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JP2026009040A - 医薬組成物 - Google Patents

医薬組成物

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JP2026009040A
JP2026009040A JP2025111799A JP2025111799A JP2026009040A JP 2026009040 A JP2026009040 A JP 2026009040A JP 2025111799 A JP2025111799 A JP 2025111799A JP 2025111799 A JP2025111799 A JP 2025111799A JP 2026009040 A JP2026009040 A JP 2026009040A
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JP
Japan
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evocalcet
sodium
carrier
weight
calcium
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Pending
Application number
JP2025111799A
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English (en)
Inventor
祐輔 木村
正哉 中西
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Towa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Towa Pharmaceutical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

【課題】新規な医薬組成物を提供する。【解決手段】本発明の一態様に係る医薬組成物は、非晶質のエボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤とを含んでいる。【選択図】図1

Description

本発明は、医薬組成物に関する。
エボカルセトは、一般名:2-{4-[(3S)-3-{[(1R)-1-(ナフタレン-1-イル)エチル]アミノ}ピロリジン-1-イル]フェニル}酢酸で表される化合物である。エボカルセトはカルシウム受容体作動薬として機能し、日本国では二次性副甲状腺機能亢進症や高カルシウム血症の治療薬として承認されている。エボカルセト含有医薬を開示している特許文献の一例として、特許文献1が挙げられる。
国際公開第2015/034031号
特許文献1が開示しているのは、エボカルセトの結晶である。一般的に、薬物動態学においては、結晶性の物質よりも非晶質の物質の方が、溶解性、経口吸収性などに優れていることが知られている。この点において、非晶質のエボカルセトを有効成分とする医薬の開発が望まれていた。しかし、非晶質のエボカルセトは安定性が低く、結晶に変化しやすいという短所があった。また、非晶質のエボカルセトからは、類縁体が生成しやすいという短所もあった。
本発明の一態様は、非晶質のエボカルセトを含有する新規な医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明には、下記の態様が含まれる。
<1>
非晶質のエボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤とを含んでいる、
医薬組成物。
<2>
上記医薬組成物に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、上記非晶質のエボカルセトが占める割合は、10重量%以上である、
<1>に記載の医薬組成物。
<3>
上記担体は、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群より選択される1種類以上である、
<1>または<2>に記載の医薬組成物。
<4>
上記担体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である、
<1>~<3>のいずれかに記載の医薬組成物。
<5>
上記塩基性添加剤は、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-グルタミン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、水酸化ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、メグルミン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される1種類以上である、
<1>~<4>のいずれかに記載の医薬組成物。
<6>
エボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤とを含んでいる、
固体分散体。
<7>
上記固体分散体に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、非晶質のエボカルセトが占める割合は、10重量%以上である、
<6>に記載の固体分散体。
<8>
上記担体は、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群より選択される1種類以上である、
<6>または<7>に記載の固体分散体。
<9>
上記担体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である、
<6>~<8>のいずれかに記載の固体分散体。
<10>
上記塩基性添加剤は、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-グルタミン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、水酸化ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、メグルミン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される1種類以上である、
<6>~<9>のいずれかに記載の固体分散体。
<11>
下記工程1および/または工程2を有する、非晶質のエボカルセトを含んでいる医薬組成物の製造方法:
工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
<12>
上記工程1は、下記の工程を有する、<11>に記載の製造方法:
工程1a:エボカルセトおよび担体を溶媒に溶解させて混合する工程;
工程1b:上記工程1aで得られた混合液から溶媒を除去する工程。
<13>
エボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤と含んでいる固体分散体の製造方法であって、
下記工程1および/または工程2を有する、製造方法:
工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
<14>
下記工程1および/または工程2を有する、非晶質のエボカルセトの安定性を向上させる方法:
工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
本発明の一態様によれば、非晶質のエボカルセトを含有する新規な医薬組成物が提供される。
担体の種類によるエボカルセトの非晶質化の程度を検討したXRPDスペクトルである。 担体の含有率によるエボカルセトの非晶質化の程度を検討したXRPDスペクトルである。担体としては、コポビドンを使用している。 担体の含有率によるエボカルセトの非晶質化の程度を検討したXRPDスペクトルである。担体としては、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルおよびヒドロキシプロピルセルロースを使用している。
本発明の一実施形態について、以下に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する各構成に限定されない。本発明は、特許請求の範囲に示した範囲で種々に変更できる。本発明の技術的範囲は、本明細書に開示されている複数の技術的手段を適宜組合せて得られる実施形態または実施例にも及ぶ。このとき、複数の技術的手段は、複数の実施形態または実施例にわたって開示されていてもよい。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A~B」は、「A以上、B以下」を意図する。
〔1.医薬組成物〕
本発明の一態様に係る医薬組成物は、非晶質のエボカルセトおよび担体を含んでいる。特許文献1などの従来技術が開示しているエボカルセトは結晶であるところ、本発明者らは、エボカルセトと担体とを組合せることによって、エボカルセトの少なくとも一部を非晶質化できる(または非晶質として維持できる)ことを見出した。
本発明の他の態様に係る医薬組成物は、非晶質のエボカルセトおよび塩基性添加剤を含んでいる。本発明者らが見出したところによると、非晶質のエボカルセトと塩基性添加剤とを組合せることによって、エボカルセトからの類縁体の生成を低減できる。
このように、医薬組成物は、非晶質のエボカルセトおよび担体を含んでいてもよいし、非晶質のエボカルセトおよび塩基性添加剤を含んでいてもよいし、非晶質のエボカルセト、担体および塩基性添加剤を含んでいてもよい。以下、これらの成分について詳述する。
[1.1.エボカルセト]
医薬組成物に含まれているエボカルセトは、少なくとも一部が非晶質である。本明細書において、エボカルセトの結晶性は、特許文献1の記載に準じてXRPDによって判断する。エボカルセトは、特許文献1に記載されたA型結晶が安定形であることが知られている(特許文献1の段落0066)。したがって、本明細書においては、エボカルセトのうちA型結晶になっていない部分が存在することをもって、非晶質のエボカルセトが含まれていると見做す。
本明細書において、エボカルセトのA型結晶に特徴的なピークとは、2θ=12.7°、17.3°、18.6°、19.1°、20.5°、22.6°、24.5°、28.1°(いずれも±0.2°の誤差を許容する)である。このときのXRPDの測定条件の例は、本願実施例を参照。
エボカルセトにおいて非晶質が占める割合(重量%)は、XRPDスペクトルから算出されたエボカルセトのA型結晶の割合(重量%)を100重量%から減じることにより求める。エボカルセトのA型結晶の割合は、サンプルのXRPDスペクトルにおける2θ=18.6±0.2°の面積値を、検量線に当てはめて算出する。より詳細な手順の例は、本願実施例を参照。
一実施形態において、医薬組成物に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、非晶質のエボカルセトが占めている割合の下限は、10重量%以上、20重量%以上、30重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、80重量%以上または90重量%以上でありうる。非晶質のエボカルセトが占めている割合の上限は、100重量%以下でありうる。
一実施形態において、医薬組成物に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、結晶性のエボカルセトが占めている割合の上限は、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下または10重量%以下でありうる。結晶性のエボカルセトが占めている割合の下限は、0重量%以上でありうる。
一実施形態において、医薬組成物に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、A型結晶のエボカルセトが占めている割合の上限は、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下または10重量%以下でありうる。A型結晶のエボカルセトが占めている割合の下限は、0重量%以上でありうる。
[1.2.担体]
担体は、エボカルセトを非晶質化する(または非晶質として維持する)成分である。一実施形態において、担体は、エボカルセトを含んでいる固体分散体のマトリクスを担っている。
一実施形態において、担体は、ポリマーである。ポリマーの例としては、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマーが挙げられる。
セルロース系ポリマーの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロース、カルメロースカリウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、セラセフェート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ヒプロメロースフタル酸エステルが挙げられる。一実施形態において、セルロース系ポリマーは、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルからなる群より選択される1種類以上である。
