73を制御する制御信号を生成し、通信部41を介してこれらの各部を制御する。
記憶部45は、エレベータ制御装置40の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。
群管理装置30は、機能部として、通信部31、制御部32、解析部33、呼び管理部34、及び記憶部35を備える。これらの機能部は、例えば群管理装置30が備える上述のCPUが、ROM等に格納された制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
通信部31は、群管理装置30の外部機器との通信を行う。
例えば、通信部31は、エレベータ制御装置40との通信を行って、エレベータ制御装置40を介して乗りかご50の各部の状態情報、行き先階呼び装置51からの行き先階呼び、及び荷重センサ54からの検出結果等を取得する。また、通信部31は、エレベータ制御装置40に乗りかご50を制御させるための指令を送信する。
また例えば、通信部31は、乗り場60に設置される乗り場呼び装置61、及び乗り場ドア62等と通信を行って、これらの状態情報、及び乗り場呼び装置61からの乗り場呼びを取得する。また、通信部31は、乗り場60の各部を制御する制御信号を送信する。
制御部32は、乗り場60に設けられた乗り場呼び装置61、及び乗り場ドア62を制御する制御信号を生成し、通信部31を介してこれらの各部を制御する。また、制御部32は、行き先階呼び装置51から取得した行き先階呼び、または乗り場呼び装置61から取得した乗り場呼びに乗りかご50を応答させるための指示を生成し、通信部31を介して、生成した指示をエレベータ制御装置40へと送信する。
解析部33は、所定階の乗り場60から乗り場呼びがあると、機械学習によって構築された学習モデル37を用いて、所定の乗りかご50をその乗り場呼びに応答させた際に、その乗り場60で利用者の積み残しが発生する確率を算出する。乗り場60での積み残しの発生とは、例えば乗り場呼びに応答した乗りかご50に乗り切れない利用者が発生することである。
学習モデル37は、そのエレベータシステム1における複数の乗りかご50の運行状況等のデータを機械学習によって学習して得られたものであり、例えば群管理装置30の記憶部35に格納されている。
機械学習の対象となるデータとしては、例えば時間帯ごと、曜日ごと、季節ごと、あるいは天候ごとの複数の乗りかご50の運行状況を示すデータ等である。複数の乗りかご50の運行状況には、時々における複数の乗りかご50の配置、乗り場呼びまたは行き先階呼びへの割り当て状況、並びに、個々の乗り場60における積み残しの有無および積み残し人数等である。
個々の乗り場60における積み残しの有無は、例えばその乗り場60における乗り場呼びに応答させた後、所定時間内に、同じ方向へと走行する乗りかご50の呼びが発生したか否か等に基づいて推定可能である。また、乗り場60に乗車待ちの利用者がいる場合に、所定の乗りかご50が応答するまでに要した時間等からも積み残しの有無、及び積み残し発生時の未応答時間等を推定することができる。積み残し発生時の積み残し人数は、例えば積み残し発生後に、同じ方向へと走行する乗りかご50に乗車した人数等に基づいて推定可能である。
また、時間帯ごと、曜日ごと、季節ごと、あるいは天候ごとに、乗車待ちの利用者の多寡、及び人流等が異なり得る。また、季節によって利用者が厚着か薄着かが異なり、天候によっては雨具の持ち歩きが多くなり、これらの条件により乗りかご50への乗車可能人数も異なり得る。
以上のような機械学習は、例えば機械学習機能を備える不図示のコンピュータ等に、上記データを与えることで行われる。機械学習用のコンピュータは、与えられたデータに基づいて、積み残しの発生確率を算出可能な学習モデル37を構築する。機械学習用のコンピュータにより構築された学習モデル37は、群管理装置30の解析部33が利用可能なように、記憶部35等に格納される。
ただし、群管理装置30が機械学習機能を備えていてもよく、この場合、群管理装置30に上記データを蓄積し、群管理装置30自体が機械学習を行って、上記の学習モデル37を構築してもよい。
所定の乗り場60で乗り場呼びが発生すると、解析部33は、その時の複数の乗りかご50の運行状況、乗り場呼び発生の時間帯、曜日、季節、天候等を学習モデル37に当てはめて、乗り場呼びがあった乗り場60の待ち人数を推定する。
