JP2025018001A - 吸音パネル構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る吸音パネル構造は、PVA及びCNFを含むセメントからなる表面層10と、セメント又はCNFを含むセメントからなる裏面層20と、表面層10と裏面層20の間に配置されて多数の空隙が形成された層状体31の表面側及び裏面側を積層シート32及び33で被覆して構成された空隙層30と、表面層10から空隙層30に到達してすべての空隙と連通するように形成された多数の小孔40とを備えた吸音パネル材1を複数枚配列した吸音パネル構造であって、吸音特性の異なる複数種類の吸音パネル材を配列している。
【選択図】図1
Description
表面層10は、厚さが5mm~15mmあることが好ましい。厚さが5mmよりも薄い場合には吸音効果が不十分となり、厚さが15mmよりも厚い場合には小孔の深さ(長さ)が大きくなるため強度が低下する。
裏面層20は、厚さが4mm~25mmに形成することが好ましい。厚さが4mmよりも薄い場合には製造が困難であり、厚さが25mmよりも厚い場合には乾燥によるクラックの発生といった問題がある。
空隙層30は、表面側及び裏面側の両面を積層シート32及び33で被覆された層状体31からなり、層状体31には多数の空隙が形成されている。層状体31は、埋設した状態で内部の空隙が潰れない程度に厚さ方向の強度を備えているものが好ましく、例えば、両面の間に面方向に沿って多数の空隙が配列されたダンボール材、厚さ方向に貫通した多数の筒状部が連結されたコア材といった公知の素材が挙げられる。図2は、コア材に関する外観斜視図であり、図3は、コア材を用いた吸音パネル材に関する一部拡大断面図である。
表面層10から空隙層30の層状体31まで到達する多数の小孔40は、孔径が2mm~4mmが好ましく、2mmより小さいと吸音効果が不十分となり、4mmよりも大きいと吸音パネル材の強度が低下するようになる。小孔は、表面層10の全体に分布するように形成されており、表面に対して垂直方向に穿孔するように形成することが好ましく、表面の傾斜に合わせて様々な方向及び深さに小孔を形成することで、吸音特性を向上させることができる。
特性試験として、以下の試験を行った。
吸音試験は、福井県工業技術センター(福井県福井市)において行った。同センター内に構築された残響室において、定常音圧発生装置(スペクトリス株式会社製)及び音響インテンシティー測定装置(スペクトリス株式会社製)を用いて行った。
α(%)=(A/S)×100
ここで、Sは吸音パネル構造の面積(m2)、Aは、以下の式により算出される等価吸音面積(m2)である。
A=55.3×(V/c)×(1/T2-1/T1)
cは空気中の音速(m/s)、Vは供試体を設置していない状態における残響室の容積(m3)、T1は供試体を設置していない状態における残響室内の残響時間(s)、T2は供試体を設置した状態における残響室内の残響時間(s)である。
養生直後の供試体に対して、アムスラー式圧縮試験機(株式会社テクノエナミ製;型式 圧縮試験機アムスラー式1000kN)を用いて曲げ強度試験を行った。そして、曲げ強度試験により得られた曲げたわみ曲線の面積で定義される破壊エネルギー(kNm/m2)を算出した。
各種モルタルの原料として以下のものを準備した。
○普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)
(密度3.16g/cm3、比表面積3330cm2/g)
(鉱物組成;C3S56%、C2S18%、C3A9%、C4AF9%)
〇セルロースナノファイバー(CNF)
CNF(中越パルプ工業株式会社製nanoforest-S)
ACC法により製造。繊維幅20nm以下、CNF濃度2%
〇ポリビニルアルコール(PVA)
PVA(富士フイルム和光純薬株式会社製ポリビニルアルコールPVA1500;重合度約1500)
〇鉱物粒(チエ社製ブラジル産ショールトルマリン、粒径1~4mm、密度3.18g/cm3程度)
販売用の説明資料によれば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、アルミニウム等の珪酸類を含む硼珪酸塩鉱物粒である、と説明されている。
○細骨材(中日本砂利株式会社製)
(最大骨材寸法2mm、表乾密度2.63g/cm3)
混和剤として以下のものを使用した。
○高性能減水剤(BASFジャパン株式会社製;マスターグレニウムSP8HU)
上水道水(越前市水道局;硬度23mg/リットル)を用いた。
〇ダンボール材
市販の5mm厚のダンボールシートを所望のサイズに切断して用いた。
〇コア材
新日本フェザーコア株式会社製の紙製ロールコアシート(厚さ10mm、セルサイズ14mm)を所望のサイズに切断して用いた。
〇気泡シート
川上産業株式会社製プチシート(登録商標)(突起の径10mm、高さ1mm及び2mm、突起の間隔1mm)
図1に示す3層構造と同様な構造のセメント製の吸音パネル材を作製した。
使用原料として、以下の単位量で準備した。