ビニル系ポリマーの例としては、ポビドン、コポビドン、ポリビニルアルコール(完全けん化物)、ポリビニルアルコール(部分けん化物)、ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体が挙げられる。一実施形態において、ビニル系ポリマーは、ポビドン、コポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である。
アクリル系ポリマーの例としては、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーS、メタクリル酸コポリマーLD、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー分散液、アンモニオアルキルメタクリレートコポリマーが挙げられる。
医薬組成物における担体の含有量の下限は、エボカルセトの含有量を1重量部とすると、0.1重量部以上、0.3重量部以上、0.5重量部以上、0.7重量部以上、1重量部以上、3重量部以上、5重量部以上、7重量部以上または10重量部以上でありうる。医薬組成物における担体の含有量の上限は、エボカルセトの含有量を1重量部とすると、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下または10重量部以下でありうる。
担体は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。一実施形態において、担体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である。2種類以上の単体の組合せの例としては、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルおよびヒドロキシプロピルセルロースの組合せ、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルおよびポビドンの組合せが挙げられる。
担体を2種類用いるとき、それらの含有量の比率は、特に限定されない。医薬組成物が担体Aおよび担体Bを含んでいるとして、担体Bの含有量の下限は、担体Aの含有量を100重量部とすると、0.01重量部以上、0.05重量部以上、0.1重量部以上、0.5重量部以上、1重量部以上、2.5重量部以上、5重量部以上、7.5重量部以上、10重量部以上、25重量部以上、50重量部以上、75重量部以上、100重量部以上、125重量部以上、150重量部以上、175重量部以上、200重量部以上、250重量部以上、300重量部以上、350重量部以上、400重量部以上、450重量部以上、500重量部以上、1,000重量部以上、5,000重量部以上、10,000重量部以上、50,000重量部以上、100,000重量部以上、500,000重量部以上または1,000,000重量部以上でありうる。担体Bの含有量の上限は、担体Aの含有量を100重量部とすると、0.01重量部以下、0.05重量部以下、0.1重量部以下、0.5重量部以下、1重量部以下、2.5重量部以下、5重量部以下、7.5重量部以下、10重量部以下、25重量部以下、50重量部以下、75重量部以下、100重量部以下、125重量部以下、150重量部以下、175重量部以下、200重量部以下、250重量部以下、300重量部以下、350重量部以下、400重量部以下、450重量部以下、500重量部以下、1,000重量部以下、5,000重量部以下、10,000重量部以下、50,000重量部以下、100,000重量部以下、500,000重量部以下または1,000,000重量部以下でありうる。
[1.3.塩基性添加剤]
塩基性添加剤は、エボカルセトの類縁体の生成を低減する成分である。塩基性添加剤とは、水溶液または懸濁液が塩基性を呈する添加剤を表す。塩基性添加剤は、1種類のみを用いてもよいし、2種類以上を用いてもよい。
塩基性添加剤の例としては、有機酸の金属塩、無機酸の金属塩、リン酸の金属塩、ケイ酸の金属塩、金属水酸化物、塩基性アミノ酸、塩基性多糖類、その他の塩基性添加剤が挙げられる。これらの例における金属は、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)およびアルミニウムからなる群より選択される1種類以上であってもよい。
有機酸の金属塩の例としては、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-グルタミン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、コハク酸二ナトリウム六水和物、安息香酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウムが挙げられる。無機酸の金属塩の例としては、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウムが挙げられる。リン酸の金属塩の例としては、ポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、リン酸水素カルシウムが挙げられる。ケイ酸の金属塩の例としては、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ケイ酸アルミニウムが挙げられる。金属水酸化物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲルが挙げられる。塩基性アミノ酸の例としては、L-アルギニンが挙げられる。塩基性多糖類の例としては、アルギン酸ナトリウムが挙げられる。その他の塩基性添加剤の例としては、メグルミン、タルクが挙げられる。
一実施形態において、塩基性添加剤は、固体分散体に含まれている。一実施形態において、塩基性添加剤は、医薬組成物に含まれているが、固体分散体には含まれていない。このような形態の例としては、粉末化した固体分散体と塩基性添加剤とを打錠してなる錠剤が挙げられる。エボカルセトの類縁体の生成を低減する観点からは、塩基性添加剤を含有する医薬組成物は、塩基性添加剤を固体分散体に含有させるよりも、固体分散体とは別に(例えば後末として)錠剤に含有させる方が好ましい。
医薬組成物における塩基性添加剤の含有量の下限は、医薬組成物の重量を100重量%とすると、0.1重量%以上、0.5重量%以上または1重量%以上でありうる。医薬組成物における塩基性添加剤の含有量の上限は、医薬組成物の重量を100重量%とすると、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下または3.5重量%以下でありうる。