また、解析部33は、その乗り場呼びに応答するよう割り当てられた乗りかご50内の乗車人数を推定する。乗車人数は、例えば乗りかご50に設けられた荷重センサ54の検出結果から推定することができる。あるいは、解析部33が、乗り場60の待ち人数を推定する場合と同様、その時の各種状況を学習モデル37に当てはめて、乗りかご50内の乗車人数を推定してもよい。
さらに、解析部33は、乗り場呼びがあった乗り場60の待ち人数と、乗り場呼びに割り当てられた乗りかご50内の乗車人数との推定結果から、その乗り場60で積み残しが発生する確率を算出する。なお、乗り場60の待ち人数が多いほど、また、乗りかご50内の乗車人数が多いほど、その乗り場60で積み残しが発生する確率は高くなる。
積み残しの発生確率が所定値以上であった場合には、上述の制御部32が、例えば乗り場呼びに応答するよう割り当てられた乗りかご50に加えて、その乗り場60へと向かう他の乗りかご50を手配する。
呼び管理部34は、行き先階呼び装置51から取得した行き先階呼びを記憶部35に格納して行き先階呼び登録を行う。また、呼び管理部34は、乗り場呼び装置61から取得した乗り場呼びを記憶部35に格納して乗り場呼び登録を行う。
記憶部35は、群管理装置30の機能を実現させる制御プログラム及び制御パラメータ等を記憶する。また、記憶部35は呼び登録データベース36及び上述の学習モデル37を記憶する。呼び登録データベース36には、呼び管理部34により登録された行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等の呼び登録が格納される。
(エレベータシステムの動作例)
次に、図3及び図4を用いて、実施形態のエレベータシステム10の動作例について説明する。図3は、実施形態にかかるエレベータシステム10の動作の一例を示す模式図である。図4は、実施形態にかかるエレベータシステム10の動作の他の例を示す模式図である。
図3に示す例では、所定の階床の乗り場60において、下層階へと向かうための乗り場呼びが発生したものとする。また、上記の乗り場呼びの発生時、複数の乗りかご50のうち、1号機~3号機までの乗りかご50が、乗り場呼びのあった階床よりも上層階におり、これらの乗りかご50のいずれかを上記の乗り場呼びに応答させることが可能であるとする。群管理装置30は、1号機~3号機までの乗りかご50のうち、例えば1号機の乗りかご50を上記の乗り場呼びに応答させることを決定したものとする。
1号機の乗りかご50は、上層階から下降して、乗り場呼びがあった乗り場60に時刻t1に到着すると戸開する。これにより、その乗り場60で下層階へと向かう乗りかご50を待っていた利用者が、1号機の乗りかご50へと乗り込む。1号機の乗りかご50は、その後、時刻t3に戸閉して、その階床の乗り場60から下層階へと向けて出発する。
上記の乗り場呼びに割り当てられなかった2号機および3号機の乗りかご50は、それぞれ時刻t2と時刻t4とに、乗り場呼びがあった乗り場60を通過する。時刻t2は、1号機の乗りかご50の戸開時刻である時刻t1と、1号機の乗りかご50の戸閉時刻である時刻t3との間の時刻である。時刻t4は、1号機の乗りかご50の戸閉時刻である時刻t3の後の時刻である。
ここで、乗り場60の待ち人数が多い場合、あるいは、1号機の乗りかご50に既に乗車済みの人数が多い場合等には、1号機の乗りかご50を上記の乗り場呼びに応答させても、乗り場60の利用者全員が1号機の乗りかご50に乗り切れず、その乗り場60に積み残しが発生する場合がある。
この場合であっても、1号機の乗りかご50が戸開中は、次の乗り場呼びが受け付けられない。このため、2号機の乗りかご50は、その乗り場60に停車することなく通過する。乗り場60において積み残された利用者は、2号機の乗りかご50の通過、及び1号機の乗りかご50の出発を見送った後に、ようやく次の乗り場呼びを行うことができる。これにより、1号機と2号機とに続く3号機の乗りかご50が、例えばその乗り場60に停車し、積み残された利用者に対応することとなる。
このような事態を回避するため、実施形態の群管理装置30においては、解析部33が、上記の乗り場呼びがあった階床の乗り場60にて積み残しが発生する確率を算出する。すなわち、例えば乗り場呼びが発生したタイミングで、解析部33は、その乗り場60における待ち人数を推定する。また、制御部32によって、例えば上記の乗り場呼びに応答する乗りかご50の割り当てが決定されると、解析部33は、割り当てられた乗りかご50内の乗車人数を推定する。