セメント;1198kg/m3
CNF;616kg/m3
(CNF量;12.32kg/m3、セメント比;1.0質量%)
鉱物粒;34kg/m3(セメント比;2.8質量%)
混和剤;35.94kg/m3
使用原料として、以下の単位量で準備した。
セメント;1093kg/m3
水;565kg/m3
CNF;18kg/m3
(CNF量;0.36kg/m3、セメント比;0.03質量%)
PVA;91kg/m3(セメント比;8.3質量%)
混和剤;32.79kg/m3
まず、裏面層となる層を形成した。CNFモルタルは、セメントにCNF及び混和剤を加えて5分間練り混ぜ、次に鉱物粒を投入して5分間練り混ぜた混練物を作製した。得られた混練物を型枠(縦35cm×横35cm×高さ2cm)に流し込み、約4mmの厚さの均一な層を形成した。CNFモルタルが半硬化した後、下層用の気泡シート(縦32cm×横32cm×高さ2mm)をCNFモルタルの上面に載置した。気泡シートは、中心を型枠の中心位置に合わせて載置し、周縁が1.5cm幅でCNFモルタルが露出した状態に設定した。下層用の気泡シートの上面にダンボール材(縦32cm×横32cm×高さ5mm)及び上層用の気泡シート(下層用と同じサイズ)を積層した。
図4に示す3層構造と同様な構造のセメント製の吸音パネル材を、実施例1と同様の材料を使用して作製した。
実施例1と同様に、型枠内に裏面層、空隙層及び表面層を積層して半硬化体を形成した。市販のポリ塩化ビニル製の波板(山部分の高さ約10mm)を縦30cm×横30cmのサイズに切断した波型体を準備し、波型体の片面に表面層と同様のPVAモルタルを流し込んで大気中で半硬化させて波形層を形成し、半硬化体の上面に積層して一体化させた。
図4に示す3層構造と同様な構造のセメント製の吸音パネル材を、実施例2と同様の材料を使用して、空隙層に用いるダンボール材の枚数を増やして作製した。具体的には、空隙層のダンボール材の枚数を2枚積層したものを作製した。
型枠(縦35cm×横35cm×高さ2cm)を用い、実施例2と同様に、裏面層としてCNFモルタルにより4mmの厚さの層を形成し、下層用気泡シート、2枚のダンボール材及び上層用の気泡シートを順次載置し、表面層としてPVAモルタルを4mmの厚さとなるように層を形成した後半日程度硬化させて厚さ20mmの半硬化体を得た。そして、実施例2と同様に、半硬化した波形層(高さ10mm)を積層して一体化させた後、電動ドリルによりほぼ同数の小孔(径約3mm、長さ14~31mm)を形成し、小孔が形成された半硬化体をJIS A 1132に準拠して大気養生を行い、硬化した供試体を得た。密度は、1.47g/cm3であった。また、空隙率は、約25%であった。
図4に示す3層構造と同様な構造のセメント製の吸音パネル材を、実施例2と同様の材料を使用して、空隙層に用いるダンボール材の枚数を増やして作製した。具体的には、空隙層のダンボール材の枚数を5枚積層したものを作製した。
型枠(縦35cm×横35cm×高さ4.5cm)を用い、実施例2と同様に、裏面層としてCNFモルタルにより8mmの厚さの層を形成し、下層用気泡シート、5枚のダンボール材及び上層用の気泡シートを順次載置し、表面層としてPVAモルタルを8mmの厚さとなるように層を形成した後半日程度硬化させて厚さ45mmの半硬化体を得た。そして、実施例2と同様に、半硬化した波形層(高さ10mm)を積層して一体化させた後、電動ドリルによりほぼ同数の小孔(径約3mm、長さ11~60mm)を形成し、小孔が形成された半硬化体をJIS A 1132に準拠して大気養生を行い、硬化した供試体を得た。密度は、1.29g/cm3であった。また、空隙率は、約35%であった。
図5に示す3層構造と同様な構造のセメント製の吸音パネル材を、実施例2と同様の材料を使用し、空隙層に用いるダンボール材の代わりにコア材を使用して作製した。
型枠(縦35cm×横35cm×高さ2cm)を用い、実施例2と同様に、裏面層としてCNFモルタルにより4mmの厚さの層を形成し、下層用気泡シート、コア材(厚さ10mm)及び上層用の気泡シートを順次載置し、表面層としてPVAモルタルを4mmの厚さとなるように層を形成した後半日程度硬化させて厚さ20mmの半硬化体を得た。そして、実施例2と同様に、半硬化した波形層(高さ10mm)を積層して一体化させた後、電動ドリルによりほぼ同数の小孔(径約3mm、長さ6mm~32mm)を形成し、小孔が形成された半硬化体をJIS A 1132に準拠して大気養生を行い、硬化した供試体を得た。密度は、1.38g/cm3であった。また、空隙率は、約25%であった。
実施例1及び実施例2の供試体を用いて縦横3枚ずつ合計9枚を平置きで配列した吸音パネル構造について吸音試験を行った。図8に示すように、実施例1の吸音パネル材P1を9枚配列した場合(図8(a))、実施例1の吸音パネル材P1を5枚及び実施例2の波形吸音パネル材P2を4枚配列した場合(図8(b))及び実施例2の波形吸音パネル材P2を9枚配列した場合(図8(c))の組合せで行った。波形吸音パネル材については、いずれも波形形状が同一方向に設定されるように配列した。