[1.4.その他の成分]
医薬組成物は、エボカルセト、担体および塩基性添加剤以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分の例としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、流動化剤、界面活性剤、酸味料、発泡剤、甘味剤、香料、着色剤、緩衝剤、コーティング剤が挙げられる。
賦形剤の例としては、D-マンニトール、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、D-ソルビトール、乳糖、白糖、デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、アラビアゴム、デキストリン、プルラン、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムが挙げられる。
崩壊剤の例としては、バレイショデンプン、トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスポビドンが挙げられる。
流動化剤の例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、タルクが挙げられる。
界面活性剤の例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が挙げられる。
結合剤の例としては、ヒプロメロース、アラビアゴム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドンが挙げられる。
酸味料の例としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸が挙げられる。
発泡剤の例としては、重曹が挙げられる。
甘味剤の例としては、スクラロース、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンが挙げられる。
香料の例としては、レモン、レモンライム、オレンジ、メントールが挙げられる。
着色剤の例としては、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、黒酸化鉄、酸化チタン、食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用青色3号が挙げられる。
緩衝剤の例としては、クエン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、リン酸、ホウ酸またはそれらの塩が挙げられる。さらなる緩衝剤の例としては、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウムが挙げられる。
滑沢剤の例としては、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸カルシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
コーティング剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、エチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、マクロゴール(マクロゴール6000など)、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール・ポリエチレングリコール・グラフトコポリマー、タルク、酸化チタンが挙げられる。
[1.5.医薬組成物の形態]
医薬組成物の剤型は、特に限定されず、経口製剤でありうる。経口製剤は、固形製剤であることが好ましい。固形製剤の例としては、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤が挙げられる。これらの中では、錠剤が好ましく、口腔内崩壊錠がより好ましい。
医薬組成物が錠剤である場合、その硬度は、目的により適宜調整できる。錠剤の硬度は、例えば、20~300Nが好ましい。錠剤を打錠するときの打錠圧は、0.5~20kNであってよい。
錠剤の寸法は、目的に応じて適宜決定してよい。錠剤の長径は、3~15mmであってよい。錠剤の厚みは、1~5mmであってよい。
錠剤が口腔内崩壊錠である場合には、崩壊時間が短いことが好ましい。一実施形態において、錠剤(口腔内崩壊錠など)の崩壊時間は、90秒以下または60秒以下でありうる。錠剤の崩壊時間は、日本薬局方に従って測定する。
錠剤の表面には、錠剤刻印および/または錠剤印字を施してもよい。錠剤刻印および/または錠剤印字される内容の例としては、有効成分名、有効成分含有量、剤形、製品番号、バーコード、二次元コードが挙げられる。
錠剤印字を施す際には、素錠またはフィルムコート錠の表面に直接印字する。錠剤印字を施す方法の例としては、インクを用いた印字方法が挙げられる(版式転写印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、インクジェット印刷など)。錠剤印字に使用するインクは、染料および/または顔料を含む可食インクから選択できる。錠剤印字に使用するインク色は、1色であってもよいし、識別性を高めるために2色以上であってもよい。錠剤印字を施す他の方法の例としては、レーザーを用いた印字方法が挙げられる。
医薬組成物は、包装材により包装されていてもよい。包装の例としては、PTP包装、ストリップ包装、ビン充填、アルミ包装が挙げられる。
錠剤などの医薬組成物を収容するPTP包装の材料の例としては、樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネートなど)、金属(アルミニウムなど)が挙げられる。これらの材料は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組合せて用いてもよい。材料の組合せの例としては、ポリ塩化ビニルとポリ塩化ビニリデンとの積層体、ポリ塩化ビニルとポリクロロトリフルオロエチレンとの積層体が挙げられる。公知の方法によりポケットを設けた樹脂シートを成形し、当該ポケットに錠剤などを収容した後、アルミニウム箔で蓋をすれば、錠剤などをPTP包装できる。