これにより、解析部33は、1号機の乗りかご50がその乗り場60に到着する前後のタイミングで、積み残しの発生確率の算出を終えることができる。このとき、積み残しの発生確率の算出が、1号機の乗りかご50がその乗り場60に到着する前に終了していることが、より好ましい。
制御部32は、解析部33が算出した積み残しの発生確率が所定値以上であった場合には、割り当て済みの1号機の乗りかご50に次いで、その乗り場60に応答可能な他の乗りかご50の検討を開始する。
より詳細には、制御部32は、その乗り場60に応答可能な他の乗りかご50として、例えば1号機の乗りかご50の戸開中、つまり、時刻t1~t3の間に、その乗り場60を、上記の乗り場呼びで指定された方向へと通過する乗りかご50があるか否かを確認する。図3の例では、乗り場呼びのあった乗り場60を、上層階から下層階へと通過する2号機の乗りかご50がこれに該当する。
また、制御部32は、実際に積み残しが発生した場合、積み残された利用者に対する未応答時間がどの程度になるかを算出する。ここで、未応答時間とは、例えば上記の乗り場呼びに応答した1号機の乗りかご50が、その乗り場60から出発した後に、積み残された利用者による更なる乗り場呼びに応答可能な乗りかご50が、その乗り場60に到着するまでの時間である。
図3の例では、上述したように、1号機の乗りかご50の出発後、新たな乗り場呼びに応答可能な乗りかご50は、3号機の乗りかご50である。したがって、積み残された利用者に対する未応答時間は、1号機の乗りかご50の出発時刻である時刻t3~3号機の乗りかご50がその乗り場60に到達する時刻t4である。
制御部32は、時刻t3~t4で示される未応答時間が所定時間以上となる場合には、1号機の乗りかご50の戸開中に、その乗り場60を通過予定の2号機の乗りかご50を、その乗り場60に停車させ、積み残された利用者に対して応答させることを決定する。その場合の例を図4に示す。
図4に示すように、時刻t1における1号機の乗りかご50の到着後、時刻t2に、2号機の乗りかご50がその乗り場60に到着して戸開する。その後、時刻t3に1号機の乗りかご50が戸閉してその乗り場60を出発し、更に、時刻t3の後の時刻t3’に2号機の乗りかご50が戸閉してその乗り場60を出発する。更なる積み残しの発生確率が高くなければ、3号機の乗りかご50は、予定通り時刻t4にその乗り場60を通過する。
以上のように、所定の階床で乗り場呼びが発生し、その乗り場60における積み残しの発生確率が所定値以上の場合であって、その乗り場呼びに割り当てられた乗りかご50の戸開中に、その乗り場60を通過する乗りかご50があり、更には、当初の割り当ての乗りかご50が出発した後の未応答時間が所定時間以上となる場合には、実施形態の群管理装置30は、割り当ての乗りかご50の戸開中に通過予定であった乗りかご50を、積み残された利用者への応答に割り当てる。
(エレベータシステムの処理例)
次に、図5を用いて、実施形態の群管理装置30による処理例について説明する。図5は、実施形態にかかる群管理装置30による乗りかご50の割り当て処理の手順の一例を示すフロー図である。
図5に示すように、群管理装置30は、いずれかの乗り場60で乗り場呼びが行われるのをモニタする(ステップS101)。群管理装置30は、乗り場呼びが行われない間は(ステップS101:No)モニタリングを継続する。
いずれかの乗り場60で乗り場呼びが行われると(ステップS101:Yes)、解析部33は、例えば記憶部35に格納される学習モデル37を用いて、乗り場呼び登録があった階床の乗り場60における待ち人数を推定する(ステップS102)。
また、制御部32が乗り場呼びに応答させる乗りかご50を割り当てると、解析部33は、乗り場呼びに応答する乗りかご50内の乗車人数を推定する(ステップS103)。乗車人数は、上述のように、例えば学習モデル37を用いて推定されてもよく、あるいは、乗り場呼びに応答する乗りかご50に設けられた荷重センサ54の検出結果に基づいて推定されてもよい。
解析部33は、ステップS102,S103の処理で推定した、乗り場60の待ち人数と乗りかご50内の乗車人数とに基づいて、その乗り場60で積み残しが発生する確率を算出する(ステップS104)。制御部32は、算出された積み残しの発生確率が所定値以上であるか否かを判定する(ステップS105)。