実施例3、実施例4及び実施例5の供試体を用いて縦横3枚ずつ合計9枚を平置きで配列した吸音パネル構造について吸音試験を行った。実施例3~5の吸音パネル材9枚をそれぞれ図8(c)に示すように配列して行った。
空隙率 ピーク周波数
8% 1.25kHz (実施例1)
10% 1kHz (実施例2)
25% 500Hz (実施例3)
25% 500Hz (実施例5)
35% 250Hz (実施例4)
空隙率が増加するにしたがいピーク周波数が低周波数域にシフトする傾向がみられ、空隙率が10%で1kHz、25%で500Hz、35%で250Hzとなっていることから、こうした知見に基づいて吸音パネル材の空隙率を調整することで、広い周波数域に対応した吸音パネル構造を得ることが可能となる。
実施例2から5の供試体を用いて縦横3枚ずつ合計9枚を平置きで配列した吸音パネル構造について吸音試験を行った。実施例2の吸音パネル材5枚と実施例3から5の吸音パネル材4枚をそれぞれ図8(b)に示すように配列した場合の組合せで行った。波形吸音パネル材については、いずれも波形形状が同一方向に設定されるように配列した。
実施例1から5の吸音パネル材について、曲げ強度試験を行った。曲げ試験の結果、曲げ破断荷重(kN)、最大歪量(mm)及び破壊エネルギー(kNm/m2)は、実施例1では、0.1kN、1.4mm及び0.01kNm/m2であり、実施例2では、0.3kN、2.2mm及び0.04kNm/m2であり、実施例3では、0.2kN、2.5mm及び0.03kNm/m2であり、実施例4では、0.6kN、9.0mm及び0.2kNm/m2であり、実施例5では、0.3kN、7.2mm及び0.1kNm/m2であった。いずれも建設用パネル材としての強度を有していることが確認された。
実施例2及び実施例4の供試体をそれぞれ縦横3枚ずつ配列した吸音パネル構造及び実施例2の吸音パネル材5枚と実施例4の吸音パネル材4枚をそれぞれ図8(b)に示すように配列した吸音パネル構造について、上述した吸音試験の際に残響時間の測定を行った。測定結果を図12に示す。
さらに、本発明に係る別の吸音パネル構造は、ポリビニルアルコール及びセルロースナノファイバーを含むセメントからなる表面層と、セメント又はセルロースナノファイバーを含むセメントからなる裏面層と、前記表面層と前記裏面層の間に積層するように配置されるとともに厚さ方向に貫通する多数の筒状部を連結したコア材で構成されて多数の空隙が形成された層状体の表面側及び裏面側を積層シートで被覆して構成された空隙層と、前記表面層から前記空隙層に到達してすべての前記筒状部と連通するように形成された多数の小孔とを備えた吸音パネル材を複数枚配列した吸音パネル構造であって、吸音特性の異なる複数種類の前記吸音パネル材を配列している。
Claims (8)
- ポリビニルアルコール及びセルロースナノファイバーを含むセメントからなる表面層と、セメント又はセルロースナノファイバーを含むセメントからなる裏面層と、前記表面層と前記裏面層の間に積層するように配置されるとともに多数の空隙が形成された層状体の表面側及び裏面側を積層シートで被覆して構成された空隙層と、前記表面層から前記空隙層に到達してすべての前記空隙と連通するように形成された多数の小孔とを備えた吸音パネル材を複数枚配列した吸音パネル構造であって、吸音特性の異なる複数種類の前記吸音パネル材を配列している吸音パネル構造。
- 前記表面層は、ポリビニルアルコール及びセルロースナノファイバーを含むモルタルからなり、前記裏面層は、モルタル又はセルロースナノファイバーを含むモルタルからなる請求項1に記載の吸音パネル構造。
- 前記空隙層の空隙率が異なる複数種類の前記吸音パネル材を配列している請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
- 少なくとも一部の前記吸音パネル材の表面には、所定方向に沿って複数の凹凸形状が所定間隔で形成されている請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
- 前記層状体は、ダンボール材からなり、前記小孔は、前記ダンボール材のすべての空隙に連通している請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
- 前記層状体は、厚さ方向に貫通する多数の筒状部を連結したコア材からなり、前記小孔は、前記筒状部のすべてに連通している請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
- 前記積層シートは、多数の空隙に空気が密封された気泡シートである請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
- 500Hz~1.6kHzの周波数域で平準化された吸音特性を有する請求項1又は2に記載の吸音パネル構造。
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