PTP包装は、アルミピローによって二次包装されていてもよい。アルミピローには、乾燥剤および/または脱酸素剤がさらに収容されていてもよい。乾燥剤の例としては、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、シリカゲル、ゼオライトが挙げられる。脱酸素剤の例としては、鉄系の脱酸素剤(鉄粉など)、有機系の脱酸素剤(アスコルビン酸、イソアスコルビン酸、ヒドロキノン、カテコールなど)が挙げられる。乾燥剤および/または脱酸素剤は、1種類のみを用いてもよいし、複数種類を組合せて用いてもよい。また、乾燥剤および脱酸素剤を組合せて用いてもよい。乾燥剤および脱酸素剤を組合せた製品の例としては、ファーマキープ(登録商標)(三菱ガス化学株式会社)が挙げられる。
一実施形態において、医薬組成物は、ガラス製またはプラスチック製のボトルに充填されている。プラスチック製ボトルの材料の例としては、PTP包装用の樹脂として上記に例示したものが挙げられる。一実施形態において、医薬組成物は、アルミ包装により1回分ごとに分包されていてもよい。アルミ包装は、アルミピローによって二次包装されていてもよい。アルミピローには、上述した乾燥剤および/または脱酸素剤がさらに収容されていてもよい。
〔2.固体分散体〕
本発明の一態様は、エボカルセトおよび担体を含んでいる、固体分散体である。本発明の他の態様は、エボカルセトおよび塩基性添加剤を含んでいる、固体分散体である。固体分散体は、エボカルセト、担体および塩基性添加剤を含んでいてもよい。本明細書において、固体分散体とは、当業者が通常に理解するところのものを表す。
通常、固体分散体においては、ポリマーなどの担体がマトリクスとなり、その中に有効成分が分散している。有効成分の運動が担体により制限されたり、有効成分-担体間の相互作用が生じたりするために、固体分散体においては、有効成分の結晶化が抑制される。それゆえ、一般的には、固体分散体において有効成分の少なくとも一部は、非晶質である。したがって、本発明の一態様に係る固体分散体においては、エボカルセトの少なくとも一部が非晶質であってもよい。
固体分散体に含まれているエボカルセトに関する記載は、〔1〕節の記載が援用される。一実施形態において、固体分散体に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、非晶質のエボカルセトが占めている割合の下限は、10重量%以上でありうる。
固体分散体に含まれている担体に関する記載は、〔1〕節の記載が援用される。一実施形態において、担体は、ポリマーである。ポリマーの例としては、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマー、アクリル系ポリマーが挙げられる。担体の組合せおよび含有量の比率については、〔1〕節の記載が援用される。
固体分散体に含まれている塩基性添加剤に関する記載は、〔1〕節の記載が援用される。一実施形態において、塩基性添加剤は、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-グルタミン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、水酸化ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、メグルミン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される1種類以上である。
〔3.医薬組成物または固体分散体の製造方法〕
本発明の一態様に係る医薬組成物の製造方法は、工程1を有する。工程1とは、エボカルセトおよび担体を接触させる工程である。工程1を経ることによって、非晶質のエボカルセトを含んでいる医薬組成物が得られる。
本発明の一態様に係る固体分散体の製造方法は、工程1を有する。工程1とは、エボカルセトおよび担体を接触させる工程である。工程1を経ることによって、エボカルセトおよび担体を含んでいる固体分散体が得られる。上述の通り、固体分散体においては、通常、エボカルセトの少なくとも一部は非晶質になっている。
工程1において、担体と接触させるエボカルセトは、非晶質であってもよいし、結晶性であってもよい。結晶性のエボカルセトを原料に使用したとしても、工程1を経ることにより、その少なくとも一部が非晶質となることは、本願実施例において実証されている。
一実施形態において、工程1では、溶媒中においてエボカルセトおよび担体を接触させる。溶媒は、エボカルセトおよび担体に対する溶解度がある程度高いものが好ましい。一実施形態においては、エボカルセトおよび/または担体の25℃における溶解度が0.10mg/mL以上、0.15mg/mL以上または0.30mg/mL以上である溶媒を使用する。このような溶媒の例としては、メタノール、アセトン、無水エタノール、イソプロピルアルコールが挙げられる。一実施形態において、溶媒は、上述の溶媒またはその組合せであり、それ以外の溶媒を含んでいない。好ましくは、溶媒は、メタノールである。一実施形態において、溶媒は、ジクロロメタンを含んでいない。これは、医薬品の残留溶媒としてのジクロロメタンは厳しく制限されているためである(例えば、厚生労働省通知「医薬品の残留溶媒ガイドラインについて」平成10年3月30日 医薬審第307号を参照)。
一実施形態において、工程1は、下記の副工程を有する。
・工程1a:エボカルセトおよび担体を溶媒に溶解させて混合する工程。
・工程1b:工程1aで得られた混合液から溶媒を除去する工程。
工程1aにおいて使用できる溶媒の例は、上述した通りである。工程1aにおける溶媒の量、温度、混合手段などは、当業者であれば適宜設定できる。
工程1bにおいて、溶媒を除去する方法は、特に限定されない。一例としては、真空乾燥、噴霧乾燥が挙げられる。乾燥条件などは、当業者であれば適宜設定できる。
他の実施形態において、工程1では、溶媒の非存在下においてエボカルセトおよび担体を接触させる。
一実施形態において、工程1は、下記の副工程を有する。
・工程1c:エボカルセトおよび担体を、溶媒の非存在下において加熱溶融する工程。
・工程1d:工程1cで得られた溶融物を冷却する工程。
工程1cにおいて、加熱温度は、エボカルセトが分解しない温度であれば特に限定されない。担体を選択することにより、エボカルセトの融点以下の温度で溶融させることが好ましい。加熱溶融条件などは、当業者であれば適宜設定できる。
工程1dにおいて、冷却方法は、特に限定されない。冷却条件などは、当業者であれば適宜設定できるが、冷却速度を速める必要は必ずしもなく、常温まで放冷してもよい。
一実施形態において、工程1は、下記の副工程を有する。
・工程1e:エボカルセトおよび担体の混合物を、溶媒の非存在下において粉砕する工程。
工程1eにおいて、粉砕方法は、特に限定されない。一例としては、ボールミル、ロッドミルが挙げられる。粉砕条件などは、当業者であれば適宜設定できる。