積み残しの発生確率が所定値以上であった場合(ステップS105:Yes)、制御部32は、複数の乗りかご50の運行状況等を確認する(ステップS106)。制御部32は、複数の乗りかご50の運行状況から、乗り場呼びに応答した乗りかご50の戸開中に、その乗り場60を、戸開中の乗りかご50と同じ方向に通過する予定の乗りかご50があるか否かを判定する(ステップS107)。
その乗り場60を通過予定の乗りかご50がある場合には(ステップS107:Yes)、制御部32は、乗り場呼びに応答した乗りかご50が戸閉した後、積み残された利用者に対する未応答時間が所定時間以上となるか否かを判定する(ステップS108)。
未応答時間が所定時間以上となる場合には(ステップS108:Yes)、制御部32は、ステップS107の処理で特定された乗りかご50の乗車可能人数を算出する(ステップS109)。より詳細には、制御部32は、例えばその乗りかご50に設けられた荷重センサ54の検出結果から現在の乗車人数を推定し、さらに、現在の乗車人数から、さらに乗車が可能な人数を算出することができる。
制御部32は、ステップS107の処理で特定された乗りかご50の乗車可能人数に基づいて、積み残された利用者全員が乗車可能な台数の乗りかご50を、乗り場呼びのあった乗り場60に停車させる(ステップS110)。なお、ステップS107の処理で特定された乗りかご50が、積み残された利用者全員が乗車可能な台数に満たない場合には、これらの乗りかご50を全て停車させることを決定してもよい。
積み残しの発生確率が所定値未満であった場合(ステップS105:No)、乗り場呼びに応答した乗りかご50の戸開中に、その乗り場60を通過予定の乗りかご50がない場合(ステップS107:No)、または、乗り場呼びに応答した乗りかご50が戸閉した後の未応答時間が所定時間未満の場合には(ステップS108:No)、当初、割り当てた乗りかご50に加えて、更に乗りかご50を停車させる処理は行われない。
以上により、実施形態の群管理装置30による乗りかご50の割り当て処理が終了する。
(概括)
エレベータの複数の乗りかごの運行を制御する群管理装置が知られている。群管理装置は、各階における待ち時間を均等化するため、例えば複数の乗りかごを等間隔で運行させるよう制御する。この場合、乗り場呼び応答時に積み残しが発生すると、積み残された利用者は、乗り場呼びに応答した乗りかごの出発を待って、新たな乗り場呼びを行わなければならず、これらの利用者に対する未応答時間が長期化する。
このため、群管理装置では、例えば乗車人数が所定数以上の乗りかごを、その乗り場呼びに応答させずに通過させたり、乗車人数が所定数未満の乗りかごを割り当てたりすることで、積み残しの発生を抑制している。
しかしながら、上記のような対策では積み残しの発生を完全になくすことは困難であり、積み残しが発生した際の未応答時間の短縮を図ることも困難である。
実施形態の群管理装置30によれば、機械学習によって構築された学習モデル37を用いて、異なる階層のうち乗り場呼びがあった対象階で積み残しが発生する確率を算出する。このように、機械学習による学習モデル37を利用するので、積み残しの発生を予測して乗りかご50を適正に割り当てることができる。
実施形態の群管理装置30によれば、積み残しの発生確率が所定値以上の場合であって、複数の乗りかご50のうち、乗り場呼びのあった対象階で、乗り場呼びの応答に割り当てられた乗りかご50が戸開中に、その乗り場呼びで指定された方向へと通過する他の乗りかご50がある場合には、通過予定であった他の乗りかご50を対象階に停車させる。
このように、当初の割り当ての乗りかご50の戸開中に、追加の乗り場呼びを行えずに通過してしまう乗りかご50を、その乗り場60に停車させることで、積み残された利用者に対する未応答時間が長期化してしまうことを抑制できる。
実施形態の群管理装置30によれば、積み残しの発生確率が所定値以上であることに加えて、割り当ての乗りかご50が戸閉した後に未応答時間が所定時間以上となる場合には、他の乗りかご50を、上記の対象階に停車させる。このように、未応答時間が所定時間以上となることを条件の1つとして、他の乗りかご50を停車させるか否かを決定するので、不用意に追加の応答をしてしまうことを回避し、追加の応答が無駄になってしまうことを抑制することができる。
実施形態の群管理装置30によれば、乗り場呼びのあった対象階の待ち人数の推定と、応答時の乗りかご50内の乗車人数の推定との少なくともいずれかに学習モデル37を適用して積み残しの発生確率を算出する。これにより、例えばエレベータシステム10に追加の設備を設けることなく、積み残しの発生確率を算出することができる。