本発明の他の態様に係る医薬組成物の製造方法は、工程2を有する。工程2とは、エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程である。工程2を経ることによって、エボカルセトからの類縁体の生成が低減される。この製造方法によって得られる医薬組成物に含まれているエボカルセトの少なくとも一部は、非晶質であってよい。
本発明の一態様に係る固体分散体の製造方法は、工程2を有する。工程2とは、エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程である。工程2を経ることによって、エボカルセトおよび担体を含んでいる固体分散体が得られる。上述の通り、固体分散体においては、通常、エボカルセトの少なくとも一部は非晶質になっている。
工程1において、担体と接触させるエボカルセトは、非晶質であってもよいし、結晶性であってもよい。
上述した製造方法に使用する担体もしくは塩基性添加剤ならびにそれらの配合量に関しては、〔1〕節および〔2〕節の記載を援用する。製造方法によって得られる医薬組成物または固体分散体に含まれているエボカルセトに関しても、〔1〕節および〔2〕節の記載を援用する。
〔4.非晶質のエボカルセトの安定性を向上させる方法〕
本発明の一態様は、非晶質のエボカルセトの安定性を向上させる(とりわけ、エボカルセトを非晶質化させ、これを維持する)方法である。この方法は、〔3〕節に記載の工程1を有する。工程1に関連する事項は、〔1〕~〔3〕節の記載を援用する。
一実施形態において、この方法は、製造工程を経た医薬組成物または固体分散体に含まれているエボカルセトを、非晶質のエボカルセトとする方法である。一実施形態において、この方法は、結晶性のエボカルセト(A型結晶のエボカルセトなど)を非晶質に変化させる方法である。一実施形態において、この方法は、エボカルセトを非晶質のまま維持する方法である。
一実施形態において、この方法は、非晶質のエボカルセトの割合を増加させる。この方法を実施する前後において、エボカルセトの全量に対して非晶質のエボカルセトが占める割合を、それぞれX1重量%およびX2重量%とすると、X2-X1の値は、10ポイント以上、20ポイント以上、30ポイント以上、40ポイント以上、50ポイント以上、60ポイント以上、70ポイント以上、80ポイント以上または90ポイント以上でありうる。
一実施形態において、この方法は、保存前後における非晶質のエボカルセトの結晶化を抑制する。保存の前後において、エボカルセトの全量に対して非晶質のエボカルセトが占める割合を、それぞれY1重量%およびY2重量%とすると、Y1-Y2の値は、50ポイント以下、40ポイント以下、30ポイント以下、20ポイント以下、10ポイント以下または5ポイント以下でありうる。
本発明の一態様は、エボカルセトの安定性を向上させる(とりわけ、類縁体の生成を低減する)方法である。この方法は、〔3〕節に記載の工程2を有する。工程2に関連する事項は、〔1〕~〔3〕節の記載を援用する。
一実施形態において、この方法は、製造工程を経た医薬組成物または固体分散体に含まれているエボカルセトからの、類縁体(総類縁量など)の生成を低減する方法である。本明細書において、エボカルセトに由来する類縁体は、HPLCによって測定する。具体的な方法の例は、本願実施例を参照されたい。
一実施形態において、この方法は、エボカルセトに由来する総類縁の量を減少させる。この方法を実施する場合の総類縁の量をZ1重量%、実施しない場合の総類縁の量をZ2重量%とすると、Z2-Z1の値は、0.1ポイント以上、0.2ポイント以上、0.3ポイント以上、0.4ポイント以上、0.5ポイント以上、0.6ポイント以上、0.7ポイント以上、0.8ポイント以上、0.9ポイント以上または1ポイント以上でありうる。一実施形態において、上記の差は、製造直後における差である。一実施形態において、上記の差は、所定条件にて保存した後における差である。所定条件の例としては、本願実施例で採用した条件が挙げられる。
〔非晶質のエボカルセトの定量方法〕
エボカルセトに含まれている非晶質の割合は、エボカルセトのA型結晶の割合を定量することにより算出した。具体的な方法は下記の通りである。
1. エボカルセトのA型結晶の含有率が既知である標準サンプルを調製した。
2. 標準サンプルをXRPD測定して標準スペクトルを得た。測定条件は下記の通りであった。
・装置(D8 ADVANCE、Bruker)
・測定条件
・X線:Cu-Kα線
・管電圧:40kV
・管電流:40mA
・測定範囲:2θ=2.0°~40.0°
・スキャンスピード:0.8sec/step
・ステップサイズ:0.018°
3. それぞれの標準スペクトルにおいて、18.6±0.2°のピークの面積値を求めた。A型結晶の含有率を横軸、面積値を縦軸とするグラフに測定値をプロットし、最小二乗法により回帰直線を作成した。この回帰直線を検量線とした。
4. 実施例に係るサンプルをXRPD測定して、測定用スペクトルを得た。測定条件は、工程2と同じである。
5. 測定用スペクトルにおいて、2θ=18.6±0.2°のピークの面積値を求めた。この面積値を検量線に当てはめ、エボカルセトのA型結晶の割合(重量%)を求め、これをXとした。非晶質のエボカルセトの割合は、100-X(重量%)と計算した。
〔実施例1〕
担体の種類によるエボカルセトの非晶質化の程度を比較検討した。検討に利用した担体は、下記の通りである。
・担体1:エチルセルロース(ETHOCEL STD 7FP Premium、セルロース系ポリマー)
・担体2:コポビドン(Kollidon VA64、ビニル系ポリマー)
・担体3:ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SL、セルロース系ポリマー)
・担体4:ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(AQOAT AS-LG、セルロース系ポリマー)
・担体5:ポビドン(Kollidon 25、ビニル系ポリマー)
・担体6:ポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体(Soluplus、ビニル系ポリマー)
[実施例1-1]
下記の手順によりエボカルセトを含んでいる医薬組成物を調製し、非晶質のエボカルセトの割合を計測した。
1. 100mgのA型結晶のエボカルセトおよび1gの担体1を、200mLのメタノールに溶解させた。
2. 真空乾燥によって溶液から溶媒を除去し、固形物を得た。真空乾燥には、濃縮遠心機(スピンドライヤースタンダードVC-96R)を利用した。遠心条件は、温度:35℃、回転数:1800rpmとし、真空ポンプを使用しながら乾燥させた。