実施形態の群管理装置30によれば、学習モデル37を用いて対象階の待ち人数を推定する。これにより、個々の乗り場60に撮像装置等の追加の設備を設けることなく、乗り場60の待ち人数の推定値を取得することができる。
実施形態の群管理装置30によれば、乗りかご50に設けられた荷重センサ54の検出結果から、応答時の乗りかご50内の乗車人数を推定する。エレベータシステム10においては通常、乗りかご50の乗車人数の超過を検出するための荷重センサ54が元々備わっている。既存の設備である荷重センサ54の検出結果を用いることで、乗りかご50内のより正確な乗車人数を取得することができる。乗りかご50内の乗車人数推定までをも行う必要が無いので、機械学習による学習モデル37構築の負荷も軽減することができる。
なお、上述の実施形態において、追加の乗りかご50により、積み残された利用者に応答する際には、乗り場60もしくは乗りかご50に設置された不図示のスピーカ、または、乗り場60に設置された表示盤等を用いて、追加の乗りかご50への乗車を促すアナウンスを行ってもよい。
また、上述の実施形態において、学習モデル37は適宜、アップデート可能であってもよい。具体的には、例えば積み残された利用者に向けて追加の乗りかご50を応答させたが乗車する利用者がいなかった場合等には、当初の割り当ての乗りかご50における応答後の乗車人数または乗りかご50内の空きスペース等、そのときの状況を更に反映させて、より精度の高い予測を行うことが可能なように、学習モデル37をアップデートさせることができる。
(変形例)
次に、図6を用いて、実施形態の変形例の群管理装置による処理例について説明する。変形例の群管理装置は、追加の乗りかご50を停車させるか否かの判定条件が、上述の実施形態の群管理装置30とは異なる。
図6は、実施形態の変形例にかかる群管理装置による乗りかご50の割り当て処理の手順の一例を示すフロー図である。
図6に示すように、変形例の群管理装置においても、ステップS201~S204の処理は、上述のステップS101~S104と同様に行われる。すなわち、変形例の群管理装置も、所定階で乗り場呼びがあると(ステップS201:Yes)、その乗り場60で積み残しが発生する確率を算出する(ステップS202~S204)。
制御部は、その乗り場呼びに応答させる乗りかご50の割り当てを行い、割り当てられた乗りかご50が応答後、戸閉する(ステップS205)。制御部は、ステップS204の処理で算出された積み残しの発生確率が所定値以上であったか否かを判定する(ステップS206)。
積み残しの発生確率が所定値以上であった場合(ステップS206:Yes)、制御部は、その乗り場60を出発する際、応答後の乗りかご50内の乗車人数が所定数以上であったか否かを判定する(ステップS207)。応答後の乗りかご50の乗車人数は、例えばその乗りかご50に設けられた荷重センサ54の検出結果から推定することができる。
なお、応答後の乗りかご50内の乗車人数が所定数以上であった場合(ステップS207:Yes)、積み残しが発生している可能性が更に高まる。
制御部は、更に、応答後の乗りかご50がその乗り場60を出発した後、所定時間内に更に、その乗りかご50と同じ方向に向かうための乗り場呼びが、その乗り場60であったか否かを判定する(ステップS208)。所定時間内に追加の乗り場呼びがあった場合には(ステップS208:Yes)、積み残された利用者による乗り場呼びである可能性が高い。
制御部は、追加の乗り場呼びに応答させる乗りかご50を割り当てる際、応答時間の短縮を優先して割り当てを行う(ステップS209)。
通常の場合であれば、制御部が乗りかご50の割り当てを行う際には、個々の乗りかご50の荷重、個々の乗りかご50が応答に要する時間、他の階床における乗り場呼び数等、いくつかの条件を均等に考慮のうえ、所定の乗りかご50が選定される。つまり、これらの条件の重みづけを平準化して、これらの条件が同程度に満たされることとなる乗りかご50が割り当てられる。これにより、エレベータシステムの運行効率を全体的に高めることができる。
しかし、ステップS206~S208が全て当て嵌まる状況下で、追加の乗りかご50を割り当てる際には、例えば上記条件のうち、個々の乗りかご50が応答に要する時間の重みづけを他の条件より高めて、乗りかご50の選定が行われる。これにより、積み残しが高確率で発生していることが予測される状況下において、未応答時間を極力短縮することができる。