3. 得られた固形物を乳鉢で粉砕し、XRPDのサンプルとした。上述の方法により、サンプルに含まれている非晶質のエボカルセトの割合を求めた。
[実施例1-2~1-6]
使用する担体を、担体2~6にそれぞれ変更した以外は、実施例1-1と同様の手順によりエボカルセトを含んでいる医薬組成物を調製し、非晶質のエボカルセトの割合を計測した。
[結果]
各実施例について、非晶質のエボカルセトの割合を表1に示す。同表から分かるように、いずれの実施例においても、少なくとも一部のエボカルセトが非晶質になっていた。特に、担体4(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)または担体5(ポビドン)を配合した場合には、エボカルセトの全量が非晶質になっていた。このことから、各実施例において得られた固形物は、少なくとも一部が固体分散体になっていたと言える。参考として、各実施例のXRPDスペクトルを図1に示す。
〔実施例2〕
担体の含有率によるエボカルセトの非晶質化の程度を検討した。担体としては、担体5(ポビドン)を使用した。
[実施例2-1~2-4]
A型結晶のエボカルセトおよび担体5を、表2に記載の割合で用意した。これらを使用して、実施例1-1と同様にエボカルセトを含んでいる医薬組成物を調製し、非晶質のエボカルセトの割合を計測した。
[結果]
各実施例について、非晶質のエボカルセトの割合を表2に示す。同表から分かるように、いずれの実施例においても、少なくとも一部のエボカルセトが非晶質になっていた。特に、担体5をエボカルセトの10倍量配合した場合には、エボカルセトの全量が非晶質になっていた。このことから、各実施例において得られた固形物は、少なくとも一部が固体分散体になっていたと言える。参考として、各実施例のXRPDスペクトルを図2に示す。
〔実施例3〕
担体の含有率によるエボカルセトの非晶質化の程度を検討した。担体としては、担体4(ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル)および担体3(ヒドロキシプロピルセルロース)の組合せを使用した。
[実施例3-1~3-3]
A型結晶のエボカルセト、担体4および担体3を、表3に記載の割合で用意した。これらを使用して、実施例1-1と同様にエボカルセトを含んでいる医薬組成物を調製し、非晶質のエボカルセトの割合を計測した。
[結果]
各実施例について、非晶質のエボカルセトの割合を表3に示す。同表から分かるように、いずれの実施例においても、少なくとも一部のエボカルセトが非晶質になっていた。特に、担体4および担体3を合計でエボカルセトの10倍量配合した場合には、エボカルセトの全量が非晶質になっていた。このことから、各実施例において得られた固形物は、少なくとも一部が固体分散体になっていたと言える。参考として、各実施例のXRPDスペクトルを図3に示す。
〔実施例4〕
エボカルセトおよび塩基性添加剤を組合せて、保存後における類縁体の含有量を測定した。
(サンプルの調製)
1. 100mgのA型結晶のエボカルセトおよび10gのポビドン(担体5)を、200mLのメタノールに溶解させた。
2. 真空乾燥によって溶液から溶媒を除去し、固体分散体を得た。真空乾燥には、濃縮遠心機(スピンドライヤースタンダードVC-96R)を利用した。遠心条件は、温度:35℃、回転数:1800rpmとし、真空ポンプを使用しながら乾燥させた。
3. 粉末にした固体分散体と、塩基性添加剤とを混合した。塩基性添加剤としては、炭酸マグネシウム(協和化学工業株式会社)を使用した。塩基性添加剤の配合量は、表4に記載の通りであった。このようにして、試験用のサンプルを調製した。
(保存安定性試験)
サンプルを合成ゼオライト系乾燥剤(MS-タブレット、株式会社東海化学工業所)とともにポリエチレン製ボトルに収容し、アルミニウムピローにさらに収容した。包装したサンプルを所定条件にて保存し、保存後における総類縁量を測定した。保存条件は、下記のいずれかであった。
・60℃にて1週間または3週間
・40℃、75%RHにて1箇月間
総類縁量は、HPLCにより測定した。具体的な測定条件は、下記の通りであった。
・測定装置:LC-20A(株式会社島津製作所)
・カラム:YMC Pack Pro C18 RS 46×150mm,3μm(株式会社ワイエムシィ)
・送液速度:1.0mL/min
・カラム温度:40℃
・移動相A:トリフルオロ酢酸(1000倍稀釈)を添加した水
・移動相B:アセトニトリル
・移動相は、移動相Aと移動相Bの混合比を下記の通り変更して濃度勾配制御した。
注入後の時間(分) 移動相A(%) 移動相B(%)
0~35 90→55 10→45
35~47 55→20 45→80
47~52 20 80
・検出波長:257nm
[結果]
結果を表4に示す。表中、配合成分の単位はmgである。また、総類縁量の単位は重量%である。
表4から分かるように、塩基性添加剤を配合しない参考例と比較して、配合した実施例においては、総類縁量が減少している。この結果から、塩基性添加剤には、エボカルセトを安定化させ、類縁の生成を低減する効果があることが示唆される。
〔実施例5〕
実施例4と同様の実験系において塩基性添加剤の含有量を変化させて、保存後における類縁体の含有量を測定した。
(サンプルの調製)
実施例4と同様の手順によりサンプルを調製した。ただし、塩基性添加剤(炭酸マグネシウム、協和化学工業株式会社)の配合量は、表5に記載の通り変更した。また、実施例5-5においては、塩基性添加剤を固体分散体の粉末と混合するのではなく、固体分散体の成分として含有させた後に粉末化した。すなわち、実施例4に記載の調製方法の工程1において、エボカルセト、ポビドンとともに塩基性添加剤を固体分散体の材料とした。
(保存安定性試験)
サンプルを合成ゼオライト系乾燥剤(MS-タブレット、株式会社東海化学工業所)とともにポリエチレン製ボトルに収容し、アルミニウムピローにさらに収容した。包装したサンプルを所定条件にて保存し、保存後における総類縁量を測定した。保存条件は、下記のいずれかであった。
・60℃にて3週間
・40℃、75%RHにて1箇月間
[結果]
結果を表5に示す。表中、塩基性添加剤の配合量の単位はmgである(括弧内はサンプルの全量に占める重量割合である)。また、総類縁量の単位は重量%である。
表4から分かるように、塩基性添加剤を配合しない参考例と比較して、配合した実施例においては、少なくとも一つの保存条件において総類縁量が減少している。この結果から、塩基性添加剤には、エボカルセトを安定化させ、類縁体の生成を低減する効果があることが示唆される。
実施例5-1~5-4を比較すると、塩基性添加剤の好適な配合量は、例えば0.5~3.5重量%でありうる。実施例5-4と実施例5-5とを比較すると、塩基性添加剤は、固体分散体に含有させるよりも、固体分散体とは別に(例えば後末として)錠剤に含有させる方が好ましいことが示唆される。
〔処方例〕
●エボカルセト含有口腔内崩壊錠の処方例
固体分散体末 11.0mg
(エボカルセト含有量:1.0mg、2.0mgまたは4.0mg)
ポビドン 10.0mg
速崩壊性顆粒 78.5mg
(国際公開第2017/217494号の実施例1に記載のもの)
D-マンニトール 21.0mg
クロスポビドン 7.0mg
エチルセルロース 4.0mg
軽質無水ケイ酸 1.4mg
アスパルテーム 1.4mg
ステアリン酸マグネシウム 0.7mg
合計 135.0mg
●エボカルセト含有口腔内崩壊錠の製造例
1. 上述の各成分のうち、ステアリン酸マグネシウム以外を混合した。
2. 混合物にステアリン酸マグネシウムを加えてさらに混合した。
3. 得られた混合物を単発打錠機(HANDTAB-100、市橋精機株式会社)により打錠した。打錠圧は、5kNであった。このようにして、口腔内崩壊錠を得た。
●得られた口腔内崩壊錠の特性
錠径:7.0mm
錠厚:3.5mm
硬度:54N
崩壊時間:30秒
本発明は、エボカルセトを含んでいる医薬組成物などに利用できる。

Claims (14)

  1. 非晶質のエボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤とを含んでいる、
    医薬組成物。
  2. 上記医薬組成物に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、上記非晶質のエボカルセトが占める割合は、10重量%以上である、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 上記担体は、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群より選択される1種類以上である、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  4. 上記担体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  5. 上記塩基性添加剤は、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-グルタミン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、水酸化ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、メグルミン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される1種類以上である、
    請求項1に記載の医薬組成物。
  6. エボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤とを含んでいる、
    固体分散体。
  7. 上記固体分散体に含まれているエボカルセトの全量を100重量%とすると、非晶質のエボカルセトが占める割合は、10重量%以上である、
    請求項6に記載の固体分散体。
  8. 上記担体は、セルロース系ポリマー、ビニル系ポリマーおよびアクリル系ポリマーからなる群より選択される1種類以上である、
    請求項6に記載の固体分散体。
  9. 上記担体は、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、ポビドンおよびポリビニルカプロラクタム-ポリ酢酸ビニル-ポリエチレングリコールグラフト重合体からなる群より選択される1種類以上である、
    請求項6に記載の固体分散体。
  10. 上記塩基性添加剤は、DL-酒石酸ナトリウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスパラギン酸ナトリウム、L-アルギニン、L-グルタミン酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、乾燥亜硫酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム(イソアスコルビン酸ナトリウム)、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、クエン酸ナトリウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸二ナトリウム六水和物、水酸化ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、乳酸カルシウム、ピロリン酸四ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、硫酸カルシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、合成ケイ酸アルミニウム、タルク、メグルミン、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸水素カルシウムからなる群より選択される1種類以上である、
    請求項6に記載の固体分散体。
  11. 下記工程1および/または工程2を有する、非晶質のエボカルセトを含んでいる医薬組成物の製造方法:
    工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
    工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
  12. 上記工程1は、下記の工程を有する、請求項11に記載の製造方法:
    工程1a:エボカルセトおよび担体を溶媒に溶解させて混合する工程;
    工程1b:上記工程1aで得られた混合液から溶媒を除去する工程。
  13. エボカルセトと、担体および/または塩基性添加剤と含んでいる固体分散体の製造方法であって、
    下記工程1および/または工程2を有する、製造方法:
    工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
    工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
  14. 下記工程1および/または工程2を有する、非晶質のエボカルセトの安定性を向上させる方法:
    工程1:エボカルセトおよび担体を接触させる工程;
    工程2:エボカルセトおよび塩基性添加剤を接触させる工程。
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