なお、制御部は、応答時間の短縮を優先させて追加の乗りかご50を割り当てるために、例えば他階の乗り場呼び等に応答させるため、既に決定済みの乗りかご50の割り当てを変更してもよい。また、制御部は、ステップS208の処理における追加の乗り場呼びへの応答が終了するまで、追加で割り当てた乗りかご50に対して、他の呼びに対する割り当てを行わないこととしてもよい。
積み残しの発生確率が所定値未満であった場合(ステップS206:No)、当初の割り当ての乗りかご50の応答終了後、応答後の乗りかご50内の乗車人数が所定数未満であった場合(ステップS207:No)、または、所定時間内に追加の乗り場呼びがなかった場合には(ステップS208:No)、当初、割り当てた乗りかご50に加えて、更に乗りかご50を停車させる処理は行われない。
以上により、変形例の群管理装置による乗りかご50の割り当て処理が終了する。
変形例の群管理装置によれば、積み残しの発生確率が所定値以上の場合であって、割り当ての乗りかご50が対象階を出発後、所定時間内に更に、割り当ての乗りかご50と同じ方向の追加の乗り場呼びが対象階であった場合には、追加の乗り場呼びに対する応答時間の短縮を優先条件として、複数の乗りかご50のうち所定の乗りかご50を割り当てる。
これにより、積み残しが発生したことに起因する乗り場呼びを通常の乗り場呼びと区別することができる。また、その場合に、応答時間を短縮することを優先して追加の乗りかご50を割り当てるので、積み残し発生時の未応答時間をいっそう短縮することができる。
変形例の群管理装置によれば、所定時間内に更に追加の乗り場呼びがあったことに加えて、対象階を出発した乗りかご50の乗車人数が所定数以上であった場合には、応答時間の短縮を優先条件として追加の乗りかごを割り当てる。これにより、より確実に積み残しが発生したことを判別することができ、不用意に応答時間の優先度を高めた割り当てを行ってしまうことを抑制できる。
変形例の群管理装置によれば、応答時間の短縮を優先条件として追加の乗りかご50を割り当てるため、既に決定済みの他の乗りかご50の割り当てを変更する。これにより、積み残し発生時の追加の割り当てをより柔軟に行うことができ、積み残し発生時の未応答時間をよりいっそう短縮することができる。
変形例の群管理装置によれば、追加の乗りかご50を割り当てた後、その乗りかご50に追加の割り当てを行わない。これにより、積み残し発生時の未応答時間をよりいっそう短縮することができる。
なお、変形例の群管理装置は、上述の実施形態の手法に加えて変形例の手法を用いることができる。この場合、例えば上述の実施形態の図5のステップS107の処理で、該当する乗りかご50がなかった場合等に、変形例の手法が適用されてよい。また、上述の実施形態の図5のステップS108の処理で、未応答時間が所定時間未満であった場合であっても、改めて、変形例の手法を適用して追加の乗りかご50を割り当てるようにしてもよい。
また、上述の変形例において、追加の乗りかご50により、積み残された利用者に応答する際には、乗り場60もしくは乗りかご50に設置された不図示のスピーカ、または、乗り場60に設置された表示盤等を用いて、追加の乗りかご50の到着時間を案内し、追加の乗りかご50への乗車を促してもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
実施形態の群管理装置は、エレベータの複数の乗りかごの異なる階層間での運行を制御する群管理装置であって、前記複数の乗りかごのうち、前記異なる階層ごとの乗り場呼びに応答させる乗りかごを割り当てる制御部と、前記複数の乗りかごの運行状況を示すデータに基づく機械学習によって構築された学習モデルを用いて、前記異なる階層のうち前記乗り場呼びがあった対象階における待ち人数と、前記乗り場呼びの応答に割り当てられたりかご内の乗車人数との少なくともいずれかを推定し、前記対象階で積み残しが発生する確率を算出する解析部と、を備え、前記解析部は、第1の乗り場呼びがあると、前記対象階における待ち人数を推定し、前記第1の乗り場呼びの応答に割り当てられた第1の乗りかご内の乗車人数を推定し、前記待ち人数と前記乗車人数とから前記確率を算出し、前記制御部は、前記確率が所定値以上の場合であって、前記複数の乗りかごのうち、前記対象階で前記第1の乗りかごが戸開中に、前記第1の乗り場呼びで指定された方向へと通過する第2の乗りかごがある場合には、通過予定であった前記第2の乗りかごを前記対象階に停車させる。